JP3995299B2 - ギア位置検出装置の異常判定装置及び内燃機関の制御装置 - Google Patents

ギア位置検出装置の異常判定装置及び内燃機関の制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機のギア位置を検出する機能を備えたギア位置検出装置の異常判定装置及び内燃機関の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、二輪車において、変速機のギヤ位置をギア位置センサにより検出し、このギヤ位置センサの出力信号とエンジン回転数をパラメータとして車速制限等のエンジン制御を行うようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成において、ギア位置センサが故障すると、当然の事ながら、ギア位置が誤検出されるため、ギア位置に応じた適切なエンジン制御を行えない。また、ギア位置を切り換える途中(つまり変速中)の状態では、ギア位置センサの出力がギア位置を検出しない状態になるため、ギア位置に応じたエンジン制御が不可能となる。つまり、ギア位置を切り換える毎に、その変速中にギア位置をパラメータとする制御が中断される結果となり、変速中の制御特性が悪いという欠点がある。
【0004】
そこで、本発明の第1の目的は、ギア位置検出手段の異常を検出できるようにすることであり、また、第2の目的は、変速中を検出できるようにして、変速中の制御特性を改善することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために、請求項1では、変速機のギア位置をギア位置検出手段により検出すると共に、ニュートラル時にニュートラルランプを点灯させ、ギア位置検出手段の出力信号とニュートラルランプの点灯/消灯信号に基づいてギア位置検出手段が異常であるか否かを異常判定手段により判定する。例えば、ニュートラルランプの点灯時にギア位置検出手段の出力信号がギア位置検出時と同じ状態になっていれば、ギア位置検出手段が異常であると判定し、また、ニュートラルランプの消灯時にギア位置検出手段の出力信号が通常の信号範囲から外れていれば、ギア位置検出手段が異常であると判定する。
【0006】
具体的には、ニュートラル時及び変速中のギア位置検出手段の正常な出力信号より少し低い判定値βと、ニュートラル時及び変速中のギア位置検出手段の正常な出力信号より少し高い判定値αとを設定する。そして、ニュートラルランプの点灯時には、ギア位置検出手段の出力信号をニュートラル時の正常な出力信号より少し低い判定値βと比較して、ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値βより低い場合は、ニュートラルランプが点灯しているにも拘らず、ギア位置検出手段の出力信号がニュートラル時の状態になっていないため、ギア位置検出手段の異常と判定する。
一方、ニュートラルランプの消灯時には、ギア位置検出手段の出力信号を変速中の正常な出力信号より少し高い判定値αと比較して、ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値αより高い場合は、ギア位置検出手段の出力信号がニュートラルランプの消灯時の正常な電圧範囲を越えた異常な高電圧となっているため、ギア位置検出手段の異常と判定する。更に、ニュートラルランプの消灯時には、ギア位置検出手段の出力信号が変速中の正常な出力信号より少し高い判定値αより低い場合は、変速中の可能性があるため、ギア位置検出手段の出力信号を前記判定値βと比較して、ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値βより高いとき、変速中と見なされる減速状態の継続時間を所定時間γと比較し、前記減速状態の継続時間が所定時間γを越えたときに、ギア位置検出手段の異常と判定する。ここで、所定時間γは、請求項3のように、変速機の変速動作に要する最長時間より少し長い時間に設定すると良い。つまり、ギア位置検出手段の出力信号が判定値βより高い状態(つまり変速中を示す状態)に維持されている時間が変速機の変速動作に要する最長時間を越えても、ギア位置検出手段の出力信号が判定値βより高い状態(つまり変速中を示す状態)に維持されていれば、ギア位置検出手段の異常と判定するものである。
【0007】
また、前記第2の目的を達成するために、請求項では、ギア位置検出手段の出力信号とニュートラルランプの点灯/消灯信号に基づいて変速機が変速中であるか否かを変速中判定手段により判定する。例えば、ニュートラルランプの点灯時にギア位置検出手段の出力信号が変速中と同じ状態になる場合でも、ニュートラルランプの点灯/消灯信号から、変速中かニュートラル時かを判別でき、変速中の判定が可能となる。尚、変速中を示す情報として、クラッチ信号があるが、半クラッチ状態では変速中を正確に検出することができない。これに対し、上記請求項のように、ギア位置検出手段の出力信号とニュートラルランプの点灯/消灯信号に基づいて変速中の判定を行えば、半クラッチ状態でも変速中を精度良く検出することができる。
【0008】
変速中判定手段の具体的構成としては、ニュートラルランプの消灯時に、ギア位置検出手段の出力信号を変速中の正常な出力信号より少し高い判定値αと比較して、ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値αより低い場合は、変速中の可能性があるため、ギア位置検出手段の出力信号を変速中の正常な出力信号より少し低い判定値βと比較して、ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値βより高いとき、変速中と見なされる減速状態の継続時間を所定時間γと比較し、前記減速状態の継続時間が所定時間γ未満であれば、変速中と判定する。この場合も、所定時間γは、変速機の変速動作に要する最長時間より少し長い時間に設定すると良い。
【0009】
更に、請求項のように、ギア位置検出手段の出力信号と回転数検出手段の出力信号(内燃機関回転数)に基づいて燃料噴射量の補正係数又は点火時期の補正係数を設定するシステムでは、変速中判定手段によって変速中であることが検出された時にその直前のギヤ位置を用いて燃料噴射量の補正係数又は点火時期の補正係数を補正手段により設定するようにしても良い。このようにすれば、変速中でも、燃料噴射量の補正係数又は点火時期の補正係数を適正に設定でき、変速中の制御特性を向上できる。
【0010】
また、請求項のように、ギア位置検出手段の出力信号と回転数検出手段の出力信号(内燃機関回転数)に基づいて車速を制限するシステムでは、変速中判定手段によって変速中であることが検出された時にその直前のギヤ位置を用いて車速を車速制限手段により制限するようにしても良い。このようにすれば、変速中でも、適正な車速制限を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を二輪車に適用した一実施形態を図面に基づいて説明する。内燃機関であるエンジン11の各気筒の吸気ポート10には、それぞれ吸気マニホールド12が接続され、各気筒の吸気マニホールド12の上流側にはエアボックス13が接続され、このエアボックス13内に吸入された空気が各気筒の吸気マニホールド12に吸い込まれる。このエアボックス13内にはエアクリーナ(図示せず)が装着され、また、このエアボックス13には、吸気温を検出する吸気温センサ14が取り付けられている。各気筒の吸気マニホールド12の途中には、スロットルバルブ15が取り付けられ、このスロットルバルブ15の開度(スロットル開度)がスロットル開度センサ16によって検出される。更に、吸気マニホールド12のうちのスロットルバルブ15の下流側には、吸気圧を検出する吸気圧センサ17が設けられ、各気筒の吸気ポート10の近傍には燃料噴射弁18が取り付けられている。
【0012】
一方、燃料タンク19内から燃料ポンプ20で汲み上げられた燃料は、燃料配管21→燃料フィルタ22→燃料配管23→デリバリパイプ24に送られ、各気筒の燃料噴射弁18に分配される。デリバリパイプ24内の余剰燃料は、プレッシャレギュレータ25→リターン配管26の経路で燃料タンク19内に戻される。プレッシャレギュレータ25は、デリバリパイプ24内の燃料圧力と吸気圧との差圧が一定になるようにデリバリパイプ24内の燃料圧力を調整する。
【0013】
エンジン11のシリンダヘッドには、気筒毎に点火プラグ27が取り付けられ、点火タイミング毎に点火コイル28の二次側に発生する高電圧が各気筒の点火プラグ27に印加され、点火される。このエンジン11には、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ29(回転数検出手段)と、特定気筒を判別する気筒判別センサ30と、冷却水温を検出する水温センサ31とが取り付けられている。また、車体の所定位置には、大気圧を検出する大気圧センサ32が取り付けられている。
【0014】
また、エンジン11の出力を駆動輪に伝達する変速機(図示せず)のギア位置を検出するギア位置センサ33(ギア位置検出手段)が設けられ、更に、ニュートラル位置を表示するニュートラルランプ34が設けられている。ギア位置センサ33の出力信号やニュートラルランプ34のON/OFF信号(点灯/消灯信号)はエンジン制御回路35に入力される。
【0015】
次に、ギア位置センサ33とニュートラルランプ34の回路構成を図2に基づいて説明する。ギア位置センサ33は、グランド端子に接続されたロータリ接点36を有するロータリスイッチにより構成され、変速機の変速動作に連動してロータリ接点36が回動する。このロータリ接点36の回動軌跡上には、例えば5つのギア位置検出用の固定接点S1 〜S5 (5段変速の場合)とニュートラル位置検出用の固定接点Sn が配列されている。上記ギア位置検出用の固定接点S1 〜S5 には抵抗値の異なる抵抗R1 〜R5 が接続され、これらの抵抗R1 〜R5 が信号線L1 を介してエンジン制御回路35内のA/D変換回路37に接続されている。この信号線L1 は、抵抗38を介して直流電源Vcc(例えば5V)に接続されている。
【0016】
この場合、ロータリ接点36がギア位置検出用の固定接点Si(i=1〜5のいずれか)に接触すると、抵抗Ri(i=1〜5のいずれか)と抵抗38とで直流電源電圧Vccが分圧され、その分圧電圧がエンジン制御回路35内のA/D変換回路37に取り込まれ、その分圧電圧によってギア位置が検出される。また、変速中の場合には、ロータリ接点36がいずれの固定接点Si(i=1〜5)にも接触しない状態(全ての固定接点Siがオープンの状態)となる。この状態では、エンジン制御回路35内のA/D変換回路37に取り込まれる信号線L1 の電位が抵抗38によって直流電源電圧Vccにプルアップされ、それによって変速中であることが検出される。
【0017】
一方、ニュートラル位置検出用の固定接点Sn は、ニュートラルランプ34の一方の端子に接続され、該ニュートラルランプ34の他方の端子は、バッテリ端子(+B)に接続されている。また、ニュートラル位置検出用の固定接点Sn (ニュートラルランプ34の一方の端子)は、信号線L2 を介してエンジン制御回路35内のA/D変換回路37に接続され、この信号線L2 を通して後述するニュートラルランプ34の点灯/消灯信号(ON/OFF信号)が取り込まれる。この信号線L2 の途中には、ダイオード39がカソードをニュートラルランプ34側に向けて接続され、該ダイオード39のアノード側の信号線L2 は、抵抗40を介して直流電源Vccに接続されていると共に、コンデンサ41を介してグランド端子に接続されている。これにより、エンジン制御回路35内のA/D変換回路37に取り込まれる信号線L2 の電位はコンデンサ41の充電電圧となり、これがニュートラルランプ34の点灯/消灯信号として読み込まれる。
【0018】
この場合、ロータリ接点36がニュートラル位置検出用の固定接点Sn から離れている状態では、ニュートラルランプ34がOFF(消灯)されている。この状態では、コンデンサ41の充電電圧が直流電源電圧Vccに保たれるため、エンジン制御回路35内のA/D変換回路37に取り込まれる信号線L2 の電位(コンデンサ41の充電電圧)はハイレベルとなり、ギア位置がニュートラル位置ではないことが検出される。その後、ロータリ接点36がニュートラル位置検出用の固定接点Sn に接触すると、ニュートラルランプ34がON(点灯)される。この状態では、コンデンサ41の充電電荷がダイオード39を介してグランド端子側に放電されるため、エンジン制御回路35内のA/D変換回路37に取り込まれる信号線L2 の電位(コンデンサ41の充電電圧)がローレベルとなり、ニュートラル位置であることが検出される。
【0019】
エンジン制御回路35は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵したROM45(記憶媒体)には、エンジン制御用の各種のプログラムや、図3乃至図5の各プログラムが記憶されている。このエンジン制御回路35は、エンジン制御用の各種のプログラムを実行することで、スロットル開度センサ16、吸気圧センサ17、エンジン回転数センサ29、気筒判別センサ30、水温センサ31等の各種センサの出力信号を読み込んで燃料噴射制御と点火制御を行うと共に、図3乃至図5のプログラムを実行し、ギア位置センサ33の出力信号とニュートラルランプ34の点灯/消灯信号を読み込んで、ギア位置判別、ギア位置センサ33の異常検出、変速中の検出、ラム圧補正係数の算出、車速制限を行う。以下、図3乃至図5のプログラムの処理内容を説明する。
【0020】
[ギア位置検出]
図3のギア位置検出プログラムは、エンジン制御用メインプログラムが起動される毎(例えば4ms毎)に繰り返し実行される。本プログラムが起動されると、まずステップ101で、ニュートラルランプ34の信号がON(点灯)であるか否かを判定し、ONであれば、ステップ109に進み、ギア位置センサ33の出力信号GPを所定の判定値β(ニュートラル時のGPの正常値よりも少し低い電圧値)と比較する。もし、GP<βであれば、ギア位置センサ33の異常と判定し、ステップ111に進み、ギア位置センサ異常フラグXGPFLを異常を意味する「1」にセットする。つまり、ニュートラル時には、ギア位置センサ33が正常であれば、ギア位置センサ33の出力信号GPの電位はハイレベルになるが、信号線L1 やギア位置検出用の固定接点Si(i=1〜5のいずれか)がグランド側とショートすると、ギア位置センサ33の出力信号GPの電位が低下する。従って、このギア位置センサ33の出力信号GPの電位が低下を検出することで、ギア位置センサ33のショート等の異常を検出するものである。
【0021】
上記ステップ109で、GP≧βと判定された場合には、ギア位置センサ33は正常と判断され、ステップ111に進み、ニュートラルと判定する。
【0022】
一方、前述したステップ101で、ニュートラルランプ34の信号がOFF(消灯)と判定された場合には、ステップ102に進み、ギア位置センサ33の出力信号GPを所定の判定値α(変速中のGPの正常値より少し高い電圧値)と比較する。もし、GP≧αであれば、ギア位置センサ33がショート等の異常と判定し、ステップ111に進み、ギア位置センサ異常フラグXGPFLを異常を意味する「1」にセットする。つまり、ギア位置センサ33の出力信号GP(信号線L1 の電位)は、変速中(ギア位置検出用の固定接点Siのオープン時)に最高電圧となるため、ギア位置センサ33の出力信号GPと比較する判定値αを変速中のGPの正常値より少し高い電圧値に設定することで、ギア位置センサ33のショート等の異常を検出するものである。
【0023】
上記ステップ102で、GP<αと判定された場合には、ステップ103に進み、ギア位置センサ33の出力信号GPを所定の判定値β(変速中のGPの正常値よりも少し低い電圧値)と比較する。もし、GP>βであれば、変速中かギア位置センサ33の異常のいずれかである。この場合には、ステップ104に進み、変速中判定フラグXGPCHを変速中を意味する「1」に仮セットし、次のステップ105で、変速中かギア位置センサ33の異常のいずれであるか次のようにして判別する。すなわち、変速中は減速状態になるため、減速状態の継続時間を所定時間γ(変速動作に要する時間よりも少し長い時間)と比較し、減速状態の継続時間が所定時間γよりも短ければ、変速中と判断し、変速中判定フラグXGPCH=1(変速中)を維持する。
【0024】
これに対し、減速状態の継続時間が所定時間γを越えれば、ギア位置センサ33の異常と判定し、ステップ106に進み、ギア位置センサ異常フラグXGPFLを異常を意味する「1」にセットすると共に、変速中判定フラグXGPCHをリセットして、XGPCH=0(変速中でない)とする。
【0025】
また、前述したステップ103で、GP≧βと判定された場合には、変速中でなく、且つギア位置センサ33が正常である。この場合には、ステップ107に進み、ギア位置センサ異常フラグXGPFLを正常を意味する「0」にセットすると共に、変速中判定フラグXGPCHを変速中でないことを意味する「0」にセットする。この後、ステップ108で、ギア位置センサ33の出力信号GPの電圧値からギア位置を判別する。
【0026】
上記ステップ101〜106及びステップ109,111の処理が特許請求の範囲でいう異常判定手段としての役割を果し、ステップ105の処理が特許請求の範囲でいう運転状態検出手段としての役割を果たす。更に、ステップ103〜106の処理は、特許請求の範囲でいう変速中判定手段としても機能する。
【0027】
尚、変速中の判定に際して、クラッチのON/OFF信号も考慮し、クラッチがOFFであることを、変速中であることの1つの判定条件として追加するようにしても良い。このようにすれば、変速中の判定精度を更に向上することができる。
【0028】
[ラム圧補正係数算出]
図4のラム圧補正係数算出プログラムは、特許請求の範囲でいう補正手段としての役割を果たし、エンジン制御用メインプログラムが起動される毎(例えば4ms毎)に繰り返し実行される。本プログラムが起動されると、まずステップ201で、ギア位置センサ異常フラグXGPFL=1(異常)であるか否かを判定し、XGPFL=1であれば、ステップ202に進み、点火カット又は燃料カットによりエンジン最高回転数をラム圧がかからない回転数に制限する。ここで、ラム圧とは、走行風によりエアボックス13内に流入する空気の充填効果により大気圧以上に上昇する吸気圧をいう。そして、次のステップ203で、ラム圧補正係数FRAMを1.0に設定し、ギア位置センサ33の異常時にはラム圧による補正を行わないようにする。
【0029】
前述したステップ201で、ギア位置センサ異常フラグXGPFL=0(正常)と判定された場合には、ステップ204に進み、変速中判定フラグXGPCH=1(変速中)であるか否かを判定し、XGPCH=1であれば、ステップ205に進み、変速中判定フラグXGPCHが「0」から「1」に切り換わる直前のギア位置を読み込み、ステップ207に進む。
【0030】
一方、XGPCH=0(変速中でない)であれば、ステップ204からステップ206に進み、その時のギア位置センサ33の出力信号GPに対応するギア位置を読み込み、ステップ207に進む。
【0031】
このステップ207では、その時のエンジン回転数NEを読み込み、次のステップ208で、GPとNEをパラメータとする二次元マップ又は関数式を用いてラム圧補正係数FRAMを算出する。このラム圧補正係数FRAMは、燃料噴射量の補正係数又は点火時期の補正係数の1つとして用いられる。
【0032】
以上説明したラム圧補正係数算出プログラムによれば、変速中(XGPCH=1)であることが検出された時にその直前のギヤ位置を用いてラム圧補正係数FRAMを算出するので、変速中でもラム圧補正係数FRAMを適正に設定でき、変速中の制御特性を向上できる。
【0033】
[車速制限]
図5の車速制限プログラムは、特許請求の範囲でいう車速制限手段としての役割を果たし、エンジン制御用メインプログラムが起動される毎(例えば4ms毎)に繰り返し実行される。本プログラムが起動されると、まずステップ301で、ギア位置センサ異常フラグXGPFL=1(異常)であるか否かを判定し、XGPFL=1であれば、ステップ302に進み、点火カット又は燃料カットによりエンジン最高回転数をラム圧がかからない回転数に制限する。
【0034】
上記ステップ301で、ギア位置センサ異常フラグXGPFL=0(正常)と判定された場合には、ステップ303に進み、変速中判定フラグXGPCH=1(変速中)であるか否かを判定し、XGPCH=1であれば、ステップ304に進み、変速中判定フラグXGPCHが「0」から「1」に切り換わる直前のギア位置を読み込み、ステップ306に進む。
【0035】
一方、XGPCH=0(変速中でない)であれば、ステップ303からステップ305に進み、その時のギア位置センサ33の出力信号GPに対応するギア位置を読み込み、ステップ306に進む。
【0036】
このステップ306では、その時のエンジン回転数NEを読み込み、次のステップ307で、GPをパラメータとするマップ又は関数式を用いて、ギア位置により制限すべきエンジン回転数NELIMITを算出する。この後、ステップ308に進み、エンジン回転数がNELIMITに達したら、エンジン回転数がNELIMITを越えないように点火カット又は燃料カットを実行する(車速制限処理)。
【0037】
以上説明した車速制限プログラムによれば、変速中(XGPCH=1)であることが検出された時にその直前のギヤ位置を用いて車速制限処理を行うので、変速中でも適正な車速制限を行うことができる。
【0038】
尚、図2に示すギア位置センサ33の構成例では、ニュートラル位置検出用の固定接点Sn はギア位置検出用の固定接点S1 〜S5 と分離されているが、ニュートラル位置検出用の固定接点Sn に、ギア位置検出用の抵抗R1 〜R5 とは抵抗値の異なるニュートラル位置検出用の抵抗を接続し、この抵抗を信号線L1 に接続し、ニュートラル時に、ロータリ接点36がニュートラル位置検出用の抵抗とニュートラルランプ34側との双方に接続される構成としても良い。この構成では、ニュートラルランプ34の信号とニュートラル位置検出用の抵抗との双方によってニュートラル位置を検出することができる。
【0039】
その他、本発明は、二輪車に限定されず、四輪車にも適用して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施形態を示すエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】
主要部の電気的構成を示す回路図
【図3】
ギア位置検出プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図4】
ラム圧補正係数算出プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図5】
車速制限プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気マニホールド、15…スロットルバルブ、16…スロットル開度センサ、17…吸気圧センサ、18…燃料噴射弁、29…エンジン回転数センサ(回転数検出手段)、32…大気圧センサ、33…ギア位置センサ(ギア位置検出手段)、34…ニュートラルランプ、35…エンジン制御回路(異常判定手段,変速中判定手段,運転状態検出手段,補正手段,車速制限手段)、36…ロータリ接点、45…ROM、S1 〜S5 …ギア位置検出用の固定接点、Sn …ニュートラル位置検出用の固定接点、R1 〜R5 …ギア位置検出用の抵抗。

Claims (5)

  1. 内燃機関の出力を駆動輪に伝達する変速機のギア位置の切り換えに応じて異なる電圧信号を出力するギア位置検出手段と、
    前記変速機のギア位置がニュートラル位置の時に点灯されるニュートラルランプと、
    前記ギア位置検出手段の出力信号と前記ニュートラルランプの点灯/消灯信号に基づいて前記ギア位置検出手段が異常であるか否かを判定する異常判定手段とを備え、
    前記異常判定手段は、ニュートラル時及び変速中の前記ギア位置検出手段の正常な出力信号より少し低い判定値βと、ニュートラル時及び変速中の前記ギア位置検出手段の正常な出力信号より少し高い判定値αとを設定し、
    前記ニュートラルランプの点灯時には、前記ギア位置検出手段の出力信号を前記判定値βと比較して、前記ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値βより低い場合は前記ギア位置検出手段の異常と判定し、
    前記ニュートラルランプの消灯時には、前記ギア位置検出手段の出力信号を前記判定値αと比較して、前記ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値αより高い場合は前記ギア位置検出手段の異常と判定し、前記ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値αより低い場合は、前記ギア位置検出手段の出力信号を前記判定値βと比較して、前記ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値βより高いとき、変速中と見なされる減速状態の継続時間を所定時間γと比較し、前記減速状態の継続時間が所定時間γを越えたときに、前記ギア位置検出手段の異常と判定することを特徴とするギア位置検出装置の異常判定装置。
  2. 前記ギア位置検出手段の出力信号と前記ニュートラルランプの点灯/消灯信号に基づいて前記変速機が変速中であるか否かを判定する変速中判定手段を備え、 前記変速中判定手段は、前記ニュートラルランプの消灯時に、前記ギア位置検出手段の出力信号を前記判定値αと比較して、前記ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値αより低い場合は、前記ギア位置検出手段の出力信号を前記判定値βと比較して、前記ギア位置検出手段の出力信号が前記判定値βより高いとき、変速中と見なされる減速状態の継続時間を所定時間γと比較し、前記減速状態の継続時間が所定時間γ未満であれば、変速中と判定することを特徴とする請求項1に記載のギア位置検出装置の異常判定装置。
  3. 前記所定時間γは、前記変速機の変速動作に要する最長時間より少し長い時間に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のギア位置検出装置の異常判定装置。
  4. 請求項に記載のギア位置検出装置の異常判定装置と、
    前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
    前記ギア位置検出手段の出力信号と前記回転数検出手段の出力信号に基づいて燃料噴射量の補正係数又は点火時期の補正係数を設定する補正手段とを備え、
    前記補正手段は、前記変速中判定手段によって変速中であることが検出された時にその直前のギヤ位置を用いて前記燃料噴射量の補正係数又は点火時期の補正係数を設定することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  5. 請求項に記載のギア位置検出装置の異常判定装置と、
    前記内燃機関の回転数を検出する回転数検出手段と、
    前記ギア位置検出手段の出力信号と前記回転数検出手段の出力信号に基づいて車速を制限する車速制限手段とを備え、
    前記車速制限手段は、前記変速中判定手段によって変速中であることが検出された時にその直前のギヤ位置を用いて車速を制限することを特徴とする内燃機関の制御装置。
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