JP3995255B2 - 手術台用ベースおよびそれを用いた手術台 - Google Patents

Description

本発明は、サポート・コラムと患者支持面（patient support surface）とを備える手術台のための手術台用ベースおよびそれを用いた手術台に関連する。その手術台用ベースは、サポート・フレームを有し、そのサポート・フレームは、サポート・コラムを受けるために用いられると共にステアリング・ローラに載せられる。

下記のようにサポート・コラムを据え付けることが、手術台システムでは標準となっている。
１． 床に組み込まれたプレートにサポート・コラムを取り付ける。
２． 床の上に取り付けたプレートにサポート・コラムを取り付ける。
３． 床の上に立つプレート状に形成された半可動の脚にサポート・コラムを取り付ける。

最初の２つの事例では、手術台を移動させることができない。床に不動で据え付けられる。３つめの事例では、手術台を移動させることができるが、しかし、手術台を持ち上げかつ移動させる適切な運搬装置の補助が必要となる。

しかしながら、３つの全ての構成は、患者支持面を運搬可能なシステムにおいて、一般的に制限なしに使用され得る。この患者支持面の運搬とは、サポート・コラムに離脱可能（releasably）に接続される患者支持面を、手術台の一部である手段の補助により支持面運搬キャリジ上に移動させ得ること、または、運搬キャリジからサポート・コラム上に移動させ得ることを、それぞれを意味する。この目的のために、患者支持面運搬キャリジは、２つの垂直なサポート部材を有する。それら２つの垂直なサポート部材は、キャリヤに載せられ、かつそれら相互の距離は、患者支持面が運搬キャリジからサポート・コラム上に移動されるとき、あるいは逆のときに、それらサポート部材が、患者支持面の両側において、サポート・コラムに直接（directly）位置されるような距離である。このことは、手術台のベースにより妨げられることなく手術台のサポート・コラムが支持面運搬キャリジの支持脚の間にちょうど位置するように、支持面運搬キャリジを手術台まで移動させることを必要とする。

したがって、上述の構造の場合には、床の上に取り付けられたプレート、または床の上に立つプレートが、それぞれ非常に平坦なので、支持面運搬キャリジをサポート・コラムまで移動させても問題を引き起こさない。一方、ローラに載せられたベースを有する可動の手術台の場合には、問題が生じるだろう。Ｔ形のベースあるいはＨ形のベースが知られている。Ｔ形の構造の場合には、Ｔ形のベースの狭い端部の方から、支持面運搬キャリジをサポート・コラムまで移動させることができる。しかしながら、このタイプのベース構造は欠点を有する。Ｔ形のベースは、その狭い端部における単に１つのローラ、あるいは軸方向（axial direction）に互い密に隣接して位置する２つのローラを有している。その結果、床の上の手術台の支持点が、幾何学的に不利に配置される。さらに、その結果、安定性が危うくなる。特に、患者支持面がサポート・コラムと相対的に調節可能な場合にそうである。既知でありより高い安定性を供するＨ形の構造の場合には、支持面運搬キャリジをサポート・コラムまで移動させることができない。

本発明の目的は、一方では、高い安定性を有する手術台の可動性を可能にし、他方では、支持面運搬キャリジを用いた患者支持面の移動を可能にする、手術台用ベースを提供することである。

本発明によれば、この目的は、サポート・コラムと患者支持面とを備える手術台のための手術台用ベースであって、上記サポート・コラムを支えるために用いられると共にステアリング・ローラに載せられた少なくとも略矩形のプレート状のサポート・フレームを有し、上記サポート・フレームが、各角部に、堅固に接続された一つのローラ・ケーシングを有し、そのローラ・ケーシングの高さが、上記サポート・フレームの高さと少なくとも略等しく、それら各ローラ・ケーシング内に、一つのステアリング・ローラが配置され、そのステアリング・ローラは、上記ローラ・ケーシングから下方に突出した上記ステアリング・ローラが床に支持されて上記サポート・フレームおよび上記ローラ・ケーシングが上記床から一定の距離に保たれる伸長位置と、上記サポート・フレームおよび／または上記ローラ・ケーシングが上記床に置かれる格納位置とに、高さを調整可能であり、上記ステアリング・ローラが、上記ローラ・ケーシングに対し高さを調節可能かつ鉛直な軸まわりに回転可能なローラ・サポートに設けられ、上記ローラ・ケーシング内の上記ステアリング・ローラの上方に、上記ステアリング・ローラを上記伸長位置に位置させるべく上記ローラ・サポートを下方に押し、他方上記ステアリング・ローラを上記格納位置に位置させるべく上記ローラ・サポートを上方に押して上記ローラ・サポートの高さを調節する調整装置が設けられた手術台用ベースにおいて、上記ローラ・ケーシングがシリンダ形の形状を有すると共に鉛直なシリンダ軸を有し、上記ローラ・サポートが、上記ローラ・ケーシング内を上記シリンダ軸に沿って往復動可能なプレート状のローラ・プレートを備え、そのローラ・プレート上に、上記ステアリング・ローラを支持するためのベアリング・ブロックが設けられ、上記ローラ・プレートと上記調整装置との間に、上記ローラ・プレートを上記シリンダ軸まわりに回転可能に支持する転動体ベアリングが設けられ、上記ベアリング・ブロックが、上記ローラ・プレートにおける上記床と対向する面と反対側の面に設けられ、上記ステアリング・ローラが、上記ローラ・プレートの開口部を貫通して下方に突出することで解決される。

格納位置では、ローラ（ステアリング・ローラ）がローラ・ケーシング内に完全に没し、サポート・フレームおよびローラ・ケーシングを十分に平坦とすることができるので、その結果、始めに述べた不動または半可動の手術台に関し現在まで使用されている運搬キャリジを、サポート・コラムまで移動させることができる。しかし、同時に、可動でかつ他の補助手段なしに手術室を移動させることができる手術台が供される。

好適な実施形態において、調整装置は、ピストン−シリンダ装置として、シリンダ軸に沿って形成されたシリンダと、該シリンダに昇降可能に収容されたピストンとを有し、上記シリンダに供給された圧力により上記ピストンが下降するように有益に構成することができる。

本発明は、平坦で密閉されたローラ装置の構造を可能にし、従って、衛生上の高い要求を同様に満たす。

好ましくは、上記調整装置は、上記ローラ・ケーシングに上記シリンダ軸と同軸で堅固に挿入され、上記シリンダ軸に沿って形成された複数の圧力シリンダを有する圧力分配リングを備え、上記圧力シリンダが圧力分配リングおよび接続部材を介して圧力源に接続され、各圧力シリンダ内に、上記シリンダ軸と平行に移動可能な一つのピストンが配置され、上記圧力源から上記圧力シリンダに供給された圧力により、上記ピストンが上記転動体ベアリングを介して上記ローラ・サポートを下方に押圧するように構成される。

好ましくは、サポート・フレームが、サポート・コラムを受けるためのブリッジ状（bridge-like）の中間部と、ケーシングタイプ（casing-type）の二つの端部とを有し、サポート・フレームの自由な（未使用の）角（free corners）にローラ・ケーシングが設けられる。これにより、サポート・フレームの非常に平坦なデザインが達成される。端部を、例えば、圧力源あるいは他の供給手段を受けるために使用することができる。圧力源は、それ自体知られている方法で、フット・ペダルにより作動可能な液圧ポンプ（hydraulic pump）を備えることができる。

サポート・フレームのブリッジ状の中間部の幅とケーシングタイプの２つの端部の幅とは、有益なように、サポート・コラムの幅に各々およそ等しく、少なくとも広くない。その結果、サポート・コラムまでの運搬キャリジの移動が妨害されない。

本発明はさらに、上述したようなベースを有する手術台と関連する。

本発明による解決策（the inventive solution）の本質的な利点は、ステアリング・ローラ装置の全高が、ローラ自体の直径よりも、ほんのわずかに高いということである。所与の高さと共に、可動性に関する大きなローラの利点、ローラと床との間の接触ゾーンにおける表面圧および同種のものを、最適に用いることができる。

本発明の、更なる特徴および有利な点は、更なる従属クレームと、付属の図との関連において実施形態の参照とともに本発明を説明する以下の記述とにより得られる。

本発明によれば、手術台の可動性と高い安定性とを確保すると共に、支持面運搬キャリジを用いた患者支持面の移動を可能にするという優れた効果を発揮するものである。

図１は、手術台のサポート・コラムを図示する。そのサポート・コラムは概して１０で示され、概して１２で示されたベース（手術台用ベース）により支持される。サポート・コラム１０は、コラム・ヘッド１４を有し、コラム・ヘッド１４上には、患者支持面（図示せず）を置くことができる。患者支持面をコラム・ヘッド１４に接続するために、コラム・ヘッド１４は、コラムに設けられた２つの結合パーツ１６を有する。周知のように、それら結合パーツに、患者支持面に設けられた結合パーツが係合する。

図１および図２に示すように、ベース１２は、平坦な（フラットな）ケーシング形状に設計された二つの端部（end section）２２と、ブリッジ状（二つの端部２２、２２をつなぐ橋状）の中間部２０とを有するサポート・フレーム１８を、備える。図１と図２との間の比較から容易に理解することができるように、ブリッジ状の中間部２０の表面が、サポート・コラム１０の基部（base area）に対応する。ケーシングタイプの端部２２の各々は、カバー・プレート２４により頂部（on top）が閉じられる。

サポート・フレーム１８は、４つのステアリング・ローラ装置２６上に載せられる。それらステアリング・ローラ装置２６は、矩形のサポート・フレーム１８の４つの外側の自由な角（free corners）に設けられる。全てのステアリング・ローラ装置２６は同様の構造を有するので、１つの装置だけを以下に述べる。

図３に示すように、各ステアリング・ローラ装置２６は、フランジ３０によりサポート・フレーム１８に取り付けられるシリンダ形のローラ・ケーシング２８を有している。ストップ・リング３２が、開口した（open）シリンダ形のローラ・ケーシング２８の下端部に設けられる。このストップ・リング３２は、ローラ・サポート３４の移動に対する限界（ストッパ）として働く。本実施形態のローラ・サポート３４は、ローラ・プレート３４ａを備える。具体的には、ローラ・プレート３４ａは、円盤状（circular-disk-shaped）の形状を有する。ローラ・プレート３４ａの上面には、２つのベアリング・ブロック３６が配置される。それら２つのベアリング・ブロック３６は、軸４０により２つのローラ（ステアリング・ローラ）３８を取り付けるために働く。ベアリング・ブロック３６におけるベアリング・ボア４２の距離（位置）とローラ３８の直径とは、ローラ・プレート３４ａがストップ・リング３２上に載せられたときに、ローラ３８がローラ・プレート３４ａの開口部４４を通ってそれを超えて下方へ突出し、さらに、ローラ３８がローラ・ケーシング２８の下縁部４６を越えて下方へ突出するような、寸法に定められる（dimensioned）。

ねじ（図示せず）によりケーシング（ローラ・ケーシング）２８の壁に取り付けられる液圧（水圧、油圧など）リング（圧力分配リング）（hydraulic ring）４８が、ローラ・ケーシング２８の上端部に挿入される。ねじは、ケーシング２８の壁のボア５０を貫通して延び、さらに、液圧リング４８におけるねじが切られたボア５２と螺合する。液圧リング４８は、周方向に等間隔で配置されピストン５６を受けるための液圧シリンダ５４（圧力シリンダ）（点線で示す）を含む。以上の液圧リング４８、液圧シリンダ５４、およびピストン５６などにより調整装置が構成される。また、液圧シリンダ５４およびピストン５６などによりピストン−シリンダ装置が構成される。液圧リング４８内の導管（図示せず）と、接続部材（a connection）５８とを介して、液圧シリンダ５４が、圧力源に接続される。その圧力源は、図１中、サポート・フレーム１８の左側端部２２に配置される。圧力源は液圧（水圧、油圧など）ポンプを含み、その液圧ポンプはフット・ペダル６０により作動させることができる。

ピストン５６は、ボールベアリング（転動体ベアリング）６２を介してローラ・プレート３４ａに作用する。ボールベアリング６２は、ローラ・プレート３４ａがローラ・ケーシング２８の鉛直な（vertical）シリンダ軸まわりに自由に回転することを可能にする。ボールベアリング６２は、ケージ・リング６４を備える。そのケージ・リング６４は、ローラ・プレート３４ａの上面側のリング・トラック６８を走るボール（図示せず）を受けるためのボア６６を有する。ケージ・リング６４は、ピストン５６が加圧するボール・リング７０により覆われる。ローラ・ケーシング２８の頂部が、カバー７２により覆われる。

手術時には、通常、手術台が低くなり、ローラ・ケーシング２８と共にサポート・フレーム１８が床の上に平坦に置かれる。これにより手術台の安定性が高くなる。この位置において、ベース１２はわずかな高さを有しており、その結果、従来の支持面運搬キャリジの脚（あるいは、それらのアタッチメント）は、それぞれローラ・ケーシング２８上をスライドすることができる。これにより、支持面運搬キャリッジを、２つの側からサポート・コラム１０まで移動させることが可能となる。

手術台が、それ自身運搬される（つまり、例えば手術室内の別の位置に移動される）ときには、圧力がシリンダ５４に供給される。その結果、ピストン５６が伸長（突出）してローラ・プレート３４ａをストップ・リング３２に対して押しつける。その結果、ローラ３８が、ローラ・ケーシング２８から出現し、サポート・フレーム１８を床から持ち上げる。一度、（手術台が）新しい位置に到達すれば、シリンダ５４に対する圧力が除去され、ピストン５６が格納（retracted）される。ローラ・プレート３４ａは、ローラ・ケーシング２８および／またはサポート・フレーム１８が床の上に置かれるまで、手術台の重量により上方へ押される。

本発明に係る一実施形態によるベースの概略全体斜視図を示し、ベース上には手術台のサポート・コラムが配置される。 ベースのサポート・フレームの斜視図である。 ステアリング・ローラ装置の分解立体図である。

符号の説明

１０ サポート・コラム
１２ ベース
１８ サポート・フレーム
２８ ローラ・ケーシング
３６ ベアリング・ブロック
３８ ステアリング・ローラ

Claims (7)

1. サポート・コラム（１０）と患者支持面とを備える手術台のための手術台用ベースであって、
   上記サポート・コラム（１０）を支えるために用いられると共にステアリング・ローラ（３８）に載せられた少なくとも略矩形のプレート状のサポート・フレーム（１８）を有し、
   上記サポート・フレーム（１８）が、各角部に、堅固に接続された一つのローラ・ケーシング（２８）を有し、そのローラ・ケーシング（２８）の高さが、上記サポート・フレーム（１８）の高さと少なくとも略等しく、それら各ローラ・ケーシング（２８）内に、一つのステアリング・ローラ（３８）が配置され、そのステアリング・ローラ（３８）は、上記ローラ・ケーシング（２８）から下方に突出した上記ステアリング・ローラ（３８）が床に支持されて上記サポート・フレーム（１８）および上記ローラ・ケーシング（２８）が上記床から一定の距離に保たれる伸長位置と、上記サポート・フレーム（１８）および／または上記ローラ・ケーシング（２８）が上記床に置かれる格納位置とに、高さを調整可能であり、
   上記ステアリング・ローラ（３８）が、上記ローラ・ケーシング（２８）に対し高さを調節可能かつ鉛直な軸まわりに回転可能なローラ・サポート（３４）に設けられ、上記ローラ・ケーシング（２８）内の上記ステアリング・ローラ（３８）の上方に、上記ステアリング・ローラ（３８）を上記伸長位置に位置させるべく上記ローラ・サポート（３４）を下方に押し、他方上記ステアリング・ローラ（３８）を上記格納位置に位置させるべく上記ローラ・サポート（３４）を上方に押して上記ローラ・サポート（３４）の高さを調節する調整装置（４８、５４、５６）が設けられた手術台用ベースにおいて、
   上記ローラ・ケーシング（２８）がシリンダ形の形状を有すると共に鉛直なシリンダ軸を有し、
   上記ローラ・サポート（３４）が、上記ローラ・ケーシング（２８）内を上記シリンダ軸に沿って往復動可能なプレート状のローラ・プレート（３４ａ）を備え、そのローラ・プレート（３４ａ）上に、上記ステアリング・ローラ（３８）を支持するためのベアリング・ブロック（３６）が設けられ、上記ローラ・プレート（３４ａ）と上記調整装置（４８、５４、５６）との間に、上記ローラ・プレート（３４ａ）を上記シリンダ軸まわりに回転可能に支持する転動体ベアリング（６２）が設けられ、
   上記ベアリング・ブロック（３６）が、上記ローラ・プレート（３４ａ）における上記床と対向する面と反対側の面に設けられ、上記ステアリング・ローラ（３８）が、上記ローラ・プレート（３４ａ）の開口部（４４）を貫通して下方に突出することを特徴する手術台用ベース。
2. 上記調整装置は、少なくとも１つのピストン−シリンダ装置（５４、５６）を備え、該ピストン−シリンダ装置（５４、５６）は、上記シリンダ軸に沿って形成されたシリンダ（５４）と、該シリンダ（５４）に昇降可能に収容されたピストン（５６）とを有し、上記シリンダ（５４）に供給された圧力により上記ピストン（５６）が下降するように構成された請求項１記載の手術台用ベース。
3. 上記調整装置は、上記ローラ・ケーシング（２８）に上記シリンダ軸と同軸で堅固に挿入され、上記シリンダ軸に沿って形成された複数の圧力シリンダ（５４）を有する圧力分配リング（４８）を備え、
   上記圧力シリンダ（５４）が圧力分配リング（４８）および接続部材（５８）を介して圧力源に接続され、各圧力シリンダ（５４）内に、上記シリンダ軸と平行に移動可能な一つのピストン（５６）が配置され、
   上記圧力源から上記圧力シリンダ（５４）に供給された圧力により、上記ピストン（５６）が上記転動体ベアリング（６２）を介して上記ローラ・サポート（３４）を下方に押圧するように構成された請求項１または２記載の手術台用ベース。
4. 上記サポート・フレーム（１８）は、上記サポート・コラム（１０）を支えるためのブリッジ状の中間部（２０）と、ケーシングタイプの２つの端部（２２）とを有し、上記サポート・フレーム（１８）の角部に上記ローラ・ケーシング（２８）が設けられた請求項１から３いずれかに記載の手術台用ベース。
5. 上記圧力源が、上記ケーシングタイプの端部（２２）のうちの１つに配置された請求項４記載の手術台用ベース。
6. 上記サポート・フレーム（１８）の上記ブリッジ状の中間部（２０）の幅が上記サポート・コラム（１０）の幅に略等しく、かつ上記サポート・フレーム（１８）の上記ケーシングタイプの２つの端部（２２）の幅が、上記サポート・コラム（１０）の幅に略等しい請求項４または５記載の手術台用ベース。
7. 上記請求項１から６いずれかに記載の手術台用ベースと、その手術台用ベース上に支持されたサポート・コラム（１０）と、そのサポート・コラム（１０）に着脱自在な患者支持面とを備えたことを特徴とする手術台。

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