JP3994875B2 - 電子機器の角度調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポットライト等の照明機器、監視カメラ等の電子機器を、天井や壁面等に取付けるための角度調整装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の角度調整装置には、カメラを取付けるものとして、例えば、図5で示すように、壁面、天井への固定部7aと十字状にブラケット保持孔を有する固定部7bをもつ取付台アーム7と、この保持孔内で回転自在であって、かつ固定されるブラケット8と、カメラ取付アングル9と、カメラ固定ツマミ10と、カメラ取付角度調整ツマミ11と、ブラケット固定板12と、蝶ねじ13から構成されているものがある。
図示しないカメラをカメラ固定ツマミ10で固定したカメラ取付アングル9に、ブラケット8がカメラ取付角度調整ツマミ11で取付けられ、そのブラケット8を固定部7bのブラケット保持孔に挿通し、ブラケット8が、ブラケット固定板12を蝶ねじ13によって固定部7bのねじ穴に螺着することにより、固定部7bのブラケット保持孔に保持される取付台アーム7を、壁面や天井に取付けるものとなっている。
このような構成では、カメラ取付角度調整ツマミ11により、カメラをある角度に設定後、その状態で取付台アーム7を支点として、カメラ取付アングル9と取付台アーム7との間のブラケット8が回転し、カメラを水平方向に回転できる。(特許文献1参照)
【0003】
また、図6で示すように、小型のカメラを部屋の天井に固着する装置として、天井裏に配設する天井吊り金具14と、天井を挟持して天井吊り金具14に係止するベース金具15と、同ベース金具15の端部に立設してカメラ19を片持ち支持するカメラ支持部15aと、カメラ19に固着したカメラ固定金具16と、カメラ支持部15aにカメラ固定金具16を係着する係着部15b、15cから構成されているものがある。
ベース金具15を天井吊り金具14に係止するときは、天井吊り金具14に立てた2つのビス14a、14bの一方を透孔15dから遊貫し、ビス14a、14bをU字溝15eに貫入して、天井を挟持してビス14a、14bを天井吊り金具14にネジ止めする。天井吊り金具14とベース金具15で挟持する天井(図示せず)の部分には、2つのビス14a、14bを遊貫する直径を備えた円孔が開口されおり、カメラ19を天井に取り付けるときは、2つのビス14a、14bを弛めてカメラ19の方位を所定の方向としてネジ14a、14bを締めることで、カメラ19を任意の方位に設定することができる。
カメラ固定金具16の側部に2つのネジ孔16a、16bが設けられ、ネジ孔16a、16bに対応する個所のカメラ支持部15aに、1つの透孔15bとその透孔15bを中心とする円周上の略1/4を開口した1つの長孔15cが設けられている。
カメラ固定金具16に固定ネジ18で固着したカメラ19をカメラ支持部15aに係着させるときは、2つのビス17、17をそれぞれ透孔15bと長孔15cに貫入してカメラ固定金具16のネジ孔16a、16bに仮止めしてカメラ支持部15aの面方向に沿ってカメラ19の仰角を変化させて任意の位置に設定して、2つのビス17、17を締めて係着する。
このような構成と作用によって、方位と仰角を変化させてカメラ19の取付角度が設定される。(特許文献2参照)
【0004】
以上のような角度調整が可能な装置においては、組立部品が多く必要な構造となっていた。
ところで、このように、大きく角度調整を必要としないが、カメラを取付けた後に、天井面の取付場所のばらつきやカメラの光軸のばらつき等によって、取付け方向に若干のずれを生じている場合に、これを調整する必要があった。
そこで、このずれを調整する装置が提案されている。
図7で示すように、矩形状の金属板の左右両側を折曲してフランジを設け、このフランジ内に天井や壁面等に取付けるための取付部を備える取付板20と、矩形状の金属板の両側をコ字状になるように折曲され、折曲により形成された両側面以外の側面を取付板20に固定し、他の両側面には回転軸21aと角度調整孔21bを備える第一ブラケット21と、第一ブラケット21の内側に配置される十字状の金属端板からなり、対向する金属端板同士をコ字状になるように折曲し、一方の対向する金属端板は、第一ブラケット21の回転軸21aに対応する軸受と角度調整孔21bに対応する丸孔とを備え、回転軸21aを介して結合され、他方の対向する金属端板は、第一ブラケット21の回転軸21aに直交する回転軸22aと角度調整孔22bを備える第二ブラケット22と、第二ブラケット22の回転軸22aに対応する軸受と角度調整孔22bに対応する丸孔とを備えてなり、回転軸22aを介して結合される監視カメラ23と、第一ブラケット21と第二ブラケット22の各角度調整孔21b、22bに挿通され、角度調整を行なうための各固定用ネジ21c、22cとで構成されている。
このような構成において、図示しない監視カメラ23からの映像出力を、携帯した表示装置に表示して、監視カメラ23が所定方向に取付けられているかを確認し、取付け方向に若干のずれを生じている場合は、上記のように、監視カメラ23を回転軸21aを中心とする前後方向および、または回転軸22aを中心とする左右方向に固定用ネジ21c、22cにて調整を可能とし、ずれを補正して固定されるものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−41134号公報(第2頁、第6図)
【特許文献2】
特開2000−13038号公報(第2−3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7の角度調整が可能な装置では、図5や図6の角度調整が可能な装置に対し簡単な構成になるものの、組立て部品点数は変らず、カメラ本体を含めた専有スペースを依然として広くとるものであった。
このため、上記のような取付け方向のずれを調整するために、組立て部品を共通化してカメラを取付けた後の専有スペースをとらず、安価に構成したものが望まれていた。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、取付け方向のずれを調整するための組立て部品を共通化してカメラを取付けた後の専有スペースを小さくし、安価に構成することができる電子機器の角度調整装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、天井面に取付けられ、左右両側に挿通孔および第一ネジ孔を形成した取付ベース板と、この取付ベース板に水平に取付けられ、前記第一ネジ孔に対応する左右に延びる一対の第一調整用長孔を備えた第一調整板と、この第一調整板の一側端に連結手段を介して回動自在に連結され、下部中央に上下に延びる軸用の長孔と、この長孔に並行に、且つ同長孔の短手方向の長さよりも大きい、短手方向の長さを有する第二調整用長孔とを備えた第二調整板とから構成される一対の角度設定板と、この一対の角度設定板の前記第二調整板の間に挟着され、前記長孔に対応するネジ孔と、前記第二調整用長孔に対応する第二ネジ孔とを両側面に備えた電子機器とから構成され、前記電子機器を、前記角度設定板の各長孔にネジを挿通し、前記電子機器および前記取付ベース板の各ネジ孔に螺着することにより挟着した後、ネジを緩めて前記各長孔の可動範囲内で前記電子機器を傾動させ、ネジ止めの位置を変更することにより、前記電子機器の左右および、または前後方向の設定角度を調整可能としたことを特徴とするものである。
【0009】
このような構成においては、角度設定板が左右対称な共通部品として使用できるため、従来例の取付け方向のずれを調整するものに比べ、取付ベース板や電子機器とのネジ止めを迷わずに行なえ、安価に構成することができる。
また、角度設定板を夫々異なる構成部品とせずに左右対称に、取付ベース板に直接ネジ止めすることとしたので、従来例の調整装置と比べ、前後方向と左右方向を調整するための構成部品を、上下または交叉するように結合する必要がなく、電子機器を取付けた後の専有スペースをその分小型化することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、更に、組立ての手作業時に、電子機器に対する角度設定板の挟着方向を気に留めることなく、組立ての手間をかけないようにするために、前記長孔と並行に、且つ同長孔の両側に、前記第二調整用長孔を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態例を図面を用いて説明する。
図1は本発明による電子機器の角度調整装置の構成要素の分解斜視図を示すもので、図1において、1は取付ベース板、2は角度設定板、3は撮像素子を内蔵した監視カメラからなる電子機器である。
【0012】
取付ベース板1は、例えば、矩形状の金属板からなり、その金属板の左右両側を折曲してフランジを設け、フランジ内に一対の挿通孔1aを形成し天井に取付けられる取付部1bと、フランジ外に挿通孔1aと並行に一対の第一ネジ孔1cを形成した固定部1dとから構成されている。
【0013】
角度設定板2は、例えば、取付ベース板1と同様に、矩形状の2枚の金属板を回動自在に連結するヒンジ部からなる連結手段2fで連結したものからなり、一方の金属板が取付ベース板1に水平に取付けられ、他方の金属板が連結手段2fを介して回動自在に連結され、後述する電子機器3に取付けられる。
具体的には、取付ベース板1に水平に取付けられ、前記第一ネジ孔1cに対応する左右に延びる一対の第一調整用長孔2aを備えた第一調整板2bと、この第一調整板2bの一側端に連結手段2fを介して回動自在に連結され、下部中央に上下に延びる軸用の長孔2cと、この軸用の長孔2cに並行して左右両側に、軸用の長孔2cの短手方向の長さよりも大きい、短手方向の長さを有する第二調整用長孔2dとを備えた第二調整板2eとから構成され、この角度設定板2が、取付ベース板1に左右対称に配置される。
【0014】
電子機器3は、例えば、直方体状の箱体からなり、一対の角度設定板2の第二調整板2eの間に挟着され、軸用の長孔2cに対応するネジ孔3aと、第二調整用長孔2dに対応する第二ネジ孔3bとを両側面に形成した構成となっている。
これらのネジ孔3aと第二ネジ孔3bの開口位置は、電子機器3の上面が、取付ベース板1に対して所要の距離を備え、電子機器3の取付け方向のずれを調整可能な位置としている。
前記電子機器3を前記角度設定板2を介し前記取付ベース板1に取付けた後にネジを緩めて、前記第一調整用長孔2a、前記長孔2cおよび前記第二調整用長孔2dの可動範囲内で前記電子機器3を傾動させかつ前記連結手段2fの回動を利用してネジ止めの位置を変更することにより前記電子機器3の左右および、または前後方向のずれを調整可能としている。
【0015】
図2は本発明による電子機器の角度調整装置の天井取付時の状態を示すもので、(a)は図1の構成要素を組立てた斜視図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は(a)のB矢視図、(d)は(c)のC矢視図である。
【0016】
次に、本発明の実施形態例の作用を図1及び図2を併用して説明する。
電子機器3のネジ孔3a、第二ネジ孔3bに、第二調整板2eの軸用の長孔2cと第二調整用長孔2dを合わせて、第二調整板2eの軸用の長孔2cと第二調整用長孔2dからネジ4と第二調整ネジ5を挿通し螺合すると、電子機器3が両側面から2個の角度設定板2により挟持される。
【0017】
電子機器3を挟持した角度設定板2は、連結手段2fの回動により略90度に折曲させて第一調整板2bの第一調整用長孔2aを取付ベース板1の第一ネジ孔1cに合わせ、第一調整ネジ6を挿通しネジ止めすることによって、取付ベース板1に固定される。
【0018】
取付ベース板1は、取付部1bの挿通孔1aから図示しない固定手段を挿通し天井に固定される。
このように、上記の組立て手順によって、本発明の電子機器の角度調整装置が図2(a)の状態に組立てられる。図2(b)(c)(d)に示すように、電子機器3の監視方向が天井面に対して垂設した状態に組立てられる。
図2(b)に示すように、ネジ4と第二調整ネジ5を緩めて軸用の長孔2cと第二調整用長孔2d内を回動して、電子機器3をa方向に傾動させ、また、図2(c)に示すように、第一調整ネジ6を緩めて第一調整用長孔2a内を平行移動し、かつ、ネジ4と第二調整ネジ5を緩めて軸用の長孔2cと第二調整用長孔2d内を回動して、電子機器3をb方向に傾動させることにより、電子機器3の角度を調整することが可能である。
図2(b)、図2(c)に示される各ネジの機能は次の通りである。
ネジ4は、軸用の長孔2c内でその位置を可変できる中心軸として電子機器3を傾動すると共に、電子機器3を角度設定板2の第二調整板2eに固定するものである。
第二調整ネジ5は、電子機器3の前後方向と左右方向、つまりa方向とb方向の角度を調整するとともに、電子機器3を角度設定板2の第二調整板2eに固定するものである。
a方向の場合は、ネジ4を中心として、第二調整用長孔2d内で第二調整ネジ5の位置を可変することによって調整され、b方向の場合は、左側の角度設定板2の第二調整板2eの軸用の長孔2cおよび第二調整用長孔2dの長手方向と、右側の角度設定板2の第二調整板2eの軸用の長孔2cおよび第二調整用長孔2dの長手方向とを組合せた、範囲内でネジ4と第二調整ネジ5の位置を可変することによって調整されて、電子機器3を角度設定板2の第二調整板2eに固定するものである。
第一調整ネジ6は、第二調整ネジ5と共にb方向の角度を調整するために利用され、第一調整用長孔2a内で第一調整ネジ6の位置を可変することによって電子機器3を平行移動すると共に、角度設定板2の第一調整板2bを取付ベース板1に固定するものである。
更に、ネジ4、第二調整ネジ5および第一調整ネジ6は、平座金とバネ座金を備え螺着するものとし、電子機器3の取付け方向のずれを調整するため各ネジを緩めた場合に、電子機器3の位置が急に変化しないよう、角度設定板2と取付ベース板1との間、電子機器3と角度設定板2との間に摩擦力をもたせ、また、電子機器3、角度設定板2および取付ベース板1が固定された場合に、各ネジが緩んで電子機器3の固定位置が変化しないよう、緩み止めとして作用する。
このように、本発明の電子機器の角度調整装置においては、同一の角度設定板2を2つ使用しているため、従来例と比べて、組み立ての際の部品を共通化することができ、電子機器3を取付ベース板1と角度設定板2により取付けた状態から、角度設定板2の角度調整機能によって手作業による取付方向のずれの調整を集中して行なうことができる。
また、2つの方向の角度を調整する場合に、構成の異なる別部品とすることがないため、従来例の調整装置と比べ、前後方向と左右方向を調整するための構成部品を、上下または交叉するように結合させる専有スペースを設ける必要がなくなり、電子機器3を取付けた後の専有スペースをその分小型化することができる。
【0019】
図3は、図2の天井取付時の状態の一部分を示すもので、(a)は図2(d)の第一調整用長孔2a付近を示し、(b)は図2(b)の軸用の長孔2cと第二調整用長孔2d付近を示し、(c)は軸用の長孔2cと第二調整用長孔2dによる角度の可動範囲を示す概略図、図4は、本発明による電子機器の角度調整装置の電子機器3を斜めに傾けて固定した状態を示す側面図である。
【0020】
次に、本発明の実施形態例の角度を調整する場合の作用を図3及び図4を併用して説明する。
図3(a)のように、第一調整ネジ6が、第一調整用長孔2aに挿通され、取付ベース板1の第一ネジ孔1cにネジ止めされている状態を示すものである。
この状態から、第一調整ネジ6を、取付ベース板1の第一ネジ孔1cから抜け落ちないように緩めて、第一調整用長孔2aの長手方向に対して角度設定板2の第一調整板2bを可動させて連結手段2fの中心軸の位置が変更でき、取付けベース板1と角度設定板2の第一調整板2bと第一調整ネジ6の位置関係が変更されることとなる。
このとき、ネジ4、第二調整ネジ5も電子機器3のネジ孔3a、第二ネジ孔3bから抜け落ちないように緩めておき、軸用の長孔2c、第二調整用長孔2dの長手方向に対して角度設定板2の第二調整板2eを可動しておき、電子機器3の角度を図2(c)のb方向に調整することができる。
ここで、第二調整用長孔2dと同様に、軸用の孔を長孔としたことにより、b方向の調整を可能としている。
【0021】
図3(b)のように、電子機器3に固定される角度設定板2の第二調整板2eに備える第二調整用長孔2dの短手方向の長さLを、回動軸を兼ねた軸用の長孔2cの短手方向の長さMより大きくし、ネジ4と第二調整ネジ5は、この長さMに対し挿通可能な直径のネジ部を形成している。
これによって、ネジ4と第二調整ネジ5を緩めた状態で、第二調整用長孔2dの長手方向に対して回動軸を兼ねた軸用の長孔2cに仮止めされたネジ4を中心として、電子機器3の角度を図2(b)のa方向に調整することがきる。
ここで、図3(c)のように、例えば、第二調整用長孔2dの短手方向の真中に第二調整ネジ5のネジ部が位置するように、第二調整用長孔2dと軸用の長孔2cとの短手方向間隔が設けられた角度設定板2の第二調整板2eにおける、電子機器3の可動範囲を説明すると、ネジ4のネジ部が軸用の長孔2cの長手方向の真中に位置する場合、そのネジ4のネジ部の位置を中心とした、第二調整ネジ5のネジ部の、第二調整用長孔2dの長手方向の点線で示すネジ部のそれぞれの位置とネジ4のネジ部の位置を結ぶ角度Aが電子機器3の可動範囲となる。
また、ネジ4のネジ部が軸用の長孔2cの長手方向の上端に位置する場合、そのネジ4のネジ部の位置を中心とした、第二調整ネジ5のネジ部の、第二調整用長孔2dの長手方向の上端に当接する点線で示すネジ部の位置と上端と下端の間の点線で示すネジ部の位置とを結ぶ角度Bが可動範囲となる。
更に、ネジ4のネジ部が軸用の長孔2cの長手方向の下端に位置する場合は、ネジ4のネジ部の位置を中心とした、第二調整ネジ5のネジ部の、第二調整用長孔2dの長手方向の下端に当接する点線で示すネジ部の位置と上端と下端の間の点線で示すネジ部の位置とを結ぶ角度Cが可動範囲となる。
このように、電子機器3に固定される、角度設定板2の第二調整板2eに備える回動軸を兼ねた軸用の長孔2cとしたので、丸孔と比較して、第二調整用長孔2dとの連動によって、電子機器3の調整可動範囲を大きくできる。
更に、図3(b)のように、電子機器3に固定される角度設定板2の第二調整板2eに備える第二調整用長孔2dを、回動軸を兼ねた軸用の長孔2cを中心とする左右両側に2個所に設けた場合には、角度設定板2は、左右対称な構成部品とすることができるため、組立ての手作業時に、電子機器3に対する角度設定板2の取付方向を気に留める必要がなくなり、組み立ての手間をかけないようにすることができる。
【0022】
図4は、図2(c)のb方向に電子機器3の角度を変更させた場合の図3の説明の具体例である。
角度設定板2の軸用の長孔2cの長手方向の範囲内で、例えば、f方向から見た、左側の角度設定板2の第二調整板2eでは、軸用の長孔2cの上端でネジ4と第二調整ネジ5を固定し、g方向から見た、右側の角度設定板2の第二調整板2eでは、軸用の長孔2cの下端でネジ4と第二調整ネジ5を固定して左右方向の角度を左に傾けて取付けたものである。
この変更の際の角度設定板2の取付ベース板1上での位置変化は、図3(a)のとおり、第一調整板2bを第一調整用長孔2aにより可動させ調整することで、図2(c)のb方向の変更を実現している。
【0023】
前記実施形態例では、電子機器3を監視カメラとした場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、スピーカ、赤外線センサ等の検出装置、スポットライト等の照明機器、PDP(プラズマディスプレイパネル)やLCDパネル等の平面型表示装置等の角度の調整を必要とする電子機器とした場合についても利用することができる。
【0024】
前記実施形態例では、取付ベース板1の左右両側を折曲してフランジを設け、このフランジを境界に挿通孔1aを備える取付部1bと第一ネジ孔1cを備える固定部1dとから構成された場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、取付ベース板1にフランジを設けず、取付ベース板1の左右両側に並列に挿通孔1aと第一ネジ孔1cを設けた場合も利用することができる。
【0025】
前記実施形態例では、取付ベース板1と角度設定板2を矩形状の金属板とした場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、角度の調整を必要とする各種の電子機器に応じて矩形状の金属板でなくてもよく、例えば、半円状の金属板とした場合にも利用することができる。
【0026】
前記実施形態例では、電子機器3の大きさに対応した取付ベース板1、角度設定板2の大きさとした場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、取付ベース板1には、第一調整用長孔2aを複数組設けたり、角度設定板2には、電子機器3の両側面に、軸用の長孔2cと第二調整用長孔2dを複数組設けたりして、角度の調整を必要とする複数種の電子機器に対応してもよく、また、取付ベース板1と角度設定板2のセットを各種の電子機器に対応してもよく、適宜選択して利用することができる。
【0027】
前記実施形態例では、第二調整板2eにおいて、下部中央に軸用の長孔2cとこの軸用の長孔2cに並行に左右両側に第二調整用長孔2dを形成した場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、第二調整板2eの下部に垂直方向に並行に軸用の長孔2cと第二調整用長孔2dを一つだけ形成した場合も利用することができる。
【0028】
前記実施形態例では、角度調整装置の組立て手順が取付ベース板1を天井に固定することを最後とした場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、この逆の手順の場合も利用することができる。
【0029】
前記実施形態例では、取付ベース板1は天井に取付けられ、角度設定板2は取付ベース板1に水平に取付けられる場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、取付ベース板1が壁面、柱等に取付けられ、角度設定板2が取付けベース板1に垂直に取付けられる場合も利用することができる。
【0030】
前記実施形態例では、角度設定板2の第一調整板2bと第二調整板2eとをヒンジ部で連結する場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、第一調整板と第二調整板とを回動自在に連結する手段を利用することにより実施できる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、天井面に取付けられ、左右両側に挿通孔および第一ネジ孔を形成した取付ベース板と、この取付ベース板に水平に取付けられ、前記第一ネジ孔に対応する左右に延びる一対の第一調整用長孔を備えた第一調整板と、この第一調整板の一側端に連結手段を介して回動自在に連結され、下部中央に上下に延びる軸用の長孔と、この長孔に並行に、且つ同長孔の短手方向の長さよりも大きい、短手方向の長さを有する第二調整用長孔とを備えた第二調整板とから構成される一対の角度設定板と、この一対の角度設定板の前記第二調整板の間に挟着され、前記軸用の長孔に対応するネジ孔と、前記第二調整用長孔に対応する第二ネジ孔とを両側面に備えた電子機器とから構成され、前記電子機器を、前記角度設定板の各長孔にネジを挿通し、前記電子機器および前記取付ベース板の各ネジ孔に螺着することにより挟着した後、ネジを緩めて前記各長孔の可動範囲内で前記電子機器を傾動させ、ネジ止めの位置を変更することにより、前記電子機器の左右および、または前後方向の設定角度を調整可能としたことを特徴とする。
【0032】
このような構成においては、角度設定板が左右対称な共通部品として使用できるため、従来例の取付け方向のずれを調整するものに比べ、取付ベース板や電子機器とのネジ止めを迷わずに行なえ、安価に構成することができる。
また、角度設定板を夫々異なる構成部品とせずに左右対称に、取付ベース板に直接ネジ止めすることとしたので、従来例の調整装置と比べ、前後方向と左右方向を調整するための構成部品を、上下または交叉するように結合する必要がなく、電子機器を取付けた後の専有スペースをその分小型化することができる。
【0033】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記長孔と並行に、且つ同長孔の両側に、前記第二調整用長孔を備えたので、組立ての手作業時に、電子機器に対する角度設定板の挟着方向を気に留めることなく、組立ての手間をかけないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子機器の角度調整装置の構成要素の分解斜視図である。
【図2】本発明による電子機器の角度調整装置の天井取付時の状態を示すもので、(a)は図1の構成要素を組立てた斜視図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は(a)のB矢視図、(d)は(c)のC矢視図である。
【図3】図2の天井取付時の状態の一部分を示すもので、(a)は図2(d)の調整ネジ6付近を示し、(b)は図2(b)の軸用の長孔2cと第二調整用長孔2d付近を示し、(c)は軸用の長孔2cと第二調整用長孔2dによる可動範囲を示す概略図である。
【図4】本発明による電子機器の角度調整装置の電子機器を斜めに傾けて固定した状態を示す側面図である。
【図5】従来例1による電子機器の角度調整装置の構成要素の分解斜視図である。
【図6】他の従来例2による電子機器の角度調整装置の構成要素の分解斜視図である。
【図7】他の従来例3による電子機器の角度調整装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 取付ベース板
1a 挿通孔
1b 取付部
1c 第一ネジ孔
1d 固定部
2 角度設定板
2a 第一調整用長孔
2b 第一調整板
2c 長孔
2d 第二調整用長孔
2e 第二調整板
2f 連結手段
3 電子機器
3a ネジ孔
3b 第二ネジ孔
4 ネジ
5 第二調整ネジ
6 第一調整ネジ
Claims (2)
- 天井面に取付けられ、左右両側に挿通孔および第一ネジ孔を形成した取付ベース板と、この取付ベース板に水平に取付けられ、前記第一ネジ孔に対応する左右に延びる一対の第一調整用長孔を備えた第一調整板と、この第一調整板の一側端に連結手段を介して回動自在に連結され、下部中央に上下に延びる軸用の長孔と、この長孔に並行に、且つ同長孔の短手方向の長さよりも大きい、短手方向の長さを有する第二調整用長孔とを備えた第二調整板とから構成される一対の角度設定板と、この一対の角度設定板の前記第二調整板の間に挟着され、前記長孔に対応するネジ孔と、前記第二調整用長孔に対応する第二ネジ孔とを両側面に備えた電子機器とから構成され、前記電子機器を、前記角度設定板の各長孔にネジを挿通し、前記電子機器および前記取付ベース板の各ネジ孔に螺着することにより挟着した後、ネジを緩めて前記各長孔の可動範囲内で前記電子機器を傾動させ、ネジ止めの位置を変更することにより、前記電子機器の左右および、または前後方向の設定角度を調整可能としたことを特徴とする電子機器の角度調整装置。
- 前記長孔と並行に、且つ同長孔の両側に、前記第二調整用長孔を備えたことを特徴とする請求項1記載の電子機器の角度調整装置。
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