JP3994695B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、装置に異常が発生した際の異常内容やそのときの装置の運転状態などを含む異常来歴情報を保存する空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】
家電製品では、異常が発生した際にその異常内容やその時の装置の運転状態などを含む異常来歴情報をメモリに記憶しておき、回収後にどのような異常が発生したかを調査することが可能に構成される場合がある。異常来歴情報が格納されるメモリとしては、電気的な情報の書き換えが可能なEEPROMが用いられる。
【0003】
このようなEEPROMに格納された異常来歴情報を読み出して異常状態の調査を行うためには、電装品に給電する必要があるが、完全な製品状態で給電を開始しないと、給電を行った瞬間に新たな異常が発生し、新たに発生した異常来歴情報をEEPROMに書き込んでしまうおそれがある。
【0004】
EEPROMはコストが高いため、装置の価格を低く抑えるためには、搭載するEEPROMの容量を制限する必要があり、記憶できる異常来歴情報の個数も制限する必要がある。このため、回収した製品を検査するために給電を開始した際に、新たな異常が発生した場合、新たな異常来歴情報をEEPROMに上書きすることで、本来の異常来歴情報を消去してしまうおそれがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特に、セパレート型の空気調和機では、室内機側の電装品と室外機側の電装品が通信用の伝送線で接続されており、回収した空気調和機の調査を行う際にも室内機と室外機の伝送線による接続を含む装置の組立を完全に行わない限り、新たな異常を発生するおそれがある。したがって、異常来歴情報を読み出して調査を行う際に、製品を完全に組み立てる作業が必要であり、作業が煩雑になるとともに、調査のために組立部品を確保しておく必要があり、工数およびコストの削減が困難となる。
【0006】
本発明では、装置に異常が発生した際に、異常内容やその時の装置の運転状態などを含む異常来歴情報を保存し、新たに発生した異常によりこの異常来歴情報が消去されることを防止する空気調和機を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る空気調和機は、冷媒回路内を循環する冷媒と導入された空気との間で熱交換を行って熱交換後の調整空気を室内に供給する室内機と、この室内機に接続された室外機とを有する空気調和機であって、異常が発生した際の異常内容、その時の運転状態などを含む異常来歴情報を格納可能な異常来歴記憶手段と、異常が発生した際に、その異常内容、その時の運転状態などを含む異常来歴情報を取得し異常来歴記憶手段に格納する異常来歴書込手段と、室内機と室外機とが未接続の状態時に、異常来歴記憶手段に格納されている異常来歴情報が上書きされないように、異常来歴書込手段による異常来歴記憶手段への書き込みを禁止する上書き禁止手段とを備える。
【0008】
この場合、上書き禁止手段により、室内機と室外機とが未接続状態時の異常来歴記憶手段への書き込みを禁止することにより、新たな異常が発生しても、その前に記録されている異常来歴情報を消去することがなく、回収した製品の調査を行う際に製品の組立を行うことなく、容易に異常来歴情報を読み出すことが可能となる。従って、空気調和機に異常が発生した際に異常来歴記憶手段を含む一部を回収することで、空気調和機の異常来歴情報を解析することが可能となる。
【0009】
本発明の請求項2に係る空気調和機は請求項1に記載の空気調和機であって、異常来歴記憶手段がEEPROMで構成されている。
【0010】
この場合、異常来歴情報を格納する異常来歴記憶手段が、電気的に書き換え可能なEEPROMで構成されているため、空気調和機に異常が発生した際の異常内容の他、その時の運転状態などを確実に保存することができる。
【0011】
本発明の請求項3に係る空気調和機は、請求項1または2に記載の空気調和機であって、上書き禁止手段は、異常来歴記憶手段への書き込みを許可するイネーブル信号と書き込みを禁止するディセーブル信号とを異常来歴書込手段に選択的に入力する手段で構成されている。
【0012】
この場合、異常来歴記憶手段への書き込みを許可するイネーブル信号と書き込みを禁止するディセーブル信号とを異常来歴書込手段に選択的に入力する手段により、異常来歴記憶手段への書き込みの禁止を容易に設定することができる。
【0013】
本発明の請求項4に係る空気調和機は、請求項3に記載の空気調和機であって、異常来歴記憶手段への書き込みを許可するイネーブル信号と書き込みを禁止するディセーブル信号とを異常来歴書込手段に選択的に入力する手段は、スイッチまたはジャンパー線で構成されている。
【0014】
この場合、異常来歴記憶手段への書き込み禁止の設定が容易になる。
【0015】
本発明の請求項5に係る空気調和機は、請求項1〜4のいずれかに記載の空気調和機であって、異常来歴記憶手段、異常来歴書込手段及び上書き禁止手段が、着脱自在に取り付けられる電装品ボックス内に収納されている。
【0016】
この場合、電装品ボックスのみを回収して異常来歴情報を分析することができ、メンテナンス作業が簡単になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔空気調和機の外観〕
本発明の1実施形態が採用される空気調和機の外観を図1に示す。
【0018】
この空気調和機1は、室内の壁面などに取り付けられる室内機2と、室外に設置される室外機3と備えている。室外機3は、室外熱交換器や室外ファンなどを収納する室外空調ユニット5を備えている。
【0019】
室内機2内には室内熱交換器が収納され、室外機3内には室外熱交換器が収納されており、各熱交換器が冷媒配管6により接続されることにより冷媒回路を構成している。
【0020】
〔冷媒回路の概略構成〕
空気調和機1で用いられる冷媒回路の一例を、図2に示す。
【0021】
室内機2内には、室内熱交換器11が設けられている。この室内熱交換器11は、長さ方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管と、伝熱管が挿通される複数のフィンとからなり、接触する空気との間で熱交換を行う。
【0022】
また、室内機2内には、室内空気を吸い込んで室内熱交換器11との間で熱交換を行った後の空気を室内に排出するためのクロスフローファン12が設けられている。クロスフローファン12は、円筒形状に構成され、周面には回転軸方向に羽根が設けられているものであり、回転軸と交わる方向に空気流を生成する。このクロスフローファン12は、室内機2内に設けられるファンモータ13によって回転駆動される。
【0023】
室外空調ユニット5には、圧縮機21と、圧縮機21の吐出側に接続される四路切換弁22と、圧縮機21の吸入側に接続されるアキュムレータ23と、四路切換弁22に接続された室外熱交換器24と、室外熱交換器24に接続された電動膨張弁でなる減圧器25とが設けられている。減圧器25は、フィルタ26および液閉鎖弁27を介して現地配管31に接続されており、この現地配管31を介して室内熱交換器11の一端と接続される。また、四路切換弁22は、ガス閉鎖弁28を介して現地配管32に接続されており、この現地配管32を介して室内熱交換器11の他端と接続されている。この現地配管31,32は図1の冷媒配管6に相当する。
【0024】
室外空調ユニット5内には、室外熱交換器24での熱交換後の空気を外部に排出するためのプロペラファン29が設けられている。このプロペラファン29は、ファンモータ30によって回転駆動される。
【0025】
〔室外制御部〕
室外空調ユニット5内の制御ブロック図を図3に示す。
【0026】
室外空調ユニット5は、マイクロプロセッサで構成される室外制御部101を備えている。室外制御部101は、制御用プログラムや各種定数を格納するROM102、運転中の変数を一時的に格納するRAM103が接続されている。室外制御部101、ROM102およびRAM103をワンチップマイコンとして構成することも可能である。
【0027】
室外制御部101は、電気的にデータ書き換えが可能なEEPROM104が接続されている。このEEPROM104は、装置の運転状態に関する各種データが格納可能であり、特に、装置の異常が発生した際の異常内容、その時の装置の運転状態、環境情報などを含む異常来歴情報を格納することが可能となっている。EEPROM104内の異常来歴情報が格納される領域は、全領域の一部が割り当てられており、たとえば、2つの異常来歴情報を格納するための領域が確保される。
【0028】
また、室外制御部101には、EEPROM104への書き込みを許可または禁止するための上書規制部105が接続されている。この上書規制部105は、室外制御部101がEEPROM104に異常来歴情報を格納することを許可または禁止するものである。
【0029】
室外制御部101には、室内空調ユニット2内に設けられている室内制御部との間でデータの送受信を行うための通信部106が接続されている。
【0030】
室外制御部101には、さらに、外気温度を検出するための外気サーミスタ111、室外熱交換器24内の冷媒の蒸発温度または凝縮温度を検出する熱交サーミスタ112、圧縮機21の吐出管温度を検出する吐出管サーミスタ113、圧縮機21の吸入側圧力を検出する吸入側圧力センサ114、圧縮機21の圧力保護を行うための吐出側圧力保護スイッチ115などのセンサ類が接続され、各センサの検出信号が入力される。
【0031】
また、室外制御部101は、圧縮機21を駆動する圧縮機駆動部116、ファンモータ30を駆動するファンモータ駆動部117、四路切換弁22、電動弁25などが接続されており、各部に制御信号を供給することによって運転中の各部の制御を行うように構成されている。
【0032】
室外制御部101はROM102、RAM103、EEPROM104、上書規制部105などとともにプリント基板上に搭載されている。また、圧縮機駆動部116およびファンモータ駆動部117は、室外制御部101が搭載されるプリント基板と同一または異なる複数のプリント基板上に搭載されており、それぞれ図4に示すように、電装品ボックス121内に収納されている。
【0033】
電装品ボックス121内には、センサおよびスイッチ類用のコネクタ122、電動弁用コネクタ123、四路弁用コネクタ124、圧縮機用コネクタ125、サーミスタ用コネクタ126などを備えており、これらのコネクタを介して室外空調ユニット5内に配置されている各部と接続されている。また、電装品ボックス121内には、室内機2内の室内制御部と接続される通信用コネクタ128、電源受電用コネクタ128などを備えており、それぞれ室内機2と接続される。電装品ボックス121内に配置される各コネクタは、室外制御部101、圧縮機駆動部116、ファンモータ駆動部117などを搭載するプリント基板上にマウントすることも可能であり、また、電装品ボックス121の内壁に取り付けられ、ハーネスによりプリント基板上の端子に接続される構成とすることもできる。電装品ボックス121は、室外空調ユニット5内に着脱可能に取り付けられており、異常発生時にこの電装品ボックス121のみを回収して調査を行うことがS可能となっている。また、電装品ボックス121内の少なくともEEPROM104を搭載するプリント基板のみが回収な構成とすることもできる。
【0034】
上書規制部105は、たとえば、図5に示すように、5V電源電圧を所定の信号電圧に降下させる抵抗151と、抵抗151の出力端を接地するためのジャンパ線152とを備えている。抵抗151の出力端は、室外制御部101を構成するマイコン200のP64ポートに接続されている。
【0035】
【表1】
表1に示すように、通常の運転状態では、ジャンパ線152は短絡状態であり、マイコン200のP64ポートには5V電圧が印加されていない。したがって、マイコン200からEEPROM104への書き込みを許可するWRITE ENABLE状態となっている。
【0036】
ジャンパ線152をカットした場合には、マイコン200のP64ポートには5V電圧が印加されることとなり、マイコン200からEEPROM104への書き込みを禁止するWRITE DISABLE状態となっている。
【0037】
この上書規制部105のジャンパ線152に代えて、ディップスイッチなどのスイッチを設ける構成とすることも可能である。
【0038】
また、室内機2と室外機3の伝送線が正常に接続されている状態で、室内において指示信号を送信するためのリモコンを用いて、EEPROM104への書き込みを禁止する信号を送信するように構成することも可能である。
【0039】
〔異常来歴情報の読みだし〕
前述したような空気調和機において、故障やその他の異常が発生した場合に、センサおよびスイッチ類用のコネクタ122、電動弁用コネクタ123、四路弁用コネクタ124、圧縮機用コネクタ125、サーミスタ用コネクタ126、通信用コネクタ128、電源受電用コネクタ128などに接続されている配線を全て取り外し、電装品ボックス121のみを回収し、EEPROM104に格納されている異常来歴情報を読み出すことによって、原因調査を行うことが可能となる。
【0040】
この場合、上書き規制部105のジャンパ線152をカットするかあるいはスイッチを操作してWRITE DISABLE状態とし、EEPROM104内に格納されているデータを読み出すための読出装置に接続する。読出装置との接続には、通信部106またはその一部を用いることが可能であり、他の通信用インターフェイスを設けておくことも可能である。
【0041】
このような状態で、EEPROM104内に格納されているデータを読み出すために電装品ボックス内の回路部品に給電を開始した場合、室外制御部101に本来接続されているはずの外気サーミスタ111、熱交サーミスタ112、吐出管サーミスタ113、吸入側圧力センサ114、吐出側圧力保護スイッチ115などのセンサ類、圧縮機21、四路切換弁22、電動弁25などの被制御機器類、室内空調ユニット2内の室内制御部などが接続されておらず、室外制御部101は異常が発生したものと見なし、エラー処理を実行する。しかしながら、EEPROM104に対するWRITE DISABLE状態を設定しているため、EEPROM104内に格納されている異常来歴情報は保護される。したがって、実際に発生した異常内容を読出装置で読み出すことが可能となり、異常発生の原因を調査することが容易となる。
【0042】
本発明では、以上のように装置に異常が発生した場合、電装品のみを取り出して回収し、原因の調査を行うことが可能となり、回収作業が容易になる。また、上書き規制部105の制御によりEEPROM104内に格納された異常来歴情報が保護されるので、データ読み取りのために給電を開始する際に他の構成部品を組み付けて完全な状態とする必要がなくなり、作業が容易になる。
【0043】
〔他の実施形態〕
(A)室内空調ユニット2内に配置されている室内制御部についても、異常来歴情報を格納なEEPROMと、このEEPROMへのデータの書き込みを許可または禁止するための上書き規制部を設けることができる。この場合の上書き規制部についても、ジャンパ線やスイッチなどによりマイコンのEEPROM WRITE ENABLEを制御するように構成できる。
(B)装置の異常発生時に原因調査を行う際に、少なくともEEPROM104が搭載されているプリント基板のみを取り外して回収するように構成することも可能である。
また、空気調和機に限定されることなく、他の家電製品においても、本発明の構成を適用することが可能である。
【0044】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る空気調和機では、上書き禁止手段により、室内機と室外機とが未接続状態時の異常来歴記憶手段への書き込みを禁止することにより、新たな異常が発生しても、その前に記録されている異常来歴情報を消去することがなく、回収した製品の調査を行う際に製品の組立を行うことなく、容易に異常来歴情報を読み出すことが可能となる。従って、空気調和機に異常が発生した際に異常来歴記憶手段を含む一部を回収することで、空気調和機の異常来歴情報を解析することが可能となる。
【0045】
本発明の請求項2に係る空気調和機では、異常来歴情報を格納する異常来歴記憶手段が、電気的に書き換え可能なEEPROMで構成されているため、空気調和機に異常が発生した際の異常内容の他、その時の運転状態などを確実に保存することができる。
【0046】
本発明の請求項3に係る空気調和機では、異常来歴記憶手段への書き込みを許可するイネーブル信号と書き込みを禁止するディセーブル信号とを異常来歴書込手段に選択的に入力する手段により、異常来歴記憶手段への書き込みの禁止を容易に設定することができる。
【0047】
本発明の請求項4に係る空気調和機では、異常来歴記憶手段への書き込み禁止の設定が容易になる。
【0048】
本発明の請求項5に係る空気調和機では、電装品ボックスのみを回収して異常来歴情報を分析することができ、メンテナンス作業が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 空気調和機の外観構成を示す斜視図。
【図2】 冷媒回路の一例を示す説明図。
【図3】 室外空調ユニットの制御ブロック図。
【図4】 電装品ボックスの説明図。
【図5】 上書き規制部の説明用回路図。
【符号の説明】
101 室外制御部
104 EEPROM
105 上書き規制部
Claims (5)
- 冷媒回路内を循環する冷媒と導入された空気との間で熱交換を行って熱交換後の調整空気を室内に供給する室内機と、前記室内機に接続された室外機とを有する空気調和機であって、
異常が発生した際の異常内容、その時の運転状態などを含む異常来歴情報を格納可能な異常来歴記憶手段と、
異常が発生した際に、その異常内容、その時の運転状態などを含む異常来歴情報を取得し前記異常来歴記憶手段に格納する異常来歴書込手段と、
前記室内機と前記室外機とが未接続の状態時に、前記異常来歴記憶手段に格納されている前記異常来歴情報が上書きされないように、前記異常来歴書込手段による前記異常来歴記憶手段への書き込みを禁止する上書き禁止手段と、
を備える空気調和機。 - 前記異常来歴記憶手段はEEPROMである、請求項1に記載の空気調和機。
- 前記上書き禁止手段は、前記異常来歴記憶手段への書き込みを許可するイネーブル信号と書き込みを禁止するディセーブル信号とを前記異常来歴書込手段に選択的に入力する手段で構成される、請求項1または2に記載の空気調和機。
- 前記異常来歴記憶手段への書き込みを許可するイネーブル信号と書き込みを禁止するディセーブル信号とを前記異常来歴書込手段に選択的に入力する手段は、スイッチまたはジャンパー線で構成される、請求項3に記載の空気調和機。
- 前記異常来歴記憶手段、前記異常来歴書込手段及び前記上書き禁止手段は、着脱自在に取り付けられる電装品ボックス内に収納されている、請求項1〜4のいずれかに記載の空気調和機。
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