JP3994572B2 - 中間転写媒体の製造方法および中間転写媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタや複写機等に於いて、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に転写した後、中間転写媒体と記録材とを重ねた状態で加熱および加圧して、該記録材に対しトナー像の転写および定着を行う画像形成に用いる、所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し一定間隔で凸形状を有する中間転写媒体の製造方法および該製造方法で製造された中間転写媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から静電担持体上に形成されたトナー像を中間転写媒体上に転写した後、該中間転写媒体に記録材とを重ねた状態で、加熱および加圧する事により該中間転写媒体上のトナー像を前記記録材上に同時に転写する画像形成方式が知られている。
【0003】
この画像形成方式の場合、前記中間転写媒体に用いる材料が気温や湿度などの環境変動に対する電気抵抗等の物性値の変動が小さいため、静電潜像担持体上に形成したトナー像を記録材に直接転写した後に定着を行う画像形成方式に比べて安定した画像が得られるという利点がある。
【0004】
この画像形成方式においては、中間転写媒体上に転写されたトナー像を熱および圧力にて記録材上に転写・定着するため、該中間転写媒体の構造としては、機能分離の多層構造が一般的である。
【0005】
ベース層としては、耐熱性を有するシート部材としてニッケル、アルミ、ステンレスなどの金属シートや、PET、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドなどの樹脂フィルムなどが挙げられ、表面層は弾性、耐熱性、トナーとの離型性等に優れたものとしてシリコーンゴム、フッ素ゴム等が用いられる。
【0006】
静電担持体上に形成されたトナー像を中間転写媒体上に転写した後、該中間転写媒体に記録材とを重ねた状態で、加熱および加圧する事により該中間転写媒体上のトナー像を前記記録材上に同時に転写する画像形成方式の場合、転写定着部材を通過した後、トナーが固まるまで冷却してから中間転写媒体と記録材を剥離する。したがって画像部の表面は中間転写媒体の表面形状に習って形成され、画像の光沢度は中間転写媒体の表面状態によって決定される事から、所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御する必要がある。
【0007】
また、前記中間転写媒体の表面層としてゴムがコートされているので、感光体などの平滑な表面を有するものとの摩擦係数が高く、中間転写媒体を駆動する部材とのスリップや、この対策として駆動する部材の摩擦係数を高くして駆動力を上げていくと通常は機械精度等から駆動ロールと感光体から受ける力の方向が一致せず中間転写媒体が波打ち平面を保てなくなり、感光体表面のトナー画像を忠実に再現できず画像欠陥を発生させるという問題がある。
【0008】
この対策として、表面層であるゴム表面に凸形状を大きさや数量を目的の機能に合うように調整して規則的に配置して摩擦係数を任意に制御した中間転写体があるので、要求された数量と大きさの凸形状をゴム表面に規則的に配置した中間転写媒体を作製する必要が有る。
【0009】
さらに、この画像形成方式においては、中間転写媒体上に転写されたトナー像を熱および圧力にて記録材上に転写・定着するため、該中間転写媒体の大きさは最低でも基本となる用紙1枚分(297mm×210mm)、大きいもので用紙10枚程度の大きさ(297mm×2100mm)の平面が要求される事からこの大きさの円筒形状のベルトやシートが必要になる。
【0010】
よって要求されている中間転写媒体は、必要な大きさのベルトの表面層の必要範囲全域を所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し、表面層であるゴム表面に凸形状を規則的に配置したものである。
【0011】
従来の中間転写媒体表面を粗した凸形状を設ける方法としては、特開昭57−34562や特開昭59−202477のようにスプレー塗布においてシリコーンゴムやフッ素ゴムの粘度を変えたり、スプレーの吹き出し口の形状を変える事によって表面を粗す方法や、表面層となるシリコーンゴムやフッ素ゴムの中に金属粉、シリカバルーン、カーボンバルーン、ガラスビーズ等の粗面化充填剤を加えて固化する方法や、ベルト基材あるいはその上面に金属、ガラス、カーボン、ポリエステル等の樹脂、綿等の繊維からなるシートを用いてその上に凹凸が現れるようにシリコーンゴム等の液を塗布して固化する方法や、塗布あるいはゴムシートの焼き付けなどによってベルト基体上に転写層を設け、研磨、放電加工、ナトリウム処理等の後行程によって表面を粗面化する方法などがある。また中間転写媒体表面を粗したり凸形状を設ける他の方法として、凹形状をつけた金型を用いる方法も知られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
表面状態を制御したり表面に凸形状を設ける方法として、上記従来の特開昭57−34562においては、基材となる繊維や樹脂の表面の凸凹を利用する方法、表面層に粗面化充填材を加える方法、研磨などの後処理によって表面を粗らす方法、スプレー塗布の塗布条件を変えて粗さを変化させる方法などが述べられている。
【0013】
また上記従来の特開昭59−202477においては、、上述の方法で中間転写体を作製しているが、条件をねらって作製するのではなく、作製した中間転写体の表面形状を測定して条件に合う中間転写媒体を選び出している。したがってこれらの方法で表面の形状を任意かつ精確に制御する事は困難であるという問題があった。
【0014】
また従来の金型を使用して凸形状を作る方法では、必要な大きさの凹形状を有する金型を作製して成形すると、該中間転写媒体の大きさが297mm×2100mmで凸ピッチが約70μmの場合では、表面に約1200万個の凹形状をつける必要が有るので型作製の時間およびコストがかかるという問題があった。
【0015】
そこで金型面積を小さくして型加工費の低減を検討した場合、型面積が小さすぎると画像領域に型転写の接続部材が発生し画像欠陥を引き起こす。また最低限の大きさ(通常297mm×420mm)を検討しても表面に約2500万個の凹形状を必要とし型加工時間やコストの削減は難しい。しかも成形面積が大きくなると転写時にエアーなどを巻込み転写不良を引き起こすため画像欠陥の原因となる事から安定的に作製する事は難しい。よって従来の金型を用いる方法で表面の粗さを制御し凸形状を設ける事は困難であるという問題があった。
【0016】
したがって本発明は、該中間転写媒体の製造方法について、上記のような欠点に鑑み、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を中間転写媒体上に転写した後、中間転写媒体と記録材とを重ねた状態で加熱および加圧して該記録材に対しトナー像の転写および定着を行う画像形成に用いる、所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し一定間隔で凸形状を有する所望の大きさの中間転写媒体の製造方法を提供する事を目的とするものである。
【0017】
そこで上記目的を達成するために本発明者は、表面状態が制御され一定間隔の凸形状が形成されているとともに、静電担持体上に形成したトナー像が転写され記録材上に転写および定着する転写定着装置における中間転写媒体において、円筒状のベース層上に均一膜厚の弾性層を形成し、所望の画像光沢度を得るために一定間隔で凹形状を有する円筒状の型によって、表面状態を制御し、かつ、ベース層の表面層全域に一定間隔の凸形状を連続的に成形するという本発明の技術的思想に着眼し、更に研究開発を重ねた結果、所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し一定間隔で凸形状を有する所望の大きさの中間転写媒体の製造を可能にし、所望の画像光沢度を得るとともに、品質の高い画像を得ることを可能にするという目的を達成する本発明に到達した。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明(請求項1に記載)の中間転写媒体の製造方法は、
表面状態が制御され一定間隔の凹凸形状が形成されているとともに、静電担持体上に形成したトナー像が転写され記録材上に転写および定着する転写定着装置における中間転写媒体の製造方法において、
円筒状のベース層上に均一膜厚の弾性層を形成し、
所望の画像光沢度を得るために隣り会う凹凸形状が形成される一定間隔のピッチより短い径の円形凹形状が円周方向および幅方向の全域に一定間隔で形成されることにより外周表面全域に亘り一定間隔の凹凸形状が形成された円筒状の型の回転によって、その外周に沿って方向を変換して供給される間にベース層上の弾性層の表面状態を制御し、かつ、前記型の全域に亘り一定間隔で形成された円形凹形状に対応してピッチより短い径の円形凸形状を一定間隔で形成することにより全域に一定間隔の凹凸形状を連続的に成形し、
前記円筒状の型は、前記ベース層および前記弾性層を前記円筒状の型の外周に沿って供給する材料供給ロールと前記ベース層および成形された弾性層を供給する補助ロールとに挟み込まれるように配設される
ものである。
【0019】
本発明(請求項2に記載の第2発明)の中間転写媒体の製造方法は、
前記第1発明において、
熱硬化性エラストマーを用いる場合には、前記型を加熱しエラストマーを硬化させるために材料供給ロールが金型温度より低い温度でコントロールし、ヒーターを内蔵した前記型と前記補助ロールとにおいて加熱してエラストマーを硬化させるとともに、
熱可塑性エラストマーを用いる場合には、前記型を冷却することによりエラストマーを硬化させるために、前記材料供給ロールにおいてはエラストマーを可塑化させるために加熱し、前記ヒーターを内蔵した前記型と前記補助ロールとにおいては、前記型を冷却してエラストマーを硬化させる
ものである。
【0020】
【発明の作用および効果】
上記構成より成る本発明の中間転写媒体の製造方法は、前記転写定着装置における中間転写媒体の製造方法において、円筒状のベース層上に均一膜厚の弾性層を形成し、所望の画像光沢度を得るために隣り会う凹凸形状が形成される一定間隔のピッチより短い径の円形凹形状が円周方向および幅方向の全域に一定間隔で形成されることにより外周表面全域に亘り一定間隔の凹凸形状が形成された円筒状の型の回転によって、その外周に沿って方向を変換して供給される間にベース層上の弾性層の表面状態を制御し、かつ、前記型の全域に亘り一定間隔で形成された円形凹形状に対応してピッチより短い径の円形凸形状を一定間隔で形成することにより全域に一定間隔の凹凸形状を連続的に成形し、前記円筒状の型は、前記ベース層および前記弾性層を前記円筒状の型の外周に沿って供給する材料供給ロールと前記ベース層および成形された弾性層を供給する補助ロールとに挟み込まれるように配設されるので、所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し一定間隔で凹凸形状を有する所望の大きさの中間転写媒体の製造を可能にし、所望の画像光沢度を得るとともに、品質の高い画像を得ることを可能にするという効果を奏する。
【0021】
上記構成より成る第2発明の中間転写媒体の製造方法は、前記第1発明において、熱硬化性エラストマーを用いる場合には、前記型を加熱しエラストマーを硬化させるために材料供給ロールが金型温度より低い温度でコントロールし、ヒーターを内蔵した前記型と前記補助ロールとにおいて加熱してエラストマーを硬化させるとともに、
熱可塑性エラストマーを用いる場合には、前記型を冷却することによりエラストマーを硬化させるために、前記材料供給ロールにおいてはエラストマーを可塑化させるために加熱し、前記ヒーターを内蔵した前記型と前記補助ロールとにおいては、前記型を冷却してエラストマーを硬化させるので、前記弾性層として前記熱硬化性エラストマーまたは熱可塑性エラストマーを用いた中間転写媒体の製造を可能にするという効果を奏する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0023】
(実施形態)
第1実施形態の中間転写媒体の製造方法は、静電担持体上に形成したトナー像を中間転写媒体上に転写し、該トナー像が転写された中間転写媒体と記録材を加熱および加圧して該中間転写媒体上のトナー像を記録材上に転写および定着し、冷却後に前記中間転写媒体から前記記録材を剥離することにより前記記録材上に画像を形成する転写定着装置の、所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し、一定間隔で凸形状を有する中間転写媒体において、中間転写媒体の所定の大きさの円筒状のベース層上に未加硫のゴム層をドクターブレードで均一の膜厚に形成し、供給された弾性層を所望の画像光沢度を得るために一定間隔で凹形状を有する円筒状の型で、ベース層上の弾性層の表面状態を制御し、かつ、全域に連続的に加硫成形するものである。
【0024】
第2実施形態の中間転写媒体の製造方法は、前記第1実施形態において、ベース層が、金属や樹脂やセラミックのフィルム、ガラスやカーボンの繊維を用いたフィルムの単層あるいはこれらのいずれか2種類以上を複合化や複層化したエンドレスベルトまたは、各材料のシートを接合し円筒状としたベルトを用い、弾性層は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、液状のEPDM等のゴム及びゴム配合物等の熱硬化性エラストマーやスチレン系やオレフィン系やフッ素系などの熱可塑性エラストマーやその配合物を用いる構造を持つものである。
【0025】
第3実施形態の中間転写媒体の製造方法は、前記第2実施形態において、前記中間転写媒体のゴム層が、粘度1000Pa・s以下の付加型シリコーンゴムまたは液状のEPDMを無溶剤で供給するものである。
【0026】
第4実施形態の中間転写媒体の製造方法は、前記第2または第3実施形態において、前記中間転写媒体のベース層表面をブラスト処理や研削処理の表面加工、またはプラズマ処理やUV処理などの表面改質処理、または両方の処理を行うものである。
【0027】
第5実施形態の中間転写媒体の製造方法は、前記第2、第3または第4実施形態において、前記中間転写媒体のベース層とゴム層の間に接着層としてプライマー類を有するものである。
【0028】
第6実施形態の中間転写媒体は、前記第1実施形態の製造方法で製造されたものである。
第7実施形態の中間転写媒体は、前記第2実施形態の製造方法で製造されたものである。
第8実施形態の中間転写媒体は、前記第3実施形態の製造方法で製造されたものである。
第9実施形態の中間転写媒体は、前記第4実施形態の製造方法で製造されたものである。
第10実施形態の中間転写媒体は、前記第5実施形態の製造方法で製造されたものである。
【0029】
上述した実施形態における中間転写媒体の製造方法は、静電担持体上に形成したトナー像を中間転写媒体上に転写し、該トナー像が転写された中間転写媒体と記録材を加熱および加圧して該中間転写媒体上のトナー像を記録材上に転写および定着し、冷却後に前記中間転写媒体から前記記録材を剥離することにより前記記録材上に画像を形成する転写定着装置の表面に一定間隔で凹凸形状を有する中間転写媒体において、図1に示されるように中間転写媒体の所定の大きさの円筒状のベース層5上に未加硫のゴム層6をドクターブレード9で均一の膜厚に形成し、供給されたゴム層7を所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し、しかも任意の一定間隔で凹凸形状を有する円筒状の型1で、ベース層上の表面層であるゴム層全域に加硫成形するものである。
【0030】
前記中間転写媒体に用いられるベース層5は、耐熱性および機械的強度が要求され、ニッケルやアルミやステンレスなどの金属シートや、PETやポリエステルやポリイミドやポリアミドなどの樹脂フィルムやアルミナやシリカ等のセラミックのフィルムや、ガラスやカーボンの繊維を用いたフィルムの単層、あるいはこれらのいずれか2種類以上を複合化や複層化したエンドレスベルトまたは、各材料のシートを接合し円筒状とした柔軟性の有るベルトが用いられる。
【0031】
またベース層の樹脂などの材料中に、カーボンブラックや金属粉等の導電性粉体等を添加分散して体積抵抗率を制御したものも有る。
【0032】
またベース層の厚みは、材質によって異なるが、30μm〜200μm程度が好ましい。本実施形態の製造方法においては、ベース層の材質や厚みに関わらず、該中間転写媒体に使用される材料が柔軟性を持っていれば、該中間転写媒体の製造に利用可能である。
【0033】
前記中間転写媒体に用いられる弾性層としてのゴム層8は、弾性や耐熱性、トナーとの離型性が要求され、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素系樹脂が混練されたシリコーンゴムやフッ素ゴムやエチレンプロピレンゴム等があげられる。また状況によっては熱可塑性エラストマーでも可能である。シリコーンゴムとしては公知の1液性縮合重合型、2液性付加重合型、HTV型、LTV型、RTV型等でジメチル、1メチルフェニル、含フッ素系のシリコーンゴム等が用いられる。
【0034】
表面層であるゴム層の厚さは、約200μm以下が好ましいとされている。エチレンプロピレンゴムとしては液状のEPRや液状のEPDMが用いられる。材料硬度はJIS A10°〜80°が好ましいとされている。本実施形態の製造方法は、表面層の材質や厚みに関わらず該中間転写媒体の製造に対応可能である。
【0035】
ただし材料の粘度が高いと膜厚を均一に塗布する事が難しくなるので、溶剤等で希釈して製造する場合も有り得る。材料の粘度は、好ましくは1000Pa・s以下のものである。材料の粘度が1000Pa・s以下のものであれば無溶剤で供給し加硫成形する事が出来る。
【0036】
また硬化時間(加硫時間)は、要求品質を満足するゴム材料の加硫方式や加硫剤の種類や配合割合や製品の膜厚の影響で変化するので、一概に数値には表せないが、一般的に加硫時間は長いと加工時間が長くかかるので硬化時間の短い材料が好ましい。よってゴム材料としては付加重合型、HTV型、LTV型等のシリコーンゴムや液状のEPDMや液状のEPRが好ましいが、これらに必ずしも限定されるものではない。
【0037】
前記中間転写媒体に用いられるベース層と表面層は、接着強度が必要な事から、場合によってはベース層の表面をブラスト処理や研削処理の表面加工、またはプラズマ処理やUV処理などの表面改質処理、または両方の処理を行う事もある。さらに接着強度を上げるためにベース層とゴム層の間に接着層としてプライマー類を有する場合も有る。プライマーは、一般的に各種シランカップリング剤が用いられるが、ベース層の材質や表面処理の有無や、プライマーの有無に関わらず、前記中間転写媒体の製造に対応可能である。
【0038】
前記中間転写媒体に必要な大きさは、通常φ210mm〜φ2100mm〜φ4200mmとなっている。本実施形態の製造方法は、図1における奥行き方向が、要求製品の幅方向(たとえば今回の例では297mm)を満足するように製造装置を作れば、ベルトの大きさに関わらず前記中間転写媒体の製造に対応可能である。
【0039】
また本実施形態の金型は、静電担持体上に形成したトナー像を中間転写媒体上に転写し、該トナー像が転写された中間転写媒体と記録材を加熱および加圧して該中間転写媒体上のトナー像を記録上に転写および定着し、冷却後に前記中間転写媒体から前記記録材を剥離することにより前記記録材上に画像を形成する転写定着装置の、所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し、一定間隔で凹凸形状を有する中間転写媒体において、中間転写媒体の所定の大きさの円筒状のベース層上に未加硫のゴム層をドクターブレードで均一の膜厚に形成し、供給されたゴム層を所望の画像光沢度を得るために一定間隔で凹凸形状を有する円筒状の型で、ベース層上の表面層(ゴム層)の表面状態を制御し、かつ、全域に連続的に成形する中間転写媒体の製造方法に用いられる。
【0040】
図3および図4に示される図は、芯金または芯金上にコートされたコート層の表面状態を所望の画像光沢度を得るために制御した表面14を有し任意の一定間隔で凹形状13を有する円筒状の金型15である。
【0041】
本実施形態の製造金型をまとめると以下のようになる。
円筒状や円柱状やベルト状等の外周が連続面である任意の形状である。
芯金若しくは芯金上にコートされたコート層の表面又は芯金自体に任意の一定間隔で凹形状を有する。
芯金若しくは芯金上にコートされたコート層の表面又は芯金自体の表面状態を所望の画像光沢度を得るために面粗さをRaが0.01μmから1μmの任意の値に設定している。
【0042】
ベース層の材質や厚みに関わらず中間転写媒体に使用される柔軟性を持っていれば中間転写媒体の製造に対応可能である。
表面層の材質や厚みに関わらず対応可能である。
ベース層の表面処理の有無や、プライマーの有無に関わらず、前記中間転写媒体の製造に対応可能である。
【0043】
図1における奥行き方向が、要求製品の幅方向(たとえば今回の例では297mm)を満足するように図3および図4の表面制御および凹形状加工部分を作れば、ベルトの大きさに関わらず前記中間転写媒体の製造に対応可能である。
【0044】
【実施例】
以下本発明の実施例の中間転写媒体の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
【0045】
本実施例の中間転写媒体の製造方法は、静電担持体上に形成したトナー像を中間転写媒体上に転写し、該トナー像が転写された中間転写媒体と記録材を加熱および加圧して該中間転写媒体上のトナー像を記録材上に転写および定着し、冷却後に前記中間転写媒体から前記記録材を剥離することにより前記記録材上に画像を形成する転写定着装置の表面に一定間隔で凹凸形状を有する中間転写媒体において、中間転写媒体の所定の大きさの円筒状のベース層上に未加硫の液状ゴム層をドクターブレードで均一の膜厚に形成し、供給されたゴム層を所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し、しかも一定間隔で凹凸形状を有する型で加硫成形することで、ベース層上の表面層(ゴム層)全域の表面状態を制御し、かつ、一定間隔で凹凸形状を形成するものである。
【0046】
(第1実施例)
本第1実施例の中間転写媒体の製造方法は、図1の概略図に示される中間転写媒体の製造装置を用いるもので、ゴム層7の厚さを規制するドクターブレード9に対向して配設されベース層5およびゴム層7を供給する材料供給ロール2に対して一定距離隔てて前記ベース層5および成形されたゴム8を供給する第1の補助ロール3が配設されている。
【0047】
前記材料供給ロール2と第1の補助ロール3との下方にベース層5にテンションをかけるための第2の補助ロール4が配設され、前記材料供給ロール2と第1の補助ロール3との間にヒーター10を内蔵した金型1が配設されている。
【0048】
すなわち、前記金型1は、図1から明らかなように前記材料供給ロール2と第1の補助ロール3とに挟み込まれるように配設され、供給された前記ベース層5およびゴム層7の方向を前記金型1の外周に沿って180度方向を変換して供給される間に、供給されたゴム層7をヒーター10による加熱により加硫成形するように構成されている。
【0049】
前記金型1は、図3に示されるようにφ20mmのアルミ製芯金15の表面に約20μmのコート層12であるポリイミドをコートし、表面14をブラスト処理によりRzを0.3μmに加工し、その後コート表面14に外径30μm、深さ10μm、ピッチ130μmで巾400mの範囲に合計約140万個の凹形状13をエキシマレーザ加工により加工し、中間転写媒体製造金型を作成した。
【0050】
前記中間転写媒体は、周長1000mm×幅350mm×厚さ50μmの大きさの円筒状のニッケル製のベース層5上に未加硫の液状EPDM6をドクターブレード9で50μmの膜厚の未加硫のゴム層7を形成する。
【0051】
供給された前記ゴム層7を、所望の画像光沢度を得るために一定間隔の凹凸形状を有する型1によって、ベース層5上の表面層であるゴム層の表面状態を制御し、かつ、全域に加硫成形して一定間隔の凹凸形状を形成するものである。
【0052】
この時の金型1は、外径φ20mmで表面に外径30μm、深さ10μm、ピッチ130μmで合計約140万個の凹形状があり、凹部材以外の平面部分はRa0.1μmに加工されている物を用いた。
【0053】
加硫条件は、150℃で前記金型1と前記ゴム層7が接している時間を2分間になるように、金型1内に設置した前記ヒーター10によって加熱し、前記金型1を回転させるものである。また、前記ベース層5のニッケルと前記ゴム層7のゴムの接着力を得るために、ニッケル表面にケムロック社製のプライマーを塗布した。
【0054】
この結果ニッケル製のベース層5の表面層全域に、外径30μm、深さ9μm、ピッチ130μmで合計約1000万個の凸形状が形成され、凸部以外の平面部分は、Ra0.1μmに加工されたニッケルの前記ベース層5との接着性の良いゴム層7が製造できた。
【0055】
(第2実施例)
本第2実施例の中間転写媒体の製造方法は、前記第1実施例と同一の図1に示される製造装置を用いるが、別の材料を用いて中間転写媒体を製造するものである。
【0056】
前記金型1は、図4に示されるようにφ20mmのSKH製芯金15の表面14を研磨処理によりRzを0.1μmに加工し、その後コート表面14に外径20μm、深さ5μm、ピッチ70μmで巾420mmの範囲に合計約540万個の凹形状13をエッチング処理により加工し中間転写媒体製造金型を作成した。
【0057】
前記中間転写媒体は、周長2000mm×幅420mm×厚さ75μmの大きさの円筒状のカーボンを、分散したポリイミド製のベース層5上に未加硫の付加型シリコーンゴム6をドクターブレード9で40μmの膜厚のゴム層7を形成する。
【0058】
供給された前記ゴム層7を所望の画像光沢度を得るために一定間隔で凹形状を有する型1によって、前記ベース層5上の表面層(ゴム層)の表面状態を制御し、かつ、全域に加硫成形するものである。
【0059】
この時の金型1は、外径φ20mmで表面に外径20μm、深さ5μm、ピッチ70μmで合計約500万個の凹形状があり凹部以外の平面部分はRa0.3μmに加工されている物を用いた。
【0060】
加硫条件は、130℃で前記金型1と前記ゴム層7が接している時間を1分間になるように金型1内に設置したヒーター10を加熱し、前記金型1を回転させるものである。また、前記ベース層5のポリイミドとゴムの接着力を得るためにポリイミド表面をUV照射し表面を改質した上に、シランカップリング剤を処理したものを用いた。
【0061】
この結果ポリイミド製のベース層5上の表面層(ゴム層)全域に、外径30μm、深さ4.5μm、ピッチ70μmで合計約1億7000万個の凸形状が形成され、凸部以外の平面部分はRa0.3μmに加工されたゴム層7が製造できた。
【0062】
(第3実施例)
本第3実施例の中間転写媒体の製造方法は、図2および図3に示される製造装置を用いるものであって、基本的には図1に示される製造装置と同一の機構であるが、前記材料供給ロール2と前記金型1との間にベース層5およびゴム層7を供給する第3の補助ロール11を追加する点が相違点である。
【0063】
図1に示される第1実施例においては、通常のゴムである熱硬化性エラストマーを用いる場合で、金型を加熱しエラストマーを硬化させるために前記材料供給ロール2は金型温度より低い温度でコントロールするとともに、第1の補助ロール3と前記ヒーター10を内蔵した金型1においては加熱してエラストマーを硬化させるのに対して、図5に示される第3実施例においては、熱可塑性エラストマーを用いる場合で、金型を冷却することによりエラストマーを硬化させるために前記材料供給ロール2においてはエラストマーを可塑化させるために加熱するとともに、第1の補助ロール3と前記ヒーター10を内蔵した金型1においては冷却してエラストマーを硬化させる点が相違点である。
【0064】
加工方法および加工装置は、上述の実施例同様であり、上述したように温度コントロールのみ相違するものであるため、本第3実施例の方式においても前記第1実施例や第2実施例において行った成形を行ってみたところ、同様の成形品を得る事が出来た。
【0065】
上述の実施例の中間転写媒体の製造方法は、静電担持体上に形成したトナー像を中間転写媒体上に転写し、該トナー像が転写された中間転写媒体と記録材を加熱および加圧して該中間転写媒体上のトナー像を記録材上に転写および定着し、冷却後に前記中間転写媒体から前記記録材を剥離することにより前記記録材上に画像を形成する転写定着装置の中間転写媒体において、前記ベース層5上の表面層(ゴム層)7全域に所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し一定間隔で凸形状を有するゴムの表面層を備えた成形されたゴム8を製造する事が出来るという効果を奏する。
【0066】
また本実施例の製造方法で製造された表面状態を制御し凸形状を規則的に配置し感光体などの平滑な表面を有するものとの摩擦係数を任意に制御した中間転写媒体により、所望の画像光沢度を得て、中間転写媒体を駆動する部材とのスリップや中間転写媒体の波打ちにより感光体表面のトナー画像を忠実に再現できず発生する画像欠陥を阻止するため、中間転写媒体により品質の高い画像を得る事が出来るという効果を奏する。
【0067】
上述の実施形態は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態および第1および第2実施例における中間転写媒体の製造装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第3実施例における中間転写媒体の製造装置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態および第1実施例における中間転写媒体の製造金型を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態および第2実施例における中間転写媒体の製造金型を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3実施例における中間転写媒体の製造装置を示す断面図である。
【符号の説明】
5 ベース層
6、7 ゴム層
8 成形されたゴム
9 ドクターブレード
Claims (2)
- 表面状態が制御され一定間隔の凹凸形状が形成されているとともに、静電担持体上に形成したトナー像が転写され記録材上に転写および定着する転写定着装置における中間転写媒体の製造方法において、
円筒状のベース層上に均一膜厚の弾性層を形成し、
所望の画像光沢度を得るために隣り会う凹凸形状が形成される一定間隔のピッチより短い径の円形凹形状が円周方向および幅方向の全域に一定間隔で形成されることにより外周表面全域に亘り一定間隔の凹凸形状が形成された円筒状の型の回転によって、その外周に沿って方向を変換して供給される間にベース層上の弾性層の表面状態を制御し、かつ、前記型の全域に亘り一定間隔で形成された円形凹形状に対応してピッチより短い径の円形凸形状を一定間隔で形成することにより全域に一定間隔の凹凸形状を連続的に成形し、
前記円筒状の型は、前記ベース層および前記弾性層を前記円筒状の型の外周に沿って供給する材料供給ロールと前記ベース層および成形された弾性層を供給する補助ロールとに挟み込まれるように配設される
ことを特徴とする中間転写媒体の製造方法。 - 請求項1において、
熱硬化性エラストマーを用いる場合には、前記型を加熱しエラストマーを硬化させるために材料供給ロールが金型温度より低い温度でコントロールし、ヒーターを内蔵した前記型と前記補助ロールとにおいて加熱してエラストマーを硬化させるとともに、
熱可塑性エラストマーを用いる場合には、前記型を冷却することによりエラストマーを硬化させるために、前記材料供給ロールにおいてはエラストマーを可塑化させるために加熱し、前記ヒーターを内蔵した前記型と前記補助ロールとにおいては、前記型を冷却してエラストマーを硬化させる
ことを特徴とする中間転写媒体の製造方法。
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