JP2000315019A - 中間転写媒体の製造方法および中間転写媒体 - Google Patents

中間転写媒体の製造方法および中間転写媒体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の画像光沢度を得るために表面状態を制
御し一定間隔で凸形状を有する所望の大きさの中間転写
媒体の製造を可能にし、所望の画像光沢度を得るととも
に、品質の高い画像を得ることを可能にすること。 【解決手段】 中間転写媒体の所定の大きさの円筒状の
ベース層5上に未加硫のゴム層6をドクターブレード9
で均一の膜厚に形成し、供給されたゴム層7を所望の画
像光沢度を得るために表面状態を制御し、しかも任意の
一定間隔で凹形状を有する円筒状の型1で、ベース層上
の表面層であるゴム層全域に加硫成形する中間転写媒体
の製造方法および中間転写媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタや複写機
等に於いて、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を
中間転写体上に転写した後、中間転写媒体と記録材とを
重ねた状態で加熱および加圧して、該記録材に対しトナ
ー像の転写および定着を行う画像形成に用いる、所望の
画像光沢度を得るために表面状態を制御し一定間隔で凸
形状を有する中間転写媒体の製造方法および該製造方法
で製造された中間転写媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から静電担持体上に形成されたトナ
ー像を中間転写媒体上に転写した後、該中間転写媒体に
記録材とを重ねた状態で、加熱および加圧する事により
該中間転写媒体上のトナー像を前記記録材上に同時に転
写する画像形成方式が知られている。
【0003】この画像形成方式の場合、前記中間転写媒
体に用いる材料が気温や湿度などの環境変動に対する電
気抵抗等の物性値の変動が小さいため、静電潜像担持体
上に形成したトナー像を記録材に直接転写した後に定着
を行う画像形成方式に比べて安定した画像が得られると
いう利点がある。
【0004】この画像形成方式においては、中間転写媒
体上に転写されたトナー像を熱および圧力にて記録材上
に転写・定着するため、該中間転写媒体の構造として
は、機能分離の多層構造が一般的である。
【0005】ベース層としては、耐熱性を有するシート
部材としてニッケル、アルミ、ステンレスなどの金属シ
ートや、PET、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミ
ドなどの樹脂フィルムなどが挙げられ、表面層は弾性、
耐熱性、トナーとの離型性等に優れたものとしてシリコ
ーンゴム、フッ素ゴム等が用いられる。
【0006】静電担持体上に形成されたトナー像を中間
転写媒体上に転写した後、該中間転写媒体に記録材とを
重ねた状態で、加熱および加圧する事により該中間転写
媒体上のトナー像を前記記録材上に同時に転写する画像
形成方式の場合、転写定着部材を通過した後、トナーが
固まるまで冷却してから中間転写媒体と記録材を剥離す
る。したがって画像部の表面は中間転写媒体の表面形状
に習って形成され、画像の光沢度は中間転写媒体の表面
状態によって決定される事から、所望の画像光沢度を得
るために表面状態を制御する必要がある。
【0007】また、前記中間転写媒体の表面層としてゴ
ムがコートされているので、感光体などの平滑な表面を
有するものとの摩擦係数が高く、中間転写媒体を駆動す
る部材とのスリップや、この対策として駆動する部材の
摩擦係数を高くして駆動力を上げていくと通常は機械精
度等から駆動ロールと感光体から受ける力の方向が一致
せず中間転写媒体が波打ち平面を保てなくなり、感光体
表面のトナー画像を忠実に再現できず画像欠陥を発生さ
せるという問題がある。
【0008】この対策として、表面層であるゴム表面に
凸形状を大きさや数量を目的の機能に合うように調整し
て規則的に配置して摩擦係数を任意に制御した中間転写
体があるので、要求された数量と大きさの凸形状をゴム
表面に規則的に配置した中間転写媒体を作製する必要が
有る。
【0009】さらに、この画像形成方式においては、中
間転写媒体上に転写されたトナー像を熱および圧力にて
記録材上に転写・定着するため、該中間転写媒体の大き
さは最低でも基本となる用紙1枚分(297mm×21
0mm)、大きいもので用紙10枚程度の大きさ(29
7mm×2100mm)の平面が要求される事からこの
大きさの円筒形状のベルトやシートが必要になる。
【0010】よって要求されている中間転写媒体は、必
要な大きさのベルトの表面層の必要範囲全域を所望の画
像光沢度を得るために表面状態を制御し、表面層である
ゴム表面に凸形状を規則的に配置したものである。
【0011】従来の中間転写媒体表面を粗した凸形状を
設ける方法としては、特開昭57−34562や特開昭
59−202477のようにスプレー塗布においてシリ
コーンゴムやフッ素ゴムの粘度を変えたり、スプレーの
吹き出し口の形状を変える事によって表面を粗す方法
や、表面層となるシリコーンゴムやフッ素ゴムの中に金
属粉、シリカバルーン、カーボンバルーン、ガラスビー
ズ等の粗面化充填剤を加えて固化する方法や、ベルト基
材あるいはその上面に金属、ガラス、カーボン、ポリエ
ステル等の樹脂、綿等の繊維からなるシートを用いてそ
の上に凹凸が現れるようにシリコーンゴム等の液を塗布
して固化する方法や、塗布あるいはゴムシートの焼き付
けなどによってベルト基体上に転写層を設け、研磨、放
電加工、ナトリウム処理等の後行程によって表面を粗面
化する方法などがある。また中間転写媒体表面を粗した
り凸形状を設ける他の方法として、凹形状をつけた金型
を用いる方法も知られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】表面状態を制御したり
表面に凸形状を設ける方法として、上記従来の特開昭5
7−34562においては、基材となる繊維や樹脂の表
面の凸凹を利用する方法、表面層に粗面化充填材を加え
る方法、研磨などの後処理によって表面を粗らす方法、
スプレー塗布の塗布条件を変えて粗さを変化させる方法
などが述べられている。
【0013】また上記従来の特開昭59−202477
においては、、上述の方法で中間転写体を作製している
が、条件をねらって作製するのではなく、作製した中間
転写体の表面形状を測定して条件に合う中間転写媒体を
選び出している。したがってこれらの方法で表面の形状
を任意かつ精確に制御する事は困難であるという問題が
あった。
【0014】また従来の金型を使用して凸形状を作る方
法では、必要な大きさの凹形状を有する金型を作製して
成形すると、該中間転写媒体の大きさが297mm×2
100mmで凸ピッチが約70μmの場合では、表面に
約1200万個の凹形状をつける必要が有るので型作製
の時間およびコストがかかるという問題があった。
【0015】そこで金型面積を小さくして型加工費の低
減を検討した場合、型面積が小さすぎると画像領域に型
転写の接続部材が発生し画像欠陥を引き起こす。また最
低限の大きさ(通常297mm×420mm)を検討し
ても表面に約2500万個の凹形状を必要とし型加工時
間やコストの削減は難しい。しかも成形面積が大きくな
ると転写時にエアーなどを巻込み転写不良を引き起こす
ため画像欠陥の原因となる事から安定的に作製する事は
難しい。よって従来の金型を用いる方法で表面の粗さを
制御し凸形状を設ける事は困難であるという問題があっ
た。
【0016】したがって本発明は、該中間転写媒体の製
造方法について、上記のような欠点に鑑み、静電潜像担
持体上に形成されたトナー像を中間転写媒体上に転写し
た後、中間転写媒体と記録材とを重ねた状態で加熱およ
び加圧して該記録材に対しトナー像の転写および定着を
行う画像形成に用いる、所望の画像光沢度を得るために
表面状態を制御し一定間隔で凸形状を有する所望の大き
さの中間転写媒体の製造方法を提供する事を目的とする
ものである。
【0017】そこで上記目的を達成するために本発明者
は、表面状態が制御され一定間隔の凸形状が形成されて
いるとともに、静電担持体上に形成したトナー像が転写
され記録材上に転写および定着する転写定着装置におけ
る中間転写媒体において、円筒状のベース層上に均一膜
厚の弾性層を形成し、所望の画像光沢度を得るために一
定間隔で凹形状を有する円筒状の型によって、表面状態
を制御し、かつ、ベース層の表面層全域に一定間隔の凸
形状を連続的に成形するという本発明の技術的思想に着
眼し、更に研究開発を重ねた結果、所望の画像光沢度を
得るために表面状態を制御し一定間隔で凸形状を有する
所望の大きさの中間転写媒体の製造を可能にし、所望の
画像光沢度を得るとともに、品質の高い画像を得ること
を可能にするという目的を達成する本発明に到達した。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明(請求項1に記載
の第1発明)の中間転写媒体の製造方法は、表面状態が
制御され一定間隔の凹凸形状が形成されているととも
に、静電担持体上に形成したトナー像が転写され記録材
上に転写および定着する転写定着装置における中間転写
媒体において、円筒状のベース層上に均一膜厚の弾性層
を形成し、所望の画像光沢度を得るために一定間隔で凹
凸形状を有する円筒状の型によって、表面状態を制御
し、かつ、ベース層上の弾性層全域に一定間隔の凹凸形
状を連続的に成形するものである。
【0019】本発明(請求項2に記載の第2発明)の中
間転写媒体は、表面状態が制御され一定間隔の凹凸形状
が形成されているとともに、静電担持体上に形成したト
ナー像が転写され記録材上に転写および定着する転写定
着装置における中間転写媒体において、円筒状のベース
層上に均一膜厚の弾性層を形成し、所望の画像光沢度を
得るために一定間隔で凹凸形状を有する円筒状の型によ
って、ベース層上の弾性層の表面状態を制御し、かつ、
全域に一定間隔の凹凸形状を連続的に成形することによ
り製造されるものである。
【0020】
【発明の作用および効果】上記構成より成る第1発明の
中間転写媒体の製造方法は、前記転写定着装置における
中間転写媒体において、円筒状のベース層上に均一膜厚
の弾性層を形成し、所望の画像光沢度を得るために一定
間隔で凹凸形状を有する円筒状の型によって、ベース層
上の弾性層の表面状態を制御し、かつ、全域に一定間隔
の凹凸形状を連続的に成形するので、所望の画像光沢度
を得るために表面状態を制御し一定間隔で凹凸形状を有
する所望の大きさの中間転写媒体の製造を可能にし、所
望の画像光沢度を得るとともに、品質の高い画像を得る
ことを可能にするという効果を奏する。
【0021】上記構成より成る第2発明の中間転写媒体
は、前記転写定着装置における中間転写媒体において、
円筒状のベース層上に均一膜厚の弾性層を形成し、所望
の画像光沢度を得るために一定間隔で凹凸形状を有する
円筒状の型によって、ベース層上の弾性層の表面状態を
制御し、かつ、全域に一定間隔の凹凸形状を連続的に成
形することにより製造されるので、所望の画像光沢度を
得るとともに、品質の高い画像を得ることを可能にする
という効果を奏する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態につき、
図面を用いて説明する。
【0023】(実施形態)第1実施形態の中間転写媒体
の製造方法は、静電担持体上に形成したトナー像を中間
転写媒体上に転写し、該トナー像が転写された中間転写
媒体と記録材を加熱および加圧して該中間転写媒体上の
トナー像を記録材上に転写および定着し、冷却後に前記
中間転写媒体から前記記録材を剥離することにより前記
記録材上に画像を形成する転写定着装置の、所望の画像
光沢度を得るために表面状態を制御し、一定間隔で凸形
状を有する中間転写媒体において、中間転写媒体の所定
の大きさの円筒状のベース層上に未加硫のゴム層をドク
ターブレードで均一の膜厚に形成し、供給された弾性層
を所望の画像光沢度を得るために一定間隔で凹形状を有
する円筒状の型で、ベース層上の弾性層の表面状態を制
御し、かつ、全域に連続的に加硫成形するものである。
【0024】第2実施形態の中間転写媒体の製造方法
は、前記第1実施形態において、ベース層が、金属や樹
脂やセラミックのフィルム、ガラスやカーボンの繊維を
用いたフィルムの単層あるいはこれらのいずれか2種類
以上を複合化や複層化したエンドレスベルトまたは、各
材料のシートを接合し円筒状としたベルトを用い、弾性
層は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、液状のEPDM等
のゴム及びゴム配合物等の熱硬化性エラストマーやスチ
レン系やオレフィン系やフッ素系などの熱可塑性エラス
トマーやその配合物を用いる構造を持つものである。
【0025】第3実施形態の中間転写媒体の製造方法
は、前記第2実施形態において、前記中間転写媒体のゴ
ム層が、粘度1000Pa・s以下の付加型シリコーン
ゴムまたは液状のEPDMを無溶剤で供給するものであ
る。
【0026】第4実施形態の中間転写媒体の製造方法
は、前記第2または第3実施形態において、前記中間転
写媒体のベース層表面をブラスト処理や研削処理の表面
加工、またはプラズマ処理やUV処理などの表面改質処
理、または両方の処理を行うものである。
【0027】第5実施形態の中間転写媒体の製造方法
は、前記第2、第3または第4実施形態において、前記
中間転写媒体のベース層とゴム層の間に接着層としてプ
ライマー類を有するものである。
【0028】第6実施形態の中間転写媒体は、前記第1
実施形態の製造方法で製造されたものである。第7実施
形態の中間転写媒体は、前記第2実施形態の製造方法で
製造されたものである。第8実施形態の中間転写媒体
は、前記第3実施形態の製造方法で製造されたものであ
る。第9実施形態の中間転写媒体は、前記第4実施形態
の製造方法で製造されたものである。第10実施形態の
中間転写媒体は、前記第5実施形態の製造方法で製造さ
れたものである。
【0029】上述した実施形態における中間転写媒体の
製造方法は、静電担持体上に形成したトナー像を中間転
写媒体上に転写し、該トナー像が転写された中間転写媒
体と記録材を加熱および加圧して該中間転写媒体上のト
ナー像を記録材上に転写および定着し、冷却後に前記中
間転写媒体から前記記録材を剥離することにより前記記
録材上に画像を形成する転写定着装置の表面に一定間隔
で凹凸形状を有する中間転写媒体において、図1に示さ
れるように中間転写媒体の所定の大きさの円筒状のベー
ス層5上に未加硫のゴム層6をドクターブレード9で均
一の膜厚に形成し、供給されたゴム層7を所望の画像光
沢度を得るために表面状態を制御し、しかも任意の一定
間隔で凹凸形状を有する円筒状の型1で、ベース層上の
表面層であるゴム層全域に加硫成形するものである。
【0030】前記中間転写媒体に用いられるベース層5
は、耐熱性および機械的強度が要求され、ニッケルやア
ルミやステンレスなどの金属シートや、PETやポリエ
ステルやポリイミドやポリアミドなどの樹脂フィルムや
アルミナやシリカ等のセラミックのフィルムや、ガラス
やカーボンの繊維を用いたフィルムの単層、あるいはこ
れらのいずれか2種類以上を複合化や複層化したエンド
レスベルトまたは、各材料のシートを接合し円筒状とし
た柔軟性の有るベルトが用いられる。
【0031】またベース層の樹脂などの材料中に、カー
ボンブラックや金属粉等の導電性粉体等を添加分散して
体積抵抗率を制御したものも有る。
【0032】またベース層の厚みは、材質によって異な
るが、30μm〜200μm程度が好ましい。本実施形
態の製造方法においては、ベース層の材質や厚みに関わ
らず、該中間転写媒体に使用される材料が柔軟性を持っ
ていれば、該中間転写媒体の製造に利用可能である。
【0033】前記中間転写媒体に用いられる弾性層とし
てのゴム層8は、弾性や耐熱性、トナーとの離型性が要
求され、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピ
レンゴム、フッ素系樹脂が混練されたシリコーンゴムや
フッ素ゴムやエチレンプロピレンゴム等があげられる。
また状況によっては熱可塑性エラストマーでも可能であ
る。シリコーンゴムとしては公知の1液性縮合重合型、
2液性付加重合型、HTV型、LTV型、RTV型等で
ジメチル、1メチルフェニル、含フッ素系のシリコーン
ゴム等が用いられる。
【0034】表面層であるゴム層の厚さは、約200μ
m以下が好ましいとされている。エチレンプロピレンゴ
ムとしては液状のEPRや液状のEPDMが用いられ
る。材料硬度はJIS A10°〜80°が好ましいと
されている。本実施形態の製造方法は、表面層の材質や
厚みに関わらず該中間転写媒体の製造に対応可能であ
る。
【0035】ただし材料の粘度が高いと膜厚を均一に塗
布する事が難しくなるので、溶剤等で希釈して製造する
場合も有り得る。材料の粘度は、好ましくは1000P
a・s以下のものである。材料の粘度が1000Pa・
s以下のものであれば無溶剤で供給し加硫成形する事が
出来る。
【0036】また硬化時間(加硫時間)は、要求品質を
満足するゴム材料の加硫方式や加硫剤の種類や配合割合
や製品の膜厚の影響で変化するので、一概に数値には表
せないが、一般的に加硫時間は長いと加工時間が長くか
かるので硬化時間の短い材料が好ましい。よってゴム材
料としては付加重合型、HTV型、LTV型等のシリコ
ーンゴムや液状のEPDMや液状のEPRが好ましい
が、これらに必ずしも限定されるものではない。
【0037】前記中間転写媒体に用いられるベース層と
表面層は、接着強度が必要な事から、場合によってはベ
ース層の表面をブラスト処理や研削処理の表面加工、ま
たはプラズマ処理やUV処理などの表面改質処理、また
は両方の処理を行う事もある。さらに接着強度を上げる
ためにベース層とゴム層の間に接着層としてプライマー
類を有する場合も有る。プライマーは、一般的に各種シ
ランカップリング剤が用いられるが、ベース層の材質や
表面処理の有無や、プライマーの有無に関わらず、前記
中間転写媒体の製造に対応可能である。
【0038】前記中間転写媒体に必要な大きさは、通常
φ210mm〜φ2100mm〜φ4200mmとなっ
ている。本実施形態の製造方法は、図1における奥行き
方向が、要求製品の幅方向(たとえば今回の例では29
7mm)を満足するように製造装置を作れば、ベルトの
大きさに関わらず前記中間転写媒体の製造に対応可能で
ある。
【0039】また本実施形態の金型は、静電担持体上に
形成したトナー像を中間転写媒体上に転写し、該トナー
像が転写された中間転写媒体と記録材を加熱および加圧
して該中間転写媒体上のトナー像を記録上に転写および
定着し、冷却後に前記中間転写媒体から前記記録材を剥
離することにより前記記録材上に画像を形成する転写定
着装置の、所望の画像光沢度を得るために表面状態を制
御し、一定間隔で凹凸形状を有する中間転写媒体におい
て、中間転写媒体の所定の大きさの円筒状のベース層上
に未加硫のゴム層をドクターブレードで均一の膜厚に形
成し、供給されたゴム層を所望の画像光沢度を得るため
に一定間隔で凹凸形状を有する円筒状の型で、ベース層
上の表面層(ゴム層)の表面状態を制御し、かつ、全域
に連続的に成形する中間転写媒体の製造方法に用いられ
る。
【0040】図3および図4に示される図は、芯金また
は芯金上にコートされたコート層の表面状態を所望の画
像光沢度を得るために制御した表面14を有し任意の一
定間隔で凹形状13を有する円筒状の金型15である。
【0041】本実施形態の製造金型をまとめると以下の
ようになる。円筒状や円柱状やベルト状等の外周が連続
面である任意の形状である。芯金若しくは芯金上にコー
トされたコート層の表面又は芯金自体に任意の一定間隔
で凹形状を有する。芯金若しくは芯金上にコートされた
コート層の表面又は芯金自体の表面状態を所望の画像光
沢度を得るために面粗さをRaが0.01μmから1μ
mの任意の値に設定している。
【0042】ベース層の材質や厚みに関わらず中間転写
媒体に使用される柔軟性を持っていれば中間転写媒体の
製造に対応可能である。表面層の材質や厚みに関わらず
対応可能である。ベース層の表面処理の有無や、プライ
マーの有無に関わらず、前記中間転写媒体の製造に対応
可能である。
【0043】図1における奥行き方向が、要求製品の幅
方向(たとえば今回の例では297mm)を満足するよ
うに図3および図4の表面制御および凹形状加工部分を
作れば、ベルトの大きさに関わらず前記中間転写媒体の
製造に対応可能である。
【0044】
【実施例】以下本発明の実施例の中間転写媒体の製造方
法について、図面を用いて詳細に説明する。
【0045】本実施例の中間転写媒体の製造方法は、静
電担持体上に形成したトナー像を中間転写媒体上に転写
し、該トナー像が転写された中間転写媒体と記録材を加
熱および加圧して該中間転写媒体上のトナー像を記録材
上に転写および定着し、冷却後に前記中間転写媒体から
前記記録材を剥離することにより前記記録材上に画像を
形成する転写定着装置の表面に一定間隔で凹凸形状を有
する中間転写媒体において、中間転写媒体の所定の大き
さの円筒状のベース層上に未加硫の液状ゴム層をドクタ
ーブレードで均一の膜厚に形成し、供給されたゴム層を
所望の画像光沢度を得るために表面状態を制御し、しか
も一定間隔で凹凸形状を有する型で加硫成形すること
で、ベース層上の表面層(ゴム層)全域の表面状態を制
御し、かつ、一定間隔で凹凸形状を形成するものであ
る。
【0046】(第1実施例)本第1実施例の中間転写媒
体の製造方法は、図1の概略図に示される中間転写媒体
の製造装置を用いるもので、ゴム層7の厚さを規制する
ドクターブレード9に対向して配設されベース層5およ
びゴム層7を供給する材料供給ロール2に対して一定距
離隔てて前記ベース層5および成形されたゴム8を供給
する第1の補助ロール3が配設されている。
【0047】前記材料供給ロール2と第1の補助ロール
3との下方にベース層5にテンションをかけるための第
2の補助ロール4が配設され、前記材料供給ロール2と
第1の補助ロール3との間にヒーター10を内蔵した金
型1が配設されている。
【0048】すなわち、前記金型1は、図1から明らか
なように前記材料供給ロール2と第1の補助ロール3と
に挟み込まれるように配設され、供給された前記ベース
層5およびゴム層7の方向を前記金型1の外周に沿って
180度方向を変換して供給される間に、供給されたゴ
ム層7をヒーター10による加熱により加硫成形するよ
うに構成されている。
【0049】前記金型1は、図3に示されるようにφ2
0mmのアルミ製芯金15の表面に約20μmのコート
層12であるポリイミドをコートし、表面14をブラス
ト処理によりRzを0.3μmに加工し、その後コート
表面14に外径30μm、深さ10μm、ピッチ130
μmで巾400mの範囲に合計約140万個の凹形状1
3をエキシマレーザ加工により加工し、中間転写媒体製
造金型を作成した。
【0050】前記中間転写媒体は、周長1000mm×
幅350mm×厚さ50μmの大きさの円筒状のニッケ
ル製のベース層5上に未加硫の液状EPDM6をドクタ
ーブレード9で50μmの膜厚の未加硫のゴム層7を形
成する。
【0051】供給された前記ゴム層7を、所望の画像光
沢度を得るために一定間隔の凹凸形状を有する型1によ
って、ベース層5上の表面層であるゴム層の表面状態を
制御し、かつ、全域に加硫成形して一定間隔の凹凸形状
を形成するものである。
【0052】この時の金型1は、外径φ20mmで表面
に外径30μm、深さ10μm、ピッチ130μmで合
計約140万個の凹形状があり、凹部材以外の平面部分
はRa0.1μmに加工されている物を用いた。
【0053】加硫条件は、150℃で前記金型1と前記
ゴム層7が接している時間を2分間になるように、金型
1内に設置した前記ヒーター10によって加熱し、前記
金型1を回転させるものである。また、前記ベース層5
のニッケルと前記ゴム層7のゴムの接着力を得るため
に、ニッケル表面にケムロック社製のプライマーを塗布
した。
【0054】この結果ニッケル製のベース層5の表面層
全域に、外径30μm、深さ9μm、ピッチ130μm
で合計約1000万個の凸形状が形成され、凸部以外の
平面部分は、Ra0.1μmに加工されたニッケルの前
記ベース層5との接着性の良いゴム層7が製造できた。
【0055】(第2実施例)本第2実施例の中間転写媒
体の製造方法は、前記第1実施例と同一の図1に示され
る製造装置を用いるが、別の材料を用いて中間転写媒体
を製造するものである。
【0056】前記金型1は、図4に示されるようにφ2
0mmのSKH製芯金15の表面14を研磨処理により
Rzを0.1μmに加工し、その後コート表面14に外
径20μm、深さ5μm、ピッチ70μmで巾420m
mの範囲に合計約540万個の凹形状13をエッチング
処理により加工し中間転写媒体製造金型を作成した。
【0057】前記中間転写媒体は、周長2000mm×
幅420mm×厚さ75μmの大きさの円筒状のカーボ
ンを、分散したポリイミド製のベース層5上に未加硫の
付加型シリコーンゴム6をドクターブレード9で40μ
mの膜厚のゴム層7を形成する。
【0058】供給された前記ゴム層7を所望の画像光沢
度を得るために一定間隔で凹形状を有する型1によっ
て、前記ベース層5上の表面層(ゴム層)の表面状態を
制御し、かつ、全域に加硫成形するものである。
【0059】この時の金型1は、外径φ20mmで表面
に外径20μm、深さ5μm、ピッチ70μmで合計約
500万個の凹形状があり凹部以外の平面部分はRa
0.3μmに加工されている物を用いた。
【0060】加硫条件は、130℃で前記金型1と前記
ゴム層7が接している時間を1分間になるように金型1
内に設置したヒーター10を加熱し、前記金型1を回転
させるものである。また、前記ベース層5のポリイミド
とゴムの接着力を得るためにポリイミド表面をUV照射
し表面を改質した上に、シランカップリング剤を処理し
たものを用いた。
【0061】この結果ポリイミド製のベース層5上の表
面層(ゴム層)全域に、外径30μm、深さ4.5μ
m、ピッチ70μmで合計約1億7000万個の凸形状
が形成され、凸部以外の平面部分はRa0.3μmに加
工されたゴム層7が製造できた。
【0062】(第3実施例)本第3実施例の中間転写媒
体の製造方法は、図2および図3に示される製造装置を
用いるものであって、基本的には図1に示される製造装
置と同一の機構であるが、前記材料供給ロール2と前記
金型1との間にベース層5およびゴム層7を供給する第
3の補助ロール11を追加する点が相違点である。
【0063】図1に示される第1実施例においては、通
常のゴムである熱硬化性エラストマーを用いる場合で、
金型を加熱しエラストマーを硬化させるために前記材料
供給ロール2は金型温度より低い温度でコントロールす
るとともに、第1の補助ロール3と前記ヒーター10を
内蔵した金型1においては加熱してエラストマーを硬化
させるのに対して、図5に示される第3実施例において
は、熱可塑性エラストマーを用いる場合で、金型を冷却
することによりエラストマーを硬化させるために前記材
料供給ロール2においてはエラストマーを可塑化させる
ために加熱するとともに、第1の補助ロール3と前記ヒ
ーター10を内蔵した金型1においては冷却してエラス
トマーを硬化させる点が相違点である。
【0064】加工方法および加工装置は、上述の実施例
同様であり、上述したように温度コイトロールのみ相違
するものであるため、本第3実施例の方式においても前
記第1実施例や第2実施例において行った成形を行って
みたところ、同様の成形品を得る事が出来た。
【0065】上述の実施例の中間転写媒体の製造方法
は、静電担持体上に形成したトナー像を中間転写媒体上
に転写し、該トナー像が転写された中間転写媒体と記録
材を加熱および加圧して該中間転写媒体上のトナー像を
記録材上に転写および定着し、冷却後に前記中間転写媒
体から前記記録材を剥離することにより前記記録材上に
画像を形成する転写定着装置の中間転写媒体において、
前記ベース層5上の表面層(ゴム層)7全域に所望の画
像光沢度を得るために表面状態を制御し一定間隔で凸形
状を有するゴムの表面層を備えた成形されたゴム8を製
造する事が出来るという効果を奏する。
【0066】また本実施例の製造方法で製造された表面
状態を制御し凸形状を規則的に配置し感光体などの平滑
な表面を有するものとの摩擦係数を任意に制御した中間
転写媒体により、所望の画像光沢度を得て、中間転写媒
体を駆動する部材とのスリップや中間転写媒体の波打ち
により感光体表面のトナー画像を忠実に再現できず発生
する画像欠陥を阻止するため、中間転写媒体により品質
の高い画像を得る事が出来るという効果を奏する。
【0067】上述の実施形態は、説明のために例示した
もので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無
く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記
載から当業者が認識することができる本発明の技術的思
想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態および第1および第2実施例
における中間転写媒体の製造装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第3実施例における中間転写媒体の製
造装置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態および第1実施例における中
間転写媒体の製造金型を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態および第2実施例における中
間転写媒体の製造金型を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3実施例における中間転写媒体の製
造装置を示す断面図である。
【符号の説明】
5 ベース層 6、7 ゴム層 8 成形されたゴム 9 ドクターブレード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 只夫 三重県鈴鹿市伊船町1900番地 鈴鹿富士ゼ ロックス株式会社内 (72)発明者 須賀谷 伸晃 三重県鈴鹿市伊船町1900番地 鈴鹿富士ゼ ロックス株式会社内 (72)発明者 勝野 龍司 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 小林 政憲 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 加藤 信之 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 野上 豊 神奈川県足柄上郡中井町境430 グリーン テクなかい 富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2H032 AA05 BA07 BA23

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面状態が制御され一定間隔の凹凸形状
    が形成されているとともに、静電担持体上に形成したト
    ナー像が転写され記録材上に転写および定着する転写定
    着装置における中間転写媒体において、 円筒状のベース層上に均一膜厚の弾性層を形成し、 所望の画像光沢度を得るために一定間隔で凹凸形状を有
    する円筒状の型によって、ベース層上の弾性層の表面状
    態を制御し、かつ、全域に一定間隔の凹凸形状を連続的
    に成形することを特徴とする中間転写媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 表面状態が制御され一定間隔の凹凸形状
    が形成されているとともに、静電担持体上に形成したト
    ナー像が転写され記録材上に転写および定着する転写定
    着装置における中間転写媒体において、 円筒状のベース層上に均一膜厚の弾性層を形成し、 所望の画像光沢度を得るために一定間隔で凹凸形状を有
    する円筒状の型によって、ベース層上の弾性層の表面状
    態を制御し、かつ、全域に一定間隔の凹凸形状を連続的
    に成形することにより製造されることを特徴とする中間
    転写媒体。
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