JP3994322B2 - 多層ポリエステル系シ−ト、フイルム、およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性、耐衝撃性等の特性を要求されるトレーなどの成形品を得るのに適したポリエステル系シート、詳しくは結晶性および容器成形性に優れかつ成形時の金型汚れを解決したポリエステル系シート、およびそれらからなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭用の電子レンジ、オーブンの広範な普及により、高温での使用に耐えうる食品用トレーが必要とされている。特に半調理済み冷凍食品用のトレーとしては、調理時の高温条件のみならず保存時の冷凍条件、すなわち約−20℃〜約220℃といった広い温度範囲での使用に耐えうる必要がある。現在、上記特性を有する食品用トレーとして、主としてポリエチレンテレフタレート樹脂(以下PETと記す)からなるポリエステル系シートを容器成形時に結晶化させて得られた結晶化樹脂トレーが実用化されている。
【0003】
しかしながら、PETからなるポリエステル系シートは、容器を熱成形する際その結晶化に時間を要するため、容器生産時の成形サイクルが比較的長いことが問題とされていた。さらに、かかるPETからなるトレーは充分な耐熱性を有するものの耐衝撃性は充分とはいえず、衝撃による容器破損が著しいという欠点をも有していた。
【0004】
上記問題を解決するために、PETに少量のポリオレフィンを添加した樹脂(以下C−PETと記す)からなるポリエステル系シートが提案されている。C−PETシートは熱成形時の結晶性がPETシートに比して向上しており、比較的成形性に優れることが知られている。また、C−PETシートから得られた容器の耐衝撃性はPETシートからなる容器のそれよりも良好であることも知られている。
【0005】
この種の食品用トレーがシートの熱成形によって生産される場合、上記特性に加え、予熱時におけるシートの垂れ下がり量の適正化、金型からの離型性の向上、金型汚れの付着量減少や成形サイクルの短縮といった成形性の改善も必要である。しかし、上記C−PETでは成形時における金型へのポリオレフィン付着、すなわち金型汚れが著しいことが問題となっており、その早期解決が望まれている。
【0006】
上記欠点を改良するための方法として、ポリオレフィンとして変成ポリオレフィンあるいはポリエチレンアイオノマー等を用いたシートおよび汎用の結晶核剤を配合したシートが提案されている。
【0007】
しかしながら、前者シートは本質的に金型汚れ問題を解決したものではなく、後者のシートは金型汚れを生じないものの、耐衝撃性に劣るという欠点を有しており、さらなる改良が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述の通り、現行のポリエステル系シートおよびそのシートからなる成形品は、その成形および使用に際する種々の問題、特に金型汚れ、耐衝撃性に関する問題を解決することができていない。本発明は以上の背景に基づき、耐熱性、耐衝撃性等の特性を要求されるトレーなどの成形品を得るのに適したポリエステル系シート、詳しくは結晶性および容器成形性に優れ、かつ成形時の金型汚れを解決したポリエステル系シート、およびその成形品を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、表層には結晶核剤として無機微粒子を用い、内層にはそれらに加えてポリオレフィンを用いることにより上記の課題が解決されることを見いだし、本発明に到達した。
【0010】
即ち本発明は以下に示すものである。
1.ポリエステル系樹脂と無機微粒子を含有し、ポリオレフィン樹脂を実質的に含まない表層と、ポリエステル系樹脂と無機微粒子及びポリオレフィン樹脂を含有する内層とから構成され、(内層の無機微粒子含有量(重量%))/(表層の無機微粒子含有量(重量%))が0.5〜1.5の範囲であることを特徴とする多層ポリエステル系シ−ト。
2.前記の無機微粒子の平均粒子径が、10μmφ以下であることを特徴とする上記1に記載の多層ポリエステル系シート。
3.前記のポリオレフィン樹脂が、密度(ρ)が0.91g/cm3以下であるかあるいはメルトインデックス(MI)が10g/10min以上であるかの少なくとも一方を満たすポリオレフィン樹脂であることを特徴とする上記1または2のいずれかに記載の多層ポリエステル系シート。
4.前記の表層の厚みは、少なくとも10μmであることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の多層ポリエステル系シート。
5.前記のポリエステルが、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステルであることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の多層ポリエステル系シート。
6.上記1〜8のいずれかに記載の多層ポリエステル系シートから成形される事を特徴とする成形品。
【0011】
【説明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。本発明におけるポリエステルシートに用いられるポリエステルは、たとえばPET、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、液晶性ポリエステルおよび前記ポリエステルに任意の結晶核剤を添加したものが挙げられる。
【0012】
本発明に用いられるポリエステルは、その固有粘度が0.70dL/g以上が好ましく、より好ましくは0.80dL/g以上である。固有粘度が0.70dL/g以下である場合、得られたシートおよびその成形品は機械的強度に劣り、また容器成形時のシート予熱工程でシート垂れ下がりによる操業不良発生が起こりやすいため、好ましくない。固有粘度は2.0dl/g以下であることが好ましい。
【0013】
本発明におけるポリエステルは、その酸成分の一部として、他種芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸を用いても良い。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸としてはシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などが挙げられる。これらは樹脂の融点および結晶性を大きく低下させない範囲で用いられ、その量は全酸成分の20モル%未満、好ましくは10モル%未満である。
【0014】
本発明におけるポリエステルは、そのグリコール成分の一部として他種のグリコールすなわち炭素数が1〜25のアルキレングリコールを用いることができる。例えばジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロバンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールペンタン、トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノールXのエチレンオキサイド誘導体(XはA,S,F)などである。これらのグリコールは各種特性のバランスにより適切な組み合わせで用いられるが、ポリマー中の主となるエステル単位の結晶性を妨げないことが前提であるため、その共重合量は全グリコール成分の20モル%以下であることが望ましい。
【0015】
本発明におけるポリエステルは、少量に限って三官能以上のポリカルボン酸やポリオール成分を含むこともできる。例えば無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、無水ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、5−ヒドロキシイソフタル酸などを3モル%以下使用できる。
【0016】
本発明におけるポリエステルは、少量に限って二官能性のポリエーテル成分を含むこともできる。例えばPTMG、エチレンオキサイド変成PTMGなどを10重量%以下使用できる。また、p−フェニルフェノール、ベンジルオキシ安息香酸、ナフタレンモノカルボン酸、ポリエチレングリコールモノメチレンエーテル等の化合物も10重量%以下使用できる。
【0017】
本発明におけるポリエステルは、前述の任意のものを単独で用いてもよいし、2種類以上のものを混合して用いても良い。2種類以上のポリエステルを混合して用いる場合、最低1種は前述のものから選択すれば、その他のポリエステルは任意の組成のものを用いても良い。例えば、テレフタル酸、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールからなる非晶性樹脂、テレフタル酸、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールからなる非晶性樹脂、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコールからなる非晶性樹脂などが挙げられるが、これらに限定するわけではない。
【0018】
本発明で用いる無機微粒子は、任意の元素で構成される無機物の微粒子であれば、特に制限はなく、無機物として好ましく用いられるのは、無機塩、無機酸化物、さらに好ましくは、無機酸化物である。前記無機酸化物は、金属元素が主に酸素原子との結合を介して3次元のネットワークを構成した種々の含酸素金属化合物と定義される。前記無機酸化物を構成する金属元素としては、たとえば、元素周期律表I〜VI族から選ばれる元素が好ましい。その中でも、Si、Mg、Al、Fe、Ca、K、Na、Ti、Zrから選ばれる元素が特に好ましく、前記無機酸化物を構成する主たる金属元素がSi及びMgである微粒子が、無機微粒子として最も好ましい。また、前記無機酸化物中に、有機基、水酸基を含有したり、あるいは後述する原料となる金属化合物(G)に由来する各種の基が残留したり、有機ポリマーの一部分を包含していてもよい。前記有機基は、炭素数20以下の置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。前記無機酸化物は、1種のみまたは2種以上である。
また、タルク以外の好ましい無機微粒子の例としては、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ、珪酸塩、硫酸バリウム、クラストナイト、カオリン、カーボンブラック、酸化亜鉛、等が挙げられる。
【0019】
このような無機物からなる無機微粒子の形状は、球状、針状、板状、鱗片状、破砕状等の任意の粒子形状でよく、特に限定されない。
【0020】
本発明に使用する無機微粒子は平均粒子径が10μmφ以下であることが好ましい。平均粒子径の下限は0.1μmφのものが好ましい。粒子径の小さいもの即ち0.1μm未満、特に0.01μm未満のものはマトリックスとなるPETに配合する時2次凝集が発生し易く、核剤としての効果を損なうばかりでなく凝集物による成形品の外観、品位を低下させるという欠点を有する。
一方、粒子径が10μmを超えるもの、特に20μmを超えるものは、結晶化促進効果が低い為、適当でない。またその配合量は、各層中0.1〜10重量%が必要であり、0.3〜7重量%が好ましく、特に0.5〜5重量%が好ましい。配合量が0.1%未満では未変性PETの結晶化速度と変わらず結晶化させるための熱処理温度を高くしたり、熱処理時間を長くしなければならず、金型からの取り外しが困難となったり生産性が低下し不適である。一方配合量を多くしてゆくと熱成形時の到達結晶化度が高くなり耐衝撃性が低下する傾向がある上、一定量以上では大きな結晶化速度の向上は見られない。更に熱成形時の腑形成が悪くなって、成形条件幅がせまくなる為、配合量は、10重量%以下に抑えることが好ましい。
【0021】
なお、内層の無機微粒子の含有量は、表層の無機微粒子含有量とほぼ同程度が好ましく、(内層の無機微粒子含有量(重量%))/(表層の無機微粒子含有量(重量%))は0.5〜1.5の範囲である。下限は好ましくは0.6、より好ましくは0.7,さらに好ましくは0.8、特に好ましくは0.9であり、上限は好ましくは1.4、より好ましくは1.3、さらに好ましくは1.2、特に好ましくは1.1である。さらには、内層と表層で同種の無機微粒子を用いることが好ましい。これらのことにより、両層の特性を近づけることができ、層間剥離や2層とした際のカールなどがなく、さらにはシート成型時にゴミとして発生するシート両端や、シート成形不良品を添加した際でも安定した品質のシートを容易に製造することができる。
【0022】
本発明に使用するポリオレフィン系樹脂は、密度が0.91g/cm3以下、またはメルトインデックス(MI)が10g/10min以上、あるいは両者を満たすことが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂として、例えば高密度ポリエチレン、分岐低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、マレイン酸変性ポリエチレン、酢酸ビニル−エチレン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メタクリル酸グリシジル−エチレン共重合体、メタクリル酸グリシジル−アクリル酸エチル−エチレン共重合体などが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
【0023】
本発明におけるポリエステル系シートに使用するポリオレフィン系樹脂の量は内層に対して0.5〜10重量%であることが好ましい。下限は好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは1.5重量%以上、特に好ましくは2重量%以上である。また、ポリオレフィン樹脂の上限値は10重量%以下が好ましい。ポリオレフィン樹脂の量を上記の量にすることにより、得られた容器は耐衝撃性に優れ、またシートに腑形した後の打ち抜き時における打ち抜き性に優れ外観の美しいものが得られる。つまりポリオレフィン系樹脂の量が10重量%を超えるとこの打ち抜き性が悪くなり、切断の不十分なシート断片が切断面に残る現象が見られ、外観不良因となる。加えてポリオレフィン系樹脂特有の異臭が発生する為に好ましくない。
【0024】
なお、ポリオレフィン系樹脂は表層には実質的には含まない。ここでいう実質的に含まないとは、必ずしも全く含まないことを意味するものではなく、金型汚れを引き起こさない程度にごく微量含んでいても良い。含むことが許される具体的な含有量はポリオレフィンの種類によって異なるが、0.2重濾%未満、好ましくは0.1重量%未満、さらに好ましくは0.05重量%未満が目安である。
【0025】
本発明における多層ポリエステル系シートには公知の任意のポリオレフィンおよび無機微粒子以外の結晶核剤、例えばPBTオリゴマー、安息香酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機核剤などを添加することができる。これら結晶核剤の添加量は5重量%以下であり、核剤の種類に応じて適宜設定される。なお、シート生産時には切り落としたシート両端を層Bに再利用する工程が含まれる場合がある。その際には層B以外の層に存在していた結晶核剤が層Bに混入するが、この混入核剤量も上記添加量に含めてよい。
【0026】
本発明には、さらに表層にワックスが含有されていることが好ましく、さらには内層にもワックスが含有されていることが好ましい。使用するワックスの目的は、先ずシート表面の荒れをなくす為、次に結晶核剤として作用する無機系粒子をポリエステル中により一層微細に分散させる為であり、単独で無機系粒子を添加するよりもその効果を増進させる為である。また昨今環境ホルモンなどが問題視され、種々のワックスの中で人体に対しる危険性や有害性及び環境影響の低いものが望まれている。その点において生分解性のワックスは有用である。生分解性ワックスの具体例は、モンタン系ワックス、カルナバワックス、カスターワックス、キャンデリアワックス、米糠ワックスなどの植物性ワックス、蜜蝋などの動物系ワックス、天然パラフィンなどの炭化水素系ワックス、ステアリン酸などの脂肪酸系ワックス類、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、などの脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、などのエステル系ワックス、セチルアルコール、ステアリルアルコール、などのアルコール系ワックス、炭素数12〜30の脂肪酸から誘導される金属石鹸類などが上げられる。これらの中でも、植物系ワックス、動物系ワックスが好ましく、特にはモンタン系ワックスが好ましい。但し、本発明に到達する為に用いるワックスは特に限定されない。
【0027】
尚、本発明に用いられる特に好ましいワックスとしてモンタン系ワックスを使用する理由は、そのような社会の要請を受けて食品衛生性を満足し、加えて生産時や加工時の揮発性が乏しく且つ臭いを伴わないワックスとして選択した。特に望ましいモンタン系ワックスはモンタン酸エステル部分鹸化ワックスである。
【0028】
ワックスの含有量としては、各層中0.01〜1.0重量%が好ましく、さらに好ましくは下限で0.05重量%である。上限ではさらに好ましくは0.5重量%である。
なお、内層と表層のワックス含有量はほぼ同程度が好ましく、(内層のワックス含有量(重量%))/(表層のワックス含有量(重量%))は0.7〜1.3の範囲であることが好ましく、下限は0.8、さらには、0.9が望ましく、上限は1.2、さらには1.1が望ましい。さらには、内層と表層で同種のワックスを用いることが好ましい。これらのことにより、両層の特性を近づけることができ、安定した品質のシートを容易に製造することができる。
【0029】
本発明のポリエステル系シートには、目的に応じて種々の重合体あるいは添加剤を配合して組成物を得ることができる。重合体としては、例えばポリアミド系重合体、ポリエステルエラストマーおよびその他のポリエステル系重合体、ポリスチレン系重合体、ポリアクリル系重合体などが挙げられる。添加剤としては、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系等の光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物等の分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物等の反応基を有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料、染料などを添加することができる。
【0030】
本発明の多層ポリエステル系シートは、通常、層A(容器にした場合の最外層):層B:層A(容器にした場合の最外層)とから構成されるが、その厚みの比は層A:層B:層A=0.01:9.98:0.01〜3:4:3であることが好ましい。層の数は通常3層であるが、両最外層に層Aの樹脂組成物が位置している限り例えば5層や7層であってもよく、その際の上記3層の厚み比は上記の厚み比に準じ、新たに加えた層の厚み比はその効果を発現する為に必要な任意の厚みとする。
【0031】
また本発明の多層ポリエステル系シートは層A及び層Bの2層からなるものであってもよい。この場合は本明細書中に層Aとして記述した樹脂組成物からなる層が成形金型に触れるように成形時に配置する必要がある。逆に配置した場合、例えば真空成形、圧空成形時にポリオレフィン系樹脂が金型に転写され、金型汚れの原因となる。
【0032】
さらに本発明の多層ポリエステル系シートには前述の層A、層B以外の層を1層以上含むものでもよい。両層以外の層に用いられる樹脂組成物は特に限定はしないが、例えばCHDM共重合ポリエステル、ポリエステルエラストマー、PET、イソフタル酸共重合PET等の樹脂及びそれらの混合物を用いることができる。
【0033】
本発明のポリエステル系シートは、通常の共押出法によって作製される。さらに該シートは、加圧、真空、圧縮などの成形によりトレーなどの容器に加工される。
【0034】
成形された容器などの結晶化度は好ましくは10〜40%であり、より好ましくは20〜35%である。結晶化度が10%より少ないと容器の十分な耐熱性が得られず、40%より大きいと過結晶化状態となり耐衝撃性が著しく低下してしまう。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。主な物性値の測定法は次の通りである。
(1) IV:フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒を用いて温度30℃にて測定した。
【0036】
(2)予熱時の垂れ:三和興業社製真空圧空成形機TVP−33型にて、シートの予熱をヒーター出力90%設定で行い、およそヒーター温度を525℃とした。この条件下で一定時間シートを加熱し、そのシートが垂れる量を目視にてその大小を評価した。垂れの小さいものは〇とし、垂れの大きいものは×とし、中間を△とした。
【0037】
(3)型決性:三和興業社製真空圧空成形機TVP−33型にて、鏡面仕上げの金型(満注容量320cc)を用いて真空成形を行い容器を得た。シートの予熱はヒーター出力90%設定で行い、金型温度は180℃とした。このとき得られる容器の特に角部分の成形具合を目視にて評価した。金型と同じ形状を充分得ているものを〇とし、金型の形状を充分に得ていないものを×とし、中間を△とした。
【0038】
(4)離型性:三和興業社製真空圧空成形機TVP−33型にて、鏡面仕上げの金型(満注容量320cc)を用いて真空成形を行い容器を得た。シートの予熱はヒーター出力90%設定で行い、金型温度は180℃とした。このとき得られる容器の金型からの離れ易さを目視にて評価した。金型から容器が速やかに離れるものを〇とし、離れにくいものを×とし、中間を△とした。
【0039】
(5)打ち抜き性:三和興業社製真空圧空成形機TVP−33型にて、鏡面仕上げの金型(満注容量320cc)を用いて真空成形を行い得た容器を、それに対応する打抜き刃で打抜いた。打抜いた容器に切れ残りを目視で確認し、切れ残りがないものを〇とし、切れ残りがあるものを×とし、中間を△とした。
【0040】
(6)金型汚れ:三和興業社製真空圧空成形機TVP−33型にて、鏡面仕上げの金型(満注容量320cc)を用いて真空成形を行い容器を得た。シートの予熱はヒーター出力90%設定で行い、金型温度は180℃とした。連続的に300回の成形を行い、金型表面へのポリオレフィン付着量を目視にて観測、評価した。ポリオレフィンの付着が認められないものを○とし、一方ポリオレフィンの付着が認められ連続成形により得られる容器の外観が悪化するものを×とし、中間を△とした。
【0041】
(7)表面外観:三和興業社製真空圧空成形機TVP−33型にて、鏡面仕上げの金型(満注容量320cc)を用いて真空成形を行い容器を得た。この得られた容器表面の外観を目視にて観察・評価した。容器表面が平滑で外観に優れるものを〇とし、一方容器表面が傷や荒れがあり外観に劣るものを×とし、中間を△とした。
【0042】
(8)平均粒径:液相沈降式光透過法((株)島津製作所製 粒度分布測定器SA−CP3L)を用いて測定した粒度累積分布曲線から読み取った累積量50重量%の値である。
【0043】
使用したポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリオレフィン系樹脂は次の通りである。
PET:東洋紡績社製IV=1.00g/dlのPET樹脂
MICEL−TONE:林化成(株)社製MICEL−TONE:平均粒子径=1.4μmφ
#5000S:林化成(株)社製MICRON WHITE#5000S:平均粒子径=2.8μmφ
#5000B:林化成(株)社製MICRON WHITE#5000B:平均粒子径=7.7μmφ
PK−C:林化成(株)社製TALCAN PAWDER PK−C:平均粒子径=11.0μmφ
UF230:日本ポリケム(株)社製直鎖状低密度ポリエチレンノバテックLL(UF230):密度=0.921g/cm3、MI=1.1g/10minVL800:住友化学工業(株)社製特殊軟質ポリオレフィンエクセレンVL(VL800):密度=0.905g/cm3、MI=20g/10min
UJ790:日本ポリケム(株)社製直鎖状低密度ポリエチレンノバテックLL(UJ790):密度=0.928g/cm3、MI=50g/10min
Luwax OP:ビーエーエスエフジャパン(株)社製モンタン系ワックス(Luwax OP):融点=84〜94℃
【0044】
実施例1〜9および比較例1〜3
上記の各樹脂を用いて、自家製シーティング機にて0.6mm厚みの3層シートを得た。層比は、層A:層B:層A=1.6:6.8:1.6とした。なお、シート成形時のバレル温度は全て290℃とした。次にこれらのシートを用いて、三和興業社製真空圧空成形機TPV−33型にて満注容量320ccのトレー容器を得た。シートの予熱はヒーター出力90%設定で行い、金型温度は180℃とした。各シートについて、前述の評価法に基づき金型汚れについて評価した。シート層A及び層Bの樹脂組成および評価結果については以下の表1〜2にまとめて示した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
表中の数字は各成分の重量%を表す。
【0048】
表1、2より、実施例1〜9に記載の多層ポリエステル系シートは、金型汚れを生じないことがわかる。また実施例1〜6では成形時における型決性、離型性、打ち抜き性、表面外観も良好であり、実施例7〜9では一部に若干の品質低下が認められたが、使用可能なレベルであった。一方、比較例1及び2は、予熱時の垂れを始め型決性や離型性に劣った。なお、比較例2では打ち抜きの際に、若干の層間剥離が認められた。比較例3は金型汚れが認められた。
【0049】
【発明の効果】
以上特定組成のポリマーからなる本発明の多層ポリエステル系シートから得られた成形品は、表1、2からも明らかなように成形時の金型汚れを解決している。よって本発明の多層ポリエステル系シートは、耐熱性等の特性を要求されるトレーなどの成形品を得るのに適したものであり、産業界に寄与すること大である。
Claims (6)
- ポリエステル系樹脂と無機微粒子を含み、ポリオレフィン樹脂を実質的に含まない表層と、ポリエステル系樹脂と無機微粒子とポリオレフィン樹脂を含む内層とから構成された少なくとも3層からなり、(内層の無機微粒子含有量(重量%))/(表層の無機微粒子含有量(重量%))が0.5〜1.5の範囲であることを特徴とする多層ポリエステル系シ−ト。
- 無機微粒子の平均粒子径が、10μmφ以下であることを特徴とする請求項1に記載の多層ポリエステル系シート。
- ポリオレフィン樹脂が、密度(ρ)が0.91g/cm3以下であるかあるいはメルトインデックス(MI)が10g/10min以上であるかの少なくとも一方を満たすポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の多層ポリエステル系シート。
- 表層の厚みは、少なくとも10μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層ポリエステル系シート。
- ポリエステルが、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多層ポリエステル系シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の多層ポリエステル系シートから成形される事を特徴とする成形品。
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