JP3994221B2 - 振動制御方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は吊り橋のタワーや高層ビルディング等の構造物に設置した動吸振器を駆動して振動させることにより上記構造物の振動を抑制する振動制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、吊り橋の主塔や高層ビルディング等の構造物では、風荷重や地震等により振動が発生した場合に、振動制御を行ってその振動を抑制することが望まれる。このような振動制御を行うための手段の1つとしては、制振対象となる構造物(主構造)の上部に動吸振器を設置して、該動吸振器の質量(駆動マス)を、上記主構造の揺れに対して所要位相ずらして振動させることにより、上記主構造の振動を抑制させるものがある。
【0003】
この場合、図6にマス−ばね構造のモデルを示す如く、主構造1の質量(主マス)、ばね定数、減衰係数をそれぞれm、k、cとし、且つ動吸振器2の駆動マス、ばね定数、減衰係数をそれぞれm、k、cとし、更に、上記主マスの絶対変位をx、駆動マスの絶対変位をxとして、駆動マスの主マスに対する相対変位をz、すなわち、
z=x−x
とすると、上記動吸振器2の運動方程式は、
Figure 0003994221
ここで、
Figure 0003994221
となり、このことから、上記動吸振器2は、固有振動数(上記運動方程式の変位の項の係数の平方根)ωを有することが明らかとなる。したがって、主構造1の制振を行うために動吸振器2を単に設置しただけでは、主構造1と動吸振器2との同調周波数は、上記動吸振器2の固定した固有振動数ωの近くの帯域のみとなり、この帯域でしか制振効果が得られないため、主構造1に広帯域の外乱が作用する場合、その帯域全体に亘ってよい制振効果を発揮できないという問題がある。
【0004】
そのために、従来、上記と同様にして主構造1の上部に設置した動吸振器2の駆動マスを、所要の駆動力にて駆動することにより、上記主構造1の振動低減をより能動的に達成する手法が開発されてきている。この種の動吸振器2における駆動マスの駆動方法としては、各種のアクティブ制御理論に従った方法や、主構造1の振動制御のロバスト性(制御対象となる主構造のモデル化誤差、固有振動数等のパラメータの変動があっても制御効果が劣化しない性質)を改善すべくH無限大制御理論を用いた方法を採ることが提案されている。
【0005】
従来提案されている上記アクティブ制御理論としては、LQR最適制御(背戸・光田、日本機械学会論文集,57-542,C(1991),3393-3399.)や、準最適制御(渡辺・吉田、日本機械学会論文集,58-546,C(1992),394-400.)や、出力フィードバック制御(Tanida,K.,Koike,Y.,Mutaguchi,M.,Kakutani,T.,Tachibana,T.,and Arai,Y.“Control of Bending-Torsion Structural Vibration Using a Pair of Hybrid Mass Dampers,”Proc. First Int. Conf. MOVIC, 1992, pp.237-242.)等の制御理論に従って動吸振器の駆動マスを駆動する方法、及び、Franchek, M.A., Ryan, M.W., and Bernhard, R.J., 1995,“Adaptive Passive Vibration Control,”J. of Sound and Vibration, 189, PP.565-585.にて示される如く、動吸振器の固有振動数を変えたときの応答の変化から該動吸振器のパラメータの最適値を見出す方法、或いは、Yuan, J., 2000,“Hybrid Vibration Absorption by Zero/Pole-Assignment,”ASME J. of Vibration and Acoustics, 122, pp.466-469.にて示される如く、制御則の伝達関数を未定定数を含む形に表し、それらの値を振動系の極やゼロ点が希望する値になるように決める方法、更には、Jalili, N. and Olgac, N., 2000,“A Sensitivity Study on Optimum Delayed Feedback Vibration Absorber,” ASME J. of Dynamic Systems, Measurement, and Control, 122, pp.314-321.に示された如き動吸振器をむだ時間要素により遅らせて作動させる方法等がある。
【0006】
一方、H無限大制御理論を用いた動吸振器の駆動マスの駆動方法として従来提案されているものとしては、たとえば、西村・野波他2名、日本機械学会論文集,59-559,C(1993),714-720.にて示された方法や、小池・野波・西村・佐塚・谷田・鈴木、日本機械学会、No.95-28、第4回「運動と振動の制御」シンポジウム講演論文集、pp.209-212.に示された方法等がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、動吸振器2の駆動マスを、上記従来の各種アクティブ制御理論に従った方法によりアクティブ制御したとしても、高いロバスト性を得ることはできず、又、動吸振器2の駆動マスの駆動方法として、H無限大制御理論を用いた場合であっても、制御対象となる主構造1のモデル化誤差の許容範囲を設定する必要があるため、あまり高いロバスト性を得ることができないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、動吸振器の駆動マスを駆動して主構造の振動制御を行う場合に、広帯域に亘って良好なロバスト制御が行えるようにする振動制御方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、主構造に設置した動吸振器の駆動マスを振動させることにより上記主構造の振動を抑制するようにする振動制御方法において、動吸振器の駆動マスを駆動する力の算出に際して、制御対象となる主構造の運動特性を用いないようにするために、上記主構造から上記駆動マスに対して所要の駆動力を作用させて該駆動マスを駆動するときの駆動マスの運動方程式から動吸振器の運動方程式を求めると共に、上記駆動マスが、外乱周波数ωに対する比を調整する定数をgとする任意の同調周波数gωを有するとした場合の運動方程式を求め、上記動吸振器の運動方程式が、上記駆動マスが任意の同調周波数gωを有するとした場合の運動方程式と等価になるようにするための駆動力を算出し、更に、該算出された駆動力に、駆動マス取付位置における主構造の速度に比例した力を加算してなる力を、該力で上記動吸振器の駆動マスを駆動するときの該駆動マスの運動方程式の安定条件を満たす上記定数gと共に求めて、上記動吸振器の駆動マスの駆動力として作用させるようにする。
【0010】
動吸振器の駆動マスに作用させる力の一成分となる駆動力は、該動吸振器を任意の周波数に同調させることができるように設定されるため、制振対象となる主構造の広帯域の振動に対して吸振作用を発揮するようになる。又、上記主構造の固有振動数が変化した場合にも、良好なロバスト制御が行われる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の振動制御方法の実施の一形態を説明するためのマス−ばね構造を示すもので、図6と同様の構成としてあるマス−ばね構造において、駆動マスに対して主マス上から所要の力を駆動力fdrivとして作用させるようにしたものである。なお、主構造1及び動吸振器2の各種のパラメータに関して、図6に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0013】
この場合、主マスは上記駆動マスに作用させる駆動力fdrivの反作用を受けるので、本系の運動方程式は、一般に以下のようになる。
Figure 0003994221
【0014】
ここで、fは主構造に作用する外乱を示す。なお、数式内にて上に・を付したパラメータは、該パラメータの時間微分:d/dtを表し、又、上に・・を付したパラメータは、該パラメータの2回時間微分:d/dtを表すものとしてある(以下、本明細書の各式中においても同様とする)。
【0015】
次に、上記式(1)、(2)を辺々加えてfdrivを消去し、
Figure 0003994221
を用いると、
Figure 0003994221
となる。一方、式(2)は、式(3)を用いてxを消去し、mで割ると以下のように変形できる。
Figure 0003994221
【0016】
上記式(5)において、
Figure 0003994221
である。
【0017】
今ここで、動吸振器のマス駆動力を、制御対象となる主マスの速度に比例する力とする場合を考えてみる。
【0018】
すなわち、
Figure 0003994221
と仮定して、微分方程式系の式(4)、(5)の特性方程式を導くと、
Figure 0003994221
ここで、
Figure 0003994221
である。したがって、フルビッツの行列式に基づく安定条件は、
Figure 0003994221
となる。
【0019】
上記式(9)より、特性方程式の係数のうちaのみが速度比例ゲインGに依存し、aのGに関する微分は正であるから、速度比例ゲインGの増大に伴い式(10)の第2式の安定条件が成立しなくなることがわかる。このため、主マスの速度に比例する力で動吸振器2を駆動する方法は、速度比例ゲインGの増大により不安定になる。
【0020】
そこで、本発明の振動制御方法では、駆動マスの運動方程式(5)が
Figure 0003994221
と等価になるような制御を導入するようにする。式(11)は、駆動マスが任意の同調周波数gωを有する場合の運動方程式となっており(gは同調周波数の外乱周波数ωに対する比を調整する定数である)、式(5)が固定した同調周波数ωを有するのとは対照的である。
【0021】
すなわち、式(5)と式(11)の残差が0となるように式(5)中のfdrivを決め、速度比例の駆動力、G・dx/dtを加算すると、動吸振器2のマス駆動力は、
Figure 0003994221
となる。
【0022】
このとき式(5)は、
Figure 0003994221
となり、系を記述する微分方程式系(4)、(13)の特性方程式を、先ずωをsに無関係な定数とみなして導いてみると以下のようになる。
Figure 0003994221
ここで、
Figure 0003994221
【0023】
しかしながら、上記ωは任意周波数であるから、よく知られた関係s=iωによりa、a中のωは−sによって置き換えられるべきであり、その結果、特性方程式は以下のようになる。
Figure 0003994221
ここで
Figure 0003994221
【0024】
したがって、gを、
Figure 0003994221
の範囲に選んでa>0、a>0となるようにしておけば、式(15)と異なりa=0であるため、フルビッツの行列式に基づく安定条件は、速度比例ゲインGを大きくしても不成立となる虞はなく、したがって制御が不安定にならないことがわかる。
【0025】
以上より、多周波数同時同調のマス駆動力、すなわち、式(12)右辺第1項が、速度比例のマス駆動による制御、すなわち、式(12)右辺第2項を安定化させる機能を持つことがわかる。
【0026】
なお、上記式(12)から明らかなように、多周波数同時同調のマス駆動力の実装には2回時間微分までが必要になるので、微分演算を広帯域で精度よく実行でき、且つ演算時間も少なくてすむように、以下のアルゴリズムを導いた。
【0027】
微分の伝達関数sをローパスフィルタp/(s+p)(pは遮断周波数)を取り込んだ形として
Figure 0003994221
のように変形する。この第1項は比例演算で、第2項はそのラプラス逆変換を用いて表した入力yと出力uの関係
Figure 0003994221
により実装する。この形では、あるデジタルサンプリング時刻tでの値u(t)を決定するために過去の時系列y(ti−j)(j=1、2、3…)が多数必要になり、演算上不利なので、1サンプリング周期だけ前の入力と出力のみしか必要としない次の形に変形する。
Figure 0003994221
【0028】
ここで、y(ti−1)は、ti−1≦τ≦tで一定であるという0次ホールドのデジタル近似を用いている。ここで提案した微分演算は、位相の精度がよく、ゲインが理想値ωより小さくなるのを補正する係数を乗じるのみでよい精度が得られる。
【0029】
このように、上記本発明の振動制御方法によれば、動吸振器2の運動方程式が、任意の周波数gωに同調した形となるようにして動吸振器2のマス駆動力fdrivを算出してあるため、動吸振器2により広帯域で吸振作用を発揮させることができる。又、同調周波数固定の動吸振器において制御対象となる主構造1の速度に比例する力で動吸振器2を駆動する場合には速度比例ゲインの増大により制御が不安定になっていたが、本発明の振動制御方法においては、速度比例ゲインが増大しても制御が不安定になる虞はなく、したがって、速度比例ゲインを大きく取ることが可能になる。更に、動吸振器2のマス駆動力の算出に際して、制御対象となる主構造1の運動特性を用いず、動吸振器2の同調周波数を任意とする制御入力を加えるのみである。よって、これらの相乗効果により、広帯域に亘って良好なロバスト制御を行うことができる。
【0030】
次に、図2及び図3は本発明の実施の他の形態を示すもので、本発明の振動制御方法を、より複雑な構造の主構造に適用する例として、振動制御対象となる主構造1を、N層からなるマス−ばね階層構造としたものである。図2に示したマス−ばね階層構造の各階層は、x方向の並進変位の自由度に加え、z軸周りの回転変位の自由度を持つ。
【0031】
ここで、m及びIは、第i層の質量及び慣性モーメントをそれぞれ示し、又、k及びKは、第i層のi−1層に対する相対的並進・回転変位に対するばね定数をそれぞれ示す。又、制振用として2基の動吸振器2を用いると共に、該各動吸振器2の駆動マスma1,ma2は、第j層に、z方向から見て図3に示す如く設置してあるものとする。
【0032】
先ず、上記マス−ばね階層構造における各階層の運動方程式は以下のように表される。
Figure 0003994221
【0033】
ここで、x及びθは、それぞれ第i層の並進変位及び回転変位(いずれも基礎に対する相対変位)である。又、fdiは第i層に働く外乱力、mdiは第i層に働くトルク、x及びθはそれぞれ基礎の並進の強制変位及び回転の強制変位である。この際、回転中心は(x,y,z)=(0,l,0)としてある。δijはクロネッカのデルタ記号で、動吸振器2の設置される第j層にのみ上記動吸振器2との相互作用により[ ]の中の式で表される力とトルクが作用することを表す。更に、z及びzは、駆動マスma1及びma2のそれぞれのストローク(第j層に対する相対変位)を示し、fdriv,1及びfdriv,2は、第j層から駆動マスma1及びma2にそれぞれ作用させる駆動力(制御力)である。
【0034】
駆動マスma1,ma2の運動方程式は、該各駆動マスma1,ma2の基礎に対するx方向の絶対変位が、
Figure 0003994221
によって与えられるので、以下のようになる。
Figure 0003994221
すなわち、
Figure 0003994221
ここで、
Figure 0003994221
である。
【0035】
式(19)で、駆動マスの設置された第j層については、式(22)の各式をfdriv,1,fdriv,2について解いた結果を式(19)に代入することによりfdriv,1,fdriv,2を消去した、以下の式を用いるようにする。
Figure 0003994221
【0036】
次に、制御演算式の導出を行う。この場合、制御則を導くために、先ず、以下のような時間変数νとφをそれぞれ定義する。
Figure 0003994221
【0037】
上記ν,φはそれぞれ並進運動、回転運動の制振のための駆動マスの運動に対応する。式(22)を時間変数ν,φに関する方程式に変換するため、式(25)よりz,zを、ν,φで
Figure 0003994221
と表し、式(26)を式(22)に代入する。この結果より得られる2つの式より(d/dt)φを消去した式
Figure 0003994221
と、(d/dt)νを消去した式
Figure 0003994221
を導く。
【0038】
並進運動、回転運動に関する動吸振器が任意の周波数gωに対して同調する条件を課すため、式(27a)、(27b)がそれぞれ
Figure 0003994221
Figure 0003994221
と等価となるようにfdriv,1とfdriv,2を決定する。この際、βtrans,βrotは主構造との連成を調節する係数であるが、以下では1として調節しない場合を考える。すなわち、式(27a),(28a)を辺々引いた式と、式(27b),(28b)を辺々引いた式とを制御力fdriv,1とfdriv,2に関する連立一次方程式として解く。次に、各駆動マスma1及びma2の取り付け位置の速度に比例する力
Figure 0003994221
をそれぞれ加算して制御力fdriv,1とfdriv,2を決定し、次式を得る。
Figure 0003994221
【0039】
上記式(29)の{ }中の第2項及び第4項のωを含む部分は、s=iωの関係に基づきω=−sであるので、ν及びφの2回時間微分により決定できる。したがって、z及びzを検出し、これを用いて式(25)よりν及びφを算定すれば、図1の実施の形態におけるアルゴリズムと同様のアルゴリズムに基づく時間微分演算によって右辺{ }中の第1項から第4項までを決定できる。その他の項は、第j層の各駆動マスma1及びma2の各々の取り付け位置における加速度
Figure 0003994221
を、図示しない加速度計等を用いてそれぞれ検出し、該各加速度の積分演算により速度を求めることにより定められる。なお、上記式(28a),(28b)で導入したgは、主構造が多自由度系となっているため、図1の実施の形態の場合に用いた式(18)で算出されるように厳密に定まることはないが、0.9付近にて試行錯誤により探すことで限界値を求めることができる。
【0040】
本実施の形態における振動制御方法によれば、後述する実施例の図4及び図5に示す如き数値実験の結果から明らかなように、制御対象となる主構造1に対して多数モードの広い周波数範囲で良い振動制御効果を得ることができると共に、主構造1を、その階層構造を変化させて固有振動数が大きく変化した全く別の構造物とした場合にも、制御演算に用いるハード系及び演算系の各パラメータを変更させることなくよい制御効果を得ることができ、マス−ばね階層構造の主構造1の振動制御に関して良好なロバスト性を達成することができる。したがって、このようなロバスト性検証が得られることにより、ビル、橋の主塔を下から積み上げるように建造する際に、建造が進行して制御対象の固有振動数等のパラメータが著しく変動するような場合でも、制御のハード系、演算系のパラメータを全く変更することなく良好な制御を行えることが示唆される。
【0041】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、動吸振器2を設置して制振を行うものであれば、振動を制御すべき対象としてはいかなる構造物であってもよいこと、図1の実施の形態では主構造1の一軸方向に関する振動制御を、又、図2及び図3の実施の形態では主構造1の水平一軸方向及び回転方向に関する振動制御を行うものとして示したが、振動を制御する方向は、主構造1となる構造物の抑制すべき振動の発生する方向に応じて任意に設定でき、この場合、主構造1に設置する動吸振器2の数及びその方向は制御すべき振動の方向に対応して自在に設定してよいこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0042】
【実施例】
図2及び図3に示したマス−ばね階層構造モデルにおいて、各階層のパラメータが表1で与えられる6層構造(N=6)で、且つ駆動マスma1及びma2を最上階(j=6)に設置し、最上階に作用する力とモーメントの外乱を、
dN=mdN=100sinωt
として、この場合に上記各駆動マスma1とma2にそれぞれ作用させるべき駆動力fdriv,1とfdriv,2を式(29)に基づいて算出し、該算出された各駆動力fdriv,1及びfdriv,2にて上記各駆動マスma1及びma2をそれぞれ制御したときの周波数応答を求めた。
【表1】
Figure 0003994221
その他のパラメータは、ma1=ma2=15kg、ωa1=ωa2=3.14rad/s、ζa1=ζa2=0.1、l=l=0.75m、ζtrans=ζrot=0.1、ωtrans=ωrot=12rad/s、g=0.94、モード減衰比0.01としてある。
【0043】
その結果、図4に実線Aで示す如く、多数モードの広い周波数範囲でよい制御効果を得ることができた。なお、図4中の破線Bは、比較として無制御、すなわち、各駆動マスma1及びma2を第6層に固定した場合の周波数応答を示すものである。
【0044】
次に、ロバスト性の検証のため、第3層から第6層を取り外して2層構造(N=2)とし、且つ駆動マスma1、ma2を第2層(j=2)に設置した階層構造モデルに対して、他の制御のハード系、演算系の各パラメータを上記と全く変更することなく制御演算を行ってfdriv,1及びfdriv,2を算出し、該算出された各駆動力fdriv,1、fdriv,2にて各駆動マスma1、ma2を制御した場合の周波数応答を求めた。
【0045】
その結果を図5に実線Cで示す。図5中の破線Dは、各駆動マスma1、ma2を第2層に固定した無制御の場合の周波数応答を示す。制御対象は、6層構造から2層構造へと全く別の構造物として、固有振動数が4倍程度と大きく変動したにもかかわらず、よい制御効果が得られていることが判明した。このことから、良好なロバスト性が達成されていることが明らかとなった。
【0046】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の振動制御方法によれば、主構造に設置した動吸振器の駆動マスを振動させることにより上記主構造の振動を抑制するようにする振動制御方法において、動吸振器の駆動マスを駆動する力の算出に際して、制御対象となる主構造の運動特性を用いないようにするために、上記主構造から上記駆動マスに対して所要の駆動力を作用させて該駆動マスを駆動するときの駆動マスの運動方程式から動吸振器の運動方程式を求めると共に、上記駆動マスが、外乱周波数ωに対する比を調整する定数をgとする任意の同調周波数gωを有するとした場合の運動方程式を求め、上記動吸振器の運動方程式が、上記駆動マスが任意の同調周波数gωを有するとした場合の運動方程式と等価になるようにするための駆動力を算出し、更に、該算出された駆動力に、駆動マス取付位置における主構造の速度に比例した力を加算してなる力を、該力で上記動吸振器の駆動マスを駆動するときの該駆動マスの運動方程式の安定条件を満たす上記定数gと共に求めて、上記動吸振器の駆動マスの駆動力として作用させるようにしてあるので、動吸振器により広帯域で吸振作用を発揮させることができ、又、速度比例ゲインが増大しても制御が不安定になる虞はなく、したがって、速度比例ゲインを大きく取ることが可能になり、更に、動吸振器のマス駆動力の算出に際して、制御対象となる主構造の運動特性を用いず、動吸振器の同調周波数を任意とする制御入力を加えるのみであることから、広帯域に亘って良好なロバスト制御を行うことができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動制御方法の実施の一形態を説明するために用いるマス−ばね構造のモデル図である。
【図2】本発明の実施の他の形態を説明するために用いるマス−ばね階層構造のモデル図である。
【図3】図2のマス−ばね階層構造の第j層に設置する動吸振器の配置を示す概略平面図である。
【図4】図2のマス−ばね階層構造を6層構造として本発明の振動制御方法による振動制御を行った場合の周波数応答の数値実験結果を示すグラフである。
【図5】図2のマス−ばね階層構造を2層構造として本発明の振動制御方法による振動制御を行った場合の周波数応答の数値実験結果を示すグラフである。
【図6】主構造に動吸振器を設置した状態のマス−ばね構造を示すモデル図である。
【符号の説明】
1 主構造
2 動吸振器
,ma1,ma2 駆動マス
driv,fdriv,1,fdriv,2 駆動力

Claims (1)

  1. 主構造に設置した動吸振器の駆動マスを振動させることにより上記主構造の振動を抑制するようにする振動制御方法において、動吸振器の駆動マスを駆動する力の算出に際して、制御対象となる主構造の運動特性を用いないようにするために、上記主構造から上記駆動マスに対して所要の駆動力を作用させて該駆動マスを駆動するときの駆動マスの運動方程式から動吸振器の運動方程式を求めると共に、上記駆動マスが、外乱周波数ωに対する比を調整する定数をgとする任意の同調周波数gωを有するとした場合の運動方程式を求め、上記動吸振器の運動方程式が、上記駆動マスが任意の同調周波数gωを有するとした場合の運動方程式と等価になるようにするための駆動力を算出し、更に、該算出された駆動力に、駆動マス取付位置における主構造の速度に比例した力を加算してなる力を、該力で上記動吸振器の駆動マスを駆動するときの該駆動マスの運動方程式の安定条件を満たす上記定数gと共に求めて、上記動吸振器の駆動マスの駆動力として作用させることを特徴とする振動制御方法。
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