JP4617892B2 - 振動絶縁方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基礎が強制変位で振動されるときにも該基礎上に支持されている構造体への振動の伝達を防止できるようにする振動絶縁方法に関するものである。
一般に、機器類等を振動の多い場所(基礎)に設置する場合は、所要のばね機構を介在させて弾性支持を行わせることにより、基礎の振動が上記機器類等へ伝達されることを抑制するようにしている。更に、設置対象となる機器類が精密機器や測定器類等の場合には、基礎からの振動の伝達を未然に防止して、所謂振動絶縁を図ることにより、上記精密機器や測定器類等の対象構造物を絶対的な静止状態に近づけることが望まれる。
図5は、基礎(base)1上に、質量mの構造体2を、ばね定数k、減衰定数cを有するばね機構3を介在させて支持する支持構造のマスばねモデルについて示すものである。
かかる構成において、基礎1が強制変位xで振動するときにも、基礎1上に支持されている構造体2の変位xを小さくして振動絶縁を図る、すなわち、xからxへの伝達関数のゲインを小さくするための1つの手法としては、図6に示す如く、基礎1と構造体2との間に減衰cを更に加え、この減衰cを大きくするというパッシブな手法が考えられる。しかし、このように、基礎1と構造体2との間に入れた減衰cを増していくと、後述する本発明の実施例に対する比較例Aの図7に示す結果より明らかなように、共振ピークの低減化を図ることができる反面、高周波では振動の絶縁性が悪くなるという問題が生じる。
そのために、上記のような高周波での振動の絶縁性が悪化する問題を解決できるようにするための振動絶縁方法としては、従来、スカイフックダンパによる振動絶縁方法が提案されてきている(たとえば、非特許文献1参照)。
この種のスカイフックダンパによる振動絶縁方法は、図8に示す如く、図5に示したと同様に基礎1上に質量mの構造体2を所要のばね機構3を介して支持してなる構成において、上記構造体2の上空(上方位置)に固定点(静止点)4を想定し、該固定点4と上記構造体2との間に、減衰csky、すなわち、所謂スカイフックダンパを介在させて設けてなる構成とするものである。かかる構成とすることにより、上記スカイフックダンパの減衰cskyを増せば、後述する本発明の実施例に対する比較例Bの図9に示す結果からも明らかなように、共振ピークの低減化を図ることができ、しかも、高周波においても絶縁性の悪化を防止することが可能になる。
ところで、以前に、本発明者は、主構造に設置した動吸振器の駆動マスを振動させることにより該主構造の振動を抑制するようにする振動制御方法において、上記動吸振器の運動方程式で同調周波数(固有振動数)が固定値でなく、任意周波数となるようにするための動吸振器の駆動力を算出し、更に、上記動吸振器の駆動マス取付位置における主構造の速度に比例した力を加算してなる駆動力で動吸振器を駆動して振動を制御する振動制御方法を提案している(たとえば、特許文献1参照)。
特開2003−206979号公報 時田保夫、森村正直 監修、防振制御ハンドブック、株式会社フジ・テクノシステム、1992年12月18日、p.318−319
ところが、上記非特許文献1に記載された如きスカイフックダンパによる振動絶縁方法は、実際には、構造体2の上空に、基礎1の振動から切り離された固定点(静止点)4を設けることが困難であるため、実装不可能である場合が多いというのが実状である。そのために、実装可能な振動絶縁方法の開発が、近年、重要な研究テーマとなっている。
なお、特許文献1に示された振動制御方法は、構造物の制振、すなわち、基礎上に設置された構造物が基礎の振動に伴って振動した後に、該構造物の振動を速やかに低減、収束させるためのものであって、基礎上に設置された構造物における基礎からの振動の伝達の防止を図る振動絶縁にそのまま適用できるものではない。
そこで、本発明者は、特許文献1に記載してある如き振動制御方法を、或る可動マスの質量、減衰、剛性を任意に変える制御方法として見ることにより、振動絶縁に応用して、構造物に対する基礎からの振動の伝達を防止するという技術課題に応用できることを見出して、本発明をなした。
したがって、本発明の目的とするところは、スカイフックダンパによることなく基礎上に支持されている振動絶縁対象物に、基礎の強制変位による振動が伝達されることを防止でき、且つ実装可能な振動絶縁方法を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、基礎上にばね定数k及び減衰定数cを備えたばね機構を介して支持される質量mの振動絶縁対象物に、質量mの駆動マスを、ばね定数k及び減衰定数cを有するばね機構を介在させて取り付けて、基礎が強制変位で振動して、このとき上記駆動マスを所要の駆動力で駆動するときの振動絶縁対象物の質量と駆動マスの質量に関する運動方程式をそれぞれたて、双方の運動方程式より、駆動マスの運動方程式における該駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する比例項である共振項を除去し、更に駆動マスの運動方程式における該駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する慣性項の係数が、上記振動絶縁対象物との連成を表す慣性項の係数よりも小さくなるよう差異を生じさせた方程式を、
Figure 0004617892
ここで、
G:制御ゲイン(正の定数)
:振動絶縁対象物の変位
:駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対変位
g:g<m/(m+m)を満たす正値
α:減衰を調整する定数
として設定し、この方程式に、駆動マスの運動方程式である
Figure 0004617892
ここで、
ζ=c/2(m1/2
ω=(k/m1/2
を一致させることができるようにするための駆動力を、振動絶縁対象物の速度と、駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対変位、相対速度及び相対加速度を変数とする
Figure 0004617892
として求め、該求められた駆動力を、上記駆動マスへ与えて、上記振動絶縁対象物を振動絶縁するようにする振動絶縁方法とする。
本発明の振動絶縁方法によれば、基礎上にばね定数k及び減衰定数cを備えたばね機構を介して支持される質量mの振動絶縁対象物に、質量mの駆動マスを、ばね定数k及び減衰定数cを有するばね機構を介在させて取り付けて、基礎が強制変位で振動して、このとき上記駆動マスを所要の駆動力で駆動するときの振動絶縁対象物の質量と駆動マスの質量に関する運動方程式をそれぞれたて、双方の運動方程式より、駆動マスの運動方程式における該駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する比例項である共振項を除去し、更に駆動マスの運動方程式における該駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する慣性項の係数が、上記振動絶縁対象物との連成を表す慣性項の係数よりも小さくなるよう差異を生じさせた方程式を、
Figure 0004617892
ここで、
G:制御ゲイン(正の定数)
:振動絶縁対象物の変位
:駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対変位
g:g<m/(m+m)を満たす正値
α:減衰を調整する定数
として設定し、この方程式に、駆動マスの運動方程式である
Figure 0004617892
ここで、
ζ=c/2(m1/2
ω=(k/m1/2
を一致させることができるようにするための駆動力を、振動絶縁対象物の速度と、駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対変位、相対速度及び相対加速度を変数とする
Figure 0004617892
として求め、該求められた駆動力を、上記駆動マスへ与えて、上記振動絶縁対象物を振動絶縁するようにしてあるので、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1)振動絶縁対象物の質量と駆動マスの質量の双方の運動方程式より、駆動マスの運動方程式(発明の詳細な説明に記載されている式(5))における該駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する比例項である共振項を除去し、更に駆動マスの運動方程式における該駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する慣性項の係数が、上記振動絶縁対象物との連成を表す慣性項の係数よりも小さくなるよう差異を生じさせた方程式(発明の詳細な説明における式(12))を設定することにより、該設定した方程式(上記式(12))に駆動マスの運動方程式(上記式(5))を一致させることができるようにするための駆動力(発明の詳細な説明における式(13))を求めて、該求められた駆動力(上記式(13))を上記駆動マスへ与えることで、該駆動マスの運動方程式を、上記設定した方程式(上記式(12))、すなわち、駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する比例項である共振項を除去し、更に駆動マスの運動方程式における該駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する慣性項の係数が、上記振動絶縁対象物との連成を表す慣性項の係数よりも小さくなるよう差異を生じさせた方程式(上記式(12))に、一致させることができる。したがって、上記のようにして求めた駆動力で駆動される駆動マスの運動方程式が、上記設定した方程式(上記式(12))に一致するようになることで、駆動マスの質量を、振動絶縁対象物の速度に基づいた単なる直接速度フィードバック制御による駆動を行う場合には不安定化の元凶となってしまう駆動マスの共振項を除去した制御を行うことができるようになるため、安定制御機能を持つようにすることができる。
(2)駆動マスの運動方程式における駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する慣性項と、駆動マスの上記振動絶縁対象物との相互作用に対応する慣性項の2つの慣性項のバランスを、前者は小さく且つ後者は大きくさせるよう両者のバランスを崩すことができて、振動絶縁に有利な状態とすることができる。
(3)振動絶縁対象物に対して駆動マスを取り付けると共に、該駆動マスを上述の所要の駆動力により駆動するという手法としてあるため、スカイフックダンパとは異なり実装可能なものとすることができる。更には、理想想定のスカイフックダンパを設置した場合よりも更に良好な振動絶縁効果を得ることが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1(イ)(ロ)は本発明の振動絶縁方法の実施の一形態を示すもので、図1(イ)に本発明の振動絶縁方法の実施の一形態を実現するための装置のマスばねモデルを示し、又、図1(ロ)に制御則のフローを示す。
すなわち、本発明の振動絶縁方法の制御対象となる装置のマスばねモデルは、図1(イ)に示す如く、図5に示したと同様に基礎1上に、振動絶縁対象物としての質量mの構造体2を、所要のばね定数k及び減衰定数cを備えたばね機構3を介在させて取り付けた構成において、更に、上記構造体2上に、質量mの駆動マス5を、所要のばね定数k及び減衰定数cを有するばね機構6を介在させて取り付けると共に、上記構造体2と駆動マス5との間に、アクティブ制御用のアクチュエータ7を介在させて、上記駆動マス5の質量mを、上記アクチュエータ7より与えられる駆動力(アクチュエータフォース)fによって駆動できるようにした構成とする。なお、xは上記駆動マス5の質量mの変位を示す。
次に、本発明の振動絶縁方法の導出について説明する。
図1(イ)に示した系に関する運動方程式は、
Figure 0004617892
Figure 0004617892
ここで、
Figure 0004617892
である。
上記式(1)は式(2)、式(3)を用いることにより次式のように変形できる。
Figure 0004617892
又、式(2)は、式(3)を使いm −1を乗じると、以下のようになる。
Figure 0004617892
ここで、
Figure 0004617892
である。
上記式(4)及び式(5)が以下の説明における基礎式となる。
ここで、先ず最初に、上記駆動マス5を駆動するための駆動力fを、振動絶縁対象物となる構造体2の速度に比例した以下のような力fとして制御する制御則についての安定性を検証する。
Figure 0004617892
ここで、Gは制御ゲイン(正の定数)である。
上記式(7)の制御が作動する際、構造体2に付加された駆動マス5の運動方程式である式(5)は、
Figure 0004617892
となり、式(4)、式(8)に関する特性方程式は、以下のように計算される。
Figure 0004617892
ここで、
Figure 0004617892
である。
上記特性方程式(9)の安定条件は、該特性方程式(9)の係数a乃至aがすべて正であること、及び、以下のようにフルビッツ行列式がすべて正であることである。
Figure 0004617892
上記安定条件のうち、特性方程式(9)の係数a乃至aがすべて正であるという最初の安定条件は明らかに満足されているので、式(11a,11b)の安定条件について調べると、制御ゲインGをG=0とする場合、駆動力f=0の受動制御に対応するので、安定条件(11a,11b)は明らかに成立する。次に、G→∞のときには、式(10)より制御ゲインGはaのみに含まれ、∂a/∂G>0であるから、安定条件の式(11a)は満足される。しかし、安定条件の式(11b)に関しては、aの2乗項に付く負号のため、制御ゲインGを高くすると不安定化する。この不安定化の元凶は、構造体2に付加された駆動マス5の周波数ωでの共振にあることが分かる。
そこで、本発明の振動絶縁方法では、次式を設定し、直接速度フィードバック制御に関する上記式(7)を安定化させるために、構造体2に付加された駆動マス5の運動方程式(5)が次式に一致するように駆動力fを決定するようにする。
Figure 0004617892
ここで、
g:以下に導く安定条件を満たす定数
α:減衰を調整する定数
である。
上記式(12)は、不安定性の元凶である共振を引き起こしていた剛性項(式(5)における左辺第3項、すなわち、uの比例項を参照)を除去すると共に、以下のような慣性のアンバランス化を施すことにより設定するようにしてある。すなわち、上記式(12)は2個の慣性項をもつ。このうち、式(12)の左辺第1項である慣性項は、駆動マス5の振動絶縁対象物となる構造体2に対する相対運動に関する慣性抵抗であり、式(12)の右辺第2項である慣性項は、構造体2との連成を表すものである。そこで、gを0でなく正値とすると、この2つの慣性項の係数の大きさが等しくなくなるのである。
これらの慣性項の係数の大きさは、元の駆動マス5の運動方程式より導かれた上記式(5)では共に1で等しかった。しかし、本発明の振動絶縁方法では、上記2つの慣性項の係数の大きさを等しくなくなるようにするものである。したがって、本発明の振動絶縁方法は、慣性アンバランス化法と呼ぶこともできるものである。すなわち、この慣性アンバランス化により、振動絶縁効果を上げることができるものとなる。
以下、本発明の振動絶縁方法による振動絶縁効果を数値シミュレーション例で検証する。
本発明の振動絶縁方法における駆動マス5に与える駆動力fは、式(5)が式(12)に一致する条件より、以下のように算出される。
Figure 0004617892
次に、安定条件を導く。式(4)、式(12)をs領域で
Figure 0004617892
と表し、これを解けば以下のようになる。
Figure 0004617892
上記における分母の特性多項式は、以下のようになる。
Figure 0004617892
ここで
Figure 0004617892
である。
上記式(17a)によって与えられるaが正となるように、gに条件
Figure 0004617892
を課せば、特性方程式のすべての係数が正となる。又、制御ゲインG=0でのフルビッツ行列式D=a−a
Figure 0004617892
となって正であり、更に、∂D/∂G=aが正であるため、フルビッツ行列式は制御ゲインGの任意の正値に対して正となる。したがって、安定条件は式(18)によって与えられる。上記において、駆動力fを与える式(13)の右辺の第1項、第2項を、それぞれ直接速度フィードバック項(DVFB項)、安定化項と呼ぶことにする。
したがって、本発明の振動絶縁方法は、図1(ロ)にフローを示す如く、先ず、基礎1が強制変位xで振動され、且つ駆動マス5を駆動力fにて駆動するときの構造体2の質量mと駆動マス5の質量mに関する運動方程式をそれぞれたて(ステップ1:S1)、次に、上記ステップ1にて得られる上記構造体2と駆動マス5の双方の質量mとmに関する運動方程式より、駆動マス5の運動方程式の共振項を除去し、更に、駆動マス5の運動方程式における駆動マス5の慣性抵抗と、振動絶縁対象物となる構造物2との連成をそれぞれ表す2つの慣性項の大きさ(係数)に差異を生じさせた方程式を設定する(ステップ2:S2)。次いで、上記ステップ2にて得られる方程式に、駆動マス5の運動方程式を一致させることができるような駆動力fを求め(ステップ3:S3)、しかる後、上記ステップ3にて求められた駆動力fを、上記構造体2上に取り付けられている駆動マス5の質量mへ与える(ステップ4:S4)ようにする方法とする。
これにより、本発明の振動絶縁方法では、駆動マス5の質量mに対し、上記図1(ロ)に示した如きフローに基づいて求められる駆動力fを加えることにより、上述したように、構造体2の速度に基づいた単なる直接速度フィードバック制御では不安定化の元凶となっていた駆動マス5の共振項を除去した制御を行うことができるようになるため、安定制御機能を持つようにすることができる。更に、駆動マス5の運動方程式における駆動マス5の振動絶縁対象物である構造体2に対する相対運動に関する慣性項と、上記構造体2との連成を表す慣性項の2つの慣性項のバランスを、前者は小さく、且つ後者は大きくするよう両者のバランスを崩すことができて、振動絶縁に有利な状態とすることができる。しかも、振動絶縁対象物となる構造体2に対して駆動マス5を取り付けると共に、該駆動マス5を所要の駆動力fにより駆動するという手法としてあるため、スカイフックダンパとは異なり実装可能なものとすることができる。更には、後述する実施例の図2の結果から明らかなように、理想想定のスカイフックダンパを設置した場合よりも更に良好な振動絶縁効果を得ることが可能になる。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、振動絶縁対象物となる構造体2は、強制変位xにて振動される基礎1上に支持されるものであって、基礎1からの振動の伝達の防止を図ることが望まれるものであれば、精密機器や測定器類等以外ものであってもよい。基礎1は、上記振動絶縁対象物となる構造体2を支持し、且つ強制変位xにより振動されるものであれば、いかなる基礎であってもよい。その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
以下、本発明者の行った数値実験結果について説明する。
(1)
本発明の振動絶縁方法を実施するための装置として、図1(イ)に示したと同様の構成としてあるマスばねモデルを用いて、本発明の振動絶縁方法を適用することによる振動絶縁効果を、振動絶縁対象物である構造体2の加速度の周波数応答として検証した。各パラメータの設定された数値については結果と共に図2(イ)(ロ)中に記載してある。
なお、本数値実験では、安定性検証のため、図2(イ)(ロ)のような本発明の振動絶縁方法の制御実装時の周波数応答の結果は、時間領域での応答解析により求めるようにしてある。すなわち、制御則を時間領域で実装して、各加振周波数に対する系の時間歴応答を定常振幅に達するまでルンゲ・クッタ・ギル法で数値計算し、正常振幅を加振周波数の関数として表したものである。このような時間領域での応答解析では、もし系が不安定であれば時間応答が発振して定常振幅に達せず、周波数応答が得られないため、安定性検証に有効である。以下の各数値実験においても同様とする。なお、このような検証は、周波数領域での解析(解をeiωtに比例した形に設定し、振幅に関する代数方程式を解く方法)ではできない。
構造体2の加速度の周波数応答の数値実験結果を図2(イ)及び(ロ)にそれぞれ実線で示す。図2(イ)及び(ロ)に示した破線は、比較のために本発明の方法に則した制御を行う場合の速度フィードバックゲインGに等しい減衰定数cskyのスカイフックダンパ(図8参照)が設置されたと想定した場合における構造体2の加速度の周波数応答を示す。これにより、本発明の振動絶縁方法によれば、スカイフックダンパによる振動絶縁法に比して、共振点近くで顕著な振動絶縁効果が得られていることが判明した。
(2)
図3は、比較のために、式(13)における安定化項を省略してDVFB項のみを作動させた場合において、図2(イ)(ロ)と同様に行った数値実験結果を示すものである。この場合、小さい制御ゲインで発振してしまい、不安定になることが明らかである。したがって、図2(イ)(ロ)に示した如き高制御ゲインGによる効果的な振動絶縁は、本発明の振動絶縁方法にて駆動マス5へ与える駆動力fの式(13)における安定化項による効果であることが分かる。
(3)
図4は、比較のために、図2(イ)(ロ)と同様の装置構成条件において、g=0として慣性アンバランス化をなくした場合の構造体2の加速度の周波数応答を示す物である。この場合、得られる振動絶縁効果は、図2(イ)(ロ)にて破線で示したスカイフックダンパが設置されたと想定した場合と同程度である。したがって、本発明の振動絶縁方法ではgを正値に選ぶことにより、振動絶縁効果が増強できることが判明した。
(4)
本発明に対する比較例Aとして、図6に示した如く、基礎1上に、質量mの構造体2を、ばね定数k、減衰定数cを有するばね機構3を介在させて支持した構成において、更に、基礎1と構造体2との間に減衰cを加えた場合における構造体2の加速度の周波数応答を求めた。各パラメータは結果と共に図7に示してある。
その結果、図7に示す如く、減衰cを加えると、図中に破線で示した如き減衰cを加えない場合に比して、共振ピークの低減化の効果を図ることができ、更に、減衰cを大きくするにしたがって、共振ピークの低減化効果をより効果的なものとすることができることが判明した。しかし、上記減衰cを大きくするにしたがって、高周波では振動の絶縁性が悪くなることが明らかである。
(5)
本発明に対する比較例Bとして、図8に示した如く、基礎1上に、質量mの構造体2を、ばね定数k、減衰定数cを有するばね機構3を介在させて支持し、更に、上記構造体2の上空に固定点4を想定し、該固定点4と構造体2との間に、スカイフックダンパにより減衰cskyを介在させて設けてなる構成における構造体2の加速度の周波数応答を求めた。各パラメータは結果と共に図9に示してある。
その結果、図9に示す如く、スカイフックダンパによる減衰cskyを加えると、図中に破線で示した如き減衰cskyを加えない場合に比して、共振ピークの低減化の効果を図ることができ、該減衰cskyを大きくするにしたがって、共振ピークの低減化効果をより効果的なものとすることができることが明らかである。
本発明の振動絶縁方法の実施の一形態を示すもので、(イ)は本発明の振動絶縁方法を実現するための装置のマスばねモデル、(ロ)は制御則のフローを示す図である。 本発明の振動絶縁方法を適用することによる振動絶縁効果を検証した結果を示すもので、(イ)(ロ)はそれぞれ制御ゲインの大きさを大小変化させて設定したときの構造体の加速度の周波数応答を示す図である。 図2(イ)(ロ)に示したと同様の条件下において、本発明の振動絶縁方法を適用する場合に駆動マスへ与えるべき駆動力中における安定化項を省略して直接速度フィードバック項のみとした駆動力を駆動マスへ与えた場合における構造体の加速度の周波数応答を示す図である。 (イ)(ロ)は、それぞれ図2(イ)(ロ)に示したと同様の条件下において、本発明の振動絶縁方法を適用する場合に駆動マスへ与えるべき駆動力におけるg=0として算出された駆動力を駆動マスへ与えた場合の構造体の加速度の周波数応答を示す図である。 基礎上に、所要質量の構造体を、所要のばね定数及び減衰定数を有するばね機構を介在させて支持した構成のマスばねモデルを示す図である。 基礎上に、所要質量の構造体を、所要のばね定数及び減衰定数を有するばね機構を介在させて支持し、更に、基礎と構造体との間に減衰を加える場合のマスばねモデルを示す図である。 図6の構成とする場合における構造体の加速度の周波数応答を示す図である。 従来提案されている、スカイフックダンパを用いた振動絶縁方法のマスばねモデルを示す図である。 図8の構成とする場合における構造体の加速度の周波数応答を示す図である。
符号の説明
1 基礎
2 構造体
3 ばね機構
4 固定点
5 駆動マス
6 ばね機構
7 アクチュエータ

Claims (1)

  1. 基礎上にばね定数k及び減衰定数cを備えたばね機構を介して支持される質量mの振動絶縁対象物に、質量mの駆動マスを、ばね定数k及び減衰定数cを有するばね機構を介在させて取り付けて、基礎が強制変位で振動して、このとき上記駆動マスを所要の駆動力で駆動するときの振動絶縁対象物の質量と駆動マスの質量に関する運動方程式をそれぞれたて、双方の運動方程式より、駆動マスの運動方程式における該駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する比例項である共振項を除去し、更に駆動マスの運動方程式における該駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対運動に関する慣性項の係数が、上記振動絶縁対象物との連成を表す慣性項の係数よりも小さくなるよう差異を生じさせた方程式を、
    Figure 0004617892
    ここで、
    G:制御ゲイン(正の定数)
    :振動絶縁対象物の変位
    :駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対変位
    g:g<m/(m+m)を満たす正値
    α:減衰を調整する定数
    として設定し、この方程式に、駆動マスの運動方程式である
    Figure 0004617892
    ここで、
    ζ=c/2(m1/2
    ω=(k/m1/2
    を一致させることができるようにするための駆動力を、振動絶縁対象物の速度と、駆動マスの振動絶縁対象物に対する相対変位、相対速度及び相対加速度を変数とする
    Figure 0004617892
    として求め、該求められた駆動力を、上記駆動マスへ与えて、上記振動絶縁対象物を振動絶縁することを特徴とする振動絶縁方法。
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