JP3993756B2 - 徐放性性フェロモン製剤の製造方法 - Google Patents

徐放性性フェロモン製剤の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、虫の性フェロモン物質を大気中に徐放して漂わせ、虫の交尾活動を阻害する交信撹乱用の徐放性性フェロモン製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
害虫による虫害防除の方法のひとつに、合成した害虫の性フェロモンを大気中に漂わせて雄雌の交尾を妨げる方法が普及している。この方法は、薬剤を直接散布して殺虫する方法に比べ、対象とする害虫が限定されることや、他の動植物への悪影響がほとんどないことから、環境に優しい殺虫方法として注目されている。性フェロモン剤は、交尾を妨げるという目的から、長期間にわたり一定の濃度で大気中に漂わせる必要があり、そのため、徐々にフェロモンが拡散する徐放性のものが主に実用化されている。
【0003】
例えば、各種樹脂製のフィルム、細管、アンプル等にフェロモンを充填、封入し、膜や壁面を通じてフェロモンを放出するもの(特開平9-132507号、特開昭56-142202号、特開昭57-9705号、特開昭57-72904号等);フェロモンを含浸させた多孔質体を樹脂製制御膜で被覆したもの(米国特許第4445641号、特開昭59-13701号、特開昭59-59734号等);微細な樹脂にフェロモンを含有させたもの(特開平6-192024号);高分子材料に性フェロモン剤を混合して成形したもの(特開平5-153891号)などが知られている。
【0004】
しかしながら、フェロモン剤を封入したものは、徐放速度が温度に強く依存し、特に春から夏にかけての徐放速度制御が難しく、製品の性能を安定化させることが困難であるとともに、その形状も限られることから、取扱い、特に植物の枝葉に取付けて使用する場合、取付けや除去作業が煩雑で多大な労力を要するという問題がある。また、フェロモンを樹脂等に含浸させたものは、樹脂中に均一に含浸させるのが困難であり、含浸し易くするために多孔質体や樹脂を微粒子にすると、薬剤の保持量が少なくなるとともに、表面積が大きくなり、効果が長続きしないという問題がある。さらに、高分子材料に性フェロモン剤を混合して成形した場合にも、性フェロモンを成形体の内部まで均一に含浸させるのは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、成形体内部に性フェロモン剤を均一に含浸させることができ、長期にわたって当該性フェロモン剤を均一に放出することができ、しかも取扱いが容易な形状の性フェロモン製剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、性フェロモン剤を超臨界流体と混合して、樹脂成形体又は溶融樹脂中に含浸させれば、成形体の内部まで性フェロモン剤が均一に含浸され、長期にわたって当該性フェロモン剤が均一に放出され、しかも取付けや除去が容易な形状の性フェロモン製剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、樹脂成形体(多孔質材料を除く)を高圧容器に入れ、性フェロモン剤を混合した超臨界流体を加えた後、高圧容器内の温度及び圧力を臨界状態に保ち、性フェロモン剤を成形体内に含浸させることを特徴とする性フェロモン剤の製造方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、樹脂材料を成形機に入れて溶融状態にし、性フェロモン剤を混合した超臨界流体を加え、樹脂材料に性フェロモン剤を含浸させた後、成形して成形体とすることを特徴とする性フェロモン製剤の製造方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、ガスを加圧・加熱して超臨界流体にする超臨界流体発生装置と、性フェロモン剤を供給する薬剤タンクと、性フェロモン剤を加圧して超臨界流体に添加する加圧手段と、超臨界流体及び性フェロモン剤の注入量を調整する調整弁と、樹脂材料を溶融して超臨界流体及び性フェロモン剤を含浸させ、当該樹脂を成形する成形機を含む性フェロモン製剤の製造装置を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の性フェロモン製剤は、樹脂成形体又は溶融樹脂材料中に、超臨界流体及び性フェロモン剤を含浸させて得られる。
ここで用いる樹脂材料としては、性フェロモン剤を含浸し得るものであれば特に制限されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の汎用樹脂;ポリアセタール、ナイロン6、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の汎用エンプラ;ABS樹脂、AS樹脂、ポリメチルメタアクリレート等の準エンプラ;ナイロン610、ナイロン12、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイト等の特殊エンプラ;ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)等の生分解性プラスチックなどが挙げられる。
【0013】
これらの樹脂材料は、それぞれの有する特性に応じて、適宜選択して用いることができる。例えば、安価な汎用樹脂は、種類も多く、製造コストを下げることができ;生分解性の樹脂を用いれば、使用後に圃場に放置しても環境に悪影響を与えることがなく、回収・廃棄の手間を省くことができ;性フェロモン剤の徐放期間中は形状を保持し、その後は崩壊する、崩壊性のある樹脂を用いれば、使用期間に合わせて崩壊速度を制御することができ、製剤の回収・廃棄の手間を省くことができる。
【0014】
また、樹脂は、超臨界流体との相溶性の違いにより、超臨界流体の含浸速度が変化し、それに伴って性フェロモン剤の含浸能力も変化するため、相溶性の異なる樹脂を用いることにより、含浸速度を最適化することができる。一方、性フェロモン剤との相溶性の善し悪しは、フェロモン剤の含浸速度や放出速度に影響を与えるため、相溶性の異なる樹脂を組み合わせることにより、特に放出速度を最適化することができる。
さらに、植物体等に取りつける際の物性を考慮して、例えば弾力性のある樹脂を用いれば、取り付けの際に破損したり、植物体を傷つける可能性がなく、取扱いが容易である。また、温度や紫外線の影響を受けにくい樹脂がより好ましい。
【0015】
これらの樹脂材料は、通常の樹脂成形方法、例えば押出、インジェクション、ブロー、シート、フィルム、紡糸等により、成形することができる。
【0016】
成形体の形状は特に制限されず、例えば寒冷紗、ロープ、シート、フィルム、テープ等の通常の農作業で使用する物資と同じ形状で、取扱いや設置が容易な形状又は通常の農作業において別の目的で使用している形状;クリップ、ピンチ、ナスカン、ひも、粘土、ゲル等の取り付け、取り外しが容易な形状;飛行機等から直接散布する場合には、例えば起き上がりこぼしのような機構を用い、常に性フェロモン剤が含浸している樹脂が地面に直接接しないような形状などが挙げられる。
【0017】
一方、樹脂に含浸させる性フェロモン剤としては、通常の性フェロモン製剤に用いられるものであれば特に制限されず、例えばZ−ドデセニルアセテート等の不飽和二重結合を有する高級脂肪族性フェロモン化合物;フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル等のエステル化合物;リシン目害虫の性フェロモンとして知られている、炭素数12〜20の不飽和脂肪族の炭化水素、アセテート、アルデヒド、アルコール又はケトン化合物などが挙げられる。これらの性フェロモン剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
また、超臨界流体としては、二酸化炭素、窒素、その他メタノールや水等の有機又は無機物が挙げられ、特に二酸化炭素、窒素又はこれらの混合物が好ましい。
【0019】
性フェロモン剤を超臨界流体と混合して含浸させる際には、樹脂や超臨界流体の相溶性を良くするために、アルコール、ヘキサン、ヘプタン、エーテル等の有機溶剤を加えても良く、また、含浸速度を上げるために、アセトン等の有機溶剤を加えて樹脂を膨潤させても良い。さらに、安定化剤や、紫外線吸収剤等を添加することもできる。
【0020】
また、性フェロモン剤の放出速度は、例えば次に示す事項を変化させることにより制御することができるため、目的に応じて適宜条件を選択することができる。
(1)樹脂、超臨界流体及び性フェロモン剤の相溶性:
相溶性が悪い場合には、速く放出される。
(2)樹脂の厚み:
薄いと早く放出される。
(3)樹脂の密度:
密度が高いと放出速度が遅くなる。
(4)多層構造:
各種の樹脂を組合わせて多層化又は複合化して徐放速度を制御する。例えば、表層に放出速度の高い樹脂を用いて温度が低い春先の放出速度を高く維持し、内層に放出速度の遅い樹脂を用いて夏場の高温時の放出速度を制御するなど、目的に応じた放出速度に制御することができる。
【0021】
本発明の性フェロモン製剤は、例えば(i)樹脂成形体を高圧容器に入れ、性フェロモン剤を混合した超臨界流体を加えた後、高圧容器内の温度及び圧力を臨界状態に保ち、性フェロモン剤を成形体内に含浸させる方法、(ii)樹脂材料を成形機に入れて溶融状態にし、性フェロモン剤を混合した超臨界流体を加え、樹脂材料に性フェロモン剤を含浸させた後、成形する方法などにより製造することができる。
【0022】
図1に上記(i)の製造方法に用いる装置を示す。この装置は、ガスを加圧・加熱して超臨界流体にする超臨界流体発生装置(4)と、性フェロモン剤を供給する薬剤タンク(5)と、性フェロモン剤を加圧して超臨界流体に添加する加圧手段(6)と、成形体(2)に性フェロモン剤を混合した超臨界流体を含浸させる高圧容器(3)とを含むものである。
【0023】
この製造装置においては、まず、成形体を高圧容器に入れて密閉し、真空ポンプを用いて容器内の空気を不活性ガスに置換する。次に、容器内が臨界温度以上になるように調整し、なるべく臨界温度が保持できるように少しづつ性フェロモン剤を混合した超臨界流体を供給し、容器内の圧力を臨界圧力以上に保つ。例えば、二酸化炭素の場合、超臨界温度は304.1K、超臨界圧力は7.38MPaであり、窒素の場合、臨界温度は126K、臨界圧力が3.4MPaであることから、これ以上の温度・圧力で超臨界の状態を保つ必要がある。また、性フェロモン剤の熱劣化防止と、樹脂への含浸量を増やすため、処理する温度はできるだけ低く、圧力は高い方が好ましい。また、性フェロモン剤を混合した超臨界流体を圧力容器内に急速に供給すると、容器内にドライアイスが形成されるだけでなく、容器内部の成形体が風圧でダメージを受ける危険性があるため、できるだけ穏やかに供給するのが好ましい。
【0024】
超臨界流体に性フェロモン剤を混合する際には、バッファータンクを設けてその中で両者を混合しても良いし、高圧容器内に直接両者を注入しても良いが、特に性フェロモン剤を均一に含浸させるためには、予め混合しておくのが好ましい。高圧容器は、超臨界状態が保てる圧力に耐え、温度制御が可能な容器であれば特に制限されず、サイズは容器内の温度ムラが製品の品質に影響を与えない範囲であれば良い。また、作業効率の点から、複数の高圧容器を用いて含浸させ、空白の時間を少なくするのがより好ましい。
性フェロモン剤を混合した超臨界流体を、一定時間所定の温度・圧力で含浸させた後、容器内のガスを大気開放し、性フェロモン製剤を取り出す。含浸させる時間は、温度や圧力、成形体の形状や大きさ、樹脂の種類や性フェロモン剤、超臨界流体の種類、添加剤の有無等により異なるが、例えば厚さ1.6mmのシートで添加剤を加えない場合には、5〜20時間、特に10〜15時間が好ましい。また、容器内のガスの大気開放の際には、急激に圧力を開放すると、成形体が凍り付く場合があるため、圧力は徐々に開放するのが好ましい。
【0025】
この方法によれば、低温で性フェロモン剤を含浸させることができ、また、成形体の形状を選ばず、しかも一度使用した成形体に再度性フェロモン剤を含浸させることも可能であり、性フェロモン製剤のリサイクルにも好適である。
性フェロモン製剤をリサイクルするには、一定期間使用して効果がなくなったものについて、洗浄、乾燥した後、強度の大幅な低下や大きな破損がないことを確認し、前記と同様にして、成形体に性フェロモン剤を再び含浸させれば良い。それにより、廃棄物の量及び使用する成形体の量を減らすことが可能となる。
【0026】
次に、図2及び図3に上記(ii)の製造方法に用いる装置を示す。これらの装置は、ガス又は液体を加圧・加熱して超臨界流体にする超臨界流体発生装置(4)と、性フェロモン剤を供給する薬剤タンク(5)と、性フェロモン剤を加圧して超臨界流体に添加する加圧手段(6)と、超臨界流体及び性フェロモン剤の注入量を調整する調整弁(11)と、樹脂材料を溶融して超臨界流体及び性フェロモン剤を含浸させ、当該樹脂を成形する成形機を含むものである。
【0027】
このうち、図2の装置は、成形機として押出機を用い、シートを成形するものである。原料(1)を定量的に供給する重量フィーダ(8)と、原料を溶融して超臨界流体を均一に分散させる二軸スクリュ押出機(9)と、シリンダ内の圧力を保持するためのギアポンプ(13)と、シートを成形するシートダイス(14)及び巻き取り装置(15)と、ガス又は液体を加圧・加熱して超臨界流体にする超臨界流体発生装置(4)と、性フェロモン剤を供給する薬剤タンク(5)と、性フェロモン剤を加圧して超臨界流体に添加する加圧手段(6)からなる。
【0028】
重量フィーダにて定量的に供給された原料は、二軸スクリュ押出機のシリンダ(10)内で溶融状態となる。シリンダ内はギアポンプの流動抵抗により臨界圧力以上に保たれており、性フェロモン剤を混合した超臨界流体は、流量調整弁(11)により溶融樹脂との混合比率が一定になるように超臨界流体注入口(12)から供給される。この際、シリンダ内の圧力が臨界圧力以下でも良いが、超臨界流体が供給された際には臨界圧力となり得る圧力であるのが好ましい。また、押出機は単軸でも二軸でも良いが、超臨界流体及び性フェロモン剤の分散が良い二軸スクリュ押出機が好ましい。また、複数の押出機を組み合わせたタンデム型の押出機を使用することもできる。
【0029】
シリンダ内で超臨界流体及び性フェロモン剤を含浸させた溶融樹脂は、ダイスから押出されて冷却され、シート状に成形されるが、この際、圧力の低下に伴って、超臨界流体が気体となって発泡する場合があり、ダイスを出る樹脂の温度が高い場合にはセルサイズの大きい発泡シートとなり、徐放速度が速くなり、逆にダイスを出る樹脂の温度が低く、ダイスを出た樹脂を直ちに冷却した場合にはセルサイズの小さな発泡シートとなって徐放速度が遅くなる。また、さらにシート巻き取り装置により圧延した場合には、さらに密度が高いシートが得られ、徐放速度もさらに遅くなる。セルサイズは特に制限されないが、セルサイズが大きいほど密度が小さくなって徐放速度が速くなり、セルサイズが小さいほど徐放速度が遅くなる。また、巻き取り装置でセルをつぶして除去することにより、さらに徐放速度を遅くできる。セルサイズが異なる、すなわち密度の異なるシートを多層にして、徐放速度をより細かく制御することもできる。
【0030】
また、図3の装置は、成形機として射出成形機を用いるものである。射出成形機(20)と、ガスを加圧・加熱して超臨界流体とする超臨界流体発生装置(4)と、性フェロモン剤を供給する薬剤タンク(5)と、ON−OFF弁(21)で構成されている。射出成型機には、原料(1)を投入するホッパー(22)と、原料を過疎化して超臨界流体を均一に分散させるシリンダ(23)と、成形体を成形する金型(24)が設置されている。
【0031】
ホッパーから供給された原料は、過疎化工程にて過疎化され、シリンダ内で加圧される。そして、加圧された又は加圧途中の樹脂に、ON−OFFバルブを通じて性フェロモン剤を混合した超臨界流体を供給し、シリンダ内で溶融樹脂に分散・含浸させる。次に、スクリュを前進させて性フェロモン剤及び超臨界流体が含浸した溶融樹脂を金型内に供給し、冷却して取り出す。この際、樹脂温度や金型圧力、冷却速度等の条件を調整することにより、密度の異なる性フェロモン製剤を得ることができる。また、本発明により射出成型した製剤は、成形体の表層に密度の高いスキン層が、成形体内部に密度の低い層が形成されるため、長期間にわたり徐放性能を維持することが可能となる。さらに、複数のシリンダを組み合わせて複数種の性フェロモン剤及び超臨界流体含浸樹脂を多材質成形することにより、徐放性をより精度良く制御することができる。
【0032】
また、前記のいずれかの方法で得られた性フェロモン製剤は、図4に示すように、さらに恒温槽等の加熱手段に入れて加熱することにより成形体を発泡体とし、起泡内に性フェロモン剤を保持させることもできる。
加熱温度は、製剤に用いた樹脂の融点若しくは軟化点付近、又はそれ以上とするのが好ましい。例えば、軟化点120℃のポリスチレンをベースポリマーとした厚さ1.3mmのシート状製剤の場合、110〜150℃で、2〜30秒加熱するのが好ましい。
【0033】
このようにして得られた本発明の性フェロモン製剤は、図5に示すように、性フェロモン剤が樹脂内部にも均一に含浸されており、この性フェロモン剤は、徐々に大気中に放出され、大気中の性フェロモン剤濃度が一定に保たれる。長期にわたって均一な放出速度制御が可能である。
【0034】
本発明の性フェロモン製剤は、成形体の形状に応じて、通常農作業の現場で使用される資材、植物体に取り付けて使用する資材等として、通常の方法により使用することができる。
【0035】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1
市販のポリプロピレン樹脂(比重0.90)、高密度ポリエチレン(比重0.95)、ポリスチレン(比重0.95)を原料としてシートを成形し、それらを切断して90mm×25mm×2mmの試験片を作成した。この試験片を圧力容器(耐圧工業社製、容量1L)に入れ、容器内の温度を333Kに調整した。容器内の空気を真空ポンプで排出した後、炭酸ガスで常圧に戻す操作を3回繰り返して容器内の空気を炭酸ガスに置換し、予めテトラデカノール(東京化成社製)で飽和させた超臨界炭酸ガスを少しづつ圧力容器に供給した。容器内の圧力が18MPaとなった時点で圧力を一定に保ち、24時間この状態を保持した後、バルブを開いて徐々に圧力を下げ、常圧に戻した。圧力容器内から成形体を取り出し、直ちにガラスアンプル瓶に密閉した。成形体の重量変化からテトラデカノールの含浸量を算出した結果、ポリプロピレンは約0.4%、高密度ポリエチレンは約0.3%、ポリスチレンは約2.0%であった。この成形体をアンプル瓶から取り出し、22℃の恒温室に入れ、無風状態で養生した。一定期間毎にガスクロマトグラフ(ヘッドスペース法)にて成形体内のテトラデカノール残存量を算出した。結果を表1及び図6に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003993756
【0038】
表1及び図6の結果より、樹脂中のテトラデカノールの残存率は一次間数的に低下しており、長期にわたって均一な放出速度制御が可能である。
【0039】
実施例2
二軸スクリュ押出機(日本製鋼所社製、TEX30、耐高圧仕様)に、市販のポリプロピレン樹脂(比重0.90)を10kg/hの割合で投入した。押出機のシリンダ内は、先端に設置されているギアポンプが抵抗体となって二酸化炭素の臨界圧以上に保たれており、ギアポンプ下流側にはシートダイス(W50mm×L50mm×t1mm)が設置されている。超臨界流体発生装置で超臨界状態とした二酸化炭素に、プランジャー方式の液添ポンプにより加圧したテトラデカノール(東京化成社製)を100g/hで添加し、押出機の過疎化部より下流側のシリンダから液添ノズルを通じて溶融樹脂に注入した。そして、60〜80rpmで回転するニーディングディスクにより、テトラデカノールを含む超臨界二酸化炭素を溶融樹脂中に分散・拡散させた。ダイから出た樹脂は、ダイ近傍に設置された冷却ロールにより、厚さ0.5〜1mmのシートに成形された。
得られたシート中のテトラデカノールの含浸量を測定したところ、約0.5%であることが確認された。また、22℃の恒温槽内で150日間の放出速度を調べたところ、ほぼ一定の速度で放出されていることが確認された。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、性フェロモン剤が成形体の内部にまで均一に含浸し、長期にわたって均一な放出速度制御が可能であり、農作業で取扱い易い形状の性フェロモン製剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧力容器を用いる本発明の性フェロモン製剤製造装置を示す概略図である。
【図2】押出成形機を用いる本発明の性フェロモン製剤製造装置を示す概略図である。
【図3】射出成形機を用いる本発明の性フェロモン製剤製造装置を示す概略図である。
【図4】加熱手段により成形体を発泡させる本発明の性フェロモン製剤製造装置を示す概略図である。
【図5】本発明の性フェロモン製剤において、性フェロモン剤が大気中に放出される模式図である。
【図6】実施例1において、テトラデカノールの残存率の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 原料
2 成形体
3 高圧容器
4 超臨界流体発生装置
5 薬剤タンク
6 加圧手段
7 逆流防止弁
8 重量フィーダ
9 二軸スクリュ押出機
10 シリンダ
11 流量調整弁
12 超臨界流体注入口
13 ギアポンプ
14 シートダイス
15 シート巻き取り装置
20 射出成形機
21 ON−OFF弁
22 ホッパー
23 シリンダ
24 金型
26 加熱手段
27 発泡性フェロモン製剤
28 コンベア

Claims (5)

  1. 樹脂成形体(多孔質材料を除く)を高圧容器に入れ、性フェロモン剤を混合した超臨界流体を加えた後、高圧容器内の温度及び圧力を臨界状態に保ち、性フェロモン剤を成形体内に含浸させることを特徴とする性フェロモン剤の製造方法。
  2. 樹脂材料を成形機に入れて溶融状態にし、性フェロモン剤を混合した超臨界流体を加え、樹脂材料に性フェロモン剤を含浸させた後、成形して成形体とすることを特徴とする性フェロモン製剤の製造方法。
  3. さらに、成形体を加熱手段で加熱して発泡体にする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. ガスを加圧・加熱して超臨界流体にする超臨界流体発生装置と、性フェロモン剤を供給する薬剤タンクと、性フェロモン剤を加圧して超臨界流体に添加する加圧手段と、超臨界流体及び性フェロモン剤の注入量を調整する調整弁と、樹脂材料を溶融して超臨界流体及び性フェロモン剤を含浸させ、当該樹脂を成形する成形機を含む性フェロモン製剤の製造装置。
  5. 成形機が、押出機又は射出成形機である請求項記載の製造装置。
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