JP3993684B2 - 作業車両の負荷制御機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無段変速装置(HST)にて変速される農耕用作業車両(農耕用トラクタ)等の作業車両において、内燃機関の負荷状態や機関回転数に応じてトルク制御を行って作業負荷を均一に保持する負荷制御機構の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子ガバナ装置を搭載した農耕用作業車両(農耕用トラクタ)等の対地作業車両では、作業負荷を前提として、内燃機関の出力軸における一定の負荷状態(負荷率≒機関回転数/設定機関回転数)を設定し、作業走行中は、土壌の硬軟等により変化する機関出力軸の負荷状態(負荷率)を検出して、検出負荷率と設定負荷率とを比較し、過負荷状態(検出負荷率が設定負荷率より大きい状態)や少負荷状態(検出負荷率が設定負荷率より小さい状態)の時に燃料噴射量を調節して機関出力軸のトルクを増減し、実負荷率を設定負荷率に近付け、作業負荷を一定に保持するようにし(定負荷制御)、均質な作業を得るようにした技術が公知となっている。
【0003】
一方、同じく電子ガバナ装置を搭載した対地作業車両において、負荷量ではなく、車速を一定に保持すべく、機関回転数を一定に保持するように制御する技術(定速制御)も公知となっている。
【0004】
以上のいずれにおいても、機関保護の観点よりガバナ制御にて出力の最大値が設定されており、各機関回転数毎に発生できるトルク最大値も抑えられている。
【0005】
ところで、作業負荷が小さく、機関を低回転で運転可能な場合は、機関の出力に余裕があり、後者のように定速走行を行うことができるが、耕耘作業等、作業負荷が高い場合には、機関回転数も最大許容量付近の定格域で運転され、最大出力が抑えられ、一定機関回転数毎のトルク増大の許容幅が限られているので、トルク増大のためにある程度機関回転数の低下も考慮に入れた定負荷走行が有効である。
【0006】
また、対地作業中にて内燃機関の過負荷を検出した場合には、一時的に対地作業機を上昇させて(耕耘作業においては耕深を浅くして)負荷を軽減する構成が公知となっている。
【0007】
更に、このような電子ガバナ式農耕用移動車両において、無段変速装置(HST)を搭載し、車速を無段変速可能としたものが公知となっており、この場合、HST油圧ポンプの可動斜板を、HST操作レバー(変速レバー)と機械的に連結して、該レバーの動きに伴って可動斜板を同期移動させる構成としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電子ガバナ式農耕用移動車両において、機関回転数の定格域またはその近傍で定負荷走行を行っている場合には、前記のようにガバナの出力制御にて同一回転数での最大トルクが抑えられているため、機関回転数の低減が伴うが、機関回転数があまり低減するとエンストの可能性を孕む。従来、負荷の検出に基づく定負荷走行においては、対地作業機が硬質の土壌に当たる等して機関回転数が極度に低下した時には過負荷を検出するので、この時に前記のように対地作業機を一時的に上昇させる制御を行うのである。これにより、機関回転数を落とすことなく、即ちエンストを生じさせることなく過負荷状態から抜け出すことができるが、一方では、耕盤に凹凸を生じさせるので、その後の田植え作業中に田植機がローリングやピッチングを起こし、正確な田植え作業ができず、オペレータの疲労も呼び、作業精度を低くする要因となる。
【0009】
なお、過負荷状態の時にHSTを低速側に落とせば、減速比を大きくすることとなり、機関回転数を落とすことなく(即ちエンストのおそれなく)機関出力軸のトルクを高めることができるが、従来、HSTの変速操作は前記のHST操作レバーの人為操作にのみ頼るものであり、咄嗟に判断してレバーを低速側に操作するのは至難の業である。
【0010】
また、仮に過負荷状態及び少負荷状態の時にHST出力軸の回転数を補正してトルクの増減を行う制御が可能であるとすると、前記のように、過負荷状態でも機関回転数が低い(即ち、定格域よりも低い)場合には機関出力に余裕があり、定負荷制御よりも定速制御、即ち、車速を均一にする制御の方が望ましく、この場合にもHST出力軸の制御を行うのは、この定速制御に反目する。
【0011】
一方、少負荷状態においては、実負荷(負荷率)を設定負荷(負荷率)に近づけるように、HST出力軸を高速化する(即ち、トルクを低減する)こととなるが、あまり高速化しては、ついには設定速度を超えてしまい、対地作業のピッチ(例えば耕耘ピッチ、播種ピッチ、移植ピッチ等)が狂い、また、作業者に不安を与え、却って不具合を生じる。また、過負荷状態時において無段変速装置を減速する時は、速やかに減速して過負荷状態を脱することが望ましいが、少負荷時において無段変速装置を増速する時には、急激に増速するとトルクが急に低減するためにガバナによる機関負荷の制御が追いつかないので、ゆっくりと増速する方がよい。
【0012】
このように、HST出力軸により負荷制御(定負荷制御)を行う機構を構成するにしても、時には車速との兼ね合いで制御が不要な場合があり、また、過負荷状態と少負荷状態で制御速度を変更する方が望ましいという事情がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上のような課題を解決すべく、次のような作業車両の負荷制御機構を提供するものである。
少なくとも、エンジン(E)及び、該エンジン(E)の制御機構である電子ガバナ装置(2)と、HST式無段変速装置(3)及びその制御機構とを備え、前記の電子ガバナ装置(2)は、少なくとも、機関回転数検出手段である回転数モニタ(M2)と、機関回転数設定手段であるアクセルセンサ(S4)と、機関負荷検出手段である負荷率モニタ(M1)と、機関負荷設定手段である負荷率設定器(23)とを具備し、前記のHST式無段変速装置(3)の制御機構は、少なくとも、変速位置設定手段であるHST操作レバー(9)と、変速位置検出手段である斜板角センサ(S1)と、変速位置補正手段である斜板制御モータ(8)と、前記HST式無段変速装置(3)の油圧モータ(M)の出力軸(3b)の回転数を検出する変速出力回転数センサ(S2)を具備した作業車両の負荷制御機構であって、前記HST操作レバー(9)の回動操作により連結ロッド(22)を押し引きし回動軸(21)を回動して、HST式無段変速装置(3)の油圧ポンプ(P)の可動斜板を移動し、前記斜板制御モータ(8)の駆動に伴い、前記回動軸(21)を回動し、前記HST操作レバー(9)の場合と同様に、HST式無段変速装置(3)の油圧ポンプ(P)の可動斜板を変更可能とし、前記負荷率モニタ(M1)の検出により、エンジン(E)の過負荷状態または少負荷状態が判定された場合に、前記斜板制御モータ(8)を用いて、エンジン(E)の負荷を前記負荷率設定器(23)の設定値にするように前記HST式無段変速装置(3)の出力制御を行ない、前記斜板制御モータ(8)によるHST式無段変速装置(3)の出力制御に際しては、前記油圧モータ(M)の出力軸(3b)の回転数を検出する変速出力回転数センサ(S2)の検出回転数(SHR)に、前記負荷率モニタ(M1)が検出した検出負荷率(EL)と、前記負荷率設定器(23)にて設定された設定負荷率(SL)の比(SL/EL)を乗じた数値、或いはこの数値に基づいて演算した数値を、無段変速装置の出力軸の目標回転数とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、添付の図面を基に説明する。図1は、本発明に係る作業車両の実施例としての農耕用トラクタの全体側面図、図2は、図1図示の農耕用トラクタにおけるクラッチハウジングとミッションケースを中心とする部分の側面図、図3は、同じく平面図、図4は、本発明に係る負荷制御機構のシステムブロック図、図5は、本発明に係るHST出力制御を利用した負荷制御機構の基本制御フローチャート図、図6は、図5図示の制御に加え、過負荷状態で設定機関回転数が定格域未満で、かつ設定機関回転数に対して機関実回転数が一定以下の場合に制御を停止する制御を含む制御フローチャート図、図7は、HST出力軸回転数に基づき斜板移動量を演算してHST出力制御を行う負荷制御のフローチャート図、図8は、同じく他の演算式により斜板移動量を演算する場合の負荷制御フローチャート図、図9は、過負荷状態と少負荷状態とで制御量を相違させた場合の負荷制御フローチャート図、図10は、同じく副変速装置の設定速度段により制御量を相違させた場合の負荷制御フローチャート図、図11は、少負荷状態においてHST変速位置が設定変速位置より高速側の場合に制御を停止する制御を含む負荷制御フローチャート図である。
【0015】
本発明に係る無段変速型農耕用移動車両(トラクタ)の全体構成を図1より説明する。車両本体の前後に左右前輪19と左右後輪20とが懸架され、前部のボンネット18内にエンジン(内燃機関)Eが搭載されており、電子ガバナ装置(内燃機関駆動制御装置)2が付設されている。エンジンEからの動力が後輪20に伝動されるべく、車両下部に前後方向にクラッチハウジング4・ミッションケース5が連設されており、クラッチハウジング4内の前半部は、図示されない主クラッチ機構が配設され、クラッチハウジング4とミッションケース5との間にHST3が配設され、ミッションケース5の後半部に機械式で複数段に速度設定可能な図示されない副変速装置が配設されている。即ち、エンジン動力が該主クラッチ機構、HST3、副変速装置を経て、後輪20の車軸へと伝動される。なお、前輪19にも動力を伝動可能としている。
【0016】
クラッチハウジング4上はステップ11となっており、該ステップ11の前部かつボンネット18の後部にダッシュボード12が立設され、該ダッシュボード12内に前後傾斜状にステアリングコラム13が配設され、その上端部が後上方に突設し、その上端にステアリングハンドル14を配設している。ステップ11の後部は、その左右両側をフェンダー15にて囲まれ、両フェンダー15間に座席16が配設されている。左右各フェンダー15の上面を利用して、後記HST操作レバー9等の各種レバー用のレバーガイド1aや、副変速スイッチ10等のスイッチ類を配したスイッチパネル1bが設けられている。これらのレバー及びスイッチ類の配設部分を、操作部1と称するものとする。前部のダッシュボード12より後部の座席16及び操作部1までの部分の上方は、キャビン17にて覆われている。
【0017】
更に、該ミッションケース5の上部には、(油圧式)対地作業機昇降制御装置6が配設されており、該対地作業機昇降制御装置6には左右リフトアーム6a・6aが後方に突設されていて上下回動されるものであり、また、該ミッションケース5の後端より、対地作業機駆動用のPTO軸7が突設されるとともに、該リフトアーム6aの上下回動に伴って上下回動する図示されない対地作業機装着用のリンク機構が後方に突設され、該リンク機構後端に車両後部に対地作業機(ロータリー耕耘機等)を装着して昇降可能とし、PTO軸7を介して駆動するものとしている。
【0018】
本実施例に係る車両は無段変速型、即ち、油圧式無段変速装置(HST)にて進行方向及び速度を制御されるものである。このHST3、該HST3の油圧ポンプの可動斜板位置を設定するための変速位置設定手段であるHST操作レバー9、及びHSTの制御装置における変速位置補正手段である斜板制御モータ8の配設構造について図1乃至図3より説明する。まず、HST3は、クラッチハウジング4内の後半部とミッションケース5内の前半部に配設される。HST3は前部の水平状油圧ポンプPと後部の水平状油圧モータMとを垂直板状のセンタセクション3cを介して連結して相互に流体連通させており、センタセクション3cはクラッチハウジング4とミッションケース5との間に介装されていて、両者を連結している。油圧ポンプPより前方にHST入力軸(ポンプ軸)3aを、油圧モータMより後方にHST出力軸(モータ軸)3bを、それぞれ水平状に突設している。ミッションケース5内の後半部には図示されないトランスミッション機構が配設されており、HST出力軸3bの回転を変速し、後輪20の車軸に伝動する。
【0019】
クラッチハウジング4内の前半部は、主クラッチ部であって、エンジンEの出力軸へ連設されるクラッチ機構を形成する他、図2の如く、上部の開口部4aより前記ステアリングコラム13の下端部が嵌入されて、ステアリング機構が形成されている。この前半部と、HST油圧ポンプPの配設される後半部との境界部分の上部に、該油圧ポンプPの可動斜板を位置制御する斜板制御モータ(電動モータ)8が配設されており、その後方にてダッシュボード12に覆われている。
【0020】
この斜板制御モータ8の出力部に、一定域で回動可能なモータアーム8bが配設されており、該モータアーム8bと、HST油圧ポンプPの直前方に配設された図2及び図3図示の垂直状の回動軸21の間にリンク機構が連結され、更に回動軸21とHST油圧ポンプPのトラニオン軸との間にリンク機構を連結している。こうして、可動斜板モータ8の駆動に伴って、回動軸21が回動し、それに連れて油圧ポンプPの可動斜板が回動し、変速位置を変更するものである。
【0021】
そして、油圧ポンプPの可動斜板を人為的に設定する変速位置設定手段であるHST操作レバー9は、前記の操作部1において、一方のフェンダー15上に形成されたレバーガイド1aに配設され、該HST操作レバー9より、図3図示の連結ロッド22が前記回動軸21に固設されたアーム21aに連結されている。即ち、HST操作レバー9の回動操作により連結ロッド22を押し引きし、これにより回動軸21を回動して、前記の斜板制御モータ8による回動軸21の回動時と同様に、油圧ポンプPの可動斜板を移動させるのである。
【0022】
また、前記のミッションケース5内に配設された副変速装置を複数段に切換可能な副変速スイッチ10が前記のスイッチパネル1bに配設されている。
【0023】
図1乃至図3図示の農耕用トラクタは、本発明のHST及びその制御装置を利用した負荷制御機構を適用した実施例であり、この負荷制御機構に関連するシステム構成について図4より説明する。HST制御用のコントローラCに対し、センサやスイッチ等の各種入力手段が、操作部1、ガバナ2、及びHST3に設けられている。まず、これらの入力手段について説明する。HST3においては、油圧ポンプPの可動斜板の角度を検出する(即ち、変速位置検出手段である)斜板角センサS1、HST出力軸(モータ軸)3bの回転数を検出する(即ち、変速出力回転数検出手段である)変速出力回転数センサS2を具備しており、コントローラCに対し、斜板角センサS1からは検出電圧(A/D)を入力し、出力軸回転数センサS2からは検出した矩形波信号を入力する。
【0024】
操作部1においては、前記可動斜板に機械式リンク機構にて連結されたHSTの変速位置設定手段(進行方向、変速位置又は変速量を設定する手段)であるHST操作レバー9が設けられていて、その回動角度を検出するHSTレバー角センサS3が具備されている。また、前記副変速スイッチ10が設けられていて、その切換に応じた入力信号がコントローラCに入力される。その他、対地作業機昇降制御装置6のリフトアーム6aを昇降させるための昇降スイッチや、左ブレーキスイッチ、右ブレーキスイッチ、各種運転モード設定用スイッチ等の、各種スイッチSW・SW・・・が設けられていて、それぞれのスイッチの切換に伴って、コントローラCに入力される。
【0025】
前記のエンジンEの燃料噴射量を調節する電子ガバナ装置(内燃機関駆動制御装置)2には、エンジンの負荷率(機関回転数/設定回転数)を検出する負荷率モニタ(即ち、機関負荷検出手段)M1及び回転数モニタ(即ち、機関回転数検出手段)M2を具備し、それぞれのモニタ矩形波をコントローラCに入力する。また、機関負荷設定手段としての負荷率設定器23が設けられており、その設定負荷率の設定値に基づく信号(電圧)がコントローラCに入力される。更に、アクセルレバーやアクセルペダル等の機関回転数設定手段が設けられていて、その設定量を検出するアクセルセンサS4より、電子ガバナ装置2及びコントローラCに、その検出電圧が入力される。
【0026】
出力手段としては、前記の作業機昇降制御装置6においてリフトアーム6a昇降用のアクチュエーター(油圧シリンダー等)6bが設けられており、コントローラCよりアクチュエーター6bに昇降駆動用の出力がなされる。また、モード設定や故障等を表示する各種表示ランプL・L・・・を具備する表示パネル25があり、コントローラCよりそれぞれの表示ランプLにON・OFF出力がなされる。またバッテリチェッカ24とコントローラCとの間で相互に通信がなされる。
【0027】
HST3は、油圧ポンプPの可動斜板が変位することにより、油圧モータMのモータ軸である出力軸3bの回転速度及び回転方向が変更される。この可動斜板は、オペレータによるHST操作レバー9の人為操作に追従して移動する一方、本発明の負荷制御用に変速位置補正手段として設けられた電動(D/C)モータである斜板制御モータ8の駆動により移動させることができる。斜板制御モータ8にはモータ駆動ユニット8aが付設されており、コントローラCよりモータ駆動ユニット8aに正転出力信号SG1、逆転出力信号SG2、駆動停止出力信号SG3が出力される。正転出力信号SG1と逆転出力信号SG2とはON・OFF出力信号であり、いずれか択一的に出力され、SG1・SG2のいずれかが出力されると同時に、PWM(パルス波信号)である駆動停止出力信号SG3が出力され、そのパルス波のデューティ値によって駆動速度が設定する。これらの出力信号SG1・SG2・SG3に基づいて、モータ駆動ユニット8aより斜板制御モータ8に駆動信号SG5が発信され、斜板制御モータ8が正転側または逆転側に所定速度で駆動して、可動斜板を移動させる。
【0028】
これにより、例えば、正転出力信号SG1と駆動停止出力信号SG3とが同時に出力された場合、可動斜板が斜板制御モータ8の正転する側(前進側とする。)に、駆動停止出力信号SG3のパルス波に基づく速度で移動する。逆転出力信号SG2と駆動停止出力信号SG3とが同時に出力されれば、可動斜板が後進側に所定速度で移動するのである。
【0029】
なお、モータ駆動ユニット8aには過負荷検出センサが具備されており、斜板制御モータ8の過負荷が検出されれば、この検出信号(過負荷異常信号)SG4がコントローラCに入力され、これに基づき、駆動停止出力信号SG3がデューティ値0の状態で発信されて、斜板制御モータ8を直ちに停止する。
【0030】
一方、可動斜板には前進側と後進側の移動域においてリミッタが設けられており、これに対応して、斜板制御モータ8にも正転側リミットと逆転側リミットが設けられていて、該斜板制御モータ8が各リミッタに達した時に、正転リミット信号SG6または逆転リミット信号SG7がコントローラCに発信される。
【0031】
以上のような農耕用作業車両(農耕用トラクタ)の構成及びHST制御機構に係るシステム構成において、本発明に係る負荷制御機構による制御について図5乃至図10図示のフローチャートより説明する。
【0032】
まず、図5は、本発明に係る負荷制御機構による負荷制御の基本フローチャートである。まず、オペレータがHST操作レバー9を操作することにより、HST3では油圧ポンプPの可動斜板がその設定位置に移動するが、この時のHST操作レバー9の設定位置が、レバー角センサS3にて検出される。本発明に係る負荷制御に当たり、まず、レバー角センサS3の検出値により、可動斜板位置が前進域に設定されていることが確認された場合に(St1)、コントローラCにおいて、前記負荷率モニタM1を介して検出負荷率ELを読み込み(St2)、負荷率設定器23にて設定された設定負荷率SLと比較する。
【0033】
検出負荷率ELが設定負荷率SLよりも大きい場合、即ち、過負荷状態の場合(St3)は、更に、アクセルセンサS4にて設定回転数ESを読み込む(St4)とともに、機関回転数モニタM2にて検出機関回転数ERを読み込む(St5)。ここで、コントローラCにおいては、エンストの可能性の目安として、設定機関回転数低下量DRが記憶されており、検出機関回転数ERと、過負荷基準回転数(ES−DR)とを比較演算する。検出機関回転数ERが過負荷基準回転数(ES−DR)を下回れば(St6)、エンストのおそれがあるので、トルクを高めるべく、斜板制御モータ8を用いて、油圧ポンプPの可動斜板を低速側に移動させる(St7)。これにより、車速は遅くなるものの、減速比が大きくなり、トルクが高まって、過負荷状態及びエンストのおそれのある状態を脱することができるのである。なお、検出機関回転数ERが過負荷基準回転数(ES−DR)より高い場合は(St8)、エンストのおそれはなく、可動斜板を移動させて車速を落とさなくても機関出力軸が十分のトルクを保持しており、そのままの状態で対地作業を継続するルーチンに移行する。
【0034】
検出負荷率ELが設定負荷率SLよりも小さい場合、即ち、少負荷状態の場合(St9)は、負荷が低すぎて、作業性が低下していることを示すものであり、HST出力軸の回転数を高めるだけのトルクの余裕もあるので、斜板制御モータ8を用いて油圧ポンプPの可動斜板を高速側に移動させる(St10)。これにより、HST出力軸の回転数が高まり、作業性が向上する。
【0035】
そして、油圧ポンプPの可動斜板は、検出負荷率ELが設定負荷率SLと一致する時点で停止され(St11)、この状態でガバナ制御をしながら対地作業を行うことにより、定負荷走行が可能となるのである。
【0036】
なお、前記の制御において、検出負荷率ELが設定負荷率SLよりも大きい場合(過負荷状態)に、検出機関回転数ERと過負荷基準回転数(ES−DR)との比較演算を行うのは、エンストの可能性のない状態には可動斜板を動かさずに定速走行を行えるようにするという意味がある(この場合には、ガバナ制御にて機関回転数を一定にしたままトルクを高めることができる。)が、これは、機関回転数が低い状態に設定されていて、出力に余裕がある場合に有効であり、設定機関回転数ESが定格回転数域またはその近傍に設定されている状態では、出力に余裕がなく、前記の定負荷走行制御を行っており、この定負荷走行制御でもなお過負荷状態である場合において、可動斜板を低速側に移動させて更に機関出力軸のトルクを高める制御を行い、過負荷状態を脱するのである。
【0037】
このように、機関回転数の設定域によって制御を切り換えるようにしたフローチャートが、図6にて図示される。即ち、過負荷検出時において(St3)、まず、機関回転数の設定域を判定する。即ち、アクセルセンサS4にて設定回転数ESを読み込み(St4)、機関回転数の定格点又は定格域未満の回転数である基準回転数ERTと比較し、基準回転数ERT以上の場合(St4+b)には、機関回転数の検出によりエンストの可能性を見るまでもなく、斜板制御モータ8を用いて、油圧ポンプPの可動斜板を低速側に移動させる(St7)。そして、設定回転数ESが基準回転数ERTを下回る場合(St4+a)には、設定回転数が低回転数域であり、エンストの可能性がない場合に定速走行の余地を残すため、前記の検出機関回転数ERと、過負荷基準回転数(ES−DR)との比較演算に基づき、斜板制御モータ8を用いての、油圧ポンプPの可動斜板の低速側への移動を行うかどうかを判断する(St6〜7 or St8)。
【0038】
なお、以後の図7乃至図11のフローチャートでは、図6図示の設定機関回転数の設定域に基づいて制御の可否を判断する制御(St4+a or St4+b)は含まれておらず、図5図示のフローチャートの応用となっているが、図6図示のフローチャートの応用、即ち、ステップ(St4+a)及び(St4+b)を含むものとしてもよい。
【0039】
さて、図5及び図6図示のフローチャートによる負荷検出に基づくHST出力軸制御においては、斜板制御モータ8により可動斜板を移動させては負荷(負荷率)を検出し、可動斜板を移動させるか否か、また、いずれの側に移動させるかを判断しては、また可動斜板を移動させ、これを検出負荷率ELと設定負荷率SLとの一致が検出される時点まで繰り返す。従って、過負荷または少負荷が検出されてから可動斜板の最終位置到達時までに時間がかかり、この間にトルク不足によるハンチングを起こしたり、エンストを起こしたりする可能性がある。
【0040】
そこで、図7または図8図示のフローチャートでは、一度の負荷検出で過負荷または少負荷が判定された場合に、過負荷または少負荷を解消できると判断されるHST出力軸3bの目標回転数HRを算出し、HST出力軸3bの検出回転数SHRをこの目標回転数HRにするように斜板を移動する。即ち、エンジン負荷率ELの読み込み(St2)の際に、HST出力軸回転数センサSS を介して検出HST出力回転数SHRを読み込んでおき(St1+a)、過負荷状態が検出され(St3)、かつエンジン回転数がエンストのおそれがあるほど低下していることが検出された場合に(St6)、読み込んでおいた設定負荷率SL、検出負荷率EL、及びHST出力軸3bの検出回転数SHRに基づき、HST出力軸3bの目標回転数HRを算出し(St6+a or St6+b)、HST出力軸3bの回転数を目標回転数HRとするように、斜板制御モータ8によりHST油圧ポンプPの可動斜板を低速側に移動させる(St7’)。
【0041】
また、負荷率ELの検出の際に少負荷状態が検出された場合(St9)にも、読み込んでおいた設定負荷率SL、検出負荷率EL、及びHST出力軸3bの検出回転数SHRに基づいて、HST出力軸3bの目標回転数HRを算出し(St9+a or St9+b)、HST出力軸3bの回転数を目標回転数HRとするように、斜板制御モータ8によりHST油圧ポンプPの可動斜板を高速側に移動させる(St10’)。
【0042】
次に、HST出力軸3bの目標回転数HRの演算式であるが、図7図示のフローチャートにおいては、数1の如くである。
【0043】
【数1】
【0044】
数1は、HST出力軸3bの目標回転数HRを、検出回転数SHRの比例値とし、比例係数を、検出負荷率ELに対しての設定負荷率SLの比としたものである。過負荷の場合、(SL/EL)<1なので、 HR<SHRとなり、斜板を低速側に移動させることとなる。一方、少負荷の場合、(SL/EL)>1なので、HR>SHRとなり、斜板を高速側に移動させることとなる。
【0045】
一方、図8図示のフローチャートにおいては、HST出力軸3bの目標回転数HRを、過負荷時(かつ機関回転数が一定以上低い時)に、数2の如く演算し、少負荷時に、数3の如く演算する。
【0046】
【数2】
【0047】
【数3】
【0048】
数2、数3中のnには、例えば2又は3の数字が代入される。これらの演算式は、機関回転数を一定とした場合に、土壌からの負荷が通常、HST出力軸3bの回転速度(即ち、回転数)の二条又は三条に比例することに着目したものである。即ち、HST出力軸3bの目標回転数HRは、本来、設定負荷率SLの時に現れる回転数であって、負荷(負荷率)の増減に伴うHST出力軸3bの回転数の増減値をΔSHR(=|SHR−HR|>0)とすれば、負荷率とHST出力軸回転数との間に数4の関係式が成り立つことから、ΔSHRは、数5の如く求められ、過負荷の場合にはHR=SHR−ΔSHR、少負荷の場合にはHR=SHR+ΔSHRとするので、数2及び図3が得られるのである。
【0049】
【数4】
【0050】
【数5】
【0051】
ところで、HST出力軸3bの回転数を変更すれば、それに伴って変動した負荷に追従できる機関回転数や機関トルクがガバナ制御にて設定され、エンストやハンチングが回避される。エンストを回避するには、過負荷状態を速やかに脱することが望ましく、また、HST出力軸3bに追従してのガバナによる機関回転数や機関トルクの制御は、HST出力軸3bを減速した状態であればその後で十分に間に合うので、HST油圧ポンプの可動斜板はできるだけ速く低速側に移動させたいが、しかし一方で、少負荷状態の時に急に可動斜板が高速側に移動すると、HST出力軸3bのトルクが急激に低下し、負荷変動も激しく、ガバナ制御がこれに追いつかず、その結果、ハンチングが生じるおそれがある。
【0052】
そこでまず、少負荷状時においては、可動斜板をゆるやかに高速側に移動させるものとし、一方、過負荷時においては速やかにこれを解消すべく、まず、機関負荷が設定負荷よりも小さくなる所まで可動斜板を急激に低速側に移動させ、その後、ゆるやかに可動斜板を高速側に移動させて、設定負荷まで負荷を立ち上げる。いずれにおいても、可動斜板の高速側への移動をゆるやかにすることで、ガバナが十分に負荷変動に追従して機関回転数を制御し、ハンチングを防止できるのである。
【0053】
図9図示のフローチャートは、この制御を取り入れたものである。即ち、コントローラCにおいて、斜板制御モータ8によるHST油圧ポンプPの可動斜板の低速側への移動量として、制御量SGを設定しており、一方、高速側への移動量として制御量SZを設定している。制御量SGは、過負荷状態より抜け出して少負荷状態となるほど十分な量に設定してあり、制御量SZは、制御量SGを基にHST出力軸3bを減速して少負荷となった状態から負荷率が設定負荷率まで、或いはそれよりも低い値になるまで立ち上がるように設定された量である。従って、SG>SZである。
【0054】
まず、少負荷状態の時には(St9)、小さな制御量SZにて可動斜板が高速側に移動する(St10”)ので、設定負荷に近づくまで可動斜板が小刻みに移動制御され、従って、HST出力軸3bはゆっくりと増速される。一方、過負荷状態でエンストのおそれのあるほどに機関回転数が落ちている時において(St6)、大きな制御量SGにより可動斜板が低速側に一気に移動される(St7”)。この結果、次にエンジン負荷率ELを検出する時(St2)には、SL>ELとなっているので(St9)、小さな制御量SZを基に可動斜板を高速側に移動させ、負荷率を徐々に設定負荷率に近づける(St10”)。
【0055】
また、一回の少負荷状態の判定による可動斜板の高速側への移動制御の後、すぐに次の負荷率検出を行うと、ガバナ制御による負荷率制御がまだ追従していない状態なので、負荷率はまだ不安定な状態にあり、この負荷率検出時に仮に負荷率が少しでも設定負荷率を上回っていると、また負荷率を低減するようHST出力軸3bが一気に大きく減速されてしまい、却って負荷変動を激しくして負荷が不安定になってしまうので、ガバナ制御が追従できるように、無駄時間Tを置き(St10”+a)、次の負荷率検出時には、ガバナ制御にて負荷率が十分に制御された状態であるようにするものである。
【0056】
なお、制御量SG及びSZは様々な設定条件により変更するものとし、図10図示のフローチャートでは、HST3と直列的に配設される副変速装置の設定速度段により変更されるものとしている。即ち、本実施例では副変速装置を一速及び二速に択一設定できるものとしており、副変速が一速の時は、制御量SG=SG1、制御量SZ=SZ1とし、副変速が二速の時は、制御量SG=SG2、制御量SZ=SZ2としている。また、副変速段が一速の時の減速比をR1、二速の時の減速比をR2とすれば、R1:R2=SG1:SG2=SZ1:SZ2としている。
【0057】
フローチャートに沿って説明すると、過負荷時でエンストのおそれがある程に低機関回転である時(St6)、前記副変速スイッチ10の入力状態により副変速段を読み込み、それが一速である場合には(St6+c)、制御量SG=SG1として(St6+d)、また、二速である場合には(St6+e)、制御量SG=SG2として(St6+f)、斜板制御モータ8によりHST油圧ポンプPの可動斜板を低速側に移動する(St7”)。そして、少負荷の場合には(St9)、副変速段が一速である場合には(St9+c)、制御量SZ=SZ1として(St9+d)、また、二速である場合には(St9+e)、制御量SZ=SZ2として(St9+f)、斜板制御モータ8によりHST油圧ポンプPの可動斜板を低速側に移動する(St10”)。
【0058】
さて、以上の図5乃至図10図示のフローチャートにおいては、少負荷時には作業効率の向上のため、可動斜板を高速側に移動させるのであるが(St10等)、この場合には、HST操作レバー9による設定変速段に考慮しなければ、少負荷であるからといって設定速度よりも車速が早くなってしまっては、対地作業のピッチ(耕耘ピッチ、播種ピッチ、移植ピッチ等)も狂い、作業精度が悪化する。
【0059】
そこで、図11図示のフローチャートによる制御では、エンジン負荷率の読み込み(St2)の結果、少負荷状態と判定された時(St9)、コントローラCにおいて、HST操作レバー9の位置(レバー位置HS)をレバー角センサS3にて読み込み(St9+g)、更に、HST油圧ポンプPの可動斜板の位置(斜板位置SS)を斜板角センサS1にて読み込み(St9+h)、レバー位置HSと斜板位置SSとの比較演算を行い、レバー位置HSより斜板位置SSが低速側である場合(HS>SS)に(St9+i)、斜板の高速側への移動を行い(St10)、斜板位置SSがレバー位置HSと同じかそれよりも高速側になった時に(St12)、斜板の移動を停止するものとしている(St13)。
【0060】
図11図示のフローチャートは、図5図示の基本フローチャートを基としているが、図7乃至図10のフローチャートに応用してもよい。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、作業車両の負荷制御機構を以上のように構成したので、次のような効果を奏する。
請求項1記載の如く、少なくとも、エンジン(E)及び、該エンジン(E)の制御機構である電子ガバナ装置(2)と、HST式無段変速装置(3)及びその制御機構とを備え、前記の電子ガバナ装置(2)は、少なくとも、機関回転数検出手段である回転数モニタ(M2)と、機関回転数設定手段であるアクセルセンサ(S4)と、機関負荷検出手段である負荷率モニタ(M1)と、機関負荷設定手段である負荷率設定器(23)とを具備し 、前記のHST式無段変速装置(3)の制御機構は、少なくとも、変速位置設定手段であるHST操作レバー(9)と、変速位置検出手段である斜板角センサ(S1)と、変速位置補正手段である斜板制御モータ(8)と、前記HST式無段変速装置(3)の油圧モータ(M)の出力軸(3b)の回転数を検出する変速出力回転数センサ(S2)を具備した作業車両の負荷制御機構であって、前記HST操作レバー(9)の回動操作により連結ロッド(22)を押し引きし回動軸(21)を回動して、HST式無段変速装置(3)の油圧ポンプ(P)の可動斜板を移動し、前記斜板制御モータ(8)の駆動に伴い、前記回動軸(21)を回動し、前記HST操作レバー(9)の場合と同様に、HST式無段変速装置(3)の油圧ポンプ(P)の可動斜板を変更可能とし、前記負荷率モニタ(M1)の検出により、エンジン(E)の過負荷状態または少負荷状態が判定された場合に、前記斜板制御モータ(8)を用いて、エンジン(E)の負荷を前記負荷率設定器(23)の設定値にするように前記HST式無段変速装置(3)の出力制御を行ない、前記斜板制御モータ(8)によるHST式無段変速装置(3)の出力制御に際しては、前記油圧モータ(M)の出力軸(3b)の回転数を検出する変速出力回転数センサ(S2)の検出回転数(SHR)に、前記負荷率モニタ(M1)が検出した検出負荷率(EL)と、前記負荷率設定器(23)にて設定された設定負荷率(SL)の比(SL/EL)を乗じた数値、或いはこの数値に基づいて演算した数値を、無段変速装置の出力軸の目標回転数とするので、負荷制御手段として、変速位置の補正手段を用いて無段変速装置の出力制御を行うことで、過負荷状態(実負荷が設定負荷よりも大きい状態)となった時に、例えば機関回転数が定格域で運転されている時は、ガバナ制御にて機関回転数を低減したり、また、対地作業機を上昇したりすることなく、無段変速装置の出力軸を減速することでトルクを上昇でき、機関回転数を低減させてエンストの可能性を生じさせたり、また対地作業機を上昇して耕盤に凹凸を生じさせたりしなくてすむ。
【0062】
また、負荷の検出の結果、少負荷状態(実負荷が設定負荷よりも小さい状態)である場合には、変速位置の補正手段により、無段変速装置の出力軸を増速することで、トルクを低減し、目標とする負荷(設定負荷)に近づけ、土壌に十分な負荷をかけた良好な対地作業を行うことができる。
【0063】
また、前記変速位置補正手段による無段変速装置の出力制御に際しては、前記無段変速出力回転数検出手段の検出回転数に、機関負荷の実際値に対する設定値の比を乗じた数値、或いはこの数値に基づいて演算した数値を、無段変速装置の出力軸の目標回転数とするものとしており、このように目標値を定めることで、少し変速位置を移動させては負荷検出を行ってまた変速位置の制御を判断するというような反応の鈍い制御となることを回避する。このため、負荷制御としての無段変速装置の出力制御に際して、制御が遅れてハンチングやエンストを生じさせるということがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る作業車両の実施例としての農耕用トラクタの全体側面図である。
【図2】 図1図示の農耕用トラクタにおけるクラッチハウジングとミッションケースを中心とする部分の側面図である。
【図3】 同じく平面図である。
【図4】 本発明に係る負荷制御機構のシステムブロック図である。
【図5】 本発明に係るHST出力制御を利用した負荷制御機構の基本制御フローチャート図である。
【図6】 図5図示の制御に加え、過負荷状態で設定機関回転数が定格域未満で、かつ設定機関回転数に対して機関実回転数が一定以下の場合に制御を停止する制御を含む制御フローチャート図である。
【図7】 HST出力軸回転数に基づき斜板移動量を演算してHST出力制御を行う負荷制御のフローチャート図である。
【図8】 同じく他の演算式により斜板移動量を演算する場合の負荷制御フローチャート図である。
【図9】 過負荷状態と少負荷状態とで制御量を相違させた場合の負荷制御フローチャート図である。
【図10】 同じく副変速装置の設定速度段により制御量を相違させた場合の負荷制御フローチャート図である。
【図11】 少負荷状態においてHST変速位置が設定変速位置より高速側の場合に制御を停止する制御を含む負荷制御フローチャート図である。
【符号の説明】
1 操作部
2 電子ガバナ装置
3 無段変速装置(HST)
3b 変速出力軸
8 斜板制御モータ(変速位置補正手段)
9 HST操作レバー(主変速レバー)
10 副変速スイッチ
23 負荷率設定器(機関負荷設定手段)
P 油圧ポンプ
M 油圧モータ
S1 斜板角センサ(変速位置検出手段)
S2 変速出力回転数センサ(変速出力回転数検出手段)
S3 レバー角センサ(変速位置設定手段)
S4 アクセルセンサ(機関回転数設定手段)
M1 負荷率モニタ(機関負荷検出手段)
M2 回転数モニタ(機関回転数検出手段)
Claims (1)
- 少なくとも、エンジン(E)及び、該エンジン(E)の制御機構である電子ガバナ装置(2)と、HST式無段変速装置(3)及びその制御機構とを備え、前記の電子ガバナ装置(2)は、少なくとも、機関回転数検出手段である回転数モニタ(M2)と、機関回転数設定手段であるアクセルセンサ(S4)と、機関負荷検出手段である負荷率モニタ(M1)と、機関負荷設定手段である負荷率設定器(23)とを具備し、前記のHST式無段変速装置(3)の制御機構は、少なくとも、変速位置設定手段であるHST操作レバー(9)と、変速位置検出手段である斜板角センサ(S1)と、変速位置補正手段である斜板制御モータ(8)と、前記HST式無段変速装置(3)の油圧モータ(M)の出力軸(3b)の回転数を検出する変速出力回転数センサ(S2)を具備した作業車両の負荷制御機構であって、前記HST操作レバー(9)の回動操作により連結ロッド(22)を押し引きし回動軸(21)を回動して、HST式無段変速装置(3)の油圧ポンプ(P)の可動斜板を移動し、前記斜板制御モータ(8)の駆動に伴い、前記回動軸(21)を回動し、前記HST操作レバー(9)の場合と同様に、HST式無段変速装置(3)の油圧ポンプ(P)の可動斜板を変更可能とし、前記負荷率モニタ(M1)の検出により、エンジン(E)の過負荷状態または少負荷状態が判定された場合に、前記斜板制御モータ(8)を用いて、エンジン(E)の負荷を前記負荷率設定器(23)の設定値にするように前記HST式無段変速装置(3)の出力制御を行ない、前記斜板制御モータ(8)によるHST式無段変速装置(3)の出力制御に際しては、前記油圧モータ(M)の出力軸(3b)の回転数を検出する変速出力回転数センサ(S2)の検出回転数(SHR)に、前記負荷率モニタ(M1)が検出した検出負荷率(EL)と、前記負荷率設定器(23)にて設定された設定負荷率(SL)の比(SL/EL)を乗じた数値、或いはこの数値に基づいて演算した数値を、無段変速装置の出力軸の目標回転数とすることを特徴とする作業車両の負荷制御機構。
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