JP3993499B2 - キャスク及び金属ガスケット - Google Patents

キャスク及び金属ガスケット Download PDF

Info

Publication number
JP3993499B2
JP3993499B2 JP2002288063A JP2002288063A JP3993499B2 JP 3993499 B2 JP3993499 B2 JP 3993499B2 JP 2002288063 A JP2002288063 A JP 2002288063A JP 2002288063 A JP2002288063 A JP 2002288063A JP 3993499 B2 JP3993499 B2 JP 3993499B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal gasket
coil spring
jacket
annular coil
lid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2002288063A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004125533A (ja
Inventor
勝成 大園
正晴 南
信二 大亀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2002288063A priority Critical patent/JP3993499B2/ja
Publication of JP2004125533A publication Critical patent/JP2004125533A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3993499B2 publication Critical patent/JP3993499B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Gasket Seals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃焼を終えたリサイクル燃料集合体を収容する圧力容器であって、長期間の貯蔵においても十分な密封性能を維持できる信頼性の高いキャスク及び金属ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
核燃料サイクルの終期にあって燃焼を終え使用できなくなった核燃料集合体を、リサイクル燃料集合体という。リサイクル燃料集合体は、FPなど高放射能物質を含むので熱的に冷却する必要があるので、原子力発電所の冷却ピットで約10年間冷却される。その後、放射線の遮蔽機能を持つリサイクル燃料集合体格納容器であるキャスクに収納され、トラック等の輸送手段で再処理施設に搬送された後、貯蔵される。キャスク内には、高放射能物質が収容されているので、40〜60年が見込まれる貯蔵期間中における当該キャスクの密封には厳重な注意が必要である。このようなキャスクの従来例としては、特許文献1や非特許文献1等に様々な種類のものが開示されているので、必要があればこれらを参照されたい。
【0003】
図17は、キャスクのシールに使用する従来の金属ガスケット及びキャスクのシール部を示す拡大図である。なお、一次蓋507と胴本体501との間及び二次蓋508と胴本体501との間のシール部は同様の密封構造となる。ガスケット溝525は機械加工により形成され、使用する金属ガスケット518、519は二連リング構造のものを用いる。この金属ガスケット518、519は、腐食や高温酸化に強いインコネル(登録商標:クロム16%、鉄7%を含むニッケル系合金)によって製作したコイルスプリング521に、同じくインコネル製の内被522で被覆し、さらに、アルミニウム製の外被523により内外輪をまとめて被覆した構成である。図17(a)は、金属ガスケット518(519)の使用前における状態を示す。金属ガスケット518(519)は、二次蓋508等と胴本体501等とが固定されると、その締め付け力によって図17(b)のように変形し、密封機能を発揮する。
【0004】
ガスケット溝525に対しては、外被523部分に設けたボルト穴を用いて固定する。前記金属ガスケット518、519には、例えば原子力用キャスクに対する使用実績が多い、日本バルカー工業株式会社製「トライバック」やフランス国のCEFILAC社製の「ヘリコフレックスシール」などを用いることができる。
【0005】
金属ガスケットの塑性変形率と密封性能の温度・時間依存性はLarson-Miller Parameter(LMP)により表すことが可能であり、その詳細は、非特許文献1に記載されているので、必要があればこれを適宜参照されたい。一般的に、金属ガスケットの長期密封性能は、密封保持限界のLMPを求め、所定温度における限界時間を予測することにより評価される。また、このような金属ガスケットにおいて密封性を確保する構造は、シングルリングタイプの金属ガスケットではあるが、外被523と内被522との間に固体潤滑材被覆を形成して、リークを抑える金属ガスケットが特許文献2に開示されている。
【0006】
【特許文献1】
実公平5−75154号公報 p1、図1、図2
【非特許文献1】
原子力eye 平成10年4月1日発行、日刊工業出版プロダクション p32〜p39
【非特許文献2】
リサイクル燃料貯蔵キャスクの長期密封性能評価手法の開発 加藤、伊東、三枝 日本原子力学会誌、Vol.38,No.6,95〜101,1996
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リサイクル燃料集合体を内部に格納したキャスク500は、貯蔵施設で数十年という長い期間貯蔵される。このとき、リサイクル燃料の崩壊熱によって、金属ガスケット518、519は120℃程度の環境下で使用が開始される。そして、数十年の貯蔵期間中、徐々に金属ガスケット518、519の使用環境温度が低下し、貯蔵期間の末期には60℃程度の環境下で使用されることになる。
【0008】
密封性能を高めるため、一般に金属ガスケット518、519の外被523は軟質金属であるアルミニウムであるが、上記温度範囲はアルミニウムにとって高温クリープと低温クリープとの間である。このため、初期には十分な密封性能を持っていた金属ガスケット518、519であっても、高温環境下における長期間の使用によってクリープ変形による応力緩和現象が発生し、密封性能の低下を招くおそれがあった。また、従来の金属ガスケット518、519は、数MPaの作用圧力の下で密封を保つ性能を持っているが、作用圧力が高い分、強い力で外被523を押し付けることになる。このため、外被523がクリープしやすく、数十年の長期にわたり所定の密封性能を維持できる金属ガスケットは、クリープ変形の少ない高級材料(例えば金、銀等)を外被523に使用するのが現状であった。また、上記特許文献1に開示された構造の金属ガスケットにおいても、このクリープ変形を低減させることはできず、長期貯蔵においては個体潤滑剤被覆が劣化して金属ガスケットの応力緩和現象を引き起こすおそれもあった。
【0009】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、数十年の長期間にわたり比較的高温環境下にいて使用される場合であっても、金属ガスケットの劣化を最小限にして十分な密封性能を確保することを達成できるキャスク及び金属ガスケットを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明に係るキャスクは、リサイクル燃料集合体を収納するバスケットを格納するキャビティが形成された放射線を遮蔽する胴本体と、当該胴本体のキャビティ開口側に取り付けられる蓋と、環状のコイルスプリングと、当該コイルスプリングを被覆する金属の外被とを有し、前記胴本体と前記蓋との間に介在して前記キャビティ内の密封を保持する金属ガスケットとを備え、前記コイルスプリングは、インコネルからなるコイルスプリングAと同じスプリング外径且つ前記コイルスプリングAよりも細いスプリング素線径で、前記コイルスプリングAと同等の曲げ剛性となる材料からなることを特徴とする。
【0011】
このキャスクは、インコネル(登録商標:クロム16%、鉄7%を含むニッケル系合金、以下同様)からなるコイルスプリングAと同じスプリング外径で、且つこのコイルスプリングAよりも細いスプリング素線径で、コイルスプリングAと同等の曲げ剛性を発生できる材料からなるコイルスプリングを備えた金属ガスケットによって密封する。このような構成により素線径を細くできるので、金属ガスケットを構成するコイルスプリングの表面における応力を小さくできる。これによって、コイルスプリングのへたりを極小にできるので、数十年にわたる長期貯蔵においても、金属ガスケットの劣化を抑制して高い密封性能を維持できる。ここで、コイルスプリング30の曲げ剛性とは、コイルスプリング30の径方向に力Pを加えた場合における、コイルスプリング30の径方向に対する変形のし難さをいう(以下同様)。
【0012】
本発明に係るコイルスプリングの材料には、この発明に係るキャスクのように、ステンレスを使用することが好ましい。ステンレスの弾性係数はインコネルよりも高いので、同じスプリング外径であってもより素線径の細い線材を使用できる。また、ステンレスは耐食性も高いので、安全性を確保する観点から水中でリサイクル燃料集合体が胴本体に挿入されるキャスクの密封に好適である。また、ステンレスの他にはピアノ線を使用することもできる。ピアノ線はステンレスよりも弾性係数が大きいので、コイルスプリングの素線径をさらに小さくして、表面の応力をさらに小さくできる。なお、ピアノ線はステンレスと比較して耐食性が低いので、めっきやイオンプレーティング等によって、ピアノ線表面にクロムや金等の耐食性皮膜を予め形成することが好ましい。
【0013】
また、この発明に係るキャスクは、リサイクル燃料集合体を収納するバスケットを格納するキャビティが形成された放射線を遮蔽する胴本体と、当該胴本体のキャビティ開口側に取り付けられる蓋と、ステンレスからなる環状のコイルスプリングと、当該コイルスプリングを被覆する金属の外被とを有し、前記胴本体と前記蓋との間に介在して前記キャビティ内の密封を保持する金属ガスケットとを備え、前記コイルスプリングの素線径dと前記金属ガスケットの断面直径Dとの比d/Dが0.02以上0.08以下であることを特徴とする。
【0014】
このキャスクは、ステンレスからなるコイルスプリングの素線径dと金属ガスケットの断面直径Dとの比が、0.02以上0.08以下となるようにしてある。この範囲であれば、コイルスプリングの素線径を細くして曲げ剛性を低くすることで、コイルスプリングの表面における応力を小さくするとともに十分なスプリングバック量を確保できる。これによって、長期間の貯蔵によって外被がクリープダウンした場合でも、十分なスプリングバック量を確保できる。また、コイルスプリングのへたりを極小にできる。これらの相互作用によって数十年にわたる長期貯蔵においても安定した密封性能を発揮できるので、キャスク輸送時の安全性を確保できる。
【0015】
また、この発明に係るキャスクは、上記キャスクにおいて、さらに、上記金属ガスケットの外被は、上記胴本体及び上記蓋と接するシール領域が平面を有する形状に予め形成されたことを特徴とする。
【0016】
このキャスクは、上記キャスクにおいて、外被のシール領域を予め平面に形成した金属ガスケットを用いて、蓋と胴本体との密封を保持する。このため、密封対象物である蓋及び胴本体と金属ガスケット外被のシール領域とが平面で接するので、前記外被のシール領域における応力集中を分散させて、応力分布をより均一にできる。これによって、外被のクリープ変形の進行を抑制できるので、長期貯蔵においても金属ガスケットの応力緩和現象を抑えることができる。また、応力緩和現象を抑えることによって、金属ガスケットのスプリングバック量も多くとることができる。さらに、コイルスプリングの素線径を細くして曲げ剛性を低くすることで、コイルスプリングの表面における応力を小さくするとともに十分なスプリングバック量を確保できる。これによって、蓋と胴本体とのずれに対する裕度を大きくできる。その結果、長期貯蔵においてもより高い安全性を担保できる。
【0017】
また、この発明に係るキャスクは、上記キャスクにおいて、さらに、上記金属ガスケットは、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆して一体化したことを特徴とする。
【0018】
このキャスクは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で一体とした金属ガスケットによって、胴本体と蓋とを密封する。そして、個々のコイルスプリングについては、上記キャスクの構成を適用するので、上記キャスクの奏する作用効果が得られる。さらに、外被同士で個々のコイルスプリングを一体化しているので、長期間貯蔵において外被がクリープ変形しても、二個のコイルスプリングが互いにこのクリープ変形を規制する。これによって、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、より高い安全性を担保できる。
【0019】
また、この発明に係るキャスクは、上記キャスクにおいて、さらに、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆し、且つ上記外被の端部同士を接合して断面楕円状に形成したことを特徴とする。
【0020】
このキャスクは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で被覆した後、外被の端部同士を接合した断面楕円状の金属ガスケットによって、胴本体と蓋とを密封する。このため、蓋側と胴本体側との両方のシール領域において、二個のコイルスプリングが互いに外被のクリープ変形を規制できる。これによって、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、長期貯蔵においてさらに高い安全性を担保できる。また、外被の端部同士を接合することによって、金属ガスケットの濡れ面積を最小にした完全な密封構造とすることができる。キャスクは、安全上の配慮から、水を満たしたプール内で使用済み燃料集合体を格納し、金属ガスケットを介して本体胴と蓋とで密封する。このため、真空乾燥その他の手段で水分を除去する必要があるが、この金属ガスケットは内部に水分が浸入しないので耐腐食性に優れ、長期貯蔵における信頼性を高くできる。また、金属ガスケットの濡れ面積が小さいので、従来よりも容易に乾燥できる。なお、金属ガスケットの断面を楕円状としたものには、金属ガスケットの断面を通常の楕円形としたものの他、図14(a)に示すように二つの円弧と二つの直線とで構成されるレーストラック状の形状も含まれるものとする(以下同様)。なお、個々のコイルスプリングについては、上記キャスクの構成を適用するので、上記キャスクの奏する作用効果が得られることはいうまでもない。
【0021】
また、この発明に係るキャスクは、上記キャスクにおいて、上記二個の環状のコイルスプリングのうち、一方の直径を他方の直径よりも小さくしたことを特徴とする。
【0022】
このキャスクは、異なるフープ径を持つ二個の環状のコイルスプリングを同心状に配置し、両者のスプリング直径を異ならせて径の異なるガスケットリングを備えた金属ガスケットを用いる。このため、径の大きい方のガスケットリングがキャスクの胴本体及び蓋と接するが、この状態で真空乾燥すれば、径の小さいほうのガスケットリング側に隙間が残るので、金属ガスケットに付着した水分が容易に蒸発する。このように、金属ガスケット内の水分を十分に取り除くことができるので、金属ガスケットが腐食するおそれを極小にできる。これによって、長期間の貯蔵においても密封性能の信頼性を高くできる。なお、個々のコイルスプリングについては、上記キャスクの構成を適用するので、上記キャスクの奏する作用効果が得られることはいうまでもない。
【0023】
また、この発明に係るキャスクは、上記キャスクにおいて、さらに、上記外被は、上記胴本体及び上記蓋よりも軟らかい金属であることを特徴とする。このため、金属ガスケットによってキャスクの胴本体や蓋を傷つけることはないので、胴本体等を容易に再利用することができる。
【0024】
また、この発明に係るキャスクは、上記キャスクにおいて、さらに、上記外被は上記胴本体及び上記蓋よりも腐食電位が高い金属であることを特徴とする。このため、まず外被から腐食するため、高価なキャスクの胴本体及び蓋を腐食から守ることができる。
【0025】
また、この発明に係るキャスクは、上記キャスクにおいて、さらに、上記環状コイルスプリングと上記外被との間に、上記環状のコイルスプリングを被覆する内被を備えたことを特徴とする。
【0026】
このキャスクは、コイルスプリングと外被との間に、コイルスプリングを被覆する内被をさらに備えた金属ガスケットを使用する。このため、上記キャスク又は金属ガスケットの奏する作用・効果の他に、この内被によってコイルスプリングの押圧力が外被に均等に伝わるという作用が得られる。これによって、外被の局所的な応力集中を分散させることができるので、外被のクリープ変形に起因する応力緩和現象を抑えて、長期貯蔵における信頼性を高めることができる。
【0027】
また、この発明に係る金属ガスケットは、インコネルからなるコイルスプリングAと同じスプリング外径且つ前記コイルスプリングAよりも細いスプリング素線径で、前記コイルスプリングAと同等の曲げ剛性となる環状のコイルスプリングと、当該環状のコイルスプリングを被覆して密封対象物と接する環状の外被とを備えたことを特徴とする。
【0028】
この金属ガスケットは、インコネルからなるコイルスプリングAと同じスプリング外径で、且つこのコイルスプリングAよりも細いスプリング素線径で、コイルスプリングAと同等の曲げ剛性を発生できる材料からなるコイルスプリングを外被の内側に備える。このような構成により素線径を細くできるので、金属ガスケットを構成するコイルスプリングの表面における応力を小さくできる。これによって、コイルスプリングのへたりを極小にできるので、例えばキャスクによる数十年にわたってリサイクル燃料集合体を長期貯蔵する場合においても、金属ガスケットの劣化を抑制して高い密封性能を維持できる。
【0029】
本発明に係るコイルスプリングの材料には、ステンレス材を使用することが好ましい。ステンレスの弾性係数はインコネルよりも高いので、同じスプリング外径であってもより素線径の細い線材を使用できる。また、ステンレスは耐食性も高いので、安全性を確保する観点から水中でリサイクル燃料集合体が胴本体に挿入されるキャスクの密封に好適である。また、ステンレスの他にはピアノ線を使用することもできる。ピアノ線はステンレスよりも弾性係数が大きいので、コイルスプリングの素線径をさらに小さくして、表面の応力をさらに小さくできる。なお、ピアノ線はステンレスと比較して耐食性が低いので、めっきやイオンプレーティング等によって、ピアノ線表面にクロムや金等の耐食性皮膜を予め形成することが好ましい。
【0030】
また、この発明に係る金属ガスケットは、ステンレスからなる環状のコイルスプリングと、当該環状のコイルスプリングを被覆して密封対象物と接する環状の外被とを備え、前記コイルスプリングの素線径dと前記環状のコイルスプリングを被覆した前記外被の断面直径Dとの比d/Dが0.02以上0.08以下であることを特徴とする。
【0031】
この金属ガスケットは、外被の内側に備えられるステンレスからなるコイルスプリングの素線径dと金属ガスケットの断面直径Dとの比が、0.02以上0.08以下となるようにしてある。この範囲であれば、コイルスプリングの素線径を細くして曲げ剛性を低くすることで、コイルスプリングの表面における応力を小さくするとともに十分なスプリングバック量を確保できる。これによって、例えばキャスクによるリサイクル燃料集合体の長期間の貯蔵によって外被がクリープダウンした場合でも、十分なスプリングバック量を確保できる。また、コイルスプリングのへたりを極小にできる。これらの相互作用によって数十年にわたるリサイクル燃料集合体の長期貯蔵においても安定した密封性能を発揮できるので、安全性を確保できる。
【0032】
さらに具体的には、環状のコイルスプリングの素線径dは約0.35mm以上約0.80mm以下であり、金属ガスケットの断面直径Dは約5.0mm以上約12.0以下である。このような範囲であれば、ある程度の曲げ剛性を確保しつつスプリングバック量を大きくする効果を得ることができるので、長期使用においても高い密封性能を維持でき、また、胴本体と蓋とのずれに対する裕度も維持できる。
【0033】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、上記環状のコイルスプリングは、素線の断面形状が矩形であることを特徴とする。
【0034】
この金属ガスケットは、断面形状が矩形の素線を使用している。このため、断面円形のコイルスプリングと比較して内被や外被との接触面積を大きくできるので、より均等にコイルスプリングの反発力を外被に伝えることができる。これによって、外被の応力分布をより均等にできるので、クリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象を低減できる。その結果、長期使用においても密封性能を維持できる。なお、本発明にいう矩形には、正方形と長方形とを含むものとする(以下同様)。
【0035】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、上記外被は、上記密封対象物と接するシール領域が予め平面を有する形状に形成されたことを特徴とする。
【0036】
この金属ガスケットは、外被のシール領域を予め平面に形成してある。このため、密封対象物である蓋及び胴本体と金属ガスケット外被のシール領域とが平面で接するので、前記外被のシール領域における応力集中を分散させて、応力分布をより均一にできる。これによって、外被のクリープ変形の進行を抑制できるので、例えばキャスクによるリサイクル燃料集合体の長期貯蔵においても金属ガスケットの応力緩和現象を抑えることができる。また、応力緩和現象を抑えることによって、金属ガスケットのスプリングバック量も多くとることができる。さらに、コイルスプリングの素線径を細くして曲げ剛性を低くすることで、コイルスプリングの表面における応力を小さくするとともに十分なスプリングバック量を確保できる。これによって、蓋と胴本体とのずれに対する裕度を大きくできるので、長期貯蔵においてもより高い安全性を担保できる。
【0037】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、上記環状の外被における上記シール領域を形成する平面と、上記シール領域以外の部分とが交わる部分には、上記環状の外被の周方向に向かう段部が形成されていることを特徴とする。
【0038】
単に金属ガスケットのシール領域を平面に形成したのでは、シール領域とシール領域以外の部分とが交わる部分に応力集中が生じてしまう。このため、当該部分に環状の外被の周方向に向かう段部を形成して、この部分における応力集中を低減させる。これによって、外被のシール領域における応力分布をさらに均一にできるので、外被のクリープ変形の進行をさらに抑制できる。したがって、長期使用においても金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えることができるので、さらに高い安全性を担保できる。
【0039】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、上記環状の外被の上記シール領域は、上記環状の外被の周方向に向かう少なくとも1の溝部を有することを特徴とする。
【0040】
金属ガスケットのシール領域を平面に形成した場合であっても、仕上げ具合によって応力が高くなる部分が存在する。この金属ガスケットでは、このような応力が高くなる部分に金属ガスケットの周方向に向かう溝を設けた金属ガスケットによって密封対象物を密封する。これによって、金属ガスケットのシール領域の応力集中を低減させて、応力分布を均一にできるので、クリープ変形の進行を抑制して、長期使用においても密封性能を維持できる。なお、溝部の寸法及び個数は、シール領域の応力分布に応じて適宜選択できる。
【0041】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、上記外被で被覆された上記環状のコイルスプリングの部分における断面が楕円形状であって、シール領域の曲率半径はシール領域以外の部分における曲率半径よりも大きいコイルスプリングを備えたことを特徴とする。
【0042】
この金属ガスケットは、シール領域の曲率半径はシール領域以外の部分における曲率半径よりも大きい楕円状の断面である。すなわち、断面円形の金属ガスケットを締め付け方向に対して押しつぶしたような形状である。このため、断面形状が円形である場合と比較して、スプリングの曲げ剛性を低くできる。これによって、スプリングバック量を十分に確保できるので、従来の金属ガスケットよりも大きなずれが生じても、密封対象物の気密を維持できるので、より安全に輸送できる。また、従来の金属ガスケットと比較して、このコイルスプリングは外被のシール領域とより大きな面積で接触するので、外被に作用する応力を従来よりも小さくできる。これによって、外被のクリープ変形を抑えて、応力緩和現象を低減できる。さらに、コイルスプリングの曲げ剛性は従来の金属ガスケットよりも小さいので、コイルスプリングの側部における外被のへたりを従来よりも低減でき、長期使用における信頼性を高くできる。
【0043】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆して一体化したことを特徴とする。
【0044】
この金属ガスケットは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で一体とした構成である。そして、個々のコイルスプリングについては、上記金属ガスケットの構成を適用するので、上記金属ガスケットの奏する作用効果が得られる。さらに、外被同士で個々のコイルスプリングを一体化しているので、長期間貯蔵において外被がクリープ変形しても、二個のコイルスプリングが互いにこのクリープ変形を規制する。これによって、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、より高い安全性を担保できる。
【0045】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆し、且つ上記外被の端部同士を接合して断面楕円状に形成したことを特徴とする。
【0046】
この金属ガスケットは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で被覆した後、外被の端部同士を接合してある。このため、蓋側と胴本体側との両方のシール領域において、二個のコイルスプリングが互いに外被のクリープ変形を規制できる。これによって、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、長期貯蔵においてさらに高い安全性を担保できる。また、外被の端部同士を接合することによって、金属ガスケットの濡れ面積を最小にした完全な密封構造とすることができる。このように、この金属ガスケットは内部に水分が浸入しないので耐腐食性に優れ、長期使用における信頼性を高くできる。また、金属ガスケットの濡れ面積が小さいので、乾燥は従来よりも容易である。なお、個々のコイルスプリングについては、上記キャスクの構成を適用するので、上記金属ガスケットの奏する作用効果が得られることはいうまでもない。
【0047】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、上記外被と上記二個の環状のコイルスプリングとで囲まれた空間に、上記金属ガスケットの締め付け方向に対する上記外被の動きを制限するスペーサを備えたことを特徴とする。
【0048】
この金属ガスケットは、同心状に配置したフープ径の異なる二個のコイルスプリングの間に、予めスペーサを備えてから外被の端部同士を接合してある。このため、このスペーサによって外被の変形を抑えることができるので、外被のクリープ変形をより抑制して、長期保管における信頼性をさらに高くできる。また、外被の端部同士を接合する際には、外被がこのスペーサによって支えられるので、外被の変形を抑えて端部同士を容易に接合できる。これによって、施工効率を高くでき、より確実に外被を接合できる。これによって、金属ガスケットの気密性をより高くして、接合部からの水の浸入をより確実に防止できるので、さらに耐腐食性能を高くできる。
【0049】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、上記二個の環状のコイルスプリングのうち、一方の直径を他方の直径よりも小さくしたことを特徴とする。
【0050】
この金属ガスケットは、異なるフープ径を持つ二個の環状のコイルスプリングを同心状に配置し、両者のスプリング直径を異ならせて径の異なるガスケットリングを備える。このため、径の大きい方のガスケットリングが密封対象物と接するが、この状態で真空乾燥すれば、径の小さいほうのガスケットリング側に隙間が残るので、金属ガスケットに付着した水分が容易に蒸発する。このように、金属ガスケット内の水分を十分に取り除くことができるので、金属ガスケットが腐食するおそれを極小にできる。これによって、長期使用においても密封性能の信頼性を高くできる。なお、個々のコイルスプリングについては、上記金属ガスケットの構成を適用するので、上記金属ガスケットの奏する作用効果が得られることはいうまでもない。
【0051】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、上記外被は、上記胴本体及び上記蓋よりも軟らかい金属であることを特徴とする。このため、金属ガスケットによって密封対象物を傷つけることはないので、密封対象物を容易に再利用することができる。
【0052】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、上記外被は上記胴本体及び上記蓋よりも腐食電位が高い金属であることを特徴とする。このため、まず金属ガスケットの外被から腐食するため、密封対象物を腐食から守ることができる。
【0053】
また、この発明に係る金属ガスケットは、上記金属ガスケットにおいて、さらに、上記環状コイルスプリングと上記外被との間に、上記環状のコイルスプリングを被覆する内被を備えたことを特徴とする。この金属ガスケットは、コイルスプリングと外被との間に、コイルスプリングを被覆する内被をさらに備える。このため、上記金属ガスケットの奏する作用・効果の他に、この内被によってコイルスプリングの押圧力が外被に均等に伝わるという作用が得られる。これによって、外被の局所的な応力集中を分散させることができるので、外被のクリープ変形に起因する応力緩和現象を抑えて、長期使用における密封性能の信頼性を高めることができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。ここで、本発明に係る金属ガスケットの適用範囲は特に限定されるものではなく、例えばキャスクのシールや原子炉格納容器のシール部分等にも適用できる。なお、この発明に係る金属ガスケットは、特に比較的高温環境下で数十年の単位で密閉性能を維持するような用途に適しており、そのような用途の中でもリサイクル燃料集合体を収納して運搬し、長期間貯蔵するキャスクに好適である。
【0055】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係るキャスクにおけるシール構造を示す説明図である。また、図2は、この発明の実施の形態1に係る金属ガスケットを示す断面図である。このキャスクのシール構造10は、素線径dと金属ガスケットの断面直径Dとの比d/Dが所定範囲のステンレスのコイルスプリング30を備えた金属ガスケット20を使用してシールする点に特徴がある。なお、実施の形態1に係る密封構造の金属ガスケット20は、フープ径Dfの異なる二個のコイルスプリング30aと30bとを同心状に配置して、両者を外被50によって被覆しながら結合する、いわゆるダブルリングタイプのものである。しかし、本発明に適用できる金属ガスケットはこのタイプには限られず、図2(b)に示すような、1個のコイルスプリング30を内被40と外被50とで被覆する、いわゆるシングルリングタイプの金属ガスケット20'にも適用できる。以下の実施の形態においても同様である。なお、内被40は必ずしも必要ではない。また、コイルスプリング30a、30bは、便宜上コイルスプリング30とも表記する。
【0056】
実施の形態1においては、図2(a)に示す金属ガスケット20のように、コイルスプリング30aと30bとの間の外被50を、図2(a)の下方向に向かってたわませた構造に対して本発明を適用した場合について説明する。また、このような構造の金属ガスケット20のみならず、図2(c)に示す金属ガスケット20''のように、コイルスプリング30aと30bとの間の外被50をたわませない構造に対しても本発明は適用できる。
【0057】
本発明に係る金属ガスケット20及びキャスクの密封構造について説明する前に、当該金属ガスケット20の主な適用対象であるキャスクについて概説する。図3は、キャスクの構造を示す断面図である。図4は、図3に示したキャスクの一部拡大図である。このキャスク500は、ステンレス製又は炭素鋼製の胴本体501と、キャスク外面を構成する外筒502と、胴本体501と外筒502との間に充填される水素を含有した高分子材料のレジン503と、胴本体501の下部に溶接され、レジン504を封入した構造の底板505と、胴本体501に溶接一体化したフランジ部506に設けた一次蓋507及び二次蓋508とから構成される。リサイクル燃料集合体を収納するバスケット513は、胴本体501のキャビティ509内に配置される。前記一次蓋507と二次蓋508は、図20に示すように、ボルト510、511によってフランジ部506に固定され、二次蓋508にはレジン512が封入されている。
【0058】
前記バスケット513は、ボロン(B)とアルミニウムとの複合材料によって形成した複数のセルから構成されている。また、このキャスク500のキャビティ509内にはヘリウムガスが負圧状態で充填されている。その一方、一次蓋507と二次蓋508の間の空隙内は正圧となり、これによってキャスク500内部と外部との間に圧力障壁を形成している。また、二次蓋508には、蓋間空間の圧力を測定するための孔514が設けられており、この孔514の出口には圧力センサー515が設けられている。
【0059】
前記一次蓋507には、キャスク500内のガスを置換するためのバルブ516が設けられており、当該バルブ516はバルブカバー517によって覆われている。一次蓋507と胴本体501との間、二次蓋508と胴本体501との間に本発明に係る金属ガスケット20を介在させて、キャスク500内を外気と密封する。
【0060】
次に、本発明に係る金属ガスケット20及びキャスクの密封構造について説明する。図1に示すように、このシール構造10は、例えばキャスク500の二次蓋508と胴本体501のフランジ部との間に設けられる。なお、キャスクの一次蓋と胴本体501との間にもこの発明に係るシール構造及び金属ガスケットは適用できることはいうまでもない(以下同様)。図2に示すように、金属ガスケット20は、環状のコイルスプリング30に内被40を被覆し、さらに、外被50により内外輪をまとめて被覆した構成である。実施の形態1においては、金属ガスケット20のフープ径Df(金属ガスケット20の距離)が2m程度、内輪70及び外輪80それぞれの断面直径Dは5.5mm程度、外被50の厚さは0.4mm、内被40の厚さは0.2mm程度である。
【0061】
外被50の材料には、アルミニウム、銀、銅、ニッケルなどの軟質金属が用いられており、密封性能を確保する。また、内被40には腐食や高温酸化に強いインコネル等のニッケル系合金を用いて、高温環境下においても弾性を維持できるようにしてある。より高温の耐久性を向上させたいときには、Co含有量の多いナイモニック(登録商標)等を使用することもできる。
【0062】
なお、この金属ガスケット20には内被40を使用しているが、内被40は必ずしも必要ではなく、キャスク500の仕様に応じて用いればよい。ただし、金属ガスケット20の外被50にアルミニウム等の軟質金属を使用する場合には、内被40を設けることが好ましい。このような構成とすれば、コイルスプリング30の反発力をより均一に外被50に伝達して、外被50に発生する局所的な応力集中をできるだけ小さくすることができるからである。これによって、後述するクリープ変形をより小さく抑えることができる。
【0063】
ここで、金属ガスケット20に使用される環状のコイルスプリング30について説明する。図5は、この発明の実施の形態1に係る金属ガスケットのコイルスプリングを示す説明図である。このコイルスプリング30はステンレス材の線材を、図3に示すように隙間を設けないで巻くことによって作られている。これは、隣の線との間に隙間が開いていると、密封のため金属ガスケット20が押しつぶされたときに、均等な力で内被40と外被50(図2参照)とを押し返すことができなくなり、長期間の使用において所期の密封性能を発揮できなくなるからである。コイルスプリング30の線材にステンレス材を使用する点については後述する。
【0064】
一般に、金属ガスケット20(図2参照)において密封圧力を得るためには、コイルスプリング30の素線径dが太いものを使用して、コイルスプリング30の曲げ剛性を高くする必要がある。コイルスプリング30の素線径dが太くなればそれだけ素線を巻き難くなるので、コイルスプリング30の巻き線径D1も大きくなる。その結果、高いシール圧力が求められる金属ガスケット20の断面直径Dは、シール圧力が低いものと比較して大きくなる。
【0065】
ここで、キャスクに使用する上記金属ガスケット20には、数十年間にわたるシール性能が要求される。また、キャスク内に収納されるリサイクル燃料集合体は崩壊熱を発生しており、初期における金属ガスケット20の使用環境温度は120℃程度となる。そして、リサイクル燃料集合体が数十年保管される間に、金属ガスケット20の使用環境温度は120℃程度から60℃程度まで徐々に低下する。
【0066】
このような使用環境においては、外被50に使用する材料の種類によって、外被50にクリープ変形が生ずる。特に、融点の比較的低いアルミニウムやスズを外被50に使用した場合には、このクリープ変形が問題となる。図6は、金属ガスケットに作用する応力と、金属ガスケットの歪との関係を示した説明図である。これは、外被にはアルミニウムを、コイルスプリングにはインコネルを使用した、これまで一般に使用されている金属ガスケットである。
【0067】
キャスクの二次蓋508等を締付ると、金属ガスケット20には所定の締付応力σ0が作用し、これによって初期歪ε0が生ずる。この初期歪ε0は、塑性歪εpと、弾性歪εe(t=0)との和で表すことができる。時間の経過によって外被50にクリープ歪εcが生ずると、締付応力σ0が緩和されるので、弾性歪εeが減少する。そして、締め付け時からある時間tが経過したときには、クリープ歪εcが増加した分、締め付け応力がσtまで低下する。これを金属ガスケットの応力緩和現象という。
【0068】
図6中に示すσcは気密限界応力であり、金属ガスケット20に作用する応力がこの気密限界応力σcを下回ると、キャスク内部と外部との差圧によって気密が破られる。金属ガスケット20に締付応力σ0を作用させた直後にこの締付応力σ0を除去すると、弾性歪εeが除去されるので、金属ガスケット20の歪は塑性歪εpのみとなる。そして、R0点で気密が破られる。しかし、金属ガスケット20に締付応力σ0を作用させてから長時間経過すると、上述したように締め付け応力がσtまで低下する。そして、この状態で締め付け応力を開放すると、金属ガスケット20の歪は塑性歪εpとクリープ歪εcとの和となり、R1点で気密が破られる。これは、クリープ歪εcが増加した分だけ、初期の弾性歪εe(t=0)が減少したからである。
【0069】
金属ガスケット20の気密限界応力はσcであるため、金属ガスケット20の締付直後においては、金属ガスケットの歪がε1まで減少したときに気密が破られる。一方、長時間経過後においては、金属ガスケット20の歪がε2まで減少したときに気密が破られることになる。これは、金属ガスケット20の締付直後と比較して、より少ない歪、すなわちより少ない変位で、気密が破られることを意味する。
【0070】
長期貯蔵におけるキャスクの密閉性を維持し、信頼性を向上させるためには、金属ガスケット20の応力緩和現象を十分に解析することが必要である。本発明者らは、金属ガスケットの応力緩和現象について鋭意研究した結果、次の事項を見出した。まず、金属ガスケット20の応力緩和現象は、外被50を構成する材料がクリープ変形することによる、コイルスプリング30の弾性変位が開放される現象である。そして、金属ガスケット20が劣化した後のスプリングバック(有効弾性復元)は、コイルスプリング30が塑性変形した後における曲げ剛性に支配される。
【0071】
このコイルスプリング30が塑性変形した後における曲げ剛性は、60年程度の長期貯蔵後であっても金属ガスケット20が新品であるときと比較して特性変化はほとんど無視できる程度であり、外被50の特性変化と比較すれば変化なしとし得る。すなわち、コイルスプリング30にインコネル材を使用した場合の材質劣化は、金属ガスケット20の応力緩和現象を考えるにあたって原則として考慮しなくともよい。
【0072】
長期貯蔵におけるキャスクの密閉性を維持し、信頼性を向上させるためには、長時間経過後における金属ガスケット20のスプリングバック量をできるだけ大きくすることが必要である。このスプリングバック量を大きくできれば、締め付け応力σが気密限界応力σcに達するまでにおける二次蓋508等の変位を大きくとることができるので、それだけ落下等による二次蓋508等のずれに対して裕度を高くできるからである。
【0073】
次に、スプリングバック量を大きくする手法について説明する。図7は、金属ガスケットに作用させる荷重と金属ガスケットの変位との関係を示した説明図である。図中の点線は、従来の金属ガスケット520(図9(a)参照)を、図中の実線は本発明に係る金属ガスケット20を示す。なお、図7に示してあるのは、LMPを用いた外挿法による解析結果であり、初期温度120℃で60年後に60℃まで直線近似のもとに温度降下した場合を温度条件としたものである。なお、この温度条件は、実施のキャスクにおける長期貯蔵の温度条件を十分に再現できるものである。また、LMPを用いた外挿法は、応力緩和を安全側、すなわち応力緩和を大きく見積もる手法であり、このような解析には好ましい手法である。
【0074】
本発明に係る金属ガスケット20の曲げ剛性は、従来の金属ガスケット520における曲げ剛性のおよそ50%としてある。このようにするため、コイルスプリング30の素線径dは従来の金属ガスケット520よりも細くしてある。また、この発明に係る金属ガスケットの断面直径Dは、従来の金属ガスケット520と同じである。なお、本発明に係る金属ガスケット20の曲げ剛性は、従来の金属ガスケット520における曲げ剛性の30%以上80%以下の範囲が好ましい。この範囲であれば、ある程度の曲げ剛性を確保しつつスプリングバック量を大きくする効果を得ることができるからであり、さらには従来の金属ガスケット520における曲げ剛性の30%以上60%以下の範囲がより好ましい。
【0075】
ここで、この発明に係る金属ガスケット20の初期締め付け量は従来の金属ガスケット520よりも大きくしてある。これによって、従来の金属ガスケット520とこの発明に係る金属ガスケット20とに作用する初期応力(締付応力)σ0が等しくなるので、同じ時間経過した後の応力緩和量は同一となる。このときの締め付け応力はσtである。ここで、締め付け応力σを徐々に開放すると、金属ガスケットは徐々に元の形に戻り、変位δが0に近づく。そして、締め付け応力σが気密限界応力σcに到達したときの変位δが、金属ガスケットの気密限界変位δcとなる。
【0076】
この発明に係る金属ガスケット20においては、従来の金属ガスケット520よりも曲げ剛性を小さくしてあるので、金属ガスケットの変位δに対する締め付け応力σの変化、すなわちσ/δが従来の金属ガスケットよりも緩やかになる。その結果、締め付け応力σの緩和に対して、従来よりも大きく金属ガスケット20が変位する。すなわち、同じ締め付け応力σであれば、そのときのスプリングバック量を多くとることができるので、気密限界変位δcもその分だけ大きくすることができる。これによって、従来の金属ガスケット520よりも大きなずれが生じても、キャスクの気密を維持できるので、長期貯蔵後であっても安定した密封性能を発揮して安全に輸送できる。
【0077】
具体的には、従来の金属ガスケット520におけるスプリングバック量δc520は0.01〜0.02mm程度であるのに対し、本発明の金属ガスケット20におけるスプリングバック量δc20は0.20mm程度である。このように、本発明に係る金属ガスケット20におけるスプリングバック量は、従来の金属ガスケット520におけるスプリングバック量の10〜20倍である。ここで、キャスクの密封に使用する金属ガスケットに要求されるスプリングバック量はおよそ0.05mmであるが、本発明に係る金属ガスケット20は、この値を十分に達成できる。これによって、従来の金属ガスケットでは不十分だった、リサイクル燃料集合体のキャスクにおける数十年の長期貯蔵に対しても十分な信頼性を持つ金属ガスケットを得ることができた。
【0078】
ここで、上述したようにコイルスプリング30にインコネル材を使用した場合の材質劣化は、金属ガスケット20の応力緩和現象を考えるにあたって原則として考慮しなくともよい。しかしながら、金属ガスケット20には、60年程度の長期間にわたり保守・点検することなく密封性能を維持する機能を求める場合には、この僅かな材質劣化をも抑制する必要がある。このためには、コイルスプリング30の素線径dをできるだけ小さくして、コイルスプリング30に作用する応力(素線表面における応力)をできるだけ小さくし、コイルスプリング30のへたりを極限まで抑える方策が有効である。
【0079】
この方策には、従来の金属ガスケット518等のコイルスプリング521(図17(b)参照)の材料として使用されていたインコネルよりも弾性係数の大きいステンレス材を使用してより細い素線径dの線材を使用しつつ、従来と同じスプリング外径D1で同じ曲げ剛性を発揮させるものがある。このようにすれば、インコネルからなるコイルスプリングAと同じスプリング径においてより細い素線径dの線材を使用しても、コイルスプリングAと同等の曲げ剛性を発揮できる。これによって、ステンレス材を使用すれば、コイルスプリングAよりも素線径dを細くできるので、コイルスプリング30に作用する応力を小さくしてコイルスプリング30のへたりを極限まで抑えることができる。また、ステンレス材は耐食性にすぐれ、且つ安価なので、長期貯蔵における信頼性を高くでき、また金属ガスケット20のコストも抑えることができる。なお、ステンレス材の代わりにピアノ線を使用してもよい。この場合には、腐食を防止するため、めっきやイオンプレーティング等によって、ピアノ線表面にクロムや金等の耐食性皮膜を予め形成することが好ましい。
【0080】
なお、コイルスプリング30の曲げ剛性を小さくすればスプリングバック量を増やすことができるが、あまり曲げ剛性を小さくすると、金属ガスケット20の変形量が大きくなるため好ましくない。コイルスプリング30の曲げ剛性は、材料が決定すれば素線径dとスプリング外径D1との比d/D1で決定される。ここで、好ましいd/D1及びコイルスプリングの寸法について説明する。
【0081】
表1〜3に長期貯蔵後における金属ガスケットのスプリングバック量の評価結果を示す。なお、この評価はLMPを用いた外挿法によるものであり、温度条件は、初期温度120℃で60年後に60℃まで直線近似のもとに温度降下した場合である。キャスクの密封に使用される金属ガスケットに要求されるスプリングバック量が満足できたものを○とする。また、コイルスプリング30の線材にはステンレス材を用いている。なお、コイルスプリング30の巻き線径D1は、便宜上金属ガスケット20の断面直径Dで代表させてある。
【0082】
【表1】
Figure 0003993499
【0083】
【表2】
Figure 0003993499
【0084】
【表3】
Figure 0003993499
【0085】
表1から分かるとおり、金属ガスケット20の断面直径Dが5.6mmである場合には、コイルスプリング30の素線径dが0.35mm〜0.50mmの間で良好なスプリングバック量を示すことが分かる。また、表2から、金属ガスケット20の断面直径Dが12.0mmである場合には、コイルスプリング30の素線径dが0.80mm以下で良好なスプリングバック量を示すことが分かる。表3は、コイルスプリング30の素線径dと金属ガスケット20の断面直径Dとの比d/Dで評価結果を整理したものであるが、これからd/Dが0.02〜0.08の範囲で良好なスプリングバック量を示すことが分かる。ここで、コイルスプリング30のスプリング径D1は、D1=D−2×sで表される。Dは金属ガスケット20の断面直径Dであり、sは外被50の厚さである。
【0086】
上記結果から、コイルスプリング30の素線径d(図3参照)は、0.35mm以上0.80mm以下の範囲が好ましく、0.35mm以上0.50mm以下の範囲がより好ましい。また、あまり金属ガスケット20の断面直径Dが小さい場合には、断面直径Dに対して締付け量を大きくしないとスプリングバック量を確保できず、金属ガスケット20による気密が破壊される場合があるので、無闇に金属ガスケット20の断面直径D(図2参照)を小さくすることはできない。一方、金属ガスケット20の断面直径Dが大きくなりすぎると、上記素線径dでは必要な曲げ剛性が確保できなくなるので、金属ガスケット20の断面直径Dは、5.0mm以上12.0mm以下が好ましい。また、コイルスプリング30の素線径dと金属ガスケットの断面直径Dとの比d/Dとしては、0.02以上0.08以下が好ましい。また、コイルスプリング30にステンレスよりも弾性係数の大きいピアノ線を使用する場合には、上記値は2割程度小さい値でよい。このようなd/Dの範囲でステンレス材からなるコイルスプリング30の寸法を選定すれば、金属ガスケット20のスプリングバック量を確保しつつ、コイルスプリング30のへたりを極限まで抑えることができる。これにより、長期貯蔵においても信頼性の高い金属ガスケット20を得ることができる。
【0087】
なお、従来の金属ガスケット520において、金属ガスケット520の断面直径Dが5.0mmから6.0mmの範囲のものは、素線径が0.55mm以上のコイルスプリングが使用されている。そして、密封圧力は50MPa以上である。断面直径Dが5.0mmから12.0mmの範囲の金属ガスケットに、素線径が0.35mm以上0.80mm以下の範囲のものを使用すると、密封圧力は50MPaよりも低い値となる。ここで、キャスクにおける密封圧力は、最大1.0MPa程度である。したがって、断面直径Dが5.0mm以上12.0mm以下の金属ガスケットにおいて、素線径dが0.35mm以上0.80mm以下のコイルスプリングを使用しても圧力漏れを生ずることはなく、外被に生ずる応力を低くできるので、長期使用に伴う外被のクリープを軽減できる。
【0088】
以上、この発明の実施の形態1について説明したが、実施の形態1で説明した金属ガスケットの構成及びキャスクの密封構造は、実施の形態1以降においても適宜適用できる。
【0089】
(実施の形態2)
図8は、この発明の実施の形態2に係る金属ガスケットを示す断面図である。この金属ガスケット21は、実施の形態1に係る金属ガスケット20と略同様の構成であるが、密封対象物である一次蓋507や二次蓋508と外被51とが接触する外被51のシール領域51sを予め平面状に形成した点が異なる。その他の構成は実施の形態1と略同様なのでその説明を省略する。図9は、従来の金属ガスケットを示す断面図である。従来の金属ガスケット520においては、断面の外被覆形状は円形であり、円弧の部分がキャスクの胴本体と二次蓋508と接した後、締付け力を受けて図9(b)のように変形する。このため、図9(c)に示すように、二次蓋508及びキャスクの胴本体501と接するシール領域550sには、応力が不均一に作用する。また、コイルスプリングの曲げ剛性も必要以上に大きいため、シール部の中心にはより大きな応力が生ずる。その結果、この応力分布を緩和する作用が働くため、クリープ変形を促進する。
【0090】
この発明に係る金属ガスケット21においては、図8(a)に示すように、外被51が二次蓋508等と接するシール領域51sを予め平面に形成してある。これによって、図8(b)に示すように、この金属ガスケット21が締付け力を受けて圧縮された場合には、密封対象物である二次蓋508等と接するシール領域51sにおける応力分布が分散されて、従来よりも均一になる。別の言い方をすれば、密封対象物である二次蓋508等と接するシール領域51sにおける応力分布は、このシール領域以外の領域51yに締付け力が作用した場合におけるシール領域以外の領域51yの応力分布よりも均一となる。
【0091】
これによって、従来の金属ガスケット520と比較して、シール領域51sにおいては応力分布を均等にする作用が大きくなるので、外被51のクリープ変形を従来よりも緩やかにすることができる。これによって、外被51のクリープ変形を従来よりも小さくできるので、クリープ変形に起因する応力緩和現象を抑えることができる。また、外被51のシール領域51sを予め平面に形成しておくことによって、この金属ガスケット21の断面形状は円形ではなくなる。このような形状とすることによって、断面が円形の場合よりも断面係数が大きくなる。また、外被50のシール領域51sを予め平面に形成しておくことで、クリープ変形しやすい外被51のシール領域51sの厚みは従来の金属ガスケット520(図9参照)よりも薄くなるので、クリープによる変形の絶対量が小さくなり、この分だけ金属ガスケット21の復元量の減少を抑制できる。これらの作用によって、この金属ガスケット21は、シール領域51sに垂直な方向に向かう締付け力に対して、断面が円形である従来の金属ガスケット520と比較して、より大きな締付け力に耐えることができる。したがって、この金属ガスケット21においては、より細い素線径dのコイルスプリング30を使用しても、外被50が従来よりも大きな荷重を支えることができる。これによって、スプリングバック量をさらに大きくできるので、長期貯蔵においてもより高い安全性を担保できる。
【0092】
図10は、シール領域における応力を分散させる他の形状の例を示した説明図である。上述した通り、この発明に係る金属ガスケット21は、外被51のシール領域51sを予め平面に形成して、密封のための締付け力を分散させる形状としている。この他にも、密封のための締付け力を分散させる形状としては、図10(a)に示すように、外被51におけるシール領域51sを形成する平面と、シール領域以外の領域51yとが交わる部分には、金属ガスケット21の周方向に向かう段部51dを形成してもよい。
【0093】
図8(a)、(b)に示すように、単にシール領域を平面に形成したのでは、シール領域51sとシール領域以外の領域51yとが交わる部分に応力集中が生じてしまう。したがって、この部分に段部51dを形成して予め切り欠いておくことで、この部分の応力集中を低減する。なお、段部51dのコーナー部51dcは角状となっているが、この部分に曲率を設けてなだらかにしてもよい。このようにすると、前記コーナー部51dcの応力集中も低減できる。
【0094】
また、シール領域51sを平面に形成した場合であっても、仕上げ具合によって応力が高くなる部分が存在する。したがって、図10(b)に示すように、このような部分に金属ガスケット21の周方向に向かう溝部51xを設けて、前記応力集中を低減させてもよい。この溝部51xの本数及び大きさは、応力集中の発生状況に応じて、適宜変更することができる。なお、応力集中の発生状況は、有限要素法等の手法によって解析することができる。このようにすることによって、金属ガスケット21の外被51に発生する応力集中をより均一にすることができるので、クリープ変形の進行を抑制して、長期間貯蔵における密封性能を維持できる。
【0095】
図11は、シール領域における応力を分散させる他の例を示した説明図である。同図(a)に示すように、シール領域51s側においては、コイルスプリング30xを平面状に形成し、さらに外被51のシール領域51s側を平面に形成する。このようにすると、平面状に形成したコイルスプリング30xが均等に外被51のシール領域51sを押圧するので、シール領域51sはより均等な応力分布となる。
【0096】
なお、このようなコイルスプリング30xは、例えば図11(b)に示すように製造する。まず、円柱に二つの平面を設けた断面楕円状の冶具30zに線材30yを巻きつける。そして、焼鈍して冶具30zの形状を線材30yに転写した後、熱処理してコイルスプリング30xを製造する。また、断面円形のコイルスプリングと比較して、このコイルスプリング30xは曲げ剛性が小さくなる。このため、実施の形態1で説明した断面円形のコイルスプリング30(図5参照)と比較して、素線径はより太いものを使用する必要がある。
【0097】
実施の形態2に係る金属ガスケット21の構造は、外被51の材料がアルミニウムやスズ等のように融点が比較的低く、キャスクにおける使用温度ではクリープ変形が問題となるような金属に対して特に適する。しかし、融点が比較的高く、キャスクにおける使用温度ではクリープ変形が問題とならない銀、あるいは金等の金属を外被51に使用した場合に適用してもよい。この場合は、スプリングコイルを細くする工夫と併用すると、従来よりもスプリングバックの量を従来の10〜20倍程度まで大きくできるので、キャスク輸送における裕度を従来よりも大きく持たせることができる(以下同様)。
【0098】
(変形例1)
図12は、実施の形態2の第1変形例に係る金属ガスケットを示す説明図である。この金属ガスケット22は、上記実施の形態3と略同一の構成であるが、二個の異なるフープ径を持つ環状のコイルスプリング31a、31bを同心状に配置し、両者のスプリング直径を異ならせた点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0099】
この金属ガスケット22は、いわゆるダブルリングタイプであるが、内被41a、41bで被覆されたスプリング直径の異なる二つのコイルスプリング31a及び31bを使用する。図12(b)に示すように、キャスクの胴本体501と二次蓋508との間にこの金属ガスケット22を配置すると、直径が大きい方のコイルスプリング31b側における外被50がまず接する。この状態で二次蓋508を胴本体501に仮止めする。
【0100】
ここで、一般にキャスクは安全上の配慮から、水を満たした貯蔵プール内でリサイクル燃料集合体が格納される。したがって、輸送や長期貯蔵前には、真空乾燥等の乾燥手段によって水抜きをする。この金属ガスケット22では、真空乾燥時に、シールされていない直径が小さいほうのコイルスプリング31a側からガスケット溝部9に残留した水分が蒸発する。真空乾燥が終了したら、キャスクの胴本体501と二次蓋508とを本締めする。このように、この金属ガスケット22においては、ガスケット溝部9や金属ガスケット22内の水分を十分に取り除き、腐食のおそれを極小にできる。これによって、長期間の貯蔵においても密封性能の信頼性を高くできる。
【0101】
図12(b)においては、スプリング直径の小さい方のコイルスプリング31aをキャスクのキャビティ側に配置しているが、この場合にはキャビティ内側からの真空乾燥に有利である。また、図12(c)に示すように、スプリング直径の小さい方のコイルスプリング31aを外側に配置してもよい。この場合には、二次蓋508等を固定するボルト孔側から真空乾燥すると効果的に水分を除去できる。
【0102】
さらに、図12(d)に示す金属ガスケット22aは、外被50をスプリング直径の異なる二個のコイルスプリング31a及び31bで全体に被覆し、スペーサ60を前記コイルスプリング31aと31bとの間に配置して、端部50t同士を溶接等の接合手段で封止したものである。このような金属ガスケット21aでも、金属ガスケット21の内外周でコイルスプリング31a等の径を異ならせたことによる、上記乾燥促進の効果を得ることができる。さらに、この金属ガスケット22aでは、内部への水の浸入を防止できるので、図8(a)に示した金属ガスケット21と比較して、より迅速に乾燥できる効果も得ることができる。なお、スペーサ60は外被50の変形を拘束するものであり、純アルミニウム等のピースを使用したり、コイルスプリングを使用したりすることができる。この変形例は、一次蓋及び以下の実施の形態においても適用できる。
【0103】
(変形例2)
図13は、実施の形態2の第2変形例に係る金属ガスケットを示す説明図である。なお、説明の便宜上、従来のキャスクに使用されていた金属ガスケットも図示する。このキャスクに使用される金属ガスケット23は、上記実施の形態1に係る金属ガスケット20と略同一の構成であるが、シール領域50sの曲率半径r1は、シール領域以外の領域50yにおける曲率半径r2よりも大きいコイルスプリング32を備える。そして、外被50で被覆されている内被42とコイルスプリング32とで構成される内部エレメントの断面を、予め楕円状に形成してある点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0104】
図13(b)に示すように、従来の金属ガスケット520においては、内被540とこの内被540で被覆されたコイルスプリング530とで構成される内部エレメント520eの断面は円形であった。このため、スプリングの曲げ剛性が高く、数10MPaという高い密封性能を持っている。しかし、上述したように、コイルスプリング530の曲げ剛性が高い場合には、曲げ剛性が小さい場合と比較してスプリングバック量を大きくできない(図7参照)。また、数十年という長い期間においては、外被550が過剰な押し付け力によってへたり、復元力が弱くなる。これによって、密封性が弱くなったり、スプリングバック量が減少したりするおそれがあった。
【0105】
この変形例に係る金属ガスケット24は、内被42と、この内被42で被覆されたコイルスプリング32とで構成される内部エレメント22eの断面形状を、予め楕円状としている。このため、断面形状が円形である場合と比較して、スプリングの曲げ剛性を低くできる。これによって、スプリングバック量を十分に確保できるので、従来の金属ガスケット520よりも大きなずれが生じても、キャスクの気密を維持できるので、より安全に輸送できる。また、従来の金属ガスケット520と比較して、このコイルスプリング32は外被50のシール領域50sとより大きな面積で接触するので、外被50に作用する応力を従来よりも小さくできる。これによって、外被50のクリープ変形を抑えて、応力緩和現象を低減し、長期貯蔵における信頼性を高くできる。
【0106】
なお、この金属ガスケット24においては、コイルスプリング32の曲げ剛性は従来よりも小さいので密封圧力は従来よりも低くなる。しかし、この金属ガスケット24はキャスクの密封に使用するものである。キャスクにおいて正圧は最大で1.0MPa程度の密封性能があればよいので、この金属ガスケット24の密封圧力でも十分な密封性能を確保できる。
【0107】
以上、この発明の実施の形態2及びその変形例について説明したが、実施の形態2及びその変形例で説明した金属ガスケットの構成及びキャスクの構成は、実施の形態3以降においても適宜適用できる。
【0108】
(実施の形態3)
図14は、この発明の実施の形態3に係るキャスクのシール構造を示す説明図である。このキャスクは、上記実施の形態3に係るキャスクと略同一の構成であるが、同心状に配置したフープ径の異なる二つのコイルスプリングを外被によって被覆しつつ、外被の端部同士を接合して両者を一体としたダブルリング式の金属ガスケットを使用する点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0109】
実施の形態3に係る金属ガスケット24は、いわゆるダブルリング式のものであり、フープ径Dfの異なる二個のコイルスプリング33a及び33bを同心状に配置する。そして、これらを内被43で被覆して、外被50によって両者を被覆してから、外被50の端部50t同士を接合部50bで接合して構成する。端部50t同士の接合には、溶接や摩擦接合が用いられる。溶接にはレーザーや電子ビーム溶接を用いると、接合部に当て板が不要になるので好ましい。
【0110】
端部50t同士は、図14(a)及び(c)に示すように、フープ径Dfの異なる二個のコイルスプリング33a及び33bとの間における接合部50bで接合してもよい。ここで、図14(c)は突合せ接合の例である。また、図14(b)に示すように、いずれか一方のコイルスプリングの側部33yにおける接合部50bで接合してもよい。さらに、図14(d)に示すように、スペーサ60を外被50内部に配置して、スペーサ60とともに接合部50bで外被50を接合してもよい。また、スペーサ60を単に接合のバックアップとしてのみ使用して、外被50のみを接合してもよい。このようにスペーサ60を接合の際にバックアップとして使用すると、外被50を容易に接合できる。なお、スペーサ60には、例えば純アルミニウム等を使用することができる。
【0111】
また、図14(a)及び(b)に示す二個のスプリング33aと33bとの間に、スペーサ60と同様に外被50の変形を拘束するものとして、コイルスプリング33a等よりやや外径の小さいスプリングを用いてもよい。このようなコイルスプリングを使用すれば、純アルミニウム等を使用する場合と比べて金属ガスケット21aを容易に製造できる。また、コイルスプリングの反発力を適当な値に調整することによって外被50に過度の応力を与えることもないので好ましい。
【0112】
図15は、外被の端部同士を接合していない一部開放型のダブルリング式の金属ガスケット及びこの発明の実施の形態3に係る金属ガスケットを示す説明図である。同図(a)に示すように、一部開放型のダブルリング式の金属ガスケット20では、二次蓋508側のシール領域50asと50bsとが、外被50によって結合されている。このため、外被50が金属ガスケット20の径方向Xに対してクリープ変形しようとしてもこの変形が拘束される。これによって、シール領域50as及び50bs側においては外被のクリープ変形が抑制されるので、金属ガスケット20の応力緩和もその分抑制される。
【0113】
一方、キャスクの胴本体501側においては、この部分におけるシール領域50as2と50bs2側とは、外被50によって結合されていない。したがって、外被50が金属ガスケット20の径方向Xに対してクリープ変形した場合には、この変形を拘束するものはない。このため、二次蓋508側と比較して、キャスクの胴本体501側では外被50のクリープ変形が大きくなるので、金属ガスケット20の応力緩和もその分大きくなる。
【0114】
しかし、図15(b)に示すように、この発明に係る金属ガスケット24は、内被43で被覆したフープ径Dfの異なる二個のコイルスプリング33a及び33bを同心状に配置し、これらを外被50によって被覆してから、外被50の端部50t同士を接合してある。このため、二次蓋508側及びキャスクの胴本体501側いずれのシール部分においても、コイルスプリング33a及び33bの位置におけるシール領域は、外被50によって結合される。したがって、二次蓋508側及びキャスクの胴本体501側いずれのシール領域50asや50bs2等においても、外被50のクリープ変形が拘束される。その結果、クリープ変形に伴う応力緩和現象が抑制されるので、長期貯蔵においても密封性能を維持して、安全に輸送できる。
【0115】
また、外被50の端部50t同士を溶接、摩擦接合その他の接合手段によって接合しているため、金属ガスケット23内部の気密性も維持できる。一般にキャスクは安全上の配慮から、水を満たした貯蔵プール内でリサイクル燃料集合体が格納される。したがって、キャスクをプールから引き上げた後で輸送したり長期貯蔵したりする前には、水抜き後に真空乾燥等の乾燥手段によって乾燥させる。このとき、一部開放型のダブルリング式の金属ガスケット520(図15(a)参照)では、乾燥が十分でないと腐食を発生させるおそれがあったため、内部に侵入した水分を完全に除去するには真空乾燥に長時間要していた。しかし、この金属ガスケット24では内部に水が浸入することはないので、真空乾燥時間を大幅に短縮できる上に、水分の残留によるような腐食のおそれはなく、長期間貯蔵においてはより高い信頼性を発揮できる。
【0116】
また、図15(c)に示すように、同心状に配置した、内被43で被覆したフープ径の異なる二個のコイルスプリング33a及び33bの間に、予めスペーサ60を備えてから、外被50の端部50t同士を接合してもよい。このようにすれば、スペーサ60によって外被50が支えられるので、外被50の変形を抑えることもでき、端部50t同士を容易に接合できる。
【0117】
ここで、図15(c)に示すように、締め付け荷重を受けた場合における外被50の変形を抑えるために、スペーサ60の高さhを内被43の径と同程度の高さにしてもよい。このようにすれば、締付け後における外被50の変形を抑えることができるので、外被50のクリープ変形をより抑制して、長期保管における信頼性をさらに高くできる。ここで、スペーサ60は、金属ガスケット24の締め付け力に対しては容易に変形し、不必要に高い締付け力を要さない形状を選択することができる。また、スペーサ60の代わりに、コイルスプリング33a等の外径よりもやや外径の小さいコイルスプリングを使用し得ることについては上述した通りである。
【0118】
なお、実施の形態1で説明したように、実施の形態3に係る金属ガスケット24のシール領域50as、50bs、50as2及び50bs2を平面に形成したり、シール領域とそれ以外の領域との境界に、金属ガスケット24の周方向に向かう段部を設けたりしてもよい。このようにすれば、シール領域50as、50bs等における応力集中をより均等にできるので、シール領域50as、50bs等のクリープ変形をさらに抑制できる。これによって、長期貯蔵においてはより高い信頼性を得ることができる。
【0119】
以上、この発明の実施の形態3について説明したが、実施の形態3で説明した金属ガスケットの構成及びキャスクの構成は、実施の形態4以降においても適用できる。
【0120】
(実施の形態4)
図16は、この発明の実施の形態4に係る金属ガスケットのスプリングを示す説明図である。このキャスクは、上記実施の形態1に係るガスケットと略同一の構成であるが、金属ガスケットに素線の断面形状が矩形のコイルスプリングを使用する点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0121】
図16(b)に示すように、この金属ガスケット24に使用するコイルスプリング34は、断面形状が矩形の素線を使用している。このため、断面円形のコイルスプリングと比較して、コイルスプリング34と内被44とはより多くの面積で接するので、より均等にコイルスプリング34の反発力を内被44及び外被50に伝えることができる。これによって、外被50の応力分布をより均等にできるので、コイルスプリング34の反力を押さえ込む内被44を省略するか、又は内被44を薄くすることもできて、クリープ変形に起因する金属ガスケット25の応力緩和現象を低減できる。これによって、長期貯蔵においても密封性能を維持できる。
【0122】
また、断面円形のコイルスプリングと断面矩形のコイルスプリング34とで、両者の断面係数が同じであれば、断面矩形のコイルスプリング34の方が素線の幅bを小さくできるので、ピッチpも小さくできる。したがって、同じ曲げ剛性であれば、コイルスプリング34の巻き数を増やすことができるので、より均一にコイルスプリング34の反発力を外被50へ伝えることができる。このように、断面矩形のコイルスプリング34を使用した場合には、断面円形のコイルスプリングを使用するよりもより金属ガスケット25の応力緩和現象を抑制する効果がある。また、ピッチpを小さくできるので、締付け力Pが作用していない場合の初期傾きθP=0は断面円形のコイルスプリングよりも小さくできる。これによって、コイルスプリング34の反力をより有効に利用できる。
【0123】
また、断面円形をしたコイルスプリングと断面矩形のコイルスプリング34との断面係数が同じであれば、断面矩形のコイルスプリング34の方が、金属ガスケット25の締付け力によってコイルスプリング34内に発生する応力を小さくできる。さらに、断面矩形のコイルスプリング34は断面円形のコイルスプリングとは異なり、隣り合う素線と面34aで接触する。これによって、締付け力Pによってこの面34aに発生する応力は、断面円形のコイルスプリングよりも小さくできる。その結果、締付け力Pによる傾き角θPを断面円形のコイルスプリングよりも小さくできるので、断面矩形のコイルスプリング34の素線に作用するねじれ応力も低減できる。これらの作用によって、断面を矩形にすればコイルスプリング34の長期信頼性をより高くできる。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係るキャスクでは、インコネルからなるコイルスプリングAと同じスプリング外径で、且つこのコイルスプリングAよりも細いスプリング素線径で、コイルスプリングAと同等の曲げ剛性を発生できる材料からなるコイルスプリングを備えた金属ガスケットによって密封するようにした。このような構成により素線径を細くして金属ガスケットを構成するコイルスプリングの表面における応力を小さくできるので、数十年にわたる長期貯蔵においても、金属ガスケットの劣化を抑制して高い密封性能を維持できる。
【0125】
また、この発明に係るキャスクでは、金属ガスケットを構成する上記コイルスプリングの材料にステンレスを使用した。ステンレスの弾性係数はインコネルよりも高いので、同じスプリング外径であってもより素線径の細い線材を使用できる。これにより、コイルスプリングのへたりを極小にして長期貯蔵においても高い密封性能を維持できる。
【0126】
また、この発明に係るキャスクでは、ステンレスからなるコイルスプリングの素線径dと金属ガスケットの断面直径Dとの比が、0.02以上0.08以下とした金属ガスケットにより密封する。これにより、コイルスプリングの表面における応力を小さくするとともに十分なスプリングバック量を確保できる。その結果、長期間の貯蔵によって外被がクリープダウンした場合でも、十分なスプリングバック量を確保でき、また、コイルスプリングのへたりを極小にできる。
【0127】
また、この発明に係るキャスクでは、上記キャスクにおいて、外被のシール領域を予め平面に形成した金属ガスケットを用いて、蓋と胴本体との密封を保持するようにした。これにより、前記外被のシール領域における応力集中を分散させて外被のクリープ変形の進行を抑制できるので、長期貯蔵においても金属ガスケットの応力緩和現象を抑えることができる。
【0128】
また、この発明に係るキャスクでは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で一体とした金属ガスケットによって、胴本体と蓋とを密封するようにした。これにより、長期間貯蔵において外被がクリープ変形しても、二個のコイルスプリングが互いにこのクリープ変形を規制するので、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、より高い安全性を担保できる。
【0129】
また、この発明に係るキャスクでは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で被覆した後、外被の端部同士を接合した断面楕円状の金属ガスケットによって、胴本体と蓋とを密封した。これによって、二個のコイルスプリングが互いに外被のクリープ変形を規制するので、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、長期貯蔵においてさらに高い安全性を担保できる。また、外被の端部同士を接合することによって、金属ガスケットの濡れ面積を最小にした完全な密封構造とすることができる。
【0130】
また、この発明に係るキャスクでは、異なるフープ径を持つ二個の環状のコイルスプリングを同心状に配置し、両者のスプリング直径を異ならせて径の異なるガスケットリングを備えた金属ガスケットを用いるようにした。このため、キャスクを乾燥させる際には、径の小さいほうのガスケットリング側に隙間が残るので、金属ガスケットに付着した水分が容易に蒸発して金属ガスケット内の水分を十分に取り除くことができる。これによって、金属ガスケットが腐食するおそれを極小にして、長期間の貯蔵においても密封性能の信頼性を高くできる。
【0131】
また、この発明に係るキャスクでは、金属ガスケットの外被を、上記胴本体及び上記蓋よりも軟らかい金属としたので、金属ガスケットによってキャスクの胴本体や蓋を傷つけることはないので、胴本体等を容易に再利用することができる。
【0132】
また、この発明に係るキャスクでは、金属ガスケットの外被を胴本体及び蓋よりも腐食電位が高い金属としたので、まず外被から腐食して高価なキャスクの胴本体及び蓋を腐食から守ることができる。
【0133】
また、この発明に係るキャスクでは、コイルスプリングと外被との間に、コイルスプリングを被覆する内被をさらに備えた金属ガスケットを使用するようにした。このため、この内被によってコイルスプリングの押圧力が外被に均等に伝わるので、外被の局所的な応力集中を分散させることができる。その結果、外被のクリープ変形に起因する応力緩和現象を抑えて、長期貯蔵における信頼性を高めることができる。
【0134】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、インコネルからなるコイルスプリングAと同じスプリング外径で、且つこのコイルスプリングAよりも細いスプリング素線径で、コイルスプリングAと同等の曲げ剛性を発生できる材料からなるコイルスプリングを外被の内側に備えるようにした。このような構成により素線径を細くして金属ガスケットを構成するコイルスプリングの表面における応力を小さくできる。その結果、コイルスプリングのへたりを極小にできるので、数十年にわたるリサイクル燃料集合体を長期貯蔵するような場合でも、金属ガスケットの劣化を抑制して高い密封性能を維持できる。
【0135】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、コイルスプリングの材料にステンレス材を使用するようにした。ステンレスの弾性係数はインコネルよりも高いので、同じスプリング外径であってもより素線径の細い線材を使用して、コイルスプリング表面の応力を抑えて、長期使用におけるコイルスプリングのへたりを抑えることができる。
【0136】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、外被の内側に備えられるステンレスからなるコイルスプリングの素線径dと金属ガスケットの断面直径Dとの比が、0.02以上0.08以下となるようにした。これによって、コイルスプリングの表面における応力を小さくするとともに十分なスプリングバック量を確保できる。その結果、外被がクリープダウンした場合でも、十分なスプリングバック量を確保でき、また、コイルスプリングのへたりを極小にできる。
【0137】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、コイルスプリングの素線径dは0.35mm以上0.80mm以下であり、金属ガスケットの断面直径Dを5.0mm以上12.0以下とした。このような範囲であれば、ある程度の曲げ剛性を確保しつつスプリングバック量を大きくする効果を得ることができるので、長期間貯蔵においても高い密封性能を維持でき、また、胴本体と蓋とのずれに対する裕度も維持できる。
【0138】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、断面形状が矩形の素線を使用するようにした。これにより、より均等にコイルスプリングの反発力を外被に伝えることができるので、外被の応力分布をより均等にしてクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象を低減できる。その結果、長期貯蔵においても密封性能を維持できる。
【0139】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、外被のシール領域を予め平面に形成した。このため、前記外被のシール領域における応力集中を分散させて、応力分布をより均一にできる。これによって、外被のクリープ変形の進行を抑制できるので、例えばキャスクによるリサイクル燃料集合体の長期貯蔵においても金属ガスケットの応力緩和現象を抑えることができる。
【0140】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、シール領域とシール領域以外の部分とが交わる部分に、環状の外被の周方向に向かう段部を形成した。これによって、外被のシール領域における応力分布をさらに均一にできるので、外被のクリープ変形の進行をさらに抑制して、長期貯蔵においても金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えることができる。
【0141】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、平面に形成したシール領域の応力が高くなる部分に、金属ガスケットの周方向に向かう溝を設けた。これによって、金属ガスケットのシール領域の応力集中を低減させて、応力分布を均一にできるので、クリープ変形の進行を抑制して、長期間貯蔵においても密封性能を維持できる。
【0142】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、断面円形の金属ガスケットを締め付け方向に対して予め押しつぶしたような形状とした。このため、断面形状が円形である場合と比較して、スプリングの曲げ剛性を低くできる。これによって、スプリングバック量を十分に確保できるので、従来の金属ガスケットよりも大きなずれが生じても、キャスクの気密を維持できる。また、コイルスプリングの曲げ剛性は従来の金属ガスケットよりも小さいので、コイルスプリングの側部における外被のへたりを従来よりも低減でき、長期貯蔵における信頼性を高くできる。
【0143】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で一体とした。これによって、二個のコイルスプリングが互いに外被のクリープ変形を規制して外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、より高い安全性を担保できる。
【0144】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で被覆した後、外被の端部同士を接合して構成した。このため、蓋側と胴本体側との両方のシール領域において、二個のコイルスプリングが互いに外被のクリープ変形を規制する。その結果、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、長期貯蔵においてはさらに高い安全性を担保できる。
【0145】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、同心状に配置したフープ径の異なる二個のコイルスプリングの間に、予めスペーサを備えてから外被の端部同士を接合して構成した。このため、このスペーサによって外被の変形を抑えることができるので、外被のクリープ変形をより抑制して、長期保管における信頼性をさらに高くできる。また、外被がこのスペーサによって支えられるので、外被の変形を抑えて端部同士を容易に接合できる。これによって、施工効率を高くでき、より確実に外被を接合できる。
【0146】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、異なるフープ径を持つ二個の環状のコイルスプリングを同心状に配置し、両者のスプリング直径を異ならせて径の異なるガスケットリングを備えるようにした。このため、金属ガスケット内の水分を十分に取り除くことができるので、金属ガスケットが腐食するおそれを極小にして、長期間の貯蔵においても密封性能の信頼性を高くできる。
【0147】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、外被を密封対象物よりも軟らかい金属としたので、金属ガスケットによって密封対象物を傷つけることはない。
【0148】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、外被は密封対象物よりも腐食電位が高い金属とした。これにより、まず金属ガスケットの外被から腐食するため、密封対象物を腐食から守ることができる。
【0149】
また、この発明に係る金属ガスケットでは、コイルスプリングと外被との間に、コイルスプリングを被覆する内被をさらに備えた。このため、この内被によってコイルスプリングの押圧力が外被に均等に伝わるという作用が得られ、これによって、外被の局所的な応力集中を分散させることができる。その結果、外被のクリープ変形に起因する応力緩和現象を抑えて、長期使用における信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るキャスクにおけるシール構造を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る金属ガスケットを示す断面図である。
【図3】キャスクの構造を示す断面図である。
【図4】図3に示したキャスクの一部拡大図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る金属ガスケットのコイルスプリングを示す説明図である。
【図6】金属ガスケットに作用する応力と、金属ガスケットの歪との関係を示した説明図である。
【図7】金属ガスケットに作用させる荷重と金属ガスケットの変位との関係を示した説明図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る金属ガスケットを示す断面図である。
【図9】従来の金属ガスケットを示す断面図である。
【図10】シール領域における応力を分散させる他の形状の例を示した説明図である。
【図11】シール領域における応力を分散させる他の例を示した説明図である。
【図12】実施の形態2の第1変形例に係る金属ガスケットを示す説明図である。
【図13】実施の形態2の第2変形例に係る金属ガスケットを示す説明図である。
【図14】この発明の実施の形態3に係るキャスクのシール構造を示す説明図である。
【図15】外被の端部同士を接合していない一部開放型のダブルリング式の金属ガスケット及びこの発明の実施の形態3に係る金属ガスケットを示す説明図である。
【図16】この発明の実施の形態4に係る金属ガスケットのスプリングを示す説明図である。
【図17】キャスクのシールに使用する従来の金属ガスケット及びキャスクのシール部を示す拡大図である。
【符号の説明】
9 ガスケット溝部
10 シール構造
20、20'、20''、21、22、23,24、25 金属ガスケット
30、30a、30b、30x、31a、31b、32、33a、34、 コイルスプリング
40、41a、42、43、44 内被
50、51 外被
50as、50as2、51s シール領域
51d 段部
51x 溝部
51t 端部
60 スペーサ
500 キャスク
501 胴本体
506 フランジ部
507 一次蓋
508 二次蓋
509 キャビティ

Claims (13)

  1. リサイクル燃料集合体を収納するバスケットを格納するキャビティが形成された放射線を遮蔽する胴本体と、
    当該胴本体のキャビティ開口側に取り付けられる蓋と、
    ステンレスからなる環状のコイルスプリングと、当該コイルスプリングを被覆する金属の外被とを有し、前記胴本体と前記蓋との間に介在して前記キャビティ内の密封を保持する金属ガスケットとを備え、
    前記外被は、前記胴本体及び前記蓋よりも軟らかく、かつ前記胴本体及び前記蓋よりも腐食電位が高い金属であり、また、前記コイルスプリングの素線径dと前記金属ガスケットの断面直径Dとの比d/Dが0.02以上0.08以下であり、
    さらに、上記金属ガスケットは、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆して一体化するとともに、
    上記二個の環状のコイルスプリングのうち、一方の直径を他方の直径よりも小さくしたことを特徴とするキャスク。
  2. リサイクル燃料集合体を収納するバスケットを格納するキャビティが形成された放射線を遮蔽する胴本体と、
    当該胴本体のキャビティ開口側に取り付けられる蓋と、
    ステンレスからなる環状のコイルスプリングと、当該コイルスプリングを被覆する金属の外被とを有し、前記胴本体と前記蓋との間に介在して前記キャビティ内の密封を保持する金属ガスケットとを備え、
    前記外被は、前記胴本体及び前記蓋よりも軟らかく、かつ前記胴本体及び前記蓋よりも腐食電位が高い金属であり、また、前記コイルスプリングの素線径dと前記金属ガスケットの断面直径Dとの比d/Dが0.02以上0.08以下であり、
    さらに、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆し、且つ上記外被の端部同士を接合して断面楕円状に形成するとともに、
    上記二個の環状のコイルスプリングのうち、一方の直径を他方の直径よりも小さくしたことを特徴とするキャスク。
  3. さらに、上記金属ガスケットの外被は、上記胴本体及び上記蓋と接するシール領域が平面を有する形状に予め形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のキャスク。
  4. さらに、上記環状コイルスプリングと上記外被との間に、上記環状のコイルスプリングを被覆する内被を備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のキャスク。
  5. ステンレスからなる環状のコイルスプリングと、
    当該環状のコイルスプリングを被覆して密封対象物と接する環状の外被とを備え、
    前記外被は、リサイクル燃料集合体を収納するバスケットを格納するキャビティが形成された放射線を遮蔽する胴本体、及び、当該胴本体のキャビティ開口側に取り付けられる蓋よりも軟らかく、かつ前記胴本体及び前記蓋よりも腐食電位が高い金属であり、また、前記コイルスプリングの素線径dと前記環状のコイルスプリングを被覆した前記外被の断面直径Dとの比d/Dが0.02以上0.08以下であり、
    さらに、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆して一体化するとともに、
    上記二個の環状のコイルスプリングのうち、一方の直径を他方の直径よりも小さくしたことを特徴とする金属ガスケット。
  6. ステンレスからなる環状のコイルスプリングと、
    当該環状のコイルスプリングを被覆して密封対象物と接する環状の外被とを備え、
    前記外被は、リサイクル燃料集合体を収納するバスケットを格納するキャビティが形成 された放射線を遮蔽する胴本体、及び、当該胴本体のキャビティ開口側に取り付けられる蓋よりも軟らかく、かつ前記胴本体及び前記蓋よりも腐食電位が高い金属であり、また、前記コイルスプリングの素線径dと前記環状のコイルスプリングを被覆した前記外被の断面直径Dとの比d/Dが0.02以上0.08以下であり、
    さらに、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆し、且つ上記外被の端部同士を接合して断面楕円状に形成するとともに、
    上記二個の環状のコイルスプリングのうち、一方の直径を他方の直径よりも小さくしたことを特徴とする金属ガスケット。
  7. さらに、上記外被と上記二個の環状のコイルスプリングとで囲まれた空間に、上記金属ガスケットの締め付け方向に対する上記外被の動きを制限するスペーサを備えたことを特徴とする請求項に記載の金属ガスケット。
  8. さらに、上記コイルスプリングの素線径dは0.35mm以上0.80mm以下であり、上記環状のコイルスプリングの断面直径Dは5.0mm以上12.0以下であることを特徴とする請求項5〜のいずれか1項に記載の金属ガスケット。
  9. さらに、上記外被は、上記密封対象物と接するシール領域が予め平面を有する形状に形成されたことを特徴とする請求項5〜のいずれか1項に記載の金属ガスケット。
  10. さらに、上記環状の外被における上記シール領域を形成する平面と、上記シール領域以外の部分とが交わる部分には、上記環状の外被の周方向に向かう段部が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の金属ガスケット。
  11. さらに、上記環状の外被の上記シール領域は、上記環状の外被の周方向に向かう少なくとも1の溝部を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の金属ガスケット。
  12. さらに、上記外被で被覆された上記環状のコイルスプリングの部分における断面が楕円形状であって、シール領域の曲率半径はシール領域以外の部分における曲率半径よりも大きいコイルスプリングを備えたことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の金属ガスケット。
  13. さらに、上記環状コイルスプリングと上記外被との間に、上記環状のコイルスプリングを被覆する内被を備えたことを特徴とする請求項〜1のいずれか1項に記載の金属ガスケット。
JP2002288063A 2002-09-30 2002-09-30 キャスク及び金属ガスケット Expired - Lifetime JP3993499B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002288063A JP3993499B2 (ja) 2002-09-30 2002-09-30 キャスク及び金属ガスケット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002288063A JP3993499B2 (ja) 2002-09-30 2002-09-30 キャスク及び金属ガスケット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004125533A JP2004125533A (ja) 2004-04-22
JP3993499B2 true JP3993499B2 (ja) 2007-10-17

Family

ID=32280665

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002288063A Expired - Lifetime JP3993499B2 (ja) 2002-09-30 2002-09-30 キャスク及び金属ガスケット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3993499B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004125533A (ja) 2004-04-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3239985B1 (en) Light-water-reactor fuel rod, and fuel assembly
ES2393225T3 (es) Junta de estanqueidad superplástica, preferentemente para sistema de células electroquímicas
JP2007205931A (ja) 放射性物質用金属キャスク
JP2846266B2 (ja) 被覆管
US7372933B2 (en) Radioactive-material container, metal gasket for sealing the radioactive-material container, and method of manufacturing the metal gasket
JP3993499B2 (ja) キャスク及び金属ガスケット
JP6555718B2 (ja) ガスケット
JP3986351B2 (ja) キャスク
US2849387A (en) Corrosion resistant jacketed metal body
US10311984B2 (en) Shaft sealing structure and reactor coolant pump
JP3935811B2 (ja) 金属ガスケットおよびその製造方法、並びに放射性物質格納容器
JP2866470B2 (ja) ベローズ弁用ベローズ
US10217533B2 (en) Fuel rod cladding and methods for making and using same
JP6307228B2 (ja) 放射性物質収納容器
RU2179675C1 (ru) Уплотнение между неподвижными относительно друг друга поверхностями
JP6239290B2 (ja) 放射性物質収納容器及び放射性物質収納容器の製造方法
JP3999614B2 (ja) 放射性物質格納容器
EP1580764B1 (en) Metal gasket, method of manufacturing metal gasket, and radioactive-material container
JP2005214870A (ja) リサイクル燃料集合体収納容器
RU2184895C1 (ru) Уплотнение между неподвижными относительно друг друга поверхностями
JP2002156490A (ja) キャスクおよび管継手
JP2005134173A (ja) キャニスタ蓋部の残留応力除去方法及びキャニスタ
JP4674055B2 (ja) ガスケット
JP2002156495A (ja) キャスクおよび金属ガスケット
KR101359255B1 (ko) 캐스크

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040109

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060523

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060724

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070306

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070507

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070620

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20070625

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070710

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070726

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 3993499

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110803

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110803

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120803

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130803

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term