JP3986351B2 - キャスク - Google Patents

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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Gasket Seals (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃焼を終えた使用済み燃料集合体を収容する圧力容器であって、長期間の貯蔵においても十分な密封性能を維持できる信頼性の高いキャスク及び金属ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
核燃料サイクルの終期にあって燃焼を終え使用できなくなった核燃料集合体を、使用済み燃料集合体という。使用済み燃料集合体は、FPなど高放射能物質を含むので熱的に冷却する必要があるから、原子力発電所の冷却ピットで約10年間冷却される。その後、遮蔽容器であるキャスクに収納され、トラック等で再処理施設に搬送、貯蔵される。キャスク内には、高放射能物質が収容されているので、40〜60年が見込まれる貯蔵期間中における当該キャスクの密封には厳重なる注意が必要である。
【0003】
図19は、従来のキャスクの構造を示す断面図である。図20は、図19に示したキャスクの一部拡大図である。このキャスク500は、ステンレス製または炭素鋼製の胴本体501と、キャスク外面を構成する外筒502と、胴本体501と外筒502との間に充填される水素を含有した高分子材料のレジン503と、胴本体501の下部に溶接され、レジン504を封入した構造の底板505と、胴本体501に溶接一体化したフランジ部506に設けた一次蓋507及び二次蓋508とから構成される。使用済み燃料集合体を収納するバスケット513は、胴本体501のキャビティ509内に配置される。前記一次蓋507と二次蓋508は、図20に示すように、ボルト510、511によってフランジ部506に固定され、二次蓋508にはレジン512が封入されている。
【0004】
前記バスケット513は、ボロン(B)とアルミニウムとの複合材料によって形成した複数のセルから構成されている。また、このキャスク500のキャビティ509内にはヘリウムガスが負圧状態で充填されている。その一方、一次蓋507と二次蓋508の間の空隙内は正圧となり、これによってキャスク500内部と外部との間に圧力障壁を形成している。また、二次蓋508には、蓋間空間の圧力を測定するための孔514が設けられており、この孔514の出口には圧力センサー515が設けられている。
【0005】
前記一次蓋507には、キャスク500内のガスを置換するためのバルブ516が設けられており、当該バルブ516はバルブカバー517によって覆われている。一次蓋507と胴本体501との間、二次蓋508と胴本体501との間の密封には、長期間に渡って密封機能を維持する観点から耐熱性、耐食性を有し耐久性の高い金属ガスケット518、519を用いる。
【0006】
図21は、キャスクのシールに使用する金属ガスケット及びキャスクのシール部を示す拡大図である。なお、一次蓋507と胴本体501との間及び二次蓋508と胴本体501との間のシール部は同様のシール構造となる。ガスケット溝525は機械加工により形成され、使用する金属ガスケット518、519は二連リング構造のものを用いる。この金属ガスケット518、519は、腐食や高温酸化に強いインコネル(商標名:クロム16%、鉄7%を含むニッケル系合金)によって製作したコイルスプリング521に、同じくインコネル製の内被522で被覆し、さらに、アルミニウム製の外被523により内外輪をまとめて被覆した構成である。図21(a)は、金属ガスケット518(519)の使用前における状態を示す。金属ガスケット518(519)は、二次蓋508等と胴本体501等とが固定されると、その締付け力によって図21(b)のように変形し、密封機能を発揮する。
【0007】
ガスケット溝525に対しては、外被523部分に設けたボルト穴を用いて固定する。前記金属ガスケット518、519には、例えば原子力用キャスクに対する使用実績が多い、日本バルカー工業株式会社製「トライバック」やフランス国のCEFILAC社製の「ヘリコフレックスシール」などを用いることができる。
【0008】
金属ガスケットの塑性変形率と密封性能の温度・時間依存性はLarson-Miller Parameter(LMP)により表すことが可能であり、その詳細は、「使用済燃料貯蔵キャスクの長期密封性能評価手法の開発」(加藤、伊東、三枝、日本原子力学会誌、Vol.38,No.6,95〜101,1996)により開示されている。一般的に、金属ガスケットの長期密封性能は、密封保持限界のLMPを求め、所定温度における限界時間を予測することにより行う。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、使用済み燃料集合体を内部に格納したキャスク500は、貯蔵施設で数十年という長い期間貯蔵される。このとき、使用済み燃料の崩壊熱によって、金属ガスケット518、519は120℃程度の環境下で使用が開始される。そして、数十年の貯蔵期間中に徐々に温度を下げて、貯蔵期間の末期には60℃程度の環境下で使用されることになる。金属ガスケット518、519の外被523はアルミニウムであり、上記温度範囲はアルミニウムにとって高温クリープと低温クリープとの間で使用されることになる。このため、初期には十分な密封性能を持っていた金属ガスケット518、519であっても、高温環境下における長期間の使用によって、クリープ変形による応力緩和現象が発生し、密封性能の低下を招くおそれがあった。また、従来の金属ガスケット518、519は、数MPaの作用圧力の下で密封を保つ性能を持っているが、作用圧力が高い分、強い力で外被523を押し付けることになる。このため、外被523がクリープしやすく、数十年の長期にわたり所期の密封性能を維持できる金属ガスケットは、クリープ現象の少ない高級材料(例えば金、銀等)を使用するか、クリープ現象が生じても密封機能を維持できる大きなガスケット線径のものを使用するのが現状であった。
【0010】
また、使用済み燃料集合体をキャスク500内に収納するときにはプール内で作業する必要がある。そして、プール内に沈めた状態で金属ガスケット518を組み付けた後は、真空乾燥によって金属ガスケット518の水分を取り除く必要がある。しかし、シール部の隙間は小さいため、短時間では金属ガスケット518の内部に入り込んだ水分を完全に除去できない場合がある。このため、金属ガスケット518の内部に入り込んだ水分を完全に除去するには非常に長い時間を要していた。
【0011】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、長期間の使用においても金属ガスケットの劣化を最小限にして十分な密封性能を確保すること、真空乾燥時には確実に金属ガスケット中の水分を除去して長期貯蔵の全期間にわたって十分な密封性能を発揮させること、真空乾燥に要する時間を短縮すること、のうち少なくとも一つを達成できるキャスク及び金属ガスケットを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るキャスクは、使用済み燃料集合体を収納するバスケットを格納するキャビティが形成された放射線を遮蔽する胴本体と、当該胴本体のキャビティ開口側に取り付けられる蓋と、環状のコイルスプリングと、当該コイルスプリングを被覆する金属の外被とを有し、前記胴本体と前記蓋との間に介在して前記キャビティ内の密封を保持する金属ガスケットとを備え、前記金属ガスケットは、前記胴本体及び前記蓋と接する前記外被のシール領域に締付け力が作用した場合における当該シール領域の応力分布が、前記外被のシール領域以外の領域に締付け力が作用した場合における前記シール領域以外の領域の応力分布よりも均一であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るキャスクは、使用済み燃料集合体を収納するバスケットを格納するキャビティが形成された放射線を遮蔽する胴本体と、当該胴本体のキャビティ開口側に取り付けられる蓋と、環状のコイルスプリングと、当該コイルスプリングを被覆する金属の外被とを有し、前記胴本体と前記蓋との間に介在して前記キャビティ内の密封を保持する金属ガスケットとを備え、前記金属ガスケットは、前記胴本体及び前記蓋と接する前記外被のシール領域が、密封のために前記金属ガスケットに作用させる締付け力を分散させる形状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
このキャスクは、蓋と胴本体との密封を保持するために、金属ガスケットを使用する。そして、締付け力を作用させた場合におけるこの金属ガスケットの外被におけるシール領域の応力分布は、前記シール領域以外の領域に締付け力を作用させたと仮定した場合における当該領域の応力分布よりも均一になるようにしてある。また、金属ガスケットのシール領域は、金属ガスケットの締付け力を分散させるようにしてある。このため、シール領域における局所的な応力集中を緩和できるので、外被のクリープ変形の進行を抑制できる。これによって、長期貯蔵においても金属ガスケットの応力緩和現象を抑えることができる。また、金属ガスケットのスプリングバック(有効弾性復元)も多くとることができるので、蓋と胴本体とのずれに対する裕度を大きくできる。その結果、長期貯蔵においてもより高い安全性を担保できる。ここで、金属ガスケットのシール領域とは、金属ガスケットの外被の一部であって、キャスクの胴本体と蓋とに接して密封する領域をいう(以下同様)。
【0015】
また、本発明に係るキャスクは、使用済み燃料集合体を収納するバスケットを格納するキャビティが形成された放射線を遮蔽する胴本体と、当該胴本体のキャビティ開口側に取り付けられる蓋と、環状のコイルスプリングと、前記コイルスプリングを被覆し、且つ前記胴本体及び前記蓋と接するシール領域が予め平面に形成された環状の外被とを有し、前記胴本体と前記蓋との間に介在して前記キャビティ内の密封を保持する金属ガスケットとを備えたことを特徴とする。また、本発明に記載の金属ガスケットは、環状のコイルスプリングと、前記コイルスプリングを被覆し、且つ密封対象物と接するシール領域が予め平面に形成された環状の外被とを備えたことを特徴とする。
【0016】
このキャスクは、外被のシール領域を予め平面に形成した金属ガスケットを用いて、蓋と胴本体との密封を保持する。このように、密封対象物である蓋及び胴本体と金属ガスケット外被のシール領域とが平面で接するので、前記外被のシール領域における応力集中を分散させて、応力分布をより均一にできる。これによって、外被のクリープ変形の進行を抑制できるので、長期貯蔵においても金属ガスケットの応力緩和現象を抑えることができる。また、応力緩和現象を抑えることによって、金属ガスケットのスプリングバックも多くとることができるので、蓋と胴本体とのずれに対する裕度を大きくできる。その結果、長期貯蔵においてもより高い安全性を担保できる。また、シール面を平坦にすることで外被の厚みを選択できるので、外被を従来よりも厚くして、シール部からの外被の逃げをより拘束することもできる。
【0017】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記環状の外被における上記シール領域を形成する平面と、上記シール領域以外の部分とが交わる部分には、上記環状の外被の周方向に向かう段部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
単に金属ガスケットのシール領域を平面に形成したのでは、シール領域とシール領域以外の部分とが交わる部分に応力集中が生じてしまう。このため、当該部分に環状の外被の周方向に向かう段部を形成して、この部分における応力集中を低減させる。これによって、外被のシール領域における応力分布をさらに均一にできるので、外被のクリープ変形の進行をさらに抑制できる。したがって、長期貯蔵においても金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えることができるので、さらに高い安全性を担保できる。
【0019】
また、本発明に記載のキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記金属ガスケットの上記シール領域は、上記環状の外被の周方向に向かう少なくとも1の溝部を有することを特徴とする。
【0020】
金属ガスケットのシール領域を平面に形成した場合であっても、仕上げ具合によって応力が高くなる部分が存在する。このキャスクでは、このような応力が高くなる部分に金属ガスケットの周方向に向かう溝を設けた金属ガスケットによって胴本体と蓋とを密封する。これによって、金属ガスケットのシール領域の応力集中を低減させて、応力分布を均一にできるので、クリープ変形の進行を抑制して、長期間貯蔵においても密封性能を維持できる。なお、溝部の寸法および個数は、シール領域の応力分布に応じて適宜選択できる。
【0021】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、ある作用圧力に耐え得る上記金属ガスケットの断面直径と上記環状のコイルスプリングの素線径との組合せにおいて、この環状のコイルスプリングの素線径を細くしたことを特徴とする。
【0022】
金属ガスケットの作用圧力は、金属ガスケットの断面直径と内部に被覆されているコイルスプリングの素線径とによって決定される。キャスクの胴本体と蓋との密封に使用するためには、ずれに対する裕度を持たせる必要がある。このため、ある程度のつぶれ代を確保するためにある程度の断面直径を持った金属ガスケットを使用する必要がある。しかし、従来の金属ガスケットでこの用途に使用する断面直径の金属ガスケットを選択すると、作用圧力が高すぎるためコイルスプリングの曲げ剛性が高すぎて、数十年の貯蔵期間中に外被がクリープダウンした場合には、十分なスプリングバック量を確保できなかった。
【0023】
このキャスクは、作用圧力の高い金属ガスケット、すなわちキャスクの胴本体と蓋との密封に使用できる程度の断面直径を持った金属ガスケットにおいて、コイルスプリングの素線径を細くして曲げ剛性を低くすることで、十分なスプリングバック量を確保している。これによって、長期間の貯蔵によって外被がクリープダウンした場合でも、十分なスプリングバック量を確保できるので、安定した密封性能を発揮して、輸送時の安全性も確保できる。ここで、キャスクの胴本体と蓋との密封に使用できる程度の断面直径は5.0mm以上であり、従来の金属ガスケットでは50MPa以上の作用圧力を持つものである。
【0024】
また、コイルスプリングの曲げ剛性があまり低いと、金属ガスケットがつぶれたまま復元しなくなるので、無闇に曲げ剛性を低くすることはできない。請求項7に係るキャスクのように、素線径を細くした上記環状のコイルスプリングのスプリング曲げ剛性は、素線径を細くする前の約30%以上約80%以下とすることが好ましい。この範囲であれば、ある程度の曲げ剛性を確保しつつスプリングバック量を大きくする効果を得ることができる。
【0025】
このような範囲を、コイルスプリングの素線径dと金属ガスケットの断面直径Dとで表せば、環状のコイルスプリングの素線径dと金属ガスケットの断面直径Dとの比d/Dが0.02以上0.08以下の範囲である。さらに具体的には、環状のコイルスプリングの素線径dは0.35mm以上0.80mm以下であり、金属ガスケットの断面直径Dは5.0mm以上12.0以下である。このような範囲であれば、ある程度の曲げ剛性を確保しつつスプリングバック量を大きくする効果を得ることができるので、長期間貯蔵においても高い密封性能を維持でき、また、胴本体と蓋とのずれに対する裕度も維持できる。
【0026】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記環状のコイルスプリングは、素線の断面形状が矩形であることを特徴とする。また、本発明に係る金属ガスケットは、前記本発明に記載の金属ガスケットにおいて、素線の断面が矩形の環状のコイルスプリングと、当該コイルスプリングを被覆する外被と、を備えたことを特徴とする。
【0027】
このキャスクは、断面形状が矩形の素線を使用した金属ガスケットを使用している。このため、断面円形のコイルスプリングと比較して内被や外被との接触面積を大きくできるので、より均等にコイルスプリングの反発力を外被に伝えることができる。これによって、外被の応力分布をより均等にできるので、クリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象を低減できる。その結果、長期貯蔵においても密封性能を維持できる。なお、本発明にいう矩形には、正方形と長方形とを含むものとする(以下同様)。
【0028】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記金属ガスケットは、上記外被で被覆された上記環状のコイルスプリングの部分における断面が楕円形状であって、シール領域の曲率半径はシール領域以外の部分における曲率半径よりも大きいコイルスプリングを備えたことを特徴とする。また、本発明に係る金属ガスケットは、前記本発明に記載の金属ガスケットにおいて、さらに、上記金属ガスケットは、上記外被で被覆された上記環状のコイルスプリングの部分における断面が楕円形状であって、シール領域の曲率半径はシール領域以外の部分における曲率半径よりも大きいコイルスプリングを備えたことを特徴とする。
【0029】
このキャスクは、予め断面が楕円状に形成された金属ガスケットを使用して、胴本体と蓋との気密を保持するものである。そして、この金属ガスケットは、シール領域の曲率半径はシール領域以外の部分における曲率半径よりも大きい楕円状の断面である。すなわち、断面円形の金属ガスケットを締め付け方向に対して押しつぶしたような形状である。このため、断面形状が円形である場合と比較して、スプリングの曲げ剛性を低くできる。これによって、スプリングバック量を十分に確保できるので、従来の金属ガスケットよりも大きなずれが生じても、キャスクの気密を維持できるので、より安全に輸送できる。また、従来の金属ガスケットと比較して、このコイルスプリングは外被のシール領域とより大きな面積で接触するので、外被に作用する応力を従来よりも小さくできる。これによって、外被のクリープ変形を抑えて、応力緩和現象を低減できる。さらに、コイルスプリングの曲げ剛性は従来の金属ガスケットよりも小さいので、コイルスプリングの側部における外被のへたりも従来より低減でき、長期貯蔵における信頼性を高くできる。
【0030】
また、本発明に記載のキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記金属ガスケットは、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆して一体化したことを特徴とする。また、本発明に係る金属ガスケットは、前記本発明に記載の金属ガスケットにおいて、さらに、上記金属ガスケットは、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆して一体化したことを特徴とする。
【0031】
このキャスクは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で一体とした金属ガスケットによって、胴本体と蓋とを密封する。そして、個々のコイルスプリングについては、上記キャスク又は金属ガスケットの構成を適用するので、上記キャスク又は金属ガスケットの奏する作用効果が得られる。さらに、外被同士で個々のコイルスプリングを一体化しているので、長期間貯蔵において外被がクリープ変形しても、二個のコイルスプリングが互いにこのクリープ変形を規制する。これによって、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、より高い安全性を担保できる。
【0032】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆し、且つ上記外被の端部同士を接合して断面楕円状に形成したことを特徴とする。また、本発明に係る金属ガスケットは、前記本発明に記載の金属ガスケットにおいて、さらに、フープ径の異なる二個の上記環状のコイルスプリングを同心状に配置して二重リングを構成し、それぞれの上記環状のコイルスプリングを上記外被によって被覆し、且つ上記外被の端部同士を接合して断面楕円状に形成したことを特徴とする。
【0033】
このキャスクは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で被覆した後、外被の端部同士を接合した断面楕円状の金属ガスケットによって、胴本体と蓋とを密封する。このため、蓋側と胴本体側との両方のシール領域において、二個のコイルスプリングが互いに外被のクリープ変形を規制できる。これによって、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、長期貯蔵においてさらに高い安全性を担保できる。また、外被の端部同士を接合することによって、金属ガスケットの濡れ面積を最小にした完全な密封構造とすることができる。キャスクは、安全上の配慮から、水を満たしたプール内で使用済み燃料集合体を格納し、金属ガスケットを介して本体胴と蓋とで密封する。このため、真空乾燥その他の手段で水分を除去する必要があるが、この金属ガスケットは内部に水分が浸入しないので耐腐食性に優れ、長期貯蔵における信頼性を高くできる。また、金属ガスケットの濡れ面積が小さいので、従来よりも容易に乾燥できる。なお、金属ガスケットの断面を楕円状としたものには、図12(a)に示すように金属ガスケットの断面を通常の楕円形としたものの他、図13(a)に示すように二つの円弧と二つの直線とで構成されるレーストラック状の形状も含まれるものとする(以下同様)。
【0034】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記外被と上記二個の環状のコイルスプリングとで囲まれた空間に、上記金属ガスケットの締付け方向に対する上記外被の動きを制限するスペーサを備えたことを特徴とする。また、本発明に係る金属ガスケットは、前記本発明に記載の金属ガスケットにおいて、さらに、上記外被と上記二個の環状のコイルスプリングとで囲まれた空間に、上記金属ガスケットの締付け方向に対する上記外被の動きを制限するスペーサを備えたことを特徴とする。
【0035】
このキャスクは、同心状に配置したフープ径の異なる二個のコイルスプリングの間に、予めスペーサを備えてから外被の端部同士を接合した金属ガスケットを使用する。このため、このスペーサによって外被の変形を抑えることができるので、外被のクリープ変形をより抑制して、長期保管における信頼性をさらに高くできる。また、外被の端部同士を接合する際には、外被がこのスペーサによって支えられるので、外被の変形を抑えて端部同士を容易に接合できる。これによって、施工効率を高くでき、より確実に外被を接合できる。これによって、金属ガスケットの気密性をより高くして、接合部からの水の浸入をより確実に防止できるので、さらに耐腐食性能を高くできる。
【0036】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、上記二個の環状のコイルスプリングのうち、一方の直径を他方の直径よりも小さくしたことを特徴とする。また、本発明に係る金属ガスケットは、前記本発明に記載の金属ガスケットにおいて、上記二個の環状のコイルスプリングのうち、一方の直径を他方の直径よりも小さくしたことを特徴とする。
【0037】
このキャスクは、異なるフープ径を持つ二個の環状のコイルスプリングを同心状に配置し、両者のスプリング直径を異ならせて径の異なるガスケットリングを備えた金属ガスケットを用いる。このため、径の大きい方のガスケットリングがキャスクの胴本体及び蓋と接するが、この状態で真空乾燥すれば、径の小さいほうのガスケットリング側に隙間が残るので、金属ガスケットに付着した水分が容易に蒸発する。このように、金属ガスケット内の水分を十分に取り除くことができるので、金属ガスケットが腐食するおそれを極小にできる。これによって、長期間の貯蔵においても密封性能の信頼性を高くできる。
【0038】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記二個の環状のコイルスプリング間における上記外被は、上記金属ガスケットの締付け方向に向かって湾曲させたことを特徴とする。
【0039】
このキャスクは、異なるフープ径を持つ二個の環状のコイルスプリングを同心状に配置してこれらを外被で被覆して一体とし、さらに前記コイルスプリング間における外被を、金属ガスケットの締付け方向に向かって予め湾曲させた金属ガスケットを使用する。このため、外被とキャスクの胴本体あるいは外被と蓋との間に空間ができるので、プール内でこの空間に入り込んだ水を除去しやすくなる。これによって、残留水分をより効果的に取り除くことができるので、金属ガスケットや蓋等が腐食するおそれを極小にして、長期間の貯蔵においても密封性能の信頼性を高くできる。
【0040】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記外被には水抜き孔が設けられていることを特徴とする。
【0041】
このキャスクは、金属ガスケットの外被に水抜き孔を設けた金属ガスケットを使用する。このため、乾燥の際にはこの水抜き孔から金属ガスケット内に残留した水分が排出されるので、より効率よく金属ガスケットを乾燥させることができる。これによって、長期貯蔵においても金属ガスケットの腐食を抑制できる。なお、水抜き孔は、コイルスプリングを被覆している外被に設けてもよい。このとき、コイルスプリングと外被との間に内被を備えた形式のものでは、内被まで水抜き孔を貫通させることが望ましい。また、二個の異なるフープ径のコイルスプリングを同心状に配置して、両者を外被で被覆するタイプのものでは、前記コイルスプリング同士の間における外被に水抜き孔を設けてもよい。このときには、水抜き孔を設けたコイルスプリング同士の間における外被を湾曲させてもよい。このようにすると、外被と蓋等との間に隙間ができるので、水の表面張力の影響を小さくして排水性を向上させることができる。
【0042】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記外被は、上記胴本体及び上記蓋よりも軟らかい金属であることを特徴とする。このため、キャスクの胴本体や蓋を傷つけることはないので、これらを容易に再利用することができる。
【0043】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記環状コイルスプリングと上記外被との間に、上記環状のコイルスプリングを被覆する内被を備えたことを特徴とする。また、本発明に記載の金属ガスケットは、前記本発明に記載の金属ガスケットにおいて、さらに、上記環状コイルスプリングと上記外被との間に、上記環状のコイルスプリングを被覆する内被を備えたことを特徴とする。
【0044】
このキャスクは、コイルスプリングと外被との間に、コイルスプリングを被覆する内被をさらに備えた金属ガスケットを使用する。このため、上記キャスク又は金属ガスケットの奏する作用・効果の他に、特にアルミニウムやスズ等の軟質金属を外被に使用した場合には、この内被によって、コイルスプリングの押圧力が外被に均等に伝わるという作用が得られる。これによって、外被の局所的な応力集中を分散させることができるので、外被のクリープ変形に起因する応力緩和現象を抑えて、長期貯蔵における信頼性を高めることができる。
【0045】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記外被は上記胴本体及び上記蓋よりも腐食電位が高い金属であることを特徴とする。このため、まず外被から腐食するため、高価なキャスクの胴本体および蓋を腐食から守ることができる。
【0046】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、少なくとも上記金属ガスケットの環状のコイルスプリングが大気に触れる箇所には、シリコン樹脂その他のシール手段で覆うことを特徴とする。また、本発明に記載の金属ガスケットは、前記本発明に記載の金属ガスケットにおいて、さらに、少なくとも上記金属ガスケットの環状のコイルスプリングが大気に触れる箇所には、シリコン樹脂その他のシール手段で覆うことを特徴とする。
【0047】
このキャスクは、金属ガスケットのコイルスプリングが大気に触れる部分をシール手段によって覆うようにしている。このため、プール内で金属ガスケットを取り扱っても、金属ガスケット内に水が浸入することはないので、金属ガスケットの腐食を抑えて長期貯蔵においても高い密封性能を維持できる。
【0048】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記金属ガスケットには、撥水剤が塗布されていることを特徴とする。また、本発明に係る金属ガスケットは、前記本発明に記載の金属ガスケットにおいて、さらに、上記金属ガスケットには、撥水剤が塗布されていることを特徴とする。このため、撥水剤によって金属ガスケットに付着した水がはじかれるので、真空乾燥においては、容易に水分を除去できる。これによって、金属ガスケットに残留する水分を極小にできるので、金属ガスケットの腐食を抑えて長期貯蔵においても高い密封性能を維持できる。
【0049】
また、本発明に係るキャスクは、前記本発明に記載のキャスクにおいて、さらに、上記金属ガスケットには、有機剤が塗布されていることを特徴とする。このキャスクは、アルコールその他の有機剤を予め塗布した金属ガスケットを介して、蓋をキャスクの本体胴に取り付ける。このため、水中における使用済み燃料集合体の格納時においては、これらの有機剤によって金属ガスケットに対する水の侵入を防止する。そして、これらの有機剤は沸点が低いため、真空乾燥の際にはこれらの有機剤が完全に蒸発して水分は金属ガスケットに残留しない。このようにしても、残留水分を除去できるので、長期貯蔵においても金属ガスケットの腐食を抑制して、貯蔵の信頼性を高くすることができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。なお、本発明に係る金属ガスケットの適用範囲は特に限定されるものではなく、例えばキャスクのシールや原子炉格納容器のシール部分等にも適用できる。また、この金属ガスケットは、特に比較的高温環境下で数十年の単位で密閉性能を維持するような用途に適しており、その中でも使用済み燃料集合体を収納して運搬し、長期間貯蔵するキャスクに好適である。
【0051】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係るキャスクにおけるシール構造を示す説明図である。また、図2は、この発明の実施の形態1に係る金属ガスケットを示す断面図である。このキャスクのシール構造10は、外被のシール領域50sを予め平面に形成した金属ガスケットを使用してシールする点に特徴がある。なお、次に説明する金属ガスケット20は、フープ径Dfの異なる二個のコイルスプリング30aと30bとを同心状に配置して、両者を外被50によって被覆しながら結合する、いわゆるダブルリングタイプのものである。しかし、本発明に適用できる金属ガスケットはこのタイプには限られず、図2(b)に示すような、1個のコイルスプリング30を内被40と外被50とで被覆する、いわゆるシングルリングタイプの金属ガスケット20'にも適用できる。以下の実施の形態においても同様である。なお、内被40は必ずしも必要ではない。
【0052】
図1に示すように、このシール構造10は、例えばキャスク500の二次蓋508と胴本体501のフランジ部との間に設けられる。なお、キャスクの一次蓋と胴本体501との間にももちろんこの発明に係るシール構造及び金属ガスケットは適用できる(以下同様)。図2に示すように、金属ガスケット20は、環状のコイルスプリング30に内被40を被覆し、さらに、外被50により内外輪をまとめて被覆した構成である。この金属ガスケット20のフープ径Df(胴本体501の中心Cから金属ガスケット20までの距離)は2m程度、内輪70及び外輪80それぞれの断面直径Dは5.5mm程度、外被50の厚さは0.4mm、内被40の厚さは0.2mmとなる。外被50の材料には、アルミニウム、銀、銅、ニッケルなどの軟質金属が用いられており、密封性能を確保する。また、内被40及びコイルスプリング30には腐食や高温酸化に強いインコネル(登録商標)等のニッケル系合金を用いて、高温環境下においても弾性を維持できるようにしてある。より高温の耐久性を向上させたいときには、Co含有量の多いナイモニック(登録商標)等を使用することもできる。
【0053】
なお、この金属ガスケット20には内被40を使用しているが、内被40は必ずしも必要な訳ではなく、必要に応じて使用すればよい。ただし、金属ガスケット20の外被50にアルミニウム等の軟質金属を使用する場合には、内被40を設けることが好ましい。これは、コイルスプリング30の反発力をより均一に外被50に伝達して、外被50に発生する局所的な応力集中をできるだけ小さくすることができるからである。これによって、後述するクリープ変形をより小さく抑えることができる。
【0054】
また、金属ガスケット20の外被50には、二次蓋508等と接して密封するためのシール領域50sが形成されており、図2に示すように、このシール領域50sは平面に形成されている。これは、外被50のクリープ変形による締付け応力の緩和現象を低減するためであるが、詳細については後述する。
【0055】
二次蓋508や一次蓋、及び胴本体501には、放射線を遮蔽すると共に機械的強度を保つためステンレス鋼や炭素鋼が用いられる。その一方、金属ガスケット20の外被50には密封性能を発揮させるため、アルミニウムや銀等の軟質金属が用いられている。このため、異種金属の接触により両者間に電位差が発生して、金属ガスケット20が電解腐食を起こし密封漏れの原因となる。このため、キャスクの二次蓋508や胴本体501の材料には、モリブデンを含むSUS317またはSUS625を使用して、電解腐食を防止するようにしている。
【0056】
また、SUS317またはSUS625は溶接性に優れているので、キャスクのように一般的に溶接部分が多いものに適している。さらに、SUS317及びSUS625のほかに、SUS314、SUS316、SUS326、SUS345などを用いることもできる。また、二次蓋508及び胴本体501にSUS317などを用いなくても、同材による肉盛りを施すことでシール面90を形成するようにしてもよい(図示省略)。
【0057】
また、キャスクの二次蓋508や胴本体501の材料として使用するモリブデンを含むSUS317またはSUS625よりも腐食電位の高いアルミニウムを外被50として使用してもよい。このようにすれば、二次蓋508や胴本体501よりも交換が容易な金属ガスケット20の外被50の方が腐食されやすくなるので、二次蓋508や胴本体501が電解腐食から守られる。
【0058】
次に、金属ガスケット20に使用される環状のコイルスプリング30について説明する。図3は、この発明の実施の形態1に係る金属ガスケットのコイルスプリングを示す説明図である。同図に示すように、このコイルスプリング30はニッケル基の合金であるインコネル(登録商標)や、より高温に耐え得るナイモニック(登録商標)等の線材を、隙間を設けないで巻くことによって作られている。これは、隣の線との間に隙間が開いていると、密封のため金属ガスケット20が押しつぶされたときに、均等な力で内被40と外被50(図2参照)とを押し返すことができなくなり、長期間の使用において所期の密封性能を発揮できなくなるからである。
【0059】
一般に、金属ガスケット20(図2参照)において密封圧力を得ようとすると、コイルスプリング30の素線径dが太いものを使用して、コイルスプリング30の曲げ剛性を高くする必要がある。コイルスプリング30の素線径dが太くなればそれだけ素線を巻き難くなるので、コイルスプリング30の巻き線径D1も大きくなる。その結果、高いシール圧力が求められる金属ガスケット20の断面直径Dは、シール圧力が低いものと比較して大きくなる。なお、コイルスプリング30の曲げ剛性とは、コイルスプリング30の径方向に力Pを加えた場合における、コイルスプリング30の径方向に対する変形のし難さをいう(以下同様)。
【0060】
ここで、キャスクに使用する上記金属ガスケット20には、数十年間にわたるシール性能が要求される。また、キャスク内に収納される使用済み燃料集合体は崩壊熱を発生しており、初期における金属ガスケット20の使用環境温度は120℃程度となる。そして、使用済み燃料集合体が数十年保管される間に、金属ガスケット20の使用環境温度は120℃程度から60℃程度まで徐々に低下する。
【0061】
このような使用環境においては、外被50に使用する材料の種類によって、外被50にクリープ変形が生ずる。特に、融点の比較的低いアルミニウムを外被50に使用した場合には、このクリープ変形が問題となる。図4は、金属ガスケットに作用する応力と、金属ガスケットの歪との関係を示した説明図である。キャスクの二次蓋508等を締付ると、金属ガスケット20には所定の締付応力σ0が作用し、これによって初期歪ε0が生ずる。この初期歪ε0は、塑性歪εpと、弾性歪εe(t=0)との和で表すことができる。時間の経過によって外被50にクリープ歪εcが生ずると、締付応力σ0が緩和されるので、弾性歪εeが減少する。そして、締付け時からある時間tが経過したときには、クリープ歪εcが増加した分、締付け応力がσtまで低下する。これを金属ガスケットの応力緩和現象という。
【0062】
図4中に示すσcは気密限界応力であり、金属ガスケット20に作用する応力がこの気密限界応力σcを下回ると、キャスク内部と外部との差圧によって気密が破られる。金属ガスケット20に締付応力σ0を作用させた直後にこの締付応力σ0を除去すると、弾性歪εeが除去されるので、金属ガスケット20の歪は塑性歪εpのみとなる。そして、R0点で気密が破られる。しかし、金属ガスケット20に締付応力σ0を作用させてから長時間経過すると、上述したように締付け応力がσtまで低下する。そして、この状態で締付け応力を開放すると、金属ガスケット20の歪は塑性歪εpとクリープ歪εcとの和となり、R1点で気密が破られる。これは、クリープ歪εcが増加した分だけ、初期の弾性歪εe(t=0)が減少したからである。
【0063】
金属ガスケット20の気密限界応力はσcであるため、金属ガスケット20の締付直後においては、金属ガスケットの歪がε1まで減少したときに気密が破られる。一方、長時間経過後においては、金属ガスケット20の歪がε2まで減少したときに気密が破られることになる。これは、金属ガスケット20の締付直後と比較して、より少ない歪、すなわちより少ない変位で、気密が破られることを意味する。
【0064】
長期貯蔵におけるキャスクの密閉性を維持し、信頼性を向上させるためには、金属ガスケット20の応力緩和現象を十分に解析することが必要である。本発明者らは、金属ガスケットの応力緩和現象について鋭意研究した結果、次の事項を見出した。まず、金属ガスケット20の応力緩和現象は、外被50を構成する材料がクリープ変形することによる、コイルスプリング30の弾性変位が開放される現象である。そして、金属ガスケット20が劣化した後のスプリングバック(有効弾性復元)は、コイルスプリング30が塑性変形した後における曲げ剛性に支配される。この塑性変形した後における曲げ剛性は、長期貯蔵後であっても金属ガスケット20が新品であるときと比較して特性変化は無視できるほどで、外被50と比較すれば変化なしとし得る。すなわち、インコネルやナイモニック製であるコイルスプリング30の材質劣化は、金属ガスケット20の応力緩和現象を考えるにあたって考慮する必要はない。
【0065】
長期貯蔵におけるキャスクの密閉性を維持し、信頼性を向上させるためには、次の方策がある。まず、金属ガスケット20のクリープ変形を小さくすることである。クリープ変形を小さくできれば、長時間経過後における締め付け応力σの低下も少なくなるからである。次に、長時間経過後における金属ガスケット20のスプリングバック量をできるだけ大きくすることである。このスプリングバック量を大きくできれば、締付け応力σが気密限界応力σcに達するまでにおける二次蓋508等の変位を大きくとることができるので、それだけ落下等による二次蓋508等のずれに対して裕度を高くできるからである。
【0066】
まず、スプリングバック量を大きくする手法について説明する。図5は、金属ガスケットに作用させる荷重と金属ガスケットの変位との関係を示した説明図である。図中の点線は、従来の金属ガスケット520(図7(a)参照)を、図中の実線は本発明に係る金属ガスケット20を示す。なお、図5に示してあるのは、LMPを用いた外挿法による解析結果であり、初期温度120℃で60年後に60℃まで直線近似のもとに温度降下した場合を温度条件としたものである。なお、この温度条件は、実施のキャスクにおける長期貯蔵の温度条件を十分に再現できるものである。また、LMPを用いた外挿法は、応力緩和を安全側、すなわち応力緩和を大きく見積もる手法であり、このような解析には好ましい手法である。
【0067】
本発明に係る金属ガスケット20の曲げ剛性は、従来の金属ガスケット520における曲げ剛性のおよそ50%としてある。このようにするため、コイルスプリング30の素線径dは従来の金属ガスケット520よりも細くしてある。また、この発明に係る金属ガスケットの断面直径Dは、従来の金属ガスケット520と同じである。なお、本発明に係る金属ガスケット20の曲げ剛性は、従来の金属ガスケット520における曲げ剛性の30%以上80%以下の範囲が好ましい。この範囲であれば、ある程度の曲げ剛性を確保しつつスプリングバック量を大きくする効果を得ることができるからであり、さらには従来の金属ガスケット520における曲げ剛性の30%以上60%以下の範囲がより好ましい。
【0068】
ここで、この発明に係る金属ガスケット20の初期締付け量は従来の金属ガスケット520よりも大きくしてある。これによって、従来の金属ガスケット520とこの発明に係る金属ガスケット20とに作用する初期応力(締付応力)σ0が等しくなるので、同じ時間経過した後の応力緩和量は同一となる。このときの締付け応力はσtである。ここで、締め付け応力σを徐々に開放すると、金属ガスケットは徐々に元の形に戻り、変位δが0に近づく。そして、締付け応力σが気密限界応力σcに到達したときの変位δが、金属ガスケットの気密限界変位δcとなる。
【0069】
この発明に係る金属ガスケット20においては、従来の金属ガスケット520よりも曲げ剛性を小さくしてあるので、金属ガスケットの変位δに対する締め付け応力σの変化、すなわちσ/δが従来の金属ガスケットよりも緩やかになる。その結果、締め付け応力σの緩和に対して、従来よりも大きく金属ガスケット20が変位する。すなわち、同じ締付け応力σであれば、そのときのスプリングバック量を多くとることができるので、気密限界変位δcもその分だけ大きくすることができる。これによって、従来の金属ガスケット520よりも大きなずれが生じても、キャスクの気密を維持できるので、長期貯蔵後であっても安定した密封性能を発揮して安全に輸送できる。
【0070】
具体的には、従来の金属ガスケット520におけるスプリングバック量δc520は0.01〜0.02mm程度であるのに対し、本発明の金属ガスケット20におけるスプリングバック量δc20は0.20mm程度である。このように、本発明に係る金属ガスケット20におけるスプリングバック量は、従来の金属ガスケット520におけるスプリングバック量の10〜20倍である。ここで、キャスクの密封に使用する金属ガスケットに要求されるスプリングバック量はおよそ0.05mmであるが、本発明に係る金属ガスケット20は、この値を十分に達成できる。これによって、従来の金属ガスケットでは不十分だった、使用済み燃料集合体のキャスクにおける数十年の長期貯蔵に対しても十分な信頼性を持つ金属ガスケットを得ることができた。
【0071】
上記説明から、コイルスプリング30の曲げ剛性を小さくするとスプリングバック量を増やすことができるが、あまり曲げ剛性を小さくすると、金属ガスケット20の変形量が大きくなるため好ましくない。ここで、表1〜3に長期貯蔵後における金属ガスケットのスプリングバック量の評価結果を示す。なお、この評価はLMPを用いた外挿法によるものであり、温度条件は、初期温度120℃で60年後に60℃まで直線近似のもとに温度降下した場合である。また、キャスクの密封に使用される金属ガスケットに要求されるスプリングバック量が満足できたものを○とする。
【0072】
【表1】
Figure 0003986351
【0073】
【表2】
Figure 0003986351
【0074】
【表3】
Figure 0003986351
【0075】
表1から分かるとおり、金属ガスケット20の断面直径Dが5.6mmである場合には、コイルスプリング30の素線径dが0.35mm〜0.50mmの間で良好なスプリングバック量を示すことが分かる。また、表2から、金属ガスケット20の断面直径Dが12.0mmである場合には、コイルスプリング30の素線径dが0.80mm以下で良好なスプリングバック量を示すことが分かる。表3は、コイルスプリング30の素線径dと金属ガスケット20の断面直径Dとの比d/Dで評価結果を整理したものであるが、これからd/Dが0.02〜0.08の範囲で良好なスプリングバック量を示すことが分かる。
【0076】
上記結果から、コイルスプリング30の素線径d(図3参照)は、0.35mm以上0.80mm以下の範囲が好ましく、0.35mm以上0.50mm以下の範囲がより好ましい。また、あまり金属ガスケット20の断面直径Dが小さい場合には、断面直径Dに対して締付け量を大きくしないとスプリングバック量を確保できず、金属ガスケット20による気密が破壊される場合があるので、無闇に金属ガスケット20の断面直径D(図2参照)を小さくすることはできない。一方、金属ガスケット20の断面直径Dが大きくなりすぎると、上記素線径dでは必要な曲げ剛性が確保できなくなるので、金属ガスケット20の断面直径Dは、5.0mm以上12.0mm以下が好ましい。また、コイルスプリング30の素線径dと金属ガスケットの断面直径Dとの比d/Dとしては、0.02以上0.08以下が好ましい。
【0077】
なお、従来の金属ガスケット520において、金属ガスケット520の断面直径Dが5.0mmから6.0mmの範囲のものは、素線径が0.55mm以上のコイルスプリングが使用されている。そして、密封圧力は50MPa以上である。断面直径Dが5.0mmから12.0mmの範囲の金属ガスケットに、素線径が0.35mm以上0.80mm以下の範囲のものを使用すると、密封圧力は50MPaよりも低い値となる。ここで、キャスクにおける密封圧力は、最大1.0MPa程度である。したがって、断面直径Dが5.0mm以上12.0mm以下の金属ガスケットにおいて、素線径dが0.35mm以上0.80mm以下のコイルスプリングを使用しても圧力漏れを生ずることはなく、外被に生ずる応力を低くできるので、長期使用に伴う外被のクリープを軽減できる。
【0078】
次に、金属ガスケット20のクリープ変形を小さくする方策について説明する。図6は、この発明に係る金属ガスケットを示す断面図である。図7は、従来の金属ガスケットを示す断面図である。従来の金属ガスケット520においては、断面の外被覆形状は円形であり、円弧の部分がキャスクの胴本体と二次蓋508と接した後、締付け力を受けて図7(b)のように変形する。このため、図7(c)に示すように、二次蓋508及びキャスクの胴本体501と接するシール領域550sには、応力が不均一に作用する。また、コイルスプリングの曲げ剛性も必要以上に大きいため、シール部の中心にはより大きな応力が生ずる。その結果、この応力分布を緩和する作用が働くため、クリープ変形を促進する。
【0079】
この発明に係る金属ガスケット20においては、図6(a)に示すように、外被50が二次蓋508等と接するシール領域50sを予め平面に形成してある。これによって、図6(b)に示すように、この金属ガスケット20が締付け力を受けて圧縮された場合には、密封対象物である二次蓋508等と接するシール領域50sにおける応力分布が分散されて、従来よりも均一になる。別の言い方をすれば、密封対象物である二次蓋508等と接するシール領域50sにおける応力分布は、このシール領域以外の領域50yに締付け力が作用した場合におけるシール領域以外の領域50yの応力分布よりも均一となる。
【0080】
これによって、従来の金属ガスケット520と比較して、シール領域50sにおいては応力分布を均等にする作用が大きくなるので、外被50のクリープ変形を従来よりも緩やかにすることができる。これによって、外被50のクリープ変形を従来よりも小さくできるので、クリープ変形に起因する応力緩和現象を抑えることができる。また、外被50のシール領域50sを予め平面に形成しておくことによって、この金属ガスケット20の断面形状は円形ではなくなる。このような形状とすることによって、断面が円形の場合よりも断面係数が大きくなる。また、外被50のシール領域50sを予め平面に形成しておくことで、クリープ変形しやすい外被50のシール領域50sの厚みは従来の金属ガスケット520(図7参照)よりも薄くなるので、クリープによる変形の絶対量が小さくなり、この分だけ金属ガスケット20の復元量の減少を抑制できる。これらの作用によって、この金属ガスケット20は、シール領域50sに垂直な方向に向かう締付け力に対して、断面が円形である従来の金属ガスケット520と比較して、より大きな締付け力に耐えることができる。したがって、この金属ガスケット20においては、より細い素線径dのコイルスプリング30を使用しても、外被50が従来よりも大きな荷重を支えることができる。これによって、スプリングバック量をさらに大きくできるので、長期貯蔵においてもより高い安全性を担保できる。
【0081】
図8は、シール領域における応力を分散させる他の形状の例を示した説明図である。上述した通り、この発明に係る金属ガスケット20は、外被50のシール領域50sを予め平面に形成して、密封のための締付け力を分散させる形状としている。この他にも、密封のための締付け力を分散させる形状としては、図8(a)に示すように、外被50におけるシール領域50sを形成する平面と、シール領域以外の領域50yとが交わる部分には、金属ガスケット20の周方向に向かう段部50dを形成してもよい。
【0082】
図6(b)に示すように、単にシール領域を平面に形成したのでは、シール領域50sとシール領域以外の領域50yとが交わる部分に応力集中が生じてしまう。したがって、この部分に段部50dを形成して予め切り欠いておくことで、この部分の応力集中を低減する。なお、段部50dのコーナー部50dcは角状となっているが、この部分に曲率を設けてなだらかにしてもよい。このようにすることで、前記コーナー部50dcの応力集中も低減できる。
【0083】
また、シール領域50sを平面に形成した場合であっても、仕上げ具合によって応力が高くなる部分が存在する。したがって、図8(b)に示すように、このような部分に金属ガスケット20の周方向に向かう溝部50xを設けて、前記応力集中を低減させてもよい。この溝部50xの本数及び大きさは、応力集中の発生状況に応じて、適宜変更することができる。なお、応力集中の発生状況は、有限要素法等の手法によって解析することができる。このようにすることによって、金属ガスケット20の外被50に発生する応力集中をより均一にすることができるので、クリープ変形の進行を抑制して、長期間貯蔵における密封性能を維持できる。
【0084】
図9は、シール領域における応力を分散させる他の例を示した説明図である。同図(a)に示すように、シール領域50s側においては、コイルスプリング30xを平面状に形成し、さらに外被50のシール領域50s側を平面に形成する。このようにすると、平面状に形成したコイルスプリング30xが均等に外被50のシール領域50sを押圧するので、シール領域50sはより均等な応力分布となる。
【0085】
なお、このようなコイルスプリング30xは、例えば図9(b)に示すように製造する。まず、円柱に二つの平面を設けた断面楕円状の冶具30zに線材30yを巻きつける。そして、焼鈍して冶具30zの形状を線材30yに転写した後、熱処理してコイルスプリング30xを製造する。また、断面円形のコイルスプリングと比較して、このコイルスプリング30xは曲げ剛性が小さくなる。このため、実施の形態1で説明した断面円形のコイルスプリング30(図3参照)と比較して、素線径はより太いものを使用する必要がある。
【0086】
ここで、図1には示していないが、この発明においては、キャスク側のシール面90であるガスケット溝面90a及びその対向面90bに、微小凹凸82(図10参照)を多数形成してもよい。ここで、図10は、ガスケット溝面等に微小凹凸を形成した状態を示す拡大図である。この微小凹凸10の最大粗さRmax(maximum roughness)は、2μm以上20μm以下とするのが好ましい。Rmaxが2μmより小さいと金属ガスケット20の横ずれが発生し、Rmaxが20μmより大きいと金属ガスケット20の外被50が完全に食い込まず、密封性が不十分になるからである。また、微小凹凸82の平均粗さ(Ra:average roughness)は、0.6μm以上3.2μm以下とするのが好ましい。
【0087】
微小凹凸82を形成した状態で金属ガスケット20をつぶすと、図10に示すように、微小凹凸82が軟質金属の外被50に食い込んで(アンカー作用)その表面と馴染む結果、良好な密封を得ることができる(シール領域50s)。また、凸部での面圧が高くなって当該部分においてより密封性が高くなる。
【0088】
上記キャスク500において、輸送中にキャスクが落下して二次蓋508が径方向に移動した場合(図1中矢印A)、金属ガスケット20の外被50が微小凹凸82に食い込んでいることから、当該金属ガスケット20が横ずれせず、外被50が回転変形(図1中矢印B)すると共に全体的に蓋移動方向に移動するような挙動を示す(図1中矢印E)。このとき、金属ガスケット20の外被50は、新たな微小凹凸82に食い込んで新たなシール領域Snを形成する。
【0089】
このように、二次蓋508が径方向に移動した場合でも、金属ガスケット20の密封破壊が起こらず密封機能を維持できるから、ゴム製のOリングに換装しなくてもキャスク500の輸送を行うことが可能になる。また、キャスク500を長期間保管していると、金属ガスケット20に加えた締付力によって塑性流動が起こり、接触面圧の低下によって密封性能が低下するが、この密封構造では、微小凹凸82を形成することによって外被50の表面の塑性流動がある程度抑制されるから、接触面圧の低下を防止できるといった副次的効果も得られる。これは、微小凹凸82のRmaxが大きいほど効果的である。
【0090】
また、キャスク側のシール面90(図1参照)には、微小凹凸82の溝山82mが周期的に出現するようにこれらを形成してもよい。溝山82m等の形成には、例えば、セレーション加工等の加工方法を用いることができる。セレーション加工によれば、溝山82mが独立となって漏れ流路が生じないため、長期にわたって密封性能を維持できるからである。また、溝山82mと溝谷82tとを形成した場合の最大粗さ及び平均粗さは上述した値が適用できる。
【0091】
ここで、外被50に対する食い込み、及び密封性を保ちつつ金属ガスケットの横ずれを効果的に抑制する観点から、外径が6〜12mm程度の金属ガスケット20を使用する場合には、山部82mの出現ピッチpmは、0.1mm以上2.0mm以下が好ましく、さらには0.1mm以上0.8mm以下が好ましい。また、同様の観点から、外径が5〜6mm程度の金属ガスケット20を使用する場合には、0.1mm以上0.5mm以下が好ましく、さらには0.1mm以上0.2mm以下がより好ましい。このような範囲であれば、金属ガスケット20の横ずれを抑えつつ、十分な密封性能も確保できる。また、外被50のシール領域50sに対して十分な個数の溝山82mが食い込むことになるので、シール面積が大きくなる。これによって、ガスケット20の締め付け荷重を分散させて受けることができるので、長期貯蔵におけるクリープ変形を抑えることができる。なお、上記密封構造は、一次蓋507(図20参照)と胴本体501との間に適用され得ることは言うまでもない(以下に同じ)。
【0092】
実施の形態1に係る金属ガスケット20の構成は、外被50の材料がアルミニウムやスズ等のように融点が比較的低く、キャスクにおける使用温度ではクリープ変形が問題となるような金属に対して特に適する。しかし、融点が比較的高く、キャスクにおける使用温度ではクリープ変形が問題とならない銀や金、あるいはニッケル等の金属を外被50に使用した場合に適用してもよい。この場合は、スプリングコイルを細くする工夫と併用すると、従来よりもスプリングバックの量を従来の10〜20倍程度まで大きくできるので、キャスク輸送における裕度を従来よりも大きく持たせることができる(以下同様)。
【0093】
(変形例1)
図11は、実施の形態1の第1変形例に係る金属ガスケットを示す説明図である。この金属ガスケット21は、上記実施の形態1に係るキャスクと略同一の構成であるが、二個の異なるフープ径を持つ環状のコイルスプリング31a、31bを同心状に配置し、両者のスプリング直径を異ならせた点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略すると共に、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0094】
この金属ガスケット21は、いわゆるダブルリングタイプであるが、内被41a、41bで被覆されたスプリング直径の異なる二つのコイルスプリング31a及び31bを使用する。図11(b)に示すように、キャスクの胴本体501と二次蓋508との間にこの金属ガスケット21を配置すると、直径が大きい方のコイルスプリング31b側における外被50がまず接する。この状態で二次蓋508を胴本体501に仮止めする。
【0095】
ここで、一般にキャスクは安全上の配慮から、水を満たした貯蔵プール内で使用済み燃料集合体が格納される。したがって、輸送や長期貯蔵前には、真空乾燥等の乾燥手段によって水抜きをする。この金属ガスケット21では、真空乾燥時に、シールされていない直径が小さいほうのコイルスプリング31a側からガスケット溝部9に残留した水分が蒸発する。真空乾燥が終了したら、キャスクの胴本体501と二次蓋508とを本締めする。このように、この金属ガスケット21においては、ガスケット溝部9や金属ガスケット21内の水分を十分に取り除き、腐食のおそれを極小にできる。これによって、長期間の貯蔵においても密封性能の信頼性を高くできる。
【0096】
図11(b)においては、スプリング直径の小さい方のコイルスプリング31aをキャスクのキャビティ側に配置しているが、この場合にはキャビティ内側からの真空乾燥に有利である。また、図11(c)に示すように、スプリング直径の小さい方のコイルスプリング31aを外側に配置してもよい。この場合には、二次蓋508等を固定するボルト孔側から真空乾燥すると効果的に水分を除去できる。
【0097】
さらに、図11(d)に示す金属ガスケット21aは、外被50をスプリング直径の異なる二個のコイルスプリング31a及び31bで全体に被覆し、スペーサ60を前記コイルスプリング31aと31bとの間に配置して、端部50t同士を溶接等の接合手段で封止したものである。このような金属ガスケット21aでも、金属ガスケット21の内外周でコイルスプリン31a等の径を異ならせたことによる、上記乾燥促進の効果を得ることができる。さらに、この金属ガスケット21aでは、内部への水の浸入を防止できるので、図11(a)に示した金属ガスケット21と比較して、より迅速に乾燥できる効果も得ることができる。なお、スペーサ60は外被50の変形を拘束するものであり、純アルミニウム等のピースを使用したり、コイルスプリングを使用したりすることができる。この変形例は、一次蓋及び以下の実施の形態においても適用できる。
【0098】
(変形例2)
図12は、実施の形態1の第2変形例に係る金属ガスケットを示す説明図である。なお、説明の便宜上、従来のキャスクに使用されていた金属ガスケットも図示する。このキャスクに使用される金属ガスケット22は、上記実施の形態1に係る金属ガスケット20と略同一の構成であるが、シール領域50sの曲率半径r1は、シール領域以外の領域50yにおける曲率半径r2よりも大きいコイルスプリング32を備える。そして、外被50で被覆されている内被42とコイルスプリング32とで構成される内部エレメントの断面を、予め楕円状に形成してある点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略すると共に、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0099】
図12(b)に示すように、従来の金属ガスケット520においては、内被540とこの内被540で被覆されたコイルスプリング530とで構成される内部エレメント520eの断面は円形であった。このため、スプリングの曲げ剛性が高く、数10MPaという高い密封性能を持っている。しかし、上述したように、コイルスプリング530の曲げ剛性が高い場合には、曲げ剛性が小さい場合と比較してスプリングバック量を大きくできない(図5参照)。また、数十年という長い期間においては、外被550が過剰な押付力によってへたり、復元力が弱くなる。これによって、密封性が弱くなったり、スプリングバック量が減少したりするおそれがあった。
【0100】
この変形例に係る金属ガスケット22は、内被42と、この内被42で被覆されたコイルスプリング32とで構成される内部エレメント22eの断面形状を、予め楕円状としている。このため、断面形状が円形である場合と比較して、スプリングの曲げ剛性を低くできる。これによって、スプリングバック量を十分に確保できるので、従来の金属ガスケット520よりも大きなずれが生じても、キャスクの気密を維持できるので、より安全に輸送できる。また、従来の金属ガスケット520と比較して、このコイルスプリング32は外被50のシール領域50sとより大きな面積で接触するので、外被50に作用する応力を従来よりも小さくできる。これによって、外被50のクリープ変形を抑えて、応力緩和現象を低減し、長期貯蔵における信頼性を高くできる。
【0101】
なお、この金属ガスケット22においては、コイルスプリング32の曲げ剛性は従来よりも小さいので密封圧力は従来よりも低くなる。しかし、この金属ガスケット22はキャスクの密封に使用するものである。キャスクにおいて正圧は最大で1.0MPa程度の密封性能があればよいので、この金属ガスケット22の密封圧力でも十分な密封性能を確保できる。
【0102】
以上、この発明の実施の形態1及びその変形例について説明したが、実施の形態1及びその変形例で説明した金属ガスケットの構成及びキャスクの構成は、実施の形態2以降においても適用できる。
【0103】
(実施の形態2)
図13は、この発明の実施の形態2に係るキャスクにおけるシール構造を示す説明図である。このキャスクは、上記実施の形態1に係るキャスクと略同一の構成であるが、同心状に配置したフープ径の異なる二つのコイルスプリングを外被によって被覆しつつ、外被の端部同士を接合して両者を一体としたダブルリング式の金属ガスケットを使用する点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略すると共に、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0104】
実施の形態2に係る金属ガスケット23は、いわゆるダブルリング式のものであり、フープ径Dfの異なる二個のコイルスプリング33a及び33bを同心状に配置する。そして、これらを内被43で被覆して、外被50によって両者を被覆してから、外被50の端部50t同士を接合部50bで接合して構成する。端部50t同士の接合には、溶接や摩擦接合が用いられる。溶接にはレーザーや電子ビーム溶接を用いると、接合部に当て板が不要になるので好ましい。
【0105】
端部50t同士は、図13(a)及び(c)に示すように、フープ径Dfの異なる二個のコイルスプリング33a及び33bとの間における接合部50bで接合してもよい。ここで、図13(c)は突合せ接合の例である。また、図13(b)に示すように、いずれか一方のコイルスプリングの側部33yにおける接合部50bで接合してもよい。さらに、図13(d)に示すように、スペーサ60を外被50内部に配置して、スペーサ60とともに接合部50bで外被50を接合してもよい。また、スペーサ60を単に接合のバックアップとしてのみ使用して、外被50のみを接合してもよい。このようにスペーサ60を接合の際にバックアップとして使用すると、外被50を容易に接合できる。なお、スペーサ60には、例えば純アルミニウム等を使用することができる。
【0106】
また、図13(a)及び(b)に示す二個のスプリング33aと33bとの間に、スペーサ60と同様に外被50の変形を拘束するものとして、コイルスプリング33a等よりやや外径の小さいスプリングを用いてもよい。このようなコイルスプリングを使用すれば、純アルミニウム等を使用する場合と比べて金属ガスケット21aを容易に製造できる。また、コイルスプリングの反発力を適当な値に調整することによって外被50に過度の応力を与えることもないので好ましい。
【0107】
図14は、外被の端部同士を接合していない一部開放型のダブルリング式の金属ガスケット及びこの発明の実施の形態2に係る金属ガスケットを示す説明図である。同図(a)に示すように、一部開放型のダブルリング式の金属ガスケット20では、二次蓋508側のシール領域50asと50bsとが、外被50によって結合されている。このため、外被50が金属ガスケット20の径方向Xに対してクリープ変形しようとしてもこの変形が拘束される。これによって、シール領域50as及び50bs側においては外被のクリープ変形が抑制されるので、金属ガスケット20の応力緩和もその分抑制される。
【0108】
一方、キャスクの胴本体501側においては、この部分におけるシール領域50as2と50bs2側とは、外被50によって結合されていない。したがって、外被50が金属ガスケット20の径方向Xに対してクリープ変形した場合には、この変形を拘束するものはない。このため、二次蓋508側と比較して、キャスクの胴本体501側では外被50のクリープ変形が大きくなるので、金属ガスケット20の応力緩和もその分大きくなる。
【0109】
しかし、図14(b)に示すように、この発明に係る金属ガスケット23は、内被43で被覆したフープ径Dfの異なる二個のコイルスプリング33a及び33bを同心状に配置し、これらを外被50によって被覆してから、外被50の端部50t同士を接合してある。このため、二次蓋508側及びキャスクの胴本体501側いずれのシール部分においても、コイルスプリング33a及び33bの位置におけるシール領域は、外被50によって結合される。したがって、二次蓋508側及びキャスクの胴本体501側いずれのシール領域50asや50bs2等においても、外被50のクリープ変形が拘束される。その結果、クリープ変形に伴なう応力緩和現象が抑制されるので、長期貯蔵においても密封性能を維持して、安全に輸送できる。
【0110】
また、外被50の端部50t同士を溶接、摩擦接合その他の接合手段によって接合しているため、金属ガスケット23内部の気密性も維持できる。一般にキャスクは安全上の配慮から、水を満たした貯蔵プール内で使用済み燃料集合体が格納される。したがって、キャスクをプールから引き上げた後で輸送したり長期貯蔵したりする前には、水抜き後に真空乾燥等の乾燥手段によって乾燥させる。このとき、一部開放型のダブルリング式の金属ガスケット520(図7(a)参照)では、乾燥が十分でないと腐食を発生させるおそれがあったため、内部に侵入した水分を完全に除去するには真空乾燥に長時間要していた。しかし、この金属ガスケット23では内部に水が浸入することはないので、真空乾燥時間を大幅に短縮できる上に、水分の残留によるような腐食のおそれはなく、長期間貯蔵においてはより高い信頼性を発揮できる。
【0111】
また、図14(c)に示すように、同心状に配置した、内被43で被覆したフープ径の異なる二個のコイルスプリング33a及び33bの間に、予めスペーサ60を備えてから、外被50の端部50t同士を接合してもよい。このようにすれば、スペーサ60によって外被50が支えられるので、外被50の変形を抑えることもでき、端部50t同士を容易に接合できる。
【0112】
ここで、図14(c)に示すように、締め付け荷重を受けた場合における外被50の変形を抑えるために、スペーサ60の高さhを内被43の径と同程度の高さにしてもよい。このようにすれば、締付け後における外被50の変形を抑えることができるので、外被50のクリープ変形をより抑制して、長期保管における信頼性をさらに高くできる。ここで、スペーサ60は、金属ガスケット23の締め付け力に対しては容易に変形し、不必要に高い締付け力を要さない形状を選択することができる。また、スペーサ60の代わりに、コイルスプリング33a等の外径よりもやや外径の小さいコイルスプリングを使用し得ることについては上述した通りである。
【0113】
なお、実施の形態1で説明したように、実施の形態2に係る金属ガスケット23のシール領域50as、50bs、50as2及び50bs2を平面に形成したり、シール領域とそれ以外の領域との境界に、金属ガスケット23の周方向に向かう段部を設けたりしてもよい。このようにすれば、シール領域50as、50bs等における応力集中をより均等にできるので、シール領域50as、50bs等のクリープ変形をさらに抑制できる。これによって、長期貯蔵においてはより高い信頼性を得ることができる。
【0114】
以上、この発明の実施の形態2について説明したが、実施の形態2で説明した金属ガスケットの構成及びキャスクの構成は、実施の形態3以降においても適用できる。
【0115】
(実施の形態3)
図15は、この発明の実施の形態3に係る金属ガスケットのスプリングを示す説明図である。このキャスクは、上記実施の形態1に係るガスケットと略同一の構成であるが、金属ガスケットに素線の断面形状が矩形のコイルスプリングを使用する点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略すると共に、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0116】
図15(b)に示すように、この金属ガスケット24に使用するコイルスプリング34は、断面形状が矩形の素線を使用している。このため、断面円形のコイルスプリングと比較して、コイルスプリング34と内被44とはより多くの面積で接するので、より均等にコイルスプリング34の反発力を内被44及び外被50に伝えることができる。これによって、外被50の応力分布をより均等にできるので、コイルスプリング34の反力を押さえ込む内被44を省略するか、又は内被44を薄くすることもできて、クリープ変形に起因する金属ガスケット24の応力緩和現象を低減できる。これによって、長期貯蔵においても密封性能を維持できる。
【0117】
また、断面円形のコイルスプリングと断面矩形のコイルスプリング34とで、両者の断面係数が同じであれば、断面矩形のコイルスプリング34の方が素線の幅bを小さくできるので、ピッチpも小さくできる。したがって、同じ曲げ剛性であれば、コイルスプリング34の巻き数を増やすことができるので、より均一にコイルスプリング34の反発力を外被50へ伝えることができる。このように、断面矩形のコイルスプリング34を使用した場合には、断面円形のコイルスプリングを使用するよりもより金属ガスケット24の応力緩和現象を抑制する効果がある。また、ピッチpを小さくできるので、締付け力Pが作用していない場合の初期傾きθP=0は断面円形のコイルスプリングよりも小さくできる。これによって、コイルスプリング34の反力をより有効に利用できる。
【0118】
また、断面円形をしたコイルスプリングと断面矩形のコイルスプリング34との断面係数が同じであれば、断面矩形のコイルスプリング34の方が、金属ガスケット24の締付け力によってコイルスプリング34内に発生する応力を小さくできる。さらに、断面矩形のコイルスプリング34は断面円形のコイルスプリングとは異なり、隣り合う素線と面34aで接触する。これによって、締付け力Pによってこの面34aに発生する応力は、断面円形のコイルスプリングよりも小さくできる。その結果、締付け力Pによる傾き角θPを断面円形のコイルスプリングよりも小さくできるので、断面矩形のコイルスプリング34の素線に作用するねじれ応力も低減できる。これらの作用によって、断面を矩形にすればコイルスプリング34の長期信頼性をより高くできる。
【0119】
以上、この発明の実施の形態3について説明したが、実施の形態3で説明した金属ガスケットの構成及びキャスクの構成は、実施の形態4以降においても適用できる。
【0120】
(実施の形態4)
図16は、この発明の実施の形態4に係るキャスクの密閉構造を示す部分断面図である。このキャスクの密閉構造は、金属ガスケットに防水対策を施した点に特徴がある。一般にキャスクは安全上の配慮から、水を満たした貯蔵プール内で使用済み燃料集合体が格納される。したがって、輸送や長期貯蔵前には、真空乾燥等の乾燥手段によって乾燥させる。このとき、一部開放型のダブルリング式の金属ガスケットやシングルリングタイプの金属ガスケットでは、内部に侵入した水分が完全に除去できないか乾燥に長時間を要していた。また、完全に乾燥していないと、これが原因で金属ガスケットに腐食を発生させるおそれがあった。
【0121】
図16(a)は、防水対策として、金属ガスケット20における外被50の隙間部分をシール剤64によって埋めたものである。これによって、使用済み燃料集合体収納時における金属ガスケット20に対する水の侵入を防止している。また、コイルスプリング30内に乾燥剤を入れると、コイルスプリング30内部を乾燥した状態に保つ効果がある。同図(b)に示すように、ダブルリング式の金属ガスケット20のリング同士の間に形成される空間へシール剤64を充填するようにしてもよい。このようにすると、締め付けの際に金属ガスケット20が変形してもこの変形に樹脂が追従しやすいので、より防水性を高くでき好ましい。このような防水対策を施せば、金属ガスケット20の内部に水が浸入することはないので、水による金属ガスケット20の腐食は発生しない。これによって、長期貯蔵においても高いシール性能を維持できる。なお、上記シール剤64にはシリコンゴム系のものが防水性、耐久性及び変形追従性に優れるため好ましく、具体的には、例えば、信越化学工業株式会社製の「KE103」等があげられる。
【0122】
また、図16(c)に示すように、金属ガスケット20における外被50の隙間部分に撥水剤65を塗布してもよい。このようにすれば、撥水剤65を塗布した部分は水をはじくので、真空乾燥の際には容易に水分を除去できる。また、上記シール剤64とともにこの撥水剤65を使用すれば、より防水効果を高くできる。なお、撥水処理は金属ガスケット20全体に施してもよい。このようにすると、さらに水分を容易に除去できるため好ましい。また、撥水剤65としては、例えば、シリコン系、フッ素系、シランカップリング系のものが使用できる。
【0123】
さらに、界面活性剤として、エタノールやメタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコールその他の有機剤を密封前に金属ガスケット20に充填させるか、又は十分に塗布しておいてもよい。水中における使用済み燃料集合体の格納時においては、これらの有機剤によって金属ガスケット20に対する水の侵入を防止する。そして、これらの有機剤は沸点が低いため、真空乾燥の際にはこれらの有機剤が完全に蒸発して水分は金属ガスケット20に残留しない。このようにしても、残留水分を除去できるので、長期貯蔵においても金属ガスケット20の腐食を抑制して、貯蔵の信頼性を高くすることができる。
【0124】
さらに、図16(d)に示すように、乾燥剤66を金属ガスケット20の閉空間20i内に配置して、内部空間の乾燥を促進してもよい。このようにしても、万一金属ガスケット20内に浸入した水分があってもこれを乾燥させることができるので、長期貯蔵においても金属ガスケット20の腐食を抑制して、貯蔵の信頼性を高くすることができる。なお、乾燥剤66としては、二酸化珪素、クレイ(粘土)等の物理的吸着型のもの、あるいは生石灰等の化学的吸着型のもの等を使用することができる。
【0125】
また、金属ガスケット20の外被50の表面に、金属皮膜や酸化皮膜その他の防錆皮膜を形成してもよい。このようにすれば、仮に水分が残留したとしても、防錆皮膜によって外被の腐食を抑制できるので、長期貯蔵における密封の信頼性を高めることができる。また、外被50のみならず、金属ガスケット20全体に防錆皮膜を形成してもよい。このようにすれば、内被40やコイルスプリング30も腐食から守ることができる。
【0126】
防錆皮膜の形成方法としては、アルマイト処理のような湿式処理方法の他、イオンプレーティング法等によって、Ti、Cr、AgあるいはAu等の耐腐食性の高い金属を外被50や金属ガスケットに蒸着する方法がある。特に、イオンプレーティング法では、外被50を金属ガスケット20に被覆した後でも防錆皮膜を形成できるので、施工の自由度を高くでき好ましい。
【0127】
(変形例1)
図17は、実施の形態4の第1変形例に係る金属ガスケットを示した説明図である。この金属ガスケット25は、水抜き孔を備えた点に特徴がある。同図(a)に示す例において、水抜き孔67はコイルスプリング35の部分に設けられている。そして、コイルスプリング35内に進入した水を、真空乾燥時にこの水抜き孔67から排出する。また、図17(b)に示す例においては、二個のコイルスプリング35同士の間における外被50に水抜き孔68が設けられている。この水抜き孔68によって、二次蓋508と金属ガスケット25の外被50との間に残留した水分を除去できる。この場合は、同図(c)に示すように、外被50と二次蓋508との間に隙間を設けるように外被50を湾曲させてもよい。このようにすると、外被50と二次蓋508との間における隙間が大きくなるので、水の表面張力の影響を小さくして、より排水性を高めることができる。なお、水抜き孔67、68を開ける場所、大きさ及び個数は、金属ガスケット25の仕様に応じて適宜変更できる。この金属ガスケット25は、真空乾燥時に水抜き孔67等から金属ガスケット25内部の残留水分が除去されやすいので乾燥が容易となり、長期貯蔵においても金属ガスケット25の腐食を抑制できる。
【0128】
(変形例2)
図18は、実施の形態4の第2変形例に係る金属ガスケットを示した説明図である。この金属ガスケット26は、内被と、この内被46で被覆されたコイルスプリング36とで構成される内部エレメントを外被50で被覆し、被覆した外被50の端部50tと外被50とを接合した点に特徴がある。このようにすれば、接合部で前記内部エレメントは密封されるので、金属ガスケット26の内部に水が浸入することはない。このため、水による金属ガスケット26の腐食は発生しないので、長期貯蔵においても高いシール性能を維持できる。なお、外被50の端部50tと外被50との接合には、レーザー溶接や電子ビーム溶接等の溶接手段が適用できる。また、図18(b)のように、外被50の端部50t同士を外被50の一箇所にまとめて接合すれば、接合に要する作業が一回で済むので作業効率を向上させることができる。以上、実施の形態4及びその変形例は、従来の金属ガスケット520(図7(a)参照)にも適用できる。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係るキャスクでは、蓋と胴本体との密封を保持するために、金属ガスケットを使用した。そして、締付け力を作用させた場合におけるこの金属ガスケットの外被におけるシール領域の応力分布は、前記シール領域以外の領域に締付け力を作用させたと仮定した場合における当該領域の応力分布よりも均一になるようにした。また、金属ガスケットのシール領域は、金属ガスケットの締付け力を分散させるようにした。このため、シール領域における局所的な応力集中を緩和できるので、外被のクリープ変形の進行を抑制できる。これによって、長期貯蔵においても金属ガスケットの応力緩和現象を抑えることができる。
【0130】
また、この発明に係るキャスクでは、外被のシール領域を予め平面に形成した金属ガスケットを用いて、蓋と胴本体との密封を保持するようにした。また、この発明に係る金属ガスケットでは、外被のシール領域を予め平面に形成した。このため、密封対象物である蓋及び胴本体と金属ガスケット外被のシール領域とが平面で接するので、前記外被のシール領域における応力集中を分散させて、応力分布をより均一にできる。これによって、外被のクリープ変形の進行を抑制できるので、長期貯蔵においても金属ガスケットの応力緩和現象を抑えることができる。
【0131】
また、この発明に係るキャスクでは、シール領域とシール領域以外の部分とが交わる部分に環状の外被の周方向に向かう段部を形成した。これによって、外被のシール領域における応力分布をさらに均一にできる。したがって、外被のクリープ変形の進行をさらに抑制して長期貯蔵において、さらに高い安全性を担保できる。
【0132】
また、この発明に係るキャスクでは、シール領域において応力が高くなる部分に金属ガスケットの周方向に向かう溝を設けた金属ガスケットによって胴本体と蓋とを密封するようにした。このため、シール領域における材料の成分分布等の違いによって硬さが高くなる結果応力が高くなる部分が存在しても、この溝によってシール領域の応力集中を低減させて、応力分布を均一にできる。これによって、クリープ変形の進行を抑制して、長期間貯蔵においても密封性能を維持できる。
【0133】
また、この発明に係るキャスクでは、作用圧力の高い金属ガスケット、すなわちキャスクの胴本体と蓋との密封に使用できる程度の断面直径を持った金属ガスケットにおいて、コイルスプリングの素線径を細くした。これによって、コイルスプリングの曲げ剛性を低くできるので、十分なスプリングバック量を確保できる。その結果、長期間の貯蔵によって外被がクリープダウンした場合でも、十分なスプリングバック量を確保できるので、安定した密封性能を発揮して、輸送時の安全性も確保できる。
【0134】
また、この発明に係るキャスクでは、素線径を細くした上記環状のコイルスプリングのスプリング曲げ剛性を、素線径を細くする前の30%以上80%以下とした。また、この発明に係る金属ガスケット環状のコイルスプリングの素線径dと金属ガスケットの断面直径Dとの比d/Dを、0.02以上0.08以下の範囲とした。さらに具体的には、環状のコイルスプリングの素線径dを0.35mm以上0.80mm以下とし、金属ガスケットの断面直径Dを5.0mm以上12.0以下とした。このため、ある程度の曲げ剛性を確保しつつスプリングバック量を大きくする効果を得ることができるので、長期間貯蔵においても高い密封性能を維持でき、また、胴本体と蓋とのずれに対する裕度も維持できる。
【0135】
また、この発明に係るキャスクでは、断面形状が矩形の素線を使用した金属ガスケットを使用するようにした。また、この発明に係る金属ガスケットでは、断面形状が矩形の素線を使用するようにした。このため、断面円形のコイルスプリングと比較して内被や外被との接触面積を大きくできるので、より均等にコイルスプリングの反発力を外被に伝えることができる。これによって、外被の応力分布をより均等にできるので、クリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象を低減できる。その結果、長期貯蔵においても密封性能を維持できる。
【0136】
また、この発明に係るキャスクでは、予め断面が楕円状に形成された金属ガスケットを使用して、胴本体と蓋との気密を保持するようにした。また、この発明に係る金属ガスケットでは、断面形状を予めシール領域の曲率半径がシール領域以外の部分における曲率半径よりも大きくなるような楕円形状とした。このため、断面形状が円形である場合と比較して、スプリングの曲げ剛性を低くできるので、スプリングバック量を十分に確保できる。これによって、従来の金属ガスケットよりも大きなずれが生じても、キャスクの気密を維持できるので、より安全に輸送できる。
【0137】
また、この発明に係るキャスクでは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で一体とした金属ガスケットによって、胴本体と蓋とを密封するようにした。また、この発明に係る金属ガスケットでは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で一体とした。このように、外被同士で個々のコイルスプリングを一体化しているので、長期間貯蔵において外被がクリープ変形しても、二個のコイルスプリングが互いにこのクリープ変形を規制する。これによって、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、より高い安全性を担保できる。
【0138】
また、この発明に係るキャスクでは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で被覆した後、外被の端部同士を接合した断面楕円状の金属ガスケットによって、胴本体と蓋とを密封するようにした。また、この発明に係る金属ガスケットでは、フープ径の異なる環状のコイルスプリングを同心状に配置し、これらを外被で被覆した後、外被の端部同士を接合して断面楕円状になるようにした。これによって、外被のクリープ変形に起因する金属ガスケットの応力緩和現象をさらに抑えて、長期貯蔵においてさらに高い安全性を担保できる。また、金属ガスケットを完全な密封構造とすることができ、金属ガスケット内部に水分が残留しないので耐腐食性に優れ、長期貯蔵における信頼性を高くできる。
【0139】
また、この発明に係るキャスクでは、同心状に配置したフープ径の異なる二個のコイルスプリングの間に、予めスペーサを備えてから外被の端部同士を接合した金属ガスケットを使用するようにした。また、この発明に係る金属ガスケットでは、同心状に配置したフープ径の異なる二個のコイルスプリングの間に、予めスペーサを備えてから外被の端部同士を接合した。このスペーサによって外被の変形を抑えることができるので、外被のクリープ変形をより抑制して、長期保管における信頼性をさらに高くできる。また、外被の端部同士を接合する際には、外被がこのスペーサによって支えられるので、施工効率を高くでき、より確実に外被を接合できる。
【0140】
また、この発明に係るキャスクでは、異なるフープ径を持つ二個の環状のコイルスプリングを同心状に配置し、両者のスプリング直径を異ならせて径の異なるガスケットリングを備えた金属ガスケットを使用するようにした。また、この発明に係る金属ガスケットでは、異なるフープ径を持つ二個の環状のコイルスプリングを同心状に配置し、両者のスプリング直径を異ならせて径の異なるガスケットリングを備えた。このため、径の大きい方のガスケットリングがキャスクの胴本体及び蓋と接した状態で真空乾燥すれば、径の小さいのガスケットリングから水分が蒸発する。このように、金属ガスケット内の水分を十分に取り除くことができるので、金属ガスケットが腐食するおそれを極小にできる。
【0141】
また、この発明に係るキャスクでは、異なるフープ径を持つ二個の環状のコイルスプリングを同心状に配置してこれらを外被で被覆して一体とし、さらに前記コイルスプリング間における外被を、金属ガスケットの締付け方向に向かって予め湾曲させた金属ガスケットを使用するようにした。このため、外被とキャスクの胴本体等との間に空間ができるので、この空間に入り込んだ水を除去しやすくなる。これによって、残留水分をより効果的に取り除くことができるので、金属ガスケットや蓋等が腐食するおそれを極小にできる。
【0142】
また、この発明に係るキャスクでは、金属ガスケットの外被に水抜き孔を設けた金属ガスケットを使用するようにした。このため、より効率よく金属ガスケットを乾燥させることができるので、長期貯蔵においても金属ガスケットの腐食を抑制できる。
【0143】
また、この発明に係るキャスクでは、金属ガスケットの外被をキャスクの胴本体及び蓋よりも軟らかい金属とした。このため、キャスクの胴本体や蓋を傷つけることはないので、これらを容易に再利用することができる。
【0144】
また、この発明に係るキャスクでは、コイルスプリングと外被との間に、コイルスプリングを被覆する内被をさらに備えた金属ガスケットを使用するようにした。また、この発明に係る金属ガスケットでは、コイルスプリングと外被との間に、コイルスプリングを被覆する内被をさらに備えた。このため、この内被によって、コイルスプリングの押圧力が外被に均等に伝わるという作用が得られる。これによって、外被の局所的な応力集中を分散させることができるので、外被のクリープ変形に起因する応力緩和現象を抑えて、長期貯蔵における信頼性を高めることができる。
【0145】
また、この発明に係るキャスクでは、金属ガスケットの外被には、キャスクの胴本体及び上記蓋よりも腐食電位が高い金属を使用するようにした。このため、まず金属ガスケットの外被から腐食するため、高価なキャスクの胴本体および蓋を腐食から守ることができる。
【0146】
また、この発明に係るキャスクでは、金属ガスケットのコイルスプリングが大気に触れる部分をシール手段によって覆うようにした。また、この発明に係る金属ガスケットでは、コイルスプリングが大気に触れる部分をシール手段によって覆うようにした。このため、プール内で金属ガスケットを取り扱っても、金属ガスケット内に水が浸入することはないので、金属ガスケットの腐食を抑えて長期貯蔵においても高い密封性能を維持できる。
【0147】
また、この発明に係るキャスクでは、撥水剤が塗布されている金属ガスケットを使用するようにした。また、この発明に係る金属ガスケットでは、金属ガスケットに撥水剤を塗布するようにした。このため、撥水剤によって金属ガスケットに付着した水がはじかれるので、金属ガスケットに残留する水分を極小にできる。その結果、金属ガスケットの腐食を抑えて長期貯蔵においても高い密封性能を維持できる。
【0148】
また、この発明に係るキャスクでは、アルコールその他の有機剤を予め塗布した金属ガスケットを介して、蓋をキャスクの本体胴に取り付けることとした。このため、水中においては、これらの有機剤によって金属ガスケットに対する水の侵入を防止する。また、これらの有機剤は沸点が低いため、真空乾燥の際にはこれらの有機剤が完全に蒸発するので水分は金属ガスケットに残留しない。この結果、長期貯蔵においても金属ガスケットの腐食を抑制して、貯蔵の信頼性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るキャスクにおけるシール構造を示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る金属ガスケットを示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る金属ガスケットのコイルスプリングを示す説明図である。
【図4】金属ガスケットに作用する応力と、金属ガスケットの歪との関係を示した説明図である。
【図5】金属ガスケットに作用させる荷重と金属ガスケットの変位との関係を示した説明図である。
【図6】この発明に係る金属ガスケットを示す断面図である。
【図7】従来の金属ガスケットを示す断面図である。
【図8】シール領域における応力を分散させる他の形状の例を示した説明図である。
【図9】シール領域における応力を分散させる他の例を示した説明図である。
【図10】ガスケット溝面等に微小凹凸を形成した状態を示す拡大図である。
【図11】実施の形態1の第1変形例に係る金属ガスケットを示す説明図である。
【図12】実施の形態1の第2変形例に係る金属ガスケットを示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態2に係るキャスクにおけるシール構造を示す説明図である。
【図14】外被の端部同士を接合していない一部開放型のダブルリング式の金属ガスケット及びこの発明の実施の形態2に係る金属ガスケットを示す説明図である。
【図15】この発明の実施の形態3に係る金属ガスケットのスプリングを示す説明図である。
【図16】この発明の実施の形態4に係るキャスクの密閉構造を示す部分断面図である。
【図17】実施の形態4の第1変形例に係る金属ガスケットを示した説明図である。
【図18】実施の形態4の第2変形例に係る金属ガスケットを示した説明図である。
【図19】従来のキャスクの構造を示す断面図である。
【図20】図19に示したキャスクの一部拡大図である。
【図21】キャスクのシールに使用する金属ガスケット及びキャスクのシール部を示す拡大図である。
【符号の説明】
9 ガスケット溝部
10 シール構造
20、20'、21、21a、22、23,24、25、26 金属ガスケット
22e 内部エレメント
30、30a、30x、31a、31b、32、33a、34、35a、36コイルスプリング
40、41a、42、43、44、46 内被
50 外被
50as、50as2、50s、Sn シール領域
50d 段部
50x 溝部
50t 端部
60 スペーサ
64 シール剤
65 撥水剤
66 乾燥剤
67、68 水抜き孔
82 微小凹凸
500 キャスク
501 胴本体
506 フランジ部
507 一次蓋
508 二次蓋
509 キャビティ

Claims (2)

  1. 使用済み燃料集合体を収納するバスケットを格納するキャビティが形成された放射線を遮蔽する胴本体と、
    当該胴本体のキャビティ開口側に取り付けられる蓋と、
    環状のコイルスプリングと、当該コイルスプリングを被覆する金属の外被とを有し、前記胴本体と前記蓋との間に介在して前記キャビティ内の密封を保持する金属ガスケットとを備え、前記金属ガスケットは、前記胴本体及び前記蓋と接するシール領域が予め平面に形成されるとともに、前記シール領域を形成する平面と、前記シール領域以外の部分とが交わる部分には、前記環状の外被の周方向に向かう段部が形成され、前記胴本体及び前記蓋と接する前記外被のシール領域に締付け力が作用した場合における当該シール領域の応力分布が、前記外被のシール領域以外の領域に締付け力が作用した場合における前記シール領域以外の領域の応力分布よりも均一であることを特徴とするキャスク。
  2. さらに、上記環状のコイルスプリングの素線径dと上記金属ガスケットの断面直径Dとの比d/Dが0.02以上0.08以下であることを特徴とする請求項1に記載のキャスク。
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