JP3993293B2 - 半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体素子の製造方法に関し,特にモノリシック集積回路に使用されるトランジスターのLOCOS(Local Oxidation of Silicon)形成において,トランジスターと素子分離領域の間に結晶欠陥が発生しても接合リークを防止できる半導体素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸素をほとんど通さないシリコン窒化膜(Si3N4膜)を選択マスクとして使用し,シリコン基板表面を部分的に酸化することにより,素子分離領域にフィールド酸化膜を形成するLOCOS構造はLSIに広く利用されている。この構造で問題となるのは,酸化によって体積膨張したフィールド酸化膜端部が鳥のくちばしのような形状(バーズビークと呼ばれる)となり,シリコン基板表面に成膜されたシリコン窒化膜のエッジ下部近傍に応力が集中して結晶欠陥(転位)が発生することである。そして,こうして発生した結晶欠陥はリーク電流の流れやすい経路を作りだし,消費電力の低減化の妨げとなる。
【0003】
特に最近の半導体素子の高集積化は,拡散層のシャロー化(浅い接合)を益々要求しており,それに伴い,拡散層形成以降の製造温度が低下し,一度結晶欠陥が発生するとその後の工程で結晶欠陥をなくすことができない温度領域で半導体素子を製造するようになってきている。このため,結晶欠陥の発生に伴う接合リークに益々敏感になっている。
【0004】
そこで従来,特開平6−151579号では,LOCOS法により形成された分離領域を有するLDD構造のn型MOSFETにおいて,ソース/ドレイン領域となる高濃度不純物拡散層が分離端で重ならないように分断層を設ける手段が開示されている。即ち,この特開平6−151579号の発明では,素子分離形成時にバーズビークに伴って結晶欠陥を発生する領域とソース/ドレイン領域形成時に発生するイオン注入欠陥領域の間に分断層を形成することによって,接合リーク電流が流れやすい経路を絶ち,結晶欠陥に起因するリーク電流の防止をはかっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,この特開平6−151579号の発明では,次のような問題がある。即ち先ず,ソース/ドレイン領域を形成するための高濃度不純物イオンの注入において,リソグラフィによるレジストパターンをマスクとして分断層を形成しているが,レジスト寸法の再現性及び下地との合せ,レジスト形状,ディストーションなどによって分断層の再現性が悪く,最悪の場合,分断層が十分に形成されない場合がある。また,分断層を形成した分,実際の素子形成領域(アクティブ領域)の面積が小さくなるため,ソース/ドレイン領域とコンタクトをとるリソグラフィにおいて,合せずれやディストーション,寸法ハズレなどが発生しやすく,分断層を経由して基板とリークし,良品歩留りが期待できなくなる。このように,特開平6−151579号の発明では,素子形成領域の面積の縮小化などの問題により,サブミクロン等の高集積化されたデバイスの製造には実際には適用できがたい。
【0006】
従って本発明の目的は,素子形成領域を減少させることなく,バーズビークに伴うリーク電流の発生を容易かつ確実に防止できる半導体素子の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために,シリコン基板の表面に酸化膜を介して成膜されたシリコン窒化膜を選択マスクとしてシリコン基板表面を熱酸化することにより形成される素子分離領域を備える半導体素子において,前記シリコン窒化膜のエッジ近傍のシリコン基板表面に,不純物の拡散によって形成されたプレ不純物拡散部が設けられている。この半導体素子にあっては,バーズビークに伴ってシリコン基板に発生した結晶欠陥をプレ不純物拡散部で包み込むことによって,リーク電流の発生を防止する。
【0008】
本発明は,シリコン基板の表面に酸化膜を介して成膜されたシリコン窒化膜をフォーカシングがでる条件で選択的にエッチングして素子分離領域をパターニングし,少なくともパターニングされたシリコン窒化膜のエッジ直下においてシリコン基板の表面を露出させる工程と,この露出した箇所においてシリコン基板の表面に不純物を拡散させることにより,シリコン窒化膜のエッジ下部近傍にプレ不純物拡散部を形成する工程と,パターニングされたシリコン窒化膜を選択マスクとしてシリコン基板表面にチャネルストッパを形成する工程と,パターニングされたシリコン窒化膜を選択マスクとしてシリコン基板表面を酸化することにより,素子分離領域にフィールド酸化膜を形成する工程を備えることを特徴とする半導体素子の製造方法である。この製造方法において,前記フォーカシングがでる条件は,マイクロ波を用いたエッチャを使用し,ガス流量をSF6/He=40/20sccm,圧力を3.0mTorr(高真空),μ波パワーを400W,RFパワーを50W,ウェハ温度を0℃の条件とすることができる。本発明の製造方法により,半導体素子を容易に製造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態にかかる半導体素子の構造を,その製造方法に従って説明する。図1(a)〜(e)は,本発明の第1の実施の形態にかかる半導体素子として,ゲート長が約0.35μm程度のn型MOSFETを製造する場合の集積回路の素子分離工程を示した断面図である。以下,順に説明する。
【0010】
先ず図1(a)に示すように,例えばP型(100),比抵抗5〜10Ωcmのシリコン基板1の表面に,応力緩和膜としての熱酸化膜2を,厚さ約250オングストローム成膜し,更に,例えばCVD法によって,シリコン窒化膜3を厚さ約1500〜2000オングストローム成膜する。
【0011】
次に図1(b)に示すように,リソグラフィ技術を用いて,素子形成領域(アクティブ領域)4にレジスト5を厚さ約9000オングストロームでパターニングする。このレジスト5をマスクとしてシリコン窒化膜3をフォーカシングがでる条件で選択的にドライエッチングし,素子分離領域(フィールド領域)6をパターニングする。フォーカシングがでるエッチング条件とは,アクティブエッチングでフォーカシングがでる条件であり,具体的な数値は次のような条件が考えられる。即ち,ECR(電子サイクロトロン共鳴)エッチャ等のマイクロ波を用いたエッチャを使用し,ガス流量をSF6/He=40/20sccm,圧力を3.0mTorr(高真空),μ波パワーを400W,RFパワーを50W,ウェハ温度を0℃の条件でエッチングする。シリコン窒化膜3をこのようなフォーカシングがでる条件でエッチングすると,素子分離領域6の端にあたるシリコン窒化膜のエッジ3'下部において,熱酸化膜2が極端にエッチングされ,シリコン基板1の表面が露出した状態となる。その後,レジスト5を除去する。
【0012】
次に図1(c)に示すように,熱酸化膜2が極端にエッチングされたことによってシリコン基板1の表面が露出した箇所において,熱拡散及びドライブインを利用して不純物としてのリンを,例えば深さ約0.2μm,濃度約5×1019[ヶ/cm3]になるように拡散させる。これにより,シリコン窒化膜3のエッジ3'下部近傍において,シリコン基板1にリンが拡散したプレ不純物拡散部7が形成される。
【0013】
次に図1(d)に示すように,パターニングされたシリコン窒化膜3を選択マスクとして,シリコン基板1の表面にBF2をエネルギー約30KeV,ドーズ量約1×1013[ヶ/cm2]でインプラする。これにより,シリコン基板1の素子分離領域6には,BF2が注入されたチャネルストッパ8が形成される。
【0014】
次に,図1(e)に示すように,パターニングされたシリコン窒化膜3を選択マスクとして,素子分離領域6においてシリコン基板1の表面を膜厚約4000オングストロームとなるように熱酸化すると,フィールド酸化膜9が形成される。この時,酸化によって体積膨張したフィールド酸化膜9の端部9'が鳥のくちばしのような形状(バーズビーク)となり,シリコン基板1の表面に成膜されたシリコン窒化膜3のエッジ3'の下部近傍に応力が集中し,シリコン基板1に結晶欠陥(転位)が発生する心配が生じる。もしも,結晶欠陥が発生すると,リーク電流の流れやすい経路を造りだし,消費電力の低減化の妨げとなってしまう。
【0015】
しかるに,この第1の実施の形態にかかる半導体素子にあっては,バーズビークに伴ってシリコン基板1に結晶欠陥が発生する領域をプレ不純物拡散部7で包み込むことにより,リーク電流の発生を防止することが可能である。また,チャネルストッパ8は,フィールド酸化膜9の下に形成されることとなる。こうして,PN接合界面10はフィールド酸化膜9の下に形成され,バーズビークに伴って結晶欠陥を発生する心配のある領域から十分に深いため,結晶欠陥に起因するリーク電流を防止することができるようになる。
【0016】
こうして図1(a)〜(e)に示した工程を経た後,シリコン窒化膜3,熱酸化膜2を順に除去すれば,第1の実施の形態にかかる素子分離ができるようになる。この第1の実施の形態によって製造される半導体素子は,バーズビークに伴って結晶欠陥が発生しても,接合リークには影響しないLOCOS形成が可能になり,DRAMであれば,スタンバイ時の消費電力の減少及びポーズリフレッシュタイムの改善をはかることができ,また,Logicであれば,スタンバイ時の消費電力減少が可能となる。更に,この第1の実施の形態で示した方法は,半導体素子の製造において,高温が使用できる段階で,前もって拡散層つまりPN接合界面を深く形成することによって,結晶欠陥の影響が製造上最も大きいバーズビークの影響から解放している。なお,コントロールゲート回りの拡散層は,プレ不純物拡散部7で形成しないのでトランジスター特性に影響しない。
【0017】
次に図2(a)〜(e)は,本発明の第2の実施の形態にかかる半導体素子として,第1の実施の形態と同様の,ゲート長が約0.35μm程度のn型MOSFETを製造する場合の集積回路の素子分離工程を示した断面図である。以下,順に説明する。
【0018】
先ず第1の実施の形態と同様に,図2(a)に示すように,例えばP型(100),比抵抗5〜10Ωcmのシリコン基板11の表面に,応力緩和膜としての熱酸化膜12を,厚さ約250オングストローム成膜し,更に,例えばCVD法によって,シリコン窒化膜13を厚さ約1500〜2000オングストローム成膜する。
【0019】
次に図2(b)に示すように,リソグラフィ技術を用いて,素子形成領域(アクティブ領域)14にレジスト15を厚さ約9000オングストロームでパターニングする。このレジスト15をマスクとしてシリコン窒化膜13を選択的にドライエッチングし,素子分離領域(フィールド領域)16をパターニングする。
【0020】
次に図2(c)に示すように,レジスト15を選択マスクとして素子分離領域16において,不純物としてのリンをシリコン基板11の表面に,エネルギー約70KeV,ドーズ量約0.5×1013[ヶ/cm2]でインプラし,素子分離領域16の全体にプレ不純物拡散部17を形成する。その後,レジスト15を,無機酸・酸素プラズマ等で除去する。これは,プレ不純物拡散部17を前もって形成することにより,後述するフィールド酸化膜20の形成時に,バーズビークに伴って結晶欠陥を発生し易い領域をプレ不純物拡散部17で包み込むためである。
【0021】
次に,全面にCVD−NSG(Non Silicate Glass)を3000〜5000オングストローム生成した後,全面をドライエッチング(エッチバック)することにより,図2(d)に示すように,素子分離領域16において,シリコン窒化膜13のエッジ側面にNSGサイドウォール18を付着形成させる。更に,パターニングされたシリコン窒化膜13及びNSGサイドウォール18を選択マスクとして,シリコン基板11の表面にBF2をエネルギー約30KeV,ドーズ量約1×1013[ヶ/cm2]でインプラする。これにより,素子分離領域16において,NSGサイドウォール18に保護されたシリコン窒化膜13のエッジ下部近傍にプレ不純物拡散部17をそのまま残した状態で,チャネルストッパ19が形成される。このように,素子分離領域16において,シリコン窒化膜13のエッジ下部近傍にNSGサイドウォール18が残っているので,シリコン窒化膜13のエッジ下部近傍にはBF2がインプラされないため,この部分が実質的にプレ不純物拡散部17になる。
【0022】
次に,NSGサイドウォール18を除去した後,図2(e)に示すように,パターニングされたシリコン窒化膜13を選択マスクとして,素子分離領域16においてシリコン基板11の表面を膜厚約4000オングストロームとなるように熱酸化すると,フィールド酸化膜20が形成される。この時,酸化によって体積膨張したフィールド酸化膜20の端部20'が鳥のくちばしのような形状(バーズビーク)となり,シリコン基板11の表面に成膜されたシリコン窒化膜13のエッジ13'の下部近傍に応力が集中し,シリコン基板11に結晶欠陥(転位)が発生する心配が生じる。しかし,この第2の実施の形態にかかる半導体素子にあっては,バーズビークに伴ってシリコン基板11に結晶欠陥が発生する領域をプレ不純物拡散部17で包み込むことが可能である。また,チャネルストッパ19は,フィールド酸化膜20の下に形成されることとなる。これによって,PN接合界面21がフィールド酸化膜20の下に形成され,バーズビークに伴って結晶欠陥を発生する心配のある領域から十分に深いため,結晶欠陥に起因するリーク電流を防止することができるようになる。
【0023】
こうして図2(a)〜(e)に示した工程を経た後,シリコン窒化膜13,熱酸化膜12を順に除去すれば,第2の実施の形態にかかる素子分離ができるようになる。
【0024】
従って,この第2の実施の形態によっても同様に,バーズビークに伴って結晶欠陥が発生しても,接合リークには影響しないLOCOS形成が可能になり,DRAMであれば,スタンバイ時の消費電力の減少及びポーズリフレッシュタイムの改善をはかることができ,また,Logicであれば,スタンバイ時の消費電力減少が可能となる。更に,半導体素子の製造において,高温が使用できる段階で,前もって拡散層つまりPN接合界面を深く形成することによって,結晶欠陥の影響が製造上最も大きいバーズビークの影響から解放される。なお同様に,コントロールゲート回りの拡散層は,プレ不純物拡散部17で形成しないのでトランジスター特性に影響しない。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば,半導体素子の素子形成領域を減少させることなく,バーズビークに伴って半導体基板に発生する結晶欠陥によるPN接合のリークを防止できるようになる。また本発明によれば,半導体素子製造のソース/ドレイン拡散層のインプラリソグラフィ工程やコンタクトリソグラフィ工程において特別な高精度を要求する必要が無く,製造コストも安く押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる半導体素子を製造する場合の集積回路の素子分離工程を示した断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態にかかる半導体素子を製造する場合の集積回路の素子分離工程を示した断面図である。
【符号の説明】
1,11 シリコン基板
2,12 熱酸化膜
3,13 シリコン窒化膜
3',13' エッジ
4,14 素子形成領域
5,15 レジスト
6,16 素子分離領域
7,17 プレ不純物拡散部
8,19 チャネルストッパ
9,20 フィールド酸化膜
18 サイドウォール
Claims (2)
- シリコン基板の表面に酸化膜を介して成膜されたシリコン窒化膜をフォーカシングがでる条件で選択的にエッチングして素子分離領域をパターニングし,少なくともパターニングされたシリコン窒化膜のエッジ下部においてシリコン基板の表面を露出させる工程と,
この露出した箇所においてシリコン基板の表面に不純物を拡散させることにより,シリコン窒化膜のエッジ下部近傍にプレ不純物拡散部を形成する工程と,
パターニングされたシリコン窒化膜を選択マスクとしてシリコン基板表面にチャネルストッパを形成する工程と,
パターニングされたシリコン窒化膜を選択マスクとしてシリコン基板表面を酸化することにより,素子分離領域にフィールド酸化膜を形成する工程を備えることを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 前記フォーカシングがでる条件が,マイクロ波を用いたエッチャを使用し,ガス流量をSF6/He=40/20sccm,圧力を3.0mTorr(高真空),μ波パワーを400W,RFパワーを50W,ウェハ温度を0℃の条件であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
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JPH11220018A JPH11220018A (ja) | 1999-08-10 |
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