JP3993097B2 - 材料表面をコーティングする方法 - Google Patents
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Description
本発明は、物品をコーティングするための方法に関し、ここで該コーティングは基材への接着性、耐久性、柔軟性、親水性、潤滑性、湿潤性、生体許容性及び透過性に関して好ましい特性を有するポリマーを含む。より詳細には、本発明は、生物医学材料又は物品、特に長期装用コンタクトレンズを包含するコンタクトレンズのような物品をコーティングするための方法に関するものであって、ここで、このコーティングの少なくとも一部は、繋がった“毛様の”鎖からなる“びんブラシ”型構造を有するポリマーを含む。本発明のコーティングは、特定のエチレン性不飽和マクロモノマーを、前もって開始剤基を付与してある基材の表面上にグラフトさせることによって得ることができる。
【0002】
“不活性”な疎水性基材上に親水性のポリマーコーティングを形成させるための様々な異なる形式の方法が、先行技術に開示されている。たとえば、WO99/57581は、まず共有結合した光開始剤分子を物品表面に与え、重合可能なマクロモノマーの層でその改質表面をコーティングし、そのあとこれを熱又は光照射処理に曝して、それによってマクロモノマーをグラフト重合させ、かくして新規な物品表面を形成させるという方法を開示している。物品表面への光開始剤分子の共有結合形成は、まずその物品表面をプラズマ処理することによってその表面に官能基を与え、ついで該官能基を官能性光開始剤の共反応基と反応させることによって実現される。
【0003】
プラズマ処理は、装置に少なからぬ投資を必要とし、そのうえ自動化した製造工程に組み込むことが難しい。たとえば、プラズマ処理は処理すべき物品がプラズマへの曝露前に乾燥状態になっていることを要求する。したがって、前工程の水和及び抽出により濡れているコンタクトレンズのようなポリマー物品は、前もって乾燥しなければならず、これにより全体のレンズ製造工程に時間が追加され、同時に乾燥装置を入手するために追加コストの負担がかかる。このため、WO99/57581に開示されている方法の表面官能化工程を、プラズマ処理をなくして、標準装置による実施が容易な、したがって自動化製造工程の可能性のより高い技法に置き換えるべく変更することが、非常に望ましい。
【0004】
驚くべきことに、高度に反応性で“不活性”物品表面と反応できる第一の官能基、及び反応性分子、たとえば開始剤、触媒、ポリマー、酵素及び生体成分がさらに共有結合するための第二の官能基を有するある種のヘテロ−二官能性化合物によって、多くの種類の物品が容易に官能化され得ることを、今や見出した。
【0005】
したがって本発明は、態様の1つにおいて、材料表面をコーティングするための方法に関するものであって、以下の工程を含む。
(a)材料の表面を、式:
【0006】
【化26】
【0007】
〔式中、
R29は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、スルホ、ニトロ、トリフルオロメチル又はハロゲンであり;
gは、0〜2の整数であり;
L1は、カルベン、ニトレン又はベンズヒドロール形成のための反応開始性前駆体として機能する基であり;
L2は、アミノ、C1〜C4−アルキルアミノ、ヒドロキシ、グリシジル、カルボキシ若しくはその誘導体、イソシアナト若しくはイソチオシアナトであるか、又は式:
【0008】
【化27】
【0009】
の基であるか、あるいは
L2及びR29は、一緒になってアンヒドリド基:
【0010】
【化28】
【0011】
を形成し、
L2′は、アミノ、C1〜C4−アルキルアミノ、ヒドロキシ、カルボキシ若しくはその誘導体、イソシアナト、イソチオシアナト、−O−グリシジル、又は−O−C(O)−(CH2)h1−X2(式中、h1が1〜4であり、そしてX2がカルボキシ若しくはその誘導体である)であり;
L3は、−NH−、−NC1〜C6−アルキル、−O−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−NHC(O)NH−、−NHC(O)O−又は−OC(O)NH−であり、
(スペーサー)は、直鎖状又は分枝状のC1〜C200−アルキレンであって、
ヒドロキシにより置換及び/又は−O−により中断(C1−アルキル以外)されていてよく、あるいはC3〜C8−シクロアルキレン、C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C6−アルキレン、C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C2−アルキレン−C3〜C8−シクロアルキレン又はC1〜C6−アルキレン−C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C6−アルキレンであり、そして
hは0又は1の数である〕
の化合物と反応させる工程;
(b)このようにして改質した表面を、L2又はL2′に対して共反応性のある官能基を有する官能性重合開始剤と反応させる工程;そして
(c)工程(b)に従って得られたバルク材料の表面に、1種又はそれ以上の異なるエチレン性不飽和の親水性モノマー又はマクロモノマーを塗布し、そして該モノマー又はマクロモノマーを重合させ、これによってその材料表面上に好ましくは親水性の表面コーティングを付与する工程。
【0012】
本発明によるコーティングを施されるのに適した材料は、たとえば、天然又は合成有機ポリマー類、又はこれら材料の積層品類、複合材類若しくは混合材類、特に天然若しくは合成有機ポリマー類又は改質生体ポリマー類で、多数知られているものである。ポリマー類のいくつかの例は、重付加及び重縮合ポリマー類(ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド及びポリイミド);ビニルポリマー類(ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレン、ポリエチレン及びそのハロゲン化誘導体、ポリビニルアセタート及びポリアクリロニトリル);又はエラストマー類(シリコーン、ポリブタジエン及びポリイソプレン)である。
【0013】
コーティングされる材料の好ましい一群は、生物医学装置類、たとえばコンタクトレンズ、特に長期装用のコンタクトレンズの製造に通常用いられていて、それ自体は親水性でない材料である。この種の材料は当業者には周知のものであり、たとえば、ポリシロキサン、ペルフルオロアルキルポリエーテル、フッ素化ポリ(メタ)アクリラート、又はたとえば他の重合可能なカルボン酸類から誘導される同種のフッ素化ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリラート若しくは他の重合可能なカルボン酸類から誘導される同種のアルキルエステルポリマー、又はフッ素化ポリオレフィン、たとえばフッ素化エチレン若しくはプロピレン、たとえばテトラフルオロエチレンで、好ましくはペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールのような特定のジオキソールと一緒になっているもの、を含んでいてよい。適したバルク材料の例は、たとえばロトラフィルコンA(lotrafilcon A)、ネオフォコン(neofocon)、パシフォコン(pasifocon)、テレフォコン(telefocon)、シラフォコン(silafocon)、フルオルシルフォコン(fluorsilfocon)、パフルフォコン(paflufocon)、エラストフィルコン(elastofilcon)、フルオロフォコン(fluorofocon)又はテフロンAF材料、たとえばテフロンAF1600若しくはテフロンAF2400(これらは、ペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールが約63〜73モル%及びテトラフルオロエチレンが約37〜27モル%、若しくはペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールが約80〜90モル%及びテトラフルオロエチレンが約20〜10モル%のコポリマーである)である。
【0014】
コーティングされる好ましい材料の別の一群は、結合又は架橋部分を通して連結されている、少なくとも1個の疎水性セグメント及び少なくとも1個の親水性セグメントを含む、両親媒性セグメント化コポリマーである。例はシリコーンヒドロゲルであり、たとえば本明細書に引用してあるPCT出願WO96/31792及びWO97/49740に開示されているものである。
【0015】
コーティングされる材料の特に好ましい一群は、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリメタクリルアミド、ポリビニルアセタート、ポリシロキサン、ペルフルオロアルキルポリエーテル、フッ素化ポリアクリラート又は−メタクリラート、及び少なくとも1個の疎水性セグメント(たとえばポリシロキサン若しくはペルフルオロアルキルポリエーテルセグメント又はポリシロキサン/ペルフルオロアルキルポリエーテル混合セグメント)と、少なくとも1個の親水性セグメント(たとえばポリオキサゾリン、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリビニルピロリドンポリアクリル酸若しくは−ポリメタクリル酸セグメント)を含む両親媒性セグメント化コポリマー、又はここで基本になっているモノマー類の2種又はそれ以上のコポリマー混合物から選ばれる有機ポリマー類を含む。
【0016】
コーティングされる材料はまた、腎臓透析膜、血液貯蔵バッグ、ペースメーカー導線又は血管グラフトの製造に通常使用されるいかなる血液接触材料でもよい。たとえば、表面を改質すべき材料は、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、ダクロン(Dacron)(登録商標)又はシラスチック(Silastic)(登録商標)型のポリマー、あるいはこれらからつくられた複合材料であってよい。
【0017】
コーティングされる材料の形態は広範囲に変化してよい。例は、粒子、顆粒、カプセル、繊維、チューブ、フィルム又は膜、好ましくは眼科用成形品たとえば眼内レンズ、人工角膜又は特にコンタクトレンズのような、すべての種類の成形品である。
【0018】
式(1)中のL1は、たとえば式:
【0019】
【化29】
【0020】
(式中、R30は電子求引性置換基であって、たとえば−C2F5基又は好ましくは−CF3基のような、フッ素化C1〜C6−アルキルであり、そしてR31及びR31′は、互いに独立して、水素、アミノ、ヒドロキシ、グリシジル、-O-(CH2)2 〜 4−O−グリシジル、カルボキシ、カルボキシ誘導体又はイソシアナトであるか、あるいはR31及びR31′は、一緒になってアンヒドリド基:
【0021】
【化30】
【0022】
である)
の群である。
【0023】
R29は、好ましくはC1〜C4−アルコキシ、ニトロ、C1〜C4−アルキル、ヒドロキシ、アミノ又はスルホである。変数gは、たとえば、1又は好ましくは0である。
【0024】
R31は、好ましくは水素又はアミノであり、そしてR31′は、好ましくは水素である;さらなる好ましい実施態様は、上記で略述したように式中のR31及びR31′が、一緒になってアンヒドリド基ある、式(2c)の基に関する。
【0025】
式(1)の適した基のある群は、式中のL1が基:
【0026】
【化31】
【0027】
であり、そしてgが0のものである。式(1)の適した基のさらなる群は、式中のL1が−N3基であり、そしてgが1又は好ましくは0のものである。式(1)の適した基の、なおさらなる群は、式中のL1が上記の式(2c)の基であって、そのR31が水素又はアミノ、そしてR31′が水素であるか、あるいはR31及びR31′が、一緒になってアンヒドリド基:
【0028】
【化32】
【0029】
であるものである。
【0030】
本出願明細書を通じて、カルボキシ誘導体、カルボキシの誘導体などの“用語”は、たとえば、ラクトン、カルボン酸無水物、ハロゲン化物、アミド又はエステル、例として−C(O)Cl、−C(O)NH2、−C(O)C1〜C6−アルキル、−C(O)−フェニル、又は特に活性化エステルたとえば、カルボキシをN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)若しくはスルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドのような活性化剤と反応させたもの、を意味していると理解すべきである。特に好ましいカルボキシ誘導体は、式:
【0031】
【化33】
【0032】
の活性化エステルである。
【0033】
“用語”グリシジルは、基:
【0034】
【化34】
【0035】
を意味する。2価のL3基は、左側の結合がフェニル環を指向しており、右側の結合が(スペーサー)基を指向していることを常に理解すべきである。
【0036】
本発明の好ましい一実施態様によれば、L2はアミノ、イソシアナト、イソチオシアナト、カルボキシ又はその誘導体、そして特にアミノ、イソシアナト、カルボキシ、又は前述したような活性化カルボン酸エステルである。
【0037】
式(1a)中のL3は、好ましくは2価の基:−O−、−NH−、−C(O)O−、−C(O)NH−、又は−NHC(O)NH−であり、そしてもっとも好ましくは基:−NH−、−C(O)O−又は−C(O)NH−である。hは、好ましくは1の数である。
【0038】
式(1a)中の(スペーサー)は、好ましくは直鎖状又は分枝状で、場合によりヒドロキシで置換されたC1〜C24−アルキレン又は−O−により中断されているC4〜C160−アルキレン、より好ましくはC1〜C16−アルキレン又は−O−により中断されているC8〜C160−アルキレン、そしてもっとも好ましくはC2〜C12アルキレン又は−(alk′)−O−(CH2CH2O)18 〜 160−(alk′)−(ここで、(alk′)は、たとえば、C1〜C6−アルキレン、好ましくはC1〜C4−アルキレン、より好ましくはC1〜C3−アルキレン、そして特に1,2−エチレンである)である。(スペーサー)がシクロアルキレン又はアルキレン/シクロアルキレン混合基である場合は、以下で述べるR33のための意味及び好ましい範囲が適用される。
【0039】
L2′は、好ましくはアミノ、イソシアナト、カルボキシ、カルボキシ誘導体、又は基:−O−C(O)−(CH2)2−X2(ここで、X2はカルボキシ若しくはその誘導体である)である。L2′の特に好ましい意味は、アミノ、カルボキシ及び前述の活性化カルボン酸エステルである。
【0040】
本発明のさらなる好ましい一実施態様は、式(1)中のL2が式(1a)の基であり、L3が−NH−、−C(O)O−又は−C(O)NH−であり、hが1であり、(スペーサー)が直鎖状C2〜C12−アルキレン又は−(C2〜C3−アルキレン)−O−(CH2CH2O)18 〜 160−(C2〜C3−アルキレン)−であり、そしてL2′はカルボキシ、カルボキシ誘導体又は−O−C(O)−(CH2)2−X2(ここで、X2がカルボキシ又は前述の活性化カルボン酸エステルである)である、式(1)の化合物の使用に関する。
【0041】
好ましくは、L1は式:
【0042】
【化35】
【0043】
の基であり、gは0であり、そしてL2はカルボキシ、カルボキシ誘導体、又は前述した意味及び好ましい範囲が適用される前記の式(1a)の基である。
【0044】
好ましい別の実施態様によれば、L1は−N3基であり、gは1又は好ましくは0であり、R29はメチル、メトキシ、ヒドロキシ又はニトロであり、そしてL2はアミノ、カルボキシ、カルボキシ誘導体、イソシアナト、イソチオシアナト又は前述した意味及び好ましい範囲が適用される前記の式(1a)の基、特にアミノである。
【0045】
なおさらなる好ましい実施態様によれば、L1は前記の式(2c)の基(式中のR31が水素又はアミノであり、R31′が水素であるか、又はR31及びR31′が一緒になって基:
【0046】
【化36】
【0047】
であり)であり、そしてL2はアミノであり、gが0又は1であり、そしてR29はアミノであるか、又はL2及びR29が一緒になって基:
【0048】
【化37】
【0049】
である。
【0050】
式(1)の化合物は、それ自体既知の方法によって材料表面に適用してよい。たとえば、バルク材料を式(1)の化合物の溶液中に浸漬するか、又は式(1)の化合物の層を、たとえば浸し塗り、スプレー塗布、印刷、展着、流し塗り、ロール塗り、スピンコーティング又は真空蒸着、好ましくは浸し塗り又はスプレー塗布によって、改質すべきバルク材料の表面にまず塗着させる。もっとも好ましくは、式(1)の化合物の異なる1種又はそれ以上を含む溶液を、乾燥又は好ましくは湿潤していてよいバルク材料の表面にスプレー塗布する。式(1)の化合物は、材料の表面に1回又は繰り返し塗付してよい。
【0051】
式(1)の化合物の溶媒として有用な、適した溶媒は、例として、水、C1〜C4−アルカノール類たとえばメタノール、エタノール又はイソプロパノール、ニトリル類たとえばアセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、水性溶液類でアルコール、THFなどを含むもの、ケトン類たとえばアセトン又はメチルエチルケトン、そしてさらに炭化水素類たとえば塩化メチレン又はクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類である。スプレー溶液中の式(1)の化合物の濃度は、使用する個々の化合物にもよるが、一般には0.1〜100g/L、好ましくは0.5〜50g/L、より好ましくは0.5〜25g/L、そして特に1〜10g/Lである。
【0052】
そのあとのバルク材料表面における式(1)の化合物の固定は、たとえば、光照射によって、特にUV又は可視光で照射することによって開始させてよい。照射のための適した光源は当業者に周知のものであり、そしてたとえば水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、炭素アークランプ又は太陽光を含む。光照射の波長をシフトさせるために増感剤を用いてもよい。加えて、光照射を特定の波長範囲に制限するために適当なフィルターを使用してもよい。好ましくは式(1)の化合物をあらかじめ塗布してあるバルク材料の表面を、波長≧250nmそして好ましくは≧300nmの光で照射する。光照射の時間は決定的なものではないが、通常は30分まで、好ましくは10秒〜10分、そしてより好ましくは15秒〜5分、そして特に好ましくは20秒〜1分の範囲である。光照射は、周囲環境条件下又は不活性ガスの雰囲気中で実施される。官能基の特定の表面パターンの生成のためにマスクを使用することができる。定着反応に続き、共有結合していない化合物はすべて、たとえば適当な溶媒、例として水、C1〜C4−アルカノール、水/C1〜C4−アルカノール混合物又はアセトニトリルで抽出するような処理によって除去されうる。
【0053】
材料表面上の官能基L2の所望濃度に応じて、前記に略述した、(i)表面に式(1)の化合物を接触、すなわちスプレー塗布又は浸し塗りし、そして(ii)その表面上の式(1)の化合物を光照射で固定する工程サイクルを、1回又は好ましくは数回実施してよい。たとえば、式(1)の1種又はそれ以上の化合物の、1〜100、好ましくは1〜50そして特に5〜25の別個の層を、材料表面上に付着させて固定させる。
【0054】
工程(b)の重合開始剤は、典型的にはエチレン性不飽和化合物のラジカル重合を開始させるものである。ラジカル重合を、熱的、又は好ましくは光照射により誘起してもよい。
【0055】
適した熱重合開始剤は当業者に周知のものであって、たとえば過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ−ビス(アルキル−又はシクロアルキルニトリル)、過硫酸塩、過炭酸塩又はこれらの混合物を含む。例は、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルジペルオキシフタラート、t−ブチルヒドロペルオキシド、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)、1,1′−アゾ−ビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾ−ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4′−アゾ−ビス(4−シアノ吉草酸)、4,4′−アゾ−ビス(4−シアノ−n−ペンタノール)などである。熱重合のための開始剤は、特に官能性の開始剤であって、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルスルファート又はアゾ基のような開始剤部分と、これに加えて、工程(a)によって得られる改質材料表面の官能基L2と共反応性の官能基を有するものである。L2と共反応性の適した官能基は、たとえば、カルボキシ、アミノ、ヒドロキシ、エポキシ又はイソシアナト基である。熱開始剤の特に好ましい一群は、アゾ−ビス(C2〜C12−アルカンカルボン酸)又はアゾ−ビス(C2〜C12−アルカノール)であって、ここでアルカン部分のそれぞれが、たとえばシアノによってさらに置換されていてもよい。
【0056】
光誘起重合の開始剤は、特に官能性の光開始剤であって、光開始剤部分と、これに加えて、工程(a)によって得られる改質材料表面の官能基L2と共反応性の官能基を有するものである。光開始剤部分は異なった型に属していてよいが、たとえばチオキサントン型、そして好ましくはベンゾイン型に属する。L2と共反応性の適した官能基は、たとえば、カルボキシ、アミノ、ヒドロキシ、エポキシ又はイソシアナト基である。
【0057】
本発明に使用するための好ましい重合開始剤は、米国特許No.5,527,925に開示されている式(I)及び(Ia)の光開始剤、PCT出願WO96/20919に開示されている式(I)の化合物、又はEP−A−0281941に開示されている式IIa〜IIy及びIIIgを含む式II及びIII、特にその中の式IIb、IIi、IIm、IIn、IIp、IIr、IIs、IIx及びIIIgの化合物である。上記3資料のそれぞれの部分を、式中で変数に与えられている定義及び好ましい範囲も含めて、本明細書に引用する。
【0058】
重合開始剤部分は、好ましくは式:
【0059】
【化38】
【0060】
〔式中、Zが2価の−O−、−NH−又は−NR12−であり;Z1が−O−、−O−(O)C−、−C(O)−O−又は−O−C(O)−O−であり;R3がH、C1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ又はN−C1〜C12アルキルアミノであり;R4及びR5が、互いに独立して、H、直鎖状又は分枝状のC1〜C8−アルキル、C1〜C8−ヒドロキシアルキル又はC6〜C10−アリールであるか、あるいはR4−(O)b1−及びR4−(O)b2−基が、一緒になって−(CH2)c−(ここで、cが3〜5の整数である)であるか、又はR4−(O)b1−、R4−(O)b2−及びR5−(O)b3−基が、一緒になって式:
【0061】
【化39】
【0062】
の基であり;R2が直接結合か、あるいは直鎖状若しくは分枝状のC1〜C8−アルキレンであって、非置換若しくは−OHにより置換及び/又は非中断若しくは1個以上の基:−O−、−O−C(O)−若しくは−O−C(O)−O−により中断されており;R1は分枝状C3〜C18−アルキレン、非置換又はC1〜C4−アルキル−若しくはC1〜C4−アルコキシ置換C6〜C10−アリーレン、あるいは非置換又はC1〜C4アルキル−若しくはC1〜C4−アルコキシ置換C7〜C18−アラルキレン、非置換又はC1〜C4アルキル−若しくはC1〜C4−アルコキシ置換C3〜C8−シクロアルキレン、非置換又はC1〜C4−アルキル−若しくはC1〜C4−アルコキシ置換C3〜C8−シクロアルキレン−CyH2y−、あるいは非置換又はC1〜C4−アルキル−若しくはC1〜C4−アルコキシ置換−CyH2y−(C3〜C8−シクロアルキレン)−CyH2y−(ここで、yが1〜6の整数である)であり;R6は独立してR1と同じ定義を有するか、又は直鎖状C3〜C18−アルキレンであり;R12は直鎖状又は分枝状のC1〜C6−アルキルであり;Tは2価の−O−、−NH−、−S−、C1〜C8−アルキレン又は
【0063】
【化40】
【0064】
であり;Z2は直接結合か又は−O−(CH2)d−若しくは−(OCH2CH2)d−(ここで、dが1〜6の整数である)であり、そしてその末端CH2基がそれぞれ式(3c)中で隣接するTに結合しており;R8は直鎖状又は分枝状のC1〜C8−アルキル、C2〜C8−アルケニル若しくはC6〜C10−アリール−C1〜C8−アルキルであり;R9は、R8と独立してR8と同じ定義を有するか、又はC6〜C10−アリールであるか、あるいはR8及びR9が一緒になって−(CH2)e−(ここで、eが2〜6の整数である)であり;R10及びR11は、互いに独立して直鎖状又は分枝状のC1〜C8−アルキルであって、C1〜C4−アルコキシにより置換されていてよく、又はC6〜C10−アリール−C1〜C8−アルキル若しくはC2〜C8−アルケニルであるか、あるいはR10及びR11は、一緒になって−(CH2)f1−Z3−(CH2)f2−(ここで、Z3は直接結合、−O−、−S−又は−NR7−であり、R7がH又はC1〜C8−アルキルであり、そしてf1及びf2は互いに独立して2〜4の整数である)であり;R13及びR13′は、互いに独立してH、C1〜C8−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、ベンジル又はフェニルであり;そしてa、a1、b1、b2及びb3は、互いに独立して0又は1であるが;ただし、R15がHの場合にはb1及びb2はそれぞれ0であること;(b1+b2+b3)の合計が2を超えないこと;そしてR12が直接結合の場合にはaは0であることを条件とする〕
の官能性光開始剤から誘導される。
【0065】
式(3a)又は(3b)の化合物の好ましい部分群は、式中のb1及びb2がそれぞれ0であり;Z及びZ1がそれぞれ2価の−O−であり、b3が0又は1であり;R4がC1〜C4−アルキル又はフェニルであるか、あるいは両方のR4基が一緒になってテトラメチレン又はペンタメチレンであり;R5がC1〜C4−アルキル又は水素であり、R3が水素であり;a及びa1はそれぞれ独立して0又は1であり;R2は直鎖状又は分枝状のC2〜C4−アルキレンであるか、又は直接結合(この場合はaが0である)であり;R1が分枝状C5〜C10−アルキレン、フェニレン若しくはメチル基1〜3個により置換されたフェニレン、ベンジレン若しくはメチル基1〜3個により置換されたベンジレン、シクロヘキシレン若しくはメチル基1〜3個により置換されたシクロヘキシレン、シクロヘキシル−CyH2y−若しくは−CyH2y−シクロヘキシル−CyH2y−又はメチル基1〜3個で置換されたシクロヘキシル−CyH2y−若しくは−CyH2y−シクロヘキシル−CyH2y−であり;そしてyが1又は2である化合物を含む。
【0066】
式(3a)又は(3b)の化合物の特に好ましい部分群は、式中のb1及びb2がそれぞれ0であり;Z及びZ1がそれぞれ2価の−O−であり、b3が0又は1であり;R4がメチル又はフェニルであるか、あるいは両方のR4基が一緒になってペンタメチレンであり;R5がメチル又はHであり;R3が水素であり;aが1であってR2がエチレンであるか、あるいはaが0であってR2が直接結合であり;a1が0又は1であり;そしてR1が分枝状のC6〜C10−アルキレン、フェニレン又はメチル基1〜3個により置換されたフェニレン、ベンジレン又はメチル基1〜3個により置換されたベンジレン、シクロヘキシレン又はメチル基1〜3個により置換されたシクロヘキシレン、シクロヘキシル−CH2−又はメチル基1〜3個により置換されたシクロヘキシル−CH2−である化合物を含む。
【0067】
式(3c)の化合物の好ましい部分群は、式中のTが2価の−O−、−NH−、−S−又は−(CH2)y−(ここで、yが1〜6の整数である)であり;Z2が直接結合又は−O−(CH2)y−(ここで、yが1〜6の整数であり、そしてその末端のCH2基が式(3c)中で隣接するTに結合している)であり;R3がH、C1〜C12−アルキル又はC1〜C12−アルコキシであり;R8が直鎖状のC1〜C8−アルキル、C2〜C8−アルケニル又はC6〜C10−アリール−C1〜C8−アルキルであり;R9が、R8と独立してR8と同じ定義を有するか、又はC6〜C10−アリールであるか、あるいはR8及びR9が一緒になって−(CH2)e−(ここでeが2〜6の整数である)であり;R10及びR11は互いに独立してC1〜C4−アルコキシにより置換されていてよい直鎖状又は分枝状のC1〜C8−アルキル、又はC6〜C10−アリール−C1〜C8−アルキル若しくはC2〜C8アルケニルであるか、あるいはR10及びR11が一緒になって−(CH2)f1−Z3−(CH2)f2−(ここでZ3が直接結合、−O−、−S−若しくは−NR7−であり、R7がH又はC1〜C8−アルキルであり、そしてf1及びf2が互いに独立して2〜4の整数である)であり;そしてR6が分枝状のC6〜C10−アルキレン、フェニレン又はメチル基1〜3個により置換されたフェニレン、ベンジレン又はメチル基1〜3個により置換されたベンジレン、シクロヘキシレン又はメチル基1〜3個により置換されたシクロヘキシレン、シクロヘキシレン−CH2−又はメチル基1〜3個により置換されたシクロヘキシレン−CH2−である化合物を含む。
【0068】
式(3c)の化合物の特に好ましい部分群は、式中のTが2価の−O−であり;Z2は−O−(CH2)y−(ここで、yが1〜4の整数であり、そしてその末端CH2基が式(3c)中で隣接するTに結合している)であり;R3がHであり;R8がメチル、アリル、トリルメチル又はベンジルであり、R9がメチル、エチル、ベンジル又はフェニルであるか、あるいはR8及びR9が一緒になってペンタメチレンであり;R10及びR11が互いに独立してC1〜C4−アルキルであるか、又はR10及びR11が一緒になって−CH2CH2OCH2CH2−であり、;そしてR6が分枝状のC6〜C10−アルキレン、フェニレン又はメチル基1〜3個により置換されたフェニレン、ベンジレン又はメチル基1〜3個により置換されたベンジレン、シクロヘキシレン又はメチル基1〜3個により置換されたシクロヘキシレン、シクロヘキシレン−CH2−又はメチル基1〜3個により置換されたシクロヘキシレン−CH2−である化合物を含む。
【0069】
特に好ましい官能性光開始剤のいくつかの例は、式:
【0070】
【化41】
【0071】
(式中、R22は基:
【0072】
【化42】
【0073】
である)
の化合物である。
【0074】
カルボキシ、カルボキシ誘導体、イソシアナト又はイソチオシアナト基L2を有する式(1)の化合物から誘導された材料表面上の基と、アミノ又はヒドロキシ基を有する官能性重合開始剤との反応、又はその逆は、先行技術において周知であり、有機化学教科書の中に記述されているとおり実施してよい。たとえば、L2がイソシアナト又はイソチオシアナト基である式(1)の化合物から誘導される基の、アミノ−又はヒドロキシ官能化重合開始剤との反応、又はその逆の、アミノ−又はヒドロキシ基L2の、イソシアナト又はイソチオシアナト官能化重合開始剤との反応は、場合によりハロゲン化した炭化水素のような不活性有機溶媒、たとえば石油エーテル、メチルシクロヘキサン、トルエン、クロロホルム、塩化メチレンなど、又はエーテル、たとえばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、あるいはより極性のある溶媒、たとえばDMSO、DMA、N−メチルピロリドン、又はさらには低級アルコール中で、0〜100℃、好ましくは0〜50℃の温度、特に好ましくは室温で、場合により触媒、たとえばトリエチルアミン若しくはトリ−n−ブチルアミンのような第三級アミン、1,4−ジアザビシクロオクタン、又はジラウリン酸ジブチルスズ若しくはジオクタン酸スズの存在下で実施してよい。上記の反応は、たとえば窒素又はアルゴン下のような不活性雰囲気下で実施するのが有利である。
【0075】
材料表面上の基がカルボキシ基L2を有する式(1)の化合物から誘導された場合には、カルボキシ基の、アミノ又はヒドロキシ基官能化光開始剤との反応、又は逆に、アミノ又はヒドロキシ基L2の、カルボキシ官能化重合開始剤との反応は、エステル又はアミド形成に通例である条件下、たとえば非プロトン性媒体中で、約室温〜約100℃の温度で実施してよい。さらに好ましくは、エステル化又はアミド化反応は、活性化剤、たとえばN−エチル−N′−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミド又はN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下で、あるいはo−(ベンズトリアゾール−1−イル−)−N,N,N,N−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートのようなo−(ベンゾトリアゾール)−ウロニウム塩の存在下で実施する。もっとも好ましくは、カルボキシ基L2は、上述の活性化剤の1つを用いて前もって活性化エステルに変換しておき、ついでその活性化エステルを、表面のヒドロキシ又は好ましくはアミノ基とさらに反応させる。
【0076】
本発明の好ましい一実施態様において、L2はアミノ、アルキルアミノ又はヒドロキシ、特にアミノを反応性基として含み、そして重合開始剤の共反応性はイソシアナト基である。本実施態様の好ましい重合開始剤は、上記式(3b)、(3c)、(3d1)、(3d2)又は(3d3)の光開始剤である。
【0077】
本発明の別の好ましい実施態様によると、L2は、カルボキシ、カルボキシ誘導体、イソシアナト又はイソチオシアナトを反応性基として含み、そして重合開始剤の共反応性基が、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ又はチオール基、特にアミノ基である。本実施態様の好ましい重合開始剤は、上記式(3a)の光開始剤である。
【0078】
開始剤で改質したバルク材料の表面に親水性の表面コーティング(c)を付与するのに有用な親水性モノマーは、典型的には水溶性又は水を少なくとも10重量%吸収できるポリマーをホモポリマーとして生成するモノマーである。好ましい親水性モノマーの例は、ヒドロキシ置換C2〜C4−アルキルアクリラート及びメタクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジ−C1〜C4−アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、エトキシ化アクリラート及びメタクリラート、ヒドロキシ置換C2〜C4−アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、ヒドロキシ置換C1〜C4−アルキルビニルエーテル、エチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルピロリドン、2−又は4−ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アミノ−(用語“アミノ”は第四級アンモニウムをも含む)、モノ−C1〜C4−アルキルアミノ−又はジ−C1〜C4−アルキルアミノ−C1〜C4−アルキルアクリラート及びメタクリラート、アリルアルコールなどである。たとえば、ヒドロキシ置換又はN,N−ジ−C1〜C2−アルキルアミノ置換C2〜C4−アルキル(メタ)アクリラート、5〜7員のN−ビニルラクタム、N,N−ジ−C1〜C4−アルキル(メタ)アクリルアミド、及び炭素原子を全部で3〜5個有するビニル性不飽和カルボン酸が好ましい。
【0079】
好ましい親水性ビニル性モノマーの例は、ヒドロキシエチルメタクリラート、ヒドロキシエチルアクリラート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アリルアルコール、N−ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリラートを包含する。
【0080】
好ましくは、バルク材料上の親水性表面コーティング(c)は、適したマクロモノマーを用いて得られる。本発明の方法の工程(c)の適したマクロモノマーは、たとえば、式:
【0081】
【化43】
【0082】
〔式中、R32は水素、C1〜C6−アルキル又は−COOR′であり;
R、R′及びR32′は、互いに独立して水素又はC1〜C6−アルキルであり;
Aは、直接結合であるか、又は式:
【0083】
【化44】
【0084】
の基であるか、あるいは
A及びR32は、隣接する二重結合と一緒になって、式:
【0085】
【化45】
【0086】
の基であり;
A1は、非置換又はヒドロキシにより置換された−O−C2〜C12−アルキレンであるか、あるいは−O−C2〜C12−アルキレン−NH−C(O)−又は−O−C2〜C12−アルキレン−O−C(O)−NH−R33−NH−C(O)−又は−NH−(Alk*)−C(O)−(ここで(Alk*)がC1〜C6−アルキレンであり、そしてR33が直鎖状又は分枝状のC1〜C18−アルキレン、あるいは非置換又はC1〜C4−アルキル−若しくはC1〜C4−アルコキシ置換C6〜C10−アリーレン、C7〜C18−アラルキレン、C6〜C10−アリーレン−C1〜C2−アルキレン−C6〜C10−アリーレン、C3〜C8−シクロアルキレン、C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C6−アルキレン、C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C2−アルキレン−C3〜C8−シクロアルキレン、又はC1〜C6−アルキレン−C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C6−アルキレンである)であり;
A2は、C1〜C8−アルキレン、フェニレン又はベンジレンであり;
m及びnは、互いに独立して0又は1の数であり;
X、X1及びX′は、互いに独立して2価の基:−O−又は−NR″(ここでR″が水素又はC1〜C6−アルキルである)であり;
(alk*)は、C1〜C12−アルキレンであり;そして
(オリゴマー)は、
(i)式:
【0087】
【化46】
【0088】
(式中、
(alk)は、C2〜C12−アルキレンであり、
Qは、重合の連鎖反応停止剤として作用するに適した1価の基であり、
p及びqは、互いに独立して0〜350の整数であって、ここで(p+q)の合計が2〜350の整数であり、そして
B及びB′は、互いに独立して、共重合可能なビニルモノマーからビニルの二重結合を単結合に置き換えることによって誘導される1,2−エチレン基であって、B及びB′基の少なくとも1つが親水性置換基によって置換されている)
のテロマーの基;
(ii)式:
【0089】
【化47】
【0090】
(式中、R19は、水素又は非置換若しくはヒドロキシ置換されたC1〜C12−アルキルであり、uは2〜250の整数であり、そしてQ′は重合開始剤の基である)
のオリゴマーの基;
(iii)式:
【0091】
【化48】
【0092】
(式中、R19、X及びuは前記定義のとおりである)
の基;
(iv)式:
【0093】
【化49】
【0094】
(式中、R20及びR20′は、互いに独立してC1〜C4−アルキルであり、An-はアニオンであり、vは2〜250の整数であり、そしてQ″は重合の連鎖反応停止剤として作用するに適した1価の基である)
のオリゴマーの基;
(v)式:
【0095】
【化50】
【0096】
(式中、R21は、水素、あるいは非置換か、又はヒドロキシ、カルボキシ、カルバモイル、アミノ、フェニル、o−、m−若しくはp−ヒドロキシフェニル、イミダゾリル、インドリル又は−NH−C(=NH)−NH2基で置換されたC1〜C4−アルキルであり、そしてtは2〜250の整数である)
のオリゴペプチドの基、又はプロリン若しくはヒドロキシプロリンに基づくオリゴペプチドの基;
(vi)式:
【0097】
【化51】
【0098】
(式中、R34は、水素又はC1〜C24−アルキルであり、(alk**)はC2〜C4−アルキレンであり、zは0又は1であり、r及びsはそれぞれ独立して0〜250の整数であって、そして(r+s)の合計が2〜250の整数である)
のポリアルキレンオキシドの基;あるいは
(vii)オリゴサッカリドの基;
を意味するが、ただし、
Aは、(オリゴマー)が式(6a)の基である場合は、直接結合でなく;
Aは、(オリゴマー)が式(6b)、(6c)、(6d)若しくは(6e)基であるか、又はオリゴサッカリドの基である場合は、式(5a)、(5b)若しくは(5d)の基であるか、又はA及びR32が隣接する二重結合と一緒になって式(5f)の基であり;
Aは、(オリゴマー)が式(6b′)の基である場合は、直接結合であり;そして
Aは、(オリゴマー)が式(6d′)の基である場合は、式(5c)若しくは(5e)の基である、
ことを条件とする〕
のものである。
【0099】
以下の好ましい範囲は、式(4)のマクロモノマーの定義中に含まれる変数に適用される。
R′は、好ましくは水素又はC1〜C4−アルキル、より好ましくは水素又はC1〜C2−アルキル、そして特に好ましくは水素である。
R32は、好ましくは水素、メチル又はカルボキシル、そして特に好ましくは水素である。
Rは、好ましくは水素又はメチルである。
Xは、好ましくは2価の基:−O−又は−NH−である。Xは、(オリゴマー)が式(6a)、(6c)又は(6d)の基である場合は、特に好ましくは基:−NH−であり、そして(オリゴマー)が式(6b)若しくは(6e)の基である場合、又はオリゴサッカリドの基である場合は、特に好ましくは基:−O−である。X′は好ましくは−O−又は−NH−であり、より好ましくは−NH−である。
X1は、好ましくは−O−又は−NH−である。
アルキレンとしてのR33は、好ましくは直鎖状又は分枝状のC3〜C14−アルキレン基、より好ましくは直鎖状又は状分枝のC4〜C12−アルキレン基、そしてもっとも好ましくは直鎖状又は分枝状のC6〜C10−アルキレン基である。
【0100】
R33がアリーレンである場合は、それはたとえば、ナフチレン又は特にフェニレンであって、それぞれが、たとえばC1〜C4−アルキル又はC1〜C4−アルコキシによって置換されていてもよい。アリーレンとしてのR33は、好ましくは非置換又はC1〜C4−アルキル若しくはC1〜C4−アルコキシによって少なくとも1つの結合箇所に対してo−位で置換されている1,3−若しくは1,4−フェニレンである。
【0101】
アラルキレンとしてのR33は、好ましくはナフチルアルキレン、そしてもっとも好ましくはフェニルアルキレンである。アラルキレン中のアルキレン基は、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜6個、そしてもっとも好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する。もっとも好ましくは、アラルキレン中のアルキレン基がメチレン又はエチレンである。
【0102】
R33がシクロアルキレンンの場合には、それは好ましくはC5〜C6−シクロアルキレン、そしてもっとも好ましくは非置換又はメチルによって置換されているシクロヘキシレンである。
【0103】
R33がシクロアルキレン−アルキレンの場合には、それは好ましくはシクロペンチレン−C1〜C4−アルキレン、そして特にシクロヘキレン−C1〜C4−アルキレンであって、それぞれ非置換か、又はC1〜C4−アルキル、特にメチルによってモノ−又はポリ−置換されたものである。より好ましくは、シクロアルキレン−アルキレン基が、シクロヘキシレン−エチレン、そしてもっとも好ましくは、シクロヘキシレン−メチレンであって、それぞれ非置換か、又はそのシクロヘキシレン基が1〜3個のメチル基によって置換されているものである。
【0104】
R33がアルキレン−シクロアルキレン−アルキレンの場合には、それは好ましくはC1〜C4−アルキレン−シクロペンチレン−C1〜C4−アルキレン、そして特にC1〜C4−アルキレン−シクロヘキレン−C1〜C4−アルキレンであって、それぞれ非置換か、又はC1〜C4−アルキル、特にメチルによってモノ−又はポリ−置換されたものである。より好ましくは、アルキレン−シクロアルキレン−アルキレン基が、エチレン−シクロヘキシレン−エチレン、そしてもっとも好ましくは、メチレン−シクロヘキシレン−メチレンであって、それぞれ非置換か、又はそのシクロヘキシレン基が1〜3個のメチル基によって置換されているものである。
【0105】
C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C2−アルキレン−C3〜C8−シクロアルキレン、又はC6〜C10−アリーレン−C1〜C2−アルキレン−C6〜C10−アリーレンとしてのR33は、好ましくはC5〜C6−シクロアルキレン−メチレン−C5〜C6−シクロアルキレン、又はフェニレン−メチレン−フェニレンであって、それぞれ非置換か、又はシクロアルキル若しくはフェニル環が1個以上のメチル基で置換されていてもよい。
【0106】
R33基は、対称又は、好ましくは非対称の構造を有している。R11基の好ましい群は、式中のR33が直鎖状又は分枝状のC6〜C10アルキレン;シクロヘキシレン−メチレン−又はシクロヘキシレン−メチレン−シクロヘキシレンであって、それぞれ非置換か、又はシクロヘキシル部分が1〜3個のメチル基によって置換されているもの;あるいはフェニレン又はフェニレン−メチレン−フェニレンであって、それぞれ非置換か、又はフェニル部分がメチルによって置換されているものである。2価のR33基は、好ましくはジイソシアナートから、そしてもっとも好ましくはイソホロンジイソシアナート(IPDI)、トルイレン−2,4−ジイソシアナート(TDI)、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチル−n−ヘキサン(TMDI)、メチレンビス(フェニルイソシアナート)、メチレンビス(シクロヘキシル−4−イソシアナート)及びヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)の群より選ばれるジイソシアナートから誘導される。
【0107】
A1の好ましい意味は、非置換又はヒドロキシ置換−O−C2〜C8−アルキレン又は−O−C2〜C6−アルキレン−NH−C(O)−、そして特に基:−O−(CH2)2 〜 4−、−O−CH2−CH(OH)−CH2−又は−O−(CH2)2 〜 4−NH−C(O)−である。A1の特に好ましい意味は、−O−(CH2)2−NH−C(O)−基である。
【0108】
A2は、好ましくはC1〜C6−アルキレン、フェニレン又はベンジレン、より好ましくはC1〜C4アルキレン、そしてさらにより好ましくはC1〜C2−アルキレンである。
nは0又は好ましくは1の整数である。mは好ましくは1の整数である。
R32′は、好ましくは水素又はメチル、そして特に好ましくは水素である。
(オリゴマー)が式(6a)、(6b)、(6c)、(6d)又は(6e)の基であるか、あるいはオリゴサッカリドの基である場合には、Aは好ましくは式(5a)又は(5b)の基、そして特に好ましくは式(5a)の基であって、これら式中に含まれる変数には前述の意味及び好ましい範囲が適用される。
本発明の親水性マクロモノマーの好ましい群は、前記の式(4)の化合物であって、この式中のRが水素又はメチルであり、R32が水素、メチル又はカルボキシであり、R32′が水素であり、Aが式(5a)又は(5b)の基であり、そして(オリゴマー)が式(6a)、(6b)、(6c)、(6d)又は(6e)の基であるか、あるいはオリゴサッカリドの基である化合物を含む。親水性マクロモノマーのさらにより好ましい群は、前記の式(4)の化合物であって、この式中のRが水素又はメチルであり、R32及びR32′がそれぞれ水素であり、Aが式(5a)の基であり、そして(オリゴマー)が式(6a)の基である化合物を含む。好ましい親水性マクロモノマーのさらなる群は、前記の式(4)の化合物であって、この式中のAが前記の式(5e)の基であり、そして(オリゴマー)が式(6a)の基である化合物を含む。
【0109】
(Alk*)は、好ましくはメチレン、エチレン又は1,1−ジメチル−メチレン、特に基:−CH2−又は−C(CH3)2−である。
【0110】
(alk)及び(alk*)は、それぞれ独立して好ましくはC2〜C8−アルキレン、より好ましくはC2〜C6−アルキレン、さらにより好ましくはC2〜C4−アルキレン、そして特に好ましくは1,2−エチレンである。このアルキレン基(alk)及び(alk*)は、分枝状又は好ましくは直鎖状のアルキレン基であってよい。
【0111】
Qは、たとえば水素である。
【0112】
(p+q)の合計は、好ましくは2〜150、より好ましくは5〜100、さらにより好ましくは5〜75、そして特に好ましくは10〜50の整数である。本発明の好ましい一実施態様においては、qが0であり、そしてpが2〜250、好ましくは2〜150、より好ましくは5〜100、さらにより好ましくは5〜75、そして特に好ましくは10〜50の整数である。
【0113】
B又はB′基の適した親水性置換基は、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は双イオン性置換基であってよい。したがって、B及び/又はB′モノマー単位を含有する式(5a)のテロマー鎖は、アニオン性、カチオン性及び/又は双イオン性基を含有する荷電鎖であってもよく、又は非荷電鎖であってもよい。加えて、そのテロマー鎖は、非荷電及び荷電単位の共重合性混合物を含んでいてよい。テロマー内の電荷分布は、もしあるなら、ランダム状でもブロック状でもよい。
【0114】
本発明の好ましい一実施態様においては、式(6a)のテロマー基は、もっぱら非イオン性のモノマー単位B及び/又はB′のみからなっている。本発明の別の好ましい実施態様においては、式(6a)のテロマー基は、もっぱらイオン性モノマー単位B及び/又はB′から、たとえばカチオン性モノマー単位のみから、あるいはアニオン性モノマー単位のみからなっている。本発明の別のさらに好ましい実施態様は、非イオン性単位B及びイオン性単位B′を含む式(6a)のテロマー基を指向している。
【0115】
B又はB′の適した非イオン性置換基は、たとえば−OH、C1〜C4−アルコキシ及び−NR23R23′(R23及びR23′は互いに独立して水素、又は非置換若しくはヒドロキシ置換のC1〜C6−アルキル又はフェニルである)からなる群より選ばれる1種又はそれ以上の同一又は異なる置換基によって置換されたC1〜C6−アルキル基;ヒドロキシ、C1〜C4−アルコキシ又は−NR23R23′(R23及びR23′は上記定義のもの)によって置換されたフェニル;−COOY基(Yが非置換、又は、たとえばヒドロキシ、C1〜C4−アルコキシ、−O−Si(CH3)3、−NR23R23′(R23及びR23′は上記定義のとおり)、−O−(CH2CH2O)1 〜 24−E基(Eは水素又はC1〜C6−アルキルである)、又は−NH−C(O)−O−G基(ここで−O−Gは糖単位1〜8個を有するサッカリドの基、又は−O−(CH2CH2O)1 〜 24−E基(Eは上記定義のもの)である)によって置換されたC1〜C24−アルキルであるか、あるいはYが非置換又はC1〜C4−アルキル若しくはC1〜C4−アルコキシで置換されたC5〜C8−シクロアルキルであるか、あるいは非置換か、又はC1〜C4−アルキル−若しくはC1〜C4−アルコキシ置換フェニル若しくはC7〜C12−アラルキルである);−CONY1Y2(ここでY1及びY2がそれぞれ独立して水素、非置換又はたとえばヒドロキシ、C1〜C4−アルコキシ若しくは−O−(CH2CH2O)1 〜 24−E基(Eは上記定義のもの)により置換されたC1〜C12−アルキルであるか、あるいはY1及びY2は隣接するN−原子と一緒になって、5又は6員のヘテロ環(追加のヘテロ原子を有しないか、又は追加の酸素若しくは窒素原子を1個有する)を形成している);−OY3基(Y3が水素、又は非置換若しくは−NR23R23′で置換されたC1〜C12−アルキルであるか、あるいは−C(O)−C1〜C4−アルキル基(ここで、R23及びR23′は上記定義のもの)である);又は窒素原子を少なくとも1個有し、そしてそれぞれの場合、該窒素原子を通して結合している5〜7員のヘテロ環式基、を包含する。
【0116】
B又はB′の適したアニオン性置換基は、たとえば−SO3H、−OSO3H、−OPO3H2及び−COOHにより置換されたC1〜C6−アルキル;−SO3H、−COOH、−OH及び−CH2−SO3Hからなる群より選ばれる1個以上の同一又は異なる置換基により置換されたフェニル;−COOY4基(ここで、Y4がたとえば−COOH、−SO3H、−OSO3H、−OPO3H2によって、又は−NH−C(O)−O−G′(G′はアニオン性炭水化物の基である)によって置換されたC1〜C24−アルキルである);−CONY5Y6基(ここで、Y5が−COOH、−SO3H、−OSO3H、又は−OPO3H2によって置換されたC1〜C24−アルキルであり、そしてY6が独立してY5の意味を有するか、又は水素若しくはC1〜C12−アルキルである);又は−SO3H、若しくはその塩、たとえばそのナトリウム、カリウム、アンモニウムなどの塩、を包含する。
【0117】
B又はB′の適したカチオン性置換基は、−NR23R23′R23″+An-基(ここで、R23、R23′及びR23″は互いに独立して水素、又は非置換若しくはヒドロキシ置換C1〜C6−アルキル又はフェニルであり、そしてAn-はアニオンである)により置換されたC1〜C12−アルキル;又は−C(O)OY7基(ここでY7が−NR23R23′R23″+An-基により置換され、そしてさらに非置換か、又はたとえばヒドロキシにより置換されたC1〜C24−アルキル(ここでR23、R23′及びR23″は上記定義のもの)である)を包含する。
【0118】
B又はB′の適した双イオン性置換基は、−R24−Zw(ここでR24が直接結合又は官能基、たとえばカルボニル、カルボナート、アミド、エステル、ジカルボアンヒドリド、ジカルボイミド、尿素又はウレタン基であり;そしてZwが1個のアニオン性基と1個のカチオン性基をそれぞれ含む脂肪族部分である)を包含する。
【0119】
以下の好ましい範囲が、B及びB′の親水性置換基に適用される。
(i)非イオン性置換基:
B又はB′の好ましいアルキル置換基は、C1〜C4−アルキル、特に−OH及び−NR23R23′(ここで、R23及びR23′は互いに独立して水素又はC1〜C4−アルキル、好ましくは水素、メチル又はエチル、そして特に好ましくは水素又はメチルである)からなる群より選ばれる1個又はそれ以上の置換基によって置換されたC1〜C2−アルキル、たとえば−CH2−NH2、−CH2−N(CH3)2である。
B又はB′の好ましいフェニル置換基は、−NH2又はN(C1〜C2−アルキル)2により置換されたフェニル、たとえばo−、m−又はp−アミノフェニルである。
B又はB′の親水性置換基が−COOY基である場合には、場合によって置換されたアルキルとしてのYは、好ましくはC1〜C12−アルキル、より好ましくはC1〜C6−アルキル、さらにより好ましくはC1〜C4−アルキル、そして特に好ましくはC1〜C2−アルキルであって、これらのそれぞれが前述のように非置換か、又は置換されている。アルキル基Yが−NR23R23′により置換されている場合には、R23及びR23′についての前述の意味及び好ましい範囲が適用される。−NH−C(O)−O−Gで置換されているアルキル基Yの適したサッカリド置換基−O−Gの例は、モノ−又はジサッカリドの基、たとえばグルコース、アセチルグルコース、メチルグルコース、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グルコノラクトン、マンノース、ガラクトース、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、フルクトース、マルトース、ラクトース、フコース、サッカロース又はトレハロース、アンヒドロサッカリドの基たとえばレボグルコサン、グルコシドの基たとえばオクチルグルコシド、糖アルコールの基たとえばソルビトール、糖酸誘導体の基たとえばラクトビオン酸アミド、又は糖単位を最大8個有するオリゴサッカリドの基、たとえばシクロデキストリン、デンプン、キトサン、マルトトリオース又はマルトヘキサオースのフラグメントである。−O−G基は、好ましくは、モノ−若しくはジサッカリドの基、又は糖単位を最大8個有するシクロデキストリンフラグメントの基を意味する。特に好ましいサッカリド基−O−Gは、トレハロースの基又はシクロデキストリンフラグメントの基である。アルキル基Yが−O−(CH2CH2O)1 〜 24−E基又は−NH−C(O)−O−G基(ここで、−O−Gは−O−(CH2CH2O)1 〜 24−Eである)により置換されている場合、(CH2CH2O)単位の数は、それぞれの場合、好ましくは1〜12、そしてより好ましくは2〜8である。Eは好ましくは水素又はC1〜C2−アルキルである。
C5〜C8−シクロアルキルとしてのYは、たとえばシクロペンチル又は好ましくはシクロヘキシルであって、そのそれぞれが非置換か、又はたとえばC1〜C2−アルキル基の1〜3個により置換されているものである。C7〜C12−アラルキルとしてのYは、たとえばベンジルである。
【0120】
好ましい非イオン性基−COOYは、YがC1〜C6−アルキル;又はヒドロキシ、C1〜C2−アルコキシ、−O−Si(CH3)3、及び−NR23R23′(R23及びR23′は互いに独立して水素又はC1〜C4−アルキルである)からなる群より選ばれる置換基の1個又は2個により置換されたC2〜C6−アルキル;あるいはYが−CH2CH2−O−(CH2CH2O)1 〜 12−E基(ここで、Eが水素又はC1〜C2−アルキルである);又は−C2〜C4−アルキレン−NH−C(O)−O−G基(−O−Gはサッカリドの基である)である。
【0121】
より好ましい非イオン性基−COOYは、YがC1〜C4−アルキル;又はヒドロキシ及び−NR23R23′(R23及びR23′は互いに独立して水素又はC1〜C2−アルキルである)からなる群より選ばれる置換基の1個又は2個により置換されたC2〜C4−アルキル;又は−CH2CH2−O−(CH2CH2O)1 〜 12−E基(Eが水素若しくはC1〜C2−アルキルである);又は−C2〜C4−アルキレン−NH−C(O)−O−G基(−O−Gがサッカリドの基である)である。
【0122】
特に好ましい−COOY基は、YがC1〜C2−アルキルで特にメチル;非置換又はヒドロキシ若しくはN,N−ジ−C1〜C2−アルキルアミノにより置換されたC2〜C3−アルキル;又は−C2〜C3−アルキレン−NH−C(O)−O−G基(−O−Gがトレハロースの基若しくは糖単位を最大8個有するシクロデキストリンフラグメントの基である)を含む。
【0123】
B又はB′の好ましい非イオン性置換基−C(O)−NY1Y2は、式中のY1及びY2が互いに独立して水素、又は非置換若しくはヒドロキシ置換C1〜C6−アルキルであるか;又はY1及びY2が隣接するN−原子と一緒になって、6員のヘテロ環(さらなるヘテロ原子を有しないか、又は1個のさらなるN−若しくはO−原子を有している)を形成しているものである。Y1及びY2のさらにより好ましい意味は、互いに独立して、水素、又は非置換若しくはヒドロキシ置換C1〜C4−アルキルであるか;又はY1及びY2が隣接するN−原子と一緒になって、N−C1〜C2−アルキルピペラジノ若しくはモルホリノ環を形成している。特に好ましい非イオン性基−C(O)−NY1Y2は、式中のY1及びY2が互いに独立して、水素又はC1〜C2−アルキルであるか;又はY1及びY2が隣接するN−原子と一緒になって、モルホリノ環を形成しているものである。
【0124】
B又はB′の好ましい非イオン性置換基−OY3は、式中のY3が水素、非置換又は−NH2若しくは−N(C1〜C2−アルキル)2によって置換されたC1〜C4−アルキルであるか、あるいは−C(O)C1〜C2−アルキルであるものである。Y3は、特に好ましい水素又はアセチルである。
【0125】
B又はB′の好ましい非イオン性ヘテロ環式置換基は、5又は6員のヘテロ芳香族又はヘテロ脂肪族基であって、N−原子を1個と、それに加えてさらなるヘテロ原子を有しないか、又は追加のN−若しくはO−ヘテロ原子を1個有しているもの、あるいは5〜7員のラクタムである。このようなヘテロ環式基の例は、N−ピロリドニル、2−若しくは4−ピリジニル、2−メチルピリジン−5−イル、2−、3−若しくは4−ヒドロキシピリジニル、N−ε−カプロラクタミル、N−イミダゾリル、2−メチルイミダゾール−1−イル、N−モルホリニル又は4−N−メチルピペラジン−1−イル、特にN−モルホリニル又はN−ピロリドニルである。
【0126】
B又はB′の好ましい非イオン性置換基の群は、非置換か、又は−OH若しくは−NR23R23′(ここで、R23及びR23′は、互いに独立して水素又はC1〜C2−アルキルである)により置換されているC1〜C2−アルキル;−COOY基(YがC1〜C4−アルキル、又は−OH、−NR23R23′(ここで、R23及びR23′は、互いに独立して水素又はC1〜C2−アルキルである)により置換されているC2〜C4−アルキルであるか、あるいはYが−C2〜C4−アルキレン−NH−C(O)−O−G基(−O−Gはサッカリドの基である)である);−C(O)−NY1Y2基(ここで、Y1及びY2が互いに独立して水素、又は非置換若しくはヒドロキシ置換C1〜C6−アルキルであるか、あるいはY1及びY2が隣接するN−原子と一緒になって6員のヘテロ環式環(さらなるヘテロ原子を有しないか、又はN−若しくはO−原子をさらに1個有している)を形成している);−OY3基(ここでY3が水素、非置換又は−NH2若しくは−N(C1〜C2−アルキル)2で置換されたC1〜C4−アルキルであるか、又は−C(O)C1〜C2−アルキル基である);又は5若しくは6員のヘテロ芳香族若しくはヘテロ脂肪族基であって、N−原子を1個と、それに加えてさらなるヘテロ原子を有しないか、又は追加のN−、O−若しくはS−ヘテロ原子1個を有しているものか、あるいは5〜7員のラクタムであるものを含む。
【0127】
B又はB′のより好ましい非イオン性置換基の群は、−COOY基(ここで、YがC1〜C2−アルキルか、ヒドロキシ、アミノ若しくはN,N−ジ−C1〜C2−アルキルアミノにより置換されたC2〜C3−アルキルであるか、又は−C2〜C4−アルキレン−NH−C(O)−O−G基(−O−Gがトレハロースの基である)である;−C(O)−NY1Y2基(ここで、Y1及びY2が互いに独立して水素、又は非置換若しくはヒドロキシ置換のC1〜C4−アルキルであるか、あるいはY1及びY2が隣接するN−原子と一緒になってN−C1〜C2−アルキルピペラジノ又はモルホリノ環を形成している);あるいはN−ピロリドニル、2−又は4−ピリジニル、2−メチルピリジン−5−イル、2−、3−又は4−ヒドロキシピリジニル、N−ε−カプロラクタミル、N−イミダゾリル、2−メチルイミダゾル−1−イル、N−モルホリニル及び4−N−メチルピペラジン−1−イルからなる群より選ばれるヘテロ環式基を含む。
【0128】
B又はB′の特に好ましい非イオン性置換基の群は、−CONH2、−CON(CH3)2、
【0129】
【化52】
【0130】
−CONH−(CH2)2−OH、−COO−(CH2)2−N(CH3)2、及び−COO(CH2)2 〜 4−NHC(O)−O−G基(−O−Gはトレハロースの基である)を含む。
【0131】
(ii)アニオン性置換基:
B又はB′の好ましいアニオン性置換基は、C1〜C4−アルキル、特に−SO3H及び−OPO3H2からなる群より選ばれる置換基1個以上により置換されているC1〜C2−アルキル、たとえばCH2-SO3H;−SO3H又はスルホメチルにより置換されているフェニル、たとえばo−、m−若しくはp−スルホフェニル又はo−、m−若しくはp−スルホメチルフェニル;−COOH;−COOY4基(ここで、Y4が−COOH、−SO3H、−OSO3H、若しくは−OPO3H2によって、又は−NH−C(O)−O−G′基(G′はラクトビオン酸、ヒアルロン酸又はシアル酸の基である)によって置換されているC2〜C6−アルキル、特に−SO3H又は−OSO3Hによって置換されているC2〜C4−アルキルである);−CONY5Y6基(ここでY5がスルホにより置換されたC1〜C6−アルキル、特にスルホにより置換されたC2〜C4−アルキルであり、そしてY6が水素、たとえば−C(O)−NH−C(CH3)2−CH2−SO3H基である);又は−SO3H基若しくはその適した塩である。B又はB′の特に好ましいアニオン性置換基は、−COOH、−SO3H、o−、m−若しくはp−スルホフェニル、o−、m−若しくはp−スルホメチルフェニル、又は−CONY5Y6基(ここで、Y5がスルホにより置換されたC2〜C4−アルキルであり、そしてY6が水素である)である。
【0132】
(iii)カチオン性置換基:
B又はB′の好ましいカチオン性置換基は、C1〜C4−アルキル、特にC1〜C2−アルキル(それぞれの場合、−NR23R23′R23″+An-により置換されている);又は−C(O)OY7基(ここでY7がC2〜C6−アルキル、特にC2〜C4−アルキル(それぞれの場合に−NR23R23′R23″+An-により置換され、そしてさらに非置換か又はヒドロキシにより置換されている)である)である。R23、R23′及びR23″は互いに独立して、好ましくは水素又はC1〜C4−アルキル、より好ましくはメチル又はエチル、そして特に好ましくはメチルである。適したアニオンAn-の例はHal-(ここでHalはハロゲンたとえばBr-、F-、I-又は特にCl-である)、さらにはHCO3 -、CO3 2-、H2PO3 -、HPO3 2-、PO3 3-、HSO4 -、SO4 2-又はOCOCH3 -のような有機酸の基などである。B又はB′の特に好ましいカチオン性置換基は、−C(O)OY7基(ここでY7は、−N(C1〜C2−アルキル)3 +An-により置換され、さらにヒドロキシにより置換されたC2〜C4−アルキルであり、そしてAn-はアニオンであるが、たとえば、−C(O)O−CH2−CH(OH)−CH2−N(CH3)3 +An-である。
【0133】
(iv)双イオン性置換基−R24−Zw:
R24は、好ましくはカルボニル、エステル又はアミド官能性の基、そしてより好ましくはエステル基−C(O)−O−である。
Zw部分の適したアニオン性基は、たとえば−COO-、−SO3 -、OSO3 -、OPO3H-又は2価の−O−PO2 -−又は−O−PO2 -−O−、好ましくは−COO-又は−SO3 -基、又は2価の−O−PO2 -−基、そして特に好ましくは−SO3 -基である。
Zw部分の適したカチオン性基は、たとえば−NR23R23′R23″+基又は2価の−NR23R23′+−基であって、ここでR23、R23′及びR23″は前記定義のとおりであり、そして互いに独立して、好ましくは水素又はC1〜C6−アルキル、好ましくは水素又はC1〜C4−アルキル、そして特に好ましくはそれぞれメチル又はエチルのものである。
【0134】
Zw部分は、たとえばC2〜C30−アルキル、好ましくはC2〜C12−アルキル、そしてより好ましくはC3〜C8−アルキルであって、それぞれの場合、非中断か又は−O−により中断され、そして前述のアニオン性及びカチオン性基それぞれの1つにより置換又は中断されており、そして加えて、非置換か、又はさらに−OY8基(Y8は水素又はカルボン酸のアシル基である)により置換されているものである。
【0135】
Y8は、好ましくは水素、又は高級脂肪酸のアシル基である。
【0136】
Zwは、好ましくはC2〜C12−アルキル、そしてさらにより好ましくはC3〜C8−アルキルであって、前述のアニオン性及びカチオン性基それぞれの1つにより置換又は中断されており、そして加えて、さらに−OY8基により置換されていてよい。
【0137】
双イオン性置換基−R24Zwの好ましい群は、式:
【0138】
【化53】
【0139】
(式中、R23は水素又はC1〜C6−アルキルであり;An-はアニオン性基−COO-、−SO3 -、−OSO3 -又はOPO3H-、好ましくは−COO-又は−SO3 -、そしてもっとも好ましくは−SO3 -であり、(alk′)はC1〜C12−アルキレンであり、(alk″)は非置換か又は−OY8基により置換されたC2〜C24−アルキレンであり、Y8は水素又はカルボン酸のアシル基であり、そして(alk″′)はC2〜C8−アルキレンである)
に相当する。
【0140】
(alk′)は、好ましくはC2〜C8−アルキレン、より好ましくはC2〜C6−アルキレン、そしてもっとも好ましくはC2〜C4−アルキレンである。(alk″)は、好ましくはC2〜C12−アルキレン、より好ましくはC2〜C6−アルキレン、そして特に好ましくはC2〜C3−アルキレンであって、それぞれの場合、非置換か又はヒドロキシ若しくは−OY8基により置換されたものである。(alk″′)は、好ましくはC2〜C4−アルキレン、そしてより好ましくはC2〜C3−アルキレンである。R23は、水素又はC1〜C4−アルキル、より好ましくはメチル又はエチル、そして特に好ましくはメチルである。B又はB′の好ましい双イオン性置換基は、式:
【0141】
【化54】
【0142】
(式中、Y8は水素又は高級脂肪酸のアシル基である)
のものである。
【0143】
Bは、たとえば式:
【0144】
【化55】
【0145】
〔式中、R25は、水素又はC1〜C4−アルキル、好ましくは水素又はメチルであり;R26は、親水性置換基であって、ここで前述の意味及び好ましい範囲が適用され;R27は、C1〜C4−アルキル、フェニル又は−C(O)OY9基(ここでY9は水素、又は非置換若しくはヒドロキシ置換C1〜C4−アルキルである)であり;そしてR28は、−C(O)Y9′基又は−CH2−C(O)OY9′基(ここでY9′は独立してY9の意味を有する)である〕
の基を意味する。
【0146】
R27は、好ましくはC1〜C2−アルキル、フェニル又は−C(O)OY9基である。R28は、好ましくは−C(O)OY9′基又は−CH2−C(O)OY9′基(ここで、Y9及びY9′が互いに独立して水素、C1〜C2−アルキル又はヒドロキシ−C1〜C2−アルキルである)である。本発明の特に好ましい−CHR27−CHR28−単位は、このR27がメチル又は−C(O)OY9基であり、そしてR28が−C(O)OY9′基又は−CH2−C(O)OY9′基(ここでY9及びY9′がそれぞれ水素、C1〜C2−アルキル又はヒドロキシ−C1〜C2−アルキルである)のものである。
【0147】
B′は、独立して前述したBの意味の1つを有していてよい。
【0148】
(オリゴマー)が式(6a)の基である場合、−(alk)−S−[B]p−[B′]q−Q基は、好ましくは、式:
【0149】
【化56】
【0150】
の基を、そしてさらにより好ましくは、式:
【0151】
【化57】
【0152】
(式中、R25、R26、Q、p及びqには前述の意味及び好ましい範囲が適用され、R25′には独立して前述のR25の意味及び好ましい範囲が適用され、そしてR26′には独立して前述のR26の意味及び好ましい範囲が適用される)
の基を意味する。
【0153】
本発明の工程(c)に適した親水性マクロモノマーの好ましい群は、式:
【0154】
【化58】
【0155】
(式中、Rは水素又はメチルであり、A1は−O−(CH2)2 〜 4−、−O−CH2−CH(O)−CH2−又は−O−(CH2)2 〜 4−NH−C(O)−基であり、Xは−O−又は−NH−であり、(alk)はC2〜C4−アルキレンであり、Qは重合連鎖反応停止剤として作用するに適した1価の基であり、pは5〜50の整数であり、R25及びR25′は、互いに独立して水素又はメチルであり、そしてR26及びR26′には、それぞれ独立して前記の意味及び好ましい範囲が適用される)
の化合物を含む。
【0156】
本発明の特に好ましい実施態様は、式:
【0157】
【化59】
【0158】
(式中、R、R25、R26、Q、(alk)及びpには前述の意味及び好ましい範囲が適用される)
の親水性マクロモノマーに関する。親水性マクロモノマーの特に好ましい群は、上式(4b)の化合物であって、式中、Rが水素又はメチルであり、(alk)がC2〜C4−アルキレンであり、R25が水素又はメチルであり、pが5〜50の整数であり、Qが前記定義のものであり、そしてR26には前述の意味及び好ましい範囲が適用されるの化合物であり;特に本実施態様のR26は、基:
【0159】
【化60】
【0160】
である。
【0161】
(オリゴマー)が式(6b)の基(ii)である場合には、式(6b)中のQ′は、たとえばC1〜C12−アルキル、フェニル又はベンジル、好ましくはC1〜C2−アルキル又はベンジル、そして特にメチルである。R19は、好ましくは非置換か、又はヒドロキシ置換C1〜C4−アルキル、そして特にメチルである。uは好ましくは2〜150、より好ましくは5〜100、さらにより好ましくは5〜75、そして特に好ましくは10〜50の整数である。
【0162】
(オリゴマー)が式(6b′)の基である場合は、式中に含まれる変数R19及びuには、前述の意味及び好ましい範囲が適用される。式(6b′)中のXは、好ましくはヒドロキシ又はアミノである。
【0163】
(オリゴマー)が式(6c)の基(iv)を意味する場合には、R20及びR20′は、それぞれ好ましくはエチル又は特にメチルであり;vは、好ましくは2〜150、より好ましくは5〜100、さらにより好ましくは5〜75、そして特に好ましくは10〜50の整数であり;Q″は、たとえば水素であり;そしてAn-は前記定義のとおりである。
【0164】
(オリゴマー)が式(6d)又は(6d′)のオリゴペプチド基(v)を意味する場合には、R21は、たとえば水素、メチル、ヒドロキシメチル、カルボキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、イソプロピル、n−、s−若しくはイソ−ブチル、4−アミノ−n−ブチル、ベンジル、p−ヒドロキシベンジル、イミダゾリルメチル、インドリルメチル又は−(CH2)3−NH−C(=NH)−NH2基である。tは、好ましくは2〜150、より好ましくは5〜100、さらにより好ましくは5〜75、そして特に好ましくは10〜50の整数である。
【0165】
(オリゴマー)が式(6e)のポリオキシアルキレン基(vi)を意味する場合には、R34は、好ましくは水素又はC1〜C18−アルキル、より好ましくは水素又はC1〜C12−アルキル、さらにより好ましくは水素、メチル又はエチル、そして特に好ましくは水素又はメチルである。(alk**)は好ましくはC2〜C3−アルキレン基である。zは好ましくは0である。r及びsは、それぞれ独立して、好ましくは0〜100の整数であって、(r+s)の合計が5〜100である。r及びsは、それぞれ独立して、より好ましくは0〜50の整数であって、(r+s)の合計が8〜50である。ポリオキシアルキレン基(オリゴマー)の特に好ましい実施態様においては、rが8〜50、そして特に9〜25の整数であり、そしてsが0である。
【0166】
オリゴサッカリド(vii)の基としての(オリゴマー)は、たとえば、生体高分子由来のフラグメントを含有する炭水化物を含めたジ−又はポリサッカリドである。例となる基は、シクロデキストリン、トレハロース、セロビオース、マルトトリオース、マルトヘキサオース、キトヘキサオース若しくはデンプン、ヒアルロン酸、脱アセチル化ヒアルロン酸、キトサン、アガロース、キチン50、アミロース、グルカン、ヘパリン、キシラン、ペクチン、ガラクタン、グリコサミノグリカン、ムチン、デキストラン、アミノ化デキストラン、セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース又はカルボキシアルキルセルロースオリゴマーであって、それぞれ重量平均分子量が、たとえば25,000まで、好ましくは10,000までを有するものである。(vii)のオリゴサッカリドは、好ましくは糖単位を最大8個有するシクロデキストリンの基である。
【0167】
式(6a)、(6a′)又は(6e)は、それぞれのオリゴマー基の統計的記述であると理解すべきであって、すなわち、モノマーの配置方向及びモノマーの順序(コポリマーの場合)は、いずれにせよ該式によって固定されていないということである。したがって、式(6a)中のB及びB′、又は式(6e)中のエチレンオキシド及びプロピレンオキシド単位の配列は、それぞれの場合においてランダム状又はブロック状でありうる。
【0168】
工程(c)の親水性マクロモノマーの重量平均分子量は、主として所望の性質に依存し、たとえば300〜25,000、好ましくは300〜12,000、より好ましくは300〜8,000、さらにより好ましくは300〜5,000、そして特に好ましくは500〜4,000である。
【0169】
式(4)のマクロモノマーは、それ自体既知の方法で製造してよい。たとえば、式(4)の化合物で、Aが式(5a)、(5b)又は(5d)の基であるものは、式:
【0170】
【化61】
【0171】
〔式中、R、R32及びR23′はそれぞれが前述の意味を有し、そしてA*がたとえば−C(O)−A**基(ここで、A**が、ハロゲン特に塩素、エステル基、エポキシ基たとえば基:
【0172】
【化62】
【0173】
を含むオキシアルキレン基であるか;又は−O−C2〜C12−アルキレン−N=C=O基である)であるか;あるいはA*が−(A2)m−N=C=O基(ここで、A2及びmが前記の意味を有する)である〕
の化合物を、式:
【0174】
【化63】
【0175】
(式中、Xは前記の意味を有する)
の化合物と反応させることによって得られる。
【0176】
カルボン酸ハロゲン化物基、エポキシ基又はイソシアナト基を有する式(8)の化合物の、式(9)のアミノ又はヒドロキシ化合物との反応は先行技術において周知であり、そして有機化学の教科書に記述されているような方法で実施してよい。たとえば、式(8)のイソシアナト誘導体の、式(9)の化合物との反応は、場合によりハロゲン化した炭化水素のような不活性溶媒、たとえば、石油エーテル、メチルシクロヘキサン、トルエン、クロロホルム、塩化メチレンなど、あるいはエーテル、たとえばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、あるいは、DMSO、DMA、N−メチルピロリドン又は低級アルコールのようなより極性のある溶媒中で、0〜100℃、好ましくは0〜50℃の温度において、そして特に好ましくは室温において、場合により触媒、たとえばトリエチルアミン又はトリ−n−ブチルアミンのような第三級アミン、1,4−ジアザビシクロオクタン、あるいはジラウリン酸ジブチルスズ又はジオクタン酸スズのようなスズ化合物の存在下で実施してよい。加えて、式(8)のイソシアナト誘導体の、−XHがアミノ基である式(9)の化合物との反応も、水溶液中で触媒なしに実施してよい。上記の反応は、不活性雰囲気下、たとえば窒素又はアルゴン雰囲気下で実施するのが有利である。
【0177】
さらに、Aが式(5c)又は(5e)の基である式(4)のマクロモノマーは、式:
【0178】
【化64】
【0179】
(式中、R、R32、R32′、A2、X、X1、(alk*)及びmはそれぞれ前述の意味を有する)
の化合物を、式:
【0180】
【化65】
【0181】
(式中、(オリゴマー)は前述の意味を有し、そしてX1′はたとえば−OH又はハロゲン、特に塩素であるか、又は−(O)C−と一緒になってそれ自体既知の方法でアンヒドリド基を形成している)
の化合物と反応させることによって得てもよい。
【0182】
Aが直接結合であり、そして(オリゴマー)が式(6c′)の基である式(4)のマクロモノマーは、既知であるか、又は先行技術における既知の方法、たとえば S. Kobayashiほか、olymer Bulletin 13, p447-451(1985)に記述されている方法に従って製造してよい。
【0183】
同様に、式:
【0184】
【化66】
【0185】
(式中、(alk*)、X′、X及び(オリゴマー)は、それぞれ前述の意味を有する)
のマクロモノマーは、それ自体既知の方法で、たとえば、式:
【0186】
【化67】
【0187】
(式中、(alk*)は前述の意味を有する)
の化合物を、前述の式(6)の化合物と反応させることにより、又は式:
【0188】
【化68】
【0189】
の化合物を、前述の式(9)(式中、(alk*)及びX1は、それぞれ前述の意味を有する)の化合物と反応させることによって得てもよい。
【0190】
式(8)、(9)、(9a)、(10a)、(10b)、(12)及び(12a)の化合物は既知化合物であり、市販されているか、又は既知の方法に従って製造してよい。たとえば、式(9)及び(9a)で、その(オリゴマー)が式(6a)の基を意味している化合物は、PCT出願WO92/09639に従い、親水性のエチレン性不飽和モノマーの1種又はそれ以上を、塩酸システアミン、チオグリコール酸などのような官能性連鎖移動剤の存在下で共重合させることによって製造してよい。
【0191】
親水性モノマー又はマクロモノマーを、開始剤で改質してある材料に塗布し、そしてそれ自体既知の方法により、その場所で重合してよい。たとえば、共有結合している重合開始剤を含む材料を、モノマー若しくはマクロモノマーの溶液に浸漬するか、又はモノマー若しくはマクロモノマーの層を、まず、改質してある材料表面上に、たとえば浸し塗り、スプレー塗り、展着、ナイフコーティング、流し塗り、ロール塗り、スピンコーティング若しくは真空蒸着によって付着させる。重合工程において用いる場合、適した溶媒は、たとえば水又はアセトニトリルのような双極非プロトン性溶媒である。ついで、第一のポリマーコーティングを含む材料上における親水性モノマー又はマクロモノマーの重合は、たとえば熱の作用によって熱的に、又は好ましくは光照射、特にUV照射によって開始させてよい。照射のための適した光源は当業者に既知のものであり、そしてたとえば水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、炭素アークランプ又は太陽光を含む。照射時間は、たとえば生成する複合材料の所望の性質に依存するが、通常は30分までの範囲、好ましくは10秒〜10分、そして特に好ましくは0.5〜5分である。照射は、不活性ガスの雰囲気中で実施するのが有利である。重合後、共有結合していないすべての付着モノマー、ポリマー、オリゴマー又は未反応マクロモノマーを、たとえば適当な溶媒で処理することによって除去できる。
【0192】
本発明によって得られたコーティング材料を、そのあとそれ自体既知の方法、たとえば、適した溶媒たとえば水を用いる洗浄又は抽出によって精製してもよい。
【0193】
前述のコーティング方法の工程(c)によって、親水性マクロモノマーは材料の表面にグラフトされ、たとえば繋がった“毛様の”鎖からなる、いわゆるびんブラシ型構造(BBT)を有するコーティングを形成する。実施態様の1つにおけるこのようなBBT構造は、長い親水性又は疎水性の骨格を含み、これが相対的に密に詰まった比較的短い親水性側鎖を保持する(第1びんブラシと呼称)。別の実施態様は、親水性の側鎖自体が密に詰まった親水性の“第2”側鎖を保持することを特徴とした第2びんブラシに関する。これら第1及び第2BBT構造の高分子コーティングは、人体中に存在する高度に保水性を有する構造、たとえば軟骨又は粘膜組織をある程度模しているものである。
【0194】
マクロモノマーのコーティング厚は、主として所望の性質に依存する。それは、たとえば0.001〜1,000μm、好ましくは0.005〜100μm、より好ましくは0.01〜50μm、さらにより好ましくは0.01〜5μm、特に好ましくは0.01〜1μm、そしてとりわけ好ましくは0.01〜0.5μmでありうる。
【0195】
本発明のさらなる一実施態様は、本発明の方法によってコーティングされた材料に関する。
【0196】
本発明の方法によってコーティングされる材料は、たとえば有機バルク材、好ましくは生物医学装置、たとえば眼科用装置、好ましくはハードと特にソフトコンタクトレンズの両方を包含するコンタクトレンズ、眼内レンズ、又は人工角膜である。さらなる例は、たとえば傷治療用被覆材、眼帯として有用な材料、薬物送達パッチのような活性化合物の徐放のための材料、外科に使用できる成形品、たとえば心臓弁、血管移植片、カテーテル、人工臓器、膵島のようなカプセル化した生物学的埋入材、代用骨のようなプロテーゼ材料、又は診断用成形品、膜又は生物医学器具若しくは装置である。
【0197】
本発明によって得られた生物医学装置たとえば眼科用装置は、それらの先行技術によるものを超える、予期していなかった利点を数多く有しており、該装置類を実際的な目的のために、たとえば長期装用コンタクトレンズ又は眼内レンズとして、きわめて適したものにしている。たとえば、その接触角、保水性、及び水層破壊時間又は涙液層破壊時間(TBUT)によって示されるような、高度の表面湿潤性を有している。
【0198】
TBUTは、コンタクトレンズのような眼科用装置の分野において、特に重要な役割を演じている。すなわち、コンタクトレンズ上でまぶたを容易に動かせることが、装用者の快適な装用感のために重要であることが明らかになっている;このすべり動作は、コンタクトレンズ上の涙液の連続層、すなわち組織/レンズ界面を潤滑する層の存在によって容易になる。しかしながら、臨床試験によると、現在入手できるコンタクトレンズでは瞬きの間に部分的に乾いてしまい、このためまぶたとレンズの間の摩擦が増加することが示された。増加した摩擦は、目の痛みやコンタクトレンズの動きの減少という結果を生ずる。今や、本発明の表面コーティングを適用することによって、市販のコンタクトレンズ、たとえばnelfilcon A、vifilcon A 又は lotrafilcon A ポリマーからできているもののTBUTを著しく増加させることが実際可能になった。コンタクトレンズのベースカーブ上におけるそのコーティングの卓越した潤滑性は、コンタクトレンズの長期装用にとって不可欠な眼上のレンズの動きを容易にする。さらには、本発明の方法によって得られる材料は、長期装用レンズには欠かせない追加的な効果、たとえば微生物の低付着性及び沈着物の形成に対する抵抗性に実質的に寄与するレンズ前面(pre-lens)の涙液層の厚み増加を提供する。この新規な表面コーティングのきわめて柔らかく滑らかな性質のため、本発明の方法によってコーティングされた特にコンタクトレンズのような生物医学物品は、一日の遅い時間における乾燥及び長期間(夜通し)装用に関する改善を含む、卓越した装用快適感を示す。さらに、この新規な表面コーティングは目の粘膜と可逆的な方法で相互作用し、これが装用感の改善に寄与する。
【0199】
それに加えて、生物医学装置、たとえば本発明の工程によってコーティングされたコンタクトレンズのような眼科用装置は、良好な機械的性質と一緒に、非常に卓越した生体適合性を有している。たとえば、その装置は血液適合性であり、そして良好な組織一体性を有する。加えて、全体として目に有害な影響は観察されず、一方タンパク質又は脂質の吸収度合いは低く、また塩沈着物の形成も従来のコンタクトレンズに比べて少ない。一般的にいって、低汚損性、低微生物付着性及び低生物浸食性であるが、一方で機械的性質が良好なことは、たとえば低摩擦係数及び低剥離性で認知できる。さらには、本発明に従って得られる材料の寸法安定性は優れている。加えて、本発明によってある特定のバルク材料に親水性表面コーティングを付加しても、その視覚的な透明性には影響しない。
【0200】
要約すると、本発明の方法によって得られる眼科用装置類たとえばコンタクトレンズ及び人工角膜は、細胞くず、化粧品、ちりやほこり、溶媒蒸気又は化学物質に対して低汚損性であることと、たとえば眼科用装置に非常に良好な眼上の動きを与える柔らかいヒドロゲル表面のために、この種の眼科用装置を装用している患者にとってきわめて快適であることを、同時に提供する。
【0201】
本発明の方法によってコーティングされた生物医学装置類、たとえば腎臓透析膜、血液貯蔵バッグ、ペースメーカー導線、又は血管移植片は、結合水の連続層の力でタンパク質による汚損に抵抗し、このため血栓の形成速さ及び程度を減少させる。本発明によって製造した血液接触装置は、したがって血液適合性及び生体適合性である。
【0202】
【実施例】
例の中では、他に記載のない限り、量は重量により、温度は摂氏度で表される。涙液層破壊時間は、一般には M. Guillanほか,Ophthal. Physiol. Opt. 9, 355-359(1989)又はM. Guillanほか,Optometry and Vision Science 74, 273-279(1997)により公表された方法に従って測定した、レンズ前面涙液層非侵襲性破壊時間(the pre-lens tear film non-invasive break-up time(PLTF−NIBUT)に関する。コーティングされた及びコーティングされていないレンズの平均前進及び後退水接触角は、Kruess K-12装置(Kruess GmbH, Hamburg, Germany)を用い、動的Wilhelmy法で測定した。固体表面の湿潤力は、その固体の既知表面張力液体への浸漬又はそれからの引き上げの際に測定した。
【0203】
例A1〜A4:塩酸アジドアニリンを用いた、コンタクトレンズ上へのスプレー塗布
塩酸アジドアニリンの0.1mg/mLメタノール溶液を、エアブラシ(aero-pro 381(登録商標), Hansa)の漏斗に仕込んだ。この溶液を、湿潤又は乾燥したlotrafilcon A レンズ(ポリシロキサン/ぺルフルオロアルキルポリエーテルコポリマー)の両面上に、1.15barの窒素圧を用いて下表に示した時間スプレー塗付した。そのあとレンズを、1.43mW/cm2 の強度及び305nmのカットオフフィルターを有するUVランプ(LQ 400B, Groebel)を用いて30秒間照射した。全工程を随意に繰り返した。ついで、レンズをアセトニトリル/メタノール(80/20)中で一晩抽出した。
【0204】
【表1】
【0205】
例A−5:ベンゾフェノンを用いた、コンタクトレンズの表面官能化
コーティングされていないlotrafilcon A シリコーン−ヒドロゲルコンタクトレンズを3cmペトリ皿に入れ、そして二無水ベンゾフェノン−3,4,3′,4′−テトラカルボン酸(BTDA)の2重量%ホルムアミド溶液10mLで、穏やかに振とうしながら6分間処理した。そのあと、そのペトリ皿を、Groebel RM-3ランプを用いて周囲環境条件下で2分間UV照射した。ホルムアミド及び水で繰り返しすすぎ、余分なBTDAをレンズ表面から除去した。
【0206】
例A−6:ベンゾフェノンを用いた、コンタクトレンズの表面官能化
例A−5で調製したBTDA溶液の1滴を、ポリプロピレン(PP)製コンタクトレンズ成形型の雌部に入れた。ついでlotrafilcon A コンタクトレンズを、型表面とレンズ表面間でBTDA溶液が薄い毛管層を形成するようにその型の中に置いた。BTDA溶液の2滴目をレンズのキャビティ部に入れ、そして型の雄部を上に置くことによって最終的にPP型を閉じた。その成形型は、コンタクトレンズ両面上のBTDA溶液毛管層を維持するために、単に弱く鋏み止めた。ついでその型に、UV照射を同時に両面から60秒間実施した。このように処理したコンタクトレンズを型から取り出したあと、ホルムアミド及び水ですすぎ、そして最終的に、121℃で30分間、水中でのオートクレーブ処理を実施した。
【0207】
例A−7:ベンゾフェノンを用いた、コンタクトレンズの表面官能化
例A−5及びA−6中で記述したように、追加的に界面活性剤Silwet L77(Wacker, Burghausen/Germany)を0.2%含有するBTDAホルムアミド溶液で、lotrafilcon A コンタクトレンズを処理した。レンズをその溶液中に3回、30秒間浸漬して、ポリプロピレンフィルム上に置き、ついで2分間UV照射し、そしてすすいだ。
【0208】
例A−8:ベンゾフェノンを用いた、コンタクトレンズの表面官能化
lotrafilcon A コンタクトレンズの両面を、ベンゾフェノン−テトラカルボン酸ナトリウム塩(BTA−Na)の10重量%水溶液で、市販のペイントブラシを用いてスプレー塗布した。ついでレンズを1分間UV照射し、水中で3回すすぎ、そして121℃で30分間、水中でのオートクレーブ処理を実施した。表面官能化、レンズ表面の極性、及びその全体としての官能性の均一性を、スプレー塗付/UV照射のサイクルをレンズに繰り返して適用することによって改善することができた。
【0209】
例A−9:ベンゾフェノンを用いた、コンタクトレンズの表面官能化
例A−8記載の方法に従い、lotrafilcon A コンタクトレンズに、BTDAの10重量%THF、メチルエチルケトン(MEK)又はジメチルアセトアミド(DMAc)溶液を用いて、繰り返しスプレー−/UV−処理を実施した。
【0210】
例A−10〜A−13:スピン標識法及びESRスペクトル法による、コンタクトレンズのBTDA表面基の評価
例A−5〜A−9記載(オートレーブ処理を除く)に従ってアンヒドリド官能化したレンズを作製し、そしてスピン標識した4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−N−オキシド(4−アミノ−TEMPO)の1重量%アセトニトリル溶液を用いて25℃で10時間処理した。単に物理的吸着されている余分なスピン標識分子を注意深く抽出したのち、レンズをESRスペクトル法によって検査した。レンズ表面上の官能性アンヒドリド基の濃度を、レンズ1個当たりの結合ニトロキシラジカルの全ミリモル数から外挿して求めた。
【0211】
【表2】
【0212】
例A−14〜A−15:3,3′−ジアミノ−ベンゾフェノン(3,3′−DAB)及び3,4−ジアミノ−ベンゾフェノン(3,4−DAB)を用いた、コンタクトレンズの表面官能化
例A−8及びA−9で略述したように、lotrafilcon A コンタクトレンズを、塩酸3,3′−DAB(A−14)又は塩酸3,4−DAB(A−15)の5重量%水溶液を用い、スプレー塗布及びUV照射をそれぞれの場合に4サイクル繰り返して、スプレー処理/UV照射による官能化を実施した。レンズを水で注意深くすすいだあと、トリエチルアミンの10重量%アセトニトリル溶液を用いて25℃で30分間処理した。
【0213】
例B−1〜B−4:反応性光開始剤分子の表面への固定
例A−1〜A−4からのアミノ官能化したコンタクトレンズを、イソホロンジイソシアナート及び(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンから付加反応によって合成した反応性光開始剤(Darocure 2959)(合成法は、EP 0 632 329参照のこと)の1重量%アセトニトリル溶液の中に浸漬した。ついで、その溶液にトリエチルアミン(TEA)を3滴加えた。レンズ表面上のアミノ基を、光開始剤分子のイソシアナト基と12時間反応させた。この時間経過後、レンズをその反応溶液から引き上げ、3回洗浄し、そしてアセトニトリル中で8時間抽出し、減圧下で2時間乾燥させた。乾燥したレンズは、そのあと光グラフト化のために使用した。
【0214】
例B−5〜B−8:反応性光開始剤分子の表面への固定
例A−1〜A−4からのアミノ官能化したコンタクトレンズを、減圧下で恒量になるまで乾燥した。ついで、イソホロンジイソシアナート及び2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]ブタン−1−オンから付加反応によって合成した反応性光開始剤(合成法は、WO96/20796参照のこと)の1重量%アセトニトリル溶液の中に、そのレンズを直接浸漬した(溶液5mL/レンズ)。ついで、その溶液にトリエチルアミン(TEA)を3滴加えた。レンズ表面上のアミノ基を、光開始剤分子のイソシアナト基と12時間反応させた。この時間経過後、レンズをその反応溶液から引き上げ、3回洗浄し、そしてアセトニトリル中で6時間抽出し、減圧下で2時間乾燥させた。乾燥したレンズは、そのあと光グラフト化のために使用した。
【0215】
例B−9:反応性光開始剤分子の表面への固定
例B−1で略述した方法を用い、例A−15で作製した表面官能化lotrafilcon A コンタクトレンズを、反応性光開始剤の1重量%アセトニトリル溶液で処理した。乾燥したレンズを、そのあと光グラフト化のために使用した。
【0216】
例C−1:アクリルアミドテロマー(Mn2000Da)の合成
アクリルアミド71.1g(1モル)、二塩酸α,α′−アゾジイソブチルアミジン4.93g(18.2ミリモル)及び塩酸システアミン4.93g(36.4ミリモル)の水400mL中の溶液を、1000mL丸底フラスコに仕込んだ。透明で微帯黄色の溶液を塩酸の数滴でpH3の酸性にした。この酸性溶液を撹拌しながら50mbarにまで減圧し、そしてアルゴンで満たした。この操作を3回繰り返した。この溶液をアルゴンの定常流下で、1000mL三つ口丸底フラスコ、還流冷却器、温度計、磁気撹拌機、及びガラスウール充填の30cmリービッヒ冷却器からなる「フロースルー反応器」に付属している500mL滴下漏斗の中に注入した。装置全体をアルゴンの定常流で掃流した。この滴下漏斗を65℃に加熱したリービッヒ冷却器の上に設置した。このフラスコを60℃に加熱した。溶液をゆっくりと、リービッヒ冷却器を通して、撹拌しているフラスコ中に滴下した。これには2.5時間かかった。この間、フラスコ中の温度を58〜65℃に保持した。滴下完了後、溶液を60℃で2時間撹拌した。
この透明で微帯黄色の溶液に、pHが10になるまでNaOHを加えた。生成物を、1000DaカットのMilliporeカートリッジを用い、逆浸透法によって精製し、そして凍結乾燥した。明白色の固体生成物を得た(NH20.34ミリ当量/g、元素分析の硫黄価(0.33ミリ当量/g);Mn2000Da)。
【0217】
例C−2:アクリルアミドテロマー(Mn1350Da)の合成
アクリルアミド99.5g(1.46モル)、二塩酸α,α′−アゾジイソブチルアミジン1.27g(4.68ミリモル)及び塩酸システアミン15.9g(0.14モル)の水300mL中の溶液を、1000mL丸底フラスコに仕込んだ。透明で微帯黄色の溶液を塩酸(32%)の数滴でpH3の酸性にした。この酸性溶液を撹拌しながら50mbarにまで減圧し、そしてアルゴンで満たした。この操作を3回繰り返した。この溶液をアルゴンの定常流下で、1000mL三つ口丸底フラスコ、還流冷却器、温度計、磁気撹拌機、及びガラスウール充填の30cmリービッヒ冷却器からなる「フロースルー反応器」に付属している500mL滴下漏斗の中に注入した。装置全体をアルゴンの定常流で掃流した。滴下漏斗を65℃に加熱したリービッヒ冷却器の上に設置した。このフラスコを60℃に加熱した。溶液をゆっくりと、リービッヒ冷却器を通して、撹拌しているフラスコ中に滴下した。これには2時間かかった。この間、フラスコ中の温度を58〜65℃に保持した。滴下完了後、溶液を60℃で2時間撹拌した。
この透明で微帯黄色の溶液に、pHが10になるまでNaOHを加えた。生成物を、1000DaカットのMilliporeカートリッジを用い、逆浸透法によって精製し、そして18時間凍結乾燥した。明白色の固体生成物を得た(NH20.70ミリ当量/g、元素分析の硫黄価(0.73ミリ当量/g);Mn1350Da)。
【0218】
例C−3:N,N−ジメチルアクリルアミドテロマー(Mn1850Da)の合成
N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)198.2g(2モル)、二塩酸α,α′−アゾジイソブチルアミジン2.72g(10ミリモル)及び塩酸システアミン24.8g(0.22モル)の水600mL中の溶液を、2000mL丸底フラスコに仕込んだ。
透明で微帯黄色の溶液を塩酸の数滴でpH3の酸性にした。この酸性溶液を撹拌しながら50mbarにまで減圧し、そしてアルゴンで満たした。この操作を3回繰り返した。
この溶液をアルゴンの定常流下で、1000mL三つ口丸底フラスコ、還流冷却器、温度計、磁気撹拌機、及びガラスウール充填の30cmリービッヒ冷却器からなる「フロースルー反応器」に付属している1000mL滴下漏斗の中に注入した。装置全体をアルゴンの定常流で掃流した。
滴下漏斗を60℃に加熱したリービッヒ冷却器の上に設置した。このフラスコも60℃に加熱した。溶液をゆっくりと、リービッヒ冷却器を通して、撹拌しているフラスコ中に滴下した。これには2.5時間かかった。この間、フラスコ中の温度を58〜65℃に保持した。滴下完了後、溶液を60℃で2時間撹拌した。
この透明で微帯黄色の溶液に、pHが10になるまでNaOH30%溶液を加えた。生成物を、1000DaカットのMilliporeカートリッジを用い、逆浸透法によって精製し、そして凍結乾燥した。明白色の固体生成物を得た。アミノ基の濃度を、官能基滴定によって測定した(0.54ミリ当量/g)。Mn〜1850g/モル。
【0219】
例D−1:IEM官能化アクリルアミドテロマー溶液の調製
例C−2で作製したアミノ末端基含有アクリルアミドテロマー(アミン滴定=0.70ミリ当量/g)7.5gを、HPLC水80mLに溶解した。そのあと、その溶液中にアルゴンを約30分間通気した。ついでこの混合物を、イソシアナトエチルメタクリラート(IEM、イソシアナート滴定=6.45ミリ当量/g)の等モル量(0.81g)に撹拌しながら加えた。そのあと混合物全体をアルゴン気流下で12時間撹拌した。その溶液にNaClを0.8g添加し、そして10分間撹拌したあと、混合物を0.45μmのテフロンフィルターでろ過し、酸素を除去するために繰り返し(3回)の減圧及びアルゴン通気で脱気し、そして光グラフト化のために使用した。
【0220】
例D−2:IEM官能化DMAテロマー溶液の調製
例C−3からのアミノ末端基含有DMAテロマー(アミン滴定=0.54ミリ当量/g)15gを、HPLC水100mLに溶解した。そのあと、その溶液中にアルゴンを約30分間通気した。ついでこの混合物を、IEM(イソシアナート滴定=6.45ミリ当量/g)の等モル量(1.25g)に撹拌しながら加えた。そのあと混合物全体をアルゴン気流下で12時間撹拌した。その溶液にNaClを1.0g添加し、そして10分間撹拌したあと、混合物を0.45μmのテフロンフィルターでろ過し、酸素を除去するために窒素で脱気し、そして光グラフト化のために使用した。
【0221】
例E−1〜E−4:コンタクトレンズ表面上へのIEM官能化アクリルアミドテロマーの光グラフト化
例D−1からのIEM官能化アクリルアミドテロマー溶液1mLを、グローブボックス中のそれぞれ約2mL容積の小ペトリ皿に入れた。ついで、表面に共有結合している光開始剤分子を有する、例B−1〜B−4からの乾燥レンズを、それぞれ該ペトリ皿の中の置き、そしてレンズ全体を溶液で覆うためレンズ上に脱気した溶液0.5mLを追加的に加えた。10分後、溶液に浸したレンズが入っているペトリ皿を、14.5mW/cm2 の紫外光に約1.5分間曝した。
そのあと、改質されたレンズを溶液から引き上げ、蒸留水で2回洗浄し、超純水中で16時間連続的に抽出し、121℃で30分間オートクレーブ処理し、そしてAFM、ATR−FTIR及び接触角測定により解析した。
【0222】
【表3】
【0223】
例E−5:周囲環境条件下における、コンタクトレンズ表面上へのIEM官能化アクリルアミドテロマーの光グラフト化
層流フードの中で、例D−1からのIEM官能化アクリルアミドテロマー溶液1mLを、約2mL容積の小ペトリ皿に入れた。ついで、表面に共有結合した光開始剤分子を有する、例B−1からの乾燥レンズをこの溶液中に置き、そしてレンズ全体を溶液で覆うためレンズ上に脱気した溶液0.5mLを追加的に加えた。10分後、溶液に浸したレンズの入っているペトリ皿を、2.05mW/cm2 の紫外光(MACAM−UVランプ)に2.5分間曝した。そのあと、改質されたレンズを溶液から引き上げ、蒸留水で2回洗浄し、超純水中で16時間連続的に抽出し、そしてAFM、ATR−FTIR及び接触角測定により解析した。
コーティングの厚みは、AFMで測定して350〜400nmの範囲にあった。改質レンズ表面の水/空気接触角は、0°(前進)、0°(後退)、0°(ヒステリシス)であった。比較として、非改質レンズの接触角は、101°(前進)、64°(後退)、37°(ヒステリシス)であった。レンズは、表面上の連続水層を1分間を超えて保持していた。
【0224】
例E−6:コンタクトレンズ表面上への、IEM官能化DMAテロマーの光グラフト化
例D−2からの、IEM官能化N,N−ジメチルアクリルアミドテロマー溶液1mLを、グローブボックス中の約2mL容積の小ペトリ皿に入れた。ついで、表面に共有結合した光開始剤分子を有する、例B−1からの乾燥レンズをその溶液中に置き、そしてレンズ全体を溶液で覆うためレンズ上に脱気した溶液0.5mLを追加的に加えた。10分後、溶液に浸したレンズの入っているペトリ皿を、14.5mW/cm2 の紫外光に約1.5分間曝した。ついでレンズを裏返し、追加の1.5分間、14.5mW/cm2 の紫外光を適用して曝露を繰り返した。
改質されたレンズを溶液から引き上げ、蒸留水で2回洗浄し、超純水中で16時間連続的に抽出し、そしてAFM、ATR−FTIR及び接触角測定により解析した。
コーティングの厚みは、AFMで測定して400〜450nmの範囲にあった。改質レンズ表面の水/空気接触角は、14°(前進)、9°(後退)、5°(ヒステリシス)であった。比較として、非改質レンズの接触角は、101°(前進)、64°(後退)、37°(ヒステリシス)であった。
【0225】
例E−7:コンタクトレンズ表面上への、IEM官能化アクリルアミドテロマーの光グラフト化
例D−1のポリアクリルアミドマクロモノマーを用いて、例E−1記載の方法に従い、例B−9のコンタクトレンズに水溶液中で光グラフト化を施した。レンズの動的接触角は、0°(前進)/0°(後退)であった。
Claims (13)
- 材料表面をコーティングするための方法であって、
(a)材料の表面に、式:
R29は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ヒドロキシ、スルホ、ニトロ、トリフルオロメチル又はハロゲンであり、
gは、0〜2の整数であり、
L1は、カルベン、ニトレン又はベンズヒドロール形成のための反応開始性前駆体として機能する基であり、
L2は、アミノ、C1〜C4−アルキルアミノ、ヒドロキシ、グリシジル、カルボキシ若しくはその誘導体、イソシアナト若しくはイソチオシアナトであるか、又は式:
L2及びR29は、一緒になってアンヒドリド基:
L2′は、アミノ、C1〜C4−アルキルアミノ、ヒドロキシ、カルボキシ若しくはその誘導体、イソシアナト、イソチオシアナト、−O−グリシジル、又は−O−C(O)−(CH2)h1−X2(ここでh1が1〜4であり、そしてX2がカルボキシ若しくはその誘導体である)であり;
L3は、−NH−、−NC1〜C6−アルキル−、−O−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−NHC(O)NH−、−NHC(O)O−又は−OC(O)NH−であり、
(スペーサー)は、直鎖状又は分枝状のC1〜C200−アルキレンであって、ヒドロキシにより置換及び/又は−O−により中断(C1−アルキル以外)されていてよく、あるいはC3〜C8−シクロアルキレン、C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C6−アルキレン、C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C2−アルキレン−C3〜C8−シクロアルキレン又はC1〜C6−アルキレン−C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C6−アルキレンであり、そして
hは0又は1の数である〕
の化合物を塗布する工程;
(b)光線を用いて式(1)の化合物を材料表面上に固定させる工程;
(c)このようにして改質した表面を、L2又はL2′に対して共反応性のある官能基を有する官能性重合開始剤と反応させる工程;そして
(d)工程(c)に従って得られたバルク材料の表面に、1種又はそれ以上の異なるエチレン性不飽和親水性モノマー又はマクロモノマーを塗布し、そして該モノマー又はマクロモノマーを重合させ、これによってその材料表面上に表面コーティングを付与する工程;
を含む方法。 - 光線が、UV又は可視光である、請求項1記載の方法。
- 材料表面が、生物医学装置、特にコンタクトレンズ、眼内レンズ又は人工角膜の表面である、請求項1又は2記載の方法。
- L1がアジド基:−N3であり、gが0又は1であり、R29がメチル、メトキシ、ヒドロキシ又はニトロであり、そしてL2がアミノ、カルボキシ、カルボキシ誘導体、イソシアナト、イソチオシアナト、又は式:−L3−(スペーサー)−L2′〔式中、L3が−NH−、−C(O)O−又は−C(O)NH−であり、(スペーサー)が直鎖状C2〜C12−アルキレン又は−(C2〜C3−アルキレン)−O−(CH2CH2O)18 〜 160−(C2〜C3−アルキレン)−であり、そしてL2′がカルボキシ、カルボキシ誘導体又は基:−O−C(O)−(CH2)2−X2(ここで、X2がカルボキシ又はカルボキシ誘導体である)である〕の基である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- 工程(b)の重合開始剤が、式:
ただし、R15がHの場合にはb1及びb2はそれぞれ0であること;(b1+b2+b3)の合計が2を超えないこと;そしてR12が直接結合の場合にはaは0であること、を条件とする〕
の光開始剤である、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。 - 工程(c)において、式:
R32は、水素、C1〜C6−アルキル又は−COOR′であり;
R、R′及びR32′は、互いに独立して水素又はC1〜C6−アルキルであり;
Aは、直接結合であるか、又は式:
A及びR32は、隣接する二重結合と一緒になって、式:
A1は、非置換又はヒドロキシにより置換された−O−C2〜C12−アルキレンであるか、あるいは−O−C2〜C12−アルキレン−NH−C(O)−、−O−C2〜C12−アルキレン−O−C(O)−NH−R33−NH−C(O)−又は−NH−(Alk*)−C(O)−(ここで(Alk*)はC1〜C6−アルキレンであり、R33は直鎖状又は分枝状のC1〜C18−アルキレン、あるいは非置換又はC1〜C4−アルキル−若しくはC1〜C4−アルコキシ置換C6〜C10−アリーレン、C7〜C18−アラルキレン、C6〜C10−アリーレン−C1〜C2−アルキレン−C6〜C10−アリーレン、C3〜C8−シクロアルキレン、C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C6−アルキレン、C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C2−アルキレン−C3〜C8−シクロアルキレン、又はC1〜C6−アルキレン−C3〜C8−シクロアルキレン−C1〜C6−アルキレンである)であり;
A2は、C1〜C8−アルキレン、フェニレン又はベンジレンであり;
m及びnは、互いに独立して0又は1の数であり;
X、X1及びX′は、互いに独立して2価の基:−O−又は−NR″(ここでR″は水素又はC1〜C6−アルキルである)であり;
(alk*)は、C2〜C12−アルキレンであり;そして
(オリゴマー)は、
(i)式:
(alk)は、C2〜C12−アルキレンであり、
Qは、重合の連鎖反応停止剤として作用するに適した1価の基であり、
p及びqは、互いに独立して0〜350の整数であって、ここで(p+q)の合計が2〜350の整数であり、そして
B及びB′は、互いに独立して、共重合可能なビニルモノマーからビニルの二重結合を単結合に置き換えることによって誘導される1,2−エチレン基であって、B及びB′基の少なくとも1つが親水性置換基によって置換されている)
のテロマーの基;
(ii)式:
のオリゴマーの基;
(iii)式:
の基;
(iv)式:
のオリゴマーの基;
(v)式:
のオリゴペプチドの基であるか、又はプロリン若しくはヒドロキシプロリンに基づくオリゴペプチドの基;
(vi)式:
のポリアルキレンオキシドの基;あるいは
(vii)オリゴサッカリドの基;
を意味するが、ただし、
Aは、(オリゴマー)が式(6a)の基である場合は、直接結合でなく;
Aは、(オリゴマー)が式(6b)、(6c)、(6d)若しくは(6e)基であるか、又はオリゴサッカリドの基である場合は、式(5a)、(5b)若しくは(5d)の基であるか、又はA及びR32が隣接する二重結合と一緒になって式(5f)の基であり;
Aは、(オリゴマー)が式(6b′)の基である場合は、直接結合であり;そして
Aは、(オリゴマー)が式(6d′)の基である場合は、式(5c)若しくは(5e)の基である、
ことを条件とする〕
のマクロモノマーを塗布する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。 - Rが水素又はメチルであり、R32及びR32′がそれぞれ水素であり、Aが式(5a)の基であり、そして(オリゴマー)が式(6a)の基である、請求項8記載の方法。
- (オリゴマー)が式:
の基である、請求項8又は9記載の方法。 - (a)材料の表面に、式:
の化合物を塗布する工程;
(b)光線を用いて式(1)の化合物を材料表面上に固定させる工程
(c)このようにして改質した表面を、L2に対して共反応性のある官能基を有する官能性重合開始剤と反応させる工程;そして
(d)式:
の親水性マクロモノマーを、工程(b)により得られるバルク材料の表面に塗布し、そして該マクロモノマーを重合させ、これによりその材料表面上に表面コーティングを付与する工程、
を含む、請求項1記載の方法。 - 材料表面が、生物医学装置、特にコンタクトレンズ、眼内レンズ又は人工角膜の表面である、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
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