JP2004507580A - 基材を表面改質する方法、及びそれから得られる改質された基材 - Google Patents
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Abstract
Description
発明の分野
本発明は一般に、基材、例えばコンタクトレンズ及び他の生物医学的製品の表面を、反応性ポリマー連結層によってそのような基材の表面を少なくとも部分的に被覆することによって改質する方法に関する。
【0002】
発明の背景
生物医学的用途で使用される多くのデバイスは、そのデバイスの本体が1つの性質を有し、そのデバイスの表面が異なる性質を有することを要する。例えば、コンタクトレンズは、良好な角膜の健康を維持するため、レンズの本体を通して比較的高い酸素透過性を要することがある。しかし、異例に高い酸素透過性を示す材料(例えばポリシロキサン類)は通常、疎水性であり、処理又は表面改質されていない状態では、眼に付着する。したがって、コンタクトレンズは一般に、酸素透過性及び疎水性が高いコア本体材料(bulk material)と、親水性を高めるための処理又は被覆を施された表面とを有する。この親水性表面が、過度な量の涙脂質及びタンパク質を付着させることなく、レンズが眼の上で比較的自由に動くことを可能にする。
【0003】
比較的疎水性のコンタクトレンズ材料の親水性を改変するための公知の方法は、プラズマ処理の使用による方法である。プラズマ処理技術は、例えば、NicolsonらのPCT公開WO96/31793、ChabrecekらのWO99/57581及びChatelierらのWO94/06485に開示されている。Chabrecekらの出願では、物品を、その表面に官能基を与えるプラズマ処理に付した後、光開始剤分子をその製品の表面に共有結合させている。そして、改質された表面に重合性マクロモノマーの層を被着させ、熱又は放射線を加えてマクロマーをグラフト重合させて親水性表面を形成する。
【0004】
しかし、プラズマ処理法は、プラズマ処理設備にかなりの設備投資を要する。そのうえ、プラズマ処理は真空で実施されるが、そのため、プラズマへの暴露の前に基材がほぼ乾いていることを要する。したがって、直前の水和又は抽出工程のために湿潤している基材、例えばコンタクトレンズを乾燥させなければならず、それにより、設備費用及び製造費がさらに増す。プラズマ処理に必要な条件の結果として、自動化された製造法へのプラズマ処理法の包含は困難を極める。
【0005】
ポリマー生体材料、例えばコンタクトレンズの表面特性を永久的に改変する他の方法が開発されている。これらの技術のいくつかは、ラングミュア・ブロジェット被着、制御式スピンキャスト、化学吸着及び蒸着を含む。ラングミュア・ブロジェット層系の例が、米国特許第4,941,997号、第4,973,429号及び第5,068,318号に開示されている。プラズマ処理と同様、これらの技術は、生物医学的デバイス、例えばコンタクトレンズを製造するための自動化された製造法に容易に組み込むことができる経済的な方法ではない。
【0006】
基材を被覆するために開発されたより最近の技術が、例えばWintertonらのWO99/35520に記載されている、「不活性」材料への高分子イオン性化合物の吸収に関する一層ずつの(LbL)ポリマー吸収法である。
【0007】
発明の概要
従来技術の欠点のいくつかは、基材、例えばコンタクトレンズ及び他の生物医学的製品の表面を、反応性連結層(tie layer)によってそのような基材の表面を少なくとも部分的に被覆することにより改質する方法に関する本発明によって解消される。高分子電解質層として、一般に基材表面に被着される反応性ポリマー連結層は、例えばさらなる親水性ポリマー被覆の付着のための反応性サイトを提供する。換言するならば、ポリマー連結層は、ポリアニオン及び/又はポリカチオンでの被覆による表面の官能化によって、基材表面に活性部分を作り出す。そして、この部分を種々の薬剤と反応させることにより、これらの活性部分に対してさらなる化学反応、例えば縮合反応、ラジカル開始重合反応などを実施することができる。種々の方法を使用してポリマー連結層の反応性部分を基材表面に付着させることができる。反応性サイトを作り出すためのそのような方法の1つは、まずポリアニオン層、次にポリカチオン層の連続的な浸漬、吹付け又は他の塗布を利用する一層ずつの被覆塗布である。この連続的な塗布法によってさらなる高分子電解質層を塗布してもよい。本発明に適用しうるもう1つの方法は、ポリカチオン性物質及びポリアニオン性物質を単一の溶液の中に含有する二成分溶液を利用する単一浸漬法である。
【0008】
このようなポリマー連結層被覆法で使用することができる種々の高分子電解質には、ポリアクリル酸及びポリ(アリルアミン塩酸塩)がある。例えば、ポリアクリル酸被覆は表面にカルボキシル官能基(−COOH)を提供し、ポリ(アリルアミン塩酸塩)被覆は表面にアミノ官能基(−NH2)を提供する。そして、これらの反応性基をさらなる所望の分子又は化合物、例えば官能性モノマーとさらに反応させることができる。
【0009】
したがって、本発明は、1つの態様において、材料表面を被覆する方法であって、
(a)高分子イオン性物質を含む連結層を材料表面に塗布する工程、
(b)エチレン性不飽和二重結合を含む二官能性化合物を、連結層に共有結合させる工程、及び
(c)エチレン性不飽和二重結合を含む化合物に、親水性モノマーをグラフト重合させる工程、及び
を含む方法に関する。
【0010】
代表的な実施態様の詳細な説明
ここでは、本発明の実施態様について詳細に言及し、その1つ以上の例を以下に記す。各例は、本発明を説明するために提供するものであり、本発明を限定するためのものではない。事実、本発明の範囲又は本質を逸することなく種々の改変及び変更を本発明に加えうることが当業者には自明であろう。例えば、1つの実施態様の一部として例示又は記載する特徴を、別の実施態様で使用してさらなる実施態様を生み出すこともできる。したがって、本発明は、請求の範囲及びその均等物に該当するような改変及び変更も包含することを意図する。本発明の他の目的、特徴及び態様は、以下の詳細な説明に開示されているか、以下の詳細な説明から明らかになる。本記載が例示的な実施態様の説明にすぎず、本発明のより広義な態様を限定するものとして解釈されないということが当業者によって理解されよう。
【0011】
本発明は一般に、基材表面を種々の高分子イオン性官能基で被覆する方法による基材表面の改質に関する。ポリカチオン性及び/又はポリアニオン性官能基は、従来の又は従来にない化学反応又は結合機構によって種々の他の化学物質を結合させることができる反応性サイトを提供する。
【0012】
本発明によると、高分子イオン性物質を基材に被着させて、さらなる活性薬剤をそれに結合させることができるよう、官能基をその上に有するポリマー連結層を形成するために使用することができる被覆法が提供される。1つの実施態様では、例えば、本発明の方法は、二成分高分子イオン性溶液を生体材料基材、例えばコンタクトレンズに被着させることを可能にする。
【0013】
本発明によると、基材を被覆するのに、高分子イオン性溶液が使用される。一般に、高分子イオン性溶液は、少なくとも1種のポリカチオン性物質と、少なくとも1種のポリアニオン性物質とを含むが、各高分子イオン性物質2種以上を使用することもできる。1つの実施態様では、例えば、高分子イオン性溶液は、ポリカチオン及びポリアニオンを含有する二成分溶液である。
【0014】
典型的には、本発明のポリカチオン性物質は、当該技術において、正の電荷を有する複数の基をポリマー鎖に沿って有することが知られている物質、例えばポリ(アリルアミン塩酸塩)を含むことができる。同様に、一般に本発明のポリアニオン性物質には、当該技術において、負の電荷を有する複数の基をポリマー鎖に沿って有することが知られている物質、例えばポリアクリル酸を含むことができる。
【0015】
本発明の1つの実施態様によると、ポリカチオン性物質をポリアニオン性物質と組み合わせて「単一浸漬」高分子イオン性溶液を形成する。一般に、高分子イオン性成分は、成分の1つが反対の電荷の別の成分よりも多量に溶液中に存在するような非化学量論的量で加えられる。特に、本明細書で定義するモル電荷比は約3:1〜約100:1であることができる。特定の実施態様では、モル電荷比は10:1(ポリアニオン:ポリカチオン)である。
【0016】
高分子イオン性成分の層を基材に被覆することができる。例えば、1つの実施態様では、基材を溶液に浸漬すると、ポリアニオン−ポリカチオン−ポリアニオンの交互繰り返し層が組み立てられる。本発明の高分子イオン性溶液は、高分子イオン性成分を含有する他に、種々の他の物質を含有することもできる。例えば、高分子イオン性溶液は、抗微生物剤、抗菌剤、放射線吸収剤、細胞増殖抑制剤などを含有することができる。
【0017】
他の実施態様では、基材を、別々の電荷を有する高分子イオン性溶液に順次に浸漬することができる。これらの実施態様では、ポリカチオン性物質の溶液が第一段階浸漬であり、ポリアニオン性物質の溶液が第二段階浸漬であってもよい(又はその逆でもよい)。さらなる高分子イオン性物質を使用してもよい。
【0018】
一般に、本発明の表面改質されたデバイスは、種々の材料から製造することができる。適切な基材の例は、石英、セラミック、ガラス、ケイ酸塩材料、シリカゲル、金属、金属酸化物、炭素材料、例えば黒鉛又はガラス状炭素、天然若しくは合成有機ポリマー又は当該材料の積層体、複合体若しくはブレンド、例えば周知の天然若しくは合成有機ポリマー又は変性バイオポリマーを含む。ポリマーの例は、重付加及び重縮合ポリマー(ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド及びポリイミド)、ビニルポリマー(ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレン、ポリエチレン及びそれらのハロゲン化誘導体、ポリ塩化ビニル並びにポリアクリロニトリル)又はエラストマー(シリコーン、ポリブタジエン及びポリイソプレン)を含む。
【0019】
本発明の基材を形成することができる本体材料の具体的な群は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリメタクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリシロキサン、ぺルフルオロアルキルポリエーテル、フッ素化ポリアクリレート若しくはメタクリレート、並びに少なくとも1個の疎水性セグメント(例えばポリシロキサン若しくはぺルフルオロアルキルポリエーテルセグメント又は混合ポリシロキサン/ぺルフルオロアルキルポリエーテルセグメント)と少なくとも1個の親水性セグメント(例えばポリオキサゾリン、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル又はポリメタクリル酸セグメント)とを含む両親媒性セグメントコポリマー又は基礎のモノマー2種以上のコポリマー混合物から選択される有機ポリマーを含む。
【0020】
被覆される材料の好ましい群は、そのものは親水性ではない生物医学的デバイス、例えばコンタクトレンズ、特に長期間装用のためのコンタクトレンズの製造に従来から使用されている材料である。そのような材料は当業者に公知であり、例えば、ポリシロキサン、ぺルフルオロアルキルポリエーテル、フッ素化ポリ(メタ)アクリレート若しくは例えば他の重合性カルボン酸から誘導される同等のフッ素化ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート若しくは他の重合性カルボン酸から誘導される同等のアルキルエステルポリマー、又はフッ素化ポリオレフィン、例えばフッ素化エチレン若しくはプロピレン、例えば好ましくは特定のジオキソール(例えばペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)と組み合わされたテトラフルオロエチレンを含むことができる。適当な本体材料の例は、例えばLotrafilcon A、Neofocon、Pasifocon、Telefocon、Silafocon、Fluorsilfocon、Paflufocon、Silafocon、Elastofilcon、Fluorofocon又はTeflon AF材料、例えば、ぺルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール約63〜73モル%とテトラフルオロエチレン約37〜27モル%とのコポリマーであるTeflon AF 1600又はぺルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール約80〜90モル%とテトラフルオロエチレン約20〜10モル%とのコポリマーであるTeflon AF 2400である。
【0021】
被覆するのに好ましい材料のもう1つの群は、結合又は架橋員を介して連結された、少なくとも1個の疎水性セグメント及び少なくとも1個の親水性セグメントを含む、両親媒性セグメントコポリマーである。例は、シリコーンヒドロゲル、例えば、NicolsonらのPCT出願WO96/31792及びHirtらのWO97/49740に開示されているものである。
【0022】
本体材料の特に好ましい群は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリメタクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリシロキサン、ぺルフルオロアルキルポリエーテル、フッ素化ポリアクリレート若しくはメタクリレート、並びに少なくとも1つの疎水性セグメント(例えばポリシロキサン若しくはぺルフルオロアルキルポリエーテルセグメント又は混合ポリシロキサン/ぺルフルオロアルキルポリエーテルセグメント)と少なくとも1個の親水性セグメント(例えばポリオキサゾリン、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル又はポリメタクリル酸セグメント)とを含む両親媒性セグメントコポリマー又は基礎のモノマー2種以上のコポリマー混合物から選択される有機ポリマーを含む。
【0023】
被覆される材料はまた、腎臓透析膜、血液貯蔵袋、ペースメーカリード又は血管移植片の製造のために従来から使用されている血液と接する材料であることもできる。例えば、表面を改質される材料は、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、Dacron(商標)若しくはSilastic(商標)タイプのポリマー又はそれらから製造される複合材料であることができる。
【0024】
さらに、被覆される材料はまた、適切な反応性基をもたない無機又は金属ベースの基材、例えばセラミック、石英又は金属、例えばシリコン若しくは金あるいは他のポリマー若しくは非ポリマー基材であることができる。例えば移植可能な生物医学的用途には、セラミックが非常に有用である。加えて、例えばバイオセンサ目的の場合、親水性に被覆された基材が、その被覆の構造が十分に制御された場合には、非特異的結合作用を軽減するものと予想される。バイオセンサは、金、石英又は他の非ポリマー基材上に特定の炭水化物被覆を要することがある。
【0025】
被覆される材料の形態は、広い範囲で異なることができる。例は、粒子、顆粒、カプセル、繊維、管、フィルム又は膜、好ましくはすべての種類の成形物、例えば眼科用成形物、例えば眼内レンズ、人工角膜又は特にコンタクトレンズである。
【0026】
本発明のポリマー連結層を形成するために使用することができる適切な物質は、種々の高分子イオン性物質を含む。そのような適切な層の1つは、反対の電荷を有する第一及び第二のイオンポリマーから形成することができる。「第一のイオンポリマー」とは、はじめに製品表面に塗布されるポリマーを指し、「第二のイオンポリマー」とは、第一のイオンポリマーですでに改質されている製品表面に塗布されるポリマーを指す。本体材料は、1つ以上のそのようなポリマー層を連結層として含むことができる。例えば、同じ又は異なるイオンポリマーをそれぞれ含有する1〜50の層、1〜25の層、1〜20の層、1〜10の層、1〜5の層又は唯一の層を使用して連結層を形成することができる。
【0027】
さらに、不完全な連結層が形成されるよう、処理される製品に対して部分的な連結層範囲しか有しないことが望ましいことがある。これは、製品の片側だけを表面改質しなければならない場合や、例えばコンタクトレンズの二面が2つの異なる被覆(レンズ前面用の被覆とレンズの角膜側用の被覆)を有することが望ましい場合に特に役立つであろう。
【0028】
本連結層で使用することができる高分子イオン性物質は、ポリアニオン性及びポリカチオン性ポリマーを含む。適切なアニオン性ポリマーの例は、例えば、合成ポリマー、カルボキシ、スルホ、スルファト、ホスホノ若しくはホスファト基又はそれらの混合物若しくはそれらの塩(例えば、被覆される基材が眼科用装置である場合には生物医学的に許容しうるそれらの塩、特に眼科的に許容しうるそれらの塩)を含むバイオポリマー又は変性バイオポリマーを含む。
【0029】
合成アニオン性ポリマーの例は、直鎖状ポリアクリル酸(PAA)、分岐鎖状ポリアクリル酸、例えばGoodrich社のCarbophil(登録商標)又はCarbopol(登録商標)タイプ、ポリメタクリル酸(PMA)、ポリアクリル酸若しくはポリメタクリル酸コポリマー、例えばアクリル若しくはメタクリル酸とさらなるビニルモノマー(例えばアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド若しくはN−ビニルピロリドン)とのコポリマー、マレイン酸若しくはフマル酸のコポリマー、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSS)、ポリアミド酸(例えばジアミンとジ若しくはポリカルボン酸とのカルボキシ末端ポリマー、具体例としてはカルボキシ末端Starburst(商標)PAMAMデンドリマー(Aldrich)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)(ポリ−(AMPS))又はポリリン酸アルキレン、ポリホスホン酸アルキレン、炭水化物のポリリン酸エステル又は炭水化物のポリホスホン酸エステル、例えばテイコ酸である。
【0030】
アニオン性バイオポリマー又は変性バイオポリマーの例は、ヒアルロン酸、グリコサミノグリカン、例えばヘパリン若しくはコンドロイチン硫酸、フコイダン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、アルギネート、ペクチン、ゲラン、カルボキシアルキルキチン、カルボキシメチルキトサン、硫酸化多糖類である。
【0031】
好ましいアニオン性ポリマーは、直鎖状又は分岐鎖状のポリアクリル酸又はアクリル酸のコポリマーである。より好ましいアニオン性ポリマーは、直鎖状又は分岐鎖状のポリアクリル酸である。これに関連して「分岐鎖状ポリアクリル酸」とは、適量(少量)のジ又はポリビニル化合物の存在でアクリル酸を重合させることによって得ることができるポリアクリル酸をいうものと理解される。
【0032】
二重層(bilayer)の一部として適切なカチオン性ポリマーは、例えば、第一級、第二級若しくは第三級アミノ基又はそれらの適切な塩、好ましくは眼科的に許容しうるそれらの塩、例えばヒドロハロゲン化物、例えばそれらの塩酸塩を主鎖中に又は置換基として含む合成ポリマー、バイオポリマー又は変性バイオポリマーである。第一級若しくは第二級アミノ基又はそれらの塩を含むカチオン性ポリマーが好ましい。
【0033】
合成カチオン性ポリマーの例は、
(i)場合によっては改質剤単位を含むポリアリルアミン(PAH)ホモポリマー又はコポリマー、
(ii)ポリエチレンイミン(PEI)、
(iii)場合によっては改質剤単位を含むポリビニルアミンホモポリマー又はコポリマー、
(iv)ポリ(ビニルベンジル−トリC1〜C4アルキルアンモニウム塩)、例えばポリ(ビニルベンジル−トリメチルアンモニウムクロリド)、
(v)脂肪族又はアリール脂肪族ジハロゲン化物と脂肪族N,N,N′,N′−テトラC1〜C4アルキル−アルキレンジアミンとのポリマー、例えば(a)プロピレン−1,3−ジクロリド若しくはジブロミド又はp−キシレンジクロリド若しくはジブロミドと(b)N,N,N′,N′−テトラメチル−1,4−テトラメチレンジアミンとのポリマー、
(vi)ポリ(ビニルピリジン)又はポリ(ビニルピリジニウム塩)ホモ又はコポリマー、
(vii)式
【0034】
【化2】
【0035】
(式中、R2及びR2′は、それぞれ独立して、C1〜C4アルキル、特にメチルであり、An−は、例えばハロゲン化物イオン、例えば塩化物アニオンである)
の単位を含むポリ(N,N−ジアリル−N,N−ジ−C1〜C4アルキル−アンモニウムハライド)、
(viii)第四級化ジ−C1〜C4アルキルアミノエチルアクリレート又はメタクリレートのホモ又はコポリマー、例えばポリ(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルプロピルトリ−C1〜C2アルキルアンモニウム塩)ホモポリマー、例えばポリ(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)又は第四級化ポリ(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート又は第四級化ポリ(ビニルピロリドン−co−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、
(ix)EP−A−456,467に開示されているPOLYQUAD(登録商標)、あるいは
(x)ポリアミノアミド(PAMAM)、例えば直鎖状PAMAM又はPAMAMデンドリマー、例えばアミノ末端Starburst(商標)PAMAMデンドリマー(Aldrich)
である。
【0036】
上述したポリマーは、別段指定されていないならば、いずれも、遊離アミン、その適切な塩、例えば生物医学的に許容しうるその塩、特に眼科的に許容しうるその塩並びに第四級化形態を含む。
【0037】
場合によっては上記(i)、(iii)、(vi)又は(viii)のポリマーに組み込まれる適切なコモノマーは、例えば、親水性モノマー、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドンなどである。
【0038】
ポリアリルアミン(i)の適切な改質剤単位は、例えばWO00/31150から公知であり、例えば、式(1):
【0039】
【化3】
【0040】
(式中、Lは、ヒドロキシ、C2〜C5アルカノイルオキシ及びC2〜C5アルキルアミノカルボニルオキシからなる群より選択される、2個以上の同じ又は異なる置換基によって置換されているC2〜C6アルキルである)
の単位を含む。
【0041】
アルキル基Lの好ましい置換基は、ヒドロキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、メチルアミノカルボニルオキシ又はエチルアミノカルボニルオキシ、特にヒドロキシ、アセチルオキシ又はプロピオニルオキシ、特にヒドロキシである。
【0042】
Lは、それぞれ上記のように置換されている、好ましくは直鎖状C3〜C6アルキル、より好ましくは直鎖状C4〜C5アルキル、最も好ましくはn−ペンチルである。特に好ましい基Lは、1,2,3,4,5−ペンタヒドロキシ−n−ペンチルである。
【0043】
本発明の連結層で使用することができるカチオン性バイオポリマー又は変性バイオポリマーの例は、塩基性ペプチド、タンパク質又は糖タンパク質、例えばポリ−ε−リシン、アルブミン若しくはコラーゲン、アミノアルキル化多糖類、例えばキトサン又はアミノデキストランを含む。
【0044】
本発明の本体材料に付着するポリマー連結層を形成するための具体的なカチオン性ポリマーは、ポリアリルアミンホモポリマー、上記式(1)の改質剤単位を含むポリアリルアミン、ポリビニルアミンホモポリマー若しくはコポリマー、又はポリエチレンイミンホモポリマー、特にポリアリルアミン若しくはポリエチレンイミンのホモポリマー、又はポリ(ビニルアミン−co−アクリルアミド)コポリマーを含む。
【0045】
連結層又はその一部を形成する溶液は、高分子イオン性物質に加えて、添加剤を含有することができる。本明細書で使用する「添加剤」は一般に、いかなる薬品又は物質をも包含することができる。例えば、特に生物医学的用途で使用される場合、活性剤、例えば抗微生物剤及び/又は抗菌剤を連結層形成溶液に加えることができる。いくつかの抗微生物性高分子イオン性物質は、ポリ第四級アンモニウム化合物、例えばGreenらの米国特許第3,931,319号に記載されているもの(例えばPOLYQUAD(登録商標))を含む。
【0046】
そのうえ、連結層形成溶液に加えることができる物質の他の例は、眼科用レンズに有用な高分子イオン性物質、例えば放射線吸収性を有する材料である。このような材料は、例えば、可視的着色剤、虹彩色改変染料及び紫外線(UV)着色染料を含むことができる。
【0047】
連結層形成溶液に加えることができる物質のさらに別の例は、細胞増殖を抑制又は誘発する高分子イオン性物質である。細胞増殖抑制剤は、ヒト組織に長期間さらされるが最終的には取り除かれることになる、デバイス(例えば、細胞の過剰な増殖が望ましくないカテーテル又は眼内レンズ(IOL))で有用であることができ、細胞増殖誘発高分子イオン性物質は、永久的なインプラントデバイス(例えば人工角膜)で有用であることができる。
【0048】
添加剤が連結層形成溶液に適用される場合、そのような添加剤は電荷を有することが好ましい。正又は負の電荷を有することにより、添加剤は、溶液中の高分子イオン性物質の1つの代りとして同じモル比で使用することができる。例えば、一般にポリ第四級アンモニウム化合物は、正の電荷を有する。そのため、これらの化合物は、ポリカチオン性成分の代わりとして本発明の溶液に使用することができ、添加剤は、ポリカチオン性成分が塗布されるのと同様な方法で基材に塗布される。
【0049】
しかし、帯電していない添加剤を本発明の基材物質に塗布することもできることが理解されるべきである。例えば、1つの実施態様では、ポリカチオン性層をまず基材に塗布することができる。その後、非帯電添加剤を塗布し、その上に塗布されるポリアニオン性物質によって、すぐに包み込むことができる。この実施態様では、ポリアニオン性物質は、高分子イオン性物質の2つ以上の層の間に帯電していない添加剤を十分に包み込むことができる。そのような包み込み後、本発明にしたがって、基材物質を他の高分子イオン性物質の層で被覆することができる。
【0050】
上記で論じたように、連結層形成溶液は一般に、高分子イオン性物質及び種々の他の薬剤から形成することができる。1つの実施態様では、連結層形成溶液はカチオン性又はアニオン性いずれかの材料を含有する単一成分系であり、連続的な塗布に使用される。もう1つの実施態様では、連結層形成溶液は、少なくとも1種のポリカチオン性物質及び1種のポリアニオン性物質を含む、単一塗布用の二成分溶液であることができる。他の実施態様では、連結層形成溶液は、3種以上の高分子イオン性物質の成分、例えば3、4、5又はより多種の成分を含むことができる。
【0051】
連結層を形成する単一塗布用の二成分溶液中に存在する高分子イオン性成分の数にかかわらず、非化学量論的な溶液を形成することができるよう、典型的には、溶液の高分子イオン性成分の1種が別の成分よりも多量に存在することが望ましい。例えば、ポリアニオン/ポリカチオン二成分溶液が形成される場合、成分のいずれか一方が他方の成分よりも多量に存在することができる。そのような方法で高分子イオン性物質から溶液を形成することにより、一回の浸漬で基材を連結層溶液で適切に被覆することができる。
【0052】
連結層を形成する単一塗布用二成分溶液中の各高分子イオン性成分の量を制御するためには、「モル電荷比」を変化させることができる。本明細書で使用する「モル電荷比」は、モルベースでの溶液中の帯電分子の比と定義される。例えば、10:1モル電荷比は、ポリカチオン1分子に対してポリアニオン10分子、又はポリアニオン1分子に対してポリカチオン10分子と定義することができる。モル電荷比は、少なくとも1種のポリカチオン及び1種のポリアニオンがその中に含まれる限り、溶液中のいかなる数の成分に関しても上記で定義したように決定することができる。
【0053】
モル電荷比が実質的に増大するにつれ、特定の基材上の連結層の構造が、より「開放的(open)」になることができる。場合によっては、連結層構造のそのような開放は、基材の所望の連結層構造を達成するために、より多くの浸漬工程の必要を生じさせうる。これに関して、典型的には、連結層形成溶液は、約3:1〜約100:1の「モル電荷比」を有する。1つの実施態様では、連結層形成溶液は、約5:1(ポリアニオン:ポリカチオン)のモル電荷比を有する。別の実施態様では、連結層形成溶液は、約1:5(ポリアニオン:ポリカチオン)のモル電荷比を有する。さらに別の実施態様では、3:1又は1:3のモル電荷比を使用することができる。
【0054】
特定の実施態様では、連結層形成溶液は、約10:1(ポリアニオン:ポリカチオン)のモル電荷比を有する。ポリアニオン性物質の量が優位を占める連結層形成溶液を使用することにより、外側層がポリアニオン性物質になるような方法で基材を被覆することができる。一般に、外側にポリアニオン性物質を有する基材は、より酸性である。用途によっては、酸性の外側層がより親水性の基材を提供し、よりよい湿潤を可能にし、ひいては親水性被覆剤が基材により密接することを可能にすると考えられる。これは、より速やかに処理を進行させることを可能にする。しかし、ポリカチオン性物質の外側層が望ましいこともあることが理解されるべきである。ポリアニオン性外側連結層とは対照的に、ポリカチオン性外側連結層は、優位を占める量のポリカチオン性物質を含有する連結層溶液を提供することによって達成することができる。
【0055】
本発明によると、連結層形成溶液は、連続浸漬のための単一成分溶液であろうと、単一浸漬のための多成分溶液であろうと、典型的には溶液が安定なままいられるようなpHレベルに維持される。連結層形成溶液のpHが不適切に変化すると、逆滴定によって塩が形成することがある。このような沈殿は、連結層溶液が基材層を所望のとおり被覆する能力に悪影響を及ぼすことがしばしばある。そのため、使用する具体的な溶液に依存して、溶液のpHは通常、その溶液に適切なpH範囲の約±0.5の範囲内の値に維持される。特定の実施態様では、連結層形成溶液のpHは、溶液に適切なpH範囲の±0.1のpHに維持される。溶液のpHをその溶液に適切なpHの指定範囲内に維持することにより、沈殿を実質的に抑制することができる。
【0056】
連結層形成溶液に適切なpH範囲は、選択される具体的な高分子イオン性物質に依存して異なることができる。当該技術で公知の適切な方法を使用して、所与の溶液に適切なpH範囲を決定することができる。そのような方法の1つが、MACROMOLECULES Volume 31, Number 13, pages 4309−4318(1989)で発表された、Dongsik Yoo、Seimel S. Shiratori及びMichael R. Rubnerによる ”Controlling Bilayer Composition and Surface Wettability of Sequentially Adsorbed Multilayers of Weak Polyelectrolytes” に記載されている。例えば、連結層形成多成分溶液の特定の実施態様では、ポリアクリル酸とポリ(アリルアミン塩酸塩)との10:1(ポリアニオン:ポリカチオン)比を使用する。この特定の連結層形成二成分溶液の場合、適切なpH範囲は約2.5であると決定された。
【0057】
連結層形成溶液の形成及び基材表面への塗布は、種々の方法にしたがって達成することができる。例えば、アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーの両方を含有する溶液に、基材を浸漬することもできるし、あるいは、アニオン性ポリマー及びカチオン性ポリマーそれぞれの1つ以上の層を、例えば浸漬、吹付け、プリント、塗布、流込み、ロール塗り、スピンコート又は真空蒸着、好ましくは吹付け又は特に浸漬により、基材表面に順次に被着させる。1つのイオンポリマーの被着に続いて、本体材料をすすぎ、乾燥させた後、反対の電荷を有する次のイオンポリマーの被着を実施する。
【0058】
具体的な浸漬方法の1つは、(i)本体材料を第一のイオン性ポリマーの溶液に浸漬することによって、第一のイオン性ポリマー、例えばカチオン性又はアニオン性ポリマーの層を本体基材に塗布する工程と、(ii)場合によっては、本体材料をすすぎ溶液に浸漬することによって本体材料をすすぐ工程と、(iii)場合によっては、前記本体材料を乾燥させる工程と、(iv)本体材料を第二のイオンポリマーの溶液に浸漬することによって、第一のイオン性ポリマーの電荷とは反対の電荷を有する第二のイオン性ポリマー、例えばアニオン性又はカチオン性ポリマーの層を本体材料に塗布する工程とを含む。
【0059】
さらなる浸漬方法は、アニオン性及びカチオン性ポリマーを含む多成分溶液に、本体材料を浸漬することを含む。
【0060】
連続浸漬のための単一成分溶液であろうと、単一浸漬のための多成分溶液であろうと、本発明の浸漬溶液は一般に、1種以上の異なる溶媒で希釈された各ポリマーを含む。適切な溶媒は、例えば水、又は水相溶性の有機溶媒を含む水性溶液、例えばC1〜C4アルカノール(例えばメタノール又はエタノール)であり、好ましい溶媒は純水である。カチオン性又はアニオン性ポリマーの水溶液は、有利には、それぞれがわずかに酸性のpH値、例えば約2〜約5、好ましくは約2.5〜約4.5のpHを有する。浸漬溶液の濃度は、例えば関連する具体的なイオンポリマー又は所望の厚さに依存して、広い範囲内で異なることができる。しかし、一般に、イオンポリマーの比較的希薄な溶液を配合することが好ましいであろう。具体的なアニオン性又はカチオン性ポリマー濃度は、溶液の全重量に対して約0.0001〜約0.25重量%、約0.0005〜約0.15重量%、約0.001〜約0.25重量%、約0.005〜約0.01重量%、約0.01〜約0.05重量%、特に0.001〜0.1重量%である。
【0061】
適切なすすぎ溶液は水性溶液であってもよい。水性溶液は、約2〜約7、約2〜約5又は約2.5〜約4.5のpHを有することができる。
【0062】
溶液塗布間の表面からの過剰なすすぎ溶液の部分的乾燥又は除去は、当該技術で公知の多数の手段によって達成することができる。本体材料は、被覆した材料を空気雰囲気中に一定期間とどまらせるだけで部分的に乾燥させることができるが、穏やかな気流を表面に当てることによって乾燥を加速することもできる。流量は、乾燥させる材料の強さ及び材料の機械的造作の関数として調節することができる。
【0063】
連結層の厚さは、形成工程の間に1種以上の塩、例えば塩化ナトリウムをイオン性ポリマー溶液に添加することによって調節することができる。使用することができる具体的な塩濃度は、約0.1〜約2.0重量%である。塩濃度が増大するにつれ、高分子イオン性物質は、より球状の構造を呈するようになる。しかし、濃度が高くなると、高分子イオン性物質は、基材表面に十分に被着しなくなる。
【0064】
ポリマー連結層形成工程は、複数回、例えば1〜約50回、1〜約24回、1〜約14回繰り返してもよいし、1回しか実施しなくてもよい。
【0065】
被覆工程及び場合によって実施されるすすぎ工程の各浸漬時間は、多数の要因に依存して変化させることができる。一般に、約30秒〜約30分、約1〜約20分、約1〜約6分のすすぎ時間を使用することができる。ポリマー溶液への浸漬は、様々な温度、例えば室温又はより低い温度で実施することができる。
【0066】
浸漬技術によって基材を被覆する代わりに、吹付け塗り技術を使用して基材を被覆することもできる。溶媒、濃度、塩の存在、pH、温度、被覆工程の回数及び順序並びにすすぎ又は乾燥工程に関して上述した条件及び特徴が、相応に当てはまる。これに関して、吹付け塗り技術は、例えば、流体を塗布する従来技術又は超音波エネルギーを使用する技術又は静電吹付け塗り技術をはじめとする当該技術で公知の方法を含む。加えて、浸漬技術と吹付け技術とを組み合わせたものを使用することもできる。
【0067】
これに関して、連結層を形成する単一塗布用の二成分溶液の実施態様は、次のように調製することができる。しかし、以下の記載は例示目的のみであり、本発明の連結層形成溶液は他の適切な方法によって調製することもできることが理解されるべきである。
【0068】
連結層形成二成分溶液は、まず、単一成分ポリアニオン性物質を水又は他の溶媒に指定の濃度で溶解することによって、調製することができる。例えば、1つの実施態様では、分子量約90,000のポリアクリル酸(PAA)の溶液は、適量の材料を水に溶解して、0.001MのPAA溶液を形成することによって調製される。ひとたび溶解すると、ポリアニオン性溶液のpHは、塩基性又は酸性物質を加えることによって適切に調節することができる。上記実施態様では、例えば、適量の1N塩酸(HCl)を加えてpHを2.5に調節することができる。
【0069】
ポリアニオン性溶液を調製した後、ポリカチオン性溶液を同様に形成することができる。例えば、1つの実施態様では、分子量約50,000〜約65,000のポリ(アリルアミン塩酸塩)(PAH)を水に溶解して、0.001M溶液を形成することができる。その後、適量の塩酸を加えることによって同様にpHを2.5に調節することができる。
【0070】
そして、上記溶液を混合して、本発明の連結層を形成する単一浸漬溶液を形成することができる。1つの実施態様では、例えば、溶液をゆっくりと混合して、連結層形成溶液を得ることができる。混合物に加えられる各溶液の量は、所望のモル電荷比に依存する。例えば、10:1(ポリアニオン:ポリカチオン)溶液を所望の場合、PAH溶液1部(容量による)をPAA溶液10部と混合することができる。混合の後、所望により、溶液をろ過することもできる。
【0071】
ひとたび本発明にしたがって連結層形成溶液を形成したならば、上述した方法のいずれかによってそれを基材に塗布することができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施態様では、使用する特定の基材を、連結層を形成する溶液に浸漬する前に、「前処理」又は「配向」することもできる。必要とされないものの、本発明による基材の前処理は、「単一浸漬」法における高分子イオン性層の成長を増強することができる。詳細には、基材の前処理は、一般に基材表面の粗さを増すことを含む。これに関して、基材表面の粗さは、多様な方法で変化させることができる。一般に、連結層溶液の「下地層」又は「下塗り層」をまず基材に塗布して、所望の表面改変を達成することができる。例えば、1つの実施態様では、1種以上の標準的な一層ずつの浸漬被覆を、本発明の最終的な浸漬被覆のための下地層として使用することができる。「下地層」は、当該技術で公知の方法、例えば吹付け塗り、浸漬などによって塗布することができる。いくつかの実施態様では、下地層は、高分子イオン性物質、例えばポリ(エチレンイミン)から製造することができる。この下塗り被覆又は下地層を塗布した後、1つの実施態様では、基材を最終的な被覆溶液に浸漬することができる。例えば、1つの実施態様では、最終的な被覆溶液は、ポリ(アリルアミン塩酸塩)及びポリアクリル酸を含有することができる。さらに別の実施態様では、連結層形成溶液は、ポリ(アリルアミン塩酸塩)及びポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウムを含有することができる。
【0073】
さらに、他の実施態様では、基材は、溶媒と少なくとも1種の高分子イオン性成分を含有する溶媒溶液中で膨潤させることができる。一般に、溶液中の成分を水中で安定なままにとどめることができる溶媒が、本発明における使用に適切である。適切なアルコールの例は、イソプロピルアルコール、ヘキサノール、エタノールなどを含むことができるが、これらに限定されない。特定の実施態様では、まず、基材をイソプロピルアルコール約20%及び水約80%を含有するアルコール溶液中で膨潤させる。いくつかの実施態様では、基材を膨潤させるために使用されるアルコール溶液を、最終的な単一浸漬による高分子イオン性連結層溶液において溶媒として使用することもできる。
【0074】
膨潤後、基材を溶媒溶液から取り出し、「収縮」させることができる。この「収縮」工程が基材をして溶媒溶液中に存在するポリカチオン性又はポリアニオン性の初期層の一部又は全部を包み込ませる。この実施態様で記載する膨潤/閉じ込め工程は、連結層形成溶液が基材を被覆する能力を高めることができる。
【0075】
しかし、一回の浸漬では十分に塗布することができないような実質的な厚さをもつ連結層を塗布することが、望ましいとされうる。例えば、本発明の1つの実施態様では、500Åの連結層(原子間力鏡検法(AFM)によって計測)を二回の浸漬工程で基材に塗布する。具体的には、まず10:1ポリアニオン:ポリカチオン浸漬を基材に施す。その後、1:10ポリアニオン:ポリカチオン浸漬を第二の層として使用する。いくつかの実施態様では、本発明の多成分溶液への3回以上の浸漬、例えば3〜5回の浸漬を使用することもできる。例えば、本発明にしたがってコンタクトレンズ材料を被覆する場合、3回の浸漬を使用することができる。
【0076】
連結層を調製するために使用されるアニオン性及びカチオン性ポリマーの分子量は、所望の特性、例えば本体材料への付着、被覆厚さなどに依存して広い範囲内で変化させることができる。一般に、高分子イオン性物質の分子量が増すにつれ、連結層厚さは増大する。しかし、分子量の増加が実質的にすぎると、取り扱いの困難さが増すおそれもある。一般に、約5,000〜約5,000,000、好ましくは約10,000〜1,000,000、より好ましくは15,000〜500,000、さらに好ましくは20,000〜200,000、特に40,000〜150,000の重量平均分子量が、連結層を形成するアニオン性及びカチオン性ポリマーにとって有用であることがわかった。
【0077】
上述した方法によると、表面に吸収され、かつ/又は異極結合した1種以上の高分子電解質の連結層を含む基材が得られる。この改質により、表面は、官能基、例えばカルボキシ、スルホン、スルファト、ホスホノ若しくはホスファト基又は第一級、第二級若しくは第三級アミン基を付与される。これらの官能基こそが、種々の薬剤とさらに反応して本発明の表面改質基材を形成することができるものである。
【0078】
本発明の工程(b)によると、エチレン性不飽和二重結合を含む二官能性化合物を連結層に共有結合させる。
【0079】
連結層の官能基とカップリングされる重合性炭素−炭素間二重結合を含む二官能性化合物は、例えば下記式の化合物である。
【0080】
【化4】
【0081】
式中、R1は、水素、C1〜C4アルキル又はハロゲンであり、
R2は、水素、非置換又はヒドロキシ置換C1〜C6アルキル又はフェニルであり、
R3及びR3′は、それぞれがC原子2〜6個を有するエチレン性不飽和基であるか、あるいはR3とR3′とが一緒になって、二価の基−C(R4)=C(R4′)−を形成し、R4及びR4′は、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル又はハロゲンであり、
(Alk*)は、C1〜C6アルキレンであり、そして(Alk**)は、C2〜C12アルキレンである。
【0082】
以下の好ましい意味が、式(2a)〜(2e)に含まれる可変要素に当てはまる。R1は、好ましくは水素又はC1〜C4アルキル、特に水素又はメチルである。R2は、好ましくは水素又はヒドロキシ−C1〜C4アルキル、特に水素又はβ−ヒドロキシエチルである。
R3及びR3′は、好ましくはそれぞれがビニル又は1−メチルビニルであるか、R3とR3′とが一緒になって、基−C(R4)=C(R4′)−を形成し、R4及びR4′は、互いに独立して、水素又はメチルである。
(Alk*)は、好ましくはメチレン、エチレン又は1,1−ジメチルメチレン、特に基−CH2−又は−C(CH3)2−である。
(Alk**)は、好ましくはC2〜C4アルキレン、特に1,2−エチレンである。
【0083】
反応性基を有する好ましいビニルモノマーは、2−イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)、5,5−ジメチル−2−ビニルオキサゾリン−4−オン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸無水物、無水マレイン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートであり、特に好ましいものは2−イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)である。
【0084】
式(2a)〜(2e)の二官能性化合物を連結層に付ける方法は、化合物(2a)〜(2e)中及び連結層の表面に存在する反応性基の性質に依存する。
【0085】
式(2a)の化合物を、アミノ又はヒドロキシ基を含有する連結層にカップリングさせる場合、反応は、不活性有機溶媒、例えばアセトニトリル、場合によってはハロゲン化された炭化水素(例えば石油エーテル、メチルシクロヘキサン、トルエン、クロロホルム、塩化メチレンなど又はエーテル、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン)、又はより極性が高い溶媒(例えばDMSO、DMA、N−メチルピロリドン)、又は低級アルコール若しくは水中でさえも、0〜100℃、好ましくは0〜50℃、特に好ましくは室温で、場合によっては触媒、例えば第三級アミン(例えばトリエチルアミノ若しくはトリ−n−ブチルアミン、1,4−ジアザビシクロオクタン)又はスズ化合物(例えばジブチルスズジラウレート若しくはスズジオクタノエート)の存在下で実施することができる。さらに、イソシアナト基とアミノ基との反応は、水性溶液中、触媒の非存在下で実施することもできる。上記反応は、不活性雰囲気下、例えば窒素又はアルゴン雰囲気下で実施することが有利である。
【0086】
式(2a)の化合物を、アミノ基を含有する連結層の表面にカップリングさせる場合、反応は、有利には、水、適切な有機溶媒又はそれらの混合物、例えば水性媒体又は非プロトン性極性溶媒(例えばDMF、DMSO、ジオキサン、アセトニトリルなど)の中、室温又は高温、例えば約20〜75℃で実施することができる。
【0087】
式(2b)の化合物を、本体材料の表面又はヒドロキシ基を含有する天然若しくは合成ポリマーにカップリングさせる場合、非プロトン性極性溶媒が好ましい。
【0088】
式(2c)のカルボキシ化合物を、アミノ又はヒドロキシ基を含有する連結層にカップリングさせるか、又は式(2c)のヒドロキシ化合物を表面のカルボキシ基とカップリングさせる場合、反応は、エステル又はアミド形成に慣用の条件の下で実施することができる。エステル化又はアミド化反応は、活性化剤、例えばN−エチル−N′−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)又はN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下で実施することが好ましい。
【0089】
式(2d)の化合物を、アミノ又はヒドロキシ基を含有する連結層にカップリングさせる場合、反応は、有機化学の教科書に記載されているようにして、例えば非プロトン性溶媒中、例えば上述した非プロトン性溶媒の1種の中、室温〜約100℃で実施することができる。
【0090】
式(2e)の化合物を、アミノ又はヒドロキシ基を含有する連結層にカップリングさせる場合、反応は、例えば、非プロトン性媒体中、塩基触媒、例えばAl(O−C1〜C6アルキル)3又はTi(O−C1〜C6アルキル)4を使用して、室温又は高温で実施することができる。
【0091】
工程(a)及び(b)によって得ることができる被覆は、工程(c)で「二次被覆」が付着する「一次被覆」を構成する。工程(c)で、親水性モノマー又は親水性モノマーの混合物を、工程(b)で導入したエチレン性不飽和二重結合にグラフト重合させる。本発明では、「親水性モノマー」とは、一般に、水溶性であるか、少なくとも10重量%の水を吸収することができるポリマーをホモポリマーとして、作り出すモノマーをいうものと理解される。親水性モノマーを、種々の公知の方法にしたがって材料表面に塗布し、そこで重合させることができる。例えば、改質された本体材料を親水性モノマーの溶液に浸漬するか、まずはじめに、モノマーの層を、例えば浸漬、吹付け、塗布、ナイフコート、流込み、ロール塗り、スピンコート又は真空蒸着により、改質された本体材料表面に被着させる。好ましくは、適切な溶媒、例えば水又は極性溶媒の混合物中の親水性モノマーの溶液を使用する。
【0092】
適切な親水性モノマーは、ヒドロキシ置換C1〜C2アルキルアクリレート、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノ若しくはN,N−ジ−C1〜C2アルキルアクリルアミド及びメタクリルアミド、ポリオキシエチレンアクリレート及びメタクリレート、ヒドロキシ置換C1〜C2アルキルビニルエーテル、エチレンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニルスクシンイミド、5〜7員のN−ビニルラクタム、2−若しくは4−ビニルピリジン、アミノ−(「アミノ」はまた、第四級アンモニウムをも含む)、モノ−C1〜C2アルキルアミノ−若しくはジ−C1〜C2アルキルアミノ−C1〜C2アルキルアクリレート及びメタクリレート、アリルアルコールなどを含むが、これは網羅的なリストではない。好ましい親水性モノマーは、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アリルアルコール、N−ビニルピロリドン及びN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートである。
【0093】
適当な重合開始剤は当業者に公知であり、例えば、ペルスルフェート、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アゾビス(アルキル又はシクロアルキルニトリル)、過炭酸塩又はそれらの混合物を含む。ペルスルフェートの使用が好ましい。
【0094】
重合後、共有結合していないどのような成分(例えば未反応モノマー)も、例えば適切な溶媒での処理によって除去することができる。
【0095】
工程(c)における一種以上のモノマーのグラフトが、連結層に共有結合した複数のポリマー鎖を含むいわゆるブラシ構造を作り出すと考えられる。
【0096】
工程(c)で、反応性基を含む親水性モノマーを、場合によってはさらなるモノマーと添加混合して使用するならば、本発明のさらなる貴重な実施態様が提供される。この実施態様では、(c)の重合工程の後、
(i)ポリマー鎖の反応性基を、エチレン性不飽和二重結合を含む式(2a)〜(2e)のさらなる化合物と反応させることができ、続いて(ii)親水性モノマー及び場合によっては架橋性基を有するコモノマーを、エチレン性不飽和二重結合にグラフト重合させ、(iii)工程(ii)で架橋性基が存在する場合、前記基の架橋を開始する。
【0097】
工程(ii)で使用される親水性モノマーは、工程(c)で使用されるものと同じものを含む。好ましいモノマーは、アクリル酸及び/又はアクリル酸アミドである。架橋基を有する適切なモノマーは、二官能化活性エステル、例えばエチレングリコールビス[スルホスクシンイミジルスクシネート]及びビス[スルホスクシンイミジル]スベレート、スルホスクシンイミジル[4−アジドサリチルアミド]−ヘキサノエート、二官能性イソシアネート、ジアクリレート、例えば1,4−ブタンジオールジアクリレート又はα,ω−PEG−ジアクリレート及びジエポキシド、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテルを含むが、これは網羅的なリストではない。あるいはまた、NCO、アクリレート、エポキシドなど官能基がグラフトされるポリマーにあり、したがって、架橋が二官能性アミン、例えばエチレンジアミンなどによって媒介されるように架橋反応を切り換えることもできる。
【0098】
工程(c)にしたがって、連結層に共有結合したブラシ構造のポリマー鎖に親水性モノマーをグラフトすると、例えば、つながれた「毛髪状」の鎖からなる、いわゆるボトルブラシ型構造(BBT)を有する被覆が得られる。このようなBBT構造は、1つの実施態様では、比較的密につまった比較的短い親水性側鎖を担持する長い親水性主鎖を含む。前記BBT構造のポリマー被覆は、ある程度、人体、例えば軟骨又は粘膜組織で見られる高度に保水性の構造を模倣する。
【0099】
本発明にしたがって得られる生物医学的デバイス、例えば眼科用デバイスは、従来技術のデバイスに対し、多様な予想外の利点を有しており、これらのデバイスを実用的な目的、例えば長期装用コンタクトレンズ又は眼内レンズに非常に適したものにしている。例えば、これらの装置は、これらの接触角、保水性及び水膜破壊時間若しくは涙膜破壊時間(TBUT)によって実証することができる、高い表面湿潤性を有する。
【0100】
TBUTは、眼科用デバイス、例えばコンタクトレンズの分野で、特に重要な役割を演じる。例えば、コンタクトレンズ上の瞼の容易な動きが装用者の快適さにとって重要であることが実証されている。この滑り運動は、コンタクトレンズ上の涙液の連続層(組織/レンズ界面を潤滑する層)の存在によって容易になる。しかし、臨床試験によって、現在利用しうるコンタクトレンズは瞬きの合間に部分的に乾燥し、それによって瞼とレンズとの摩擦を増大させることが証明された。摩擦の増大が、眼の痛み及びコンタクトレンズの動きの減少を招く。本発明の表面被覆を施すことにより、市販のコンタクトレンズ、例えばLotrafilcon AのTBUTを相当、増大させることが可能になった。コンタクトレンズのベースカーブにおいて、被覆の顕著な潤滑性が、コンタクトレンズの長期装用にとって不可欠な眼の上でのレンズの動きを容易にする。そのうえ、本発明の方法によって得られる材料は、長期装用レンズにとって不可欠なさらなる効果、例えば、低い微生物付着及び付着物形成の耐性に実質的に貢献するレンズ前涙膜の厚さの増大を提供する。新規な表面被覆のきわめて柔らかく、滑らかな特性のおかげで、本発明の方法によって被覆された生物医学的製品、例えば特にコンタクトレンズは、夜の乾燥及び長期(夜通し)装用に関する改善を含む、優れた装用快適さを示す。新規な表面被覆はさらに、眼の粘膜と可逆的な方法で相互作用し、それが装用快適さの改善に貢献する。
【0101】
例
例では、別段に示されない限り、量は重量であり、温度は摂氏度で表す。涙液層破壊時間値は一般に、M. Guillon et al., Opthal. Physiol. Opt. 9, 355−359 (1989)又はM. Guillon et al., Optometry and Vision Science 74, 273−279 (1997)によって公表された手法にしたがって測定されるレンズ前涙膜非浸襲性破壊時間(PLTF−NIBUT)に関する。被覆有り又は被覆なしのレンズの平均前進及び後退水接触角は、動的Wilhelmy法により、Kruess K−12計器(Kruess社、ハンブルク、ドイツ)を使用して測定する。固体に対する湿潤力は、表面張力が知られている液体に固体を浸漬するか、その液体から固体を取り出すときに計測する。使用されるポリマーの分子量(Mw)は、近似値として記載する。
【0102】
例A(厚いPAAm(ポリアクリルアミド)連結層を作製するための一層ずつの官能化)
a)イソプロパノールで膨潤させたLotrafilcon A(ポリシロキサン/ぺルフルオロアルキルポリエーテルコポリマー)コンタクトレンズを、0.13%PAA水溶液(MW90,000、HClの添加によってpH2.5)に浸漬した。そして、レンズを、アセトニトリルで徹底的に洗浄し、イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)で処理した後、水ですすいだ。レンズを、5%アクリルアミド溶液(水20ml中アクリルアミド1g)に入れた。溶液及びレンズを、35℃に加熱し、窒素を10分間パージした。過硫酸ナトリウムを加えた(溶液20mlあたり40mg)。45分後、レンズを一夜、水洗し、その被覆を評価した。
【0103】
b)次に、はじめに0.5%アクリル酸/4.5%アクリルアミド溶液を重合させることにより、PAAm被覆レンズの分岐バージョンを製造した。そして、レンズを、IEMで再処理した後、アクリルアミドだけで重合させた。得られた被覆レンズは、潤滑性が高く、スダンブラック染色を吸収せず、ほこりを寄せ付けなかった。これらの被覆は耐磨耗性であることがわかり、指でこする再洗浄の後、均一に湿潤性であり、清浄であるように見えた。30分ずつ2回オートクレーブ処理した後、レンズはその性質を保持していた。
【0104】
例B(膨潤浸漬PAA/PAH)活性化レンズ)
イソプロパノールで膨潤させたLotrafilcon A(ポリシロキサン/ぺルフルオロアルキルポリエーテルコポリマー)コンタクトレンズを、PAA/PAHの二成分水性溶液(MW90,000のPAA0.07%及びMW50,000〜65,000のPAH8.5PPM)に浸漬した。そして、レンズを水ですすぎ、アセトニトリルで抽出した。IEM(レンズ1個にピペットで2滴)を使用してアクリル酸基を反応性ポリマー層に結合させた。レンズを5%アクリルアミド水性溶液に入れ、例Aの手順b)で上述したように重合させた。
【0105】
スダンブラック染色に対して耐性である潤滑性被覆を製造した。これらの特性は、2回の30分のオートクレーブ処理サイクルの後でも変化しなかった。これらのレンズは、指でこする摩擦にも耐性を示した。加えて、アクリル酸をアクリルアミドと共重合(アクリル酸/アクリルアミド=1:9)させ、洗浄し、アセトニトリルで抽出した後、IEMをアクリル酸基に再び結合させることによって分岐バージョンを製造した。レンズを水で抽出した後、アクリルアミドと第二の重合を実施し、分岐ポリアクリルアミド構造を得た。
【0106】
例C(膨潤浸漬PAA/PEI)活性化レンズ)
イソプロパノールで膨潤させたLotrafilcon A(ポリシロキサン/ぺルフルオロアルキルポリエーテルコポリマー)コンタクトレンズを、0.13%PAA溶液(MW90,000、HCl添加によってpH2.5に調節)に浸漬した。5分後、レンズを水ですすいだ後、0.044%PEI溶液(MW70,000、HCl添加によってpH3.5に調節)に浸漬した。レンズを洗浄し、アセトニトリルで抽出し、イソシアナトエチルメタクリレート(IEM)で処理した後、水で抽出した。レンズを5%アクリルアミド水性溶液に入れ、例Aの手順a)で上述したように重合させた。窒素パージを実施し、過硫酸ナトリウムを溶液20mlあたり40mgの割合で加えた。レンズを35℃で45分間加熱した。この時間の後、粘稠な溶液が形成され、過剰な水で洗浄することによってレンズを取り出した。水で一夜、洗浄した後、レンズは、さわると潤滑性であり、スダンブラック染色に対して耐性であることがわかった。オートクレーブ処理の後、レンズは、スダンブラック染色に対して耐性を示し続け、潤滑性を維持した。
Claims (17)
- (a)高分子イオン性物質を含む連結層を材料表面に塗布する工程、
(b)エチレン性不飽和二重結合を含む二官能性化合物を連結層に共有結合させる工程、及び
(c)エチレン性不飽和二重結合を含む化合物に、親水性モノマーをグラフト重合させる工程
を含む材料表面を被覆する方法。 - 材料表面が、有機本体材料の表面、特に有機本体材料を含む生物医学的デバイスの表面である、請求項1記載の方法。
- 工程(a)の連結層が、ただ1種の高分子イオン性物質からなる、請求項1又は2記載の方法。
- 工程(a)の連結層が、ポリカチオン性物質及びポリアニオン性物質を含む、少なくとも1つの二重層を含む、請求項1又は2記載の方法。
- 連結層の高分子イオン性物質が、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)及びポリ(メタクリル酸)からなる群より選択される1種以上のポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
- 連結層と、エチレン性不飽和二重結合を含む二官能性化合物との間の共有結合が、連結層のヒドロキシ、アミノ、アルキルアミン、チオール又はカルボキシ基と、エチレン性不飽和化合物のイソシアナト、アズラクトン、エポキシ、カルボキシ無水物、カルボキシ又はヒドロキシ基との反応によって起こる、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
- 工程(b)において、エチレン性不飽和二重結合を含む化合物が、式(2a)の化合物である、請求項7記載の方法。
- 工程c)において、親水性モノマーが、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アリルアルコール、N−ビニルピロリドン及びN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートからなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
- 工程(c)において、モノマーが1種以上の異なるモノマーを含み、それらの少なくとも1種が反応性基を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
- 工程(c)において、モノマーが反応性基を含み、
(i)前記反応性基を、エチレン性不飽和二重結合を含むさらなる化合物と反応させ、
(ii)親水性モノマー及び場合によっては架橋性基を有するコモノマーを、前記エチレン性不飽和二重結合にグラフト重合させ、そして
(iii)工程(ii)で架橋性基が存在する場合、前記基の架橋を開始する、
請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。 - 工程(i)において、エチレン性不飽和二重結合を含むさらなる化合物が、請求項7記載の式(2a)〜(2e)の化合物である、請求項11記載の方法。
- 工程(ii)において、親水性モノマーが、アクリル酸、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN−ビニルピロリドンからなる群より選択され、架橋基を有するコモノマーが存在しない、請求項11又は12記載の方法。
- 請求項1〜13のいずれか1項記載の方法によって得られる被覆された材料。
- 生物医学的デバイスである、請求項14記載の被覆された材料。
- 眼科用デバイスである、請求項15記載の被覆された材料。
- コンタクトレンズ、眼内レンズ又は人工角膜である、請求項16記載の被覆された材料。
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