JP3992675B2 - 錠前、並びに、サムターン - Google Patents

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Description

本発明は錠前に関するものであり、特に不正開錠を防止可能な錠前に関する。
従来より、摘み部材を回動させることによりロックボルトを出入りさせ、これにより施錠あるいは開錠を行う錠前が玄関の扉等に採用されている。錠前は、本体部分が扉内に埋め込まれ、扉の側面からデッドボルトを突出・退入可能なように固定されている。錠前を玄関先の扉の施錠に採用する場合は、扉の屋外側に錠前の施錠・開錠を行うためのシリンダー錠を設けると共に、屋内側に摘み部材が取り付けられている。
デッドボルトは、シリンダー錠あるいは摘み部材を回動させることにより扉の側面から出入りするようになっている。扉が固定されている扉枠には、扉の側面から突出したデッドボルトを収納可能な収納部が設けられている。扉は、シリンダー錠や摘み部材を回動させ、デッドボルトを収納部に出入りさせることにより施錠状態あるいは開錠状態になる。
一方、近年ドリル等で扉に穴を空けたり、扉と扉の取り付け枠との隙間から工具等を差し込み、摘み部材を回して不正開錠する、いわゆるサムターン回しという手口で家屋に侵入する犯罪が横行しており、社会的問題となっている。かかる問題を解決すべく、例えば下記特許文献1に示すように扉の摘み部材を囲む位置にサムターンカバーを設けることにより、いわゆるサムターン回しによる不正開錠を防止する方策が提案されている。
また、上記したサムターン回しによる不正開錠を防止すべく、下記特許文献2に示すような摘み部材を具備した錠前がある。特許文献2に開示されている摘み部材は、摘み部分が着脱可能であり、摘み部分を抜いておくことで不正開錠を防止するものである。
特開2003−056218号公報 特開平11−200678号公報
上記特許文献1に開示されているように、摘み部材の周囲にサムターンカバーを設ければ、扉に穴を空けたりして工具等を差し込んでも、その工具が摘み部材に到達し難い。そのため、摘み部材を特許文献1に開示されているようなサムターンカバーで保護すれば、扉の不正開錠を防止することができる。
しかし、上記したようにサムターンカバーを設ける場合、摘み部材の回動操作を行う度にサムターンカバーの蓋体を開ける必要がある。また、サムターンカバーで摘み部材を囲む場合、サムターンカバーで囲まれた領域内に指を入れて摘み部材の操作を行わねばならず、サムターンの操作が少なからず不自由になってしまう。さらに、サムターンカバーを設ける場合は、蓋体を閉じ忘れてしまうとサムターン回しに対する防犯効果が半減してしまうという問題点を有する。また、上記特許文献2のように摘み部材の摘み部分が着脱可能な構成とした場合も、摘み部分を抜き忘れてしまうとサムターン回しによる不正開錠に対する効果が全く発揮できないという問題がある。
そこで、本発明では、摘み部材の不正操作を確実に阻止できる防犯特性に優れた錠前の提供を目的とする。
上記した目的を達成すべく提供される請求項1に記載の発明は、錠箱から施錠片を進退させる錠前において、摘みと回転軸とを有する摘み部材と、回転軸と係合して施錠片にトルクを伝達する動力伝達部材とを有し、動力伝達部材は、前記回転軸が挿通される挿通孔を有し、回転軸は、軸方向の異なる位置に動力伝達部材の挿通孔と係合する係合部と、挿通孔に対して空転する空転部とを有し、常時は動力伝達部材の挿通孔内に回転軸の空転部があり、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動させることにより回転軸の係合部が動力伝達部材の挿通孔と係合することを特徴とする錠前である。
本発明の錠前は、常時は動力伝達部材の挿通孔内に回転軸の空転部があるため、摘み部材をただ単に回転させるだけでは摘み部材が空転し、トルクが動力伝達部材に伝達されない。そのため、本発明の錠前は、摘み部材を回すだけでは施錠や開錠を行えない。
本発明の錠前は、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動させると、回転軸の係合部が動力伝達部材の挿通孔と係合する。そのため、本発明の錠前は、摘み部材を押し込んでから回転させると動力伝達部材が作動し、施錠や開錠を行える。従って、本発明によれば、サムターン回しと称されるような手口による不正開錠を試みようとして摘み部材をただ単に回転させるだけでは開錠できない、防犯性に優れた錠前を提供できる。
上記請求項1に記載の発明と同様の課題を解決すべく提供される請求項2に記載の発明は、錠箱から施錠片を進退させる錠前において、係合部を有する回転軸と、当該回転軸に装着される摘み部材と、回転軸と係合して施錠片にトルクを伝達する動力伝達部材とを有し、前記摘み部材は、回転軸の係合部が係合可能な被係合部を有し、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動させることにより被係合部と係合部とが係合し、さらに摘み部材の軸方向への摺動を阻止する摺動阻止部材を具備していることを特徴とする錠前である。
本発明の錠前は、付勢手段の付勢力によって摘み部材が回転軸から離れた状態となっているため、摘み部材をただ単に回転させるだけではトルクが回転軸に伝わらず、施錠や開錠を行えない。
一方、本発明の錠前では、摘み部材を回転軸側に押し込み、係合部と被係合部とを係合させると摘み部材が回転軸に接続される。そのため、本発明の錠前では、摘み部材を回転軸側に押し込むことによって両者を一体的に回転させることが可能となる。本発明の錠前は、摘み部材を押し込んで回転軸と接続した状態としてはじめて施錠や開錠を行えるようになる。従って、本発明によれば、サムターン回しのように摘み部材をただ単に回転させるだけの手口では不正開錠できない錠前を提供できる。
請求項3に記載の発明は、施錠片を錠箱から出入りさせるための動作機構を備えた錠前に取り付けられるサムターンであって、回転軸と、回転軸に対して回転自在に装着され、回転軸の軸方向に摺動自在な摘み部材と、支持部材を有し、支持部材には貫通孔が設けられ、前記回転軸及び摘み部材は、支持部材の貫通孔に挿通され、前記回転軸は、先端側に係合部を有し、前記摘み部材の軸方向中途部には前記係合部と係合可能な被係合部が設けられており、前記係合部及び被係合部は支持部材に在り、摘み部材は、常時は被係合部が回転軸の係合部から離反する方向に付勢されており、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動させることにより係合部と被係合部とが係合することを特徴とするサムターンである。
本発明のサムターンは、摘み部材を回転軸の先端側に摺動させない状態では被係合部が回転軸の係合部から離反しているため、この状態で摘み部材を回動させてもトルクが回転軸に伝わらない構造となっている。そのため、本発明のサムターンは、摘み部材を回動させるだけでは摘み部材が空回りするだけで回転軸は回転しない。
一方、本発明のサムターンは、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動させると摘み部材の被係合部と回転軸の係合部とが係合する。そのため、本発明のサムターンは、摘み部材を押し込んだ上で回転させるとこれに連動して回転軸が回転する。従って、本発明によれば、サムターン回しに対する防犯特性に優れたサムターンを提供できる。
請求項4に記載の発明は、施錠片を錠箱から出入りさせるための動作機構を備えた錠前に取り付けられるサムターンであって、摘みと回転軸とを有する摘み部材と、当該摘み部材の回転軸が挿入される軸挿入部材とを有し、前記摘み部材は、回転軸の周部から突出した突部を有し、前記軸挿入部材は、前記突部を周方向に案内する周案内溝と、突部の周方向への移動を阻止する軸案内溝とからなる規制溝を有し、突部は、常時は軸案内溝内にあり、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動することにより周案内溝内に移動することを特徴とするサムターンである。
本発明のサムターンは、常時は回転軸の突部が軸案内溝内にあるため、摘み部材を回動させようとしても突部が軸案内溝に引っかかって回動できない。一方、本発明のサムターンにおいて、軸案内溝は、軸挿通部材の軸方向に延伸した溝であるため、摘み部材を軸方向に摺動させることにより突部を周案内溝側に移動させることができる。そのため、本発明のサムターンは、摘み部材を軸方向に摺動させた後であれば回動操作を行える。従って、本発明によれば、サムターン回しのように摘み部材をただ単に回転させるだけの手口では回転操作を行えない防犯特性に優れたサムターンを提供できる。
請求項5に記載の発明は、施錠片を錠箱から出入りさせるための動作機構を備えた錠前に取り付けられるサムターンであって、摘みと回転軸とを有する摘み部材と、当該摘み部材の回転軸が挿入されるガイド部材と、当該ガイド部材に装着される規制部材とを有し、前記摘み部材は、回転軸の周部から突出した突部を備え、前記ガイド部材は、前記突部を周方向に案内する案内溝を備え、規制部材は、ガイド部材に対して摺動可能であり、前記突出部を周方向に案内する周案内溝と、突出部を軸方向に案内する軸案内溝とからなる規制溝とを備え、常時は突部が軸案内溝内にあり、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動させることによって突部が周案内溝内に移動し、回転軸側から摘み側に向かう方向に外力を作用させることによって規制部材が摺動し、周案内溝が突部側に移動することを特徴とするサムターンである。
本発明のサムターンにおいて、軸案内溝は規制部材の軸方向に延伸した溝であるため、回転軸の突部が軸案内溝内にある状態で摘み部材を回動させようとしても回動させることができない。一方、本発明のサムターンにおいて、摘み部材は、回転軸の軸方向に摺動させると突部が周案内溝内に移動し、周方向に自由に回動させることができる。従って、本発明のサムターンは、サムターン回しのような不正開錠を試みようとしても摘み部材を回動させることはできないが、摘み部材を軸方向に摺動させさえすれば容易に回動操作を行える。
本発明のサムターンは、回転軸側から摘み側に向かう方向に外力を作用させることによって規制部材が摺動し、周案内溝が突部側に移動する。即ち、本発明のサムターンは、回転軸側から外力が作用している場合は、突部が周案内溝内にあり、摘み部材を自由に回動させることができる。
請求項6に記載の発明は、施錠片を錠箱から出入りさせるための動作機構を備えた錠前に取り付けられるサムターンであって、先端に係合部を有する摘み部材と、当該摘み部材の先端に接続される接続軸とを有し、当該軸は、前記係合部が嵌合する被係合部を有し、摘み部材と接続軸との間には、摘み部材を接続軸から離反する方向に付勢する付勢手段が介在しており、付勢手段による付勢力に反して摘み部材を接続軸側に押し込み、摘み部材の係合部と接続軸の被係合部とを嵌合させることによって、摘み部材と接続軸とが一体となって回転可能な状態になり、摘み部材を回転させる力が解除されると、前記付勢部材の反動によって摘み部材が元の姿勢に戻り、トルクが接続軸に伝わらない状態になることを特徴とするサムターンである。
本発明のサムターンは、付勢手段によって接続軸が付勢され、摘み部材から離反しているため、単に摘み部材を回転させるだけでは接続軸側にトルクが伝わらない。一方、本発明のサムターンは、付勢手段の付勢力に反して摘み部材を接続軸側に近接させ、係合部と被係合部とを係合させた状態で摘み部材を回転させると、接続軸が摘み部材と一体となって回転する。本発明によれば、摘み部材を接続軸側に押し込んだ後に回転させない限り接続軸が作動しないため、サムターン回しが試みられても不正操作を行えないサムターンを提供できる。
また請求項3〜6のいずれかに記載の発明は、施錠片を錠箱から出入りさせるための動作機構を備えた錠前に取り付けられるサムターンである。
かかるサムターンが取り付けられた錠前によれば、サムターン回しが試みられても不正開錠されない防犯特性に優れた錠前を提供できる。
上記請求項2に記載の錠前は、摘み部材を押し込んでからでないと回転操作を行えないものであり、サムターン回しのような不正開錠に対して優れた防犯特性を発揮できる。しかし、錠前を取り付ける場所や条件によっては、サムターン回しに対する防犯特性よりも、操作の簡便さが要求される場合もある。
そこで、かかる問題に対処すべく提供される請求項2に記載の発明は、摘み部材の軸方向への摺動を阻止する摺動阻止部材を具備していることを特徴とする錠前である。
本発明の錠前は、摺動阻止部材によって摘み部材を押し込んだ状態で摘み部材の軸方向への摺動を阻止しておけば、摘み部材を回転させるだけで開閉操作が可能となる。また、必要に応じて摺動阻止部材による摘み部材の摺動を解除すれば、上記したように摘み部材を押し込んでからでないと開錠や施錠を行えない状態とすることができる。従って、本発明によれば、錠前の設置場所や条件等に適した状態で使用可能な錠前を提供できる。
また同様の課題を解決すべく提供される請求項7に記載の発明は、摘み部材の周部から軸心方向に延伸した摺動阻止軸を有し、摘み部材が装着される他部材の周部には、摘み部材を軸方向に摺動させた状態において摺動阻止軸が係合可能な係合溝が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の錠前である。
本発明の錠前は、摘み部材を軸方向に摺動させた状態で摺動阻止軸を係合溝に係合させておけば、摘み部材を回転させるだけで開閉操作が可能となり、操作性が向上する。また逆に、本発明の錠前は、係合溝から摺動阻止軸を退出させれば、摘み部材を押し込んでからでないと開錠や施錠を行えない防犯特性に優れた状態とすることができる。従って、本発明によれば、錠前の設置場所や条件等に適した状態で使用可能な錠前を提供できる。
本発明によれば、摘み部材の不正操作を阻止可能で、防犯特性に優れた錠前を提供できる。
続いて、本発明の一実施形態である錠前およびサムターンについて図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態の錠前を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す錠前の分解斜視図である。図3は、本実施形態の錠前を構成する錠箱を示す斜視図である。図4は、図1に示す錠前のA−A断面図であり、図5は図4の要部拡大図である。図6は図1に示す錠前が備える背面板を示す斜視図である。図7は、図1に示す錠前を扉に装着した状態を示す斜視図である。なお、図2においては、背面板を図示せず省略している。
なお、以下の説明で用いられる用語と請求項7に記載された用語との対応関係については、固定ネジ40が「摺動阻止軸」に、錠箱5の装着部11が「他部材」に、溝30が「係合溝」にそれぞれ対応している。
図1において、1は本実施形態の錠前である。錠前1は、錠本体2に摘み部材3を接続して構成されている。錠本体2は、図2のように平面視が略矩形の錠箱5の内部に、錠部材6(施錠片)と、錠部材6を錠箱5に対して出入りさせる動作機構7とを内蔵している。
錠箱5は、図3のように正面8側に摘み部材3を装着するための装着部11を有し、図2のように背面10側が開口した箱体である。錠箱5は、四隅に正面8側から背面10側に向けて貫通した貫通孔12を有する。錠箱5の長側面13,13の相対向する位置に錠部材6を出入りさせるための開口15,15がある。
錠箱5の内部には、図2のように動作機構7が収納されている。動作機構7は、動力伝達部材16と、動作軸17と、支持部材18とから構成されている。動力伝達部材16は、金属製の平板の中心に矩形の挿通孔20を有している。挿通孔20は、後述する摘み部材3の係合部35が係合し、空転部36が空転する大きさとなっている。動力伝達部材16の一端側には、動作軸17を回動自在に支持する連結凸部21が設けられている。動力伝達部材16の他端側には、連結凸部21と同一方向に突出した駆動軸22が設けられている。駆動軸22は、後述する錠部材6の挿通孔29に挿入されている。挿通孔20を中心として動力伝達部材16が回転すると、駆動軸22は円弧状の軌跡を描き、錠部材6を錠箱5の開口15から出入りさせる。
動作軸17は、支持部材18に装着される軸部23と、動力伝達部材16の連結凸部21に装着される連結孔24とを有する。動作軸17の軸部23には、バネ19が装着されている。支持部材18は、動作軸17の軸部23を挿通可能な軸挿通孔25を有する。動作軸17は、動力伝達部材16の回動に連動し、連結孔24を中心として姿勢を変える。動力伝達部材16が回動すると、軸部23が軸挿通孔25に侵入しバネ19を押し縮められる。動力伝達部材16がさらに回動すると、動作軸17は、押し縮められたバネ19の反発力を受けて連結孔24を中心として姿勢を変え、動力伝達部材16を回動させる。
錠箱5内には、動作機構7の支持部材18を装着するためのスリット26を有する。錠箱5の略中央部には、正面8側に突出した装着部11の中心部から背面10側に向けて貫通した貫通孔27を有する。貫通孔27は、後述する摘み部材3の回転軸32を挿通可能な開口径を有する。
錠箱5内であって、動作機構7よりも背面10側には、錠部材6が設けられている。錠部材6は、金属製の平板であり、図7のように錠箱5の両開口15,15のいずれか一方から突出して扉60を施錠あるいは開錠する。錠部材6は、図2のように長手方向の略中央部に、動力伝達部材16の駆動軸22と係合可能な挿通孔29を有する。挿通孔29は、平面視が略三角形の孔である。挿通孔29には、動力伝達部材16の駆動軸22が挿通されている。動力伝達部材16が回転すると、挿通孔29の内壁面が駆動軸22によって押され、錠部材6が直線的に動作する。
錠箱5の背面10側は、図4のように背面板34が装着されて閉塞されている。背面板34の中央部には、図6(a)のように接続軸42によって連結板44が固定されている。接続軸42は、背面板34の表裏を貫通しており、背面板34に対して自由に回動できる。接続軸42の先端は、断面形状が略矩形の接続部42aとなっており、連結板44の矩形の連結孔44aに挿入されている。接続軸42の他端側の端面には、図4や図6(b)のように軸方向に窪んだ凹部42bがある。接続軸42は、凹部42bに後述するシリンダー錠65の舌片66が嵌め込まれ、この舌片66に連動して回動する。接続軸42は、接続部42aが背面板34の裏面34a側に向き、凹部42bが表面34b側に向くようにネジ止めされている。
連結板44は、図6(a)のように矩形の連結孔44aと、丸孔44bとを有する。連結板44は、図4のように連結孔44aに背面板34の裏面34a側に突出している接続部42aを嵌め込むことにより接続軸42と接続されている。背面板34は、裏面34aを錠箱5の内側に向け、連結板44の丸孔44bに錠部材6の挿通孔29から突出した動力伝達部材16の駆動軸22を嵌めた状態で固定される。そのため、錠前1は、背面板34の表面34b側に露出した接続軸42を回動させることによって動作機構7の駆動軸22を作動させ、錠部材6を錠箱5から出入りさせることができる。
装着部11は、図3のように錠箱5の正面8側に突出した略円筒形の部分である。装着部11の軸方向の中途部にフランジ部28を有し、このフランジ部28と正面8との間に環状の溝30(係合溝)が形成されている。
摘み部材3は、図2のように摘み部31と、回転軸32とを有する。回転軸32は、摘み部31の中央部に設けられた凹部33から突出しており、その先端部に係合部35と空転部36とが形成されている。錠箱5の正面8側から回転軸32を貫通孔27に挿通すると、係合部35および空転部36は、錠箱5の内側に突出する。凹部33は、装着部11のフランジ部28を収納可能な大きさの開口径を有する。
摘み部31の外周には、摘み部材3が装着部11の軸方向へ摺動するのを阻止するための固定具37(摺動阻止部材)が装着されている。固定具37には、図4および図5に示すようにネジ孔38と、固定ネジ40(摺動阻止軸)の頭部41を収納可能な凹部43とが設けられている。固定具37を摘み部31に装着すると、ネジ孔38は、摘み部31の貫通孔45と連通する。そのため、ネジ孔38に固定ネジ40を装着し、所定量以上ねじ込むと、固定ネジ40の軸部46が凹部33側に突出する。
摘み部材3は、図2のように、凹部33にバネ47を収納させ、回転軸32を装着部11に挿入して錠箱5内に突出させ、この回転軸32に動力伝達部材16およびワッシャ48を介してネジ50を装着することにより固定されている。バネ47は、摘み部材3を錠箱5の正面8から離反する方向(図4,5の矢印B方向)に付勢している。そのため、摘み部材3は、正面8側に押し込まない限り空転部36が動力伝達部材16の挿通孔20内にあり、動力伝達部材16に対して自由に回転できる。即ち、摘み部材3は、常時は動力伝達部材16に対して空回りし、摘み部材3を回転させても、このトルクは動力伝達部材16に伝達されない。
一方、摘み部材3を錠箱5の正面8側(図4,5の矢印A方向)に押し込むと、回転軸32の係合部35が動力伝達部材16の挿通孔20内に侵入して係合する。そのため、摘み部材3を押し込んで回転させると、トルクが動力伝達部材16に伝達され、動力伝達部材16が回転軸32を中心として回転する。
錠前1は、図7に示すように錠箱5が扉60の正面61に固定されており、長側面13が側面62と略面一となっている。扉60には、背面63側からシリンダー錠65が嵌め込まれ、固定されている。シリンダー錠65は、図7に示すように略円筒形であり、正面側に鍵穴(図示せず)を有し、背面側から舌片66が突出している。シリンダー錠65は、鍵穴に鍵を挿入して回転させると、これに連動して図7に矢印a,bで示すように背面側の舌片66が回動する。
図7に示すように錠前1およびシリンダー錠65を固定すると、背面板34の表面34bに突出した接続軸42の凹部42bにシリンダー錠65の舌片66が嵌り込む。そのため、錠前1は、摘み部材3あるいはシリンダー錠65を操作することにより開閉操作を行える。
本実施形態の錠前1は、図4,5や図7に矢印Aで示すように摘み部材3を錠箱5の正面8側に押し込まないと、摘み部材3の操作による開錠を行えない。そのため、錠前1は、例えば扉60に穴を空けたり、扉60と取り付け枠(図示せず)との隙間から工具等を差し込んで摘み部材3を回しても、摘み部材3が空回りして開錠状態とならない。従って、錠前1は、いわゆるサムターン回しと称される不正開錠が試みられても開錠されず、防犯特性に優れている。
錠前1は、摘み部材3を押し込んだ状態で固定具37の固定ネジ40を締め込んでおくと、固定ネジ40の軸部46の先端が、錠箱5の装着部11の外周に設けられた溝30に嵌り込み、摘み部材3を常に押し込んだ状態としておくことができる。かかる状態にしておくと、錠前1は、摘み部材3を押し込まずに回しても施錠あるいは開錠できる。従って、錠前1は、サムターン回しに対する防犯特性よりも操作の簡便さが重要視されるような場所にも好適に設置できる。
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態の錠前について図面を参照しながら詳細に説明する。図8は本実施形態の錠前を示す正面図であり、図9は図8のA−A断面図である。また、図10は、図9の要部拡大図である。図11は、本実施形態の錠前の背板を取り外し、錠箱の一部を破断した状態を示す斜視図である。図12は、本実施形態の錠前の摘み部材および背板を取り外した状態を示す分解斜視図である。図13(a)は、サムターン軸を示す斜視図であり、同(b)は正面図、同(c)は同(a)のB方向矢視図、同(d)は同(a)のC方向矢視図、同(e)は同(a)のA−A断面図である。図14(a)は摘み部材を示す斜視図であり、同(b)は同(a)のA方向図、同(c)は同(a)のB−B断面図、同(d)は同(a)のC方向矢視図である。なお、以下の説明において、上記実施形態の錠前1と同一の構造を有するものについては同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
なお、以下の説明で用いられる用語と請求項2に記載された用語との対応関係については、接続部98が「係合部」に、サムターン軸88が「回転軸」に、ばね106が「付勢手段」に、係合突起73dおよび係合溝73eが「被係合部」に、固定具107、固定ネジ107aおよび溝31が「摺動阻止部材」にそれぞれ対応している。
また請求項7に記載された用語との対応関係については、固定ネジ107aが「摺動阻止軸」に、サムターン軸88が「他部材」に、溝100cが「係合溝」にそれぞれ対応している。
錠前70は、図8のように錠箱71の正面72に取り付けられた摘み部材73を回動させることにより、錠箱71の側面75あるいは側面76にある開口75a,76bから鎌形の錠部材77(施錠片)を出入りさせるものである。錠前70は、図9のように錠箱71を扉60の正面61側にネジ止めし、背板79から突出した収納筒79aが扉60を貫通するようにして使用される。収納筒79a内にはシリンダー錠103が内蔵されている。
錠前70は、図11のように錠箱71の内部に摘み部材73の回動によるトルクを錠部材77に伝える動作機構78を内蔵している。動作機構78は、バネ80と動力伝達部材81とにより構成されている。バネ80は、ねじりコイルバネであり、その両端に係合部82,83を有する。バネ80の一端側は、係合部82を錠箱71の内側に突出した突起85に挿通され、突起85に対して回動自在に支持されている。バネ80の他端側は、係合部83を後述する動力伝達部材81のピン86に挿通され、動作機構78に接続されている。
動力伝達部材81は、平板状の伝達板91の中央部に挿通孔90を有し、両端に伝達板91に対して垂直に立設したピン86,87を有する。挿通孔90は、錠箱71の正面72側から挿入されたサムターン軸88の先端部89が挿通され係合する部分である。ピン86,87は、伝達板91に対して同一方向に突出している。動力伝達部材81は、ピン86にバネ80の係合部83が挿通されると共に、ピン87が錠部材77のピン係合部92に係合されている。そのため、動力伝達部材81は、サムターン軸88の回動によるトルクやバネ80の変形により発生する応力を錠部材77に伝達できる。
錠部材77は、図11のように円板部93と鎌部95とを有し、平面視が錨型の金属製の部材である。錠部材77は、円板部93の中心部に貫通孔96aを有し、スリーブ96bが挿通されている。スリーブ96bには、錠部材77の回動の中心となる中心軸97が挿通されている。円板部93の頂部には、周部から貫通孔96a側に向けて切り欠いて形成されたピン係合部92がある。上記したように、ピン係合部92には、動力伝達部材81のピン87が係合している。錠部材77は、動力伝達部材81が回転すると、ピン係合部92に係合しているピン87によって中心軸97を中心として回動し、錠箱71の開口75aあるいは開口76aから錠部材77の略半分が突出する。
サムターン軸88は、図9,10や図12のように、錠箱71の正面72側から挿通されている。サムターン軸88は、図13に示すように、大別して接続部98、円筒部100、角筒部101によって構成されている。サムターン軸88は、軸心部分に接続部98側の側面から円筒部100の中途にかけて延伸したバネ収納穴102を有する。
接続部98は、サムターン軸88の先端部分にあり、略円筒形の部分である。接続部98の端面98c側には、図13(a),(c)のようにサムターン軸88の軸心部から周部98a側に向けて延伸した十文字の溝98d(係合溝)と、周部98a側から中心軸側に突出した平面視が略扇形の突起98bが形成されている。上記したバネ収納穴102の開口部分は、図13(c)のように溝98dの中央部分に位置している。
円筒部100の軸方向略中央部分には、フランジ部100aがある。サムターン軸88は、図9,10や図12のように、フランジ部100aよりも接続部98側の部位が錠箱71の外側に露出し、角筒部101側の部位が錠箱71内に収納される。円筒部100は、接続部98側に全周にわたる溝100b,100cを有し、角筒部101側に全周にわたる溝100dを有する。溝100b,100cは円筒部100の軸方向に連続している。溝100bは、溝100cよりも接続部98側にあり、溝100cよりも浅い溝である。
角筒部101は、円筒部100に連続する部分であり、図13(d)のように3つの平面状の面101aと円弧状の面101bとを有する。角筒部101の端部には、平面視が略扇形でサムターン軸88の軸方向に突出した突出部101cがある。突出部101cは、後述する錠箱71の背面側に固定されるシリンダー錠103の回転軸105に係合する部分である。
サムターン軸88は、図9,10や図12のように錠箱71の正面72に設けられた貫通孔72aに角筒部101側から挿通されており、円筒部100のフランジ部100aが正面72に面接している。サムターン軸88は、錠箱71の内側から円筒部100の溝100dに嵌め込まれたワッシャ104とフランジ部100aによって錠箱71の正面72を挟んだ状態で回動自在に装着されている。
サムターン軸88の角筒部101は、図9,10のように錠箱71の内側に突出しており、錠箱71内に収納されている動力伝達部材81の挿通孔90に挿通されている。角筒部101は、動力伝達部材81よりもさらに錠前70の背面側に突出している。角筒部101は、錠箱71の背面側を被覆する背板79の収納筒79a内に挿入され、収納筒79a内に収納されているシリンダー錠103の回転軸105に接続されている。そのため、錠前70は、図9のようにシリンダー錠103に鍵181を挿入して回動させることによってもサムターン軸88にトルクを伝達し、施錠や開錠を行うことができる。
一方、サムターン軸88の接続部98側には摘み部材73が接続されている。摘み部材73は、図14のように略円筒形の部材であり、端面73a側に開口した軸挿通孔73bを有する。軸挿通孔73bは、サムターン軸88の接続部98が挿通される部分であり、端部に係合部73cを有する。
係合部73cは、図14のように軸挿通孔73bの外周側から摘み部材73の中心軸側に向けて延伸した係合突起73dを有する。係合突起73dは、軸挿通孔73bの周方向に4つ等間隔に設けられており、隣接する係合突起73d,73d間に略扇形の係合溝73eが形成されている。また、係合部73cの中心部には、円柱状の支持突起73fがある。支持突起73fは、図9や図10のように摘み部材73とサムターン軸88との間にあるバネ106の端部を嵌め込んで支持するためのものである。
摘み部材73の外周には、図14のように上記第1実施形態において採用されていた摘み部材3の固定具37と同様の固定具107(摺動阻止部材)が装着されている。固定具107は、図14に示すように固定ネジ107a(摺動阻止軸)と受け部材107bとから構成されている。受け部材107bには、摘み部材73の外周側から軸心方向に延伸し、軸挿通孔73bに貫通したネジ孔107cと、固定ネジ107aの頭部を収納可能な凹部107dとがある。通常、固定ネジ107aは、図9や図10のように軸部の先端部分がサムターン軸88の溝100bに係合する程度までねじ込まれている。この状態では、固定ネジ107aの先端部分は溝100cには達していない。そのため摘み部材73は、サムターン軸88から脱落せず、サムターン軸88の軸方向に自由に摺動できる。
一方、摘み部材73を図9,10の矢印N方向に押し込み、摘み部材73とサムターン軸88とを嵌合させた状態とすると、固定ネジ107aをさらにねじ込むことができる。この状態では、固定ネジ107aの先端が溝100cに嵌り込み、摘み部材73の摺動が阻止される。
サムターン軸88の接続部98に接続された摘み部材73を図9や図10に矢印Nで示すようにサムターン軸88の軸方向に押し込むと、サムターン軸88と摘み部材73とが嵌合する。さらに具体的には、係合部73cの係合突起73dがサムターン軸88側の十文字型の溝98dに嵌り込む。また逆に、サムターン軸88側の扇形の突起98bは、摘み部材73側の係合溝73eに嵌り込む。摘み部材73をサムターン軸88側に押し込んで嵌合させてから摘み部材73を回転させると、このトルクがサムターン軸88側に伝わる。
一方、図9,10の矢印N方向への力が解除された状態では、バネ106の付勢力により摘み部材73がサムターン軸88から離れ、上記した嵌合状態が解除される。この状態では摘み部材73を回転させても、トルクがサムターン軸88側には伝わらない。即ち、錠前1は、摘み部材73を矢印N方向に押し込まない限り、摘み部材73はサムターン軸88に対して空回りするだけで、錠部材77は錠箱71から出入りしない。
本実施形態の錠前70についても、上記した錠前1と同様に摘み部材73を錠箱71の正面72側に押し込まずに回動操作しても、これによるトルクがサムターン軸88に伝達されず開錠できない。そのため、錠前70は、いわゆるサムターン回しと称される手口による不正開錠を試みようとして摘み部材73を回しても、摘み部材73が空回りするだけで開錠状態とならない。
錠前70は、摘み部材73を押し込み、固定具107の固定ネジ107aを締め込んでおくことで、係合部73cおよび係合突起73dと溝98dおよび突起98bとが常に嵌合した状態としておくことができる。かかる状態にしておくと、錠前70は、摘み部材73を押し込まずに回しても施錠あるいは開錠できる。従って、錠前70は、サムターン回しに対する防犯特性よりも操作の簡便さが重要視されるような場所にも好適に設置できる。
(第3実施形態)
続いて、本発明の別の実施形態の錠前およびサムターンについて説明する。図15は、本実施形態の錠前を取り付けた扉の分解斜視図である。また、図16は、本実施形態の錠前の錠本体を示す斜視図である。図17は、本実施形態の錠前の要部を示す断面図である。図18は、本実施形態の錠前に用いられるサムターンを示す斜視図であり、図19はこの分解斜視図である。なお、以下の説明において上記実施形態と共通する部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
なお、以下の説明で用いられる用語と請求項3に記載された用語との対応関係については、サムターン軸150が「回転軸」に、歯部160が「係合部」に、突起167が「被係合部」にそれぞれ対応している。
図15において110は本実施形態の錠前である。錠前110は、従来公知の錠前と同様に、錠箱115にデッドボルト112(施錠片)およびラッチ113を出入りさせるための動作機構(図示せず)を内蔵した錠本体111にシリンダー錠65およびサムターン116を接続して構成される。
錠本体111は、図16に示すように、錠箱115の正面117および背面118に2つの開口部120,121を有する。開口部120には、上記した動作機構の一部であり、後述するサムターン軸150(回転軸)およびシリンダー錠65の舌片66と係合する係合部122が露出している。デッドボルト112は、サムターン軸150や舌片66の回動と共に動作し、錠箱115の側面123から出入りする。また同様に、開口部121には、上記した動作機構の一部を構成する角穴125が露出している。角穴125は、ドアハンドル126の支軸となる角芯127が挿通されるものである。
錠前110は、図15に示すように錠本体111を扉130内に埋設して使用される。錠本体111は、側面123が扉130の側面131側を向き、デッドボルト112およびラッチ113が側面131から突出可能なように設置される。また、扉130の正面132および背面133には、それぞれ錠箱115の開口部120,121に相当する位置に取り付け孔135,136が窄孔されている。
扉130には、取り付け孔136および開口部121,121を貫通するように角芯127が挿通され、この角芯127の両端にドアハンドル126が固定されている。ドアハンドル126を回動させると、これに連動して錠前110のラッチ113が扉130の側面131から出入りする。
扉130の背面133側に設けられた取り付け孔135には、図15のようにシリンダー錠65が装着されている。シリンダー錠65は、鍵穴(図示せず)のある正面側を外側に向け、背面側の舌片66を係合部122に係合させて固定されている。そのため、シリンダー錠65に鍵181を挿入して回動させると、これに連動して錠箱115内の動作機構が作動し、扉130の側面131からデッドボルト112が出入りする。
一方、扉130の正面132側に設けられた取り付け孔135には、図15や図17のように台座137および支持部材138を介してサムターン116が固定されている。支持部材138は、軸方向に貫通し、サムターン116を挿入するための貫通孔140を有する。貫通孔140は、開口径が支持部材138の前面146側から後面147側に向けて3段階に縮径しており、前面146側から大径部140a、中径部140b、小径部140cの3つの部位に分かれている。支持部材138は円筒体であり、その外周部にはフランジ部141が設けられている。台座137は、支持部材138の外周を包囲する筒状の部材であり、内側に台座137の中心軸方向に突出したフランジ部143を有する。支持部材138は、扉130に対してネジ止めされている。台座137は、フランジ部141,143間に設けられたバネ145によって扉130の正面132側に押しつけられて固定されている。
サムターン116は、図18や図19のように主としてサムターン軸150と摘み部材151、スペーサー152、バネ153、連結軸155を組み合わせて構成されている。摘み部材151とスペーサー152との間には、支持部材138の前面146を被覆する被覆部材156が挟まれている。
サムターン軸150は、大別して頭部157、中間部158、先端部159の3つの部分からなる中実の軸体である。サムターン軸150は、頭部157から先端部158にかけて3段階に縮径している。頭部157の端面157aには、サムターン軸150の姿勢を示す表示157bが印刷されている。先端部159の中途には、外側に向けて突出した歯部160(係合部)が設けられている。歯部160は、先端部159の他の部位よりも径方向外側に突出した4つの突出部160aを有し、隣接する突出部160a同士の間に溝部160bが形成されている。
摘み部材151は、大別してハンドル部161(摘み)、中間部162、先端部163の3つの部分からなる軸体であり、軸心部分にハンドル部161から先端部163に向けて貫通した貫通孔165を有する。貫通孔165は、サムターン軸150の外形にほぼ沿う形状となっており、サムターン軸150が挿通されている。そのため、摘み部材151は、サムターン軸150に対して自由に回動できると共に、サムターン軸150の先端部159側に自由に摺動できる。
摘み部材151の中間部162の外周には、溝166が形成されている。溝166は、スペーサー152を嵌め込むためのものである。先端部163には、内外に向けて突出した4つの突起167(被係合部)が周方向に等間隔に設けられている。突起167は、図17のように、サムターン軸150の端面157aと、摘み部材151のハンドル部161側の端面161aとが面一である状態では、サムターン軸150の歯部160と中間部158との間の部位(以下、空転部175と称す)にある。突起167は、摘み部材151をサムターン軸150の先端部159側に摺動させることによって歯部160の溝部160bに嵌り込み、端面157a,161aが面一である限りは溝部160bには嵌らない。
被覆部材156は、支持部材138の前面146を被覆する被覆面170に挿通孔168とネジ挿通孔171とを設けたものである。摘み部材151は、貫通孔165にサムターン軸150を挿通して組み合わせた状態で被覆部材156の挿通孔168に挿通されている。摘み部材151の中間部162に設けられた溝166にはスペーサー152が嵌め込まれており、スペーサー152とハンドル部161との間に被覆面170が存在している。スペーサー152は、外形が略C字型の部材であり、軸方向に突出した突出部172を有する。スペーサー152は、突出部172を被覆面170側に向けた状態で装着されており、常時は突出部172が被覆面170に当接している。そのため、被覆部材156は、摘み部材151から脱落しない。
摘み部材151の全長は、サムターン軸150の全長よりも短い。そのため、サムターン軸150の端面157aと、摘み部材151の端面161aとが面一である状態において、サムターン軸150の先端部159の一部は、摘み部材151の先端部163から突出した状態となる。サムターン軸150の先端部159は、連結軸155に設けられた差込口176に差し込まれ、ピン177によって固定されている。摘み部材151の先端部163の端面163aと連結軸155の差込口176側に設けられたワッシャ173との間には、バネ153が介在している。バネ153は、サムターン軸150の歯部160の外周部分に位置しており、摘み部材151を連結軸155から離反する方向に付勢している。これにより、摘み部材151の端面161aは、ハンドル部161を先端部159,163側に押し込まない限りサムターン軸150の端面157aと面一に維持される。
連結軸155の先端側には、周方向に4つの凹部178が設けられている。凹部178は、連結軸155を錠箱115の開口部120に挿入した時に、錠箱115内にある係合部122に係合する部分である。
上記したようにして複数の部材を組み合わせて構成されるサムターン116は、支持部材138の前面146側に開口した貫通孔140に連結軸155側から挿通され、被覆部材156のネジ挿通孔171に挿通されたネジ180によってネジ止めされる。摘み部材151の溝166に装着されたスペーサー152の外径は、支持部材138の貫通孔140の大径部140aの内径と略同一である。そのため、摘み部材151は、支持部材138の軸方向に自由に摺動できる。
摘み部材151の先端部163のうち突起167に相当する部位や、摘み部材151の摺動により突起167が移動すると想定される部位は、支持部材138の貫通孔140の中径部140b内にある。摘み部材151の端面163a側の部位は、支持部材138の小径部140c内に挿入されており、先端部分にある連結軸155が支持部材138の後面147から露出している。連結軸155は、扉130内に固定された錠本体111の係合部122に係合している。
錠前110は、従来技術の錠前と同様に扉130の背面133に取り付けられたシリンダー錠65の鍵穴に鍵181を差し込み、回動させることにより施錠や開錠ができるが、サムターン116を従来技術と同様に回動させるだけでは施錠や開錠を行えない。
さらに具体的に説明すると、サムターン116は、ただ単に摘み部材151をサムターン軸150周りに回転させるだけでは先端部163の内側に突出した突起167がサムターン軸150の空転部175の周囲を空転し、摘み部材151のトルクがサムターン軸150に伝達されない。サムターン116は、摘み部材151を図15や図17に矢印Pで示すように先端部159,163側(扉130側)に押し込むと、摘み部材151の突起167がサムターン軸150の空転部175側からサムターン軸150の歯部160側に移動し、溝部160bに嵌り込む。この状態で摘み部材151をサムターン軸150周りに回転させると、摘み部材151のトルクがサムターン軸150に伝達され、摘み部材151とサムターン軸150とが一体となって回転する。サムターン軸150が回転すると、トルクが連結軸155を介して錠箱115内の係合部122に伝達され、デッドボルト112が錠箱115から出入りする。
上記したように、サムターン116は、摘み部材151を先端部159,163側に押し込んでから回転操作を行わないと、トルクが係合部122に伝わらない。そのため、錠前110は、サムターン回しと称される不正開錠のような何らかの手法で回転軸150を回転させるだけでは開錠することができず、防犯特性に優れている。
(第4実施形態)
続いて、本発明のさらに別の実施形態の錠前およびサムターンについて図面を参照しながら詳細に説明する。図20は、本実施形態の錠前を取り付けた扉の分解斜視図である。また、図21は、本実施形態の錠前に用いられるサムターンを示す斜視図であり、図22はこの分解斜視図である。図23は、シリンダー錠の要部を示す正面図である。また、図24は、図21に示すサムターンの動作を示す模式図である。なお、以下の説明において上記実施形態と共通する部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
なお、以下の説明で用いられる用語と請求項4に記載された用語との対応関係としては、摘み部200が「摘み」に、軸部201が「回転軸」に、サムターン軸192が「摘み部材」に、ガイド部材193および規制部材195が「軸挿入部材」に、ピン199aが「突部」に、スリット216と横溝223との重複部分が「周案内溝」に、スリット216と縦溝225との重複部分が「軸案内溝」に、通路218が「規制溝」にそれぞれ対応している。
また請求項5に記載された用語との対応関係については、上記に加えて、スリット216が「案内溝」に、横溝223が「周案内溝」に、縦溝225が「軸案内溝」にそれぞれ対応している。
図20において190は本実施形態の錠前である。錠前190は、上記第3実施形態の錠前110と同様に錠本体111を扉130内に固定し、この錠本体111に扉130の背面133側からシリンダー錠65と略同一の構成を有するシリンダー錠194を接続したものである。錠前190は、扉130の正面132側に固定されるサムターン191の構成が大きく異なる。以下、サムターン191の構成および動作を中心に説明する。
サムターン191は、図21および図22のようにサムターン軸192とガイド部材193、規制部材195、接続軸196、バネ197,198を2本のピン199a(突部)とピン199bを用いて連結したものである。サムターン軸192は、摘み部200と軸部201とを有している。軸部201は、摘み部200側に大径部202を有し、先端側に小径部203を有する。大径部202および小径部203の周部には、それぞれ軸部201の軸心方向に向けて開口し、ピン199a,199bを挿通するためのピン挿通孔205,206が設けられている。
ガイド部材193は、図22のように上記第3実施形態において採用されていた被覆部材156に相当する被覆部207と、被覆部207の周壁208の延伸方向に突出したガイド部210とを有する。被覆部207の被覆面211には、被覆部材156と同様にサムターン191の固定用のネジ挿通孔212とサムターン軸192の軸部201を挿通するための軸挿通孔213が設けられている。
ガイド部210は、略円筒形の形状で被覆部207に対して溶着されており、軸挿通孔213に連通している。ガイド部210の周部215には、周方向に延伸したスリット216がある。スリット216の径方向の開口幅は周部215の略半周分に相当し、軸方向の開口幅はピン199aの外径の略2倍に相当する。周部215上であって、ガイド部210に対向する位置にはガイド部210の軸方向に延伸した係止溝217がある。
バネ197は、ガイド部210の外周に沿うように装着されるものであり、図21や図22,23のように被覆面211と規制部材195との間に介在している。規制部材195は、バネ197によって被覆面211から離反する方向に付勢されている。
規制部材195は、図22のように略円筒形の部材であり、内径がガイド部210の外径と略合致している。規制部材195は、ガイド部材193の外側に装着され、軸挿入部材として使用される。規制部材195の周部220には、規制溝221と規制突起222とがある。規制溝221は、規制部材195の周方向に延伸した横溝223と、規制部材195の軸方向に延伸した縦溝225とが繋がったものである。
横溝223の周方向の開口幅は、ガイド部210のスリット216と同様に周部220の略半周分に相当しており、軸方向の開口幅は、ピン199aの外径より僅かに大きい程度である。縦溝225は、横溝223の周方向中央部に繋がる縦溝225aと、横溝223の周方向両端部に繋がる縦溝225b,225cとから構成されている。3つの縦溝225は、いずれも横溝223に対して同一方向に延伸している。横溝223の周方向および軸方向の開口幅は、いずれもピン199aの外径より僅かに大きい程度である。
規制突起222は、規制溝221に対向する位置にあり、周部220の内周側に突出している。規制突起222は、ガイド部材193の係止溝217に係合可能である。規制突起222をガイド部材193の係止溝217に係合させると、規制部材195はガイド部210の軸方向に摺動可能であるが、ガイド部210の周方向には回動不能となる。規制部材195をガイド部210に装着すると、規制溝221とスリット216とが重なり合い、通路218を形成する。
サムターン軸192、ガイド部材193および規制部材195は、バネ197およびピン199aを用いて一体化されている。さらに具体的には、サムターン軸192は、軸挿通孔213に挿通されており、軸部201がガイド部210側に突出している。軸部201の大径部202は、ガイド部210内に納まっている。
ガイド部210の外周側には、バネ197と規制部材195とが装着されている。バネ197は、被覆面211と規制部材195の端面との間に挟まれており、規制部材195をガイド部材193から離反する方向に付勢している。規制部材195は、縦溝225が被覆面211側を向く姿勢とされて装着されている。ピン199aは、規制部材195の規制溝221およびガイド部210のスリット216を横切り、サムターン軸192のピン挿通孔205に挿通されている。そのため、サムターン軸192は、ピン199aと、規制溝221およびスリット216の組み合わせによって形成される通路218によって回動および摺動が規制されている。
サムターン軸192の小径部203には、バネ198を介して接続軸196が接続されている。接続軸196は、図22のように一端(先端226a)側が閉塞され、他端(開口端226b)側にフランジ部227を有する中空の筒体である。接続軸196の外周部には、軸方向に延伸した長孔228がある。長孔228は、接続軸196の内外を連通している。接続軸196の先端226a側には、周方向に4つの凹部230が設けられている。凹部230は、錠箱115の開口部120に挿入され、係合部122に係合する部分である。
接続軸196の内部には、バネ198が収納されており、開口端226b側にサムターン軸192の小径部203が挿入されている。ピン199bは、長孔228を横切った状態で小径部203のピン挿入孔206に挿入されており、接続軸196とサムターン軸192とを接続している。サムターン軸192は、バネ198によって常時接続軸196から離反する方向に付勢されている。
上記したような構成のサムターン191は、接続軸196を扉130内に固定された錠箱115の開口部120側に差し込んで使用される。一方、扉130の背面133側にはシリンダー錠194が接続されている。シリンダー錠194は、上記実施形態において採用されていたシリンダー錠65と略同一の構成を有するが、シリンダー錠194の背面側に突出している舌片231の構造が異なる。
さらに具体的には、シリンダー錠65,194は、図23のように舌片66,231が収納されている舌片収納部232に連通し、鍵穴(図示せず)から鍵181が挿入される鍵進入路233を有している点で同一の構造を有している。シリンダー錠65の舌片66は、図23(a)のように、切り欠き235を有しているため、鍵181の先端部が図中に矢印で示すように舌片収納部232に侵入してきても外部に押し出されない。一方、シリンダー錠194の舌片231は、鍵181の逃げとなる切り欠き235を有していない。そのため、シリンダー錠194は、鍵穴に鍵181を差し込むと、図23(b)に矢印および二点鎖線で示すように舌片231が外側に押し出される。
本実施形態の錠前190は、サムターン191の動作に特徴を有する。以下、サムターン191の動作について詳細に説明する。図24(a)は、軸方向への外力が作用していない通常時のサムターン191の状態を示す図である。図24(a)の状態では、サムターン軸192は、接続軸196内のバネ198によって付勢され、大径部202の一部がガイド部材193の外側(図中上方)に突出した状態となっている。ガイド部210に装着された規制部材195は、バネ197によって接続軸196側に付勢されており、端部がフランジ部227に当接している。規制部材195の規制突起222は、ガイド部210の係止溝217に嵌り込んでいる。そのため、規制部材195は、ガイド部210に対して自由に回動できない。
ガイド部210のスリット216は、常時は図24(a)のように規制溝221と重なり合った状態となっており、図中にハッチングを施したような通路218を形成する。ピン199aは、規制溝221の縦溝225aに嵌り込んでいる。上記したように、規制溝221はガイド部210に対して回動できない。そのため、サムターン軸192は、図中に矢印R,Lで示すように摘み部200をただ単に回転させようとしてもピン199aが縦溝225aに引っかかって回転できないロック状態になっている。
一方、図24(b)に矢印F1で示すように、バネ198の付勢力に反してサムターン軸192を接続軸196側に押し込むと、大径部202に装着されたピン199aが縦溝225a側から横溝223側へと移動する。横溝223は、規制部材195の内側にあるガイド部210のスリット216と連通し、通路218を形成している。そのため、ピン199aは、横溝223に沿って周方向に自由に回動できる。即ち、サムターン軸192は、接続軸196側に押し込むことによってはじめて自由に回動可能なロック解除状態となる。
サムターン軸192は、長孔228に挿入されたピン199bによって接続軸196に接続されている。そのため、サムターン軸192を接続軸196側に押しこみ、ロック解除状態とした状態で回動させると、接続軸196が回動し、施錠・開錠動作が可能となる。
サムターン軸192は、接続軸196内のバネ198によって常にガイド部材193の外側(図中上方)へ付勢されている。そのため、例えば図24(b)に示すように縦溝225aに相当する位置にピン199aがある状態において、サムターン軸192を接続軸196側に押し込む力が解除されると、サムターン軸192は直ちに図24(a)の姿勢になり、ロック状態に戻る。また、錠前190を施錠あるいは開錠すべくサムターン191の回動操作する場合のように、ピン199aが縦溝225bあるいは縦溝225cに相当する位置にある場合についても、サムターン軸192を押し込む力を解除するとピン199aが縦溝225b,225c内に侵入してロック状態となる。
サムターン191は、図24(c)に矢印F2で示すように、接続軸196側に対してガイド部材193側に向かう力が作用した場合にもロック解除状態となる。さらに具体的には、扉130の背面133側に固定されているシリンダー錠194の鍵181が挿入されると、錠箱115の開口部120に挿入されている舌片231が突出し、開口部120に扉130の正面132側から挿入されている接続軸196を図24(c)の矢印F2方向に押す。
接続軸196が矢印F2方向に押されると、フランジ部227に当接している規制部材195がガイド部材193側に移動し、規制溝221の位置もガイド部材193側にずれる。そのため、ピン199aは、縦溝225a側から横溝223側へと相対移動し、横溝223に沿って自由に回動可能となる。即ち、サムターン軸192は、シリンダー錠194に鍵181を挿入することによっても自由に回動可能となり、ロック状態が解除される。
サムターン191は、シリンダー錠194に挿入された鍵181が抜かれ、接続軸196に作用する矢印F2方向の力が解除されると、バネ197の付勢力により規制部材195が接続軸196側に押し戻される。これにより、ピン199aが縦溝225a,225b,225cのいずれかに嵌り込み、サムターン軸192が直ちにロック状態に戻る。
上記したように、本実施形態の錠前190は、サムターン191を接続軸196側に押し込むか、鍵181をシリンダー錠194に差し込むなどして接続軸196をガイド部材193側に押し込むといった操作を行わない限り、サムターン軸192を回動操作できない。従って、錠前190によれば、不正開錠しようとして回動方向への力を作用させたとしてもサムターン軸192が回動せず、高い防犯効果が得られる。
(第5実施形態)
続いて、本発明のさらに別の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図25は、本実施形態のサムターンを示す斜視図であり、図26はこのサムターンの分解斜視図である。図27は、図25に示すサムターンにおいて採用されている接続軸を示す斜視図である。図28は、図25に示すサムターンの一部断面図である。なお、図25=27では、ケース部材を図示せず省略している。また、以下の説明において、上記各実施形態と共通する部分には同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
なお、以下の説明で用いられる用語と請求項6に記載された用語との対応関係としては、凹部262が「係合部」に、サムターン軸251が「摘み部材」に、溝280が「被係合部」に、バネ255が「付勢手段」にそれぞれ対応している。
図25において250は本実施形態のサムターンである。サムターン250は、上記第4実施形態の錠前190に採用されていたサムターン191と同様に、扉130の正面132側に固定し、錠本体111に接続されて使用されるものである。
サムターン250は、図25および図26のようにサムターン軸251と接続軸252との間に被覆部材156と、蓋部材253、ワッシャ254、バネ255を介在させて構成される。サムターン250は、図28のように円筒形のケース部材259内に収納されている。
サムターン軸251は、摘み部256と軸部257とに大別される。軸部257は、摘み部256側の大径部258と小径部260とを有する。大径部258には、バネ255の端部を差し込むための差込口261が設けられている。小径部260は、周方向に設けられた4つの凹部262(係合部)によって先端部分の形状が十文字型になっている。
被覆部材156は、上記実施形態において採用されていたものと同一の部材であり、被覆面170にサムターン軸251の大径部258を挿入可能な挿通孔168とネジを挿入するためのネジ挿通孔171とを有する。蓋部材253は、外径が被覆部材156の内径に等しい桶状の部材であり、被覆部材156の内側に嵌め込まれる。蓋部材253は、閉塞面263に軸挿通孔265とネジ挿通孔266がある。軸挿通孔265およびネジ挿通孔266は、それぞれ被覆部材156の内側に蓋部材253を嵌め込んだときに挿通孔168およびネジ挿通孔171に相当する位置にある。
挿通孔168および軸挿通孔265に被覆部材156側からサムターン軸251を挿入すると、大径部258に設けられた差込口261は、図25のように蓋部材253側に露出する。サムターン軸251の小径部260の外周にはバネ255が装着されている。
バネ255は円錐コイルバネであり、図25,26のように大径側が蓋部材253側に向くように装着されている。バネ255の大径側の端部267には、バネ255の軸心方向に折り曲げられた接続部268がある。また、バネ255の小径側の端部270には、バネ255の軸方向に向けて折り曲げられた接続部271がある。バネ255は、接続部268がサムターン軸251の大径部258にある差込口261に差し込まれている。さらに、バネ255の端部267側の巻線は、蓋部材253の閉塞面263とワッシャ254との間に挟まれ、固定されている。バネ255の端部270は、接続軸252の内側に挿入されており、後述する差込口278に差し込まれている。
接続軸252は、図26や図27のように、大径部276と、大径部276よりも小径の先端部272とから構成されている。大径部276は、サムターン軸251の小径部260を挿入可能な開口275を有する。先端部272は、扉130内に固定された錠箱115の開口120に挿入される部分であり、周部に4つの凹部273を有する。接続軸252の内部には、大径部276と先端部272との境界部分に段部277がある。段部277には、接続軸252の軸方向に延伸した差込口278がある。差込口278には、バネ255の端部270にある接続部271が挿入されている。サムターン軸251は、バネ255によって接続軸252から離反する方向に付勢されている。
接続軸252の内部には、先端部272側に溝280(被係合部)が形成されている。溝280は、平面視が十文字型であり、サムターン軸251の小径部260の先端部分に合致する形状になっている。そのため、サムターン軸251をバネ255の付勢力に反して接続軸252の奥まで差し込むと、小径部260の先端部分が溝280に嵌合する。
ケース部材259は、図28のように外径が被覆部材156と同一であり、両端に開口281,282を有する筒状の部材である。開口281の内径は、接続軸252の大径部276よりも大きく、開口282の内径は、接続軸252の先端部272の外径と略同一である。サムターン軸251および接続軸252は、開口281側から挿入されており、接続軸252の先端部272の一部が開口282から露出している。
サムターン250は、図28に示すように、バネ255によってサムターン軸251が接続軸252から離反する方向に付勢されており、小径部260の先端が溝280から離れている。そのため、サムターン250は、摘み部256を回動させるだけではトルクが接続軸252側に伝わらず、回動させる力が解除されるとバネ255の反動によって摘み部256が元の姿勢に戻ってしまう。
一方、サムターン250は、バネ255の付勢力に反して摘み部256を接続軸252側に押し込むと、小径部260の先端が接続軸252の溝280に嵌り込む。この状態でサムターン250を回動させると、サムターン軸251と接続軸252とが一体になって回転する。即ち、サムターン250は、サムターン軸251を接続軸252側に押し込んでから回動させない限り、トルクが接続軸252に伝達されない。
上記したように、本実施形態のサムターン250は、サムターン軸251を接続軸252側に押し込んでから回動操作を行わない限り、バネ255の反動によって摘み部256が元の姿勢に戻るだけで接続軸252が回動しない。即ち、サムターン250によって施錠や開錠を行う場合、サムターン軸251を押し込む動作が必須となる。そのため、サムターン250によれば、サムターン回しと称される手口のように扉130の外側から工具等を用いて摘み部256を回す手口による不正開錠を防止できる。
本発明の第1実施形態の錠前を示す斜視図である。 図1に示す錠前の分解斜視図である。 図1の錠前を構成する錠箱を示す斜視図である。 図1に示す錠前のA−A断面図である。 図4の要部拡大図である。 図1に示す錠前の背面板を示す斜視図である。 図1に示す錠前を扉に装着した状態を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態の錠前を示す正面図である。 図8のA−A断面図である。 図9の要部拡大図である。 図8に示す錠前の背板を取り外し、錠箱の一部を破断した状態を示す斜視図である。 図8に示す錠前の摘み部材および背板を取り外した状態を示す分解斜視図である。 (a)は、サムターン軸を示す斜視図であり、同(b)は正面図、同(c)は同(a)のB方向矢視図、同(d)は同(a)のC方向矢視図、同(e)は同(a)のA−A断面図である。 (a)は摘み部材を示す斜視図であり、同(b)は同(a)のA方向図、同(c)は同(a)のB−B断面図、同(d)は同(a)のC方向矢視図である。 本発明の第3実施形態の錠前を取り付けた扉の分解斜視図である。 図15に示す錠前の錠本体を示す斜視図である。 図15に示す錠前の要部を示す断面図である。 図15に示す錠前に用いられるサムターンを示す斜視図である。 図15に示す錠前に用いられるサムターンの分解斜視図である。 本発明の第4実施形態の錠前を取り付けた扉の分解斜視図である。 図20に示す錠前に用いられるサムターンを示す斜視図である。 図20に示す錠前に用いられるサムターンの分解斜視図である。 シリンダー錠の要部を示す正面図である。 図21に示すサムターンの動作を示す模式図である。 本発明の第5実施形態のサムターンを示す斜視図である。 図25に示すサムターンの分解斜視図である。 図25に示すサムターンにおいて採用されている接続軸を示す斜視図である。 図25に示すサムターンの一部断面図である。
符号の説明
1,70,110,190 錠前
2,111 錠本体
3,73 摘み部材
5,72,115 錠箱
6,77 錠部材(施錠片)
7,78 動作機構
16,81 動力伝達部材
20,90 挿通孔
30,98d 溝(係合溝)
31,200,256 摘み部
32 回転軸
35 係合部
36 空転部
37,107 固定具(摺動阻止部材)
40,107a 固定ネジ(摺動阻止軸)
73c 係合部
73d 係合突起
73e 係合溝
88,150,192,251 サムターン軸(回転軸)
98 接続部
98b 突起
106,145,153,197,198,255 バネ(付勢手段)
112 デッドボルト(施錠片)
116,191,250 サムターン
155 連結軸
160 歯部(係合部)
161 ハンドル部(摘み)
167 突起(被係合部)
175 空転部
193 ガイド部材
196,252 接続軸
199a,119b ピン(突部)
262 凹部(係合部)
280 溝(被係合部)

Claims (7)

  1. 錠箱から施錠片を進退させる錠前において、摘みと回転軸とを有する摘み部材と、回転軸と係合して施錠片にトルクを伝達する動力伝達部材とを有し、動力伝達部材は、前記回転軸が挿通される挿通孔を有し、回転軸は、軸方向の異なる位置に動力伝達部材の挿通孔と係合する係合部と、挿通孔に対して空転する空転部とを有し、常時は動力伝達部材の挿通孔内に回転軸の空転部があり、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動させることにより回転軸の係合部が動力伝達部材の挿通孔と係合することを特徴とする錠前。
  2. 錠箱から施錠片を進退させる錠前において、係合部を有する回転軸と、当該回転軸に装着される摘み部材と、回転軸と係合して施錠片にトルクを伝達する動力伝達部材とを有し、前記摘み部材は、回転軸の係合部が係合可能な被係合部を有し、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動させることにより被係合部と係合部とが係合し、さらに摘み部材の軸方向への摺動を阻止する摺動阻止部材を具備していることを特徴とする錠前。
  3. 施錠片を錠箱から出入りさせるための動作機構を備えた錠前に取り付けられるサムターンであって、回転軸と、回転軸に対して回転自在に装着され、回転軸の軸方向に摺動自在な摘み部材と、支持部材を有し、支持部材には貫通孔が設けられ、前記回転軸及び摘み部材は、支持部材の貫通孔に挿通され、前記回転軸は、先端側に係合部を有し、前記摘み部材の軸方向中途部には前記係合部と係合可能な被係合部が設けられており、前記係合部及び被係合部は支持部材に在り、摘み部材は、常時は被係合部が回転軸の係合部から離反する方向に付勢されており、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動させることにより係合部と被係合部とが係合することを特徴とするサムターン。
  4. 施錠片を錠箱から出入りさせるための動作機構を備えた錠前に取り付けられるサムターンであって、摘みと回転軸とを有する摘み部材と、当該摘み部材の回転軸が挿入される軸挿入部材とを有し、前記摘み部材は、回転軸の周部から突出した突部を有し、前記軸挿入部材は、前記突部を周方向に案内する周案内溝と、突部の周方向への移動を阻止する軸案内溝とからなる規制溝を有し、突部は、常時は軸案内溝内にあり、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動することにより周案内溝内に移動することを特徴とするサムターン。
  5. 施錠片を錠箱から出入りさせるための動作機構を備えた錠前に取り付けられるサムターンであって、摘みと回転軸とを有する摘み部材と、当該摘み部材の回転軸が挿入されるガイド部材と、当該ガイド部材に装着される規制部材とを有し、前記摘み部材は、回転軸の周部から突出した突部を備え、前記ガイド部材は、前記突部を周方向に案内する案内溝を備え、規制部材は、ガイド部材に対して摺動可能であり、前記突出部を周方向に案内する周案内溝と、突出部を軸方向に案内する軸案内溝とからなる規制溝とを備え、常時は突部が軸案内溝内にあり、摘み部材を回転軸の軸方向に摺動させることによって突部が周案内溝内に移動し、回転軸側から摘み側に向かう方向に外力を作用させることによって規制部材が摺動し、周案内溝が突部側に移動することを特徴とするサムターン。
  6. 施錠片を錠箱から出入りさせるための動作機構を備えた錠前に取り付けられるサムターンであって、先端に係合部を有する摘み部材と、当該摘み部材の先端に接続される接続軸とを有し、当該軸は、前記係合部が嵌合する被係合部を有し、摘み部材と接続軸との間には、摘み部材を接続軸から離反する方向に付勢する付勢手段が介在しており、付勢手段による付勢力に反して摘み部材を接続軸側に押し込み、摘み部材の係合部と接続軸の被係合部とを嵌合させることによって、摘み部材と接続軸とが一体となって回転可能な状態になり、摘み部材を回転させる力が解除されると、前記付勢部材の反動によって摘み部材が元の姿勢に戻り、トルクが接続軸に伝わらない状態になることを特徴とするサムターン。
  7. 摘み部材の周部から軸心方向に延伸した摺動阻止軸を有し、摘み部材が装着される他部材の周部には、摘み部材を軸方向に摺動させた状態において摺動阻止軸が係合可能な係合溝が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の錠前。
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