JP3992334B2 - 尿石防止剤及びその製造法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トイレ排水管等の尿石の防止・予防に優れた作用を有する、パラジクロロベンゼンを含有しない難崩壊性固形成型体状の尿石防止剤及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、昇華性を有し、水に不溶であるという特性を有するパラジクロロベンゼンは、衣料用殺虫剤の他、尿石防除剤などのトイレ用清浄剤等の基体として、固体酸とともに用いることが知られている(特開昭55−88766号公報、特開平8−206688号公報、仏国特許第1501248号明細書、英国特許第897733号明細書等参照)。
【0003】
また、パラジクロロベンゼンを含有しないトイレ清浄剤としては、例えば次のものが知られている。ポリオキシアルキレン化合物と脂肪族モノイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン化合物を含有する、トイレ貯水槽へ直接投入するタイプの水洗トイレ用固型清浄剤のための徐溶解性基剤が知られている(特開平8−67898号公報)。
【0004】
基剤としての殺菌剤であるP−ヒドロキシ安息香酸ブチル、アセト酢酸メタキシリダイド、アセト酢酸アニリド又はアセト酢酸オルトトルイダイド(グループ1)の1種以上及び同じく殺菌剤である2−ブロモ−2ニトロ−1,3プロパンジオール(グループ2)を含有してなるトイレ清浄剤が知られている(特開平7−304604号公報)。
【0005】
特定粒度のスルファミン酸と多価アルコール系非イオン界面活性剤の性質を有する蔗糖脂肪酸エステルからなる固型成型体をトイレ用スケール除去剤とすること(特開平7−26300号公報)や、特定粒度のスルファミン酸とステアリン酸モノグリセライド等の水溶性有機結合剤及び非イオン性界面活性剤からなる固型成型体をトイレ用スケール除去剤とすること(特開平7−48598号公報)が知られている。
【0006】
ポリオキシエチレン脂肪酸モノエタノールアミンを有効成分として含有するトイレ貯水槽へ直接投入するタイプの水洗トイレ用固型清浄剤(特開平8−67898号公報)や、スルホコハク酸とポリオキシアルキレン型化合物とを含有する軟便付着防止効果と洗浄効果に優れたトイレ用オートクリーナー組成物(特開平7−173500号公報)や、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールを含有する洗浄水を循環使用する便所用脱臭剤(特開平2−154764号公報)が知られている。
【0007】
ベヘニン酸、又はベヘニン酸とステアリン酸に、エチレンオキサイドを50モルから120モル付加したものからなるモノエステル型非イオン性界面活性剤を配合した、水温に依存することなく、安定した色調が得られる色素を含む水洗トイレ洗浄用固型組成物(特開平8−81695号公報)や、1〜20価のポリオキシアルキレン化合物と、炭素原子数4〜16の脂肪族モノイソシアネート化合物とを反応させて得られる分子量1000〜100万の化合物を必須成分とする徐溶解剤を、トイレ用自動芳香洗浄剤の基剤とすること(特開平6−322392号公報)も知られている。
【0008】
無水マレイン酸、クロロ酢酸、cis−ケイ皮酸及びクロトン酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の低融点で水に対する溶解性が低い有機酸と、水に対して適度な溶解性を有するコハク酸及び/又はフマル酸とを含む男子小便器用固型消臭剤が知られている(特開平9−28777号公報)。
【0009】
貯水式水洗トイレットに用いる洗浄芳香剤であって、トリアルキルトリオキサンを主体とする昇華性基材に、洗浄成分としての界面活性剤及び洗浄助剤更に香料を分散させた組成物を打錠成形してなる貯水式水洗トイレット用洗浄芳香剤が知られており、この洗浄芳香剤には必要に応じて、メチレンブルー等の色素やサリチル酸、サイアベンダゾール、安息香酸エステル等の殺菌剤やEDTA等のイオン封鎖剤などの公知の配合剤を添加してもよいことも知られている(特開昭55−141245号公報)。
【0010】
その他、パラジクロロベンゼンを含有しないトイレ用以外の固形清浄剤が開示されているものとしては、例えば次のものがある。石鹸素地、アニオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤、グリセリンモノ脂肪酸エステルを含有する、優れた泡立ちと、ふやけや溶け崩れのない固形洗浄剤組成物が知られている(特開平7−26299号公報)。
【0011】
イミダゾリウムベタイン系化合物からなる両性界面活性剤と、カルボン酸塩型アニオン界面活性剤と、ノニオン界面活性剤と、多価アルコールとを含有する透明状で固形の洗浄剤組成物が知られている(特開平7−62388号公報)。
【0012】
フマル酸ジメチル、安息香酸、トリオキシメチレン、クマリン、P−ジクロルベンゼンおよびトリイソプロピルトリオキサンよりなる群から選ばれた1種または2種以上の昇華性極性化合物にアダマンタンを配合した組成物を溶融成形することを特徴とする賦香剤、防虫剤、殺虫剤、防臭剤、防腐剤等に有効に使用できる昇華性成形物の製造方法が知られている(特開昭53−145920号公報)。
【0013】
【発明が解決すべき課題】
パラジクロロベンゼンは昇華性、水不溶性等の特性を有することからトイレ清浄剤の基剤等として多用されてきたが、近年、その排出基準及び労働省衛生指針などにおいてその使用が問題にされてきており、公共機関や鉄道関係機関においてはパラジクロロベンゼン含有製品の使用が敬遠されるようになってきている。そこで、従来その基剤としてパラジクロロベンゼンを用いていたトイレ清浄剤等におけるパラジクロロベンゼン代替物となりうる基剤の開発が必要とされるが、パラジクロロベンゼンを用いた場合に代わるような固化性及び難崩壊性に優れ、かつ尿石防止作用に優れた尿石防止剤は知られていなかった。
【0014】
本発明の課題は、固化性及び難崩壊性に優れ、かつ尿石防止作用・洗浄作用に優れたパラジクロロベンゼンを含有しない尿石防止剤を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、トリアルキルトリオキサンと相溶性を有し、かつ相溶後室温において固化能を有する界面活性剤をスクリーニングするという方法を採用すると、固化性及び難崩壊性に優れたトリアルキルトリオキサンを含有する尿石防止剤用基剤を見出しうるとの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち本発明は、
(1) ( a)トリアルキルトリオキサン、(b ) 該トリアルキルトリオキサンと相溶性を有しかつ前記トリアルキルトリオキサンとの相溶物が室温において固化能を有するジステアリン酸エチレングリコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、モノステアリン酸ソルビタン、親油性モノステアリン酸グリセリンのいずれかより選択される界面活性剤、及び(c)固体酸を含有する固形成型体からなり、その固形成型体が、少なくとも前記トリアルキルトリオキサンと前記界面活性剤とを溶融して成型することにより得られるものであり、かつその固形成型体を40℃に加温しても溶融しないことを特徴とする尿石防止剤、
(2)固体酸が、トリアルキルトリオキサンと界面活性剤と固体酸の総量に対して、20〜90重量%含まれていることを特徴とする上記(1)記載の尿石防止剤、
(3)固体酸として、スルファミン酸、コハク酸、アジピン酸から選ばれる1種又は2種以上の固体酸を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の尿石防止剤、及び
(4)トリアルキルトリオキサンが、トリイソプロピルトリオキサンであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の尿石防止剤に関する。
【0017】
また本発明の尿石防止剤は、トリイソプロピルトリオキサン等のトリアルキルトリオキサンと界面活性剤とを加熱撹拌し、相溶性を有しかつ相溶物が室温において固化能を有するトリアルキルトリオキサンと界面活性剤との組合せを選び、該選ばれた組合せのトリアルキルトリオキサンと界面活性剤に固体酸を含有せしめて得られる固形成型体を40℃に加温しても溶融しないトリアルキルトリオキサンと界面活性剤とスルファミン酸との組合せをさらに選択し、該選択されたトリアルキルトリオキサンと界面活性剤とスルファミン酸、コハク酸、アジピン酸等から選ばれる1種又は2種以上の固体酸とを、加温・撹拌して得られる混合物を冷却固化することにより製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明におけるトリアルキルトリオキサンのアルキル基としては、炭素数1から4の低級アルキル基を例示することができ、その中でもイソプロピル基、ter−ブチル基が好ましく、具体的化合物としてはトリイソプロピルトリオキサンが特に好ましい。トリイソプロピルトリオキサンは、融点62.5℃の水に不溶の昇華性物質として公知の物質である。そして、これらの化合物は、例えば特公昭52−39835号公報、特公昭52−4555号公報等の記載に基づいて製造することができる。
【0019】
本発明における界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等どのようなものでも使用しうるが、非イオン界面活性剤が好ましい。本発明に用いられる界面活性剤として、例えば、ジステアリン酸エチレングリコール(同「ペグノールEDS」)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(同「ペグノールO−16A」、「ペグノールO−24」)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(同「ペグノールC−18」)、モノステアリン酸ソルビタン(同「ソルボンS−60」)、親油性モノステアリン酸グリセリン(同「ソルボンMG−100」)、親油性モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、分子量1000〜20000のポリエチレングリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとの共重合体からなる非イオン界面活性等の界面活性剤を挙げることができる。
【0020】
本発明においてトリアルキルトリオキサンと相溶性を有しかつ該トリアルキルトリオキサンとの相溶物が室温において固化能を有する界面活性剤は、後述する相溶性試験、固化性試験、加温成形維持性試験により選定することができる。
【0021】
これらの試験を実施するには、まず、トリアルキルトリオキサンと候補となる界面活性剤との任意割合の配合物を調製し、相溶性、固化性、加温成形維持性の各項目について、相溶性試験、固化性試験、加温成形維持性試験の順序で実験を行う。各試験項目をすべてクリアーした配合物にさらに固体酸を含有させることにより、本発明のトイレ用等の尿石防止剤が得られる。また、各試験を全てクリアーできなかった配合物については、トリアルキルトリオキサンと候補となる界面活性剤との配合割合を変えた配合物を調製し、再度上記各試験項目について実験を行うことにより、選定することもできる。
【0022】
上記相溶性試験は、界面活性剤をガラス製サンプル瓶に所定量秤り取り、この中に所定量のトリアルキルトリオキサンを入れ、ウォーターバス内で80〜85℃に加熱しながら撹拌し、溶融後、ウォーターバスから取り出し放冷し、放冷後、トリアルキルトリオキサンと候補となる界面活性剤とがほぼ均一な混合状態になっているかどうかを観察することにより実施することができる。そしてトリアルキルトリオキサンと候補となる界面活性剤とがほぼ均一な混合状態になっている場合に相溶性「可」とし、そうでない場合を相溶性「不可」と判定する。
【0023】
上記固化性試験は、界面活性剤をガラス製サンプル瓶に所定量秤り取り、この中に所定量のトリアルキルトリオキサンを入れ、ウォーターバス内で80〜85℃に加熱しながら撹拌し、溶融後、ウォーターバスから取り出し放冷し、放冷後、トリアルキルトリオキサンと候補となる界面活性剤とがほぼ均一な混合状態になっている、相溶性が可と判定された溶融物について、24時間放置後の固化状態を観察することにより実施することができる。そして、固化している場合は固化性「可」とし、固化していない場合や半固化状態の場合は固化性「不可」と判定する。
【0024】
上記加温成形維持性試験は、固化性試験の結果が「可」のものについて、40℃で3時間加温し、成形性・溶融の状態を観察することにより実施することができる。そして、形が維持され溶融していない場合は加温成形維持性「可」とし、そうでない場合は加温成形維持性「不可」と判定する。
【0025】
次に、相溶性試験、固化性試験、加温成形維持性試験の各項目をすべてクリアーしたトリアルキルトリオキサンと界面活性剤とに、さらに固体酸を添加して、加温・撹拌して得られる混合物を冷却固化した固形成型体について、再度加温成形維持性試験と次の崩壊試験を行う。加温成形維持性試験は、固体酸を添加する以外は上記と同様に行うことができる。また、崩壊試験用成型品の調製は、例えば次のようにして行う。あらかじめ所定量の固体酸をポリカップに秤取りよく混ぜ合わせ、60℃の恒温器に入れて1時間以上温めておく。またこれとは別に、ポリカップに所定量の界面活性剤を秤取り、次に所定量のトリアルキルトリオキサンを秤入れウォーターバス内で80〜85℃に加熱しながら撹拌して混合溶融させる。この混合溶融物の中に、上記1時間以上温めておいた固体酸含有組成物を入れ、均一になるまでよく混合撹拌した後、放置冷却する。冷却固化後、ポリカップより取り出し、崩壊試験用成型品とする。
【0026】
崩壊試験は、上記調製された崩壊試験用成型品の質量を秤り、ポリ容器に入れ、次いでこの容器に満杯近くまで水を入れ、25℃で3日間放置後、成型品をポリ容器から取り出し、水を拭き取って質量を秤り、崩壊率を求めることにより実施することができる。崩壊率(%)は、試験開始前の成型品の質量(g)と3日後の質量(g)との差を、試験開始前の成型品の質量(g)で除し、100を乗ずることにより、すなわち次式により求められる。
【0027】
始めの質量(g)−3日後の質量(g)/始めの質量(g)×100
本発明における固体酸としては、常温で固体であればどのような酸でも用いることができるが、スルファミン酸、アジピン酸、コハク酸が好ましい。また、固体酸の添加量としては、トリアルキルトリオキサンと界面活性剤と固体酸の総量に対して20〜90%、特には50〜90%が望ましく、20%未満であると尿石防止効果が低下し、また90%を超えると固化成型性が低下することがある。
【0028】
本発明の尿石防止剤は、トリアルキルトリオキサンと界面活性剤とを加熱撹拌し、相溶性を有しかつ相溶物が室温において固化能を有するトリアルキルトリオキサンと界面活性剤と組合せを選び、該選ばれた組合せのトリアルキルトリオキサンと界面活性剤にさらに上記固体酸を加えて得られる固形成型体を40℃に加温しても溶融しないトリアルキルトリオキサンと界面活性剤とスルファミン酸との組合せをさらに選択し、該選択されたトリアルキルトリオキサンと界面活性剤と固体酸とを、40〜90℃に加温・撹拌して得られる混合物を冷却固化することにより製造することができる。
【0029】
本発明の尿石防止剤の製造に際しては、冷却固化する前のトリアルキルトリオキサンと界面活性剤と固体酸の混合物において、トリアルキルトリオキサンと界面活性剤とが溶融していることが必要であるが、固体酸は溶融している必要はなく、したがって上記混合物がスラリーであってもよい。そして、これら3種類の物質の添加順序はどのような順序で添加してもよく、例えば、トリアルキルトリオキサンと界面活性剤との溶融物に固体酸を添加、撹拌してスラリー状の混合物として製造してもよく、またトリアルキルトリオキサンと界面活性剤と固体酸の3種を添加、加熱撹拌し、混合スラリーとして製造してもよい。しかし、それぞれ粉末状のトリアルキルトリオキサン、界面活性剤、固体酸を混合し、加圧する打錠成形により製造したものは、放置するとトリアルキルトリオキサンが昇華し、成形体が維持できず、本発明の安定的な効果を奏すことができない。また、かかる尿石防止剤の製造に際して、必要に応じて腐食防止剤、殺菌剤、色素、香料などを添加・配合することもできる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
(試験項目と試験順序)12gのトリイソプロピルトリオキサン(小川香料株式会社製「サンサブリンB」)と8gの各種界面活性剤との配合物(配合割合6:4)を調製し、相溶性、固化性、加温成形維持性の各項目について、相溶性試験、固化性試験、加温成形維持性試験の順序で実験を行い、各試験項目をすべてクリアーした配合物に、固体酸を配合した成型品をつくり、次の崩壊・溶解試験を実施した。
【0031】
(相溶性試験)
常温固体の界面活性剤はあらかじめ溶融し、常温液体の界面活性剤はそのまま30mlガラス製サンプル瓶に所定量秤り取り、この中に所定量のトリイソプロピルトリオキサンを入れ、ウォーターバス内で80〜85℃に加熱しながら撹拌し、溶融後、ウォーターバスから取り出し放冷する。放冷後、トリイソプロピルトリオキサンと候補となる界面活性剤とがほぼ均一な混合状態になっている場合に相溶性「可」とし、そうでない場合を相溶性「不可」とした。
【0032】
トリイソプロピルトリオキサンとの相溶性試験において、ラウリン酸ジエタノール(東邦化学株式会社製「トーホールN−230X」)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(同「ノナール230」)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(同「ペグノールPDS−60A」)、モノパルミチン酸ソルビタン(同「ソルボンS−40」)、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイド共重合体からなる非界面活性剤(同「ペポールB−308」、「ペポールB−188」)は相溶性不可と判定された。
【0033】
相溶性が可のうち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(同「ペグノールL−20S」)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(同「ペグノール14−S」)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(同「ペグノールO−20」)が固化性不可と判定されたが、ジステアリン酸エチレングリコール(同「ペグノールEDS」)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(同「ペグノールO−16A」、「ペグノールO−24」)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(同「ペグノールC−18」)、モノステアリン酸ソルビタン(同「ソルボンS−60」)、親油性モノステアリン酸グリセリン(同「ソルボンMG−100」)では固化性が可と判定された。
【0034】
次に、固化性が可と判定された界面活性剤とトリイソプロピルトリオキサンの組合せのものに、40℃で3時間加温し溶融状態を観察する加温成形維持性試験を行ったところ、固化性が可と判定されたものの殆どは、加温成形維持性試験においても可と判定された。
【0035】
続いて、加温成形維持性試験においても可と判定された、上記界面活性剤とトリイソプロピルトリオキサンに、さらに固体酸としてコハク酸、アジピン酸をそれぞれ添加・配合し固形成型体を調製し、40℃で3時間加温し、成形性・溶融の状態を観察したところ、ジステアリン酸エチレングリコール(同「ペグノールEDS」)、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(同「ペグノールO−16A」、「ペグノールO−24」)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(同「ペグノールC−18」)、モノステアリン酸ソルビタン(同「ソルボンS−60」)、親油性モノステアリン酸グリセリン(同「ソルボンMG−100」)では加温成形維持性試験が可と判定された。
【0036】
同様に、加温成形維持性試験においても可と判定された、上記界面活性剤とトリイソプロピルトリオキサンに、さらに固体酸としてスルファミン酸を添加・配合し固形成型体を調製し、40℃で3時間加温し、成形性・溶融の状態を観察したところ、ジステアリン酸エチレングリコール(同「ペグノールEDS」)、モノステアリン酸ソルビタン(同「ソルボンS−60」)、親油性モノステアリン酸グリセリン(同「ソルボンMG−100」)では加温成形維持性試験が可と判定された。
【0037】
このようにして、コハク酸、アジピン酸、スルファミン酸をそれぞれ含み、その固形成型体が40℃に加温しても溶融しない本発明の尿石防止剤が得られた。また、その固形成型体が40℃に加温しても溶融しない上記の本発明の尿石防止剤について崩壊試験を行ったところ優れた結果が得られた。
【0038】
【発明の効果】
本発明によると、固化性及び難崩壊性に優れ、小便用便器に発生する尿石の防止作用や洗浄作用に優れた尿石防止剤が得られる。

Claims (4)

  1. (a)トリアルキルトリオキサン
    (b)該トリアルキルトリオキサンと相溶性を有しかつ前記トリアルキルトリオキサンとの相溶物が室温において固化能を有するジステアリン酸エチレングリコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、モノステアリン酸ソルビタン、親油性モノステアリン酸グリセリンのいずれかより選択される界面活性剤、及び
    (c)固体酸
    を含有する固形成型体からなり、その固形成型体が、少なくとも前記トリアルキルトリオキサンと前記界面活性剤とを溶融して成型することにより得られるものであり、かつその固形成型体を40℃に加温しても溶融しないことを特徴とする尿石防止剤。
  2. 固体酸が、トリアルキルトリオキサンと界面活性剤と固体酸の総量に対して、20〜90重量%含まれていることを特徴とする請求項記載の尿石防止剤。
  3. 固体酸として、スルファミン酸、コハク酸、アジピン酸から選ばれる1種又は2種以上の固体酸を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の尿石防止剤。
  4. トリアルキルトリオキサンが、トリイソプロピルトリオキサンであることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の尿石防止剤。
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