JP3991694B2 - 空気清浄機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気清浄機に関し、詳しくは、放電部で電荷が付与された粉塵をクーロンカで電気的に捕捉できるように帯電処理を施した集塵部においてアセトアルデヒドを除去するための技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、家庭内で発生する粉塵及び脱臭するための空気清浄機として種々のものが提供されており、除塵、脱臭フィルターは、繊維状の不織布、吸着材を組合せてからなるフィルターが主流である。また特開2000−486のように、放電により活性酸素を発生させる放電極ブロックと、酸化触媒、吸着材を組合せたものがある。この従来方式では、たばこ煙、たばこ臭に含まれるアンモニアに対しては十分であるが、特に、たばこ臭に含まれるアセトアルデヒドにおいては不十分である。
【0003】
アセトアルデヒドの除去については、薬剤処理における方法があるが、初期性能、寿命の面において、十分とはいえなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、たばこ煙やたばこ臭に含まれるアセトアルデヒドを十分に除去することができる空気清浄機を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1記載の発明にあっては、放電部1と対極部2とからなり、放電による活性酸素を発生させると共に放電部1から対極部2に向かう放電により粉塵を帯電させる帯電部3と、放電部1で電荷が付与された粉塵をクーロンカで電気的に捕捉できるように帯電処理を施した集塵部4と、帯電部3及び集塵部4に空気を送る送風手段5とを具備し、上記集塵部4のフィルター層4aにアセトアルデヒドを除去するためのアミン系化合物15を添着し、このアミン系化合物は、硫酸アミン、ポリアリルアミン、界面活性剤のうちの1種、又は2種以上で構成されていることを特徴としており、このように構成することで、集塵部4に吸い込まれた空気がフィルター層4aを通過する際に、アミン系化合物15にアセトアルデヒドが化学吸着され、放電部1より発生する活性酸素によってアセトアルデヒドが酸化分解され、アセトアルデヒドを十分に除去できるようになる。
【0006】
また、集塵部4のフィルター層4aは、放電部1側に配置される除塵層17と、放電部1側と反対側に配置される脱臭層18とからなり、除塵層17の少なくとも放電部1側の面にアミン系化合物15が添着されていることを特徴とする。アミン系化合物15とアセトアルデヒドとの化学結合部に対してアタックする活性酸素の量を増やすことができる。
【0007】
また請求項2記載の発明は、請求項1において、除塵層17の放電部1側に酸化触媒60を担持させることを特徴とするのが好ましく、この場合、酸化触媒60が放電部1からの活性酸素で励起されることで、アセトアルデヒドの酸化分解がより促進される。
【0008】
また請求項3記載の発明は、請求項1において、除塵層17の放電部1側に吸着材70を担持させることを特徴とするのが好ましく、この場合、たばこ臭等に含まれるアンモニアが吸着材70にて除去され、アミン系化合物15によるアセトアルデヒドの除去効率が高まる。
【0009】
また請求項4記載の発明は、請求項1のアミン系化合物15を吸着材70に含浸させたものをフィルター層4aに担持させたので、吸着材70とアミン系化合物15とを同時にフィルター層4aに担持できるようになる。
【0010】
また請求項5記載の発明は、請求項2において、アミン系化合物15を混合したバインダーにより、酸化触媒60を除塵層17に担持させることを特徴とするのが好ましく、この場合、除塵層17にバインダーを塗布するだけで、アミン系化合物15と酸化触媒60の両方を同時に担持させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態の空気清浄機の一例を図9〜図12に示す。図9は、横向き姿勢で壁に設置される壁付けタイプの空気清浄機43の内部構造の一例を示している。この空気清浄機43は、放電部1及び対極部2を有し、放電部1から対極部2へ向かう放電により粉塵を帯電させる帯電部3と、帯電された粉塵を捕集する集塵部4と、これら帯電部3及び集塵部4へと空気を送る送風手段5と、これらを収納する箱型のハウジング7とを備えている。ハウジング7は壁表面Wに近接配置され、ハウジング7と壁表面Wとの間には、銅を含有させた不織布からなる導電性シートSが介在されており、導電性シートSと帯電部3の電気回路とが電気的に接続されている。ハウジング7の後側上端部分には支持片部49が一体に形成され、家屋内の壁表面Wに取り付け固定された支持金具11に支持片部49を係止させることによって、壁表面Wにハウジング7は容易に引っ掛け支持されるようになっている。
【0013】
ハウジング7は、前面が開口した横長の箱型で、ハウジング7の開口した前面には、この開口全面を閉塞するグリル9が取り付けられている。ハウジング7の上側面部には空気吐出口10が、下側面部には空気吐出口10よりも開口面積の大きい空気取り入れ口7aが各々配設されている。また、グリル9の中程部分は若干前方に膨曲した前面部として形成され、この前面部の上下両側に細長状の空気取り入れ口7c、7bがそれぞれ形成されている。ここでは、空気取り入れ口7aと空気取り入れ口7bとが、帯電部3及び集塵部4の周辺付近に配置されている。上下両側の空気取り入れ口7c,7bは、横方向に長い長方形状に形成され、複数の横長スリットを並設した様相のガラリ状枠体が両空気取り入れ口7b,7cに各々着脱自在に取り付けられている。
【0014】
ハウジング7内には、図8に示すように、プレフィルタ12、帯電部3となる放電部1及び対極部2、集塵部4が吸込側からこの順で収容配置され、機械的及び電気的に集塵するものとして、ハウジング7に内装されている。ここで、プレフィルタ12は比較的大きな粉塵を補集するものであり、帯電部3は吸い込まれた粉塵を帯電させるもので、集塵部4は粉塵を補集したり臭気分を脱臭したりするものである。帯電部3及び集塵部4は、図9に示すように、両者間の隙間がその外周で閉塞されるように一体のケーシング6内に収容保持されている。ケーシング6は合成樹脂製一体成形品からなり、上下方向に開口する矩形箱型に形成されている。ケーシング6には、対極部2を保持する係止部8がケーシング6と一体に形成されており、ケーシング6はハウジング7に出し入れできるように、前後方向にスライド自在に係合保持されている。
【0015】
ケーシング6内には、放電部1となる複数本の放電線13が張設されていると共に、放電線13に対向配置されるように波型で多数の小孔を有したパンチングネットからなる対極部2が取り付けられている。放電線13は、例えば線形の細いタングステン線或いはピアノ線で形成されている。ここでは放電部1として、複数本の放電線13に代え、放電用の電極としての薄板状の打ち抜き針を用いてもよい。
【0016】
また、ケーシング6内に収容保持される集塵部4は、極細の繊維が配合された濾材で形成される除塵層17と、その下流側に活性炭18aが充填された脱臭層18とを備えている。除塵層17については後述する。なお図2中の19は導電性を有するカバーリング材であり、ハウジング7の最下流側に装着されている。
【0017】
集塵部4の下流側には、送風手段5としてシロッコファンからなるファン16Aが設置されている。ファン16Aはモータ14によって駆動されるもので、ファン16Aを駆動させると、空気取り入れ口7a,7b,7cからハウジング7内に空気が吸い込まれ、プレフィルタ12から帯電部3及び集塵部4を通過して、機械的及び電気的に浄化される。このときプレフィルタ12で粗いホコリが除去され、次の帯電部3でホコリ等を帯電させる。この帯電したホコリはクーロン力で次の集塵部4のフィルタ部に引き寄せられて除去され、臭い(ガス)成分はフィルタ内部の活性炭18aに吸着される。フィルタを通過した空気は送風手段5を経て空気吐出口10からハウジング7の外部へ排出されて、家屋内の汚れた空気から粉塵や臭気等が補集、脱臭されるようになっている。
【0018】
一方、図10は縦向き姿勢で床に設置される状態を示し、図11は横向き姿勢で床に設置される状態を示し、これらの据え置きタイプの空気清浄機43の基本構造は、前記図9の壁付けタイプの空気清浄機43と同様であり、対応する部分には同一符号を付しておく。
【0019】
図10、図11において、ハウジング7の前面部にグリル9を着脱自在に取り付けて外郭を構成してあり、グリル9の一側部には、図10(b)に示すように、格子部20が設けてあり、また、ハウジング7の一側面部の後部には図10(a)に示すように、別の格子部21が設けてあり、これら格子部20,21がファン16Aの回転による空気取り入れ口となっている。また、ハウジング7の他側面部に更に別の格子部22が設けてあり、この格子部22が浄化された空気吐出口となっている。
【0020】
ハウジング7の最上部には、制御回路基板24(図11)が配置されている。この制御回路基板24には、ハウスダストや花粉粒子などの汚れ物質であるダストを検出するダストセンサ23、赤外線センサなどからなる人体感知センサ25、臭い成分やガス成分を検知する臭いセンサ31などがそれぞれ接続されている。
【0021】
ダストセンサ23、臭いセンサ31は、図12に示す操作パネル34に設けた格子部35、36にそれぞれ面して配置してある。格子部35、36は、それぞれ、空気取り入れ口となる格子部20の近くに配置され、空気取り入れ口に吸引される空気に乗ったダストをダストセンサ23が検知しやすいものとなっており、一方、空気中の臭い成分やガス成分を臭いセンサ31が検知しやすいものとなっている。
【0022】
一方、人体感知センサ25は操作パネル34に設けた光透過部38に面して配置してあり、人体を感知すると、感知信号が制御部(図示せず)に送られて空気清浄機43を運転し、人体の感知がなくなると空気清浄機43を停止するように制御される。この人体感知センサ25を操作パネル34の中央に配置することで、空気清浄機43を縦置きに設置しても横置きに設置しても人体感知センサ25は中央に位置して、人体の感知がしやすくなっている。
【0023】
操作パネル34は、縦置き用と横置き用との2種類があり、説明の文字等の向きが縦向き用と横向き用とで異なっている。従って、図10のような縦向きの場合には縦置き用の操作パネル34をグリル9の最上部に取り付け、図9、図11のような横向きの場合には横置き用の操作パネル34をグリル9の一側部に取り付けるようにすることによって、縦向き、横向きのいずれの場合でも説明の文字の方向が正しい方向となる。
【0024】
さらに、操作パネル34には、図12に示すように、フィルタ交換表示ランプ27、フィルタ交換表示ランプ27が点灯したときにこれを消灯するためのリセットボタン26、電極洗浄ランプ28、タイマ表示用LED29、タイマ切り釦30、風量切り替え釦33がそれぞれ配置してあり、これらは操作パネル34の表面側からの操作ができるようにしてある。なお電極洗浄ランプ28が点灯したときはグリル9を外して内部の電極部分を洗浄する。タイマ表示用LED29はタイマ表示時間の残り時間を表示するものであり、タイマ切り釦30を押してタイマ運転時間の残り時間表示を(1,2,3,4)→オフというようにセットできるものである。また風量切り替え釦33を押すことで、運転モードを自動モード、静音運転モード、標準運転モード→急速運転モード→オフという順番で切り替えることができるようになっている。またタイマ及び風量切替は付属のリモコンでも操作可能になっている。
【0025】
また、操作パネル34のダストセンサ23が設けられる部位とは反対側の端部には、ダストセンサ23により検知した室内のダストによる汚れ度表示と、臭いセンサ31により検知した室内汚れ度表示をする表示部50が設けてある。表示部50は、制御回路基板24(図11)に対して回転自在に挿入してある。これにより空気清浄機43を縦置きに設置しても横置きに設置しても表示部50の向きを縦向きにでき、表示が見やすくなるようにしてある。表示部50は操作パネル34に設けた汚れ度表示面37に対応して設けられており、汚れ度表示面37を通して表示部50を視認できるようにしてある。
【0026】
表示部50は、計測した数値を数字で表示する数字表示部51と、計測した数値を発光体で表示するモード表示部52とを備えている。数字表示部51は、7セグメントLEDや液晶表示等による3桁のデジタル表示とし、モード表示部52はランプ・LED等による4桁のレベル表示としてある。本発明では、ユーザーの通常使用時には、ダストセンサ23の汚れ度表示か臭いセンサ31の汚れ度表示のいずれか一方を数字表示部51で表示し、他方をモード表示部52で表示するようにしている。一方、出荷前の工場内でのモータ特性の検査時にあっては、空気清浄機43の特性項目の1つである回転体16の回転数を、数字表示部51又はモード表示部52のいずれか一方を利用して表示するようにしている。
【0027】
次に、上記集塵部4の構造について説明する。帯電した粉塵を捕集するための集塵部4は、図2、図3に示すように、帯電部3の下流側に配置されている。帯電部3は、放電部1と対極部2とからなり、放電による活性酸素を発生させると共に放電部1から対極部2に向かう放電により粉塵を帯電させるものである。
【0028】
本実施形態の集塵部4は、放電部1で電荷が付与された粉塵をクーロンカで電気的に捕捉できるように帯電処理を施したフィルター層4aからなる。このフィルター層4aは、除塵層17と、前述のように活性炭18aが収納された脱臭層18とに分かれている。除塵層17は、図1に示す例では、多孔質のPP層41と多孔質のPET層40とからなる2層シートで構成されていると共に、その表面積を確保するために蛇腹状に折り曲げられている。ちなみに、PP層41のみでは蛇腹状に折り曲げ難いため、本例ではPP層41とPET層40とを重ね合わせることで、蛇腹状に折り曲げ易く、その蛇腹形状で保持できるようにしている。
【0029】
上記除塵層17には、アセトアルデヒドを除去するためのアミン系化合物15が添着されている。本実施形態では、アミン系化合物15は、少なくともPET層40の放電部1側の面に添着されており、放電部1と対向して配置されている。ここで、アミン系化合物15としては、アセトアルデヒドを除去しうる硫酸アミン、ポリアリルアミン、界面活性剤のうちの1種、または2種以上のものが選ばれる。
【0030】
なお、アセトアルデヒドを除去しうる界面活性剤としては、カチオン界面活性剤と両性界面活性剤の2つに分けられ、これらをさらに細分化すると、(1)、アミン塩型カチオン界面活性剤(例えば、ソレミンA型カチオン界面活性剤、サパミンA型カチオン界面活性剤、アーコベル型A型カチオン界面活性剤、イミダゾリン型A型カチオン界面活性剤)。(2)、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、サパミン型第4級アンモニウム塩)。(3)、カルボン酸塩型両性界面活性剤(例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤)。(4)、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、(5)、スルホン酸塩型両性界面活性剤、(6)、燐酸エステル塩型界面活性剤とに分けられる。本実施形態では、界面活性剤の一例としてアルキルトリメチルアンモニウム塩を使用しているが、必ずしもこれに限られず、上記例示した各種の界面活性剤を1種或いは2種以上を選択的に使用してもよいものである。また、この界面活性剤と上記硫酸アミン、ポリアリルアミンのうちから選ばれた1種、または2種以上を組み合わせて使用してもよいものである。
【0031】
しかして、集塵部4の除塵層17に、アミン系化合物15を添着したことによって、除塵層17がをアセトアルデヒドを吸着する機能を持つようになる。その作用を図13に示す。PET層40上に含浸されている、或いは吸着材70、バインダー内に含まれているアミノ化合物(−NH2)にアセトアルデヒド(CH3CHO)が化学吸着され、放電部1より発生するラジカル(活性酸素:O・)が、化学結合部(C=N)にアタックし、アセトアルデヒドを酸化分解させ、もとの化合物に戻る。これにより、アセトアルデヒドを十分に除去できるようになる。そのうえ従来の薬剤処理方式と比較して、初期性能、寿命の面においても十分に満足できるものとなる。なお、たばこ臭に含まれるアンモニアは、除塵層17の下流に配置される脱臭層18及び後述のように集塵部4の放電部1側の面に配置される吸着材70(例えば、シリカゲル)によって除去される結果、清浄な空気を室内に供給できるようになる。
【0032】
また本例ではアミン系化合物15を、PET層40の放電部1側の面に添着して、放電部1と対向させて配置しているので、図13に示す化学結合部(C=N)にアタックする放電部1からの活性酸素の量が増えることとなり、アセトアルデヒドの酸化分解作用が一層促進されるようになる。
【0033】
なお、図1の実施形態では、多孔質のPET層40にアミン系化合物15を含浸させている。
【0034】
また、アセトアルデヒドの除去効果をより高める例として、図4に示すように、上記アミン系化合物15が添着されているPET層40の放電部1側の面に、酸化亜鉛等の酸化触媒60を担持させるようにしてもよい。この酸化亜鉛は、活性酸素で励起されてアセトアルデヒド等の臭気成分の酸化分解を促進させる働きをする。また、図5に示すように、アミン系化合物15が添着されているPET層40の放電部1側の面に、吸着材70(例えば、シリカゲル)を担持させてもよく、この場合、たばこ臭等に含まれるアンモニアがシリカゲルに吸着されるので、除塵層17にはアンモニアの含有量の少ない空気が通過するようになり、アミン系化合物15によるアセトアルデヒドの除去効率を高めることができる。
【0035】
また図6に示すように、PET層40の放電部1側の面に、アミン系化合物15を含浸させた吸着材70(例えば、シリカゲル)を担持させてもよい。この場合、PET層40には、アミン系化合物15は含浸されず、PET層40上の放電部1側の面に、シリカゲルとアミン系化合物15との一体物を担持させることにより、PET層40上にアミン系化合物15を含浸させる工程を省略でき、生産性を良くしながらアセトアルデヒドの除去効率を高めることができる。なお図6の変形例として、図1、図4、図5のようにアミン系化合物15が添着されているPET層40上に、更に別にアミン系化合物15を含浸させたシリカゲルを担持させるようにすることも可能である。
【0036】
図7は更に他の実施形態としてアミン系化合物15が添着されているPET層40の放電部1側の面に、アミン系化合物15を混合させたバインダーを用いて、酸化触媒60(例えば、酸化亜鉛)を担持させた場合の一例を示している。この場合、PET層40にバインダーを塗布するだけで、アミン系化合物15と酸化触媒60の両方をPET層40に担持させることができるものである。
【0037】
【実施例】
以下本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
PET層40を、硫酸アンモニウム塩5wt%、グリセリン5wt%、燐酸ナトリウム5wt%、水85wt%に調整された溶液に含浸させる。そして、乾燥した後に、PP層41を貼りあわせ、蛇腹状に折ったフィルターを作製した。
(実施例2)
上記実施例1のフィルターと放電部とを組み合わせたブロック(図1)を作製した。
(実施例3)
上記実施例1の硫酸アンモニウム塩に代えて、ポリアリルアミンを用い、実施例1と同じ条件で作製したフィルターと放電部とを組み合わせたブロック(図1)を作製した。
(実施例4)
上記実施例1の硫酸アンモニウム塩に代えて、アルキルトリメチルアンモニウム塩を用いて、実施例1と同じ条件で作製したフィルターと放電部とを組み合わせたブロック(図1)を作製した。
(実施例5)
PET層40に、酸化亜鉛(粒径30μm<Dp(直径ピッチ)<100μm)を、1m2あたり5gになるようにバインダーにて担持させたものを作製し、PP層41を貼りあわせて、蛇腹状に折ったフイルターを作製し、放電部と組合せたブロック(図4)を作製した。
(実施例6)
PET層40に、シリカゲル(粒径30μm<Dp<100μm)を、1m2あたり5gになるようバインダーにて担持させたものを作製し、PP層41を貼りあわせて、蛇腹状に折ったフィルターを作製し、放電部と組合せたブロック(図5)を作製した。
(実施例7)
PET層40に、粒径30μm<Dp<100μmのシリカゲルと、硫酸アンモニウム塩5wt%、グリセリン5wt%、燐酸ナトリウム5wt%、水85wt%に調整された溶液とをバインダーにて担持させたものを作製し、PP層41を貼りあわせて、蛇腹状に折ったフィルターを作製し、放電部と組合せたブロック(図6)を作製した。
(実施例8)
PET層40に、酸化亜鉛(粒径30μm<Dp<100μm)を、1m2あたり5gになるように、バインダーに硫酸アンモニウムを重量比10%溶かしたものを用いて担持し、PP層41を貼りあわせて、蛇腹状に折ったフィルターを作製し、放電部と組合せたブロック(図7)を作製した。
(実施例9)
PET層40を炭酸ヒドラジン(塩)5wt%、グリセリン5wt%、燐酸ナトリウム5wt%、水85wt%に調整された溶液に含浸させる。そして、乾燥した後にPP層41を貼りあわせて、蛇腹状に折ったフィルターを作製した。
(実施例10)
PET層40を燐酸ヒドラジン(塩)5wt%、グリセリン5wt%、燐酸ナトリウム5wt%、水85wt%に調整された溶液に含浸させる。そして、乾燥した後にPP層41を貼りあわせて、蛇腹状に折ったフィルターを作製した。
【0038】
なお、上記実施例1〜10において、評価は、10cm角のブロックに、通過風速10cm/sで、アセトアルデヒドのガス濃度10ppmを通過させた時の、通過前後の濃度を検知管(ガステック社製)を使い、評価を実施した。その結果を下記表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
ただし、除塵層を構成するフィルター層の材質は、PET層40とPP層41とに限定されるものではなく、例えば紙、植物繊維、動物繊維、合成繊維または無機繊維等を編成、物理・化学的接着等による編み物、不織布等に加工した多孔質シートであればよい。また、実施例1の硫酸アンモニウムには限定せずに、アミン化合物に属するものであればよく、またグリセリンには限定せず、保湿材化合物であればよく、また、燐酸ナトリウムには限定せず、PH調整液(PHが変わると溶液が凝縮したりするため、PHを7〜10程度の範囲にコントロールするために使用される)であればよいものである。このことは実施例2〜10においても同様である。また、実施例8の酸化亜鉛には限定せずに、酸化金属であればよい。さらに実施例5〜8のバインダー、実施例6、7の吸着材は、特に限定しない。
【0041】
【発明の効果】
上述のように請求項1記載の発明にあっては、放電部と対極部とからなり、放電による活性酸素を発生させると共に放電部から対極部に向かう放電により粉塵を帯電させる帯電部と、放電部で電荷が付与された粉塵をクーロンカで電気的に捕捉できるように帯電処理を施した集塵部と、帯電部及び集塵部に空気を送る送風手段とを具備し、上記集塵部のフィルター層にアセトアルデヒドを除去するためのアミン系化合物を添着し、このアミン系化合物は、硫酸アミン、ポリアリルアミン、界面活性剤のうちの1種、又は2種以上で構成されているので、集塵部に吸い込まれた空気がフィルター層を通過する際に、アミン系化合物にアセトアルデヒドが化学吸着され、放電部より発生する活性酸素によってアセトアルデヒドが酸化分解され、アセトアルデヒドを十分に除去できる空気清浄機を提供することができる。
【0042】
また、集塵部のフィルター層は、放電部側に配置される除塵層と、放電部側と反対側に配置される脱臭層とからなり、除塵層の少なくとも放電部側の面にアミン系化合物が添着されているので、アミン系化合物とアセトアルデヒドとの化学結合部に対してアタックする活性酸素の量が増え、アセトアルデヒドの酸化分解が促進されることとなる。
【0043】
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、除塵層の放電部側に酸化触媒を担持させたので、酸化触媒が放電部からの活性酸素で励起されることで、アセトアルデヒドの酸化分解がより促進されるようになる。
【0044】
また請求項3記載の発明は、請求項1記載の効果に加えて、除塵層の放電部側に吸着材を担持させたので、たばこ臭等に含まれるアンモニアが吸着材にて除去されるので、除塵層にはアンモニアの含有量の少ない空気が通過することとなり、アミン系化合物によるアセトアルデヒドの除去効率が高められる。
【0045】
また請求項4記載の発明は、請求項1のアミン系化合物を吸着材に含浸させたものをフィルター層に担持させたので、請求項1記載の効果に加えて、フィルター層にアミン系化合物を添着させる工程を省略できると共に、吸着材とアミン系化合物とを同時に担持させることができ、生産性を良くしながらアセトアルデヒドの除去効率を高めることができる。
【0046】
また請求項5記載の発明は、請求項2記載の効果に加えて、アミン系化合物を混合したバインダーにより、酸化触媒を除塵層に担持させたので、除塵層にバインダーを塗布するだけで、アミン系化合物と酸化触媒の両方を同時に担持させることができ、生産性が良くしながらアセトアルデヒドの除去効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す除塵層と放電部の概略図である。
【図2】同上のプレフィルターと帯電部とアミン系化合物を含有する集塵部の概略図である。
【図3】同上の集塵部の概略断面図である。
【図4】同上の除塵層の他例の概略図である。
【図5】同上の除塵層の更に他例の概略図である。
【図6】同上の除塵層の更に他例の概略図である。
【図7】同上の除塵層の更に他例の概略図である。
【図8】同上のプレフィルターと帯電部とアミン系化合物を含有する集塵部の概略斜視図である。
【図9】同上の空気清浄機内部を説明する断面図である。
【図10】同上の空気清浄機の他例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図11】同上の空気清浄機のグリルを取り除いた状態の正面図である。
【図12】同上の操作パネル付近の正面図である。
【図13】同上のアミン系化合物にてアセトアルデヒドを除去する化学式の一例を表した図である。
【符号の説明】
1 放電部
2 対極部
3 帯電部
4 集塵部
4a フィルター層
15 アミン系化合物
17 除塵層
18 脱臭層
60 酸化触媒
70 吸着材
Claims (5)
- 放電部と対極部とからなり、放電による活性酸素を発生させると共に放電部から対極部に向かう放電により粉塵を帯電させる帯電部と、放電部で電荷が付与された粉塵をクーロンカで電気的に捕捉できるように帯電処理を施した集塵部と、帯電部及び集塵部に空気を送る送風手段とを具備し、上記集塵部のフィルター層が、放電部側に配置される除塵層と、放電部側と反対側に配置される脱臭層とからなり、除塵層の少なくとも放電部側の面にアセトアルデヒドを除去するためのアミン系化合物が添着され、このアミン系化合物は、硫酸アミン、ポリアリルアミン、界面活性剤のうちの1種、又は2種以上で構成されていることを特徴とする空気清浄機。
- 除塵層の放電部側に酸化触媒を担持させたことを特徴とする請求項1記載の空気清浄機。
- 除塵層の放電部側に吸着材を担持させたことを特徴とする請求項1記載の空気清浄機。
- 請求項1のアミン系化合物を吸着材に含浸させたものをフィルター層に担持させたことを特徴とする空気清浄機。
- アミン系化合物を混合したバインダーにより、酸化触媒を除塵層に担持させたことを特徴とする請求項2記載の空気清浄機。
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