JP3991661B2 - ショックアブソーバ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車高調整機能(例えば、エアサス)を有さない車両用サスペンション装置において採用されるショックアブソーバ、特に、リバウンド時にピストンロッドが伸張作動することで、シリンダ内に内蔵したリバウンドスプリングを前記ピストンロッドと前記シリンダ間にて軸方向に圧縮させるように構成したショックアブソーバに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のショックアブソーバは、例えば、実開平4−106536号公報に示されている。同公報に示されているショックアブソーバの一つにおいては、リバウンドスプリングが並列に複数設けられていて、ピストンロッドに対する各リバウンドスプリングの圧縮開始位置がずらして設けられている。このため、ピストンロッドの伸張作動(軸方向変位)に伴って、作用するリバウンドスプリングの数が次第に増加し、リバウンドスプリング全体でのばね定数を段階的に増加できて、変位規制時にピストンロッドに伝達される衝撃を小さく抑えることが可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した公報に示されているショックアブソーバでは、車載荷重の変化により車高が変化するとき、ピストンロッドの軸方向変位に伴って、ピストンロッドに対する各リバウンドスプリングの圧縮開始位置(各リバウンドスプリングの作動タイミング)が変動する。したがって、リバウンドスプリングにて得られる作動特性が大きく異なるおそれがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した問題に対処すべく、本発明では、リバウンド時にピストンロッドが伸張作動することで、シリンダ内に内蔵したリバウンドスプリングを前記ピストンロッドと前記シリンダ間にて軸方向に圧縮させるように構成したショックアブソーバにおいて、車載荷重の変化による車高変化時に前記リバウンドスプリングの予圧縮力を略同じに維持した状態で前記リバウンドスプリングのロッド側係合部とこれに係合する前記ピストンロッド側の係止部間の軸方向クリアランスをゼロに維持すべく調整する調整機構を前記シリンダ内に設けたこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0005】
この場合において、前記調整機構は、前記シリンダ内に収容した作動流体の一部の流動で作動する流体式調整機構であること(請求項2に係る発明)も可能であり、この場合において、前記調整機構は、前記ピストンロッドと一体的に移動するピストンと、このピストンを相対的に軸方向へ移動可能に収容して作動流体の封入室を形成するアジャストシリンダと、前記封入室への作動流体の流入・流出を制限する制限手段(例えば、オリフィス)と、前記ピストンと前記アジャストシリンダ間に介装されて前記アジャストシリンダを前記リバウンドスプリングに向けて付勢するアジャストスプリングを備えていること(請求項3に係る発明)が望ましい。
【0006】
【発明の作用・効果】
本発明によるショックアブソーバにおいては、車載荷重の変化による車高変化時に、シリンダ内に設けた調整機構が、リバウンドスプリングの予圧縮力を略同じに維持した状態で、リバウンドスプリングのロッド側係合部とこれに係合する前記ピストンロッド側の係止部間の軸方向クリアランスをゼロに維持する。このため、車載荷重の変化により車高が変化したときにも、その状態での車両走行中において中立位置からリバウンドにてピストンロッドが伸張作動を開始するのと略同時のタイミングにて、シリンダ内に内蔵したリバウンドスプリングがピストンロッドとシリンダ間にて略同じ初期予圧縮状態から軸方向に圧縮され始める。したがって、車載荷重の変化により車高が変化したときにも、リバウンドスプリングにて所期の作動特性と略同じ作動特性が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1および図2は本発明によるショックアブソーバを示していて、このショックアブソーバでは、気密および液密的に密封された外筒11内にロッドガイド12、シリンダ(内筒)13、ベースバルブ14等が組付けられていて、シリンダ13と外筒11間にはガスと作動油を収容するリザーバ室15が形成されている。
【0008】
また、シリンダ13内には、スプリングリテーナ16、リバウンドスプリング17、ピストンバルブ18および調整機構20等が組み込まれていて、作動油が充填されており、ピストンバルブ18および調整機構20は、外筒11、スプリングリテーナ16およびリバウンドスプリング17を貫通するピストンロッド19の下方部位に組付けられている。シリンダ13内の作動油は、ピストンバルブ18を通して流動可能である。また、シリンダ13内の作動油とリザーバ室15内の作動油は、ベースバルブ14を通して流動可能である。
【0009】
リバウンドスプリング17は、スプリングリテーナ16と調整機構20間に微少量予圧縮された状態で介装されていて、車両のリバウンド時にピストンロッド19が伸張作動することで、ピストンロッド19とシリンダ13間(詳細には、調整機構20とスプリングリテーナ16間)にて軸方向に圧縮されるようになっている。
【0010】
調整機構20は、シリンダ13内に収容した作動油の一部の流動で作動する流体式調整機構であって、車載荷重の変化による車高変化時にリバウンドスプリング17の予圧縮力を略同じに維持した状態でリバウンドスプリング17のロッド側係合部17aとこれに係合するピストンロッド19側の係止部(後述するアジャストシリンダ22のリバウンドスプリング17側端部)間の軸方向クリアランスをゼロに維持すべく自動的に調整する(すなわち、車載荷重の変化によって車高が変化しても、リバウンドスプリング17の予圧縮力を略同じに維持した状態で、上記したクリアランスが変化しないように調整する)ものである。
【0011】
この調整機構20は、ピストンロッド19と一体的に移動するピストン21と、このピストン21を相対的に軸方向へ移動可能に収容してピストンロッド19およびピストン22とにより作動油の封入室Rを形成するアジャストシリンダ22と、このアジャストシリンダ22に形成されて封入室Rへの作動油の流入・流出を制限するオリフィス23と、ピストン21とアジャストシリンダ22間に介装されてアジャストシリンダ22をリバウンドスプリング17に向けて付勢するアジャストスプリング24を備えている。
【0012】
アジャストスプリング24は、ばね定数が0.02Kgf/mm程度で、図1の右半分に示した圧縮状態(車両の空車状態)でセット荷重が3Kgf程度となるものが採用されている。オリフィス23は、ピストン21とアジャストシリンダ22が図1の右半分に示した状態(空車状態)で所定量Lストロークした後に、ピストン21に対してアジャストシリンダ22がリバウンドスプリング17に向けてアジャストスプリング24により押動されて図1の左半分に示した状態(積車状態)となる際の速度が1.2mm/sec程度となるように、その孔径が設定されている。このため、車両走行時における通常のストローク速度領域では、アジャストシリンダ22がピストン21に対して動かない状態(油圧ロック状態)とほぼ等価であり、リバウンドスプリング機能のみが作用する。なお、アジャストスプリング24の表面には、摩擦を低減するために、低摩擦材を被覆するのが望ましい。
【0013】
上記のように構成したこの実施形態のショックアブソーバにおいては、車載荷重の変化による車高変化時、例えば、空車状態から積車状態に変化するとき、シリンダ13内に設けた調整機構20において、ピストンロッド19の下動に伴って図1の右半分に示したピストン21、アジャストシリンダ22、アジャストスプリング24等がピストンロッド19と一体で下動した後に、ピストン21に対してアジャストシリンダ22がリバウンドスプリング17に向けてアジャストスプリング24により押動されて図1の左半分に示した状態に上動する作動(作動油がオリフィス23を通して封入室Rに流入し、アジャストシリンダ22が1.2mm/sec程度の速度でゆっくり上動する作動)が得られる。このため、調整機構20がリバウンドスプリング17の予圧縮力を略同じに維持した状態で、リバウンドスプリング17のロッド側係合部17aとピストンロッド19側の係止部(アジャストシリンダ22のリバウンドスプリング17側端部)間の軸方向クリアランスをゼロに維持する。
【0014】
一方、積車状態から空車状態に変化するときには、車載荷重の低下に応じてピストン21がピストンロッド19とともに上動する作動が得られて、作動油がオリフィス23を通して封入室Rから流出し、アジャストスプリング24がゆっくり圧縮される作動が得られる。このため、このときには、リバウンドスプリング17のロッド側係合部17aとピストンロッド19側の係止部(アジャストシリンダ22のリバウンドスプリング17側端部)間の軸方向クリアランスがゼロに維持された状態で、しかもリバウンドスプリング17の予圧縮力が略同じに維持された状態で、調整機構20が図1の左半分に示した状態から図1の右半分に示した状態に変化する。
【0015】
このため、この実施形態のショックアブソーバにおいては、車載荷重の変化により車高が変化したときにも、その状態での車両走行中において中立位置(図1に示した位置)からリバウンドにてピストンロッド19が伸張作動を開始するのと略同時のタイミングにて、シリンダ13内に内蔵したリバウンドスプリング17がピストンロッド19とシリンダ13間にて略同じ初期予圧縮状態から軸方向に圧縮され始める。したがって、車載荷重の変化により車高が変化したときにも、リバウンドスプリング17にて所期の作動特性と略同じ作動特性が得られる。この結果、如何なる積載状態においても、リバウンドスプリング17が旋回初期から機能し、車両の操安性向上を図ることが可能である。
【0016】
また、この実施形態のショックアブソーバにおいては、調整機構20がシリンダ13内に収容した作動油の一部の流動で作動する流体式調整機構であるため、シリンダ13内に収容した作動流体を有効に利用して、シンプルに構成することが可能である。また、調整機構20が、ピストン21、アジャストシリンダ22、オリフィス23およびアジャストスプリング24によって構成されていて、調整機構20をシンプルかつ安価に構成することが可能である。
【0017】
上記実施形態においては、複筒式のショックアブソーバに本発明を実施したが、本発明は単筒式のショックアブソーバにも同様にまたは適宜変更して実施することが可能である。また、上記実施形態においては、アジャストシリンダ22に小孔を穿設することでオリフィス23を形成して実施したが、このオリフィス23はアジャストシリンダ22とは別部材に形成して実施することも可能である。オリフィス23を別部材に形成して実施する場合には、オリフィス23の加工がしやすくオリフィス23を高精度に作ることが可能である。オリフィス23はピストン21またはピストンロッド19に形成して実施することも可能である。
【0018】
また、上記実施形態においては、封入室Rへの作動流体の流入・流出を制限する制限手段としてオリフィス23を採用して実施したが、他の種々な制限手段(例えば、制御弁)を採用して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるショックアブソーバの一実施形態を示した縦断面図である。
【図2】 図1に示したショックアブソーバの要部拡大断面である。
【符号の説明】
11…外筒、12…ロッドガイド、13…シリンダ、14…ベースバルブ、15…リザーバ室、16…スプリングリテーナ、17…リバウンドスプリング、17a…ロッド側係合部、18…ピストンバルブ、19…ピストンロッド、19a…係止部、20…調整機構、21…ピストン、22…アジャストシリンダ、23…オリフィス、24…アジャストスプリング。
Claims (3)
- リバウンド時にピストンロッドが伸張作動することで、シリンダ内に内蔵したリバウンドスプリングを前記ピストンロッドと前記シリンダ間にて軸方向に圧縮させるように構成したショックアブソーバにおいて、車載荷重の変化による車高変化時に前記リバウンドスプリングの予圧縮力を略同じに維持した状態で前記リバウンドスプリングのロッド側係合部とこれに係合する前記ピストンロッド側の係止部間の軸方向クリアランスをゼロに維持すべく調整する調整機構を前記シリンダ内に設けたことを特徴とするショックアブソーバ。
- 請求項1に記載のショックアブソーバにおいて、前記調整機構は、前記シリンダ内に収容した作動流体の一部の流動で作動する流体式調整機構であることを特徴とするショックアブソーバ。
- 請求項2に記載のショックアブソーバにおいて、前記調整機構は、前記ピストンロッドと一体的に移動するピストンと、このピストンを相対的に軸方向へ移動可能に収容して作動流体の封入室を形成するアジャストシリンダと、前記封入室への作動流体の流入・流出を制限する制限手段と、前記ピストンと前記アジャストシリンダ間に介装されて前記アジャストシリンダを前記リバウンドスプリングに向けて付勢するアジャストスプリングを備えていることを特徴とするショックアブソーバ。
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