JP2015190603A - 油圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インナチューブ21とロッド31とを備えるフロントフォーク1であって、インナチューブ21内を軸方向においてスライドする上側の第1ストッパ50と、インナチューブ21内を軸方向においてスライドする下側の第2ストッパ60と、第1ストッパ50及び第2ストッパ60の間に設けられ、第1ストッパ50及び第2ストッパ60を軸方向外側に付勢する圧縮コイルばね80と、インナチューブ21に設けられ、第1ストッパ50に係止する第1ストッパリング71と、インナチューブ21に設けられ、第2ストッパ60に係止する第2ストッパリング72と、ロッド31に設けられ、圧縮時、第1ストッパ50に当接し圧縮コイルばね80を圧縮させるラバー33と、ロッド31に設けられ、伸長時、第2ストッパ60に当接し圧縮コイルばね80を圧縮させるリバウンドシート34と、を備える。
【選択図】図2
Description
フロントフォーク1(油圧緩衝器)は、自動二輪車の前側のサスペンションを構成し、略鉛直方向に延びる細長円柱状の部品である。フロントフォーク1は、アウタチューブ11(第2円筒体)と、インナチューブ21(第1円筒体)と、ロッド31と、ラバー33(第1当接部材)及びリバウンドシート34(第2当接部材)と、第1ストッパ50(第1スライド部材)及び第2ストッパ60(第2スライド部材)と、第1ストッパリング71(第1係止部材)及び第2ストッパリング72(第2係止部材)と、圧縮コイルばね80(弾性体)と、を備えている。フロントフォーク1は、アウタチューブ11がインナチューブ21よりも上方に配置された倒立型である。そして、アウタチューブ11(インナチューブ21)内に油(流体)が封入されている。なお、鉛直上側が一方側であり、鉛直下側が他方側である。
アウタチューブ11は、フロントフォーク1の外殻を構成する円筒状の部品であり、略鉛直方向に延びている。アウタチューブ11の中間部に車体側ブラケット(図示しない)が取り付けられており、アウタチューブ11は車体側ブラケットを介してステアリング軸(図示しない)に固定されている。アウタチューブ11の上端には略円柱状のキャップ12が螺合され固定されている。キャップ12とアウタチューブ11との間にはOリング13が設けられている。
インナチューブ21は、アウタチューブ11内に同軸で配置された円筒状の部品であり、アウタチューブ11に対して軸方向においてスライド自在で配置されている。インナチューブ21の下部はアウタチューブ11から下方に突出している。
ロッド31は、インナチューブ21内に設けられ、インナチューブ21(アウタチューブ11)の中心軸線上を鉛直方向に延びる棒状の部材である。ロッド31の上端はキャップ12に螺合され、さらに、ロックナット32がロッド31に螺合している。
ラバー33は、逆円錐台状を呈するゴム製の部材であって、フロントフォーク1の圧縮時、後記する第1ストッパ50に当接し、弾性変形しつつ第1ストッパ50を押し下げる部材である。ラバー33の軸線上をロッド31が貫通しており、ラバー33はキャップ12から下方に突出している。
リバウンドシート34は、円板状を呈する金属製の部材であって、フロントフォーク1の伸長時、後記する第2ストッパ60に当接し、第2ストッパ60を押し上げる部材である。リバウンドシート34の軸線上をロッド31が貫通しており、ナット35がロッド31の下端に螺合することで、リバウンドシート34はロッド31に固定されている。
懸架スプリング41は、圧縮コイルばねで構成され、フロントフォーク1の圧縮時、圧縮変形することで前輪から入力される衝撃を緩和させる弾性部材である。懸架スプリング41は、インナチューブ21内において、ロッド下端側と底部との間に配置されている。
第1ストッパ50及び第2ストッパ60と、第1ストッパリング71及び第2ストッパリング72と、圧縮コイルばね80とは、最圧縮時又は最伸長時において、圧縮コイルばね80を縮退させることで、インナチューブ21と相手部材との間における衝突荷重を緩衝する緩衝機構を構成している。すなわち、圧縮側、伸長側のいずれにおいても、同一のコイルばね80を縮退させている。なお、相手部材は、圧縮時、ラバー33であり、伸長時、リバウンドシート34である。
第1ストッパ50は、インナチューブ21内において上側(一方側)に配置され、天側(上側)が閉じた有天円筒体であって、インナチューブ21内をスライド(摺動)する部材である。第1ストッパ50は、上下方向(軸方向)に延びる第1周壁部51と、第1周壁部51の上端から径方向内側に延びる第1天壁部52(第1径方向壁部)と、を備えている。
第2ストッパ60は、インナチューブ21内において下側(他方側)に配置され、底側(下側)が閉じた有底円筒体であって、インナチューブ21内をスライド(摺動)する部材である。第2ストッパ60は、上下方向(軸方向)に延びる第2周壁部61と、第2周壁部61の下端から径方向内側に延びる第2底壁部62(第2径方向壁部)と、を備えている。
第1ストッパリング71は、インナチューブ21(筒体及びロッドの一方)に設けられ、第1ストッパ50の上側(一方側)に係止する第1係止部材である。すなわち、第1ストッパリング71は、第1ストッパ50に当接することで、第1ストッパ50の上方(一方側)への移動を規制する規制部材である。第1ストッパリング71は、インナチューブ21の内周面に形成された第1溝71aに内嵌しており、インナチューブ21に軸方向で固定されている。
圧縮コイルばね80は、第1ストッパ50と第2ストッパ60との間に縮設され、第1ストッパ50と第2ストッパ60を相互に遠ざかる方向(軸方向外側)に付勢する付勢部材である。すなわち、圧縮コイルばね80は、第1ストッパ50を上方に付勢しており、第2ストッパ60を下方に付勢している。
フロントフォーク1内に形成される主たる油室について説明する。
アウタチューブ11内であって、第1ストッパ50の上方には、第1油室S1が形成さている。なお、第1油室S1の上部には空気溜り(空気室)が形成されている。空気溜りは、フロントフォーク1の圧縮側では圧縮され、フロントフォーク1の伸長側では膨張する。インナチューブ21内であって、リバウンドシート34の下方には、第2油室S2が形成されている。
フロントフォーク1の作用効果を説明する。
図2を参照して、中立時を説明する。
圧縮コイルばね80が伸長し、第1ストッパ50は第1ストッパリング71に係止し、第2ストッパ60は第2ストッパリング72に係止している。軸方向において、第1ストッパ50と第2ストッパ60との間には隙間L2が形成されている。
図3を参照して、圧縮時を説明する。
前輪が路面から突き上げ時や制動時等、アウタチューブ11とインナチューブ21とが相対的に近付き、フロントフォーク1が圧縮する。そうすると、インナチューブ21がアウタチューブ11内を上方に進み、第1油室S1及び第2油室S2が小さくなり、第3油室S3が大きくなる。また、アウタチューブ11とインナチューブ21との軸方向における重なり部分は長くなるので、第4油室S4は大きくなる。なお、第1油室S1は、その上部の空気と、その下部の油とで構成されており、圧縮側では前記空気が圧縮され、伸長側では前記空気が膨張する。
(1)第4油室S4の断面積がロッド31の断面積よりも大きい場合、容積が拡張する第4油室S4へ流入する油が、第3油室S3へのロッド31の進入体積分の油より多いため、第3油室S3の油が不足する。この場合、第1油室S1の油が、第1連通孔52a、第5油室S5、第2連通孔62aを通って、第3油室S3に流入する。
(2)第4油室S4の断面積がロッド31の断面積よりも小さい場合、容積が拡張する第4油室S4へ流入する油が、第3油室S3へのロッド31の進入体積分の油より少ないため、第3油室S3の油が余剰となる。この場合、第3油室S3の油が、第2連通孔62a、第5油室S5、第1連通孔52aを通って、第1油室S1に流出する。
図4を参照して、伸長時を説明する。
加速時等、アウタチューブ11とインナチューブ21とが相対的に遠ざかり、フロントフォーク1が伸長する。そうすると、インナチューブ21がアウタチューブ11内を下方に進み、第3油室S3が小さくなり、第1油室S1及び第2油室S2が大きくなる。また、アウタチューブ11とインナチューブ21との軸方向における重なり部分は短くなるので、第4油室S4は小さくなる。なお、第1油室S1は、その上部の空気と、その下部の油とで構成されており、圧縮側では前記空気が圧縮され、伸長側では前記空気が膨張する。
(1)第4油室S4の断面積がロッド31の断面積よりも大きい場合、容積が縮小する第4油室S4から流出する油が、第3油室S3へのロッド31の退出体積分の油より多いため、第3油室S3の油が余剰となる。この場合、第3油室S3の油が、第2連通孔62a、第5油室S5、第1連通孔52aを通って、第1油室S1に流出する。
(2)第4油室S4の断面積がロッド31の断面積よりも小さい場合、容積が縮小する第4油室S4から流出する油が、第3油室S3へのロッド31の退出体積分の油より少ないため、第3油室S3の油が不足する。この場合、第1油室S1の油が、第1連通孔52a、第5油室S5、第2連通孔62aを通って、第3油室S3に流入する。
この場合、第3油室S3から第1油室S1へ第1連通孔52aを介して油が流出するときに比べ、第5油室S5の容積縮小に伴う排出分の油が増えるため、上記の第1連通孔52aでの流路抵抗が増加し、通常の油の流通より大きい抵抗が得られ、伸び切り時の衝撃を緩和するオイルロックとして機能する。
このように、圧縮コイルばね80が、フロントフォーク1の圧縮側、伸長側のいずれでも縮退し、衝撃を吸収するので、圧縮側の衝撃吸収用ばねと伸長側の衝撃吸収用ばねを備える構成に対して、部品点数が少なくなり、簡易な構成となる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、次のように変更してもよい。
11 アウタチューブ(第2筒体)
21 インナチューブ(第1筒体)
31 ロッド
33 ラバー(第1当接部材)
34 リバウンドシート(第2当接部材)
41 懸架スプリング
50 第1ストッパ(第1スライド部材)
51 第1周壁部
52 第1天壁部(第1径方向壁部)
52a 第1連通孔
60 第2ストッパ(第2スライド部材)
61 第2周壁部
62 第2底壁部(第2径方向壁部)
62a 第2連通孔
71 第1ストッパリング(第1係止部材)
72 第2ストッパリング(第2係止部材)
80 圧縮コイルばね(弾性体)
Claims (6)
- 内部に流体が封入される筒体と、
前記筒体内に設けられ、前記1筒体の軸方向に延びるロッドと、
を備え、
軸方向において前記筒体及び前記ロッドが相対的に移動する油圧緩衝器であって、
前記筒体内を軸方向においてスライドする一方側の第1スライド部材と、
前記筒体内を軸方向においてスライドする他方側の第2スライド部材と、
前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材の間に設けられ、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材を軸方向外側に付勢する弾性体と、
前記筒体及び前記ロッドの一方に設けられ、前記第1スライド部材の一方側に係止し、前記第1スライド部材の一方側へのスライドを規制する第1係止部材と、
前記筒体及び前記ロッドの一方に設けられ、前記第2スライド部材の他方側に係止し、前記第2スライド部材の他方側へのスライドを規制する第2係止部材と、
前記筒体及び前記ロッドの他方に設けられ、圧縮時、前記第1スライド部材に当接し前記弾性体を圧縮させる第1当接部材と、
前記筒体及び前記ロッドの他方に設けられ、伸長時、前記第2スライド部材に当接し前記弾性体を圧縮させる第2当接部材と、
を備える
ことを特徴とする油圧緩衝器。 - 前記第1当接部材は、弾性を有し、弾性変形可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器。 - 前記第1スライド部材は、軸方向において、その一方側と他方側とを連通させる第1連通孔を有し、
圧縮時、前記第1当接部材は、前記第1スライド部材に当接すると共に、前記第1連通孔を閉じ、
伸長時、前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材の間において容積が小さくなる流体室の高圧の流体が、前記第1連通孔を通って流出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の油圧緩衝器。 - 前記第1スライド部材は、前記筒体の内周面に摺接する第1周壁部と、前記第1周壁部から径方向内側に延び前記弾性体に当接する第1径方向壁部と、を備え、
前記第2スライド部材は、前記筒体の内周面に摺接する第2周壁部と、前記第2周壁部から径方向内側に延び前記弾性体に当接する第2径方向壁部と、を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の油圧緩衝器。 - 圧縮時又は伸長時、軸方向において、前記弾性体が圧縮限界に到達する前に、前記第1スライド部材と前記第2スライド部材とが当接する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の油圧緩衝器。 - 前記筒体及び前記ロッドの一方は、前記筒体であり、
前記筒体及び前記ロッドの他方は、前記ロッドである
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の油圧緩衝器。
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