JP3991616B2 - 排インク収容装置及びインクジェット記録装置 - Google Patents

排インク収容装置及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排インク収容装置及びインクジェット記録装置に関し、さらに詳しくは、画像情報に基づいてインク滴を画像記録媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドに対応して用いられ、このインクジェット記録ヘッドから排出された排インクを吸収して収容する排インク収容装置と、この排インク収容装置を有するインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、インクジェット記録装置においては、非画像形成時にインクジェット記録ヘッドの各ノズル部を被覆してインクの乾燥を防止する複数のキャップ部材と、これら複数のキャップ部材からインクを吸引するポンプを設けたものがある。このインクジェット記録装置では、各キャップ部材で各ノズル部を被覆することでインクの乾燥を防止すると共に、キャップ部材でノズル部を被覆した状態でポンプによりインクを吸引(いわゆる「バキューム」)することで、増粘したインク等をノズル部から除去できる。
【0003】
また、画像形成開始直前に各ノズル部からインクを吐出させる、いわゆるダミージェットを行い、画像形成開始時に生じるインクの吐出ムラ等を予防するように構成されたものがある。
【0004】
インクジェット記録装置には、このように、ポンプによって吸引されたインクや、ダミージェットによって吐出されたインク等の排インクを吸収する排インク吸収体が設けられており、排インクをポンプ等を用いて排インク吸収体の所定の位置へと排出することが行われている。
【0005】
ところで、排インク吸収体によって、より多くの排インクを吸収できるようにするためには、排インク吸収体を大きくすることが考えられる。一方、例えばダミージェットにより排出されたインクを排インク吸収体や、排インクが貯留されるリザーバ等に確実に案内するために、インクジェット記録ヘッドのインク吐出口と排インク吸収体との間に中空状の案内部材が配置されることがある。例えば、特開平8−112916号公報には、リザーバの外部、すなわち、プリントヘッドとリザーバとの中間にベンチュリ通路が配置されており、インク小滴をプリントヘッドからリザーバの中に案内するようになっている。このような案内部材の開口断面積を比較的小さく設定することで、排インクの飛散を防止したり、排インクのインク滴を加速したりして、確実に排インク吸収体に到達させることが可能になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のインクジェット記録装置の構成において、上記したように案内部材の開口断面積を小さくすると、案内部材によって案内された排インクは、排インク吸収体の局所的な領域(案内部材の開口と同程度の領域)にのみ付着してしまう。このため、排インク吸収体を大きくしても、実質的に排インクを吸収できる領域は限られる。特に、この領域で排インクが飽和状態になったり、固化したりした場合には、それ以上排インクを吸収できないので、吸収されなかった排インクが案内部材と排インク吸収体の隙間から、あるいは案内部材内で飛散してしまうこともある。
【0007】
かかる不都合を解消するためには、上記した案内部材の開口断面積を大きくし、排インク吸収体のより広い範囲に排インクを案内できるようにする構成が考えられる。しかし、このように案内部材の断面積を大きくすると、案内部材内で排インクが拡散してしまい、排インク吸収体に確実に到達しないおそれが生じる。特に、一部のインクでは、そのインク特性により拡散されやすい性質を有するため、案内部材の内面に付着したり、インクジェット記録装置の内部に飛散したりするおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮し、排インクを飛散させることなく、且つより多くの排インクを吸収し収容可能な排インク収容装置と、この排インク収容装置を備えたインクジェット記録装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、画像情報に基づいてインク滴を画像記録媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドに対応して用いられ、このインクジェット記録ヘッドから排出された排インクを吸収して収容する排インク収容装置であって、インクを吸収可能な複数枚のインク吸収体を積層することにより構成された排インク吸収部材と、前記排インク吸収部材が収容される容器と、を有し、前記排インク吸収部材が、前記インクジェット記録ヘッドに対するバキュームで排出された排インクを吸収するバキューム対応領域と、このバキューム対応領域に隣接されインク吸収体の積層高さをバキューム対応領域よりも低くすることで前記容器内にインクジェット記録ヘッドのダミージェットによる排インクが拡散可能なインク拡散空間を構成すると共にインク拡散空間で拡散された排インクを吸収するダミージェット対応領域と、を備えることを特徴とする。
【0010】
従って、インクジェット記録ヘッドから排出された排インクが容器内に達すると、容器内に設けられたインク拡散空間によって拡散される。すなわち、排インクは容器内において拡散された状態で、排インク吸収部材によって吸収される。排インク拡散空間が設けられていない構成の排インク収容装置と比較して、排インク吸収部材のより広い領域に排インクを吸収させることができるので、排インク吸収部材の実質的な排インク吸収量が多くなり、排インクの飛散を防止することができる。
【0011】
しかも、本発明の排インク吸収体では、この排インク収容装置を構成する容器にインク拡散空間を設けて排インクを拡散させるようにしているので、例えば、従来のインクジェット記録装置のように、インクジェット記録ヘッドからの排インクを案内する案内部材を備えたインクジェット記録装置においても、この案内部材の形状を変更する必要はない。従って、例えば、案内部材としては、排インクを確実に排インク収容装置に案内できる(あるいは加速できる)ような形状のものとすることができ、排インクの飛散をより確実に防止できる。もちろん、このような案内部材を有さないインクジェット記録装置に、本発明の排インク収容装置を適用してもよい。
【0012】
請求項1に記載の発明において、この排インク収容装置を設けることができるインクジェット記録装置には、いわゆるメンテナンス装置を備えたものがある。メンテナンス装置では、例えば上記した案内部材や、インクジェット記録ヘッドからインクを強制的に吸引(バキューム)する吸引装置等が設けられており、これらに対応して複数のインク排出口が構成されているものがある。従って、請求項2に記載のように、前記排インク吸収部材が、前記インクジェット記録ヘッドをメンテナンスするメンテナンス装置の排インク排出口の数に応じて複数の領域に分割されているようにすることで、メンテナンス装置から排出される排インクの特性に応じて、より適切に排インクを排インク吸収部材に吸収させることが可能となる。
【0013】
また、請求項1に記載の発明では、前記排インク吸収部材が、前記インクジェット記録ヘッドに対するバキュームで排出された排インクを吸収するバキューム対応領域と、このバキューム対応領域に隣接されインク吸収体の積層高さをバキューム対応領域よりも低くすることで前記容器内にインクジェット記録ヘッドのダミージェットによる排インクが拡散可能なインク拡散空間を構成すると共にインク拡散空間で拡散された排インクを吸収するダミージェット対応領域と、を備えるように構成されている。すなわち、インク拡散空間が、少なくとも前記ダミージェット対応領域に対応して設けられている。一般に、ダミージェットによる排インクは拡散されやすいため、この性質を積極的に利用してインク拡散空間で拡散させ、排インク吸収部材のダミージェット対応領域で吸収することができる。なお、バキュームによる排インクは液状となっており拡散されにくいことが多いため、ダミージェット対応領域に対応するインク拡散空間は設ける必要がないことが多い。従って、ダミージェット対応領域の排インク吸収体は、インク拡散空間を設けない分、より大きくすることができる。バキュームによって多量の排インクが生じた場合でも、確実に吸収可能となる。
【0014】
さらに請求項1に記載の発明では、排インク吸収部材が、インクを吸収可能な複数枚のインク吸収体を積層することにより構成されている。
【0015】
このように、インク吸収体を積層するだけで、所望の体積の排インク吸収部材を構成することができる。また、インク拡散空間は、前記ダミージェット対応領域を構成する前記インク吸収体の積層高さを、前記バキューム対応領域を構成するインク吸収体の積層高さよりも低くすることにより構成されている。これにより、実質的にインク吸収体の積層高さ(積層枚数)に差を設け、ダミージェット対応領域をバキューム対応領域よりも低くするだけの簡単な構造で、インク拡散空間を構成できる。
【0016】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記容器に、前記ダミージェットによって排出された排インクが供給される排インク供給口が設けられ、前記ダミージェット対応領域の排インク吸収部材の、前記インク拡散空間に対向する部分の面積が、前記排インク供給口の開口面積よりも広く設定されていることを特徴とする。
【0017】
従って、ダミージェットによる排インクは、排インク供給口からインク拡散空間へ排出され、拡散される。ダミージェット対応領域の排インク吸収部材の、インク拡散空間に対向する部分の面積は、排インク供給口の開口面積よりも広く設定されているので、排インクをインク拡散空間内で確実に拡散させると共に、拡散された排インクを、排インク吸収部材の広い面積で吸収させることが可能となる。
【0018】
なお、請求項3に記載の排インク供給口は、請求項2に記載の排インク排出口のうち、ダミージェットの排インクを排出する排インク排出口に対応させて設けることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記容器が、前記排インク吸収部材を支持する底部と、前記底部から立設された側壁と、を有し、前記側壁を補強する複数のリブが形成されていることを特徴とする。
この排インク収容装置では、底部に排インク吸収部材が支持された状態で、側壁によってインク拡散空間を構成することができる。側壁はリブによって補強されているので、側壁が不用意に変形したり、底部に対して変位したりせず、インク拡散空間を維持することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記複数のリブのうち前記インク拡散空間に位置するリブが、インク拡散空間に向かって先細りとなるように形成されていることを特徴とする。
【0021】
すなわち、リブの端部(インク拡散空間側の縁部)をインク拡散空間から見た面積が、このように先細りとされていないものと比較して狭くなっている。従って、インク拡散空間内で拡散された排インクがリブの端部に付着することが防止される。
【0022】
請求項6に記載の発明では、請求項4又は請求項5に記載の発明において、前記複数のリブのうち前記インク拡散空間に位置するリブが、他の部位のリブよりも、前記底部と対向する蓋部との距離を長く設定されていることを特徴とする。
【0023】
インク拡散空間内で拡散された排インクがリブの端部に付着し堆積した場合であっても、このリブと蓋部との距離が長く設定されているので、付着排インクが蓋部に達したり、排インク収容装置の容器外に露出したりすることが防止される。
【0024】
請求項7に記載の発明では、請求項4請求項6のいずれかに記載の発明において、前記複数のリブのうち前記インク拡散空間に位置するリブが、他の部位のリブよりも前記側壁からの突出長を短く設定されていることを特徴とする。
【0025】
これにより、インク拡散空間内で排インクがより確実に拡散するようになる。
【0026】
請求項8に記載の発明では、請求項4請求項7のいずれかに記載の発明において、前記排インク吸収部材に、前記複数のリブの少なくとも1つに接触して前記容器内での位置基準となる位置決め部、が設けられていることを特徴とする。
【0027】
従って、リブを利用して、排インク吸収部材を容器本体内の所定位置に位置決めできる。位置決めのための部材を設ける必要がないので、部品点数が増加することはない。
【0028】
請求項9に記載の発明では、請求項4請求項8のいずれかに記載の発明において、前記排インク吸収部材に、前記複数のリブの少なくとも1つによって排インク吸収体を固定させる固定部、が設けられていることを特徴とする。
【0029】
従って、固定部を利用して、排インク吸収部材を容器本体に固定することができ、排インク吸収部材の容器本体に対する位置ずれや脱落を防止できる。
【0030】
なお、この固定部は、請求項8に記載の位置決め部と兼用するように構成することも可能であり、これによって部品点数をより少なくすることが可能である。
【0031】
請求項10に記載の発明では、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記容器に、この容器の内部と外部とを連通する連通部、が設けられていることを特徴とする。
【0032】
排インク吸収部材に吸収された排インクの揮発性成分(水分を含む)が、連通部から容器本体の外部に蒸発するので、排インク吸収部材に、より多くの排インクを吸収可能となる。
【0033】
請求項11に記載の発明では、画像情報に基づいてインク滴を画像記録媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドと、前記インクジェット記録ヘッドをメンテナンスするメンテナンス装置と、前記インクジェット記録ヘッドから排出された排インクを吸収して収容する請求項1〜請求項10のいずれかに記載の排インク収容装置と、を有することを特徴とする。
【0034】
従って、インクジェット記録ヘッドから画像情報に基づいたインク滴が画像記録媒体に吐出され、画像記録媒体の所定の領域に画像が形成される。また、メンテナンス装置により、インクジェット記録ヘッドは、インク滴の吐出に最適な状態を維持することが可能となる。
【0035】
さらに、このインクジェット記録装置では、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の排インク収容装置を有している。このため、排インクの飛散を防止して、排インクを確実に排インク収容装置で吸収し収容することができる。
【0036】
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の発明において、前記排インク収容装置の前記容器が、インクジェット記録装置の記録装置本体と一体成型されていることを特徴とする。
【0037】
これにより、低コストでインクジェット記録装置を構成できる。
【0038】
請求項13に記載の発明では、請求項11に記載の発明において、前記排インク収容装置の前記本体が、インクジェット記録装置の記録装置本体に対し脱着可能とされていることを特徴とする。
【0039】
これにより、排インク収容装置を記録装置本体から取り外し可能となる。このため、排インク収容装置の点検等を容易に行うことができる。また、排インク収容装置を交換することも可能となる。
【0040】
【発明の実施の形態】
図1〜図4には、本発明の一実施形態の排インク収容装置である、排インクタンク42が示されている。また、図5〜図7には、この排インクタンク42を備えたインクジェット記録装置10が示されている。
【0041】
図5〜図7に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置10は、記録装置本体12と、この記録装置本体12の下方に配設されたトレイユニット14と、を有している。記録装置本体12とトレイユニット14とは、それぞれ、上下に配置されたハウジング16、18内に配置されている。ハウジング16、18は一体成形されていてもよいが、別体で形成されたものを後工程で一体化してもよい。
【0042】
記録装置本体12には、図5の矢印M方向に沿ってシャフト20が配置されており、キャリッジ22の挿通孔24にシャフト20が挿通されている。キャリッジ22は、図示しない駆動装置によって、シャフト20の長手方向に沿って移動(主走査)される。
【0043】
キャリッジ22には、サブインクタンク26と、このサブインクタンク26に貯留されたインクを画像情報に応じて記録用シート材30(図6参照)に吐出するインクジェット記録ヘッド28とが搭載されている。サブインクタンク26及びインクジェット記録ヘッド28の数は特に限定されず、例えば1つずつであってもよいが、本実施形態では4つとし、それぞれにブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を対応させることで、いわゆるフルカラーの画像を記録することができるようにしている。また、サブインクタンク26とインクジェット記録ヘッド28とは同数とされて、一対一に対応している。
【0044】
サブインクタンク26のそれぞれには、内部に貯留されたインクの量を検出するインク量センサ(図示省略)が設けられている。インク量センサは、サブインクタンク26内のインク量が一定量以下に減少すると、この情報を図示しない制御装置に送る。
【0045】
キャリッジ22の移動方向一端側には、インク補給装置32が配置され、さらにその下方には、メインインクタンク34が配置されている。メインインクタンク34には、インクジェット記録装置10で使用されるインクが各色ごとに分けられてあらかじめ貯留されており、このインクが、インク補給装置32によって、サブインクタンク26に補給される。
【0046】
メインインクタンク34の位置は、メインインクタンク34内に貯留されたインクの液面が、インクジェット記録ヘッド28のインク吐出面(底面28B)よりも高い位置とならないように、所定の位置とされている。また、メインインクタンク34は、図示しない支持部材によって、ハウジング16から矢印C1方向(キャリッジ22の移動方向と同方向)にスライド可能に支持されている。
【0047】
インク補給装置32には、サブインクタンク26のそれぞれに対応したインク補給ユニット36が設けられている。キャリッジ22がインク補給位置(図1に示す位置)となった状態で、補給されるインクに対応した特定のインク補給ユニット36がサブインクタンク26の側面26Sに向かって前進し、インク補給ユニット36とサブインクタンク26とが接続される。
【0048】
また、インク補給装置32にはポンプ38が設けられており、インク補給ユニット36とサブインクタンク26とが接続された状態でポンプ38が駆動されると、特定のメインインクタンク34のインクがインク補給ユニット36によって、対応するサブインクタンク26に補給される。
【0049】
インク補給位置に位置しているキャリッジ22の下方には、図8及び図9にも示すように、メンテナンス装置40が設けられている。メンテナンス装置40には、インクジェット記録ヘッド28のそれぞれに対応したキャップ部材68が設けられており、メンテナンス位置にあるインクジェット記録ヘッド28の各インク吐出口(ノズル)に対して、キャッピングを行う。このキャッピングにより、非画像記録時(画像記録休止時や、インクジェット記録装置10の電源OFF時等)の、不用意なインクの乾燥を防止する。
【0050】
また、メンテナンス装置40の筐体内には、インク吸引装置70が設けれられている。インク吸引装置70は、キャップ部材68の底面に一端が接続されたチューブ72と、このチューブ72が巻き掛けられたローラーポンプ74とを有しており、キャップ部材68によってインク吐出口がキャッピングされた状態でローラーポンプ74が駆動されると、キャップ部材68及びノズルの内部の不要インクを吸引する。チューブ72の他端は、排インクタンク42内に位置しており、吸引されたインクが排インクタンク42内に排出される。なお、キャップ部材68及びノズルの内部の不要インクを吸引可能であれば、ローラーポンプ74に限らず、一般的なポンプや、シリンジ等を使用してもよい。また、本実施形態では、4つのキャップ部材68のうち1つのキャップ部材68Bのみに対応してインク吸引装置70を設けており、インクジェット記録ヘッド28を主走査方向に順次移動させてキャップ部材68Bでキャッピングし、ノズル内のインクを吸引できるようにしている。これにより、本実施形態では、構造を簡略化すると共にメンテナンス装置40の小型化が図られているが、2つ以上のキャップ部材68に対応して、インク吸引装置70を設け、それぞれのノズルから同時にインクを吸引できるようにしてもよい。例えば、4つすべてのキャップ部材68にインク吸引装置70を設けた場合には、同時にすべてのノズル及びキャップ部材68からインクを吸引可能となる。
【0051】
さらに、メンテナンス装置40には、その筐体内に案内筒76が配置されており、案内筒76の内部が、メンテナンス装置40を上下方向に貫通するダミージェット通過孔78とされている。ダミージェット通過孔78の上方に、特定のインクジェット記録ヘッド28が位置した状態で、図示しない制御装置から送られた信号によりダミージェットされ、ノズル内から増粘したインクや異物等が吐出される。吐出されたインク等は、ダミージェット通過孔78を通過して、排インクタンク42内に排出される。
【0052】
インクジェット記録ヘッド28は、メンテナンス装置40による上記のメンテナンス動作(キャッピングやダミージェット、バキューム等)により、ノズル内でのインクの乾燥やノズルの目詰まり等が解消され、常にインク滴の吐出に最適な状態に維持される。なお、メンテナンス装置40によってインクジェット記録ヘッド28のメンテナンス動作が行われるときのキャリッジ22の位置(メンテナンス位置)は、インク補給位置と同一位置とされている。
【0053】
図1〜図3に詳細に示すように、排インクタンク42は、略直方体の箱状に形成されると共に、上面が開放された容器本体80を有している。図4に示すように、容器本体80の上面は蓋体82によってカバーされるようになっており、容器本体80と蓋体82とで、排インクタンク42の容器が構成される。また、排インクタンク42は、インクジェット記録装置10を平面視したとき(すなわち上方から見たとき)、メンテナンス装置40と略同サイズに形成されており、メンテナンス装置40よりも外側に張り出すことがない形状とされている。そして、メインインクタンク34と同様に、図示しない支持部材によって、ハウジング16から図7矢印C2方向(キャリッジ22の移動方向と直交する方向)にスライド可能に支持されている。容器本体80には、外側に突出する把持部84が形成されており、この把持部84を把持して、ユーザーが排インクタンク42をハウジング16の外側へと容易に引き出すことができる。
【0054】
蓋体82には、ダミージェットによって吐出されダミージェット通過孔78を通過したインクをさらに通過させて容器本体80内へと排出させる排インク通過口86が形成されている。さらに蓋体82には、チューブ72の下端が挿入されるチューブ挿入口88が形成されており、バキュームによって吸引されたインクが、チューブ挿入口88に挿入されたチューブ72の下端から、容器本体80内に流入する。従って、ダミージェット通過孔78の下端及びチューブ72の下端が、メンテナンス装置40における排インク排出口となっている。
【0055】
さらに、蓋体82には、後述する排インク吸収部材92のダミージェット対応領域96及びバキューム対応領域98の上方に位置するように、大気連通孔90が形成されている。排インク吸収部材92に吸収された排インクの揮発成分(水分等を含む)を、排インクタンク42の外部へ蒸発を促進するようになっている。これにより、排インク吸収部材92の排インク吸収能力が回復するので、排インクの揮発成分の外部への蒸発を促進しない構成と比較して、より多くの排インクを排インク吸収部材92に吸収させることが可能となる。
【0056】
なお、大気連通孔90は、容器本体80の長手方向に沿って一定間隔をあけて複数形成されており、全体として、容器本体80の長手方向に全域にわたって形成されている。これにより、排インク吸収部材92から、偏りなく排インクの揮発成分の蒸発を促進させることができる。
【0057】
容器本体80内には、インクを吸収可能する排インク吸収部材92が配置されている。排インク吸収部材92は、インクを吸収可能な材料(例えば、一般的なスポンジや、多孔性の材料等)によって略板状に形成されたインク吸収体94が積層されて構成されており、最下層のインク吸収体94Aは、容器本体80の底部80Bのほぼ全域にわたって配置されている。これに対し、それ以外のインク吸収体94Bは、最下層のインク吸収体94Aの全体よりも平面視にて小さく、且つすべて同じサイズに形成されている。このようにして、インク吸収体94の積層高さを排インク吸収部材92の部分に応じて変えることで、排インク吸収部材92と、容器本体80の側壁80Wとの間に、インク拡散空間100が構成される。換言すれば、排インク吸収部材92が、インク拡散空間100を構成する領域と、インク拡散空間100を構成しない領域とに分けられていることになる。そして、インク拡散空間100は、ダミージェット通過孔78の下方、すなわち、排インク通過口86の下方に位置しており、ダミージェットによって排出されたインクが、ダミージェット通過孔78を通過してインク拡散空間100に至ると、インク拡散空間100内で拡散されるようになっている。これに対し、排インク吸収部材92のうちインク拡散空間100が構成されていない部分(すべてのインク吸収体94が積層された部分)は、チューブ挿入口88の下方に位置しており、バキュームで生じた排インクを吸収するようになっている。従って、排インク吸収部材92が、メンテナンス装置40の排インク排出口(ダミージェット通過孔78の下端及びチューブ72の下端)に対応して分割して構成され、インク拡散空間100の下方に位置しているダミージェット対応領域96と、これ以外の領域であるバキューム対応領域98とがそれぞれ設けられていることになる。
【0058】
また、最下層のインク吸収体94Aのうち、インク拡散空間100に対応する部分(すなわち上方に露出している部分)の面積が、排インク通過口86の開口面積よりも大きくなるように、インク拡散空間100の大きさが決められている。
【0059】
バキューム対応領域98を構成するインク吸収体94のそれぞれには、厚み方向にインク吸収体94を貫通する貫通孔102が、それぞれのインク吸収体94の同一位置に形成されている。貫通孔102は、チューブ挿入口88の下方に位置しており、バキュームで生じた排インクが容器本体80内に排出されると、この排インクを排インク吸収部材92の下部(特に、バキューム対応領域98の下部)へと導く。これにより、排インクは、最下層のインク吸収体94Aから順に上方のインク吸収体94Bへと吸収される。
【0060】
容器本体80内には、底部80Bと側壁80Wとに連設された複数のリブ106、108が形成されている。これらのリブ106、106によって、容器本体80の側壁80Wが補強されており、不用意に変形したり、底部80Bに対して変位したりすることが防止され、インク拡散空間100のが所定の容積を有するように維持される。
【0061】
一方、それぞれのインク吸収体94A、94Bには、リブ106、108に対応した位置決め溝110が形成されており、リブ106又はリブ108を位置決め溝110に収容させることで、インク吸収体94A、94Bが、容器本体80内で位置決めされる。また、位置決め溝110の幅は、リブ106、108の厚みよりもわずかに狭くされており、インク吸収体94A、04Bは、位置決め溝110の両側からリブ106、108を弾性的に挟み込んでいる。これにより、インク吸収体94A、94Bは容器本体80内で固定され、不用意に位置ずれしたり離脱したりしないようになっている。
【0062】
図1及び図2から分かるように、インク拡散空間100に対応した位置にあるリブ106は、その縁部106Eの近傍が、インク拡散空間100に向かって先細りとなるように形成されており、縁部106Eの面積が狭くなっている(実質的には、ほとんど線状になっている)。インク拡散空間100内で拡散されたインクは、リブ106の縁部106Eに付着しようとするが、このようにリブ106の縁部106Eを先細りとすることで、縁部106Eインクの付着が防止される。
【0063】
また、インク拡散空間100のリブ106は、これら以外のリブ108と比較して、底部80Bから測った高さが低くなっており、リブ106の上端と蓋体82との間に間隙112が構成されている。上記したように、リブ106の縁部へのインクの付着は、縁部106Eが先細りとされることによって防止されているが、万が一縁部106Eにインクが付着し堆積されてしまった場合でも、間隙112が構成されているため、堆積インクは不用意に蓋体82に付着したり、ダミージェット通過孔78から外部に露出してしまったりすることはない。
【0064】
さらに、リブ106はリブ108と比較して、それぞれのリブ106を側方から見たときの面積(図2に網点で示した面の面積S4)が小さくされており、リブ106が底部80B及び側壁80Wからインク拡散空間100内へ突出する面積が小さくなっている。従って、この面積S4を小さくしていない構成と比較して、インク拡散空間100内での気体の流動が妨げられないため、インクをインク拡散空間100内でより効果的に拡散させることができる。
【0065】
容器本体80には、内部に貯留された排出インクの量を検出する排出インク量センサ(図示省略)が設けられている。排出インク量センサは、排インクタンク42内の排出インクの量が所定量に達すると。この情報を図示しない制御装置に送る。
【0066】
ハウジング16には、図5及び図7に示すように、上記したインク補給装置32、メインインクタンク34、メンテナンス装置40及び排インクタンク42が配置された側のパネルが前面パネル44とされ、ハウジング16に対して回動可能に軸支されている。前面パネル44を回動させることで、ハウジング16を前面側から、すなわちキャリッジ22の移動方向と同方向に開放することができる。さらに、排インクタンク42の容器本体80の把持部84が位置している側のパネルが側面パネル16Sとされており、この側面パネル16Sに、開閉扉48が形成されている。開閉扉48を開放することで、排インクタンク42をハウジング16から取り出し可能となる。
【0067】
ハウジング16の下方に配置されたハウジング18内には、トレイユニット14が設けられている。トレイユニット14は、複数のトレイ50が上下方向に積層されることで構成されており、各トレイ50は、それぞれ略箱状に形成された、いわゆるボックストレイとされている。それぞれのトレイ50には、例えば特定のサイズの記録用シート材30を収容可能とされており、インクジェット記録装置10全体として、複数のサイズの記録用シート材30に対応しているが、もちろん、各トレイ50に同サイズの記録用シート材30を収容してもよい。また、それぞれのトレイ50には複数枚の記録用シート材30を積載することができるようになっている。さらに、それぞれのトレイ50は、図5に矢印C3で示すように、前面パネル44の開閉方向と同方向(従って、キャリッジ22の移動方向と同方向)にスライドさせて、ハウジング18から水平方向へと引き出すことができる。
【0068】
なお、本実施形態のインクジェット記録装置10によって画像が記録される記録用シート材30としては、インクジェット記録ヘッド28から吐出されたインク滴が着弾可能なものであれば特に限定されない。例えば、従来から一般的に使用されている記録用紙の他に、いわゆるOHPシート等も記録用シート材30に含まれる。
【0069】
図6示すように、トレイ50には、積載された記録用シート材30を1枚ずつ取り出して送出す送出しローラ52が設けられている。また、ハウジング16内には、送出された記録用シート材30をインクジェット記録ヘッド28による画像記録位置まで案内する案内プレート54と、この案内プレート54に沿って記録用シート材30を搬送する搬送ローラ56とが設けられている。従って、これらの案内プレート54に案内されながら搬送ローラ56によって記録用紙が搬送される。そして、インクジェット記録ヘッド28からインク滴の吐出をしつつ、キャリッジ22が移動してインクジェット記録ヘッド28が主走査され、さらに記録用シート材30が搬送ローラ56によって送られて副走査されることで、記録用シート材30上に所望の画像が形成される。画像が記録された記録用紙は、排出ローラ58によってさらに搬送され、ハウジング16に設けられた排出トレイ62上に排出される。
【0070】
ハウジング18と排出トレイ62の間には、サブトレイ60がハウジング16に対して着脱可能に設けられている。このサブトレイ60にも、トレイ50と同様の送出しローラ(図示省略)が設けられており、積載された記録用紙を送り出すことができる。
【0071】
図5に示すように、ハウジング16の側面16Sには、記録装置本体12内で紙詰まりが生じたときに、詰まった紙を除去するための除去用パネル64が設けられている。除去用パネル64は、ハウジング16に回動可能に軸支されており、図5に二点鎖線で示すように回動すると、ハウジング16を部分的に開放する。これにより、記録装置本体12内から詰まった用紙を除去可能となる。
【0072】
また、ハウジング16には、除去用パネル64の上方に手差しトレイ66が設けられている。手差しトレイ66も除去用パネル64と同様にハウジング16に回動可能に軸支されており、図5に二点鎖線で示すように回動することで、その上面に記録用シート材30を載置可能となる。
【0073】
上記したキャリッジ22、インクジェット記録ヘッド28、インク補給装置32及びメンテナンス装置40は、図示しない制御装置によって制御されるようになっている。
【0074】
次に、本実施形態のインクジェット記録装置10及び排インクタンク42の作用を説明する。
【0075】
記録用シート材30に画像を記録する場合には、複数のトレイ50(又はサブトレイ60)のうち、画像を記録する特定のサイズの記録用シート材30が収容されたトレイ50(又はサブトレイ60)が制御装置によって選択され、送出しローラ52によって記録用シート材30が送り出される。送り出された記録用シート材30は、さらに搬送ローラ56によって搬送されつつ案内プレート54に案内され、インクジェット記録ヘッド28の下方(画像記録領域)に至る。ここで、インクジェット記録ヘッド28は、画像情報に応じてインク滴を記録用シート材30に吐出しつつ、キャリッジ22の移動により主走査する。また、1回の主走査が終了するごとに、搬送ローラ56(又は搬送ローラ56と排出ローラ58)が記録用シート材30を所定量だけ搬送し、副走査する。これらの動作が繰り返されることで、記録用シート材30に所望の画像が記録される。トレイ50(又はサブトレイ60)のそれぞれには、複数枚の記録用シート材30が積載されているので、記録用シート材30を順次送り出すことで、複数枚の記録用シート材30に連続して画像を記録することができる。
【0076】
画像記録により、サブインクタンク26内のインクは消費されるので、いずれかのサブインクタンク26内のインクの残量が一定量に減少したことがインク量センサによって検出されると、図示しない制御装置は、キャリッジ22をインク補給位置へと移動させ、さらにインク補給装置32を駆動して、サブインクタンク26にメインインクタンク34からインクを送り込む。サブインクタンク26内にインクが補給された後、制御装置はポンプ38を駆動停止し、さらに前進状態にあったインク補給ユニット36を初期位置まで後退させる。このように、サブインクタンク26へインクを補給することで、再度記録用シート材30に画像を記録することができるようになる。
【0077】
インクジェット記録ヘッド28内のインクは、乾燥により固化し、インクジェット記録ヘッド28のノズルが目詰まりすることがある。従って、図示しない制御装置は、一定時間ごとに(あるいはユーザーの操作等によって)、メンテナンス装置40を駆動させ、ダミージェットやバキューム等のメンテナンス動作を行う。メンテナンス動作により、インクジェット記録ヘッド28は、インク滴の吐出に最適な状態に維持される。
【0078】
ここで、メンテナンス動作としてダミージェットを行う場合には、図8に示すように、ダミージェットを行うインクジェット記録ヘッド28(図8では左端のインクジェット記録ヘッド28)が、ダミージェット通過孔78の上方に位置するように、キャリッジ22が移動する。この位置で、図示しない制御装置からの信号を受けてダミージェットが行われ、ノズル内のインクや異物等が吐出される。吐出されたインクは、ダミージェット通過孔78を通過し、排インクタンク42の容器本体80内に構成されたインク拡散空間100で拡散される。拡散されてインク拡散空間100内に広がった状態の排インクは、インク拡散空間100の下方に位置している排インク吸収部材92のダミージェット対応領域96(最下層のインク吸収体94A)に吸収される。このように、排インクを拡散させることで、排インク吸収体94Aのうち、排インク拡散空間100に対向する部分(排インク通過口86の開口面積よりも広くされている)において、排インク吸収部材92にインクを吸収させることができる(これに対し、このようなインク拡散空間100が構成されておらず、最下層のインク吸収体94Aと同一形状のインク吸収体が上方まで積層されているような構成では、インク吸収体94Aの大きさに関わらず、排インク通過口86と同程度の領域にしか排インクが付着しないので、インク吸収体94を有効に利用して排インクを吸収させることができない場合がある)。従って、排インク吸収部材92で吸収できなかったインクが飛散することがなく、インクジェット記録装置10や記録用シート材30に不用意にインクが付着してしまうこともない。
【0079】
なお、本実施形態の排インク収容装置42では、インク吸収体94Bのそれぞれの側面も、インク拡散空間100に対向している。従って、インク拡散空間100内で拡散された排インクの一部を、インク吸収体94Bに吸収させることも可能である。
【0080】
特に、ダミージェットによって吐出されたインク滴は、通常の画像記録時に吐出されるインク滴と同程度の大きさである場合が多く、周囲の雰囲気等によって拡散されやすいことがある。本実施形態では、ダミージェットによるインク滴のこのような性質を積極的に利用し、インク拡散空間100でのみ拡散させるようにしている。従って、ダミージェット通過孔78内ではインクを拡散させる必要はなく、むしろインク滴をインク拡散空間100へと積極的に導くような形状(あるいは、インク滴を加速するような形状)のものとすることができる。これにより、ダミージェット通過孔78内でのインクの飛散をより確実に防止可能となる。
【0081】
これに対し、メンテナンス動作としてバキュームを行う場合には、図9に示すように、バキュームを行うインクジェット記録ヘッド28(図9では左端のインクジェット記録ヘッド)が、インク吸引装置を備えたキャップ部材68の上方に位置するように、キャリッジ22が移動する。この位置でインクジェット記録ヘッド28がキャッピングされ、さらに、図示しない制御装置からの信号を受けてインク吸引装置が駆動され、インクが吸引される。バキュームによって吸引されたインクは一般に液状であり、チューブ72を通って、排インク吸収部材92のバキューム対応領域98に吸収される。このとき、インク吸収体94Bのそれぞれには形成された貫通孔102により、排インクが排インク吸収部材92の下部(バキューム対応領域98の下部)へと導かれるので、最下層のインク吸収体94Aから順に上方のインク吸収体94Bへと、効率的に排インクを吸収させることができる。特に、バキュームによる排インクの量は、ダミージェットによる排インクの量よりも多くなることがあるが、本実施形態の排インクタンク42では、複数枚のインク吸収体94を積層することで、ダミージェット対応領域96の排インク吸収部材92を構成しており、ダミージェット対応領域96において十分なインク吸収量が確保されている。従って、ダミージェットにより多量の排インクが生じた場合でも、排インク吸収部材92に確実に吸収させることができる。
【0082】
加えて、本実施形態では、インク拡散空間100内に位置するリブ106は、リブ108と比較して、インク拡散空間100へ突出する面積を小さくされているため、突出面積を小さくされていない構成と比較して、インク拡散空間100内でのインクの拡散を妨げない。このため、インク拡散空間100内でインクは確実に拡散される。
【0083】
また、リブ106の縁部106Eは先細り形状とされ、さらに、リブ106はリブ108よりもその高さを低くされていいるので、縁部106Eへのインクの付着・堆積が防止されると共に、付着・堆積した場合でも、蓋体82への付着や、ダミージェット通過孔78からの露出が防止される。従って、例えば排インクタンク42をインクジェット記録装置10のハウジング16(図7参照)から引き出す場合等に、不用意にインクが漏れ出たり、他の部材や記録用シート材30(図6参照)に付着したりしない。
【0084】
なお、インク拡散空間100への突出面積を小さく設定したり、縁部106Eを先細りにしたり、さらには高さを低く設定したりするリブとしては、インク拡散空間100に位置するリブ106の全てである必要はなく、リブ106の一部に関して、上記した形状を満たすようにしても、それぞれの効果を奏する。特に、ダミージェット通過孔78の下方に位置するリブ106について、上記した形状とすることが好ましい。
【0085】
また、リブ106へのインクの付着・堆積を防止するためには、縁部106Eの全範囲で先細りとされている必要はない。すなわち、リブ106の上部に特にインクが付着・堆積されやすいので、この部分のみをインク拡散空間100に向かって(実質的に上方に向かって)先細りとすれば、ンクの付着・堆積を防止できる。もちもん、本実施形態のように、縁部106Eの全範囲で先細りとすれば、より確実にインクの付着・堆積を防止できるので、好ましい。
【0086】
また、本実施形態では、排インクタンク42を、インクジェット記録装置10のハウジング16に対して脱着可能としているので、例えば、排インクタンク42を交換することが可能となる。インクジェット記録ヘッド10のメンテナンス時等にも、排インクタンク42を取り外せば、メンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0087】
なお、これに対し、排インクタンク42の容器本体80が、インクジェット記録装置10のハウジング16と一体成型されていてもよい。一体成型により、インクジェット記録装置10を構成する部品点数が少なくなると共に、構造も簡略化できるので、低コストでインクジェット記録装置10を構成可能となる。
【0088】
【発明の効果】
本発明は、上記構成としたので、排インクを飛散させることなく、且つより多くの排インクを吸収し収容することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る排インク収容装置を示す断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る排インク収容装置の内部を示す斜視図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係る排インク収容装置の内部を図2と異なる角度から示す斜視図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係る排インク収容装置を、蓋体を取り付けた状態で示す斜視図である。
【図5】 本発明の一実施形態に係る排インク収容装置が備えられたインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図6】 本発明の一実施形態に係る排インク収容装置が備えられたインクジェット記録装置の概略構成を示す正面図である。
【図7】 本発明の一実施形態に係る排インク収容装置が備えられたインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図8】 本発明の一実施形態に係る排インク収容装置が備えられたインクジェット記録装置においてダミージェットを行うときのインクジェット記録ヘッド、メンテナンス装置及び排インク収容装置の状態を示す説明図である。
【図9】 本発明の一実施形態に係る排インク収容装置が備えられたインクジェット記録装置においてバキュームを行うときのインクジェット記録ヘッド、メンテナンス装置及び排インク収容装置の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 インクジェット記録装置
28 インクジェット記録ヘッド
40 メンテナンス装置
42 排インクタンク(排インク収容装置)
80 容器
80B 底部
80W 側壁
86 排インク通過孔(排インク供給口)
90 大気連通孔(連通部)
92 排インク吸収部材
94A インク吸収体
94B インク吸収体
96 ダミージェット対応領域
98 バキューム対応領域
100 インク拡散空間
106 リブ
106E 縁部
108 リブ
110 位置決め溝(位置決め部)

Claims (13)

  1. 画像情報に基づいてインク滴を画像記録媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドに対応して用いられ、このインクジェット記録ヘッドから排出された排インクを吸収して収容する排インク収容装置であって、
    インクを吸収可能な複数枚のインク吸収体を積層することにより構成された排インク吸収部材と、
    前記排インク吸収部材が収容される容器と、
    を有し、
    前記排インク吸収部材が、前記インクジェット記録ヘッドに対するバキュームで排出された排インクを吸収するバキューム対応領域と、このバキューム対応領域に隣接されインク吸収体の積層高さをバキューム対応領域よりも低くすることで前記容器内にインクジェット記録ヘッドのダミージェットによる排インクが拡散可能なインク拡散空間を構成すると共にインク拡散空間で拡散された排インクを吸収するダミージェット対応領域と、を備えることを特徴とする排インク収容装置。
  2. 前記排インク吸収部材が、前記インクジェット記録ヘッドをメンテナンスするメンテナンス装置の排インク排出口の数に応じて複数の領域に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の排インク収容装置。
  3. 前記容器に、前記ダミージェットによって排出された排インクが供給される排インク供給口が設けられ、
    前記ダミージェット対応領域の排インク吸収部材の、前記インク拡散空間に対向する部分の面積が、前記排インク供給口の開口面積よりも広く設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排インク収容装置。
  4. 前記容器が、
    前記排インク吸収部材を支持する底部と、
    前記底部から立設された側壁と、
    を有し、
    前記側壁を補強する複数のリブが形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の排インク収容装置。
  5. 前記複数のリブのうち前記インク拡散空間に位置するリブが、インク拡散空間に向かって先細りとなるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の排インク収容装置。
  6. 前記複数のリブのうち前記インク拡散空間に位置するリブが、他の部位のリブよりも、前記底部と対向する蓋部との距離を長く設定されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の排インク収容装置。
  7. 前記複数のリブのうち前記インク拡散空間に位置するリブが、他の部位のリブよりも前記側壁からの突出長を短く設定されていることを特徴とする請求項4請求項6のいずれかに記載の排インク収容装置。
  8. 前記排インク吸収部材に、前記複数のリブの少なくとも1つに接触して前記容器内での位置基準となる位置決め部、
    が設けられていることを特徴とする請求項4請求項7のいずれかに記載の排インク収容装置。
  9. 前記排インク吸収部材に、前記複数のリブの少なくとも1つによって排インク吸収体を固定させる固定部、
    が設けられていることを特徴とする請求項4請求項8のいずれかに記載の排インク収容装置。
  10. 前記容器に、この容器の内部と外部とを連通する連通部、
    が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の排インク収容装置。
  11. 画像情報に基づいてインク滴を画像記録媒体に吐出するインクジェット記録ヘッドと、
    前記インクジェット記録ヘッドをメンテナンスするメンテナンス装置と、
    前記インクジェット記録ヘッドから排出された排インクを吸収して収容する請求項1〜請求項10のいずれかに記載の排インク収容装置と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  12. 前記排インク収容装置の前記容器が、インクジェット記録装置の記録装置本体と一体成型されていることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記排インク収容装置の前記本体が、インクジェット記録装置の記録装置本体に対し脱着可能とされていることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録装置。
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