以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット式のプリンタAの構成を一部省略して示す斜視図である。このプリンタAは、写真プリントシステムに用いられるものであって、例えば、画像データの取得及びオーダー情報の取得を行い必要な補正処理等を行う受付ブロックから通信ケーブルを介して伝送される画像データを、オーダー情報に基づいてペーパーP(記録媒体)に対して印刷を行うように構成されている。
−全体構成−
図2はプリンタAの構成を一部省略して示す平面図、図3は背面図、図4は右側面図、図5は正面図、図6はプリンタAの概略構成を示す側面断面図である。図1〜図6に示すように、前記プリンタAは、ロール状のペーパーPを収容するために装置下部に設けられたペーパー収容部1と、該ペーパー収容部1から引き出されたペーパーPに対して画像データの記録印刷を行うように装置上部に設けられたプリント部2と、装置の側方(図3において左右両側)に配置され該プリント部2に供給されるインクを貯留しておくためのインク貯留部3,3とを備えている。
また、前記プリンタAの装置上部で、前記プリント部2の搬送方向下流側には、プリント後のペーパーPを所定のプリントサイズに切断するローラカッター部4、該ペーパーPの裏面に整理番号等を印字するための裏面印字ユニット5、ロール状に巻かれたペーパーPのカールを取り除いて排出するためのデカールユニット6、及び排出されたペーパーPを受け止めるための排出トレイ7が配設されている。なお、図6にのみ示すが、前記プリンタAは、前記排出トレイ7以外が本体カバー8によって覆われている。
前記ペーパー収容部1は、プリント部2のほぼ真下に位置していて、図6に示すように、ロール状に巻かれた長尺のペーパーPを、巻芯ローラにより保持した状態で収容するように構成されている。ここで、このペーパー収容部1は、プリンタA全体を覆う本体カバー8の一部をなすとともに開閉可能な扉部材12によって覆われており、この扉部材12を開放状態にすることで、前記ペーパーPの取り替え作業が行えるようになっている。
なお、本実施形態では、前記ペーパー収容部1に収容されるペーパーPの種類は1種類のみであるが、この形態に限定するものではなく、2種類以上のペーパーPを収容可能に構成しても構わない。
前記プリント部2は、ペーパーPに対してインクを吐出して画像を形成するプリントヘッドHと、プリントヘッドHの下方に設けられペーパーPをプリント位置に吸着保持するペーパー保持部Dとを備えている(詳細は図2及び図6参照)。
前記プリントヘッドHは、主走査方向に延びるガイドレール15に沿って移動可能に構成されている。具体的に、駆動モータ16の回転力がプーリを介して駆動ベルト17に伝達され、駆動ベルト17の回転量に応じてプリンタヘッドHが主走査方向に移動するようになっている。
さらに、プリントヘッドHは、副走査方向に並ぶ2つのヘッドユニット38,38(図6参照)を有しており、これらのヘッドユニット38,38に設けられているノズルからインクを吐出することで、ペーパーPに対して所定の画像や文字等を印刷できるようになっている。
前記インク貯留部3,3は、それぞれ、プリンタAの左右両側に配置された箱状のケース31,31を備えており、該ケース31,31内には、互いに色相の異なるインクが封入された7つのインクカートリッジ32,32,…が着脱可能に収容されている(図3では、左側に3つ、右側に4つのカートリッジが収容されている)。したがって、これらのインクカートリッジ32,32,…をケースから着脱することにより、使用中又は使用済みのものを新しいものに交換できるようになっている。
なお、これらのインクカートリッジ32,32,…には、各々、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、レッド(R)、バイオレット(V)及びクリア(CL:透明)の各インクが封入されている。
また、前記プリンタAの排出側から見て左側で、前記インク貯留部3とプリント部2との間の高さ位置には、インクカートリッジ32,32,…から供給されるインクを一時的に貯留するためのサブタンク52,52,…が設けられている。そして、これらのサブタンク52,52,…は、前記プリント部2のプリントヘッドHに繋がっていて、該プリントヘッドHのノズルからインクを吐出する際の負圧によってサブタンク52,52,…内のインクがプリントヘッドHへ供給されるようになっている。
−ペーパー搬送機構−
図6に示すように、前記プリンタAには、ロール状に巻かれた長尺のペーパーPを収容するペーパー収容部1が装置下部に設けられる一方、ペーパー収容部1からペーパーPを引き出して所定の搬送経路に沿って搬送しつつ画像のプリントや切断等の各種処理を行うペーパー搬送機構が収容された搬送機構収容部10が装置上部に設けられている。ここで、ペーパー収容部1と搬送機構収容部10とは区画壁11によって互いに区画されており、該区画壁11の一部にはペーパーP搬送用の開口部が形成されている。
なお、本実施形態では、前記ペーパー収容部1からペーパーPを供給する以外にも、手差しトレイ81から所定サイズのペーパーを供給できるように構成された手差し供給ユニットも備えているが、以下、主にペーパー収容部1からペーパーPを供給する場合について説明する。
前記ペーパー収容部1には、ロール状に巻かれた長尺のペーパーPが収容されており、該ペーパーPは、その先端部がロールから引き出されてガイドローラ41に巻き掛けられることで方向変換され、区画壁11の開口部を通ってペーパー搬送機構をなす搬送駆動ローラ43と該搬送駆動ローラ43に対向配置された一対の圧着ローラ44,44との間に挟み込まれる。
前記搬送駆動ローラ43の回転により搬送されたペーパーPは、搬送方向下流側のプリント部2に供給され、プリントヘッドHによってペーパーPに対して画像のプリントが行われる。
そして、プリント後のペーパーPは、プリント後搬送ローラ45によりローラカッター部4に送られて所定のプリントサイズに切断される。切断後のペーパーPは、切断後搬送ローラ46により裏面印字ユニット5に送られてペーパーPの裏面に整理番号等が印字された後、搬送ローラ47によりデカールユニット6に送られる。
前記デカールユニット6では、ロール状に巻かれたペーパーPのカールを取り除くために、デカールローラ48においてペーパーPのカール方向とは反対方向に曲げられた状態で搬送されることによりデカールが行われ、デカール後のペーパーPが排出ローラ49により排出トレイ7に排出される。なお、以下の説明において、前記印刷時においてペーパーPが搬送されるときの搬送上流側及び下流側を、それぞれ、単に上流側及び下流側ともいう。
以下、プリンタAの各構成要素について詳細に説明する。前記ペーパー収容部1には、ロール状に巻かれたペーパーPの他に、ペーパーPを巻き掛けてその先端部を区画壁11の開口部側に方向変換させるガイドローラ41と、ペーパー収容部1の気密性を保つために区画壁11の開口部を塞ぐ閉塞ローラ42と、ペーパー収容部1内の湿度を調整する加湿装置35とが配設されている。
前記加湿装置35は、ペーパー収容部1内に水分を供給して湿度調整を行うものであり、ペーパー収容部1内が乾燥してペーパーP表面にヒビ割れが生じることを防止している。
前記閉塞ローラ42は、前記加湿装置35によりペーパー収容部1内に供給された水分が、区画壁11の開口部から搬送機構収容部10側に拡散することを防止するとともに、外部からの湿気の浸入を防止して、ペーパー収容部1内の湿度を一定に保つものであり、ペーパー収容部1内の気密性を確保するための封止部材としての役割を有している。なお、閉塞ローラ42の少なくとも外周面を、例えばスポンジ材で構成すれば、開口部との密閉性を高めることができて好ましい。
前記プリンタA内における前記ペーパー収容部1よりも装置奥側(図6では右側)には、後述するプリンタヘッドHによるフラッシング後の廃インク等を貯留しておく廃液タンク65を収容するための廃液タンク収容部66が設けられている。また、前記廃液タンク65内には、水分を吸収可能なスポンジ材が設けられており、廃インクに含まれる水分が吸収されるようになっている。
前記搬送駆動ローラ43は、図示しない電動モータによって、ペーパーPをペーパー収容部1から引き出してプリント部2側へ搬送する正方向の回転と、該ペーパーPをペーパー収容部1内へ戻す逆方向の回転とが切替可能なように構成されている。これにより、前記搬送駆動ローラ43よりも搬送方向下流側のローラカッター部4でペーパーPの印刷済みの部分を所定サイズに切断した後、長尺のペーパーPを上流側に戻してペーパーPの先頭から印刷を行う場合や、長尺ペーパーPではなく手差し供給ユニットからペーパーPを供給する場合等において、長尺のペーパーPをペーパー収容部1内に戻すことができるようになっている。
前記プリント部2は、図1及び図2に示すように、前記プリントヘッドHを主走査方向X(プリントペーパーPの搬送方向(副走査方向Y)と垂直な方向)に案内するガイドレール15と、2つのプーリに巻き掛けられ且つプリントヘッドHを該ガイドレール15に沿って往復移動させるための駆動ベルト17と、該プーリを回転駆動させる駆動モータ16と、プリントヘッドHにより印刷を行うことが可能な位置に吸着保持するペーパー保持部Dと、このペーパー保持部Dの下流側に配設された圧着型のプリント後搬送ローラ45とを備えている。ここで、前記主走査方向Xは、プリントペーパーPの幅方向に相当し、副走査方向Yは、プリントペーパーPの長手方向に相当する。
前記プリントヘッドHは、図6に示すように、その底面(ペーパー保持部Dと対向する面)に、多数のインク吐出ノズルが設けられたヘッドユニット38,38,…が副走査方向に2段に並んで配設されている(ヘッドユニット38は2段である必要はなく、1段や3段以上であってもよい)。
前記各ヘッドユニット38は全て同一構成であり、各々、主走査方向Xに配設された前記各色のインクを吐出する7つのノズルアレイから構成されている。各ノズルアレイには、インク吐出ノズルが副走査方向Yに列状に配設されている。これにより、各ヘッドユニット38は、単体でカラー画像を形成可能な構成とされている。そして、ペーパー搬送の各ステップ毎に、プリントヘッドHが主走査方向Xに走査され、このとき、主走査方向Xの各位置で、各ヘッドユニット38は、各色の所定のインク吐出ノズルからインクを同時に吐出する。ここで、本実施形態におけるインク吐出ノズルは、インクの充填された圧力室内の容積をピエゾ素子によって変動させることでインクを吐出する一般的なピエゾ方式のものである。
また、プリンタヘッドHの主走査方向Xのプリント領域外の位置には、印刷を行っていない場合にプリントヘッドHが待機するための待機位置が設定されており、この待機位置には、インクの増粘防止のために該プリントヘッドHのノズルからインクを吸引するように構成されたキャップ部(図示省略)が設けられている。
なお、前記キャップ部については、特に図示しないが、内部を負圧にされた空間を有していて、該空間内に前記プリントヘッドHのノズルから微量のインクを吸い出すように構成されている。これにより、該ノズルでインクが増粘して、吐出しにくくなるのを防止することができる。ここで、前記キャップ部の空間は、後述するインク供給系の空気加圧部56としてのポンプを利用することで、内部が負圧になるようになっている。
また、図示は省略するが、前記キャップ部は廃液タンク65に連通しているとともに、そのキャップ部と廃液タンク65との間にはインクを排出するための排出ポンプが介設されている。この排出ポンプは、後述するインク供給系の加圧ポンプを駆動するモータによって駆動されるように構成されている。すなわち、1つのモータで複数のポンプが駆動される構成とされている。
なお、上述したように、1つのモータで複数のポンプを駆動させる構成に限定するものではなく、それぞれ専用のモータを設けて別々に駆動させる構成としてもよい。
前記ペーパー保持部Dは、図2及び図6に示すように、プリントヘッドHのプリント領域に対応して表面(上面)に開口する複数の吸着孔21a,21a,・・・が形成され且つフラッシング領域に対応してフラッシング孔21bが形成されたガイドプレート21と、ガイドプレート21におけるプリントヘッドHのプリント領域下方に設けられ吸着孔21aと連通する第1区画室22と、ガイドプレート21におけるプリントヘッドHのフラッシング領域下方に設けられフラッシング孔21bと連通する第2区画室23と、第1区画室22内の空気を吸引排気することで吸着孔21aを介してガイドプレート21の表面上に負圧を発生させペーパーPをガイドプレート21の表面上に吸着保持する吸引手段としてのファン24と、第1及び第2区画室22,23を連通させる排気管25(図7参照)とを備えている。
前記フラッシング孔21bは、インクの増粘を防止するために印刷開始時にプリントヘッドHのノズルから吐出される少量のインクを受け止めるためのものであり、フラッシング孔21bに吐出された廃インクは、廃棄管26(図7参照)を介して廃液タンク65に貯留される。
前記ガイドプレート21には、さらに、略矩形状の縁取り孔21cがペーパーPの紙幅方向に間隔をあけて複数形成されている。具体的に、この縁取り孔21cは、所定の用紙サイズ(例えば、A4,B5等)の紙幅に対応する位置に形成され且つペーパーPをガイドプレート21上に載置したときに、ペーパーPの紙幅方向の端縁から縁取り孔21cの一部が露出する位置に形成されている。
このようにすれば、ペーパーPに対して縁無しプリントを行うときに、プリントヘッドHからペーパーPの紙幅方向の端縁に吐出したインクの一部がペーパーPからはみ出したとしても、そのはみ出したインクは縁取り孔21cから排出されることとなり、ガイドプレート21表面にペーパー端縁からはみ出したインクが付着してプレート表面が汚れてしまうことを防止することができる。
図7は、図6のI−I断面矢視図である。図7に示すように、ガイドプレート21の下方には、プリントヘッドHのプリント領域下方に設けられ吸着孔21aと連通する第1区画室22と、ガイドプレート21におけるプリントヘッドHのフラッシング領域下方に設けられフラッシング孔21bと連通する第2区画室23とが設けられている。
前記第1区画室22の下部にはファン24が取り付けられている。このファン24を駆動することで第1区画室22内の空気が排気孔22aを介して吸引排気され、その結果、ガイドプレート21の表面上に負圧が発生してペーパーPがガイドプレート21の表面上に吸着保持されるようになっている。
前記第2区画室23には、インクを吸収可能なスポンジ状のインク吸収材23aが配設されていて、このインク吸収材23aに染みこんだインクが、第2区画室23内に溜まるようになっている。また、第2区画室23は排気管25を介して第1区画室22に連通している。具体的に、排気管25の一端は第1区画室22の底面に接続され、他端は第2区画室23の側壁に接続されている。このように、第2区画室23の側壁に排気管25の他端を接続することで、第2区画室23の底部に溜まった廃インクがファン24の吸引力で第1区画室22側に吸い込まれないようにしている。
前記排気管25は、ファン24の吸引力を減衰させる減衰手段を構成しており、具体的には、排気管25の管内径を1〜10mm程度に適宜設定することで排気管25内部の風量抵抗が大きくなり、フラッシング孔21bを介してインクミストを吸引排気する吸引力が減衰されることとなる。
また、前記第2区画室23の底面には、第2区画室23内に溜まったフラッシング後の廃インク及びインクミストを回収して廃液タンク65に導くための廃棄管26が接続されている。
このように、ペーパーPを吸着保持するファン24の吸引力を排気管25を介して減衰させてインクミストの吸引排気に利用することで、インクミストを吸引排気するために専用の排気用ファンを設ける必要がなく、1つのファンを兼用することで部品点数を削減して装置本体の大型化を抑制できる。また、消費電力を低減する上で有利となる。
さらに、インクミストを吸引排気する吸引力が、ペーパーPを吸着保持する吸引力よりも弱まることとなり、プリントヘッドH周りの空気流に乱れが生じて画像形成に必要な吐出インクまで吸引してしまう等、画像形成に悪影響を与えるおそれがない。
また、排気管25の管内径を、例えば1〜10mm程度に適宜設定するだけで所望の吸引力でインクミストの吸引排気を行うことができ、簡単な構成でファン24の吸引力の減衰量を設定することができる。
以下、本発明の特徴部分であるローラカッター部4の構成について、図8を参照しながら説明する。図8に示すように、前記ローラカッター部4は、サークル刃72を有していて、該サークル刃72を回転させながらペーパーPの紙幅方向に移動させることでペーパーPを所定のサイズに切断するように構成されている。ローラカッター部4の搬送方向下流側には、切断後のペーパーPを送り出すための切断後搬送ローラ46が配設されている(図6参照)。そして、前記切断後搬送ローラ46の回転によりペーパーPが搬送下流側の裏面印字ユニット5に搬送される。
また、ローラカッター部4のサークル刃72の下方には、切断位置におけるペーパーPの搬送高さを設定するカット位置ガイド73が設けられている。このカット位置ガイド73は、切断位置においてペーパーPを受けるペーパー受け面を形成しており、切断時にサークル刃72を逃がすための凹溝が形成されている。
前記カット位置ガイド73よりも搬送方向上流側には、プリント後搬送ローラ45から搬送されたペーパーPの先端をローラカッター部4とカット位置ガイド73との間に挿通させるべく、搬送上流側の斜め下方に延びるテーパー面を有する入口ガイド74が設けられており、ペーパーPがスムーズにローラカッター部4側に送り込まれるようになっている。
前記ローラカッター部4のサークル刃72よりも搬送方向下流側で且つサークル刃72の近傍には、ペーパーPの切断位置における搬送高さ(すなわち、カット位置ガイド73のペーパー受け面の高さ)よりも上方に段差dを存して配置される搬送ガイド面を有する段差ガイド部75が設けられている。さらに、段差ガイド部75よりも搬送方向下流側には、段差ガイド部75の搬送ガイド面と略同じ搬送高さ位置に搬送ガイド板76が配設され、切断後のペーパーPの受け面を形成している。
前記段差ガイド部75は、ペーパーPをカット位置ガイド73のガイド面からペーパーPを浮かせた状態とするものである。また、段差ガイド部75における搬送方向上流側の段差角部には、ペーパーPの搬送をスムーズに行うためのテーパー面が形成されている。
このような段差ガイド部75を設けることで、ローラカッター部4でペーパーPを切断する際に、ペーパーPが上下方向に微少量だけ揺動するようになる。その結果、サークル刃72によってペーパーPの幅方向に加わる切断力だけでなく、ギロチン刃によるペーパーPの切断の場合と同様にペーパーPの上下方向にせん断力が生じることとなり、ペーパーPの幅方向他端側がローラカッター部4のサークル刃72で切断される前に剥離して切り残し屑が生じることを抑制する上で有利となる。これにより、写真プリントとしての商品価値を損なうことがなく、品質を確保することができる。
なお、本実施形態では、段差ガイド部75による段差dのみでペーパーPのずれを抑制するようにしたが、例えば、図9に示すように、段差ガイド部75’の搬送ガイド面にペーパーPを押圧するための押圧手段77を設けるようにしても構わない。
前記押圧手段77は、例えば、ローラ、コロ、シャフト等で構成することができる。ここで、押圧手段77をペーパーPに圧着するためには、押圧手段77を上下方向に移動自在に構成しておき、押圧手段77の自重を利用して圧着するようにすればよい。さらに、押圧手段77を段差ガイド部75’側に付勢するバネ等の付勢手段を用いるようにすれば、より確実にペーパーPのずれを抑制することができる。
また、段差ガイド75’の搬送ガイド面と押圧手段77との間にペーパーPの厚さよりも若干大きな隙間を設けた状態で押圧手段77の位置を固定しておくことで、ペーパーPの浮き上がりを防止するようにしても構わない。
ここで、段差ガイド部75’は、押圧手段77を用いない場合の段差ガイド部75(図8参照)よりも搬送ガイド面が広くなっており、押圧手段77と段差ガイド部75’とでペーパーPを確実に狭持できるようになっている。
以上のように、押圧手段77を用いた構成とすることで、より確実にペーパーPのずれを抑制することができ、ペーパーPに切り残し屑が生じることを防止する上で有利となる。
また、図6に示すように、前記ローラカッター部4の下方位置には、切断後のペーパーPの切り屑を回収するためのカッター屑回収箱70が配設されている。このカッター屑回収箱70は、ペーパーPの排出方向(図6では右方向)に沿ってスライド自在で且つ装置本体から離脱自在に構成され、ユーザーがカッター屑を容易に廃棄できるようになっている。
また、前記カッター屑回収箱70の奥側(図6では右側)には取っ手71が取り付けられている。そして、カッター屑回収箱70の奥側は、透明なプラスチック材料で形成され、切り屑の収容状態が目視確認できるようになっている。
なお、カット後のペーパーPの切り屑を確実に回収するために、例えば、前記カッター屑回収箱70と前記ペーパー保持部Dの第1区画室22とを図示しない排気管で連通させ、ファン24によって排気管を介してローラカッター部4の下方を負圧とし、切り屑がカッター屑回収箱70内に確実に回収されるようにした構成としてもよい。
前記裏面印字ユニット5は、ペーパーPの裏面に整理番号等を印字するものであり、ペーパーPの裏面側に配設されている。前記裏面印字ユニット5の搬送下流側には、裏面印字後のペーパーPを送り出す搬送ローラ47が配設されている。そして、該搬送ローラ47の回転により、ペーパーPが搬送下流側のデカールユニット6に搬送される。
前記デカールユニット6は、ロール状に巻かれたペーパーPのカールを修正するためのものであり、搬送方向規制ガイド61、デカールローラ48、デカールガイド62、及び排出ローラ49を備えている。
前記搬送ローラ47から送り出されたペーパーPの先端部は、デカールユニット6の搬送方向規制ガイド61によりデカールローラ48とデカールガイド62との間に挟まれるように案内される。そして、デカールローラ48の回転によりペーパーPのカールが修正された後、デカール後のペーパーPが排出ローラ49により排出トレイ7上に排出される。
また、プリンタAには、ロール状に巻かれたペーパーPとは別に、ユーザーが手差しでペーパーPを供給するための手差しトレイ81が装置上部の搬送方向上流側に設けられている。手差しトレイ81の搬送方向下流側には搬送ローラ82が配設され、搬送ローラ82の回転により手差しトレイ81に収容されたペーパーPが手差しガイド83に沿って搬送駆動ローラ43及び一対の圧着ローラ44,44の間に挟まれるように案内される。以下のプリント処理動作は、ロール状に巻かれたペーパーPの場合と同様であるため、説明を省略する。
ここで、手差しトレイ81から搬送されたペーパーPにはカールが付いていないため、このペーパーPをデカールユニット6のデカールローラ48に送ると、デカールローラ48によってカールが付いてしまうこととなる。そこで、ペーパーPが手差しトレイ81から供給されたものであるかペーパー収容部1から供給されたものであるかを判定する図示しない判定手段を設け、判定結果に基づいて、搬送方向規制ガイド61の搬送方向を切り替えるように制御するのが好ましい。例えば、手差しトレイ81から供給されたペーパーPに対しては、デカールローラ48の通過を回避する方向に搬送して排出トレイ7に排出するように制御すればよい。
−インク供給系−
図10に示すように、前記プリンタAのインク供給系は、装置の左右両側に位置するインク貯留部3のインクカートリッジ32のインクを電磁弁50及び供給管路51を介してサブタンク52に供給し、このサブタンク52のインクをフレキシブル管路53を介してプリントヘッドHに送り出すように構成されている。そして、前記インクカートリッジ32からサブタンク52までは、後述の空気加圧部56によって供給される加圧空気により送り出される一方、該サブタンク52からプリントヘッドHまでは、該プリントヘッドHのノズルからインクを吐出した場合にピエゾ素子によって圧力室内に生じる負圧により流れることになる。なお、前記サブタンク52は、前記プリントヘッドHに対して適切な圧力でインクが供給されるように、該プリントヘッドHに対して所定の高さ位置に取り付けられている。
上述のようにインク供給系を構成することで、インクカートリッジ32のインクは一旦サブタンク52内に貯留されて、該サブタンク52からプリントヘッドHに供給されることになるため、印刷を中断することなくインクカートリッジ32を交換できる。しかも、前記サブタンク52は、圧力ダンパとしての役割も果たすため、前記インクカートリッジ32で生じた圧力変動が直接、前記プリントヘッドHに伝わるのを防止することができ、該プリントヘッドHに過大な圧力が作用してインク漏れ等が生じるのを防止することができる。なお、図10では1つのインク供給系だけが示されているが、実際には、色相が互いに異なる7種類のインクに対応して7つのインク供給系が形成されている。
前記インクカートリッジ32は、柔軟な素材を用いて袋状に形成されたインクタンク32Tを樹脂製のケースに格納して構成されている。このインクカートリッジ32は、前記ケース内部に対して空気供給路55を介して加圧空気を供給する空気加圧部56と、該ケース内部に供給される空気圧を調節する調圧弁57とをさらに備えている。このような構成において、前記ケース内部を所定の圧力にすることで、前記インクタンク32Tから所定量のインクを供給管路51内に供給することができるようになっている。
前記サブタンク52も樹脂シート等の柔軟な素材を用いて袋状に形成されたもので、詳しくは後述するように、その内部空間が2つのタンク室52b,52bに区切られている。そして、該タンク室52b,52bには、それぞれ、前記供給管路51及びフレキシブル管路53に連結される供給管52c,52dが設けられていて、これにより、2つのタンク室52b,52bには色相の異なるインクを一時貯留できるようになっている。
前記サブタンク52は、インクジェットプリンタAの搬出側から見て左側に設けられた収納部54内に立設されるようになっていて(図10では1つのサブタンク52を配置するための収納部を模式的に示す)、前記サブタンク52の近傍(本実施形態ではサブタンク52の側面上方)には、該収納部54に配設され該サブタンク52の2つのタンク室52b,52bの厚み方向の膨張量に応じて検出信号を出力するサブタンクセンサS,Sが設けられている。
ここで、前記収納部54は、前記サブタンク52の一方の面を、上下方向に延びて下端部で該サブタンク52の厚み方向に揺動可能に構成された2枚の板部材54a,54aによって支持するように構成されている。この板部材54a,54aは、前記サブタンク52のタンク室52b,52bの腹部分(最も厚み方向に膨張する部分)に対応するように配置されている。また、前記収納部54の互いに対向する壁部には、前記サブタンク52を収納した状態で、該サブタンク52のタンク室52b,52bに連通するように設けられた供給管52c,52dを避けるように切り欠きが形成されている。
前記サブタンクセンサS,Sは、前記サブタンク52のタンク室52b,52bの腹部分(最も厚み方向に膨張する部分)に対応して配置された前記板部材54a,54aの上部に接触するように配設されていて、該タンク室52b,52bの膨張若しくは収縮に伴ってサブタンク52の側面が厚み方向に変位すると、この変位に応じた前記板部材54a,54aの傾動を検出するようになっている。
具体的には、前記サブタンク52のタンク室52b,52b内のインク残量が所定量(例えば9ml)以下になると、前記タンクセンサS,Sは板部材と非接触状態になるため、その場合には、インク残量が適切な量(例えば10ml)になるように、前記電磁弁50を作動させて開状態にし、サブタンク52のタンク室52b,52b内にインクを供給するように構成されている。
一方、前記サブタンク52のタンク室52b,52b内に適切な量のインクが充填されている場合には、前記タンクセンサS,Sが板部材に接触するため、その場合には、前記電磁弁50を作動させて閉状態にし、サブタンク52のタンク室52b,52bへのインクの供給を停止する。
なお、インク貯留部3には、該インク貯留部3にインクカートリッジ32が存在するか否かを判別する着脱センサ58が設けられている。
−サブタンク−
前記サブタンク52は、上述の通り、樹脂シート等の柔軟な素材を用いて袋状に形成されたもので、内部に充填されるインクの液量によって厚み方向に膨張・収縮を繰り返すように構成されている。具体的には、前記サブタンク52は、図10に示すように、例えば2枚の樹脂シートの上辺及び下辺をそれぞれ溶着して筒状に形成した後、その内部空間を2つに区切るように筒軸方向の略中央部分を溶着して、筒軸方向両端の開口部内に2つの供給管52c,52dが一体に形成された樹脂製の封止部材52a,52aを位置付けた状態でシートに対して溶着することにより得られるもので、1つのサブタンク52に2つのタンク室52b,52bが形成されている。
そして、上述のような封止部材52a,52aを設けることで、それぞれのタンク室52b,52bに対して、色相の異なるインクを一時的に貯留したりプリントヘッドHに対して供給したりすることができるため、従来のサブタンクに比べて取付スペースを小さくすることができる。しかも、2色のインクタンクを1回の作業で取り付けることができるため、1色分のサブタンクをそれぞれ取り付ける場合に比べて取付作業を軽減することができる。
なお、本実施形態では、画像形成装置の一例としてインクジェットプリンタについて説明したが、もちろん、インクジェットプリンタに限定されるものではなく、例えば、感熱転写シートを用いた熱転写方式やレーザ方式によって画像を形成する装置であっても良い。