JP3991241B2 - 面位置調整装置及びその方法並びに露光装置及びその方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、面位置調整装置及びその方法並びに露光装置及びその方法に係り、更に詳しくは、第1物体に形成されたパターンを第2物体の面上に投影する投影光学系の像面に第2物体表面を一致させる面位置調整装置及びその方法、並びにこれらの装置等により露光時の前記感応基板の面位置調整を行なう露光装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外線等の露光光を用いてマスクパターンを投影光学系を介してステージ上の感応基板に転写する投影露光装置は、半導体集積回路の製造を始めとする種々の精密加工の分野で実用化されている。これらの投影露光装置では、投影光学系の結像面の焦点深度の幅内に感応基板の現在の露光ショット領域を設定する機構である合焦機構、即ちオートフォーカス機構が必要である。
【0003】
そのような合焦機構は一般的には、▲1▼直接方式と▲2▼間接方式とに分類される。
▲1▼の直接方式では、ステージ上に設けた基準面におけるマスクパターンの像の合焦点が露光光を用いて直接に検出される。具体的には、例えば特開平1−286418号公報に開示されているように、マスクパターン面に形成された特殊なマークの像がその基準面上に投影される。そして、その基準面に形成されたマークの投影像を投影光学系及びマークを介して観察し、マークにより絞られた投影像の光量のピークを検出することにより合焦点が判別される。
【0004】
一方、▲2▼の間接方式においては、投影光学系に対するステージの高さを計測する計測手段を別途設け、上述の直接方式を用いて予め求めた合焦点にその計測手段の原点を合わせ、その計測手段を用いて感応基板の露光面の高さを検出して、間接的にその露光面を合焦点まで誘導するようにしている。例えば特開平1−41962号公報または特開昭60−168112号公報には、そのステージの高さの計測手段の例として、投影光学系の外側に固定された斜入射光方式の光学系を用いてその投影光学系の直下の露光面の高さを計測する機構(以下、「斜入射光式の焦点検出機構」という)が開示されている。この斜入射光式の焦点検出機構には、検出点が1点のものと、検出点を複数有する多点焦点検出機構とがある。
【0005】
ところで、近時は、加工精度が特に高い半導体メモリデバイスの製造に際しては、波長365nmのi線を用い、焦点深度1μm以下の投影光学系(投影レンズ)が用いられている。この場合には、合焦点の位置決め精度として通常でも0.1μm以下の精度が要求され、例えば特公昭62−50811号公報に開示されている露光光の干渉現象を利用した特殊な投影露光方式では0.05μm以下の極めて高い精度が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の合焦機構では、投影光学系の像面は投影光学系の光軸に垂直な理想的な平面であり、基板表面も理想的な平面であるという仮定の下に、ある限定された位置(検出位置、通常は投影光学系の光軸位置)の合焦点を目標位置に定め、その目標位置を中心とする所定の許容範囲内に基板の面位置を設定する合焦動作が行われていたことから、複雑な段差構造をした基板を合焦させようとした場合、上記検出位置以外の位置に段差がある場合には、デフォーカス(焦点ずれ)が発生し易くなるという不都合があった。
【0007】
また、最近では、露光エリアの拡大に伴い、複数チップを1度に露光する1ショット4チップ取り、1ショット6チップ取り等の形態の露光処理がなされており、かかる場合に投影光学系の露光可能領域の内の一部領域のみを露光したい場合がある。また、ウエハ上の一部領域に検査のためのパターン(TEGパターン)を形成する必要がある場合もある。この他、同一の投影露光装置で異なるチップサイズのウエハを露光したい場合や、複数種類のパターンが形成されたレチクルを用いて同一の感応基板の異なるショット領域にそれぞれのパターンを露光したい場合もある。このような場合には、照明光学系内の可変視野絞り(可動ブラインド)によりマスキング処理をしてマスクパターンの一部のみを照明し、基板上にその一部のパターンのみを転写させる必要があるが、かかる場合マスクパターンの照明エリア中心と投影光学系の光軸中心とが一致しないため、目標位置が限定された従来の合焦機構では、正しい合焦動作が出来ないという不都合もあった。
【0008】
更に、投影光学系の任意の像面座標位置でのフォーカス位置及びフォカスマージンに差があるため、上記従来の合焦方法では、像高によっては、フォーカスマージンが無く、転写後の基板上でデフォーカス像になってしまうという不都合もあった。
【0009】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、請求項1に記載の発明の目的は、面位置調整の対象物体の表面に凹凸がある場合であっても、高精度な合焦動作を行なうことができる面位置調整装置を提供することにある。
【0010】
また、請求項2に記載の発明の目的は、上記目的に加え、パターンの投影領域が変更された場合であっても容易に対応できる面位置調整装置を提供することにある。
【0011】
また、請求項3及び4に記載の発明は、上記各発明の目的に加え、像面湾曲が存在する場合であっても十分なフォーカスマージンを確保し、面位置の調整を容易に且つ高精度に行なうことができる面位置調整装置を提供することにある。
【0012】
また、請求項5ないし7に記載の発明の目的は、上記各発明の目的に加え、面位置の調整に使用する全ての検出点で、一層容易且つ確実に面位置調整の対象物体の表面を投影光学系の最良結像面の焦点深度内に合焦させることができる面位置調整装置を提供することにある。
【0013】
また、請求項8に記載の発明の目的は、デフォーカス像の発生しない高精度な重ねあわせ露光を実現することができる露光装置を提供することにある。
【0014】
また、請求項9に記載の発明の目的は、面位置調整の対象物体の表面に凹凸がある場合であっても、高精度な合焦動作を行なうことができる面位置調整方法を提供することにある。
【0015】
また、請求項10に記載の発明の目的は、請求項9に記載の発明の目的に加え、パターンの投影領域が変更された場合であっても容易に対応できる面位置調整方法を提供することにある。
【0016】
また、請求項11及び12に記載の発明の目的は、請求項9、10に記載の発明の目的に加え、像面湾曲が存在する場合であっても十分なフォーカスマージンを確保し、面位置の調整を容易に且つ高精度に行なうことができる面位置調整方法を提供することにある。
【0017】
また、請求項13に記載の発明の目的は、上記請求項9ないし12に記載の発明の目的に加え、面位置の調整に使用する全ての検出点で、一層容易且つ確実に面位置調整の対象物体の表面を投影光学系の最良結像面の焦点深度内に合焦させることができる面位置調整方法を提供することにある。
【0018】
請求項14に記載の発明の目的は、デフォーカス像の発生しない高精度な重ねあわせ露光を実現することができる露光方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、第1物体(R)に形成されたパターンを第2物体(W)の面上に投影する投影光学系(PL)の像面に前記第2物体(W)表面を一致させる面位置調整装置であって、所定の基準面に直交する第1軸方向の前記第2物体(W)の前記基準面に対する相対位置を複数の検出点(S)で検出する面位置検出手段(40、42)と;前記面位置検出手段(40、42)の複数の検出点(S)のそれぞれにおける前記投影光学系(PL)を介した最良結像面位置及びフォーカスマージンデータが記憶された記憶手段(96)と;前記第2物体(W)を前記第1軸方向及び前記基準面に対する傾斜方向に駆動する駆動手段(21)と;前記記憶手段(96)の記憶内容と前記面位置検出手段(40、42)の検出結果とに基づいて前記第2物体(W)表面の前記投影光学系(PL)によるパターンの投影領域(Ef)が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記駆動手段(21)を制御する際に、前記各検出点における前記面位置検出手段の検出結果とこれに対応する前記最良結像面位置データとの差分量を用いて最小自乗近似により近似面を算出して、その近似面に前記第2物体(W)表面が近づくように制御する制御手段(44)とを有する。
【0020】
これによれば、記憶手段(96)内には、面位置検出手段(40、42)の複数の検出点(S)のそれぞれにおける投影光学系(PL)を介した最良結像面位置及びフォーカスマージンデータが記憶されており、制御手段(44)では、記憶手段(96)の記憶内容と面位置検出手段(40、42)の検出結果とに基づいて第2物体(W)表面の投影光学系(PL)によるパターンの投影領域(Ef)が最良結像面の焦点深度内に入るように駆動手段(21)を制御する。この結果、従来のように、投影光学系の最良結像面が投影光学系の光軸に直交する理想平面であって、焦点深度も一律であるものと仮定して第2物体の面位置の調整が行われる場合と異なり、投影光学系の像面湾曲に応じ、各検出点毎の最良結像面位置及びフォーカスマージンデータに基づいて第2物体の面位置の調整が行われるので、全ての検出点について第2物体表面がその検出点のフォーカスマージンの範囲内に入るように第2物体の面位置が調整される。従って、第2物体表面に凹凸がある場合であっても、いずれの検出点位置でも高精度な合焦動作が行われる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、第1物体(R)に形成されたパターンを第2物体(W)の面上に投影する投影光学系(PL)の像面に前記第2物体(W)表面を一致させる面位置調整装置であって、所定の基準面に直交する第1軸方向の前記第2物体(W)の前記基準面に対する相対位置を複数の検出点(S)で検出する面位置検出手段(40、42)と;前記面位置検出手段(40、42)の複数の検出点(S)のそれぞれにおける前記投影光学系(PL)を介した最良結像面位置及びフォーカスマージンデータが記憶された記憶手段(96)と;前記第2物体を前記第1軸方向及び前記基準面に対する傾斜方向に駆動する駆動手段と;前記記憶手段(96)の記憶内容と前記面位置検出手段(40、42)の検出結果とに基づいて前記第2物体(W)表面の前記投影光学系(PL)によるパターンの投影領域(Ef)が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記駆動手段(21)を制御する際に、前記各検出点(S)における前記面位置検出手段(40、42)の検出結果とこれに対応する前記最良結像面位置データとの差分量を算出し、前記駆動手段(21)の制御に用いられる全ての検出点(S)に対するフォーカスマージンの1/2と前記差分量との差のうちの最大値と最小値との平均値を求め、前記全ての検出点(S)におけるフォーカスマージンの1/2と前記差分量との差が前記平均値に近づくように制御する制御手段(44)とを有する。
【0022】
これによれば、請求項1記載の発明と同様に、投影光学系の像面湾曲に応じ、各検出点毎の最良結像面位置及びフォーカスマージンデータに基づいて第2物体の面位置の調整が行われるので、全ての検出点について第2物体表面がその検出点のフォーカスマージンの範囲内に入るように第2物体の面位置が最適に調整される。
【0023】
これらの場合において、検出点の配置は、特に限定されるものではないが、請求項3に記載の発明の如く、前記複数の検出点(S ) が、前記投影光学系 ( PL)による前記パターンの投影領域(Ef)内に2次元方向にほぼ等間隔で配置されていることが望ましい。この場合には、投影領域(Ef)内の段差情報を均等に検出することができるので、例えばパターンの投影領域(Ef)が変更された場合であっても容易に対応が可能である。
【0024】
これらの場合において、請求項4に記載の発明の如く、前記第1物体(R)のパターンの照明領域を設定する照明領域設定手段(45A、45B)と;前記照明領域設定手段(45A、45B)により設定されたパターン照明領域に対応する前記第2物体(W)上でのパターン投影領域(Ef’)を算出する算出手段(44)とを更に有する場合には、前記制御手段(44)が、前記算出手段(44)により算出された前記パターン投影領域(Ef’)内に位置する検出点(S)における前記最良結像面位置及びフォーカスマージンデータと前記パターン投影領域内に位置する検出点での前記面位置検出手段(40、42)の検出結果とのみに基づいて、前記第2物体(W)表面の前記パターン投影領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記駆動手段(21)を制御するようにしても良い。このようにした場合、照明領域設定手段(45A、45B)により第1物体(R)のパターンの照明領域が設定されると、算出手段(44)では設定されたパターン照明領域に対応する第2物体(W)上でのパターン投影領域(Ef’)を算出し、制御手段(44)では算出手段(44)により算出されたパターン投影領域(Ef’)内に位置する検出点(S)における最良結像面位置及びフォーカスマージンデータとパターン投影領域内に位置する検出点での面位置検出手段(40、42)の検出結果とのみに基づいて、第2物体(W)表面の前記パターン投影領域が最良結像面の焦点深度内に入るように駆動手段(21)を制御する。このため、投影光学系の最良結像面に像面湾曲が存在し、従来のように投影光学系の最良結像面が投影光学系の光軸に直交する理想平面であって、焦点深度も一律であるものと仮定した場合に、全体のフォーカスマージンが殆ど確保できず合焦が困難な場合であっても、十分なフォーカスマージンを確保することができ(図14斜線部参照)、これにより面位置の調整を容易に且つ高精度に行なうことができる。
【0025】
あるいは、請求項5に記載の発明の如く、前記第2物体(W)上に複数の分割領域(例えばショット領域)が形成されている場合に、前記制御手段(44)は、分割領域毎に、前記各分割領域を指定するマップ(例えば露光マップ)に基づき、各分割領域内に位置する検出点における前記最良結像面位置及びフォーカスマージンデータと前記分割領域内に位置する検出点での前記面位置検出手段の検出結果とのみに基づいて、前記第2物体表面の前記分割領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記駆動手段を制御するようにしても良い。このようにした場合には、第2物体上の各分割領域の形状(大きさを含む)に応じて、当該各分割領域について十分なフォーカスマージンを確保して面位置の調整を容易且つ高精度に行なうことができる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、マスク(R)に形成されたパターンの像を投影光学系(PL)を介して感応基板(W)上に転写する露光装置であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の面位置調整装置を前記感応基板の面位置調整用として具備することを特徴とする。これによれば、上記の如く面位置調整装置により高精度な合わせ面設定が行われ、この合わせ面設定とともにマスク(R)と感応基板(W)のアライメントとが行われた状態で、露光が行われると高精度、特にデフォーカス像の発生しない重ねあわせ露光が実現される。
【0027】
請求項7に記載の発明は、第1物体(R)に形成されたパターンを第2物体(W)の面上に投影する投影光学系(PL)の像面に前記第2物体(W)表面を一致させる面位置調整方法であって、前記投影光学系(PL)を介した最良結像面の所定の基準面に直交する第1軸方向の前記基準面に対する相対位置及びフォーカスマージンを複数の検出点(S)について検出し記憶する第1工程と;前記第2物体の前記基準面に対する前記第1軸方向の相対位置を前記各検出点について検出する第2工程と;前記第1工程で記憶された複数の検出点のそれぞれにおける前記最良結像面位置のデータと前記第2工程における各検出点での検出結果との差分量を用いて最小自乗近似により近似面を算出して、その近似面に前記第2物体表面が近づくように制御して前記第2物体表面の前記投影光学系によるパターンの投影領域(Ef)が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記第2物体表面の面位置を調整する第3工程とを含む。
【0028】
これによれば、第1工程において、投影光学系(PL)を介した最良結像面の所定の基準面に直交する第1軸方向の前記基準面に対する相対位置及びフォーカスマージンが複数の検出点(S)について検出され記憶される。次いで、第2工程において、第2物体の前記基準面に対する前記第1軸方向の相対位置が各検出点について検出される。そして、第3工程において、第1工程で記憶された複数の検出点のそれぞれにおけるデータと第2工程における各検出点での検出結果とに基づいて第2物体表面の投影光学系によるパターンの投影領域(Ef)が最良結像面の焦点深度内に入るように第2物体表面の面位置が調整される。この結果、従来のように、投影光学系の最良結像面が投影光学系の光軸に直交する理想平面であって、焦点深度も一律であるものと仮定して第2物体の面位置の調整が行われる場合と異なり、投影光学系の像面湾曲に応じ、各検出点毎の最良結像面位置及びフォーカスマージンデータに基づいて第2物体の面位置の調整が行われるので、全ての検出点について第2物体表面がその検出点のフォーカスマージンの範囲内に入るように第2物体の面位置が調整される。従って、第2物体表面に凹凸がある場合であっても、いずれの検出点位置でも高精度な合焦動作が行われる。
【0029】
この場合において、請求項8に記載の発明の如く、前記第2工程における前記第2物体の前記基準面に対する前記第1軸方向の相対位置の検出は、前記投影光学系(PL)による前記パターンの投影領域(Ef)内に2次元方向にほぼ等間隔で配置された複数の検出点(S)について行われることが望ましい。この場合には、投影領域(Ef)内の段差情報を均等に検出することができるので、例えばパターンの投影領域(Ef)が変更された場合であっても容易に対応が可能である。
【0030】
これらの場合において、請求項9に記載の発明の如く、前記第2工程に先立って、前記第1物体(R)のパターンの照明領域を設定するとともに、当該設定されたパターン照明領域に対応する前記第2物体上でのパターン投影領域(Ef’)を算出し、前記第2工程において、算出されたパターン投影領域(Ef’)内に位置する検出点(S)について前記第2物体(W)の前記基準面に対する前記第1軸方向の相対位置の検出を実行し、前記第3工程において、前記算出されたパターン投影領域内に位置する検出点における前記最良結像面位置及びフォーカスマージンデータと前記パターン投影領域内に位置する検出点での前記第2工程の検出結果とのみに基づいて前記第2物体表面の前記パターン投影領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記第2物体表面の面位置を調整するようにしても良い。これによれば、投影光学系の最良結像面に像面湾曲が存在し、従来のように投影光学系の最良結像面が投影光学系の光軸に直交する理想平面であって、焦点深度も一律であるものと仮定した場合に、全体のフォーカスマージンが殆ど確保できず合焦が困難な場合であっても、十分なフォーカスマージンを確保することができ(図14斜線部参照)、これにより面位置の調整を容易に且つ高精度に行なうことができる。
【0031】
あるいは、請求項10に記載の発明の如く、前記第3工程において、前記第2物体(W)上に形成された複数の分割領域(例えばショット領域)毎に、前記各分割領域を指定するマップ(例えば露光マップ)に基づき、各分割領域内に位置する検出点における前記最良結像面位置及びフォーカスマージンデータと前記分割領域内に位置する検出点での前記面位置検出手段の検出結果とのみに基づいて、前記第2物体表面の前記分割領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記第2物体表面の面位置を調整するようにしても良い。
【0032】
このようにした場合には、第2物体上の各分割領域の形状(大きさを含む)に応じて、当該各分割領域について十分なフォーカスマージンを確保して面位置の調整を容易且つ高精度に行なうことができる。
【0033】
請求項11に記載の発明は、マスク(R)に形成されたパターンの像を投影光学系(PL)を介して感応基板(W)上に転写する露光方法であって、請求項7ないし10のいずれか一項に記載の面位置調整方法を用いて露光時の前記感応基板(W)の面位置調整を行なうことを特徴とする。これによれば、請求項9ないし13のいずれか一項に記載の面位置調整方法を用いて露光時の前記感応基板(W)の面位置調整(合わせ面設定)が行われ、この合わせ面設定とともにマスク(R)と感応基板(W)のアライメントとが行われた状態で、露光が行われると高精度、特にデフォーカス像の発生しない重ねあわせ露光が実現される。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1ないし図14に基づいて説明する。
【0035】
図1には、本発明に係る面位置調整装置が適用された一実施形態に係る露光装置10の概略構成が示されている。この露光装置10は、いわゆるステップ・アンド・リピート方式の縮小投影型露光装置である。
【0036】
この露光装置10は、ウエハWを保持してXY平面内をXY2次元方向に移動する基板テーブル18を備えたXYステージ装置14と、前記XY平面に直交するZ方向をその光軸AXの方向としてXYステージ装置14の上方に配置された投影光学系PLと、この投影光学系PLの上方でその光軸AXに直交して配置された第1物体としてのマスク(縮小投影露光装置の場合、このマスクをレチクルと呼ぶので以下「レチクル」という)Rを保持するレチクルホルダ36とを備えている。
【0037】
この内、XYステージ装置14は、ベース11と、このベース11上を図1におけるY方向に往復移動可能なYステージ16と、このYステージ16上をY方向と直交するX方向に往復移動可能なXステージ12と、このXステージ12上に設けられた基板テーブル18とを有している。また、基板テーブル18上に、ウエハホルダ25が載置され、このウエハホルダ25によって第2物体としての感応基板、ここではウエハWが真空吸着によって保持されている。
【0038】
基板テーブル18は、Xステージ12上にXY方向に位置決めされかつZ軸方向の移動及び傾斜が許容された状態で取り付けられている。そして、この基板テーブル18は、異なる3点の支持点で不図示の3本の軸によって支持されており、これら3本の軸がウエハ駆動装置21によって独立してZ軸方向に駆動され、これによって基板テーブル18上に保持されたウエハWの面位置(Z軸方向位置及びXY平面に対する傾斜)が所望の状態に設定されるようになっている。
【0039】
この基板テーブル18上には移動鏡27が固定され、外部に配置された干渉計31により、基板テーブル18のX方向、Y方向及びθ方向(Z軸回りの回転方向)の位置がモニタされ、干渉計31により得られた位置情報が主制御装置44に供給されている。主制御装置44は、ウエハ駆動装置21(これは、Xステージ12、Yステージ16の駆動系及び基板テーブル18の駆動系の全てを含む)を介してYステージ16、Xステージ12及び基板テーブル18の位置決め動作を制御すると共に、装置全体の動作を統括制御する。
【0040】
また、基板テーブル18上の一端部には、不図示のオフアクシス方式のアライメント検出系の検出中心から投影光学系PLの光軸までの距離を計測するベースライン計測等のための各種基準マークが形成された基準マーク板FMが固定されている。この基準マーク板FM上のマークには、投影光学系の最良結像面の検出に用いられる基準パターンが含まれる。なお、この投影光学系PLの最良結像面を検出する第2の焦点検出系の構成等については、後に詳述する。
【0041】
前記レチクルホルダ36はその上面の4つのコーナー部分に真空吸着部34を有し、この真空吸着部34を介してレチクルRがレチクルホルダ36上に保持されている。このレチクルホルダ36は、レチクルR上の回路パターンが形成された領域であるパターン領域PAに対応した開口(図示省略)を有し、不図示の駆動機構によりX方向、Y方向、θ方向(Z軸回りの回転方向)に微動可能となっており、これによって、パターン領域PAの中心(レチクルセンタ)が投影光学系PLの光軸AXを通るようにレチクルRの位置決めが可能な構成となっている。
【0042】
この露光装置10では、不図示のアライメント検出系の検出信号に基づいて主制御装置44によりレチクルRとウエハWとの位置合わせ(アライメント)が行なわれ、後述する焦点検出系の検出信号に基づいて、レチクルRのパターン面とウエハW表面とが投影光学系PLに関して共役となるように、かつ投影光学系の結像面とウエハW表面とが一致する(ウエハ表面が投影光学系の最良結像面の焦点深度の範囲内に入る)ように、主制御装置44により駆動装置21を介して基板テーブル18がZ軸方向及び傾斜方向に駆動制御されて面位置の調整が行なわれる。このようにして位置決め及び合焦がなされた状態で、ミラー97、メインコンデンサレンズ99を含む照明光学系から射出された露光光によりレチクルRのパターン領域PAがほぼ均一な照度で照明されると、レチクルRのパターンの縮小像が投影光学系PLを介して表面にフォトレジストが塗布されたウエハW上に結像される。
【0043】
ここで、図示は省略したが、照明光学系は、例えば水銀ランプ等の光源と、この光源から射出された露光光を集光する楕円鏡と、この集光された露光光をほぼ平行な光束に変換するインプットレンズと、このインプットレンズから出力された光束が入射して後側(レチクル側)焦点面に多数の二次光源を形成するフライアイレンズと、これら二次光源から射出された露光光を集光してレチクルRを均一な照度で照明するコンデンサーレンズ系等を含んで構成することができる。また、本実施形態では、照明光学系内には、照明領域設定手段としての2枚の可動ブレード45A、45Bを有する可動ブラインド(以下、この可動ブラインドを適宜「可動ブラインド45A、45B」と呼ぶ)が設けられており、この可動ブラインド45A、45Bの配置面はレチクルRのパターン面と共役となっている。また、この可動ブラインド45A、45Bの近傍に、開口形状が固定された固定ブラインド46が配置されている。固定ブラインド46は、例えば4個のナイフエッジにより矩形の開口を囲んだ視野絞りであり、その矩形開口の上下方向の幅が可動ブラインド45A、45Bによって規定されるようになっている。可動ブラインド45A、45Bは、可動ブラインド駆動機構43A、43Bによって開閉方向に駆動されるようになっており、この駆動機構43A、43Bの動作が後述するマスキング情報に応じて主制御装置44によって制御されるようになっている。
【0044】
更に、本実施形態では、投影光学系PLによるパターンの投影領域(この投影領域に対応するウエハW上の領域を以下「露光領域」と呼ぶ)内にウエハWが位置したときXY平面に平行な基準となる仮想的な面(基準面)に対するウエハW表面のZ方向(光軸AX方向)の位置を検出するための面位置検出手段として、斜入射光式の焦点検出系の一つであるの多点フォーカス位置検出系が設けられている。この多点フォーカス位置検出系は、光ファイバ束81、集光レンズ82、パターン形成板83、レンズ84、ミラー85及び照射対物レンズ86から成る照射光学系40と、集光対物レンズ87、回転方向振動板88、結像レンズ89、受光用スリット板98及び多数のフォトセンサを有する受光器90(これについては後述する)から成る受光光学系42とから構成されている。
【0045】
ここで、この多点フォーカス位置検出系(40、42)の構成各部の作用を説明すると、露光光とは異なるウエハW上のフォトレジストを感光させない波長の照明光が、図示しない照明光源から光ファイバ束81を介して導かれている。光ファイバ束81から射出された照明光は、集光レンズ82を経てパターン形成板83を照明する。パターン形成板83を透過した照明光は、レンズ84、ミラー85及び照射対物レンズ86を経てウエハWの露光面に投影され、ウエハWの露光面にはパターン形成板83上のパターンの像が投影結像される。ウエハWで反射された照明光(パターン像の光束)は、集光対物レンズ87、回転方向振動板88及び結像レンズ89を経て受光器90の手前側に配置された受光用スリット板98上に再結像される。
【0046】
ここで、主制御装置44には発振器(OSC.)が内蔵されており、主制御装置44は、OSC.からの駆動信号でドライブされる加振装置92を介して回転方向振動板88に後述するような振動を与え、受光器90の多数のフォトセンサからの検出信号(光電変換信号)がセンサ選択回路93を介して信号処理装置91に供給され、信号処理装置91は、各検出信号を加振装置92の駆動信号で同期検波して得た多数のフォーカス信号を主制御装置44に供給する。なお、センサ選択回路93及び信号処理装置91についても後述する。
【0047】
ここで、図2に基づいてパターン形成板83上のパターン、ウエハWの露光面上に形成されるこのパターンの像、及びこの像が再結像されるフォトセンサが配置された受光器90について更に詳述する。
【0048】
図2(A)には、パターン形成板83が示されている。この図2(A)に示されるように、パターン形成板83には、上下左右方向に当間隔で7×7、合計49個のパターン形成板83の4辺の方向(X,Y方向)に対して45度傾斜したスリット状の開口パターンP11〜P77が形成されており、これらのスリット状の開口パターンPの像がウエハWの露光面上に投影される。ここで、本実施形態では、照射光学系40からの像光束は、YZ平面内で光軸AXに対して所定角度α傾斜した方向からウエハW面(又は基準マーク板FM表面)に照射され、この像光束のウエハW面からの反射光束は、YZ平面内で光軸AXに対して前記照射光学系40からの像光束と対称に所定角度α傾斜した方向に進んで受光光学系42によって前記の如く受光される。すなわち、平面視で見ると、照射光学系40からの像光束及びその反射光束は、Y軸に沿って一方から他方へ進む。
【0049】
このため、ウエハW表面の露光領域Ef内には、図2(B)に示されるように、X軸、Y軸に対して45度傾斜した7行7列のマトリクス状配置で7×7、合計49個のスリット状の開口パターンの像(以下、「スリット像」という)S11〜S77が、X軸、Y軸方向に沿って当間隔lで形成される。なお、本実施形態では、7×7(=49個)のスリット像が露光領域Ef内に配置されるが、等間隔でスリット像Sが配置されるのであれば、スリット像Sの数はいくつでも良い。
【0050】
本実施形態の場合、露光領域Efを1辺が22mmの正方形とした場合、スリット像の間隔l=約3mmとなり、ほぼ露光領域Ef内の段差情報を把握することが可能になる。
【0051】
図2(C)には、多点フォーカス位置検出系(40、42)の受光器90が示されている。この受光器90上にスリット像S11〜S77に対応して7行7列のマトリクス状にフォトセンサD11〜D77が配置されている。各フォトセンサDは、それぞれX軸、Y軸に45度傾斜して配置されている。
【0052】
前記の如く、受光器90には、合計で49個のX軸、Y軸に対し45度傾斜したフォトセンサD11〜D77が配列されており、各フォトセンサDの前面(図1における下面)側には当該各フォトセンサDに対向してX軸、Y軸に対し45度傾斜したスリットがそれぞれ設けられた受光用スリット板98が配置されている。また、フォトセンサD11〜D77に対向する受光用スリット板98のスリット上にそれぞれ図2(B)のスリット像S11〜S77が再結像される。そして、ウエハWの露光面で反射された光を、回転方向振動板88で回転振動することで、受光用スリット板98上では再結像された各像の位置が図2(C)における矢印RD方向に振動する。従って、各フォトセンサD11〜D77の検出信号がセンサ選択回路93を介して後述する信号処理装置91により、回転振動周波数の信号で同期検波される。なお、結像レンズ89とスリット板98との間に、スリット板98上のスリットとウエハWからの反射スリット像の振動中心との相対関係を、矢印RD方向にシフトさせるための、プレーンパラレルを配置しても良い。
【0053】
次に、センサ選択回路93及び信号処理装置91の構成について、図3に基づいて説明する。この図3には、センサ選択回路93と信号処理装置91とが受光器90とともに概略的に示されている。この内、センサ選択回路93は、スイッチ部AS と、レジスタ部RS とから成り、スイッチ部AS 内には逆バイアス電圧が印加されたフォトセンサ(ここではフォトダイオード)D11、D12、……D77のP側に一方の固定接点がそれぞれ接続された切替スイッチSA1 〜SA49と、各切替スイッチSA1 〜SA49の可動接点(共通接点)とn本の出力線O1 〜On との間に設けられた(49×n)個の開閉スイッチSB1-1 、SB1-2 、SB1-3 、……、SB49-nとが配置されている。各切替スイッチSA1 〜SA49の他方の固定接点は接地されている。また、フォトセンサD11〜D77のN側は不図示の電源回路に接続されている。また、n本の光電変換信号の出力線O1 〜On のそれぞれは、これらの出力線に対応して設けられた信号処理回路941 〜94n にそれぞれ接続されている。
【0054】
このため、例えば、切替スイッチSA1 をフォトセンサD11側に切り替え、開閉スイッチSB1-1 をオンにすると、フォトセンサD11が受光する光の強さに比例した強さの逆電流(光電流、すなわち光電変換信号)が、フォトセンサD11→スイッチSA1 →スイッチSB1-1 の順に閉回路内を流れ、この電流が信号処理回路941 によって検出され、デジタル信号に変換されて信号出力回路95に送出される。また、例えば、切替スイッチSA49をフォトセンサD77側に切り替え、開閉スイッチSB49-nをオンにすると、フォトセンサD77が受光する光の強さに比例した強さの逆電流(光電流)が、フォトセンサD77→スイッチSA49→スイッチSB49-nの順に閉回路内を流れ、この電流が信号処理回路94n によって検出され、デジタル信号に変換されて、信号出力回路95に送出される。このように、本実施例では、切替スイッチSAと開閉スイッチSBとの任意の組み合わせをオンにすることにより、任意のフォトセンサDの受光する光の強さに応じた光電流を所望の出力線Oを介して取り出すことが可能になっている。
【0055】
レジスタ部Rs内には、切替スイッチSA1 〜SA49にそれぞれ対応して設けられた49個の第1レジスタRS1 〜RS49と、開閉スイッチSB1-1 〜SB49-nに対応してn個ずつ49組設けられた第2レジスタRSS1-1 〜RSS49-nとが配置されている。第1レジスタRS1 〜RS49は、同一のラインL1 に共通に接続され、第2レジスタRSS1-1 〜RSS49-nは、同一のラインL2 に共通に接続されている。従って、例えば、フォトセンサD11の出力を出力線O1 に出力させるには、ラインL1 にデータ(Data)1(「1,0,0,………,0」)を入力し、ラインL2 にデータ(Data)2(「1,0,0,0,0,0,0、0,0,0,0,0,0,0、………、0,0,0,0,0,0,0」)を入力すれば良い。これにより、第1レジスタRS1 と第2レジスタRSS1-1 とが「1」で、その他のレジスタは0となり、切替スイッチSA1 がフォトセンサD11側に切り替えられ、開閉スイッチSB1-1 がオンとなって、フォトセンサD11の出力が出力線O1 に出力される。このように、本実施例では、主制御装置44からラインL1 、ラインL2 を介してレジスタ部Rs内に入力されるデータ1,データ2の内容によって、所望のフォトセンサDの出力を所望の出力線O、すなわちこれに対応する信号処理回路94に出力させることができる。従って、例えばn=49である場合には、各フォトセンサDを各別に信号処理回路941 〜94n にそれぞれ独立して接続することにより主制御装置44では露光領域内の個々のスリット像位置の光軸方向位置を演算することができる。
【0056】
信号処理装置91は、出力線O1 〜On にそれぞれ接続されたn個の信号処理回路941 〜94n を備えている。各信号処理回路94には同期検波回路(PSD)が内蔵されており、このPSDにはOSC.からの駆動信号と同じ位相の交流信号が入力されている。そして、各信号処理回路94では、各出力線からの信号を上記の交流信号の位相を基準としてそれぞれ同期整流(同期検波)を行ない、ウエハW上の各スリット像S11〜S77の場所のZ軸方向位置(フォーカス位置)に対応する焦点位置検出信号(フォーカス信号)FSを生成する。そして、信号処理回路941 〜94n からのフォーカス信号FSは、出力回路95によりデジタル変換され、シリアルデータとして主制御装置44に出力されるようになっている。
【0057】
ところで、各フォーカス信号FSは、いわゆるSカーブ信号と呼ばれ、受光用スリット板98のスリット中心とウエハWからの反射スリット像の振動中心とが一致したときに零レベルとなり、ウエハWがその状態から上方に変位しているときは正のレベル、ウエハWが下方に変位しているときは負のレベルになる信号である。従って、各フォーカス信号FSにオフセットが加えられていない状態では、主制御装置44によって、各フォーカス信号FSが零レベルになるウエハWの高さ位置(光軸方向位置)が合焦点としてそれぞれ検出されることになる。
【0058】
前述したように、本実施形態においては、所望のフォトセンサDの出力を所望の出力線O、すなわちこれに対応する信号処理回路94に出力させることができ、例えば、複数のフォトセンサDが同一出力先に設定された場合には、その出力先として指定された(選択された)信号処理回路94ではフォトセンサ出力の合成信号を回転振動周波数の信号で同期検波し、その複数のフォトセンサの出力の合成信号に対応するフォーカス信号のデジタル変換データが主制御装置44に出力されるようになっている。但し、以下においては、説明の便宜上、n=49であり、フォトセンサD11〜D77の出力を各別に信号処理回路941 〜94n に出力させることができるようになっているものとする。
【0059】
ところで、本実施形態のような斜入射光方式の多点フォーカス位置検出系(40、42)では合焦点(信号FSが零レベル)となったウェハWの高さ位置が、いつでも最良結像面と必ず一致しているという保証はない。すなわち、フォーカス信号FSは、基準マーク板FM又はウエハWの投影光学系PLの光軸方向の位置を示す信号であり、間接方式で焦点位置を示す信号だからである。従って、そのフォーカス信号FSを使用して合焦点を検出するには、予め直接方式で基準マーク板FM又はウエハWの投影光学系PLに対する合焦状態を調べておき、真の合焦点又はその近傍の位置でのフォーカス信号FSのレベルが予め定められたレベル(これを「擬似的な合焦レベル」という)になるようにオフセットの調整(多点フォーカス位置検出系(40、42)のキャリブレーション)を行い、以後は信号FSがその擬似的な合焦レベルになるように基板テーブル18のZ軸方向の動きを制御すればよい。その擬似的な合焦レベルとしては、例えば0が使用される。
【0060】
しかしながら、投影光学系PLの最良結像面は理想的な平面ではなく、殆どの場合、像面湾曲等が存在し、投影光学系PLの像面座標位置によって最良結像面の光軸方向位置(ベストフォーカス位置)は異なる。従って、各スリット像S(以下、適宜「検出点」という)に対応するフォトセンサDの擬似的な合焦レベル(オートフォーカスの目標値)を同一レベル(例えば0)にすることは、先にも述べたように却ってフォーカス合わせの精度を劣化させることにつながる場合がある。同様に、投影光学系PLの像面位置によって焦点深度が異なる場合もある。従って、フォーカスマージンを一律にすることは、却ってフォーカス合わせの精度を劣化させることにつながる場合がある。
【0061】
そこで、本実施形態では、以下に詳述するように、多点フォーカス位置検出系(40、42)のキャリブレーションを予め行なう際に、各検出点毎に対応する投影光学系PLの最良結像面位置(像面湾曲)と焦点深度を計測し、これらの計測結果が最良結像面位置データ、フォーカスマージンデータとして記憶された記憶手段としてのメモリ96が主制御装置44に併設されている。
【0062】
本実施形態の場合、合焦点等でそのフォーカス信号FSのレベルに所定のオフセットを設定して多点フォーカス位置検出系(40、42)のキャリブレーションを行うには、光学的及び電気的な手法があるが、光学的に設定するには、要は基準マーク板FM等がZ軸方向の所定の位置に在る状態で受光器90のフォトセンサDの受光面での光量の分布を、所定の位置に変化させてやれば良い。例えば、前述したように、スリット板98の前面にプレーンパラレルを配置してこのプレーンパラレルの角度を変えると、フォトセンサDの受光面での光量の分布が変化するので、これによりキャリブレーションを行うことができる。また、信号FSの値がその合焦レベルになるように電気的にオフセットを加えるようにしてもよい。
【0063】
このように、フォーカス信号FSは間接方式で合焦点を示す信号であるため、露光光吸収等で投影光学系PLの結像面(焦点)の位置が変化したような場合には、信号FSが擬似的な合焦レベルになる合焦点と実際の合焦点との間にずれが生じている虞がある。そこで、本実施形態では、キャリブレーション信号KSを用いてそのフォーカス信号FSのオフセット設定(多点フォーカス位置検出系(40、42)のキャリブレーション)を行う。このため、本実施形態では、投影光学系PLの最良結像面を検出してキャリブレーション信号KSを主制御装置44に出力する第2の焦点検出系が設けられている。
【0064】
次に、この投影光学系PLの最良結像面を検出する第2の焦点検出系30について、図4に基づいて説明する。
【0065】
図4には、本実施形態に係る露光装置10を構成する投影光学系PLのベストフォーカス面を検出するTTL方式の第2の焦点検出系30の構成が示されている。
【0066】
この第2の焦点検出系30は、基板テーブル18上にウエハWの表面とほぼ等しい高さ位置で固定された基準マーク板FM(より正確には、この上の基準パターン)と、基準マーク板FMの下方(基板テーブル18の内部)に設けられたミラーM1、照明用対物レンズ50及び光ファイバ51と、この光ファイバ51の入射端側に設けられたビームスプリッタ52と、レンズ系53、54及び光電センサ55とを含んで構成されている。
【0067】
図4において、絞り面(瞳面)EPを挾んで前群、後群に分けて模式的に表わした投影光学系PLの光軸AXはレチクルRの中心、すなわちパターン領域PAの中心を、レチクルパターン面に対して垂直に通る。
【0068】
前記基準マーク板FMの上面には、図5に示されるように、一定ピッチのライン/スペースよりなる振幅型の回折格子マーク28A並びにこの回折格子マーク28Aを反時計方向にそれぞれ45°、90°及び135°回転させて得られる格子よりなる回折格子マーク28B、28C及び28Dが形成されている。これら4種類の回折格子マーク28A〜28Dにより基準パターン28が構成される。このように種々の方向の回折格子マークを形成するのは、レチクルR上のパターンの影響を除くため、及び投影光学系PLのイメージフィールド内の任意の点におけるサジタル(S)方向及びメリディオナル(M)方向の焦点位置(非点収差)を計測可能とするためである。基準マーク板FMの回折格子マーク形成面とウエハWの露光面とは投影光学系PLの光軸方向に同じ高さになるようにしておく。なお、基準マーク板FM上に形成するパターンは、位相型の回折格子マークであってもよい。
【0069】
さて、図4において、露光用照明光ELがレンズ系53及び光ファイバ51の入射端側に配置されたビームスプリッタ52を介して、光ファイバ51に導入される。この照明光は、光ファイバ51の射出端から射出され対物レンズ50によって集光されて、ミラーM1を介して基準マーク板FMの回折格子マーク28A〜28Dをともに裏側から照射する。ここで、照明光ELはレチクルR照明用の光源(水銀ランプ、エキシマレーザ等)から得るのが望ましいが、別に専用の光源を用意しても良い。ただし、別光源にするときは、露光用照明光と同一波長、又はそれに極めて近似した波長の照明光にする必要がある。
【0070】
また、対物レンズ50による基準マーク板FMの照明条件は、パターン投影時の投影光学系PLでの照明条件と極力合わせる、すなわち、投影光学系PLの像側の照明光の開口数(N.A.)と対物レンズ50から基準マーク板FMへの照明光の開口数(N.A.)とをほぼ一致させることが望ましい。
【0071】
照明光ELにより照射された基準マーク板FM上の回折格子マーク28A〜28Dからは投影光学系PLへ送進する像光束が発生する。図4において、基板テーブル18は投影光学系PLの最良結像面(レチクル共役面)Foから僅かに下方に基準マーク板FMが位置するようにセットされていものとする。このとき基準マーク板FM上の一点から発生した像光束L1は投影光学系PLの瞳面EPの中心を通り、レチクルRのパターン面からわずかに下方へずれた面Fr内で集光した後に発散し、レチクルRのパターン面で反射してから元の光路を戻る。ここで、面Frは、投影光学系PLに関して基準マーク板FMと共役な位置にある。投影光学系PLが両側テレセントリック系であると、基準マーク板FM上の回折格子マーク(発光マーク)28A〜28Dからの像光束は、レチクルRの下面(パターン面)で正規反射して再び回折格子マーク(発光マーク)28A〜28Dと重畳するように戻ってくる。但し、図4のように基準マーク板FMが結像面Foからずれていると、基準マーク板FM上には各マーク28A〜28Dのぼけた反射像が形成され、基準マーク板FMが結像面Foと一致しているときは、面FrもレチクルRのパターン面と一致することになり、基準マーク板FM上には各マーク28A〜28Dのシャープな反射像がそれぞれのマークに重畳して形成されることになる。両側テレセントリックな投影光学系PLでは、レチクルRのパターン面からの反射像は自身の源である発光マーク28A〜28D上に投射される。そして基準マーク板FMがデフォーカスしていると、反射像は、マーク28A〜28Dの形状寸法よりも大きくなり、かつ単位面積あたりの照度も低下する。
【0072】
そこで、基準マーク板FM上にできる反射像のうち、元のマーク28A〜28Dで遮光されなかった像部分の光束をミラーM1、対物レンズ50を介して光ファイバ51で受光し、ビームスプリッタ52、レンズ系54を介して光電センサ55で受光するようにする。光電センサ55の受光面は投影光学系PLの瞳面(フーリエ変換面)EPとほぼ共役に配置される。
【0073】
図4の構成においては、基板テーブル18を上下方向(Z方向)に移動させるだけでコントラスト信号を得ることができる。
【0074】
図6には、光電センサ55の出力信号、すなわちキャリブレーション信号KSの信号レベル特性が示されている。この図6において、横軸は基板テーブル18のZ方向の位置、すなわち基準マーク板FMの光軸AX方向の高さ位置を表わす。ここで、図6(A)は発光マーク28A〜28DがレチクルRのパターン面内のクロム部分に逆投影されたときの信号レベルを示し、図6(B)はパターン面内のガラス部分(透明部分)に逆投影されたときの信号レベルを示す。通常、レチクルのクロム部分は0.3〜0.5μm程度の厚みでガラス(石英)板に蒸着されており、クロム部分の反射率は当然のことながらガラス部分の反射率よりは格段に大きい。しかしながら、ガラス部分での反射率は完全に零ということはないので、図6(B)のようにレベルとしてはかなり小さくなるが、検出は可能である。また一般に実デバイス製造用のレチクルは、パターン密度が高いために、発光マーク28A〜28Dの全ての逆投影像がレチクルパターン中のガラス部分(透明部分)に同時にかかる確率は極めて少ないと考えられる。
【0075】
いずれの場合にしろ、基準マーク板FMの表面が最良結像面Foを横切るように光軸方向に移動されると、Z方向の位置Zoで信号レベルが極大値となる。従って、基板テーブル18のZ方向位置と出力信号KSとを同時に計測し、信号レベルが極大となったときのZ方向位置を検出することで、最良結像面Foの位置が求まり、しかもこの検出方式ではレチクルR内の任意の位置で結像面Foの検出が可能となる。すなわち、レチクルRが投影光学系PLの物体側にセットされてさえいれば、いつでも投影視野(イメージフィールド)内の任意の位置で絶対フォーカス位置(最良結像面Fo)が計測できる。また先に述べたようにレチクルRのクロム層は0.3〜0.5μm厚であり、この厚みによって生じる最良結像面Foの検出誤差は、投影光学系PLの投影倍率を例えば1/5縮小とすると、(0.3〜0.5)×(1/5)2 =0.012〜0.02μmとなり、これはほとんど無視できる値である。
【0076】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る露光装置10で任意の検出点におけるフォーカス信号FSのキャリブレーションを行う場合の全体の動作の一例を説明する。この場合、前回のキャリブレーション等により、基板テーブルのZ軸座標がZB の位置が合焦点として設定されているものとする。
【0077】
まず、図7のステップ101において、主制御装置44は駆動装置21を介してXステージ12、Yステージ16を動作させることにより、基準マーク板FMを投影光学系PLのイメージフィールド内の所望の計測点(ここでは、この計測点はいずれかのスリット像Sの位置である検出点を意味する)に移動させる。次のステップ102において、主制御装置44は、駆動装置21を介して基板テーブルのZ軸座標を現在の合焦点であるZB からΔZだけ下方に移動させる。間隔ΔZは、投影光学系PLの結像面のZ軸方向の変動の予想される最大の絶対値をZMAX とすると、ΔZ>ZMAX となるように選ばれている。
【0078】
そして、主制御装置44は、ステップ103において、駆動装置21を介して基板テーブル18のZ軸座標を(ZB −ΔZ)から上方にほぼ一定速度で走査させる。この走査が開始されると、ステップ104において、主制御装置44は、所定のサンプリングパルスに同期して、キャリブレーション信号KS及びフォーカス信号FSを並行して取り込んでそれぞれ内部メモリに書き込む。そして、ステップ105において、主制御装置44では基板テーブル18のZ軸座標が(ZB +ΔZ)に達したか否かを調べ、Z軸座標が(ZB +ΔZ)に達していない場合には、ステップ103に戻ってZ軸方向への走査を続ける。また、ステップ105でZ軸座標が(ZB +ΔZ)に達した場合には、ステップ106に移行する。
【0079】
上記ステップ102〜ステップ105において、例えば、主制御装置44の内部メモリ内の第1記憶領域内の一連のアドレス領域には、図8(A)中に実線の曲線38で示されるようなキャリブレーション信号KSが記憶され、内部メモリ内の第2記憶領域内の一連のアドレス領域には図8(B)に示されるような0を中心としてS字状に変化するフォーカス信号FSが記憶される。図8(A)及び(B)の横軸はアドレスであるが、本実施形態のサンプリングパルスは一定時間間隔毎にハイレベル“1”となるパルス列であるため、そのアドレスは時間tとみなすことができる。更に、基板テーブル18はほぼ等速度で上昇しているため、時間t(又はアドレスの値)に1次変換を施すことにより基板テーブル18のZ軸座標の近似値を求めることができる。
【0080】
図7に戻り、ステップ106において、主制御装置44では、キャリブレーション信号KSから求めた真の合焦点又はこの近傍の位置のZ軸座標とフォーカス信号FSから求められる擬似的な合焦点のZ軸座標との偏差量δZを算出する。
【0081】
例えば、図8の例では、キャリブレーション信号KSが最大になるときのアドレスが真の合焦点ZC に対応するアドレスであり、フォーカス信号FSがSカーブ特性の中で0になるときのアドレスが前回のキャリブレーションで設定した合焦点ZB に対応するアドレスである。なお、基準マーク板FMに形成されている格子マークが位相格子であるときには、信号KSは図8(A)中の一点鎖線の曲線39で示されるように真の合焦点ZC で値が最小になる。従って、何れの場合でもその信号KSの凸又は凹のピークのアドレスから信号FSのゼロクロス点のアドレスを差し引いて得られる偏差アドレス量に所定の1次演算を施すことによりZ軸座標上の偏差量δZが求められる。
【0082】
この場合、図7中のステップ107に示されるように、ステップ102〜106までの動作をn回(nは2以上の整数)繰り返すことで偏差量の計測精度を上げることができる。更に、ステップ108に示されるように、1個の偏差量を算出する度に、駆動装置21を介してXステージ12、Yステージ16及び基板テーブル18を動作させて、基準マーク板FMの投影光学系PLの光軸に垂直な面内での位置を微小量だけ変位させる。これにより基準マーク板FMの回折格子マーク28A〜28Dの像が投影されるレチクルRのパターン領域PAでの位置も微小量だけ変位するので、そのパターン領域PAのパターンの影響が除去され、計測精度の低下が防止される。
【0083】
なお、ステップ107で計測がn回行われていないと判断された場合に直ちにステップ102に戻るようなシーケンスとしても良いことは勿論である。
【0084】
その後、ステップ109において、主制御装置44では真の合焦点又はこの近傍の位置のZ軸座標とフォーカス信号FSから求められる擬似的な合焦点のZ軸座標との偏差量δZを平均化して得られた偏差量〈δZ〉を内部メモリに格納する。これ以後、主制御装置44は前回のキャリブレーションにより設定されたZ軸座標の値ZB に〈δZ〉を加算して得た値(ZB +〈δZ〉)を合焦点とみなして、この合焦点でのフォーカス信号FSが所定の擬似的な合焦レベルになるようにオフセットの調整を、ここでは電気的に行うものとする。
【0085】
ところで、本実施形態に係る第2の焦点検出系30によると、レチクルRが投影光学系PLの物体側にセットされてさえいれば、いつでもイメージフィールド内の任意の位置で絶対フォーカス位置(最良結像面Fo)を計測できることは前述した通りであり、従ってこの第2の焦点検出系30と多点フォーカス位置検出系(40、42)とを用いて、上記ステップ102〜107の処理を基板テーブル18の位置を各計測点(スリット像位置)に移動させながら行なって、各計測点におけるキャリブレーション信号KSから求めた真の合焦点又はこの近傍の位置のZ軸座標と焦点位置検出信号FSから求められる擬似的な合焦点のZ軸座標との偏差(ベストフォーカス値との偏差量)を求める。この各計測点における偏差量が像面湾曲データに他ならない。
【0086】
そこで、本実施形態では、基板テーブル18をXY2次元面内で移動させながら、多点フォーカス位置検出系(40、42)と第2の焦点検出系30とを用いて計測された投影光学系PLの像面湾曲データが各検出点のXY座標位置データと対応づけてメモリ96に記憶されている。
【0087】
また、投影光学系PLの像面座標位置毎(ここでは各検出点位置毎)の焦点深度は、次のようにして計測する。すなわち、上述した像面湾曲データの計測の際に、図8(A)に符号38で示されるようなキャリブレーション信号KSが、各検出点毎に得られるので、各キャリブレーション信号KSの波形と所定のスレッショルドレベルライン(例えば、キャリブレーション信号KSのピーク値の所定%レベルのライン、該所定%は像ぼけが生じない程度に定められる)との2つの交点をそれぞれのキャリブレーション信号波形についてそれぞれ求め、各交点の偏差アドレス量に所定の1次演算を施すことによりZ軸座標上で焦点深度が各検出点毎に求められる。そして、計測されたそれぞれの焦点深度がフォーカスマージンデータとして各検出点のXY座標位置データと対応づけてメモリ96に記憶されている。
【0088】
このメモリ96内に記憶されているデータの具体的利用法については、後に詳述する。
【0089】
次に、上述のようにして構成された本実施形態の露光装置10の面位置調整時の動作について説明する。ここでは、一例として、主制御装置44によって、センサ選択回路93を介して検出点(スリット像)S11,S14,S17,S22,S24,S26,S33,S34,S35,S41,S42,S43,S44,S45,S46,S47,S53,S54,S55,S62,S64,S66,S71,S74,S77に対応するフォトセンサD11,D14,D17,D22,D24,D26,D33,D34,D35,D41,D42,D43,D44,D45,D46,D47,D53,D54,D55,D62,D64,D66,D71,D74,D77が選択されている場合について説明する。以下の説明中では、上記の付加符号(11,14,17,22,………,74,77)等を代表して付加符号(ij)で適宜表すものとする。
【0090】
図9には、この場合の投影光学系PLの最良結像面の平面図が示されており、この図9において上記各検出点Sijにそれぞれ対応する合焦点のZ座標位置(最良結像面位置)がZijとして示されている。また、図10(A)〜(D)には、この場合の各軸(a)〜(d)方向の最良結像面(合焦点のZ座標Zijを結んだ面)とフォーカスマージンΔZijとの関係が示されている。
【0091】
この場合、図10(A)〜(D)に示されるような最良結像面位置データZijとフォーカスマージンデータΔZijとが、メモリ内に記憶されている。
【0092】
ウエハW面を投影光学系PLの像面に合焦させる(焦点深度の範囲内に入れる)ように面位置の調整を行なうには、各検出点Sijに対応するフォトセンサDijの出力がフォーカスマージンΔZij内に入るように駆動装置21を介して基板テーブルのZ軸位置、及び傾斜を調整する必要がある。
【0093】
説明を分り易くするために、(d)方向を例に取って説明する(図11参照)。(d)方向のように像面が傾斜している場合は、Z方向にウエハWを上下動させるだけでは、各フォトセンサ(D77,D66,D55,D44,D33,D22,D11)の出力がすべて合焦範囲に入る条件は存在しない。
【0094】
この場合は、主制御装置44では、各センサの出力値が例えば図11中のZ’77,Z’66,Z’55,Z’44,Z’33,Z’22,Z’11のようになるように駆動装置21のサーボ制御を行い基板テーブル18をZ軸方向及び傾斜方向に駆動して合焦動作を行なう。この時の全体のフォーカスマージンは図11中に示されるΔZd である。ウエハW表面が平面である場合は、この全体のフォーカスマージンΔZd の振分け中心にウエハW表面が一致するように制御するのが最も良く、ウエハW表面に凹凸がある場合は、その凹凸の中心面が全体のフォーカスマージンΔZd の振分け中心に一致するように制御するのが最も良い。
【0095】
主制御装置44ではこのような動作を、選択された全ての検出点Sに対して行なうことにより、ウエハ面の面位置調整を行なう。
【0096】
ここで、主制御装置44によるオートフォーカス・オートレベリング時の上記サーボ制御について詳述する。
【0097】
すなわち、主制御装置44は、多点フォーカス位置検出系(40、42)の各検出点Sでの検出結果が、メモリ96に記憶されているそれぞれの検出点における最良結像面位置データZijに一致するように駆動装置21を制御するが、その際に各検出点SijにおけるフォトセンサDijの検出結果とこれに対応する最良結像面位置データZijとの差分量(ΔZNij)をそれぞれ算出する。そして、すべての検出点における差分量(ΔZNij)が零に近づくように駆動装置21を介して基板テーブル18のZ軸方向及び傾斜方向のサーボ制御を行い、この際に、次式(1)に基づいて各検出点の差分量(ΔZNij)とそれぞれの検出点におけるフォーカスマージンの1/2とを比較する。
【0098】
(ΔZNij)≦1/2・ΔZij ………(1)
そして、すべての検出点Sijについて(1)式が成立した時点で、主制御装置44では合焦状態と判断する。この合焦状態の判断がなされた後は、露光を開始しても良いが、この露光中もすべての検出点における差分量(ΔZNij)が零に近づくようにサーボ制御を続行することが望ましい。
【0099】
この場合、主制御装置44では、すべての検出点における差分量(ΔZNij)が零に近づくように駆動装置21を介して基板テーブル18のZ軸方向及び傾斜方向のサーボ制御する際に、例えば常時前記差分量(ΔZNij)を用いた最小自乗近時により近似面を算出し、その近似面にウエハW表面が近づくように制御しても良い。
【0100】
このようなサーボ制御により、ウエハW表面は、全体のフォーカスマージンΔdの範囲内に含まれるように面位置が調整され、ウエハW表面の凹凸があってもこの凹凸の形状が例えば投影光学系PLの像面湾曲形状に近い場合には、ウエハW表面が投影光学系PLの結像面にほぼ一致するように面位置の調整が行われる。
【0101】
すなわち、例えば、図12(A)に示されるような凹凸形状のあるウエハWの場合、投影光学系PLの最良結像面Foが図12(B)に示されるような像面湾曲を有しているものとすると、最終的に図12(B)中に実線で示されるような面位置の調整が行われる。なお、この図12(B)において、仮想線は従来のフォーカス調整方法により設定された面位置を示す。これより明らかなように、本実施形態の場合の方が、より高精度な合焦が行われていることがわかる。また、ウエハW表面が平面である場合には、全体のフォーカスマージンΔZd の振分け中心にウエハ表面が一致するように面位置が調整される。
【0102】
あるいは、主制御装置44では、すべての検出点における差分量(ΔZNij)が零に近づくように駆動装置21を介して基板テーブル18のZ軸方向及び傾斜方向のサーボ制御を行なう際に、駆動装置21の制御に用いられる全ての検出点に対するフォーカスマージンΔZijの1/2と前記差分量(ΔZNij)との差DZNijの内の最大値DZmaxと最小値DZminとの平均値ΔDを次式(2)に基づいて求め、
(DZmax+DZmin )/2=ΔD ………(2)
全ての検出点におけるフォーカスマージンΔZijの1/2と前記差分量(ΔZNij)との差DZNijが上記平均値ΔDに近づくように制御しても良い。
【0103】
この場合には、前述したようにフォーカスマージンΔZd の振分け中心にウエハ表面、又は凹凸の中心面が一致するように面位置が調整される。
【0104】
次に、上述のようにして構成された本実施形態に係る露光装置10における、投影光学系PLによる露光可能領域の全域を露光領域Efとして露光を行なう際の動作について、説明する。ここでは、例えば特開昭61−44429号等に開示されているような、ウエハW上のアライメントマーク位置の計測値とショット配列の設計値とに基づいて、最小自乗法を用いた統計演算によりウエハ上の全ショット配列座標を求め、これに基づいて各ショット領域を露光位置に位置決めするいわゆるエンハンスト・グローバル・アライメント(以下、「EGA」という)方式により、ステップ・アンド・リピート方式の露光が行われる場合について説明する。
【0105】
この場合、前提として不図示のレチクル顕微鏡によるレチクルアライメントは終了しているものとする。
【0106】
始めに、主制御装置44では、基準マーク板FMが投影光学系PLの下に位置するように駆動装置21を介してYステージ16、Xステージ12を駆動して、基板テーブル18を移動させ、このときのレーザ干渉計31の出力を不図示の内部メモリに記憶する。次に、主制御装置44では基準マーク板FMが不図示のアライメントセンサの下に位置するように、駆動装置21を介してXステージ12及びYステージ16の一方又は両方を駆動して基板テーブル18を移動し、このときのアライメントセンサの出力とレーザ干渉計31の出力とを内部メモリに記憶する。すなわち、このようにしてベースライン計測を行う。なお、ベースライン計測のシーケンスは本実施形態においても従来の露光装置と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0107】
続いて、主制御装置44では、ウエハW上のアライメント用マークが不図示のアライメントセンサの下に位置するように駆動装置21を介して基板テーブル18を移動させ、アライメントセンサの出力とレーザ干渉計31の出力とに基づいてアライメントマーク位置を検出する。このようにして、所定のサンプルショットに付設されたアライメントマークの位置計測を実行し、この計測結果を用いていわゆるEGA演算によりウエハW上の全てのショット配列座標を求める。なお、このEGA演算については、上記特開昭61−44429号等に詳細に開示されているので、ここではその説明を省略する。
【0108】
しかる後、主制御装置44では上記のアライメント用マーク位置の検出結果と前述したベースライン計測結果とに基づいて、各ショット領域(例えば,1ショット1チップ取りの場合は各半導体チップに相当)が投影光学系PLの下に順次位置決めされるように基板テーブル18を位置制御すると同時に信号処理装置91からのフォーカス信号(焦点位置検出信号)FSに基づいて前述したようにしてオートフォーカス・オートレベリング動作を実行しつつ、照明系内の不図示のシャッタの開閉を制御して、基板テーブル18のステッピングと露光を繰り返す。このようにして、ステップ・アンド・リピート方式でウエハW上の各ショット領域へ順次重ね合わせ露光が行われる。
【0109】
次に、図13に基づいて、照明光学系内の可動ブラインド45A、45B等で露光領域Efの一部の領域Emがマスキングされた場合について説明する。
【0110】
メモリ96内に予め記憶された露光条件等を設定するプロセスプログラムと呼ばれる条件ファイルからマスキング処理の情報(例えば、ブラインド情報)が得られたときは、主制御装置44ではブラインド情報に基づいて可動ブラインド駆動機構43A、43Bを介して可動ブラインド45A、45Bを駆動制御するとともに実露光領域Ef’(図13参照)を算出し、この算出結果に基づいてセンサ選択回路93を介して実露光領域Ef’内に配置されているスリット像S14、S15、S16、S17、S24、S25、S26、S27、S34、S35、S36、S37、S44、S45、S46、S47、S54、S55、S56、S57、S64、S65、S66、S67、S74、S75、S76、S77に対応するフォトセンサD14、D15、D16、D17、D24、D25、D26、D27、D34、D35、D36、D37、D44、D45、D46、D47、D54、D55、D56、D57、D64、D65、D66、D67、D74、D75、D76、D77の選択を行ない、当該変化後の実露光領域Ef’についてもその領域内に存在するスリット像(検出点)Sの反射光の光電変換信号に基づいて当該各検出点Sのフォーカス位置の情報を得、これに基づいて前述と同様にして、オートフォーカス・オートレベリングを行い面位置を調整する。
【0111】
なお、プロセスプログラムに直接ブラインド設定とセンサの設定を指定しても良い。
【0112】
ウエハ上の一部領域に検査のためのパターン(TEGパターン)を形成する必要がある場合があり、このような場合には、一部の露光ショットでのみ、マスキング処理をして露光領域を変更する必要がある。このような場合に、上記の実露光領域の変更に応じた面位置調整は、特に好適である。
【0113】
上述のようにして、変更後の実露光領域Ef’内の検出点Sの検出結果のみを用いて、面位置調整を行なう場合であっても、本実施形態では、各検出点毎にメモリ96内に記憶された最良結像面位置データZとフォーカスマージンデータΔZとを用いて面位置の調整が行われるので、従来に比べて焦点深度(フォーカスマージン)を非常に大きく設定できる場合がある。
【0114】
例えば、投影光学系PLの最良結像面Foが図14に示されるような形状である場合に、仮にウエハ表面が平面であったとしても、当該投影光学系PLの焦点深度ΔZ1、ΔZ2の間の範囲のみを使用してオートフォーカスを行なう場合、従来の最良結像面が光軸に直交する理想平面であるとの仮定のもとでは、図中に仮想線で示される面m−mに確実にウエハW表面を一致させない限り、像がデフォーカスするのに対し、本実施形態の場合には、斜線で示す範囲内にウエハ表面を合わせ込めば、像がデフォーカスしないので、明らかにフォーカスマージンを大きく設定することができる。
【0115】
なお、上記の説明では、マスキングにより露光領域が変化する場合について説明したが、例えば、レチクルR上のパターンのサイズ又はウエハW上のチップサイズが変更された場合も、主制御装置44ではこれらの変更情報に基づいて検出対象となる領域を算出し、各領域に配置されたスリット像の反射光束をそれぞれ受光するフォトセンサの出力のみを取り出して、上記と同様に面位置調整を行なうようにしてもよい。
【0116】
例えば、主制御装置44では、露光マップ基づいてウエハW上に形成された各ショット領域(分割領域)毎に、指定されたショット領域内の検出点Sに対応するフォトセンサDのみを選択し、当該各検出点Sにおける最良結像面位置データ及びフォーカスマージンデータと該ショット領域内に位置する検出点SでのフォトセンサDの検出結果とのみに基づいて、ウエハW表面のショット領域が投影光学系PLの最良結像面の焦点深度内に入るように、駆動装置21を制御するようにしても良い。これは、特にウエハ周辺部の欠けショットの面位置調整の際に、効果を発揮する。
【0117】
これまでの説明から明らかなように、本実施形態の露光装置10では、基板テーブル18と駆動装置21とによって、第2物体としてのウエハWを所定の基準面に直交する第1軸方向(Z軸方向)及び基準面に対する傾斜方向に駆動する駆動手段が構成され、主制御装置44によって制御手段及び算出手段が構成されている。
【0118】
以上説明したように、本実施形態の露光装置10によると、主制御装置44では、多点フォーカス位置検出系(40、42)の各検出点Sに対応するフォトセンサDの出力とメモリ96に記憶された各検出点毎の最良結像面位置データ、フォーカスマージンデータとに基づいて、全ての検出点Sに対応するフォトセンサDの出力値がそれぞれのフォーカスマージンデータの範囲内となるように駆動装置21及び基板テーブル18を介してウエハWの面位置を調整するので、結果的にウエハW表面の露光領域Ef部分の全体が最良結像面の焦点深度内に入るような面位置の調整が行われ、ウエハW表面に凹凸がある場合であっても、いずれの検出点位置でも高精度な合焦動作が行われる。
【0119】
また、複数の検出点Sが、前記投影光学系PLによるパターンの投影領域(露光領域Ef)内に2次元方向にほぼ等間隔で配置されていることから、露光領域Ef内の段差情報を均等に検出することができるので、例えば露光領域Efが変更された場合であっても容易に対応が可能である。
【0120】
また、露光領域の変更は、可動ブラインド(45A、45B)によって行われるようになっており、この可動ブラインドによって露光領域Efの変更が行われた場合に、主制御装置44では例えばマスキング情報に基づいて変更後の実露光領域Ef’内に位置する検出点に対応するフォトセンサDをセンサ選択回路93を介して選択し、実露光領域Ef’内の検出点における最良結像面位置及びフォーカスマージンデータと上記の選択されたフォトセンサの検出結果とのみに基づいてウエハW表面の実露光領域Ef’部分が最良結像面の焦点深度内に入るように駆動装置21及び基板テーブル18を介してウエハWの面位置調整を行なうので、投影光学系PLの最良結像面に像面湾曲が存在し、従来であれば全体のフォーカスマージンが殆ど確保できず合焦が困難な場合であっても、十分なフォーカスマージンを確保することができ、これにより面位置の調整を容易に且つ高精度に行なうことが可能である。
【0121】
また、本実施形態の露光装置10では、上記のようにして高精度な合わせ面設定が行われ、この合わせ面設定とともにレチクルRとウエハWのアライメントとが行われた状態で露光が行われることから、デフォーカス像の発生しない高精度な重ねあわせ露光を実現することができる。
【0122】
なお、本実施形態のように、フォトセンサの組合わせ、出力先の設定が任意に出来る場合は、基準マーク板FM等の基準面を用いてフォトセンサ間の感度、出力先である信号処理回路94間のゲイン、オフセット等の微妙なバラツキをキャリブレーション(較正)しておくことが重要である。このキャリブレーション結果は、主制御装置44内のメモリ(図示省略)に格納しておき、フォトセンサと出力先の選択に応じて補正することが望ましい。また、キャリブレーションのタイミングは一般的には、装置組立時で良いが、装置変動等を考慮する場合は露光動作開始時に定期的に行っても良い。
【0123】
なお、上記実施形態では、投影露光装置に本発明に係る面位置調整装置が適用された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこれに限定されるものではない。例えば電子線露光装置等の他の露光装置であってもマスク(第1物体)のパターンが投影される試料(第2物体)の面位置調整が行われるので、本発明に係る面位置調整方法及びその装置は好適に適用できるものである。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1及び2に記載の各発明によれば、面位置調整の対象物体の表面に凹凸がある場合であっても、高精度な合焦動作を行なうことができるという従来にない優れた効果がある。
【0125】
また、請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加え、パターンの投影領域が変更された場合であっても容易に対応できるという効果がある。
【0126】
また、請求項4及び5に記載の各発明によれば、上記各発明の効果に加え、像面湾曲が存在する場合であっても十分なフォーカスマージンを確保し、面位置の調整を容易且つ高精度に行なうことができるという効果がある。
【0127】
また、請求項6に記載の発明によれば、デフォーカス像の発生しない高精度な重ねあわせ露光を実現することができるという効果がある。
【0128】
また、請求項7に記載の発明によれば、面位置調整の対象物体の表面に凹凸がある場合であっても、高精度な合焦動作を行なうことができる面位置調整方法が提供される。
【0129】
また、請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の発明の効果に加え、パターンの投影領域が変更された場合であっても容易に対応できる面位置調整方法が提供される。
【0130】
また、請求項9及び10に記載の発明によれば、請求項7、8に記載の各発明の効果に加え、像面湾曲が存在する場合であっても十分なフォーカスマージンを確保し、面位置の調整を容易且つ高精度に行なうことができる面位置調整方法が提供される。
【0131】
また、請求項11に記載の発明によれば、デフォーカス像の発生しない高精度な重ねあわせ露光を実現することができる露光方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】(A)は図1のパターン形成板を示す平面図、(B)はウエハの露光面上に形成されるパターン像の配置を示す図、(C)は受光器の受光面上のフォトセンサの配置を示す図である。
【図3】センサ選択回路及び信号処理装置の構成を受光器とともに概略的に示すブロック図である。
【図4】図1の露光装置を構成する投影光学系のベストフォーカス面を検出するTTL方式の第2の焦点検出系の構成を示す図である。
【図5】図1の基準マーク板FM上面に形成された回折格子マークを示す図である。
【図6】キャリブレーション信号の信号レベル特性を示す図であって、(A)は発光マークがレチクルのパターン面内のクロム部分に逆投影されたときの信号レベルを示す図、(B)はパターン面内のガラス部分(透明部分)に逆投影されたときの信号レベルを示す図である。
【図7】図1の露光装置で焦点位置検出信号のキャリブレーションを行う場合の、主制御装置の制御アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図8】上記キャリブレーションの際に、主制御装置の内部メモリ内に記憶される信号を示す図であって、(A)はキャリブレーション信号を示す波形図、(B)は焦点位置検出信号を示す波形図である。
【図9】投影光学系の最良結像面の一例を説明するための図であって、投影光学系の最良結像面の平面図である。
【図10】(A)〜(D)は、図9の各軸(a)〜(d)方向の最良結像面とフォーカスマージンとの関係をそれぞれ示す図である。
【図11】合焦動作時の合焦位置とフォーカスマージンの関係を示す図である。
【図12】第1の実施形態の効果を説明するための図であって、(A)は凹凸形状のあるウエハWの一例を示す図、(B)は(A)のウエハの面位置調整の様子を示す図である。
【図13】露光領域の一部がマスキングされ、実露光領域が変化した場合のスリット像の配置を示す図である。
【図14】露光領域の一部がマスキングされた場合の効果を説明するための図である。
【符号の説明】
10 露光装置
18 基板テーブル(駆動手段の一部)
21 駆動装置(駆動手段の一部)
40 照射光学系(面位置検出手段の一部)
42 受光光学系(面位置検出手段の一部)
44 主制御装置(制御手段、算出手段)
45A、45B 可動ブラインド(照明領域設定手段)
96 メモリ(記憶手段)
R レチクル(第1物体、マスク)
W ウエハ(第2物体、感応基板)
PL 投影光学系
S スリット像(検出点)
Claims (11)
- 第1物体に形成されたパターンを第2物体の面上に投影する投影光学系の像面に前記第2物体表面を一致させる面位置調整装置であって、
所定の基準面に直交する第1軸方向の前記第2物体の前記基準面に対する相対位置を複数の検出点で検出する面位置検出手段と;
前記面位置検出手段の複数の検出点のそれぞれにおける前記投影光学系を介した最良結像面位置及びフォーカスマージンデータが記憶された記憶手段と;
前記第2物体を前記第1軸方向及び前記基準面に対する傾斜方向に駆動する駆動手段と;
前記記憶手段の記憶内容と前記面位置検出手段の検出結果とに基づいて前記第2物体表面の前記投影光学系によるパターンの投影領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記駆動手段を制御する際に、前記各検出点における前記面位置検出手段の検出結果とこれに対応する前記最良結像面位置データとの差分量を用いて最小自乗近似により近似面を算出して、その近似面に前記第2物体表面が近づくように制御する制御手段とを有する面位置調整装置。 - 第1物体に形成されたパターンを第2物体の面上に投影する投影光学系の像面に前記第2物体表面を一致させる面位置調整装置であって、
所定の基準面に直交する第1軸方向の前記第2物体の前記基準面に対する相対位置を複数の検出点で検出する面位置検出手段と;
前記面位置検出手段の複数の検出点のそれぞれにおける前記投影光学系を介した最良結像面位置及びフォーカスマージンデータが記憶された記憶手段と;
前記第2物体を前記第1軸方向及び前記基準面に対する傾斜方向に駆動する駆動手段と;
前記記憶手段の記憶内容と前記面位置検出手段の検出結果とに基づいて前記第2物体表面の前記投影光学系によるパターンの投影領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記駆動手段を制御する際に、前記各検出点における前記面位置検出手段の検出結果とこれに対応する前記最良結像面位置データとの差分量を算出し、前記駆動手段の制御に用いられる全ての検出点に対するフォーカスマージンの1/2と前記差分量との差のうちの最大値と最小値との平均値を求め、前記全ての検出点におけるフォーカスマージンの1/2と前記差分量との差が前記平均値に近づくように制御する制御手段とを有する面位置調整装置。 - 前記複数の検出点が、前記投影光学系による前記パターンの投影領域内に2次元方向にほぼ等間隔で配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の面位置調整装置。
- 前記第1物体のパターンの照明領域を設定する照明領域設定手段と;
前記照明領域設定手段により設定されたパターン照明領域に対応する前記第2物体上でのパターン投影領域を算出する算出手段とを更に有し、
前記制御手段が、前記算出手段により算出された前記パターン投影領域内に位置する検出点における前記最良結像面位置及びフォーカスマージンデータと前記パターン投影領域内に位置する検出点での前記面位置検出手段の検出結果とのみに基づいて、前記第2物体表面の前記パターン投影領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の面位置調整装置。 - 前記第2物体上に複数の分割領域が形成され、
前記制御手段は、分割領域毎に、前記各分割領域を指定するマップに基づき、各分割領域内に位置する検出点における前記最良結像面位置及びフォーカスマージンデータと前記分割領域内に位置する検出点での前記面位置検出手段の検出結果とのみに基づいて、前記第2物体表面の前記分割領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の面位置調整装置。 - マスクに形成されたパターンの像を投影光学系を介して感応基板上に転写する露光装置であって、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の面位置調整装置を前記感応基板の面位置調整用として具備することを特徴とする露光装置。 - 第1物体に形成されたパターンを第2物体の面上に投影する投影光学系の像面に前記第2物体表面を一致させる面位置調整方法であって、
前記投影光学系を介した最良結像面の所定の基準面に直交する第1軸方向の前記基準面に対する相対位置及びフォーカスマージンを複数の検出点について検出し記憶する第1工程と;
前記第2物体の前記基準面に対する前記第1軸方向の相対位置を前記各検出点について検出する第2工程と;
前記第1工程で記憶された複数の検出点のそれぞれにおける前記最良結像面位置のデータと前記第2工程における各検出点での検出結果との差分量を用いて最小自乗近似により近似面を算出し、その基準面に前記第2物体表面が近づくように制御して前記第2物体表面の前記投影光学系によるパターンの投影領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記第2物体表面の面位置を調整する第3工程とを含む面位置調整方法。 - 前記第2工程における前記第2物体の前記基準面に対する前記第1軸方向の相対位置の検出は、前記投影光学系による前記パターンの投影領域内に2次元方向にほぼ等間隔で配置された複数の検出点について行われることを特徴とする請求項7に記載の面位置調整方法。
- 前記第2工程に先立って、前記第1物体のパターンの照明領域を設定するとともに、当該設定されたパターンの照明領域に対応する前記第2物体上でのパターン投影領域を算出し、
前記第2工程において、算出されたパターン投影領域内に位置する検出点について前記第2物体の前記基準面に対する前記第1軸方向の相対位置の検出を実行し、
前記第3工程において、前記算出されたパターン投影領域内に位置する検出点における前記最良結像面位置及びフォーカスマージンデータと前記パターン投影領域内に位置する検出点での前記第2工程の検出結果とのみに基づいて前記第2物体表面の前記パターン投影領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記第2物体表面の面位置を調整することを特徴とする請求項7又は8に記載の面位置調整方法。 - 前記第3工程において、前記第2物体上に形成された複数の分割領域毎に、前記各分割領域を指定するマップに基づき、各分割領域内に位置する検出点における前記最良結像面位置及びフォーカスマージンデータと前記分割領域内に位置する検出点での前記面位置検出手段の検出結果とのみに基づいて、前記第2物体表面の前記分割領域が前記最良結像面の焦点深度内に入るように前記第2物体表面の面位置を調整することを特徴とする請求項7又は8に記載の面位置調整方法。
- マスクに形成されたパターンの像を投影光学系を介して感応基板上に転写する露光方法であって、
請求項7〜10のいずれか一項に記載の面位置調整方法を用いて露光時の前記感応基板の面位置調整を行なうことを特徴とする露光方法。
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