JP3990885B2 - 現像装置及び現像方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レジストが塗布され、露光処理が施された基板の表面に現像液を供給して現像処理を行う現像装置及び現像方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、半導体ウェハ(以下ウェハWという)表面に形成された薄膜状にレジストを塗布し、レジストを所定のパターンで露光し、現像してマスクパターンを形成している。このような処理は、一般にレジストの塗布・現像を行う塗布・現像装置に、露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
【0003】
露光後のウェハに対して、現像処理を行う手法の一つとして、図15に示すようにウェハWの直径に見合う長さに亘って吐出口が形成されたノズルNを用い、このノズルNを、例えばスピンチャックに水平に保持されたウェハWの表面に対して、例えば1mm程度浮かせた状態でウェハWの一端側から他端側に移動させながら、ノズルNの吐出口からウェハW表面に現像液を供給し、ウェハW表面全体に現像液を液盛する方法が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した手法では、以下の様な課題がある。即ち、現像液に対する溶解速度が速い種類のレジストが塗布されたウェハW表面に現像液を液盛する場合、ウェハW全体の液盛を終える前に、既に液盛された部位においてレジストの溶解成分の影響により、レジストの不溶解性部位の溶解が進行し、先に液盛された部位においては、後に液盛された部位よりも本来パターンとなるべき不溶解性部位の溶解が進んでしまうおそれがある。また複雑なマスクパターンを形成するウェハ表面においては、単位面積あたりで見ると密なパターンを形成する部位と、疎なパターンを形成する部位とがあるが、パターンが密な部位は溶解成分が濃縮化し易く、またパターンが疎な部位は溶解成分が拡散するので薄まった状態にある。このためパターン密度に応じてパターンとなるべき不溶解性部位の溶解の程度に差が生じてしまうおそれがあり、このようなパターン密度の差と、液盛のタイミングの差とが相俟って、ウェハW表面全体におけるパターンの線幅の均一性が低下する懸念がある。
【0005】
ここで現像液中の溶解成分の濃度分布が生じるのを抑えるための方法の一つとしては、液盛した後にスピンチャックを瞬間的に回転して、ウェハWを周方向に回転させることにより、回転を止めた後の現像液に慣性力の作用で周方向に向かう流れが形成され、この流れの撹拌作用により、現像液濃度を均一にする方法があるが、液盛を終える前に溶解が進行する溶解速度の速いレジストを用いている場合は、液盛の最中に既に現像液の濃度分布が生じてしまっているので、液盛後に行うこの方法では対応できない。
【0006】
本発明はそのような事情に基づいてなされたものであり、レジストが表面に塗布され、露光処理が施された基板に対して均一性の高い現像を行うことができる技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の現像装置は、基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する現像装置において、
前記基板を水平に保持する基板保持部と、
基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルと、
この供給ノズルから現像液を吐出させながら、当該供給ノズルを前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる移動機構と、を備え、
前記吐出口は、供給ノズルの長さ方向に形成された第1の吐出口と、この第1の吐出口に対してノズルの進行方向に対して後方側に並列に形成され、基板に吐出された現像液が第1の吐出口から基板に吐出された現像液と互いに干渉し合うことで攪拌されるように設定された第2の吐出口と、を備え、
さらに第1の吐出口と第2の吐出口との間に現像液の液面に気体を供給するための気体を供給する給気孔を備えたことを特徴とする。
【0008】
他の発明の現像装置は、基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する現像装置において、
前記基板を水平に保持する基板保持部と、
基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルと、
この供給ノズルから現像液を吐出させながら、当該供給ノズルを前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる移動機構と、を備え、
前記供給ノズルは、当該供給ノズルの長さ方向に形成された第1の下面と、ノズルの進行方向に対して、第1の下面の後方側に、前記第1の下面と並列に且つ段部を介してその第1の下面よりも低い位置に形成された第2の下面と、を備え、
前記吐出口は、その先端面が第1の下面に設けられた第1の吐出口と、その先端面が第2の下面に設けられた第2の吐出口と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
更に他の発明の現像装置は、基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する現像装置において、
前記基板を水平に保持する基板保持部と、
基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルと、
この供給ノズルから現像液を吐出させながら、当該供給ノズルを前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる移動機構と、を備え、
前記吐出口は、供給ノズルの長さ方向に形成された第1の吐出口と、この第1の吐出口に対してノズルの進行方向に対して後方側に並列に形成された第2の吐出口と、を備え、
前記供給ノズルは、第1の吐出口と第2の吐出口との間に現像液の液面に気体を供給するための気体を供給する給気孔を備えたことを特徴とする。
更にまた他の発明の現像装置は、基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する現像装置において、
前記基板を水平に保持する基板保持部と、
基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルと、
この供給ノズルから現像液を吐出させながら、当該供給ノズルを前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる移動機構と、を備え、
前記吐出口は、ノズルの長さ方向に形成された第1の吐出口と、この第1の吐出口に対してノズルの進行方向に対して後方側に並列に形成され、第1の吐出口の先端面の開口面積とその先端面の開口面積とが異なるように設定された第2の吐出口と、を備え、
前記供給ノズルは、第1の吐出口と第2の吐出口との間に現像液の液面に気体を供給するための気体を供給する給気孔を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第1の吐出口及び第2の吐出口から例えば現像液の吐出方向が互いに寄り合いながらノズルが移動するので、双方の吐出口から吐出された現像液が互いに強く干渉されて攪拌されながら液盛りが行われる。従って現像液によりすぐに溶解されるレジストを用いても、現像液中に溶けだした溶解成分が薄められるので、基板表面全体から見ると均一な現像がおこなわれ、その結果、基板全体でみて線幅精度の良いマスクパターンが得られる。
【0011】
本発明の現像方法は、基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する方法において、
前記基板を水平に保持するための基板保持部に搬入する工程と、
次いで基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルを、この供給ノズルから現像液を吐出させながら、前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる工程と、
この供給ノズルに設けた第1の吐出口から現像液を吐出する工程と、
この第1の吐出口に対してノズルの進行方向に対して後方側に並列に形成された第2の吐出口から現像液を基板に吐出する工程と、
第1の吐出口と第2の吐出口との間に設けられた給気口から現像液の液面に気体を供給する工程と、を含み、
第1の吐出口から基板に吐出された現像液と、第2の吐出口から基板に吐出された現像液とが互いに干渉し合うことで攪拌されることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は本発明に係る現像装置の実施の形態を示す概略図である。この装置は、基板であるウェハWの裏面中心部を吸引吸着し、略水平に保持する基板保持部をなすスピンチャック2を備え、このスピンチャック2は駆動部20により回転及び昇降できるように構成されている。
【0013】
ウェハWがスピンチャック2に吸着保持された状態において、ウェハWの側方を囲むようにしてカップ3が設けられており、カップ3は各々上下可能な外カップ31と内カップ32とからなる。内カップ32は円筒の上部側が上方内側に傾斜し、上部側開口部が下部側開口部より狭くなるように形成されており、昇降部30により外カップ31が上昇すると、外カップ31の移動範囲の一部において連動して昇降するように構成されている。
【0014】
カップ3の下部側はスピンチャック2の周囲を囲む円板33と、円板33の周り全周に亘って凹部を形成し、底面に排液口34が形成されている液受け部35とにより構成されている。この液受け部35の側面より僅かに内側に外カップ31(及び内カップ32)が収まっており、前記凹部とカップ3とによりウェハWの上方レベル及び下方レベルに跨ってウェハWの側方を囲っている。また、円板33の周縁部には上端がウェハWの裏面に近接する断面山形のリング体36が設けられている。
【0015】
続いてスピンチャック2に吸着保持されたウェハWに処理液である現像液Dを供給するための供給ノズル4について説明する。この供給ノズル4は例えば図3に示すように、現像液Dが供給される通流室44を内部に設けた細長い四角形状のノズル本体41と、その下面長手方向に、基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さの、例えばウェハWの直径よりも長いスリット形状に設けられた吐出口42である第1の吐出口42aおよび第2の吐出口42bを供給ノズル4の移動方向において前後して並列に設けている。更に図4に示すように、吐出口42aと吐出口42bは側方から見た軸線が互いに寄り合うように、つまり互いの吐出方向が寄り合うように供給ノズル4下面に対して各軸線が角度θ傾斜させて設けられており、夫々の吐出口42の上部に設けられた流路43である第1の流路43aおよび第2の流路43bを介して通流室44に接続される。第1の吐出口42aの先端面と第2の吐出口42bの先端面との離間距離Lは、例えば10mm〜20mmとされ、θは例えば10度〜30度とされる。流路43は供給ノズル4の長さ方向に伸びるスリット形状であっても良いし、供給ノズル4の長さ方向に間隔をおいて配列された多数の孔でも良い。また、吐出口42a、42bの上方には内壁と接しないように僅かな隙間をもってガイドバー45(45a、45b)が夫々設けられている。
【0016】
このような供給ノズル4は、第1の移動機構6によりカップ3の外側に設けられたガイドレール5に沿って、図2に示すカップ3の外側の待機位置(ガイドレール5の一端側の位置)からウエハWの上方側を通って前記待機位置とウエハWを挟んで対向する位置まで移動可能に設けられている。
【0017】
つまりガイドレール5は、図2にも示すように例えば外カップ31の一辺と平行になるようにX方向に延びるように設けられており、ガイドレール5の一端側に第1の移動機構6が位置している。第1の移動機構6はアーム部61とベース部62とにより構成されており、供給ノズル4をアーム部61により吊下げ支持し、移動部であるベース部62を介してガイドレール5に沿って移動できるようになっている。
【0018】
前記ベース部62は例えば図5に示すように、例えばボールネジ機構63などにより構成される昇降機構64を有しており、例えばモータなどの図示しない動力源からの駆動力によりアーム部61をZ方向へ移動(上下)させることができる。
【0019】
また図2中50はウエハWにリンス液、例えば純水をウェハWの中心部に供給してウエハWの表面の現像液を洗い流すための洗浄ノズルであり、この洗浄ノズル50は例えば第2の移動機構51により、図2に示すカップ3の外側の待機位置(ガイドレール5の他端側の位置)からウエハWの上方側を通って前記待機位置とウエハWを挟んで対向する位置まで水平に移動可能に設けられている。
【0020】
ここで図2において第1の移動機構6及び第2の移動機構51が夫々示されている位置は既述の非作業時における供給ノズル4及び洗浄ノズル50の待機位置であって、ここには例えば上下可動の板状体により構成された第1の移動機構6及び第2の移動機構51の待機部52,53が設けられている。
【0021】
これまで述べてきた駆動部20、昇降部30、第1の移動機構6及び第2の移動機構51は夫々制御部7と接続されており、例えば駆動部20によるスピンチャック2の昇降に応じて第1の移動機構6による処理液の供給を行うように、各部を連動させたコントロールを可能としている。またカップ3、第1の移動機構6及び第2の移動機構51は箱状の筐体71により囲まれた一ユニットとして形成されており、図示しない搬送アームによりウエハWの受け渡しがなされる。
【0022】
次に上述の現像装置を用いた現像処理工程について説明する。先ずスピンチャック2がカップ3の上方まで上昇し、既に前工程でレジストが塗布され、露光処理が施されたウエハWが図示しない搬送アームからスピンチャック2に受け渡される。そしてウエハWが図1中実線で示す所定の位置に来るようにスピンチャック2が下降する。なおこのとき外カップ31及び内カップ32は共に下降した状態である。
【0023】
続いて第1の移動機構6がガイドレール5に沿って外カップ31とウエハWの周縁との間に対応する位置まで案内され、続いてその位置からウエハWの周縁外側の待機位置まで下降する。このとき供給ノズル4はウエハWに対して現像液の供給を行う高さにセットされる、例えば吐出口42の先端面がウエハW表面から1mm程度高い位置である。
【0024】
続いて図6(a)、(b)に示すように、現像液Dの吐出を開始しながら供給ノズル4をウエハWの一端側から供給ノズル4の吐出口42の中心がウエハWの中心上方を通過して他端側へ、例えば約50mm/secの速度で水平方向に移動(図6(a),(b)では左から右への移動)させることにより、ウエハWの表面に例えば1.2mmの厚さの液膜を形成する。この際吐出口42の先端は、ウエハW表面上に供給された現像液Dと接触する位置にあり、吐出口42の先端をウエハ上の現像液Dと接触させた状態で供給ノズル4を水平方向に移動させることにより、この供給ノズル4の先端部によりウエハW上の現像液Dが押し広げられ、ウエハWの表面全体に万遍なく現像液Dが液盛されることとなる。そして供給ノズル4の吐出口42aと吐出口42bから現像液Dを向かい合う様に吐出することにより、図7に模式的に示すように、双方の流れが互いに強く干渉し合い、現像液Dが撹拌されながら液膜が形成されていく。
【0025】
現像液Dの塗布終了後、図6(c)に示すように現像液DをウエハWの表面に液盛したままの状態にして静止現像が行われる。そして第1の移動機構6は待機部52へと戻り、この第1の移動機構6と入れ替わって待機部53から第2の移動機構51がウエハW側へと移動する。
【0026】
続いて図6(d)に示すように、ウエハWの中央上方に吐出部が位置するように洗浄ノズル50を移動すると共にスピンチャック2を回転させ、洗浄ノズル50から洗浄液R、例えば純水をウエハW中心部に供給して、ウエハWの遠心力によりウエハWの中心部から周縁部へ向かって純水で置換することにより現像液Dが洗い流される。このとき現像液Dと洗浄液Rは内リング32を伝って下方側へと流れて液受け部35へと貯溜され、これらの液は排液口34から図示しない配管を通って排出される。その後このウエハWは図6(e)に示すように、スピン乾燥などの工程を経て現像処理が終了する。
【0027】
上述の実施の形態によれば、現像液Dに対する溶解速度が速い種類のレジストが塗布されたウェハW表面に現像液Dを液盛りする場合においても線幅の均一性の高いパターンが得られる。即ちこの種のレジストを用いると現像液Dとレジストが接触して直ちにレジストの溶解が始まるが、現像液Dが撹拌されながら液盛されていくため、レジストから溶け出した溶解成分は、この撹拌作用により現像液D中に拡散され、レジストに接する現像液D中の溶解成分の濃縮化が抑えられるので溶解成分の存在によりレジストの不溶解部位の溶解が加速される現象が抑制される。このため先に液盛された部位と後に液盛りされた部位との間でパターンの線幅が揃う。そしてウェハW上でパターン密度が部位によって異なっていても、現像液Dの撹拌により溶解成分は現像液D中に拡散するので、局所的な濃縮化が避けられ、均一な線幅が得られる。
【0028】
また、前記の供給ノズル4において、現像液Dが流路43から吐出口42を通過する際、ガイドバー45に当たるため、圧力損失が生じる。このため流路43であるスリットの長手方向において中央部付近と端部付近とでの吐出量の偏りが生じ難く、流路43の全体から均等に現像液Dが吐出されることにより、現像液をウェハWの表面に万遍なく供給できる。また、前記圧力損失が生じることにより、流路43から吐出される現像液Dの流速が遅くなる。このため、供給ノズル4から滴下した現像液DがウェハWの表面に衝突する際の衝撃を和らげることができる。
【0029】
さらに供給ノズル4の吐出口42aと吐出口42bの吐出方向を互いに寄り合う構成とするためには、上述の例に限らず例えば図8に示すように例えば供給ノズルの側面からみて外側になる壁面が下方向に、内側になる壁面が供給ノズル4下面に対して傾斜させた構成にしても良いし、あるいは図9に示すように例えば供給ノズルの側面からみて内側の壁面の先端部が、外側の壁面の先端部よりも高い位置になるようにしても良い。更にまた図8、図9に同時に示すように吐出口42a、吐出口42bの間に供給ノズル4の長さ方向に配列された多数の給気口46あるいは供給ノズル4の長さ方向に伸びるスリット形状の給気口46を形成し、吐出口42からウェハWの表面に液盛しながら、給気口46を介して気体例えば窒素ガスを、液盛した現像液Dの液表面に吹き掛けるようにしても良い。なお給気口46はウェハWの表面から例えば2mmの高さに位置しており、給気口46から吹き出した気体は、給気口46と現像液Dとの間の隙間を介して、供給ノズル4の両面側から外側へ逃げることができる構成となっている。このように液盛中に気体を現像液Dの液面に吹き付けることにより、液面に生じる波紋の作用が加わって、より一層現像液Dが撹拌される。
【0030】
また他の実施の形態として図10に示すように、吐出口42を下方向に向かうようにし、吐出口42aの先端面の高さと吐出口42bの先端面の高さとを異ならせても良く、例えば供給ノズル4の進行方向に対して後方側の吐出口42bの先端面を低くするようにしても良い。このような構成によれば吐出口42aから吐出されてウェハW表面に向かう流れと、吐出口42aよりも低い位置に設けられた吐出口42bから吐出され、ウェハW表面に跳ね返って下から上に向かう流れとが干渉し合い、現像液Dが撹拌されながら液盛することができる。このため上述の場合と同様の作用効果が得られる。
【0031】
更に供給ノズル4は第1の吐出口42aおよび第2の吐出口42bの開口面積を異ならせるように構成して、互いの流量を変えるようにしても良いし、第1の吐出口42aおよび第2の吐出口42bに夫々対応して流量調節用バルブを設け、これにより互いの流量を変えるようにしても良い。このような構成によれば、第1の吐出口42a、第2の吐出口42bの一方、例えば第1の吐出口42aに対して主に現像液Dの液盛の役割を持たせ、他方例えば第2の吐出口42bに対して主にレジスト溶解成分が溶け出した現像液Dを撹拌させる役割を持たせて、液盛用のノズルおよび撹拌用のノズルとして構成し、役割を分担させることができる。この場合、撹拌用のノズルによる撹拌作用は、当該ノズルから吐出した現像液Dの流れの一部が液盛用のノズルから吐出した現像液Dの流れと干渉して撹拌作用の一部が得られるものであっても良い。そして第1の吐出口42a、第2の吐出口42bの適切な開口面積あるいは流量の比率および適切な第1の吐出口42a、第2の吐出口42bの相互離間距離についてはレジストの種類に応じて予め試験を行って決めることが好ましい。図11および図12はこのような実施の形態を具体的にした例であり、図11の例では第2の吐出口42bに連通する流路43aよりも広くし、かつガイドバー45bをガイドバー45aよりも大きくしている。
【0032】
また図12に示す例では、吐出口43に開度調節可能なバルブ72を介して配管8を夫々接続する構成としている。この場合、バルブ72の開度により、各吐出口42から吐出する現像液D流量を調節するようにしている。また更に本発明においては、液吐出口42はスリット形状に限られず、多数の液吐出口が間隔をおいて配列されているものであっても良い。
【0033】
以上において、上述の各図に記載した構成を互いに組み合わせても良く、例えば第1の吐出口42aの吐出方向と第2の吐出口42bの吐出方向とが寄り合うように構成し、かつ両者の先端面の高さを変えるように、例えば第1の吐出口42aの先端面を高くするように構成しても良いし、更にはこの構成に加えて両者の流量を変えるようにしても良い。
【0034】
次に上述の現像装置を例えば現像ユニットに組み込んだ塗布・現像装置の一例について図13及び図14を参照しながら説明する。図13及び図14中、91は例えば25枚のウエハWが収納されたカセットCを搬入出するためのカセットステーションであり、このカセットステーション91には前記カセットCを載置する載置部91aと、カセットCからウエハWを取り出すための受け渡し手段92とが設けられている。カセットステーション91の奥側には、例えばカセットステーション91から奥を見て例えば右側には塗布・現像系のユニットU1が、左側、手前側、奥側には加熱・冷却系のユニット等を多段に積み重ねた棚ユニットU2,U3,U4が夫々配置されていると共に、塗布・現像系ユニットU1と棚ユニットU2,U3,U4との間でウエハWの受け渡しを行うための搬送アームMAが設けられている。但し図13では便宜上受け渡し手段92、ユニットU2及び搬送アームMAは描いていない。
【0035】
塗布・現像系のユニットU1においては、例えば上段には2個の上述の現像装置を備えた現像ユニット93が、下段には2個の塗布装置を備えた塗布ユニット94が設けられている。棚ユニットU2,U3,U4においては、加熱ユニットや冷却ユニットのほか、ウエハの受け渡しユニットや疎水化処理ユニット等が上下に割り当てされている。
【0036】
この搬送アームMAや塗布・現像系ユニットU1等が設けられている部分を処理ブロックと呼ぶことにすると、当該処理ブロックはインタ−フェイスユニット95を介して露光ブロック96と接続されている。インタ−フェイスユニット95はウエハWの受け渡し手段97により前記処理ブロックと露光ブロック96との間でウエハWの受け渡しを行うものである。
【0037】
この装置のウエハの流れについて説明すると、先ず外部からウエハWが収納されたウエハカセットCが載置部91aに載置され、受け渡し手段92によりカセットC内からウエハWが取り出され、既述の加熱・冷却ユニットU3の棚の一つである受け渡し台を介して搬送アームMAに受け渡される。次いでユニットU3の一の棚の処理部内にて疎水化処理が行われた後、塗布ユニット94にてレジスト液が塗布され、レジスト膜が形成される。レジスト膜が塗布されたウエハWは加熱ユニットで加熱された後、ユニットU4のインターフェースユニット95の受け渡し手段97と受渡し可能な冷却ユニットに搬送され、処理後にインタ−フェイスユニット95,受け渡し手段97を介して露光装置96に送られ、ここでパタ−ンに対応するマスクを介して露光が行われる。露光処理後のウエハを受け渡し手段97で受け取り、ユニットU4の受け渡しユニットを介して処理ブロックのウエハ搬送アームMAに渡す。
【0038】
この後ウエハWは加熱ユニットで所定温度に加熱され、しかる後冷却ユニットで所定温度に冷却され、続いて図1、図2で示した装置を備えた現像ユニット93に送られて現像処理され、レジストマスクが形成される。しかる後ウエハWは載置部91a上のカセットC内に戻される。また本発明は、被処理基板に半導体ウエハ以外の基板、例えばLCD基板、フォトマスク用レクチル基板の加熱処理にも適用できる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、露光処理が施された基板に対して、基板の一端側から他端側へ向けて供給ノズルを移動させながら現像液の液盛を行う際、2つの吐出口から吐出する現像液の流れが互いに干渉することにより基板表面上の現像液が撹拌されるので、現像液に対して溶解速度の速いレジストを用いても線幅の均一性が高いマスクパターンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る現像装置の実施の形態を表す断面図である。
【図2】本発明に係る現像装置の実施の形態を表す平面図である。
【図3】本発明に係る現像装置の現像液供給ノズルを示す斜視図である。
【図4】本発明に係る現像装置の現像液供給ノズルを示す斜視図である。
【図5】本発明に係る現像装置の現像液供給部を示す側面図である。
【図6】本発明に係る現像装置の現像処理を示す工程図である。
【図7】本発明に係る現像装置の処理液供給ノズルの作用を示す側面図である。
【図8】本発明に係る現像装置の他の実施の形態の供給ノズルを示す側面図である。
【図9】本発明に係る現像装置の他の実施の形態の供給ノズルを示す側面図である。
【図10】本発明に係る現像装置の他の実施の形態の供給ノズルを示す側面図である。
【図11】本発明に係る現像装置の他の実施の形態の供給ノズルを示す側面図である。
【図12】本発明に係る現像装置の他の実施の形態の供給ノズルを示す側面図である。
【図13】前記現像装置を組み込んだ塗布・現像装置の一例を示す斜視図である。
【図14】前記現像装置を組み込んだ塗布・現像装置の一例を示す平面図である。
【図15】従来技術に係る現像液の供給方法を示す説明図である。
【符号の説明】
W ウエハ
D 現像液
2 スピンチャック
3 カップ
31 外カップ
32 内カップ
4 供給ノズル
42 吐出口
43 吐出孔
45 ガイドバー
5 ガイドレール
6 第1の移動機構
72 バルブ
8 配管

Claims (9)

  1. 基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する現像装置において、
    前記基板を水平に保持する基板保持部と、
    基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルと、
    この供給ノズルから現像液を吐出させながら、当該供給ノズルを前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる移動機構と、を備え、
    前記吐出口は、供給ノズルの長さ方向に形成された第1の吐出口と、この第1の吐出口に対してノズルの進行方向に対して後方側に並列に形成され、基板に吐出された現像液が第1の吐出口から基板に吐出された現像液と互いに干渉し合うことで攪拌されるように設定された第2の吐出口と、を備え、
    さらに第1の吐出口と第2の吐出口との間に現像液の液面に気体を供給するための気体を供給する給気孔を備えたことを特徴とする現像装置。
  2. 基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する現像装置において、
    前記基板を水平に保持する基板保持部と、
    基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルと、
    この供給ノズルから現像液を吐出させながら、当該供給ノズルを前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる移動機構と、を備え、
    前記供給ノズルは、当該供給ノズルの長さ方向に形成された第1の下面と、ノズルの進行方向に対して、第1の下面の後方側に、前記第1の下面と並列に且つ段部を介してその第1の下面よりも低い位置に形成された第2の下面と、を備え、
    前記吐出口は、その先端面が第1の下面に設けられた第1の吐出口と、その先端面が第2の下面に設けられた第2の吐出口と、を備えたことを特徴とする現像装置。
  3. 基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する現像装置において、
    前記基板を水平に保持する基板保持部と、
    基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルと、
    この供給ノズルから現像液を吐出させながら、当該供給ノズルを前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる移動機構と、を備え、
    前記吐出口は、供給ノズルの長さ方向に形成された第1の吐出口と、この第1の吐出口に対してノズルの進行方向に対して後方側に並列に形成された第2の吐出口と、を備え、
    前記供給ノズルは、第1の吐出口と第2の吐出口との間に現像液の液面に気体を供給するための気体を供給する給気孔を備えたことを特徴とする現像装置。
  4. 基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する現像装置において、
    前記基板を水平に保持する基板保持部と、
    基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルと、
    この供給ノズルから現像液を吐出させながら、当該供給ノズルを前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる移動機構と、を備え、
    前記吐出口は、ノズルの長さ方向に形成された第1の吐出口と、この第1の吐出口に対してノズルの進行方向に対して後方側に並列に形成された第2の吐出口と、第1、第2の吐出口から吐出される現像液流量を夫々独立して調節する流量調節手段と、を備え、
    前記供給ノズルは、第1の吐出口と第2の吐出口との間に現像液の液面に気体を供給するための気体を供給する給気孔を備えたことを特徴とする現像装置。
  5. 基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する現像装置において、
    前記基板を水平に保持する基板保持部と、
    基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルと、
    この供給ノズルから現像液を吐出させながら、当該供給ノズルを前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる移動機構と、を備え、
    前記吐出口は、ノズルの長さ方向に形成された第1の吐出口と、この第1の吐出口に対してノズルの進行方向に対して後方側に並列に形成され、第1の吐出口の先端面の開口面積とその先端面の開口面積とが異なるように設定された第2の吐出口と、を備え、
    前記供給ノズルは、第1の吐出口と第2の吐出口との間に現像液の液面に気体を供給するための気体を供給する給気孔を備えたことを特徴とする現像装置。
  6. 前記供給ノズルは、第1の吐出口と第2の吐出口との間に現像液の液面に気体を供給するための気体を供給する給気孔を備えたことを特徴とする請求項2記載の現像装置。
  7. 第1、第2の吐出口から吐出される現像液流量を夫々独立して調節する流量調節手段、を備えたことを特徴とする請求項1記載の現像装置。
  8. 第2の吐出口の吐出方向と、第1の吐出口の吐出方向とが前後に寄り合うように設定されていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
  9. 基板表面にレジストが塗布されて、露光処理がされた基板を現像する方法において、
    前記基板を水平に保持するための基板保持部に搬入する工程と、
    次いで基板の有効領域の幅とほぼ同じかそれ以上の長さに亘って吐出口が形成された現像液の供給ノズルを、この供給ノズルから現像液を吐出させながら、前記吐出口の先端面が基板上の現像液と接触した状態で、前記基板の一端側から他端側に亘って移動させる工程と、
    この供給ノズルに設けた第1の吐出口から現像液を吐出する工程と、
    この第1の吐出口に対してノズルの進行方向に対して後方側に並列に形成された第2の吐出口から現像液を基板に吐出する工程と、
    第1の吐出口と第2の吐出口との間に設けられた給気口から現像液の液面に気体を供給する工程と、を含み、
    第1の吐出口から基板に吐出された現像液と、第2の吐出口から基板に吐出された現像液とが互いに干渉し合うことで攪拌されることを特徴とする現像方法。
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