JP3990721B2 - ピザ用窯 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピザ用窯に関するもので、詳しくは、ピザ用ガス窯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ピザ用ガス窯では、炉床の下方にガスバーナ(以下、床下バーナという)を設置して、炉床を介してピザを直接焼くとともに、加熱室の両側部にガスバーナ(以下、側部バーナという)を設置して加熱室を加熱し、それによってピザの上部を加熱している。このようなピザ用ガス窯では、加熱室で必要な温度を確保するために、床下バーナを炉床の下方に画成した燃焼室に収容し、該燃焼室の排気を加熱室の両側部に導き、その排気を側部バーナの熱気と共に燃焼室の側部上方へ導いている。
【0003】
ところで、ピザの仕上がり程度は、内部が十分に加熱され、かつ生地の下面に適当な焦げ目ができ、さらに上面周囲の生地にも薄い焦げ目ができることが好ましい。そのためには、ピザを高温で素早く焼く必要がある。
【0004】
しかしながら、上記従来のピザ用ガス窯では、床下バーナからの排気と側部バーナの熱気が加熱室の側壁に沿って上方へ導かれるため、加熱室の天井付近の温度が非常に高くなるものの、それに較べて加熱室の炉床付近の温度は低い。したがて、ピザ内部が十分に加熱された状態では、生地の下面および上面周囲が焦げ過ぎてしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、出願人等は、特願2000−50318号において、短時間で加熱室の炉床付近の温度を高くすることのできるピザ用窯を提供した。そのピザ用窯は、天井壁から側壁にわたる部位を2重に構成してその間に排気空間を画成し、該排気空間の側部下端に加熱室に開口する排気吸入口を形成し、前記排気空間の頂部に外部へ開口する排気出口を形成するとともに、ガスバーナを前記加熱室の奥に設置したものである。
このピザ用窯によれば、ガスバーナによって加熱された熱気は、加熱室内を天井まで上昇し、該天井から天井壁内面および側壁内面に沿って下降して、側壁下部の排気吸入口から排気空間に排出されるため、即ち天井部の高温雰囲気が加熱室下方に導かれるため、炉床付近の温度が十分な高さになり、所望とする焼け具合のピザが得られる。
【0006】
しかしながら、このピザ用窯では、ガスバーナが加熱室の奥に位置しているため、ピザの奥側の加熱が強くなって、奥側が最も焦げることになり、その状態をビザ投入口からは確認し難い。
【0007】
そこで、本発明の目的は、短時間で加熱室の炉床付近の温度を高くすることができ、しかも仕上がり状態の確認が容易なピザ用窯を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る請求項1のピザ用窯では、加熱室の天井壁から側壁にわたる幅方向縦断面形状を円弧状とするととともに、該天井壁から側壁にわたる部位を2重に構成してその間に排気空間を画成し、前記加熱室の一方の側部に前記排気空間に連通する排気吸入口を形成し、前記排気空間の適宜位置に外部に連通する排気出口を形成するとともに、前記加熱室の他方の側部にガスバーナを設置するとともに、前記加熱室の前面壁に形成されるピザ投入口を前記前面壁の幅方向中央から前記一方の側部へ偏倚させて位置させたことを特徴としている。
この発明のピザ用窯によれば、ガスバーナによって加熱された熱気は、加熱室の他方の側部から加熱室内を天井まで上昇し、該天井から天井壁内面および側壁内面に沿って下降し、加熱室の一方の側部の排気吸入口から排気空間に導入され、排気出口から外部へ排出される。
したがって、この発明のピザ用窯は、加熱室内がほぼ均一に加熱され、即ち、炉床付近の温度が十分な高さになり、所望とする焼け具合のピザが得られ、しかもピザのバーナに近い位置、即ち最も火力の影響を受けるピザの位置が側方に位置しているので、ピザの焦げ具合をピザ投入口から容易に確認できる。
また、この発明のピザ用窯によれば、加熱室の天井壁から側壁にわたる幅方向縦断面形状を円弧状としたので、加熱室内の熱気の流れがスムースになり、熱気が天井部に溜まることなく、加熱室全体を効果的に加熱する。
さらに、この発明のピザ用窯によれば、加熱室の前面壁に形成されるピザ投入口を前記前面壁の幅方向中央から前記一方の側部、即ちガスバーナから離れた方向に偏倚させて位置させたので、加熱室におけるバーナの熱気は加熱室を経た後にピザ投入口から排出される。
したがって、加熱室の温度分布をより均一にでき、熱効率をより高めることができる。
【0009】
また、本発明に係る請求項2のピザ用窯では、請求項1の発明において、前記排気出口を排気空間の他方の側部に形成したことを特徴としている。
この発明のピザ用窯によれば、排気ガスが排気空間の一方側から他方側まで移動され、即ち加熱室の天井部および側部全体を経て排気される。したがって、排気ガスの熱によって加熱室が広範囲にわたって外部から遮断されるので熱効率がよい。
【0011】
また、本発明に係る請求項3のピザ用窯では、請求項1または2の発明において、排気吸入口を前記加熱室の側壁ほぼ全長にわたって形成したことを特徴としている。
この発明のピザ用窯によれば、熱気の流れは加熱室の奥行き方向全体にわたるようになるため、加熱室内の温度分布がより均一になる。
【0012】
また、本発明に係る請求項4のピザ用窯では、請求項1〜3のいずれかの発明において、天井壁から奥壁にわたる部位を2重に構成してその間に前記排気空間を延設し、該排気空間の奥部下端に加熱室に開口する排気吸入口を形成したことを特徴としている。
この発明のピザ用窯によれば、奥壁下端からも加熱室内の熱気が排気空間に導入される。したがって、熱気は加熱室の奥までも十分に行き渡り、加熱室をより均一に過熱する。
【0013】
また、本発明に係る請求項5のピザ用窯では、請求項1〜4のいずれかの発明において、前記排気吸入口を、前記加熱室の高さの1/3以下の高さに形成したことを特徴としている。
この発明のピザ用窯によれば、天井部の熱気が炉床付近まで十分に降下するため、炉床付近の温度をより高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1乃至図4は本発明に係るピザ用窯を示したもので、図1はそのピザ用窯の正面図,図2はそのピザ用窯の側面図,図3はそのピザ用窯を幅方向に断面にした正面断面図,図4はそのピザ用窯を奥行き方向に断面にした側面断面図である。
【0016】
このピザ用窯は、図1に示したように、上部が正面視で蒲鉾状に形成されている。また、正面上段部の幅方向中央から右寄りにピザを出し入れするピザ投入口1が形成されている。そして、そのピザ投入口1の下端にはピザを出し入れする際の案内板2が配設されている。また、正面中段部にはガスバーナの点火,火力等を制御するための制御ボックス3が配設され、下段部にはガスボンベを収容したり、ガスバーナを補修交換したりする空間(後述する)の扉4が設置されている。さらに、この正面には、制御ボックス3の隣に位置して温度表示器5が配置されており、図2に示したように、上部中間には排気ダクト6が設置されている。
【0017】
そして、このピザ用窯は全体が鉄板7によって覆われ、、図3に示したように、上部に加熱室10が形成されている。加熱室10は鉄板7の内側に添設された煉瓦等の耐火材によって構成された天井壁11および側壁12,13と、図4に示したように、案内板2の上面と面一に設置された煉瓦等の耐火材によって構成された炉床14と、煉瓦等の耐火材によって構成された前面壁15および後面壁16とによって画成されている。
【0018】
また、この加熱室10では、その天井部から側部にかけて、スタッドボルト17等を介して所定の間隔をもって鉄板18が配設されており、該鉄板18は加熱室10における天井壁11の内面および側壁12,13の内面を形成している。さらに、この加熱室10では、天井部から後面壁16に添い所定の間隔をもって鉄板19が配設され、該鉄板19は加熱室10における後面壁16の内面を形成している。この加熱室10では、鉄板18,19の下端が炉床14から少し離れた位置まで延設され、鉄板18と側壁12,13および天井壁11との間、さらには鉄板19と後面壁16との間に排気空間20が画成されている。そして、鉄板18の一方の側壁12側下端と炉床14との間の間隙および鉄板19の下端と炉床14との間の間隙には、排気空間20への排気ガスの吸入口20a,20bが形成されている。なお、鉄板18の他方の側壁13側下端は、炉床14から少し離れた位置にあって、その下端部は側壁13まで達して、排気空間20を閉塞している。また、天井壁11には排気空間20と排気ダクト6とを連通する排気排出口20cが形成されている。
【0019】
さらに、この加熱室10では、炉床14の他方の側壁13側に、該炉床14によって画成された空間(燃焼室)21と加熱室10とを連通する開口14aが形成され、該開口14aの周縁には煉瓦等の耐火材によって形成されたブロック22が配設されている。そして、開口14aには、ガスバーナ23が設置されている。
【0020】
このピザ用窯では、ガスバーナ23の熱気が天井壁11の内面まで上昇し、その後、天井壁11の内面,側壁12の内面、さらには後面壁16の内面に沿って下降し、排気吸入口20a,20bから排気空間20に導入され、該排気空間20内を上昇して、排気出口20cから排気ダクト6を経て外部へ排出される。また、天井壁11の内面まで上昇した熱気の一部は、加熱室10の前部へ導かれ、ピザ投入口1から外部へ排出される。
【0021】
なお、上記実施の形態では、加熱室10を蒲鉾状に形成している。これは、熱気が一部に留まることなく天井壁11および側壁12に沿って降下させるとともに、前面壁15を垂直壁にすることによってピザ投入口1からの熱気の流出を抑制するためである。しかし、基本的には、天井壁11まで上昇した熱気が炉床14の近くまで下降させるようにすればよく、加熱室10の排気吸入口20aが炉14の近くに形成されていれば、加熱室10の形状は問わない。
【0022】
また、鉄板18を鋳物によって製作するとともに、天井壁11および側壁12の内面にほぼ全長にわたる複数本の凸条を形成し、それによって加熱室の天井壁11および側壁12の表面積を増大させ、さらに、天井壁11まで上昇した熱気が排気吸入口20aに降下する時間を遅くするとともに、熱気を散乱させるようにしてもよい。
また、鉄板18の内面に遠赤外線を放出する塗料を塗布して、遠赤外線を付加的に加熱室10内へ放射させるようにしてもよい。
【0023】
排気吸入口20a,20bの高さは、排気およびガスバーナ23の燃焼に支障がない限り低いことが好ましく、加熱室10の高さの1/3以下の高さにすることが好ましい。
排気吸入口20aの開口部位は、必ずしも加熱室10の奥行き全長に形成する必要はなく、部分的に一箇所または複数箇所に形成してもよい。また、排気吸入口20bの開口部位は、幅方向中央から一方の側部にわたって設けることが好ましく、その全長に形成してもよく、部分的であってもよい。
【0024】
また、ピザ投入口1の高さは、加熱室10の熱効率を高めるためには、低い方が好ましいが、ピザの焼けている状態を外部から容易に確認できることを考慮して、適宜に設定される。
【0025】
さらに、上記実施の形態では、鉄板18によって天井壁11,側壁12,13を2重にし、また鉄板19によって後面壁16を2重にして排気空間20を形成しているが、排気空間20は天井壁11,側壁12,13,後面壁16内に形成してもよいことは勿論であり、また材質は鉄板18,19に限定されるものではなく、熱に耐える板材ならば何でもよいことはいうまでもない。
【0026】
【発明の効果】
上記したように、本発明に係るピザ用窯によれば、ガスバーナによって加熱された熱気は、加熱室の他方の側部から加熱室内を天井まで上昇し、該天井から天井壁内面および側壁内面に沿って下降し、加熱室の一方の側部の排気吸入口から排気空間に導入され、排気出口から外部へ排出される。
したがって、この発明のピザ用窯は、加熱室内がほぼ均一に加熱され、即ち、炉床付近の温度が十分な高さになり、所望とする焼け具合のピザが得られ、しかもピザのバーナに近い位置、即ち最も火力の影響を受けるピザの位置が側方に位置しているので、ピザの焦げ具合をピザ投入口から容易に確認できる。また、排気空間を経て排出される排気の熱によって加熱室が外部から遮断されるので、熱効率もよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るピザ用窯の一実施の形態を示した正面図である。
【図2】図1に示したピザ用窯の側面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図1におけるB−B線断面図である。
【符号の説明】
1 ピザ投入口
2 案内板
6 排気ダクト
10 加熱室
11 天井壁
12,13 側壁
14 炉床
14a 開口
15 前面壁
16 後面壁
18,19 鉄板
20 排気空間
20a,20b 排気吸入口
20c 排気排出口
23 ガスバーナ
Claims (5)
- 加熱室の天井壁から側壁にわたる幅方向縦断面形状を円弧状とするとともに、該天井壁から側壁にわたる部位を2重に構成してその間に排気空間を画成し、前記加熱室の一方の側部に前記排気空間に連通する排気吸入口を形成するとともに、前記排気空間の適宜位置に外部に連通する排気出口を形成し、前記加熱室の他方の側部にガスバーナを設置するとともに、前記加熱室の前面壁に形成されるピザ投入口を前記前面壁の幅方向中央から前記一方の側部へ偏倚させて位置させたことを特徴とするピザ用窯。
- 前記排気出口を、前記加熱室の他方の側部に形成したことを特徴とする請求項1に記載のピザ用窯。
- 前記排気吸入口を、前記加熱室の側壁ほぼ全長にわたって形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のピザ用窯。
- さらに、前記加熱室の天井壁から後面壁にわたる部位を2重に構成してその間に前記排気空間を延設し、該排気空間の奥部下端に加熱室に開口する排気吸入口を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のピザ用窯。
- 前記排気吸入口を、前記加熱室の高さの1/3以下の高さに形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のピザ用窯。
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