JP3989990B2 - 音響信号処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可聴周波数信号を処理する音響信号処理装置に関し、特にディジタル音響信号処理装置の構成を表示する装置を備えるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
音響信号処理装置は、図7に示すように大きく分けて、ミキサー部2、信号処理部4、電力増幅部6、スピーカ等の出力装置8等から構成されている。ミキサー部2には、マイクロホン等の入力装置10によって可聴周波数信号が入力されている。近年では、これらミキサー部から電力増幅部までをDSP等によって構成し、可聴周波数信号をディジタル処理することが行われている。各部をDSPによって構成する場合、各部ごとにパーソナルコンピュータに読み込まれた制御ソフトが準備され、これら制御ソフトによって各部が制御されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ディジタル音響信号処理装置における可聴周波数信号の流れを考えた場合、ミキサー部、信号処理部及び電力増幅部の順に可聴周波数信号は流れていく。ところが、各部ごとに個別の制御ソフトによって制御が行われている。各部ごとの内部での信号の流れの把握は容易である。しかし、或る部において、他の部からどのように信号が供給されているかは非常に把握しにくい。例えば信号処理部には、ミキサー部のどのチャンネルから信号が供給されているのか分かりにくいという問題点があった。
【0004】
パーソナルコンピュータの表示装置に、各部の構成を同時に表示することも可能であるが、表示画面の大きさの制約があるので、各部間の信号の流れを把握するのは容易でない。
【0005】
本発明は、大きさに制約のある表示装置の表示画面であっても、各部間の信号の流れが容易に把握することができる音響信号処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、それぞれが複数の信号処理手段から構成された複数の信号処理モジュールが縦続接続され、入力された可聴周波数信号を処理する音響信号処理部と、表示画面を有する表示手段と、上記各信号処理モジュールのうち、入力及び出力のうち少なくとも一方に、他の上記信号処理モジュールが接続されている1つの上記信号処理モジュールを構成している上記各信号処理手段を表す表示、これら上記各信号処理手段の間の接続ラインを表す表示、上記1つの信号処理モジュールへの入力ラインを表す入力ライン表示、上記1つの信号処理モジュールからの出力ラインを表す出力ライン表示、上記入力ラインの名称を表す入力ライン名称表示、上記出力ラインの名称を表す出力ライン名称表示を、上記表示画面に表示させ、上記入力ライン名称表示は上記入力ライン表示の近傍に、上記出力ライン名称表示は上記出力ライン表示の近傍に表示する第1の表示制御手段と、上記表示画面に表されている上記各表示のうち任意のものを選択する選択手段と、上記信号処理手段のうち、上記選択手段によって対応する表示が選択された上記信号処理手段の特性の変更を指示する特性変更指示手段と、対応する表示が上記選択手段によって選択された上記信号処理手段の特性を、上記特性変更指示手段の指示に応じて変更する特性変更手段と、上記入力ライン表示、上記出力ライン表示、上記入力ライン名称表示及び上記出力ライン名称表示のうち、他の上記信号処理モジュールに接続されている上記入力ラインまたは上記出力ラインに対応するものが上記選択手段によって選択されたとき、その接続されている上記他の信号処理モジュールの状態を上記表示画面に表示させる第2の表示制御手段とを、具備するものである。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、第1の表示制御手段によって、表示画面には、1つの信号処理モジュールの構成が表示されている。そして、選択手段の操作に応じて、信号処理モジュールを構成している信号処理手段の特性の変更が、特性変更指示手段及び特性変更手段によって行われる。この信号処理モジュールの上記入力ライン表示、上記出力ライン表示、上記入力ライン名称表示及び上記出力ライン名称表示のうち、他の上記信号処理モジュールに接続されている上記入力ラインまたは上記出力ラインに対応するものを選択手段によって選択したことに応動して、第2の表示制御手段が、他の信号処理モジュールの状態を表示する。
【0008】
また、第2の表示制御手段は、上記他の信号処理モジュールの状態として、上記他の信号処理モジュールの特性調整用の複数の表示をその調整状態と共に表示し、上記選択手段は、表示された複数の上記特性調整用の表示のうち任意のものも選択可能であり、上記特性変更指示手段は、上記選択手段によって選択された特性調整用の表示に対応する上記他の信号処理モジュールの特性の変更も指示し、上記特性変更手段は、上記選択された特性調整用の表示に対応する上記他の信号処理モジュールの特性も、上記特性変更指示手段の指示に応じて変更する。
【0009】
これによって、主に表示されている信号処理モジュールの各信号処理手段の特性を変更可能なだけでなく、この信号処理モジュールに接続されている他の信号処理モジュールの特性も変更することができる。
【0010】
更に、第2の表示制御手段は、上記他の信号処理モジュールに接続されている上記入力ラインまたは出力ラインに対応する上記入力ライン表示、上記入力ライン名称表示、上記出力ライン表示または上記出力ライン名表示が上記選択手段によって選択されたとき、上記他の信号処理モジュールの状態を、選択された上記入力ライン表示、入力ライン名称表示、出力ライン表示または出力ライン名称表示の付近に、表示させる。
【0011】
これによって、1つの信号処理モジュールの構成が、表示画面に表示されているのと同時に、この信号処理モジュールに接続されている他の信号処理モジュールの状態を表示することができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の音響信号処理装置において、第2の表示制御手段は、上記表示画面の表示を、上記他の信号処理モジュールの状態の表示から、上記他の信号処理モジュールを構成している複数の信号処理手段と、前記複数の信号処理手段を接続している接続ラインとを表す表示に変更可能なものである。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、1つの信号処理モジュールの構成が表示されている状態から、その信号処理モジュールに接続されている他の信号処理モジュールの状態を表示する表示に、表示が切り換えられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本実施の形態は、図1(a)に示すように、DSP12を有している。このDSP12を制御するためのCPU13がDSP12に接続されている。このCPU13は、例えばパーソナルコンピュータのCPU14に読み込まれている1つの制御プログラムによって制御されている。この制御プログラムによって、DSP12は、信号処理モジュール、例えばミキサー部、信号処理部及び電力増幅部として機能する。即ち、ミキサー部、信号処理部及び電力増幅部それぞれに個別の制御ソフトが存在するのではなく、これらに共通の制御ソフトが存在している。
【0015】
これらミキサー部、信号処理部及び電力増幅部は、図7に示したのと同様に縦続接続されている。また、これらは、それぞれ複数の信号処理手段によって構成されている。例えば、信号処理部は、図1(b)に示すように、その入力側にパラメトリックイコライザー18を有している。パラメトリックイコライザ18の出力は、ディバイダ20によって2分配され、その一方の分配出力は、ディレイ22に供給されている。このディレイ22の出力は、出力1に供給されている。また、ディバイダ20の他方の分配出力は、減衰器24に供給されている。この減衰器24の出力は、出力2に供給されている。
【0016】
CPU14は、表示手段、例えばCRT、液晶ディスプレイまたはプラズマディスプレイ等の表示装置16を備えている。この表示装置16には、図1(b)または図2(a)に示すような形態で、信号処理部の構成が、表示されている。即ち、信号処理部の構成要素と、これらを接続している接続ラインとからなる、いわゆるフィッシュボーン形式で、信号処理部の構成が表示されている。信号処理部は、入力側が、他の信号処理モジュール、例えばミキサー部に接続され、出力側が、他の信号処理モジュール、例えば電力増幅部に接続されている。
【0017】
CPU14には、選択手段、例えばポインティングデバイス、より詳しくはマウス26が接続されている。表示画面に表示されたポインタを、マウス26を操作することによって、各信号処理手段のうちの1つに重ねて、マウス26のボタンをクリックすると、その信号処理手段の特性の制御画面が、その信号処理手段が表示されている部分の近傍に表示される。
【0018】
例えばパラメトリックイコライザ18をクリックすると、図1(b)に示すように、ウインドー28が開き、このウインドー28内には、パラメトリックイコライザ18の位相特性28aと、利得特性28bとが表示される。
【0019】
この表示されている利得特性28bを、マウス26によってドラッグすることによって、CPU14は中心周波数、Q及び利得をそれぞれ調整するためのデータを作成し、CPU13を介してDSP12に供給することができる。なお、CPU14に接続されているキーボード27の操作によって、パラメトリックイコライザ、ディレイまたは減衰器の表示を選択することもできるし、パラメトリックイコライザの場合、中心周波数、Q及び利得をキーボード27の操作によって調整することもできる。
【0020】
同様にして、ディレイ22における遅延量や、減衰器24における減衰量を調整することができる。即ちCPU13、14は、特性変更指示手段及び特性変更手段として機能する。
【0021】
図1(b)に示す表示では、信号処理装置の入力の近傍には「INPUT」との表示があり、出力1の近傍には「OUTPUT1」との表示があり、出力2の近傍には「OUTPUT2」との表示がある。
【0022】
例えば「INPUT」の表示をマウス26によってクリックすると、図2(b)に示すようにウインドー30がプルダウン表示される。このウインドー30には、信号処理装置の前段に接続されているミキサー部の特性の調整用の表示、例えば各アサインスイッチ32、音量調節器34、ミュートスイッチ36及び全画面表示スイッチ38が、表示されている。従って、信号処理部に接続されているミキサー部の音量とミュートの現状を知ることができる。
【0023】
ここで、音量調節器34をマウス26によってドラッグすると、ミキサーからの出力を調整するデータが、CPU14からCPU13を介してDSP12に供給される。また、ミュートスイッチ36をマウス26によってクリックして、オンにさせると、ミュートがオンの状態とするデータが、CPU14からCPU13を介してDSP12に供給される。同様にしてミュートスイッチ36をオフにさせると、ミュートをオフとするデータが、CPU14からCPU13を介してDSP12に供給される。従って、信号処理部を主に表示しながら、信号処理部に接続されているミキサー部の調整も行える。
【0024】
アサインスイッチ32のいずれかをマウス26によってクリックすると、そのアサインスイッチ32に対応するチャンネルの詳細設定用のウインドー40が、図2(c)に示すように、ウインドー30と重なった状態で表示される。このウインドー40には、そのチャンネルの操作部の表示、例えばアッテネータ、極性切換、イコライザーミキシング量調整、アサイン等の表示が表示される。従って、信号処理部に接続されているミキサー部の特定のチャンネルの現状を把握することができる。しかも、これら表示をマウス26等によって操作することによって、このチャンネルの音響処理の状態を種々に調整することができる。
【0025】
また、全画面表示スイッチ38をマウス26で操作すると、図2(d)に示すように、表示画面が、全画面の表示に切り換えられる。この表示では、マウス26の操作によって、信号処理部に接続されている全てのチャンネルの操作部を表示するか、特定のチャンネルの操作部を表示するかの指示をマウス26の操作によって与え、それに応じた操作部が表示される。従って、信号処理部に接続されているミキサー部の全チャンネルまたは指定した複数のチャンネルの現状を把握することができる。この状態でも、表示されている各チャンネルの特性をマウスの操作によってそれぞれ調整することができる。
【0026】
なお、図2(d)に示すように、各操作部を表示するものの他に、図2(e)に示すようにミキサーの構成をフィッシュボーン形式で表示することもできる。この場合も、各構成素子をマウスでクリックすることによって、その構成素子の特性を調整することができる。
【0027】
図示は省略するが、同様に「OUTPUT1」の表示をマウス26によってクリックすると、それの近傍にウインドーが表示される。このウインドーには、「OUTPUT1」に接続されている電力増幅部の状態が、例えばリスト表示され、音量調整用の表示、ミュート調整用の表示、電力増幅部に接続されているスピーカのオン、オフ調整用の表示が表示され、信号処理部に接続されている電力増幅部の現状を知ることができる。これら表示をマウス26によって操作することによって、これらの調整を行うためのデータが、CPU13を介してDSP12に供給される。「OUTPUT2」の表示をマウス26によって操作した場合も同様である。
【0028】
このように信号処理部の構成を主に表示している状態において、マウス26の操作によって、信号処理部の前段及び後段に接続されているミキサー部及び電力増幅部の構成を知ることができる上に、これらミキサー部及び電力増幅部の特性の変更も容易に行える。また、ミキサー部及び電力増幅部の特性を参考にして、信号処理部の特性を変更することも容易に行える。
【0029】
このような調整をするために、CPU14は、図3乃至図6にフローチャートで示すような動作を行う。なお、すでに図2(a)に示すようにCPU14は、表示画面に信号処理部の構成を表示しているとする。この状態において、図3に示すように、CPU14は、パラメトリックイコライザの表示、ディレイの表示、減衰器の表示、「OUTPUT1」の表示、「OUTPUT2」の表示、「INPUT」の表示のいずれかがクリックされているか、判断を繰り返す(ステップS2乃至S12)。
【0030】
パラメトリックイコライザの表示がクリックされると、パラメトリックイコライザの特性変更のルーチンを実行する(ステップS14)。ディレイの表示がクリックされると、ディレイ特性変更のルーチンを実行する(ステップS16)。減衰器の表示がクリックされると、減衰特性変更のルーチンを実行する(ステップS18)。「OUTPUT1」の表示がクリックされると、電力増幅器の第1の制御画面表示ルーチンを実行する(ステップS20)。「OUTPUT2」の表示がクリックされると、電力増幅器の第2の制御画面の表示ルーチンを実行する(ステップS22)。「INPUT」の表示がクリックされると、ミキサー部制御画面表示ルーチンを実行する(ステップS24)。
【0031】
パラメトリックイコライザの特性変更ルーチンでは、図示していないが、プルダウン表示によって、パラメトリックイコライザの現在の特性を表示する。そして、図4に示すように、マウス26またはキーボード27によって中心周波数fの変更が指示されているか、Qの変更が指示されているか、利得の変更が指示されているか、このルーチンの終了が指示されているか判断する(ステップS26乃至S32)。
【0032】
ステップS26において、中心周波数の変更が指示されていると判断された場合、マウス26の操作またはキーボード27の操作によって入力された値に応じた中心周波数とするためにDSP12に供給する必要のある係数を算出し、CPU13を介してDSP12に供給する(ステップS34)。
【0033】
ステップS28において、Qの変更が指示されていると判断された場合、マウス26の操作またはキーボード27の操作によって入力された値に応じたQとするためにDSP12に供給する必要のある係数を算出し、CPU13を介してDSP12に供給する(ステップS36)。
【0034】
ステップS30において、利得の変更が指示されていると判断された場合、マウス26の操作またはキーボード27の操作によって入力された値に応じた利得とするためにDSP12に供給する必要のある係数を算出し、CPU13を介してDSP12に供給する(ステップS38)。
【0035】
また、ステップS32において、このルーチンの終了の指示が、マウス26またはキーボード27から与えられていると判断されると、このルーチンを終了する。
【0036】
電力増幅器の第1の制御表示画面のルーチンでは、図5に示すように、まず音量を表示する(ステップS40)。音量調整の入力がマウス26またはキーボード27からあるか判断し(ステップS42)、入力があると、その入力値に応じた音量に調整するようにDSP12にCPU13を介して制御データを送り(ステップS44)、ステップS40に戻る。
【0037】
音量調整の入力がないと、ミュート状態を表示し(ステップS46)、ミュート状態を変化させる指示がマウス26またはキーボード27からあるか判断し(ステップS48)、この指示があると、その指示に応じて、ミュートオンまたはミュートオフとするように、制御データをCPU13を介してDSP12に供給し(ステップS50)、ステップS46に戻る。
【0038】
ミュートに変化がないと、スピーカの状態を表示する(ステップS52)。例えば「OUTPUT1」に接続されている電力増幅部の機器に接続されている各スピーカのうちいずれがオンとされ、いずれがオフとされているかを表示している。そして、各スピーカのうちいずれかの状態に変化がマウス26またはキーボード27によって与えられたか判断する(ステップS54)。変化が与えられていると、その変化に応じて、そのスピーカをオンまたはオフにさせる指示が、CPU13を介してDSP12に与えられ(ステップS56)、ステップS52に戻る。
【0039】
以下、同様にして他の処理が行われ、このルーチンを終了するか否かが判断される(ステップS58)。マウス26またはキーボード27によって、終了の指示が与えられると、このルーチンを終了し、終了の指示が与えられていないと、ステップS40に戻る。
【0040】
ステップS24におけるミキサー部の制御画面表示のルーチンでは、図6に示すように、ミキシング表示画面を表示する(ステップS60)。即ち、図2(b)に示すウインドー30を表示する。そして、マウス26またはキーボード27による操作があるか判断する(ステップS62)。操作があると、どの表示が操作されたか判断する(ステップS64)。
【0041】
ここで、図示していないソースの追加または削除の表示が操作されると、各チャンネルのうち、指定されたものに対してソースとしての可聴周波数信号が供給されるか、あるいは今まで供給されていた可聴周波数信号が遮断されるかの指示が、CPU13を介してDSP12に対して与えられる(ステップS66)。
【0042】
ウインドー30内のいずれのアサインスイッチ32が操作されると、その操作されたアサインスイッチに対応するチャンネルの操作部の表示40が、図2(c)に示すように表示される(ステップS68)。そして、操作部の表示40内の各種スイッチをマウス26等によって操作することによって、後述するのと同様にして、この操作部に対応するチャンネルのアッテネータ、極性、イコライザー、アサイン、ミキシング量を調整するためのデータが、CPU13を介してDSP12に供給される(ステップS70)。
【0043】
また、ウインドー30の音量調整器34が操作されると、その操作に応じた音量とするためのデータが、CPU13を介してDSP12に供給される(ステップS72)。同様に、ウインドー30内のミュートスイッチ36が操作されていると、その操作に応じてミュートオンまたはオフとするためのデータが、CPU13を介してDSP12に供給される(ステップS74)。
【0044】
ステップS66、S70、S72、S74に続いて、或いはステップS62において操作が行われていないと判断された場合、ウインドー30内の全画面スイッチ38が操作されているか判断する(ステップS76)。操作されていないと判断されると、ステップS62に戻り、操作されていると、全画面表示に切り換えられる(ステップS78)。
【0045】
ここで、図示していないが、全てのチャンネルを表示するのかとの質問の表示が画面になされる。このとき、CPU14は、イエスの答えが供給されるか判断している(ステップS80)。この質問に、マウス26またはキーボード27の操作によってイエスと答えると、CPU14は、全てのチャンネルの操作部を図2(d)に示すように表示する(ステップS82)。一方、この質問にノーと答えると、図示していないが、表示するアサイン(チャンネル)の指定を促す表示がなされ、表示するアサインを指定すると、指定されたアサインの操作部のみが表示される(ステップS82)。
【0046】
ステップS82またはS84に続いて、図示していないが、表示する順序の指定を促す表示がなされる。ここでは、例えばチャンネルの番号順、音量調整器の音量レベルの順または入力されている信号に名付けられた名前の順か、現在の表示のままとするかのいずれかの選択が促される。このとき、CPU14は、表示を変更する指示が与えられているか判断しており(ステップS86)、変更の指示が与えられていると、その指示に応じた順序に操作部の表示を変更する(ステップS88)。
【0047】
このように操作部の表示の配置に自由度を持たせているのは、次の理由による。通常、ミキサー部では、チャンネルの番号を基準として、左から右に操作部が表示されている。操作者は、各チャンネルごとにどのような信号が入力されているか、例えばボーカル、ギター、ベース等をシールに書いて、操作部に張りつけている。しかし、多くのチャンネルが或る場合、シールを見落として、操作ミスを起こす可能性がある。そこで、そのとき最も必要とされる条件を満たすように操作部が配置されていると、例えば音量調整器のレベルの順とか、各チャンネルに付された名前の順とかに配置されていると、操作ミスが減少すると考えられる。そこで、予め考えられる複数の条件のうちいずれか、操作者が選択した条件に沿って操作部が配置されるようにしてある。
【0048】
操作部の表示の順序の変更の指示が与えられていない場合、或いは操作部の表示順序の変更が行われた後、表示されている各操作部のうちいずれが、マウス26またはキーボード27によって操作されたか判断される(ステップS90)。操作が行われていると、どの操作部のどの操作用の表示がマウス26またはキーボード27によって操作されたか判断する(ステップS92)。
【0049】
そして、アッテネータの表示が操作されていると、その操作部に対応するチャンネルのアッテネータでの減衰量を操作に応じた値とするデータがDSP12にCPU13を介して供給される(ステップS94)。
【0050】
また、極性の表示が操作されていると、その操作部に対応するチャンネルの出力の極性を反転させるデータがCPU13を介してDSP12に供給される(ステップS96)。また、イコライザの表示が操作されていると、その操作部に対応するチャンネルのイコライザの特性を、操作に応じて変更するためのデータが、CPU13を介してDSP12に供給される(ステップS98)。アサインの表示が操作されていると、その操作部に対応するチャンネルを、操作に応じてオンにしたり、オフにしたりするデータをCPU13を介してDSP12に供給する(ステップS100)。また、ミキシング量の表示が操作されていると、その操作部に対応するチャンネルでのミキシング量を、その操作に応じて調整するためのデータが、CPU13を介してDSP12に供給される(ステップS102)。
【0051】
ステップS94、S96、S98、S100、S102に続いて、またはステップS90において操作されていないと判断されると、詳細設定を終了するか否かの判断が行われる(ステップS104)。これは、図示していないが、画面上に表示された詳細設定終了表示がマウス26またはキーボード27によって操作されているか判断することによって行われる。詳細設定を終了する旨の指示が与えられていないと、ステップS90に戻る。詳細設定を終了する旨の指示が与えられていると、終了操作の指示があるかの判断を行う(ステップS106)。この判断は、図示していないが、画面上に表示された終了操作表示が、マウス26またはキーボード27によって操作されたか判断することによって行われる。終了操作の指示が与えられていると、このルーチンを終了し、終了操作の指示が与えられていないと、ステップS60に戻る。
【0052】
上記の実施の形態では、「INPUT」、「OUTPUT1」または「OUTPUT2」等の表示をクリックすることによって、ウインドーを開いたが、これらの表示の近傍にある接続ラインの表示をクリックしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、大きさの制限から音響信号処理装置の全ての構成を網羅的に表示することが不可能な表示画面に、1つの信号処理モジュールを構成している各信号処理手段と、それらの相互接続関係を表示しかつ、これら信号処理手段の特性を変更可能とした上に、この信号処理モジュールに接続されている他のモジュールの状態を表示することができるので、狭い表示画面でありながら、或る信号処理モジュールに接続されている他の信号処理モジュールの信号処理状態の把握が容易で、これを参考にして或る信号処理モジュールの各信号処理手段の特性を調整することができる。
【0054】
また、請求項1記載の発明によれば、主に表示されている信号処理モジュールの各信号処理手段の特性を変更可能なだけでなく、他の信号処理モジュールの特性も変更することができるので、主に表示されている信号処理モジュールの特性を把握しながら、他の信号処理モジュールの各信号処理手段の特性を変更することができる。また、他の信号処理モジュールの特性の変更も、或る信号処理モジュールの特性変更と同一の特性変更指示手段や特性変更手段によって変更することができるので、信号処理モジュールの特性変更用の手段を別に設ける必要がない。
【0055】
更に、請求項1記載の発明によれば、1つの信号処理モジュールの構成が、表示画面に表示されているのと同時に、この信号処理モジュールに接続されている他の信号処理モジュールの状態を表示することができる。即ち、1つの表示画面に、併存して、互いに接続されている2つの信号処理モジュールの構成を表示することができるので、両親号モジュールの特性の状態の把握が容易である。
【0056】
請求項2記載の発明によれば、1つの信号処理モジュールの構成が表示されていた状態から、その信号処理モジュールに接続されている他の信号処理モジュールの状態を表示する表示に、表示が切り換えられるので、他の信号処理モジュールの構成が複雑であっても、その内容の把握が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明による音響信号処理装置の1実施の形態のブロック図、(b)は同実施の形態における表示画面の一例を示す図である
【図2】同実施の形態における表示画面の変更状態を示す図である。
【図3】同実施の形態におけるメインルーチンのフローチャートである。
【図4】同実施の形態のおけるパラメトリックイコライザの特性変更のルーチンのフローチャートである。
【図5】同実施の形態における電力増幅器の第1の制御画面表示のルーチンのフローチャートである。
【図6】同実施の形態におけるミキサー部制御画面表示のルーチンのフローチャートである。
【図7】音響信号処理装置の概略ブロック図である。
【符号の説明】
12 DSP(信号処理モジュール、信号処理手段)
14 CPU(第1及び第2の表示制御手段、特性変更指示手段、特性変更手段)
16 表示装置(表示手段)
26 マウス(選択手段)

Claims (2)

  1. それぞれが複数の信号処理手段から構成された複数の信号処理モジュールが縦続接続され、入力された可聴周波数信号を処理する音響信号処理部と、
    表示画面を有する表示手段と、
    上記各信号処理モジュールのうち、入力及び出力のうち少なくとも一方に、他の上記信号処理モジュールが接続されている1つの上記信号処理モジュールを構成している上記各信号処理手段を表す表示、これら上記各信号処理手段の間の接続ラインを表す表示、上記1つの信号処理モジュールへの入力ラインを表す入力ライン表示、上記1つの信号処理モジュールからの出力ラインを表す出力ライン表示、上記入力ラインの名称を表す入力ライン名称表示、上記出力ラインの名称を表す出力ライン名称表示を、上記表示画面に表示させ、上記入力ライン名称表示は上記入力ライン表示の近傍に、上記出力ライン名称表示は上記出力ライン表示の近傍に表示する第1の表示制御手段と、
    上記表示画面に表されている上記各表示のうち任意のものを選択する選択手段と、
    上記信号処理手段のうち、上記選択手段によって対応する表示が選択された上記信号処理手段の特性の変更を指示する特性変更指示手段と、
    対応する表示が上記選択手段によって選択された上記信号処理手段の特性を、上記特性変更指示手段の指示に応じて変更する特性変更手段と、
    上記入力ライン表示、上記出力ライン表示、上記入力ライン名称表示及び上記出力ライン名称表示のうち、他の上記信号処理モジュールに接続されているものが上記選択手段によって選択されたとき、その接続されている上記他の信号処理モジュールの状態を、選択された上記入力ライン表示、入力ライン名称表示、出力ライン表示または出力ライン名称表示の付近に、表示させる第2の表示制御手段とを、
    具備し、
    第2の表示制御手段は、上記他の信号処理モジュールの状態として、上記他の信号処理モジュールの特性調整用の複数の表示をその調整状態と共に表示し、上記選択手段は、表示された複数の上記特性調整用の表示のうち任意のものも選択可能であり、上記特性変更指示手段は、上記選択手段によって選択された特性調整用の表示に対応する上記他の信号処理モジュールの特性の変更も指示し、上記特性変更手段は、上記選択された特性調整用の表示に対応する上記他の信号処理モジュールの特性も、上記特性変更指示手段の指示に応じて変更する音響信号処理装置。
  2. 請求項1記載の音響信号処理装置において、
    第2の表示制御手段は、上記表示画面の表示を、上記他の信号処理モジュールの状態の表示から、上記他の信号処理モジュールを構成している複数の信号処理手段と、上記複数の信号処理手段を接続している接続ラインとを表す表示に変更可能な音響信号処理装置。
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