JP3989082B2 - 写真用処理剤組成物キット及びそれを用いる現像処理方法 - Google Patents

写真用処理剤組成物キット及びそれを用いる現像処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理に用いる処理剤組成物及びそれを用いる現像処理方法に関するものであり、具体的には、カラー現像所におけるカラー写真感光材料用の現像作業の簡便化と、処理剤容器にかかわる環境負荷の軽減の両面での改良を図った処理剤組成物及びそおれを用いる自動現像機による現像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理は、基本工程として発色現像工程、脱銀工程及び水洗などの画像安定化工程からなる。発色現像工程では、発色現像主薬と銀塩の反応によって画像状の色素と現像銀が生成する。脱銀工程では、発色現像工程で生じた現像銀が酸化作用を有する漂白剤により銀塩に酸化(漂白)され、さらに未使用のハロゲン化銀とともに可溶性銀を形成する定着剤によって感光層から除去される。あるいは、漂白定着液によって一段階で銀塩への酸化とその除去が行われる。画像安定化工程は、生成した画像の長期間にわたる安定性を確保するために画像層の雰囲気の調節がなされる工程で、水洗、又は水洗と画像安定浴、或いは水洗に代わる安定浴などのいずれかが行われる。
各処理工程は、水洗を除いては1種類以上の処理薬品を含んだ水溶液(処理液と呼んでいる)を用いて行われる。各処理液は比較的低濃度であるので、そのまま使用できる状態の処理液を処理薬品メ−カ−が製造し、現像所へ輸送し、保管することは一般に経済面、保管スペ−ス面、あるいは作業面の観点から不適当である。
【0003】
従来、この問題の解決には二通りの方法が行われていた。一つは処理液を構成する処理薬品を処理液構成に応じた比率で混合した粉末薬品混合物を調製してそれを包装したいわゆる固体処理剤の形で現像所へ供給し、現像所でそれを水に溶解して適当な濃度に希釈して処理液として使用する方式であり、もう一つは構成処理薬品を高濃度に溶解して液状濃厚状態にして容器に充填した濃厚液体処理剤の形で現像所へ供給し、現像所でそれを定められた濃度に水などで希釈して処理液として使用する方式である。前者は、米国特許第2843484号、同第2846308号、カナダ特許第831、928号などに記されており、後者は、カラ−現像用濃厚液体処理剤については米国特許第3574619号、同第3647461号、同第3814606号及び公開英国特許明細書第2016723号に記されている。
【0004】
近年急増しているミニラボあるいは店頭ラボとよばれる小規模のカラー現像所では、専門技術を持つ現像作業者がいないのが普通であり、作業に習熟していない作業者が現像作業に行っていることが多い。そのため、現像作業を極力単純化し、現像処理剤も簡単に取り扱えて処理液の調整間違いを起こしにくいものである必要があり、この目的には固体処理剤よりは液体処理剤が有利であり、したがってこれが一般的な使用形態となっている。
しかし、液体処理剤は、空気酸化を受けやすく、また成分相互間でも反応しやすい欠点がある。したがって、これを防止して長期間の保存安定性を確保するために、液体処理剤を複数のパートに分ける手段が取られている。例えば、現像剤組成物のもっとも一般的な構成は、アルカリ剤パート、発色現像剤パート、ヒドロキシルアミンなどの保恒剤パートの3パートに分けられている。しかし、ミニラボなどの小規模のカラー現像所では、パートに分割された処理剤は調合間違いを起こしやすい欠点がある。したがって、現像所内作業が簡単な液体処理剤であっても、処理液の調製が一層簡単な、望ましくは調製不要であって、しかもその他の作業面でも扱い易い処理剤、すなわち、単に濃縮されているだけでなく、なるべく少数のパートから構成されている処理剤が望まれている(一般に構成成分同士の反応防止や高度の濃厚化などのため、構成成分を2つ以上の液剤に分離して2剤あるいは3剤構成の現像剤組成物とすることが多く、通常それらを国際規格 ISO 5989 の国際共通呼称に従って、1、2、3パート構成などと呼んでいる。なお、以下の記述においても、1剤、2剤などを1パート、2パートと呼ぶこともある。)
【0005】
また、環境保全の観点からは、処理剤容器は、再生使用が可能な単一の構成材料(つまり複合材料ではない)から作られていることが望まれている。したがって、キットを構成する場合は、各構成処理剤組成物が共通の材料の容器に収納されていることが望まれている。さらに容器を薄くして材料そのものを減量することと、同時に使用済み容器を押しつぶして減容できることがリサイクル工程の経済性を高める上にとくに望まれることである。このような要求特性をみたす具体的な容器は、厚みが1mm以下のポリエチレンボトルやポリプロピレンボトルである。しかしながら、このような器壁が薄い容器は、酸素透過性が大きく、現像剤組成物のような酸化を受けやすい処理剤組成物用の容器には不向きである。保存中に空気酸化を受けやすい現像剤組成物用の容器には、特開平6−3773号公報に開示されているように、酸素透過性の低い材料で出来ていることが好ましい。
【0006】
一方、漂白剤含有組成物用の容器については、漂白剤含有組成物の保存中に酸素の供給が不十分であると組成物の還元体が生じて活性が低下し易い。したがって、漂白剤含有組成物用の容器は、特開平2−29643号公報に開示されているように、容器の空気透過性が高い材料で出来ていることが好ましい。すなわち、再生使用のためには容器は共通であることが望ましいが、組成物の安定性の面からは容器の共通化は好ましくない。この矛盾を解決して、共通の単一材料の容器でかつ発色現像剤組成物、漂白剤含有組成物ともに1パーツ構成であって、しかも保存中にも安定な濃縮液体組成物キットの実現が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の解決するべき課題は、発色現像剤組成物及び漂白剤含有組成物のいずれもが保存中に安定であり、しかも現像所における作業が単純であり、かつ容器が再生使用可能な共通の材料から作られた容器に充填されているカラー写真感光材料用の処理剤組成物キットを提供することである。
本発明の第2の目的は、上記のプラスチック容器入り処理剤組成物を用いた操作が簡単でかつ品質を安定に維持できるカラー現像処理方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的に対して鋭意検討を重ねた結果、プラスチック容器の酸素透過速度は、充填された発色現像剤組成物の比重値に依存しており、ある特定の比重値を有するときに透過速度が減少するという特異な現象を発見し、この発見に基づいて、発色現像剤組成物及び漂白剤含有組成物の比重を調節して発色現像剤組成物と漂白剤含有組成物とのいずれに対して容器の酸素透過速度が許容できる可能性について検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の目的は、以下のプラスチック容器入りの処理剤組成物キットによって達せられる。
【0009】
1.(イ)発色発色現像剤組成物は、比重が1.15〜1.30であって、かつ現像補充液の全構成成分を含有する単一の液剤で構成されており、(ロ)漂白剤含有組成物は、比重が1.15〜1.30で、漂白剤濃度が0.5〜3モル/リットルであって、かつ漂白補充液の全構成成分を含有する単一の液剤で構成されており、(ハ)上記発色現像剤組成物と上記漂白剤含有組成物とが同じ形状と同じ容積を有し、かつ共通で単一の構成材料で作られた容器にそれぞれ充填されており、(ニ)それらの容器が単一のカートリッジ内に組み込まれていることを特徴とする写真用処理剤組成物キット。
【0010】
2.処理剤組成物充填用容器内に充填された処理剤組成物への酸素透過速度が処理剤組成物1リットル当たり4〜13ml/(24hr.atm.l)(温度25°Cで相対湿度50%における内容液の単位容積当たり)であることを特徴とするあることを特徴とする上記1に記載の写真用処理剤組成物キット。
【0011】
3.ポリオレフィン樹脂を単一の構成材料として作られた容器に充填されていることを特徴とする上記1又は2に記載の処理剤組成物キット。
【0012】
4.キットを構成するすべての処理剤組成物が、同じ形状と同じ容積を有し、かつ共通で単一の構成材料で作られた容器にそれぞれ充填されており、さらに容器に充填された処理剤組成物のすべてが単一のカートリッジ内に組み込まれていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の処理剤組成物キット。
【0013】
5.キットを構成するす発色現像剤組成物が下記一般式〔A〕で表されるアルカノールアミン類及び下記一般式〔S〕で表されるアルカノール類の各群から選ばれる化合物の少なくも一つを含むことを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の処理剤組成物キット。
〔H(R’O)m R〕n NH(3-n) 〔A〕
一般式〔A〕において、mは0又は1、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数が2から4のヒドロキシ置換アルキレン基、R’は炭素数が1〜4のアルキレン基あるいはヒドロキシ置換アルキレン基である。ただし、mが0の場合は,Rの炭素数が2であればnは2であり、Rの炭素数が3〜4であればnは1、2又は3である。また、mが1の場合は、Rの種類によらずnは1、2又は3である。
【0014】
R11-O-(X1) m −(X2)n −R12 〔S〕
一般式〔S〕において、R11及びR12は各々水素原子又は低級アルキル基を表し、X1 及びX2 は各々アルキレンオキシ基、あるいはヒドロキシアルキレンオキシ基を表し、m及びnは各々0又は1〜100の整数を表す。ただし、m+n≦100である。
【0015】
6.露光されたハロゲン化銀カラー写真感光材料を上記1〜5のいずれかに記載の現像処理剤組成物キットを自動洗浄機構を有する自動現像機に装着して、自動的に補充を行いながら発色現像処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理方法。
【0016】
本発明の要諦は、処理剤組成物の比重調節と容器材料の選定とを組み合わせて行うことによって、個々の要素の改良では達せられない「リサイクル可能の共通容器に充填された構成組成物がそれぞれ安定でかつ1パートである単一のカートリッジに収納されたキット」という目的を実現できたことにある。すなわち、第1に処理剤組成物容器に関しては、再生使用ができる共通の単一構成材料で、かつ使用材料が少量で足りる容器を、容器の酸素透過速度が許容できる比重条件を見いだすことによって実現させており、第2に現像作業面に関しては、処理液の調製(調液)操作が簡単又は不要な取扱性を、各組成物を一剤構成として一括して扱えるキットによって実現させており、第3に処理剤の性能に関しては、写真性能や液状が安定に維持される現像剤組成物を、発色現像剤組成物や漂白組成物の比重値の調節及び後に説明する添加化合物によって実現させていることである。
【0017】
とりわけ、自動現像機に発色現像剤組成物を充填した容器を装着し、該容器の内容物を現像補充槽中へ注入したのち、容器内を一定量の水で洗浄するとともに、洗浄に用いた水を補充槽内に導入して補充液の調製用水として使用し、得られた補充液を用いて現像処理を行うハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理方法は、ラボ作業が簡単で、容器のリサイクル工程の負荷も少ない本発明の長所を発揮する態様であり、その詳細はのちに記述する。
なお、「単一の構成材料の容器」とは、前述のように2種の材料の積層剤のような複合材料ではなく、1種類の材料から構成されていることを意味するが、ポリエチレンのボトルに対して、そのキャップ、あるいはキャップのシール部分やボトル本体との接触部分に、同じポリエチレンでもボトル本体とは密度などのグレードの異なるものを用いる場合は、その使用量が少量であって再生使用性が確保されているので、そのようなキャップ付きボトルは「単一の構成材料」からなるとみなしている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の処理剤組成物キットは、発色現像剤組成物については、比重が1.15〜1.30の間にあり、かつ現像補充液の全構成成分を単一の液剤で構成されたものであり、漂白剤含有組成物については、比重が1.15〜1.30の間にあり、漂白剤濃度が0.5〜3モル/リットルであって、かつ現像処理に必要な漂白剤の全量を含有する単一の液剤で構成されたものであり、上記の発色現像剤組成物と漂白剤含有組成物とは、共通の形状と容積で、かつ共通の単一の材料から作られた容器に収納されており、それらの容器が同一のカートリッジ内に組み込まれたことが特徴である。
【0019】
通常の発色現像補充液の比重は、1.05程度であるが、その補充液を調製するための発色現像剤組成物の比重を、本発明においては1.15〜1.30にすることが、発明効果の発現上の必須要件であって、この比重値の範囲では空気酸化を受けにくく、したがって成分中の保恒剤や発色現像主薬の経時的な減少が防止される。この領域よりも比重値が低くても高くても空気酸化による組成物の劣化は増加する。すなわち、比重値がこの範囲より低い場合には、空気酸化による保恒剤や発色現像主薬の濃度の減少が著しくなり、この範囲より高い場合には、酸化した発色現像主薬がタール状の分離物が現像剤、容器あるいは現像機壁を着色汚染し、いずれにしても発色現像剤組成物を劣化させてしまう。したがって、この範囲に比重を調節することによって発色現像剤組成物の保存性は、実用上必要とされる期間(通常少なくも10か月、望ましくは1年以上)とすることができる。
比重値の好ましい範囲は、1.18〜1.27であり、より好ましくは1.18〜1.24である。
【0020】
比重値をこの範囲まで高める具体的手段は、組成物の濃縮度を上げることが、もっとも簡便である。濃縮度を高める際に溶解度が制約して成分が析出するのを避けるために、例えばアルカリ剤には炭酸カリウム、塩化物には塩化カリウムを用いるなど同機能の化合物群の中で相対的に溶解度が大きく、かつ写真性への悪影響の少ない化合物を構成成分として選択することが効果的である。また、組成物中の炭酸アルカリ、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤のうち、比重への寄与の大きい炭酸アルカリ、その中でも炭酸カリウムを多く含有させて比重を大きくすることも写真性能が許す範囲で取り入れることができる手段である。また、比重調節だけの目的で、pH9〜12付近に緩衝能を持たず、写真性能にも影響の少ないつぎに述べるようなアルカリ可溶の無機酸塩あるいは有機酸塩を加えてもよい。またこれも次に述べるように溶解性を高める溶解助剤を添加することも好ましい。
【0021】
各成分の溶解度を向上させるために水溶性の溶解助剤を用いる場合に好ましい溶解助剤の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量6000以下のポリエチレングリコールなどのグリコール類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パラトルエカリウムが好ましく、特にジエチレングリコールとパラトルエンスルホン酸塩が好ましい。
【0022】
また、発色現像液や発色現像補充液の成分として知られる炭酸ナトリウムや炭酸カリウム、その他エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1−ヒドロキシエチリデンー1,1ージホスホン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸などのキレート剤のナトリウム塩やカリウム塩を他の成分との通常の量比以上に添加して比重を高めることも好ましい。
【0023】
さらに発色現像液の性能に影響の少ない化合物を添加して比重を調節することもできる。このような比重調節剤の例としては、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属硫酸塩やアルカリ金属塩化物のほか、酢酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、琥珀酸、酒石産、アジピン産、グリコール酸、乳酸、グルタル酸などの有機酸をナトリウム塩、カリウム塩あるいはリチウム塩の形で含有させてもよい。その他特開平6−02627号に記載の各種の単糖類を含有させてもよい。
【0024】
本発明の比重調節の効果の作用機構は明確ではないが、空気中の酸素や二酸化炭素の処理剤への吸収速度、処理剤成分相互の反応速度の変化が組み合わさって、本発明の比重範囲において最適効果を生み出すものと推定される。
【0025】
比重をこの範囲とするのに必要な濃縮倍率は、使用する現像液の組成に依存するが、多くの場合現像液の1.5〜10倍の範囲であり、より一般的には2〜8倍であり、多くの凡用現像液には3〜8倍となる。なお、この場合の濃縮度は、組成物から現像補充液を希釈によって調製する際の希釈倍率を意味するものである。
【0026】
この特定の比重範囲は、発色現像主薬が4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホアミドエチル)アニリン、その塩化物、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩類の場合に認められており、したがって本発明では、これらの発色現像主薬が用いられる。その中で特に好ましい発色現像主薬は4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−メタンスルホアミドエチル)アニリン3/2硫酸塩1水和物である。
【0027】
本発明においては、漂白剤含有組成物は、比重値は1.15〜1.30の間にあり、漂白剤濃度が0.5〜3モル/リットルであって、かつ漂白補充液の全構成成分を単一の組成物に含ませたものである。漂白剤の濃度、比重がこのレベルにあると、発色現像剤組成物用のものと共通のプラスチック容器、特にポリオレフィン樹脂容器を用いたとき、その器壁を透過して供給される酸素が漂白剤の劣化を防止するに足る量となるので、共通の容器によって発色現像剤の空気酸化を防止し、漂白剤の経時還元を防止できて、いずれをも安定に保存することが可能になる。ここで、共通の容器とは、材料が同じで、リサイクル工程で分別する必要がないことが絶対的な要件であり、さらに形状と大きさも同じであることが特に好ましい要件であり、この要件が満たされることによって保管、取扱いも簡単で経済的となる。比重値が上記の範囲よりも高い場合は、容器壁からの酸素(空気)供給が少なく、したがって漂白剤含有組成物の経時安定性が低下するので、容器厚みを薄くする必要がおこるが、薄くすると発色現像剤組成物の経時安定性が損なわれるので容器の共通化が出来なくなる。比重値が上記の範囲より低い場合は経時安定性は向上するが、容積が増加して材料、輸送、取扱いの面での負荷が増加することに加えて発色現像剤用の容器とサイズの共通化も困難となり、容器の再生利用にも不利となる。
【0028】
また、本発明においては漂白剤の濃度を0.5〜3.0モル/リットルとする。後述する凡用漂白剤を用いる限り、比重値を規定範囲内とし、かつ漂白能力を十分に発揮するには、その濃度を0.5〜3.0モル/リットルとする必要がある。好ましい比重値の範囲は、1.18〜1.28の間にあり、より好ましくは、1.18〜1.25である。また、漂白剤濃度の好ましい範囲は、0.5〜2.7モル/リットル,より好ましくは、0.6〜2.5モル/リットルである。
【0029】
漂白剤含有組成物の比重をこの範囲に調節するには、組成物の濃縮度によって行うのが実際的である。濃縮度を上げることが溶解度の制約によって困難な場合には、例えばアンモニウム塩やカリウム塩を用いるなど同類化合物群の中では相対的に溶解度の大きく、かつ写真性への悪影響の少ない塩を素材として選択する。また、漂白剤含有組成物が、漂白定着用補充液ではなく漂白用補充液として用いられる場合には、水溶性ハライド化合物を構成成分として加えるが、その場合もナトリウム塩よりはカリウム塩、より好ましくはアンモニウム塩の形で添加すると溶解度の制約が少ない。そのほか、上記した発色現像剤組成物の比重を調節する手段の中から漂白剤含有組成物の比重調節にも適用できる手段を選ぶこともできる。例えば、組成物中の特定の成分を他の組成物との通常の成分比以上に添加するしたり、漂白性能に影響の比較的小さい化合物を添加する方法は効果的で、発色現像剤組成物への添加用に前記した例示化合物の多くが、漂白剤含有組成物にも利用できる。
【0030】
漂白能を有する液(漂泊液や漂白定着液)の使用液の通常の比重は、処理剤の添加方式が定着剤と独立に添加するか、混合して希釈して添加するかなどの実施態様によって異なるが、1.15を中心にして1.10〜1.20の範囲で、漂白剤濃度が0.1〜0.8モル/リットルの範囲にある。比重が1.15〜1.30で、漂白剤濃度が0.5〜3モル/リットルの漂白剤含有組成物の濃縮倍率は、使用液の処方によって多少異なるが、1.1〜3.0倍、より一般的には1.5〜2.0倍であり、容易に水で希釈して使用液とすることができる。
【0031】
この濃縮組成物は、現像処理に必要な漂白剤成分の全量を単一の組成物に含ませた1パーツ構成である。なお、対象となる現像処理工程が漂白浴を有する場合は、この組成物から調製される漂白補充液のみを漂白浴タンクに入れて用い、処理工程が漂白定着浴を有する場合は、この組成物から調製される漂白補充液のほか定着剤含有組成物から得られる定着補充液も直接あるいは他の浴(例えば定着浴)を経て同じ浴に添加することにより漂白定着浴となる。また、組成物を希釈して補充液として添加する代わりに、組成物及び水をそれぞれ直接処理タンクに添加する方法を用いてもよい。
【0032】
現像処理に用いられる処理剤組成物のすべて、例えば多くの場合は、発色現像剤組成物、漂白剤含有組成物、定着剤含有組成物の3種、また場合によってはさらに安定剤組成物が加わって一つの処理剤キットを構成しているが、本発明においては、これらのキットの構成処理剤がすべて同一の単一構成材料によって作られた容器に入っており、各容器が同一の形状と大きさを有していることが特に取り扱い性と再生使用の作業負荷を軽減して好都合である。同一の単一構成材料は、ポリオレフィン樹脂であることが望ましく、とりわけポリエチレン樹脂、中でも高密度ポリエチレン(HDPE)が望ましい。
【0033】
本発明の共通の単一の構成材料からなる、とりわけ共通の形状と容積を有する容器からなる、単一のカートリッジのキットは、上記の作業性や取り扱い性の簡便さと処理品質維持の確実さに加えて、キットを構成する全処理剤組成物ボトルは互いの位置関係を固定した状態つまり一体化した状態でカートリッジ内に装填されるので、自動現像機への装着も各構成容器を一括して行うことができる。また、輸送、保存、取扱いが簡単にできる。
【0034】
容器の材料についてさらに説明する。本発明で使用する単一素材より構成された容器内に充填された処理剤組成物への酸素透過速度は、4〜13ml/(24hr.atm.m)(温度25°Cで相対湿度50%における内容液の単位容積当たり)であり、好ましい範囲は5〜12ml/(24hr.atm.l)である。この値は容器が空の状態で測定した24時間当たりの酸素透過量を測定し、それを容器に充填される処理剤組成物の液量(リットル)で割った値である。この内部溶液1リットル当たりの酸素透過速度を酸素透過量と呼ぶこともある。酸素透過量の測定は、実際には容器外部は酸素又は空気を用い、内部は窒素ガスを満たして内部へ透過する酸素濃度を市販のガスクロマトグラフ装置によって定量する。外部雰囲気が空気の場合は、外部酸素圧に空気の酸素分圧を用いて算出する。
【0035】
さらに、容器材料の再生工程にも作業負荷を少なくすることができる。このような機能的なカートリッジ材料としては、金属フレーム式のもの、プラスチックフレームやプラスチックボックス方式のもの、紙ボックス型のものなどを用いることができる。中でも紙材料のカートリッジが好ましいが、その中でも板紙(ボード、ダンボールなど)材料のカートリッジが特に好ましい。
【0036】
容器の酸素透過速度が、上記の範囲を超える場合は、当然のことであるが、空気酸化が著しくなり、発色現像剤組成物の劣化が速くなる。逆に上記の範囲より低い場合は、漂白剤含有組成物の劣化が起こるほか、必要以上に容器材料を用いることを意味しており、リサイクル工程の負荷が増大すること、輸送供給工程でのコストま増加すること、使用済み容器が減容しにくい(潰しにくい)ことなど各面で不都合が生じる。
【0037】
本発明の目的に適した容器材料は、すでに述べたように再生使用が容易で、作業性に支障を与えず、発色現像剤組成物を安定に保存できる材料であることが必要である。この要求を満たすのは、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカ−ボネ−ト樹脂、PVA,ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニチデン、ポリエチレン樹脂であり、その中でも本発明の目的に好都合な材料は、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂を単一の高分子素材として構成された材料である。その中でも、ポリエチレンが好ましく、ポリエチレンのなかでも高密度型、いわゆるHDPEが容器材料として好ましい。容器材料に適したHDPEは、密度が0.94〜0.97である。とりわけ大きな利点は、リサイクルが容易であるのに従来空気バリア性が不十分のため発色現像剤組成物用には不適当とされたポリエチレンが、本発明の発色現像剤組成物と漂白剤含有組成物の組み合わせでは、容器として実用可能な保護性を持っていることである。
【0038】
発色現像剤組成物用と漂白剤含有組成物用のそれぞれの容器を共通のプラスチック材料とすることによって使用後の容器のリサイクル工程で両者を分別する必要が無くなり、工程の経済性、作業効率を向上させて、実際的な再生使用を可能にする。さらに、形状と大きさも共通化することによって、処理剤キットの輸送、保管、現像機への装着、現像作業時の取扱いなどの各面にわたって簡便化と能率化が達せられる。このような本発明の特徴的な利点を備えた容器組み込みキットの自動現像機への装着形態の一例は、図3及び図4に示されており、その詳細は後に説明する。
【0039】
以下本発明の更に具体的な態様について説明する。
はじめに本発明で用いられる処理剤組成物の構成成分についてさらに説明する。本発明に係わる発色現像剤組成物は、一般式〔A〕で表されるアルカノールアミン類及び一般式〔S〕で表されるアルカノール類の各群から選ばれる化合物の少なくも一つを含むことによって組成物の空気酸化に対する安定性が増大して容器の共用が可能な組成物の比重、容器の形状、大きさ、比面などの範囲をさらに広げることができる。
【0040】
一般式〔A〕のアルカノールアミン類の添加は、沈殿析出と着色の両方を抑止する効果がある。効果のあるアルカノールアミン類は、一般式(A)においてmは0又は1、nは1〜3であり、Rは、ヒドロキシエチレン基、n−ヒドロキシプロピレン基など炭素原子数が2から4の直鎖又は分岐のヒドロキシ置換アルキレン基、R’はメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、ヒドロキシエチレン基など炭素原子数が1〜4の直鎖又は分岐アルキレン基あるいはヒドロキシ置換アルキレン基である。ただし、mが0の場合は,Rの炭素原子数2であればnは2であり、Rの炭素原子数が3〜4であればnは1、2又は3である。また、mが1の場合は、Rの種類によらずnは1、2又は3である。
【0041】
その中でも特に有効なアルカノ−ルアミン類を以下に示す。
A−1 トリイソプロパノ−ルアミン、
A−2 ジイソプロパノ−ルアミン、
A−3 モノイソプロパノ−ルアミン、
A−4 ジエタノ−ルアミン、
A−5 2,3−ジヒドロキシルプロピルアミン、
A−6 ジ(2,3−ジヒドロキシルプロピル)アミン、
A−7 ジ(4−ブタノール)アミン、
とりわけ有効なアルカノ−ルアミンは、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミンである。
本発明の目的に対して有効なアルカノ−ルアミン類は、親水性基と疎水性基との適当なバランスがあるようで、アルキル部分が過大となって疎水性が増加しても逆に親水性部分が過大でも効果が少ない。たとえば、従来公知の現像液添加用の有機溶剤であるトリエタノールアミンは、本発明の目的には効果が認められない。
【0042】
上記のアルカノールアミン類の添加量は、発色現像剤組成物1リットル当たり0.02〜3モルであり、好ましくは0.05〜2モル、さらに好ましくは0.1〜1モルである。
【0043】
次に本発明で用いる一般式〔S〕で表される化合物を更に詳しく説明する。
一般式〔S〕において、R11及びR12は各々水素原子又は低級アルキル基を表し、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基である。X1 及びX2 は各々直鎖又は分岐アルキレンオキシ基あるいはヒドロキシアルキレンオキシ基を表し、好ましくはエチレンオキシ基、トリメチレンオキシ基、n−プロピレンオキシ基及び2−ヒドロキシ−n−プロピレンオキシ基である。m及びnは各々0又は1〜100の整数を表す。ただし、m+n≦100である。
【0044】
以下に一般式〔S〕で示される化合物の好ましい例示化合物を挙げる。
S−1 CH3OH
S−2 C2H5OH
S−3 CH3CH2CH2OH
S−4 CH3CH(CH3)OH
S−5 HOCH2CH2OH
S−6 HOCH2CH2OCH3
S−7 HOCH2CH2OCH2CH3
S−8 HOCH2CH2OCH2CH2CH3
S−9 HOCH2CH2OCH2CH2CH2CH3
S−10 CH2OCH2CH2OCH3
S−11 C2H5OCH2C2H2OC2H5
S−12 C3H7OCH2CH2OC3H7
S−13 C4H9OCH2CH2OC4H9
S−14 CH3OCH2CH2OC2H5
S−15 CH3OCH2CH2OC3H7
S−16 CH3OCH2CH2OC4H9
S−17 C2H5OCH2CH2OC3H7
S−18 HOCH2CH2OCH2CH2OH
S−19 HOCH2CH2OCH2CH2OCH3
S−20 HOCH2CH2OCH2CH2OC2H5
S−21 HOCH2CH2OCH2CH2OC3H7
S−22 HOCH2CH2OCH2CH2OC4H9
S−23 CH3OCH2CH2OCH2CH2OCH3
S−24 C2H5OCH2CH2OCH2CH2OC2H5
S−25 C3H7OCH2CH2OCH2CH2OC3H7
2−26 C4H9OCH2CH2OCH2CH2OC4H9
S−27 CH3OCH2CH2OCH2CH2OC2H5
S−28 CH3OCH2CH2OCH2CH2OC3H7
S−29 CH3OCH2CH2OCH2CH2OC4H9
S−30 C2H5OCH2CH2OCH2CH2OC3H7
S−31 HOCH2CH2CH2OH
S−32 HOCH2CH2CH2OCH3
S−33 HOCH2CH2CH2OC2H5
S−34 CH3OCH2CH2CH2OCH3
S−35 HOCH2CH2CH2OC3H7
S−36 HOCH2CH2CH2CH2OH
S−37 HOCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OH
S−38 HOCH2CH2OH2CH2CH2OH
S−39 HOCH2CH2OCH2CH(OH)CH2OH
S−40 HO(CH2CH2O) n CH2CH2OH n=4
S−41 HO(CH2CH2O) n CH2CH2OH n=7
S−42 HO(CH2CH2O) n CH2CH2OH n=9
S−43 HO(CH2CH2O) n CH2CH2OH n=14
S−44 HO(CH2CH2O) n CH2CH2OH n=20
【0045】
一般式〔S〕の化合物の中で本発明を実施する上で特に好ましいのは(S−37 )、(S−39)、(S−40)、(S−41)、(S−42) である。
一般式〔S〕で示される化合物の添加量は、1.0〜100g/リットルの範囲が好ましく、より好ましくは5.0〜50g/リットルの範囲である。
【0046】
本発明に係わる発色現像剤組成物は、一般式〔HI〕で示されるヒドロキシルアミン誘導体を加えるとさらに経時安定性が向上する。
【0047】
【化1】
Figure 0003989082
【0048】
一般式〔HI〕中、Lは炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖の置換してもよいアルキレン基を表わし、その中で炭素数1〜5のものが好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、トリメチレン、n−プロピレン、i−プロピレンが好ましい例として挙げられる。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アルキル(好ましくは炭素数1〜5)置換してもよいアミノ基を表わし、その中でカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ヒドロキシル基が好ましい例として挙げられる。
【0049】
Aはカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アルキル置換してもよいアンモニオ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基、アルキル置換してもよいスルファモイル基、置換してもよいアルキルスルホニル基を表わし、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基が好ましい例として挙げられる。上記の各基がアルキル置換基を有する場合、その好ましいアルキル基は、炭素数1〜5であり、中でもメチル基及びエチル基が好ましい。Aがアンモニオ基を表す場合、一般式〔HI〕の化合物は、アンモニオ基の対イオンとして硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、塩素イオン、亜硫酸イオンなどを伴ってもよい。また、L及びAがカルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基などの酸根を有する置換基を伴う場合は、その酸根の水素は、アルカリ金属原子、アンモニウム原子団と置き代わってもよい。−L−Aの例として、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい例として挙げることができ、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基が特に好ましい例として挙げることができる。
【0050】
a は水素原子、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖の置換してもよいアルキル基を表わし、炭素数1〜5が好ましい。置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスフィン酸残基、ヒドロキシル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アルキル置換してもよいカルバモイル基、アルキル置換してもよいスルファモイル基、置換してもよいアルキルスルホニル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換してもよいアミノ基、アリールスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子を表わす。これらの置換基に含まれるあるいはさらに置換したアルキル基は、炭素数1〜5であり、とくに1〜3が好ましい。置換基は二つ以上あってもよい。中でも好ましいRa として水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基、ヒドロキシエチル基を挙げることができ、特に好ましい例として水素原子、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、ホスホノメチル基、ホスホノエチル基を挙げることができる。
【0051】
LとRa が連結して環を形成してもよい。LとRa が環形成する場合は、LとRa が直接環形成してAを置換基として有するか、あるいはAがアルキル置換してもよいアミノ基を表わし、該アミノ基の窒素原子を介してLとRa が環形成(例えばピペラジン環形成)することもできる。
特に好ましいヒドロキシルアミン誘導体は、総炭素数が1〜8のモノ−又はジ−アルキルヒドロキシルアミンである。
次に一般式〔HI〕の具体的化合物の例を記す。
【0052】
【化2】
Figure 0003989082
【0053】
【化3】
Figure 0003989082
【0054】
【化4】
Figure 0003989082
【0055】
一般式〔HI〕で表わされる化合物は、市販されているヒドロキシルアミン類を アルキル化反応(求核置換反応、付加反応、マンニッヒ反応等)することにより合成することができる。西ドイツ特許1159634 号公報、「インオルガニカ・ケミカ・アクタ」(Inorganica Chimica Acta) 、93、(1984) 101-108、などの合成法に準じて合成できる。また、より具体的な化合物についての合成法は、特開平3−266837に記載されている。
【0056】
本発明にかかわる発色現像剤組成物に一般式〔HII〕に示される置換基の炭素数が1〜8のN−アルキルヒドロキシルアミンを添加することは、現像組成物の経時着色を防止する上で極めて効果が大きく、したがってこのヒドロキシルアミン誘導体の添加によって発色現像組成物を容器に充填した形態での保存ライフも使用を開始して補充槽での貯留期間中や現像タンクに入れて現像処理を行っている間の安定性も向上する。モノアルキル置換、ジアルキル置換のいずれのヒドロキシルアミンも効果がある。炭素数の合計が8を超えると溶解性が減少して効果が低下する。
【0057】
【化5】
Figure 0003989082
【0058】
好ましいN−置換アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、n−オクチル基、t−オクチル基である。好ましいN−アルキルヒドロキシルアミンは、ジエチルヒドロキシルアミン、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジイソプロピルヒドロキシルアミン、ジ−n−プロピルヒドロキシルアミン、t−ペンチルヒドロキシルアミンである。
【0059】
一般式〔HII〕のN−アルキルヒドロキシルアミンは、それ自体の添加も有効であるが、一般式〔HI〕で表わされるヒドロキシルアミン誘導体と併用するとさらに効果が大きい。一般式〔HI〕の化合物は、組成物の着色の防止にも効果があるが、写真性の安定性に効果が大きい。併用した場合にはそれぞれ単独でその添加量を増量して使用した場合よりも、着色防止効果と写真性の安定化効果の両方において一層効果が大きくなる。
【0060】
本発明において現像剤組成物への一般式〔HI〕のヒドロキシルアミン誘導体及び一般式〔HII〕のN−アルキルヒドロキシルアミンの添加量は、濃縮度によって異なるが、いずれも現像剤組成物1リットル当たり0.2g〜100g、好ましくは0.5g〜20gである。両者を併用した場合の添加量は、単独で使用する場合よりも少なくてよいが、使用範囲は、一般式〔HI〕の化合物は上述の範囲、一般式〔HII〕の化合物は、組成物1リットル当たり0.1g〜50g、好ましくは0.1g〜20gである。
一般式〔HI〕のヒドロキシルアミン類と一般式〔HII〕の1〜8のN−アルキルヒドロキシルアミン類を併用する場合には、前者を多量に存在させるのがよく、その添加量の割合は、モル比で5〜100、好ましくは10〜30である。
【0061】
本発明に係わる現像剤組成物は、上記に加えてさらに界面活性剤を含有させることによって一層発色現像主薬の溶解度を高めることができ、したがって、空気酸化に対する安定性、タール状の着色物の生成の抑止効果を高めることができる。公知のアニオン界面活性剤の多くがこのような効果を有するが、とりわけ下記一般式〔W〕に示すようなアルキレンオキシド基の繰り返し構造を含んだアニオン界面活性剤がとくに有効である。
R10O(CH2CH2O) p [CH2CH(OH)CH2O] q (CH2) r V 〔W〕
【0062】
上記一般式〔W〕において、R10のアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましい単素数は3〜12である。とくに好ましいアルキル基は、直鎖又は分岐したブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基及びドデシル基である。R10がアルケニル基を表す場合は、直鎖でも分岐していてもよく、炭素数1〜20であり、好ましい単素数は3〜16である。とくに好ましいアルケニル基は、アリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基である。R10がアリール基を表す場合は、フェニル基及び置換フェニル基であり、置換基は、1〜3個、好ましくは1〜2個、より好ましくは1個の炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基であり、好ましい単素数は、3〜12個である。とくに好ましいアリール基は、4−ノニルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、2,5−ジ−t−アミルフェニル基、2,5−ジ−t−オクチルフェニル基である。R10がアルキルカルボニル基を表す場合、好ましいアルキルカルボニル基は、そのアルキル基の単素数が4〜16が好ましく、とくにオクチルカルボニル基、ノニルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、アミルカルボニル基が好ましい。
pとqの和は1以上であり、rは1〜50の整数を表す。Vは、スルホン酸基、リン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸エステル基を表す。R10がアリール基の場合が特に好ましく、又、p+qが2〜30の範囲が最も好ましい。また、rは1〜10が最も好ましい。
【0063】
一般式〔W〕で示されるアニオン界面活性剤の具体例を以下に示すが、本発明に用いることができるアニオン界面活性剤はこれに限定されない。
【0064】
【化6】
Figure 0003989082
【0065】
【化7】
Figure 0003989082
【0066】
これらの化合物を、発色現像剤組成物に添加する量は、大略0.05g〜30g/リットル、好ましくは0.5g〜15g/リットル程度である。これらの化合物は市販品にて容易に入手可能である。
【0067】
本発明において、アルキル置換してもよいベンゼンスルホン酸又はその塩を発色現像剤組成物に添加することによって高濃度の発色現像主薬を一層安定に保つことができる。とくに、発色現像剤組成物の経時による組成物やその容器の着色、及びその着色物の感光材料への付着による汚染を防止あるいは軽減できる。
ここで「アルキル置換してもよい」とは、ベンゼンスルホン酸又はアルキル置換されたベンゼンスルホン酸もしくはこれらの塩をいう。また、アルキル基、スルホン酸基以外の置換基を有しないことが好ましい。
ベンゼン環への好ましい置換基は、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基など炭素数1〜3の低級アルキル基で置換基の数は1〜3個である。特に好ましいベンゼンスルホン酸はp−トルエンスルホン酸である。また、これらのベンゼンスルホン酸類は、ナトリウム塩又はカリウム塩であってもよい。これらのベンゼンスルホン酸類の添加量は、発色現像剤組成物1リットル当たり0.02〜3モルであり、好ましくは0.05〜2モル、さらに好ましくは0.1〜1モルである。
【0068】
本発明に係わる発色現像剤組成物は、特別に高度に濃厚化されていることがその組成的特徴であり、また濃厚化の制約を克服したことがその技術的特徴であることはすでに説明した。その濃厚化の度合いは実際の使用状態の液つまり現像補充液あるいは母液(タンク液)に対する濃縮倍率が1.5〜10倍の程度であり、好ましくは2乃至8倍、さらに好ましくは3〜5倍である。
【0069】
本発明に係わる発色現像剤組成物及び漂白剤含有組成物は、使用液に含まれる全成分を一つの組成物に含ませた形態すなわち一剤(1パート)構成である。キットを構成する定着剤含有組成物も一剤構成とするのが特に望ましい。一般に構成成分同士の反応防止、高濃度化などのため、構成成分を2つ以上の液剤に分離して2剤あるいは3剤構成の現像剤組成物とすることが多く、1パート構成とすることは、使用上の簡便性のために実用価値が高いが、技術的な難度も高い。本発明は、これを解決して1パート構成でしかも高濃度の現像剤組成物を実現させたものである。
【0070】
1パート構成の処理剤組成物は、水で希釈して補充液あるいはタンク液にするが、pHについては、水で希釈するだけで目的のpHが得られず、アルカリ剤や酸剤の添加によってpHを調節することもある。この場合も、アルカリ剤や酸剤が別のパーツとして構成されていない限り、1パート構成と呼んでいる。
【0071】
つぎに本発明の処理剤組成物キットに用いる容器についてさらに付け加える。処理剤組成物の容器に用いるポリエチレンは、カーボンブラックやチタンホワイト、カルシウムシリケート、シリカなどアルカリ性現像組成物に悪影響しない顔料、炭酸カルシウム、2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などの添加剤、ジセチルサルファイド、トリス(ラウリルチオ)フォスファイト、その他アミン系、チオエーテル系、フェノール系などの既知の酸化防止剤、ステアリン酸又はその金属塩などのすべり剤、2−ハイドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノンを始めとするポリエチレンに相溶性のある既知の紫外線吸収剤、ポリエチレンに相溶性のある既知の可塑剤などを必要によって添加してもよい。これらの添加剤の総量は、プラスチック原料混和物の総量の50%以下であることが望ましい。好ましくはポリエチレンの比率が85%以上で可塑剤を含まないものがよく、より好ましくはポリエチレンの比率が95%以上で可塑剤を含まないものがよい。
【0072】
本発明において、ボトルとそのキャップとの勘合部の気密性を高めるとともに、外部衝撃に対する緩衝性を持たせるために、キャップの材質も適切なものを選定するのがよい。なお、本発明において「キャップ」という場合、それはボトルの開口部のシール部材を含めてキャップと表現している。ボトルの本体に高密度ポリエチレン(HDPE)を95%以上含有する材料を使用するのに対して、ボトルのキャップは、低密度ポリエチレン(LDPE)を95%以上含有する材料を用いるのが好ましい。あるいは、キャップを高密度ポリエチレン(HDPE)を主体にしてあっても、ボトル本体と接する部分の材質(たとえばパッキングなど)には、低密度ポリエチレン(LDPE)を95%以上含有する材料を用いることによってボトルとキャップの間の機密性を高めるのがよい。キャップ及びシール材料として好ましいLDPEの密度は、0.91〜0.94である。
【0073】
本発明において処理剤組成物を充填する容器の形状と構造は、目的に応じて任意に設計できるが、一般的な定型ボトル構造のほかに、特開昭58−97046号、同63−50839号、特開平1−235950号、特開平63−45555号などに記載の伸縮自在型、特開昭58−52065号、同62−246061号、同62−134626号などに記載のフレキシブル隔壁つきのものでも使用することが可能である。
【0074】
処理剤組成物を容器に充填するに際しては、発色現像剤組成物は空気酸化に対する安全性をさらに高めるためには、出来るかぎり容器の口元まで満たすようにして上部空間を最小限にするのがよいが、充填作業性、輸送上の安全性、現像所での作業性からはある程度の空間を持たせるのが好ましい。この空間は通常ヘッドスペースと呼んでいる。本発明では、ヘッドスペースを処理剤組成物の保存安定性よりも上記した種々の作業性、安全性に適したヘッドスペースを選ぶことができる。したがって好ましいヘッドスペースは、発色現像剤組成物、漂白剤含有組成物あるいは定着剤含有組成物ともにボトルの内容積の0.2〜10%、好ましくは1.0〜6.0%である。
現像剤組成物の場合は、さらにボトルの上部空間を窒素置換して空気中の酸素との接触を絶つように充填するのがよいが、本発明は必ずしもこのような充填方式に限定されない。
【0075】
プラスチックボトルの成形は、射出、中空(ブロー)、射出中空、圧空、押出し、真空等の成形方式があり、目的に応じた成形方式を採用する。最も一般的に使用されているのが中空成形(射出中空成形も含む)である。本発明に係わるボトルは多くの場合、キャップは射出成形で、またボトルは中空成形で行われ、また、PETボトルのように延伸によって強度を出すような場合は、射出中空成形によって製造する。
【0076】
本発明において現像剤組成物を充填する容器の形状と構造は、目的に応じて任意に設計できるが、一般的な定型ボトル構造のほかに、特開昭58−97046号、同63−50839号、特開平1−235950号、特開昭63−45555号などに記載の伸縮自在型、特開昭58−52065号、同62−246061号、同62−134626号などに記載のフレキシブル隔壁つきのものでも使用することが可能である。
【0077】
本発明の処理剤組成物キットを自動現像機で使用する際には、処理剤組成物を充填した容器を現像機に一体化したキットの形で装着して容器内部の組成物をそれぞれの補充槽あるいは直接処理槽に注入したのち、容器内を一定量の水でスプレ−などによって洗浄するとともに洗浄に用いた水を補充槽に導入して補充液の調製用水として使用し、そのようにして得た補充液を用いて現像する現像操作方式は、本発明の利点をとくに有効に利用している方式である。容器内を一定量の水で洗浄するにはスプレー方式の洗浄がとくに好ましいが、必ずしもこれに限定されない。この補充液調製方式によって洗浄水が有効に利用され、現像所の廃水の排出量を減量できる。本発明で用いられる安定で析出物を生じない均一に溶解した、かつ濃厚で容積をコンパクト化した処理剤組成物は、内容物が流出し易く、かつそのあとの容器の水洗も少量の水で済むので、容器洗浄機構を備えた自動現像機用の処理剤として好適である。
【0078】
したがって、本発明のとくに有利な実施態様としては、処理剤組成物をキットのまま自動現像機に装填すると、自動的に容器の蓋が開栓され、流動性の内容物が円滑に排出される仕組みが備えられる。また、特開平6−82988号、特開平8−220722号などに開示された方法によって容器内部は洗浄水のスプレ−によって人手をかけずに清浄になり、クリ−ンに扱えて廃容器のリサイクルも簡単となる。しかも洗浄水は処理剤の溶解水の一部として利用されるので、廃液とはならない。このようなシステムの構想は、本発明に具現された高度に濃縮された小容量の、しかもハンドリング容易な十分な流動性が長期間にわたって保たれている上記した処理剤組成物キットによってはじめて実現できることである。
【0079】
次に、先に述べた本発明の構成要件及びそれに直接係わる態様の説明以外の本発明の処理剤組成物キットの実施に伴う態様についての説明を行う。
現像剤組成物は、通常の発色現像剤に含まれる構成成分を溶解状態で含んだアルカリ性の連続相の液体である。その中には、発色現像主薬を含有するが、本発明では、4−アミノ−N−エチル−N−(β−メタンスルホアミドエチル)−3−メチルアニリン又はその塩をすくなくとも主となる発色現像主薬としている。この主薬は、固体素材の状態では、通常硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、ナフタレンジスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの塩の形である。また、近年黒白感光材料の中には、カプラ−を黒色に発色するように添加しておき、汎用の一般の発色現像液を用いて黒白画像を形成するものもあるが、本発明の現像剤組成物は、この種の感光材料の処理にも適用される。また、現像の迅速化などのために、上記の発色現像主薬のほかに4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−3−メチルアニリン又はその塩を補助的に添加する場合もある。
【0080】
キットを構成する組成物のうち、現像剤組成物は、使用に際して水と定められた比率で混合されて現像補充液(またはさらに希釈した現像液)の形の使用液にして用いるが、使用液中の該芳香族第1級アミン現像主薬の濃度は現像液1リットル当たり好ましくは2ミリモル〜200ミリモル、より好ましくは12ミリモル〜200ミリモル、更に好ましくは12ミリモル〜150ミリモルになるように希釈される。
【0081】
現像剤組成物は、対象とする感光材料の種類によって少量の亜硫酸イオンを含んだり、あるいは実質的に含まない場合もある。亜硫酸イオンは顕著な保恒作用を持つ反面、対象感光材料によっては発色現像過程では写真的性能に好ましくない影響をあたえることもあるためである。
本発明では、上記したように一般式〔HI〕のヒドロキシルアミン誘導体又はその塩あるいは、一般式〔HII〕のN−アルキルヒドロキシルアミン又はその塩を加えると安定性が向上することが認められ、とくに両者を併用すると効果がある。また、これらのヒドロキシルアミン誘導体以外に、さらに、特開平1-97953 号、同1-186939号、同1-186940号、同1-187557号公報などに記載されているヒドロキシルアミン誘導体を添加してもよい。
【0082】
本発明において、現像剤組成物は、前記の亜硫酸イオンやヒドロキシルアミン誘導体以外の無機保恒剤や、有機保恒剤を含有してもよい。有機保恒剤とは、感光材料の処理液へ含ませることで、芳香族第一級アミンカラー現像主薬の劣化速度を減じる有機化合物全般を指している。即ち、カラー現像主薬の空気酸化などを防止する機能を有する有機化合物類であるが、中でも、前記以外のヒドロキシルアミン誘導体、ヒドロキサム酸類、ヒドラジド類、フェノール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、糖類、モノアミン類、ジアミン類、ポリアミン類、四級アンモニウム塩類、ニトロキシラジカル類、アルコール類、オキシム類、ジアミド化合物類、縮環式アミン類などが特に有効な有機保恒剤である。これらは、特開昭63−4235号、同63-30845号、同63-21647号、同63-44655号、同63-53551号、同63-43140号、同63-56654号、同63-58346号、同63-43138号、同63−146041号、同63-44657号、同63-44656号、米国特許第3,615,503 号、同2,494,903 号、特開昭52−143020号、特公昭48-30496号などの各公報又は明細書に開示されている。
【0083】
その他保恒剤として、特開昭57-44148号及び同57-53749号公報に記載の各種金属類、特開昭59−180588号公報に記載のサリチル酸類、前記一般式〔A〕のアルカノールアミン類や特開昭54−3532号公報に記載のアルカノールアミン類、特開昭56-94349号公報に記載のポリエチレンイミン類、米国特許第3,746,544 号明細書等に記載の芳香族ポリヒドロキシ化合物等を必要に応じて含有しても良い。また、上記以外のアルカノ−ルアミン類、例えばトリエタノールアミン類、を加えてもよい。
その他のアミン類としては、特開昭63−239447号公報に記載されたような環状アミン類や特開昭63−128340号公報に記載されたようなアミン類やその他特開平1-186939号や同1-187557号公報に記載されたようなアミン類を含有することもできる。
【0084】
現像剤組成物には必要に応じて塩素イオンを添加してもよい。カラー現像液(とくにカラ−プリント材料用現像液)は、通常塩素イオンを3.5 ×10-2〜1.5 ×10-1モル/リットル含有することが多いが、塩素イオンは、通常現像の副生成物として現像液に放出されるので補充液には添加不要のことが多い。ランニング平衡組成に達したときの現像槽中の塩素イオン濃度が上記した濃度レベルになるように補充液中の、したがってそのもとになる処理剤組成物中の塩素イオン量が設定される。塩素イオン濃度が 1.5×10-1モル/リットルより多いと、現像を遅らせるという欠点を有し、迅速性と発色濃度が損なわれるので好ましくない。また、 3.5×10-2モル/リットル未満では、カブリを防止する上で多くの場合好ましくない。
【0085】
現像剤組成物に関しては、臭素イオンの含有に関しても塩素イオンの場合と同じ事情にある。カラー現像液中の臭素イオンは、撮影用材料の処理では1〜5x10-3モル/リットル程度、プリント材料の処理では、 1.0×10-3モル/リットル以下であることが好ましい。臭素イオン濃度がこの範囲になるように必要に応じて処理剤組成物中に臭素イオンを加えることもある。
現像剤組成物に含ませる場合、塩素イオン供給物質として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化リチウム、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化カルシウム、が挙げられるが、そのうち好ましいものは塩化ナトリウム、塩化カリウムである。
臭素イオンの供給物質として、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化マンガン、臭化ニッケル、臭化セリウム、臭化タリウムが挙げられるが、そのうち好ましいものは臭化カリウム、臭化ナトリウムである。
【0086】
現像処理される感光材料がカラ−印画紙の場合は、画面の背景の白地が白いことが重要な画質特性なので、蛍光増白剤によってみかけ上白く仕上げることは重要である。蛍光増白剤はその性質によって感光材料中に含ませるが、また現像処理の際に処理液から感光材料中に浸透させる場合もある。その場合、高い増白効果が得られるように蛍光増白剤の性質に応じて適当な添加対象処理液が選ばれる。したがってpHの高い発色現像液に添加されることもある。
一般にスチルベン系蛍光増白剤が多用され、その中でも、ジ(トリアジルアミノ)スチルベン系や、4、4′−ジアミノ−2,2′−ジスルホスチルベン系の蛍光増白剤が好ましい。
とくに、好ましいスチルベン系蛍光増白剤は、4、4′−ジトリアジニルアミノ−2,2′−ジスルホスチルベンであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】
使用されるスチルベン系蛍光増白剤は、公知のものであって、容易に入手することができるか、若しくは公知の方法で容易に合成することができる。
このスチルベン系蛍光増白剤は、発色現像液のほか、脱銀液あるいは感光材料のいずれにも添加できる。発色現像液中に含ませる場合は、その好適濃度は1×10-4〜5×10-2モル/リットルであり、より好ましくは2×10-4〜1×10-2モル/リットルである。本発明の処理剤組成物は、使用状態の現像が蛍光増白剤をこの濃度レベルで含むように添加量が決められる。
【0088】
現像剤組成物のpHは前記した範囲にある。それから調製されるカラー現像液や現像補充液はpH9.5以上、より好ましくは10.0〜12.5で用いられる。
pHを安定に保持するためには、各種緩衝剤を用いるのが好ましい。緩衝剤としては、上記の炭酸塩の外に、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシル塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1, 3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロキシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、pH 9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、カラー現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった利点を有し、これらの緩衝剤を本発明の比重の範囲に適合するように用いることが好ましい。
【0089】
これらの緩衝剤の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、四ホウ酸カリウム、o−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(サリチル酸ナトリウム)、o−ヒドロキシ安息香酸カリウム、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム(5−スルホサリチル酸ナトリウム)、5−スルホ−2−ヒドロキシ安息香酸カリウム(5−スルホサリチル酸カリウム)などを挙げることができる。しかしながら本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。特に好ましい緩衝剤は、溶解度が高いので析出することなく比重を効果的に増大させることが可能という利点から炭酸カリウムがとくに好ましい。
該緩衝剤の量は、希釈調製したカラー現像補充液中の濃度が、0.01〜2モル/リットル以上、特に 0.1モル/リットル〜 0.5モル/リットルとなるように組成物中に添加される。
【0090】
本発明に係わる現像剤組成物には、その他のカラー現像液成分、例えばカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤であり、あるいはカラー現像液の安定性向上剤でもある各種キレート剤を添加することもできる。例えば、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンスルホン酸、エチレンジアミンN,N−ジ琥珀酸、N,N−ジ(カルボキシラート)−L−アスパラギン酸、β−アラニンジ琥珀酸、トランスシロヘキサンジアミン四酢酸、1,2−ジアミノプロパン四酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N′−ジ酢酸、1,2−ジヒドロキシベンゼン−4,6−ジスルホン酸等が挙げられる。
これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用しても良い。
これらのキレート剤の量はカラー現像液中の金属イオンを封鎖するのに充分な量であれば良く、例えば1リットル当り 0.1g〜10g程度になるように添加する。
【0091】
現像剤組成物は、必要により任意の現像促進剤を添加できる。
現像促進剤としては、特公昭37-16088号、同37−5987号、同38−7826号、同44-12380号、同45−9019号及び米国特許第3,813,247 号等の各公報又は明細書に表わされるチオエーテル系化合物、特開昭52-49829号及び同50-15554号公報に表わされるp−フェニレンジアミン系化合物、特開昭50−137726号、特公昭44-30074号、特開昭56−156826号及び同52-43429号公報等に表わされる4級アンモニウム塩類、米国特許第2,494,903 号、同3,128,182 号、同4,230,796 号、同3,253,919 号、特公昭41-11431号、米国特許第2,482,546 号、同2,596,926 号及び同3,582,346 号等の各公報又は明細書に記載のアミン系化合物、特公昭37-16088号、同42-25201号、米国特許第3,128,183 号、特公昭41-11431号、同42-23883号及び米国特許第3,532,501 号等の各公報又は明細書に表わされるポリアルキレンオキサイド、その他1−フェニル−3−ピラゾリドン類、イミダゾール類、等を必要に応じて添加することができる。
【0092】
現像剤組成物は、必要に応じて、任意のカブリ防止剤を添加できる。カブリ防止剤としては、塩化ナトリウム、臭化カリウム、沃化カリウムの如きアルカリ金属ハロゲン化物及び有機カブリ防止剤が使用できる。有機カブリ防止剤としては、例えばベンゾトリアゾール、6−ニトロベンズイミダゾール、5−ニトロイソインダゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−ニトロベンゾトリアゾール、5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−チアゾリル−ベンズイミダゾール、2−チアゾリルメチル−ベンズイミダゾール、インダゾール、ヒドロキシアザインドリジン、アデニンの如き含窒素ヘテロ環化合物を代表例としてあげることができる。
又、前記した界面活性剤以外に、必要に応じてアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を添加しても良い。
以上に本発明に係わる発色現像組成物及びそれから調製される発色現像補充液又は現像液について説明した。
【0093】
本発明に適用される発色現像の処理温度は、現像処理される感光材料がカラープリント材料の場合、30〜55℃であり、好ましくは35〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。現像処理時間は、5〜90秒であり、好ましくは、15〜60秒である。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり15〜600mlが適当であり、好ましくは15〜120ミリリットル、特に好ましくは30〜60ミリリットルである。
一方、カラ−ネガ、カラ−レバ−サルフィルムの発色現像処理の場合は、現像温度は20〜55であり、好ましくは30〜55℃であり、より好ましくは38〜45℃である。現像処理時間は、20秒〜6分であり、好ましくは、30〜200秒である。また、とくにカラ−レバ−サルでは1〜4分が好ましい。補充量は少ない方が好ましいが、感光材料1m2当たり100〜800mlが適当であり、好ましくは200〜500ミリリットル、特に好ましくは250〜400ミリリットルである。
【0094】
本発明の実施に当たっては、本発明のキット中の発色現像剤組成物を用いて調製された発色現像液による現像工程に続いて脱銀処理工程に入り、同じく本発明のキット中の漂白剤含有組成物を用いて調製された漂白液による漂白又は漂白定着処理がなされる。カラ−プリント用の感光材料の処理には、この処理液にも、上記した蛍光増白剤の適当な化合物、好ましくはスチルベン系蛍光増白剤が含まれることが多い。この蛍光増白剤は、漂白剤含有組成物か定着剤含有組成物のいずれかに加えられる。
漂白剤含有組成物には、漂白剤として公知の任意の漂白剤を含有させることができるが、特に鉄(III) の有機錯塩(例えばアミノポリカルボン酸類の錯塩)もしくはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸、過硫酸塩、過酸化水素などを含有させることが好ましい。
【0095】
これらのうち、鉄(III) の有機錯塩は迅速処理と環境汚染防止の観点から特に好ましい。鉄(III) の有機錯塩を形成するために有用なアミノポリカルボン酸、またはそれらの塩を列挙すると、生分解性のあるエチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、ベ−ターアラニンジ酢酸、メチルイミノジ酢酸をはじめ、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、イミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、などを挙げることができる。これらの化合物はナトリウム、カリウム、チリウム又はアンモニウム塩のいずれでもよい。これらの化合物の中で、エチレンジアミンジ琥珀酸(SS体)、N−(2−カルボキシラートエチル)−L−アスパラギン酸、ベ−ターアラニンジ酢酸、エチレンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、メチルイミノ二酢酸はその鉄(III) 錯塩が写真性の良好なことから好ましい。これらの第2鉄イオン錯塩は錯塩の形で使用しても良いし、第2鉄塩、例えば硫酸第2鉄、塩化第2鉄、硝酸第2鉄、硫酸第2鉄アンモニウム、燐酸第2鉄などとアミノポリカルボン酸などのキレート剤とを用いて溶液中で第2鉄イオン錯塩を形成させてもよい。また、キレート剤を第2鉄イオン錯塩を形成する以上に過剰に用いてもよい。鉄錯体のなかでもアミノポリカルボン酸鉄錯体が好ましい。
前記したように、漂白剤含有組成物中の漂白剤の濃度は、0.5〜3.0モル/リットルの範囲であるが、希釈によって0.01〜1.0モル/リットル、好ましくは0.05〜0.50モル/リットル、更に好ましくは0.10〜0.50モル/リットルの漂白補充液が調製される。
また、漂白剤含有組成物中には、必要に応じて塩酸、硫酸、硝酸、重炭酸塩、アンモニア、苛性カリ、苛性ソーダ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ほう砂、ほう酸等をpH調整や緩衝能を付与する目的で添加することもある。その場合も漂白剤含有組成物の比重値が、本発明の規定した範囲内に入るように設計される。
【0096】
漂白時間は、通常カラーネガフィルムやカラーリバーサルフィルムの漂白処理では、30秒〜6分30秒、好ましくは1〜4分30秒、カラ−プリント材料用の漂白又は漂白定着処理では、10秒から2分である。
【0097】
漂白定着液又は定着液に使用される定着剤は、漂白剤含有組成物とは別の定着剤含有組成物とするのが好ましく、本発明の実施態様でもこの形態を前提としている。定着剤含有組成物あるいはそれから調製される定着液や漂白定着浴には、公知の定着剤、即ちチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどのチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩、エチレンビスチオグリコール酸、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールなどのチオエーテル化合物およびチオ尿素類などの水溶性のハロゲン化銀溶解剤であり、これらを1種あるいは2種以上混合して使用することができる。また、特開昭55−155354号公報に記載された定着剤と多量の沃化カリウムの如きハロゲン化物などの組み合わせからなる特殊な漂白定着液等も用いることができる。定着剤の中では、チオ硫酸塩特にチオ硫酸アンモニウム塩の使用が好ましい。1リットルあたりの定着剤の量は、0.3〜2モルが好ましく、更に好ましくは0.5〜1.0モルの範囲である。
【0098】
本発明に係わる漂白定着液又は定着液のpH領域は、3〜8が好ましく、更には4〜7が特に好ましい。pHがこれより低いと脱銀性は向上するが、液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進される。逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、かつステインが発生し易くなる。
本発明に係わる漂白液のpH領域は8以下であり、2〜7が好ましく、2〜6が特に好ましい。pHがこれより低いと液の劣化及びシアン色素のロイコ化が促進され、逆にpHがこれより高いと脱銀が遅れ、ステインが発生し易くなる。
pHを調整するためには、必要に応じて塩酸、硫酸、硝酸、重炭酸塩、アンモニア、苛性カリ、苛性ソーダ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を添加することができる。
【0099】
また、漂白定着液には、その他各種の蛍光増白剤や消泡剤或いは界面活性剤、ポリビニルピロリドン、メタノール等の有機溶媒を含有させることができる。
漂白定着液や定着液は、保恒剤として亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、など)、重亜硫酸塩(例えば、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、など)、メタ重亜硫酸塩(例えば、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム、など)等の亜硫酸イオン放出化合物や、p−トルエンスルフィン酸、m−カルボキシベンゼンスルフィン酸などのアリ−ルスルフィン酸などを含有するのが好ましい。これらの化合物は亜硫酸イオンやスルフィン酸イオンに換算して約0.02〜1.0 モル/リットル含有させることが好ましい。
【0100】
保恒剤としては、上記のほか、アスコルビン酸やカルボニル重亜硫酸付加物、あるいはカルボニル化合物等を添加しても良い。
更には緩衝剤、蛍光増白剤、キレート剤、消泡剤、防カビ剤等を必要に応じて添加しても良い。
本発明に係わる漂白定着処理は処理時間5〜240秒、好ましくは10〜60秒である。処理温度は25℃〜60℃、好ましくは30℃〜50℃である。また、補充量は感光材料1m2当たり20ml〜250ml、好ましくは30ml〜100ml、特に好ましくは15ml〜60mlである。
【0101】
定着又は漂白定着等の脱銀処理後、水洗及び/又は安定化処理をするのが一般的である。
水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えばカプラー等使用素材による)や用途、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、その他種々の条件によって広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、ジャーナル・オブ・ザ・ソサエティ・オブ・モーション・ピクチャー・アンド・テレヴィジョン・エンジニアズ (Journal of the Society of Motion Picture and Television Engineers)第64巻、p.248 〜253 (1955 年5月号)に記載の方法で、求めることができる。通常多段向流方式における段数は3〜15が好ましく、特に3〜10が好ましい。
【0102】
多段向流方式によれば、水洗水量を大巾に減少でき、タンク内での水の滞留時間増加により、バクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じる。この様な問題の解決策として、特開昭62−288838号公報に記載のカルシウム、マグネシウムを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号公報に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、同61−120145号公報に記載の塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、特開昭61−267761号公報に記載のベンゾトリアゾール、銅イオン、その他堀口博著「防菌防黴の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編、「微生物の減菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0103】
また、残存するマゼンタカプラーを不活性化して色素の褪色やステインの生成を防止する添加化合物の例には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ピルビンアルデヒドなどのアルデヒド類、米国特許第4786583号に記載のメチロール化合物やヘキサメチレンテトラミン、特開平2−153348号に記載のヘキサヒドロトリアジン類、米国特許第4921779号に記載のホルムアルデヒド重亜硫酸付加物、押収特許公開公報第504609号、同519190号などに記載のアゾリルメチルアミン類などが添加される。
【0104】
更に、水洗水には、水切り剤として界面活性剤や、硬水軟化剤としてEDTAに代表されるキレート剤を用いることができる。
以上の水洗工程に続くか、又は水洗工程を経ずに直接安定液で処理することも出来る。安定液には、画像安定化機能を有する化合物が添加され、例えばホルマリンに代表されるアルデヒド化合物やその他の上記したマゼンタカプラー不活性化剤、色素安定化に適した膜pHに調製するための緩衝剤や、アンモニウム化合物があげられる。又、液中でのバクテリアの繁殖防止や処理後の感光材料に防黴性を付与するため、前記した各種殺菌剤や防黴剤を用いることができる。
【0105】
更に、界面活性剤、蛍光増白剤、硬膜剤を加えることもできる。本発明に係わる現像処理において、安定化が水洗工程を経ることなく直接行われる場合、特開昭57−8543号、同58-14834号、同60−220345号公報等に記載の公知の方法をすべて用いることができる。
その他、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸等のキレート剤、マグネシウムやビスマス化合物を用いることも好ましい態様である。
【0106】
脱銀処理後に用いられる水洗液又は安定化液としていわゆるリンス液も同様に用いられる。
水洗工程又は安定化工程の好ましいpHは4〜10であり、更に好ましくは5〜8である。温度は感光材料の用途・特性等で種々設定し得るが、一般には20℃〜50℃、好ましくは25℃〜45℃である。
水洗及び/又は安定化工程に続いて乾燥が行われる。画像膜への水分の持込み量を減じる観点から水洗浴から出た後すぐにスクイズローラや布などで水を吸収することで乾燥を早めることも可能である。乾燥機側からの改善手段としては、当然のことではあるが、温度を高くすることや吹きつけノズルの形状を変更し乾燥風を強くすることなどで乾燥を早めることが可能である。更に、特開平3−157650号公報に記載されているように、乾燥風の感光材料への送風角度の調整や、排出風の除去方法によっても乾燥を早めることができる。
【0107】
本発明の処理剤組成物キットが濃厚化されたコンパクトでかつ1パート構成という単純な構成であることから、特に有利な実施態様として、現像処理装置と組み合わせて水を感じさせない作業性のよい現像処理システムを構成することができる。以下にその具体例として各処理剤組成物のボトルを装着して、自動開栓して補充液の自動調合を行う現像処理システムを説明するが、本発明の適用はこれに限定されない。
図1には本発明が適用されたプリンタプロセッサ10の概略が示されており、図2にはプリンタプロセッサ10の斜視図が示されている。このプリンタプロセッサ10のプリンタ部を構成する写真焼付部12は、印画紙Pが収納されたペーパマガジン14を装填できるような構造となっている。
【0108】
このペーパマガジン14の図1上、左上側には、印画紙Pの先端部付近が巻き掛けられる駆動ローラ16が回転自在に支持されており、駆動ローラ16に対向した位置には、印画紙Pを介して一対のニップローラ18が配置されているので、駆動ローラ16がこれらニップローラ18との間で印画紙Pを挟持して、印画紙Pを写真焼付部12内へ送り出すことになる。
【0109】
また、プリンタプロセッサ10の外枠を構成するケーシング10A外であってイーゼル装置64の直上に配置されている光源26から照射された光線がCCフィルタ24を通過した後、拡散ボックス28により拡散されつつ屈曲されて、直下に送られ、ネガキャリア30上のネガフィルムNをこの光線が透過し、さらにネガフィルムNを透過して像様光線(画像担持光)となった光線は、プリズム36及び拡大倍率を変更可能なズームレンズ38を通過してイーゼル装置64の下に位置する印画紙P上に、ネガフィルムNの画像を結像させる。
【0110】
写真焼付部12内のペーパマガジン14から送り出された印画紙Pは、カッター22で切断され、カットされた印画紙Pは、無端ベルト44により支持台46上のイーゼル装置64の下部の露光光線の光軸線S上の位置である画像焼付位置へと搬送され、ブラックシャッタ41が所定時間開くことにより、ネガフィルムNに記録された画像が印画紙P上に焼付露光される。
【0111】
さらに、画像の焼付露光が終了した印画紙Pは、案内ローラ56と押さえローラ58との間に挟持されて、その搬送方向が水平方向から垂直方向へと変更されて垂直方向に送り出される。この後、印画紙Pの搬送経路を表す経路Kで示されるように、印画紙Pは、複数対のローラによって構成される搬送路60を介して、現像、漂白、定着、水洗及び乾燥の各処理を行うプロセッサ部72へ搬送される。
【0112】
プロセッサ部72の内の現像槽74には現像液が溜められていて、印画紙Pをこの現像液に浸して現像処理を行う。現像処理された印画紙Pは現像槽74と隣接する漂白槽76へ搬送される。漂白槽76には漂白液が溜められていて、印画紙Pをこの漂白液に浸して漂白処理を行う。
漂白処理された印画紙Pは漂白槽76と隣接する定着槽78へ搬送される。定着槽78には定着液が溜められていて、印画紙Pをこの定着液に浸して定着処理を行う。
定着処理された印画紙Pは、定着槽78に隣接すると共にそれぞれ水洗水が溜められた複数の水洗槽79へ搬送され、印画紙Pを水洗槽内の水洗水に浸して水洗処理を行う。
【0113】
水洗処理された印画紙Pは水洗槽79の上部に位置する乾燥部80へ搬送される。乾燥部80は、印画紙Pの搬送経路の下側に配置されたチャンバ82側より矢印B方向に沿って送風される熱風に印画紙Pをさらして、印画紙Pを乾燥させる。乾燥処理が終了して搬送路84を経て乾燥部80から排出された印画紙Pは、プリンタプロセッサ10の外部へ排出され、積み重ねられる。
【0114】
また、プロセッサ部72には、補充部が設けられている。補充部には、処理剤キット(後述する)が装填される装填部300と、補充液が管理される補充槽部とがあり、装填部300では主に処理剤キットの管理、処理剤キットの自動開栓、自動洗浄、乾燥を行い、補充槽部では主に補充槽(後述する)の液面レベルと補充ポンプ動作と循環攪拌ポンプ(後述する)の管理を行う。
また、現像槽74の入口には、印画紙Pの処理量を検出するためのセンサ73が設けられている。
【0115】
尚、上記の現像槽74、漂白槽76、定着槽78へは、プロセッサ部72内に設置された補充槽より補充液が補充されるシステムとなっている。
また、定着オーバーフローを漂白槽に入れて漂白定着液としたり、水洗槽を安定液の槽に代えるなどの種々の態様があるが、本発明はそのいずれにも適用できることはいうまでない。
【0116】
(処理剤キット)
本実施形態では、補充槽内の補充液が不足した際に、図3に示す処理剤キット202をケーシング10Aの上部正面側に設けた装填部300(図2参照)にセットして処理剤(本実施形態では、濃縮された水溶液)を注ぎ込むシステムとなっている。
【0117】
図3に示すように、本実施形態の処理剤キット202は、段ボール箱204に、現像処理剤の貯留された容器203、漂白処理剤の貯留された容器205及び定着処理剤の貯留された容器207を収容している。
【0118】
なお、容器203、205、207は、各々同一構造であるので、以下に容器203を代表して構造を説明する。
図5に示すように、容器203は段ボール箱204から突出するネジ蓋208を備えており、ネジ蓋208にはフランジ212が形成されている。容器203の開口は、ネジ蓋208との間に挟まれた樹脂フィルムのシール210で閉塞されている。また、ネジ蓋208の中央には孔209が形成されており、洗浄ノズル346でシール210を押し破けるように構成されている。
【0119】
本実施形態では、容器203に現像処理剤が1300ミリリットル、容器207に漂白処理剤が1300ミリリットル、容器209に定着処理剤が1300ミリリットル充填されている。
【0120】
また、現像処理剤1300ミリリットルに対して希釈水3700ミリリットルが加えられて現像槽74に補充する補充液(完成液として5000ミリリットル)となり、漂白処理剤1300ミリリットルに対して希釈水700ミリリットルが加えられて漂白槽76に補充する補充液(完成液として2000ミリリットル)となり、定着処理剤1300ミリリットルに対して希釈水700ミリリットルが加えられて定着槽78に補充する補充液(完成液として2000ミリリットル)となる。
【0121】
(装填部)
図2及び図3に示すように、装填部300は、開閉可能な装填部カバー302で覆われている。
なお、装填部カバー302を閉めた状態は、図3に実線で示す状態であり、装填部カバー302を完全に開けた状態は、図3に想像線(2点鎖線)に示す状態である。
装填部300には、処理剤キット202を搭載するホルダー316が設けられている。
【0122】
図3及び図5に示すように、ホルダー316の下方には、容器203、205、207の開口と対応した位置に、洗浄ノズル346、348、350が立設しており、容器203、205、207が下方に移動されると、洗浄ノズル346が容器203のシール210を、洗浄ノズル348が容器205のシール210を、洗浄ノズル350が容器207のシール210を押し破って容器内に進入し開栓を行う。
【0123】
図3に示すように、洗浄ノズル346の下方には下端をP1R補充槽(図3の下部の漏斗の下方、図示しない)に挿入した漏斗352が配置されており、洗浄ノズル348の下方には下端をP2RA補充槽に挿入した漏斗354が配置されており、洗浄ノズル350の下方には下端をP2RB補充槽に挿入した漏斗356が配置されている。
【0124】
(処理剤キット及びその容器の構成)
次に本発明の一実施の形態に係る写真処理剤キット202用の容器203、205、207としてのボトル1300の構成を図6及び図7と8に基づいて説明する。
【0125】
図6に示されるように、ボトル1300は容器本体1302を備えている。容器本体1302は、樹脂材によって中空の箱状に形成されている。また、容器本体1302の上端部は漸次縮径されたテーパ状とされており、外周部に雄ネジ1304がきられた円筒状の首部1306が形成されている。この首部1306の上端部は開口されており、この開口部を介して上述した補充液の出し入れができる。また、首部1306の上端部には、シール部材としてのポリエチレンシート1308が配置されている。このポリエチレンシート1308は、十字型の裂け目が刻まれており、後に示す窄孔ノズルによって突き破られ易い形に形成されている。
【0126】
また、ボトル1300は、固定部材としてのキャップ1310を備えている。このキャップ1310は、首部1306へ向けて開口した有底筒状に形成されており、その内周部には首部1306へ形成された雄ネジ1304に対応した雌ネジ1318がきられ、首部1306へ螺合可能であり、首部へ螺合することにより、キャップ1310の底部1312でポリエチレンシート1308を押さえ、ポリエチレンシート1308を首部1306へ固定できる。また、キャップ1310の底部1312には円形の開口部1314が形成されており、キャップ1310を嵌めた状態でポリエチレンシート1308を穿孔できる。
【0127】
(本実施の形態の作用)
次に、本実施の形態の作用にについて説明する。
例えば、現像槽74内で印画紙Pが現像処理されると、これに合わせて補充ポンプ116が作動して、補充タンク112に一旦貯められた現像補充液を現像槽74側に送って、現像槽74内での処理に使用されて劣化した量の現像補充液を補充する。なお、これらは漂白定着液、安定浴液においても同様である。
補充タンク347内での液面が所定量以下になると、これをフロートスイッチ118が検出し、補充液の補充タンク347への供給の指示がモニタ122に表示される。
【0128】
次に、補充タンク347へ補充液を補充する際の手順を説明する。
先ず、補充部300の開閉扉302を開け(図3の二点鎖線状態を参照)、ホールド部168の孔170へボトル1300の首部1306を挿入しながら容器本体1302を押し込み、載置部の上へボトル1300を載置する。この状態で、開閉扉302を閉め(図3の実線状態)、図示しない制御装置を操作すると、モータが駆動して穿孔ノズル188が上方へ移動し、ボトル1300へ接近し、図7及び図8に示されるように、キャップ1310の開口部1314を貫通してポリエチレンシート1308へ当接する。
【0129】
この状態から、モータ328の駆動力によって更に穿孔ノズル188が上方へ移動すると、図7に示されるように、穿孔ノズル188がポリエチレンシート1308を突き破ってポリエチレンシート1308を開口し、容器本体1302の内部の補充液(例えば、現像補充液や漂白定着補充液、或いは安定補充液等)が流れ落ちる。但し、この状態では、穿孔ノズル188とポリエチレンシート1308との間の隙間が小さいため、流れ落ちる補充液の量は少ない。また、穿孔ノズル188は略円錐形状とされているため、穿孔ノズル188が上方へ移動するにつれてポリエチレンシート1308に形成された開口が漸次大きくなり、図8に示される状態まで穿孔ノズル188が移動すると、穿孔ノズル188の上昇によって形成されたポリエチレンシート1308とパイプ158の外周部との間に隙間が形成されるため、補充液が容器本体1302の内部から流れ落ちる。
【0130】
このようにして、ボトル1300(容器本体1302)から流れ落ちた補充液は、底部168に形成された孔170及び図示しない三方弁及びパイプを介して図示しない補充タンクへ送給される。ここで、本実施の形態に係るボトル1300を適用すると、作業者は開閉扉302を開けてボトル1300をセットし、開閉扉302を閉め、モータ328を作動させるだけであり、開封作業及び補充作業、すなわち、ポリエチレンシート308を穿孔して補充液を補充タンク347へ補充する作業は閉じられた補充部300(すなわち、各部屋172)の内側で行われる。このため、作業者がボトル1300を手で持って補充するという面倒な作業が要らず、しかも、補充の際に補充液が飛散して作業者の手や服を汚すようなこともない。
【0131】
次に、図9の状態で、容器本体1302内が完全に流れ落ちた後にはボトル1300の洗浄、乾燥作業が行われる。洗浄作業では、先ず、図示しない制御装置を操作して上記の図示しない三方弁を切り換えるとともに、図示しない洗浄水貯水タンクからの給水管部の洗浄水送水ポンプが作動して洗浄水貯水タンク内の洗浄水がパイプ186を介して穿孔ノズル188へ所定の水圧で送給される。これにより、穿孔ノズル188の小孔214から洗浄水が噴射され、ボトル1300の内部が洗浄される。洗浄後の洗浄水はボトル1300から流れ落ちるが、この状態では、パイプ186が図示しない三方弁によって補充タンクへ希釈水として供給されるか、または廃水タンクへ接続されて排出が行われるかが選択される。
【0132】
次いで、所定条件(例えば、所定時間)の洗浄が終了すると、ポンプ198が停止されると共に、三方弁が切り換えられて排出口が閉止される。
さらに、この状態で、図示しない乾燥部とファンが作動して、乾燥部からファンへ乾燥風が誘導され、更に、ファンからパイプと三方弁を介して穿孔ノズル188へ乾燥風が送り込まれる。これにより、穿孔ノズル188の小孔214から乾燥風が吹き出し、ボトル1300の内部が乾燥される。
【0133】
これらの洗浄、乾燥作業が終了した後に、開閉扉302を開けて空になったボトル1300が取り出され、別の新しいボトル1300と交換されるが、この状態では、ボトル1300の内部が洗浄され、しかも、乾燥されているため、空のボトル1300を取り出す際に、余剰の補充液等によって手や服が汚れることはない。
【0134】
さらに、取り出した空のボトル1300はリサイクルされるが、この場合には、キャップ1310が容器本体1302の首部1306から外され、更に、ポリエチレンシート1308やパッキン1316が取り外されて材質毎に分別回収される。ここで、容器本体1302、キャップ1310、ポリエチレンシート1308、及びパッキン1316は各々が独立した別体部品とされており、これらを組付けるポリエチレンシート1308がパッキン1316を介して容器本体1302の首部1306へ密着される。したがって、容器本体1302からキャップ1310を取り外すことにより、ポリエチレンシート1308、及びパッキン1316の各部品を容易に取り外して分離できる。しかも、ポリエチレンシート1308を首部1306へ直接固着している場合のように、ポリエチレンシート1308を取り外す際に、破れて残ったりすることはないため、作業工数を軽減できる。
【0135】
なお、本実施の形態では、ボトル1300をプリンタプロセッサ10用の現像補充液、漂白定着補充液、及び安定液の補充用としたが、プリンタプロセッサ10以外の他の現像システムの液補充用に使用してもよい。
【0136】
また、本実施の形態では、シール部材としての十字型裂け目付きポリエチレンシート1308は、ボトルの保存時間中に空気の透過による処理剤組成物の劣化を引き起こさない厚みを有するが、ノズルによって十字型裂け目が容易に破られるように形成されている。
【0137】
本発明の処理剤組成物キットを使用する現像処理方法の適用対象であるカラー写真感光材料について説明する。本発明の方法は、撮影用、プリント用を問わずカラー写真感光材料一般に適用することができる。すなわちカラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラー印画紙の何れの現像処理にも適でき、また一般用、映画用、プロフェッショナル用のいずれにも適用できる。とくに白地の白さが重視されるカラー印画紙の現像処理への適用の効果が大きい。
【0138】
カラーペーパーなどのポジ材料としての感光材料中の感光性ハロゲン化銀乳剤は、塩化銀含有率が少なくとも95モル%で残りが臭化銀であり、実質的に沃化銀を含まないハロゲン化銀粒子からなることが好ましい。ここで「実質的に沃化銀を含まない」とは、沃化銀含有率が1モル%以下、好ましくは0.2モル%以下、更に好ましくは0モル%を意味する。また上記のハロゲン化銀乳剤は迅速処理性の観点から、特に塩化銀含有率が98モル%以上のハロゲン化銀乳剤が好ましい。このようなハロゲン化銀のなかでも塩化銀粒子の表面に臭化銀局在相を有するものが、高感度が得られ、しかも写真性能の安定化が図れることから特に好ましい。
【0139】
本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643(1978年12月),22〜23頁,“I.乳剤製造(Emulsion preparation and types)”、および同No.18716(1979年11月),648頁、同No.307105(1989年ll月),863〜865頁、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P.Glafkides, Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel、1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press,1966)、ゼリグマンら著「写真乳剤の製造と塗布」フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman,et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press,1964)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0140】
本発明の対象となるプリント用及び撮影用のハロゲン化銀写真感光材料には、従来公和の写真用素材や添加剤を使用できる。
例えば写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレートなどの透明フィルム、更には2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステルなどのフィルム支持体が用いられ、これらの支持体には、磁性層などの情報記録層を設けたものもある。本発明の目的にとっては、反射型支持体が好ましく、特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0141】
更に前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、蛍光増白剤は感材の親水性コロイド層中に分散してもよい。蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系が用いる事ができ、更に好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されないが、好ましくは1〜100mg/m2である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3重量%であり、更に好ましくは0.001〜0.5重量%である。
体上に、白色顔料を含有する親水性コロイド層を塗設したものでもよい。
また、反射型支持体は、鏡面反射性または第2種拡散反射性の金属表面をもつ支持体であってもよい。
本発明に係わる感光材料には、画像のシャープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0,337,490A2 号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(なかでもオキソノール系染料)を該感光材料の680nmに於ける光学反射濃度が0.70以上になるように添加したり、支持体の耐水性樹脂層中に2〜4価のアルコール類(例えばトリメチロールエタン)等で表面処理された酸化チタンを12重量%以上(より好ましくは14重量%以上)含有させるのが好ましい。
【0142】
また、本発明に係わる感光材料には、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63-271247 号公報に記載のような防黴剤を添加するのが好ましい。
【0143】
本発明に係わる感光材料は可視光で露光されても赤外光で露光されてもよい。露光方法としては低照度露光でも高照度短時間露光でもよく、特に後者の場合には一画素当たりの露光時間が10-4秒より短いレーザー走査露光方式が好ましい。
【0144】
本発明に係わる感光材料に適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)および写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、欧州特許EP0,355,660A2 号、特開平2-33144 号及び特開昭62-215272 号の明細書に記載されているものあるいは次の表1に挙げたものが好ましく用いられる。
【0145】
【表1】
Figure 0003989082
【0146】
特に、特開平5−150423号、同5−255333号、同5−202004号、同7−048376号、同9−189988号などの公報に記載のピロロトリアゾール誘導体をシアンカプラーとして含有するハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理への適用が有効である。ピロロトリアゾール誘導体から得られるシアン色素は優れた色相を有しているが、その反面混色やステインを生じ易い欠点を有しており、現像剤の経時安定性の影響を被り易い。本発明の発色現像剤組成物は、ピロロトリアゾール誘導体をシアンカプラーとするカラー写真感光材料の現像処理に適用したときに混色やステインを起こしにくいという利点がある。しかし、もちろんピロロトリアゾール型カプラー以外のシアンカプラーを含んだ感光材料も本発明の方法が適用できる。
シアン、マゼンタまたはイエローカプラーは前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(または不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号)に含浸させて、または水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。
好ましい水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号明細書の第12頁〜30頁に記載の単独重合体または共重合体が挙げられる。とくにメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマーが色像安定性等の上で特に好ましい。
【0147】
本発明の適用対象の感光材料には、欧州特許EP0,277,589A2号明細書に記載のような色像保存性改良化合物をピラゾロアゾールカプラーや、上記ピロロトリアゾールカプラー、アシルアセトアミド型イエローカプラーと併用するのが好ましい。
【0148】
またシアンカプラーとしては、前記の表の公知文献に記載されていたようなフェノール型カプラーやナフトール型カプラーの他に、特開平2−33144号公報、欧州特許EP0333185A2号、特開昭64−32260号、欧州特許EP0456226A1号明細書、欧州特許EP0484909号、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号に記載のシアンカプラーの使用してもよい。
【0149】
本発明に用いられるマゼンタカプラーとしては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーのほかに、国際公開WO92/18901号、同WO92/18902号や同WO92/18903号に記載のものも好ましい。これらの5−ピラゾロンマゼンタカプラーの他にも、公知のピラゾロアゾール型カプラーが本発明に用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報、特開昭61−65246号、特開昭61−14254号、欧州特許第226,849A号や同第294,785A号に記載のピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。
【0150】
イエローカプラーとしては、公知のアシルアセトアニリド型カプラーが好ましく使用されるが、中でも、欧州特許EP0447969A号、特開平5−107701号、特開平5−113642号、欧州特許EP−0482552A号、同EP−0524540A号等に記載のカプラーが好ましく用いられる。
【0151】
カプラー以外の添加剤としては以下のものが好ましい。
油溶性有機化合物の分散媒:特開昭62−215272のP−3,5,16,19,25,30,42,49,54,55,66,81,85,86,93(140〜144頁);油溶性有機化合物の含浸用ラテックス:US4,199,363に記載のラテックス;現像主薬酸化体スカベンジャー:US4,978,606のカラム2の54〜62行の式(I)で表わされる化合物(特にI−,(1), (2), (6), (12)(カラム4〜5)、US4,923,787のカラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラム3);ステイン防止剤:EP298321Aの4頁30〜33行の式(I)〜(III),特にI−47,72,III−l,27(24〜48頁);褪色防止剤:EP298321AのA−6,7,20,21,23,24,25,26,30,37,40,42,48,63,90,92,94,164(69〜118頁),US5,122,444のカラム25〜38のII−1〜III−23,特にIII−10,EP471347Aの8〜12頁のI−1〜III−4,特にII−2,US5,139,931のカラム32〜40のA−1〜48,特にA−39,42;発色増強剤または混色防止剤の使用量を低減させる素材:EP411324Aの5〜24頁のI−1〜II−15,特にI−46;ホルマリンスカベンジャー:EP477932Aの24〜29頁のSCV−1〜28,特にSCV−8;
【0152】
染料:特開平3−156450の15〜18頁のa−1〜b−20,特にa−1,12,18,27,35,36,b−5,27〜29頁のV−1〜23,特にV−1,EP445627Aの33〜55頁のF−I−1〜F−II−43,特にF−I−11,F−II−8,EP457153Aの17〜28頁のIII−1〜36,特にIII−1,3,WO88/04794の8〜26のDye−1〜124の微結晶分散体,EP319999Aの6〜11頁の化合物1〜22,特に化合物l,EP519306Aの式(1)ないし(3)で表わされる化合物D−1〜87(3〜28頁),US4,268,622の式(I)で表わされる化合物1〜22(カラム3〜10),US4,923,788の式(I)で表わされる化合物(1)〜(31)(カラム2〜9);UV吸収剤:特開昭46−3335の式(1)で表わされる化合物(18b)〜(18r),101〜427(6〜9頁),EP520938Aの式(I)で表わされる化合物(3)〜(66)(10〜44頁)及び式(III)で表わされる化合物HBT−1〜10(14頁),EP521823Aの式(1)で表わされる化合物(1)〜(31)(カラム2−9)。
【0153】
本発明は一般用もしくは映画用の汎用のカラーネガフイルムに適用することができる。また、特公平2−32615、実公平3−39784に記載されているレンズ付きフィルムユニット用に好適である。本発明に使用できる適当な支持体は、例えば前述のRD.No.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄、および同No.307105の879頁に記載されているが、ポリエステル支持体を用いるのが好ましい。
【0154】
【実施例】
以下、実施例によって本発明の態様と効果をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0155】
実施例−1
1.容器
・容器の成形
現像処理剤組成物容器としてつぎのようにプラスチックボトルを成形した。すなわち、ボトルの本体部分は、射出後中空ブロー成形して製作し、キャップ部分は射出成形したのち、シートをキャップの開口部分に熱接着させた。
・形状
ボトル本体は、図9に示す外形77mmx77mmx301mmHの角柱形であり、柱状部の上部に30mmφの円形の口部を設け、柱状部の上端から口部にかけて絞ってある容器である。その内容積は1400mlであり、溶液の充填量は、1300mlである。
・材質
容器本体:高密度ポリエチレンB161(密度0.956)を使用(旭化成工業(株)製)。
キャップ:高密度ポリエチレンJ751A(密度0.952)を使用(旭化成工業(株)製)。
【0156】
・容器の厚み及び酸素透過速度など
容器の壁部分の平均厚みは、0.5mmであり、この中にそれぞれの処理剤組成物1300mlを充填した。容器の酸素透過速度及び充填した組成物1リットル当たりの酸素透過量は、それぞれ 9.0ml/(24hr.atm),6.9 ml/(24hr.atm.l)である。
【0157】
なお、酸素透過速度の測定方法は次の通りである。すなわち、容器内に窒素ガスを封入してキャップを閉め、25°C,50%RH(相対湿度)、1気圧に調整した純酸素中に24時間置いたのち、容器内の酸素濃度をTCD (熱伝導式検出器)を検出器としてガスクロマトグラフで測定して酸素透過量を算出した。
2.処理剤キットの作製
下記の表のような各キットを調液し(定着剤パートもセットにして)ダンボールのカートリッジ(202) に各1本ずつ(発色現像、漂白剤、定着剤)装填したキットを組み立てた。
(1)発色現像剤組成物(発色現像剤パート)の調製
発色現像剤組成物A、B、D、E、Fとして、下記の基準処方をそれぞれ示した濃縮倍率になるように溶解用の水量を調整して調合した。また、試料Cも下記に述べた仕様にしたがって調合した。
〔注〕濃縮液、濃縮倍率について:出来上がった処理液を濃縮したわけではなく、始めから濃厚に調合するのであるが、当業界の慣用にしたがって濃縮液、濃縮倍率などの用語を用いることとする)。
Figure 0003989082
(2)漂白剤含有組成物(漂白剤パート)の調製
漂白剤含有組成物試料a、b、d、e、fとして、下記の基準処方をそれぞれ示した濃縮倍率になるように溶解用の水量を調整して調合した。また、試料Cも下記に述べた仕様にしたがって調合した。
Figure 0003989082
(3)定着剤含有組成物(定着剤パート)の調製
定着剤含有組成物試料として、下記の基準処方の1.5倍濃縮液(比重=1.285)を調整した。
Figure 0003989082
(4)キットの組み立て
上記のA〜Fの現像剤組成物、a〜fの漂白剤含有組成物及び定着剤含有組成物のそれぞれを、下記表2のように組合わせてダンボールのカートリッジ(図3に202と示す)に各1本ずつ(発色現像、漂白剤、定着剤)装填してキットを作製した。
3.試験用の感光材料及び現像方法
感光材料としてカラーペーパー試料(富士写真フイルム(株)製フジカラーペーパーSUPER FA9)を試験に使用した。
また、現像処理も、特に記述しない部分は、本実施例の末尾に示した現像処理工程仕様と処理処方にしたがって試験を行った。
4.試験方法
(1)方法
上記キットを、40℃3ケ月経時させたものと、あらたに調製したキットとを用いて本文中に前記した自動現像機へ装填して現像処理を行う実施態様の手法にしたがってそれぞれのタンク液を調液して処理を行った。
(2)処理液の調製
各処理剤組成物パートを各々の濃縮倍率分を水で希釈して補充液を調製した。また、現像機内の処理槽(タンク)には、下記に従ってタンク液(母液)を調合して投入した。
・発色現像液
各キットの濃縮倍率分を水で希釈する。
この希釈液300mLに下記スターターを100mL加え、水を加えて1000mLとする
Figure 0003989082
・漂白定着液
各漂白剤パート濃および定着剤パートについてそれぞれ濃縮分を水で希釈する。
次に漂白剤パート:定着剤パート:水=1:1:2(体積比)で混合し使用液とする。
・水洗水
脱イオン水を使用
(3)測定
新調製組成物からの処理液と加熱経時したものからの処理液とをそれぞれ用いて現像処理した感材試料の未露光部の視覚濃度(国際工業規格 ISO5-4 に準拠) をXライト濃度計(国際工業規格 ISO5-3 に準拠) で測定して新調製試料と加熱経時試料の測定値から経時による濃度増加を求めてこの値によって経時安定性を評価した。なお、漂白剤含有組成物の経時安定性の評価には、中性(3色とも発色)色の最高濃度部(Dmax)部分の濃度値も用いた。
4.結果
得られた加熱経時試験中の未露光部の視覚濃度の増加値を表2に示した。表2中、二重線で囲った枠内が本発明の範囲である(なお、表2中、「ビジュアル濃度増加」とあるのは「視覚濃度増加」のことである)。本発明の範囲内では濃度増加は、極めて少なく実用的に十分安定であることが示された。安定性の実用限界は、この試験方法による視覚濃度増加が0.03であり、本発明の範囲外の比較例ではこの判定基準に達していない。
また、漂白剤含有組成物fを用いた場合は、経時させた試料の最高濃度部の値が発色現像剤組成物A〜Fのいずれの場合も正常値である2.10を割り、1.85〜2.05の間にあり、漂白定着剤が還元劣化して酸化力が低下したことを示した。なお、最高濃度値は、慣行にしたがって青フィルター光濃度(DmaxB )で代表させた。
【0158】
【表2】
Figure 0003989082
【0159】
実施例−2
本実施例では、酸素透過速度の異なる容器の影響を試験した例を示す。
1.容器
容器の厚みを次のように変更した以外は、材質、形状、大きさともに、実施例1で使用した容器(酸素透過量6.9 ml/(24hr.atm.l)と同じものを使用した。
Figure 0003989082
【0160】
2.発色現像剤組成物の調製及びキットの作製
試験用の発色現像剤組成物及び漂白剤含有組成物としては、それぞれ実施例1のD及びdを、定着剤含有組成物にも実施例1と同じ組成物を調製した。これらを実施例1と同様にキットに一体化して組み込んだ。
3.その他
上記以外はすべて実施例1と同じ試験手法にしたがって、組成物の安定性を評価した。
4.結果
得られた加熱経時試験中の未露光部の視覚濃度の増加値と最高濃度部の青フィルター光濃度値を表3に示した。本発明の組成物が、組成物1リットル当たりの酸素透過速度が4〜13の範囲にあるときには、未露光部の視覚濃度の増加値も少なく、また最高濃度部の青フィルター光濃度(DmaxB )も正常であり、安定であることと、酸素透過速度が本発明の範囲の下限以下である容器1ではステイン(DminB ) が増加し、上限を超える容器5では最高濃度値(DmaxB ) が低下することが示された。
【0161】
【表3】
Figure 0003989082
【0162】
実施例−3
本実施例では、添加成分の無機塩の量によって比重を本発明の範囲に調節した例を発色現像剤組成物の場合について示す。
1.容器
容器は、実施例1に用いたものと同じものを使用した。
2.処理剤組成物の調製
Figure 0003989082
【0163】
【化8】
Figure 0003989082
【0164】
【化9】
Figure 0003989082
【0165】
【表4】
Figure 0003989082
【0166】
表4において、試料▲1▼は酢酸カリウムを添加せず、本発明で規定する比重値の範囲外であり、他の試料は、添加した酢酸カリウムの量に応じて比重値が増加している。
【0167】
(2)漂白定着剤の処方
漂白剤含有組成物及び定着剤含有組成物は、実施例2に用いたものと同じである。
【0168】
3.充填された発色現像剤組成物の経時試験
上記2に述べた5通りの組成物を容器番号3のHDPE容器に各1300mlずつ充填して、容器のキャップを閉めたのち、実施例1と同様に40°Cで相対湿度60%RHの恒温恒湿槽内に各3か月保存し、保存期間中の各発色現像剤組成物試料のジナトリウム-N,N- ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミンの濃度変化を高速液体クロマトグラフで測定して初期濃度に対する残存率を算出した。各試料の保恒剤残存率も、表4に示す。ジナトリウム-N,N- ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミンは、この組成物の保恒剤であり、残存率が高いことは保存中の発色現像剤組成物の劣化が少ないことを示している。この試験条件では、残存率85%以上が実用可能の保存安定性を有していると判断される。
【0169】
4.結果
組成物の比重値が本発明の領域に入る試料は、いずれも残存率が85%以上であって十分な保存安定性を示したが、この範囲の上限より比重の高い▲5▼及び下限より比重の低い▲1▼は、残存率が85%の実用可能レベルに達していない。
【0170】
実施例−4
本実施例では、本発明の発色現像組成物にさらに添加することが好ましい添加成分の効果を示す。
1.容器
本発明の要件を満たす容器として、実施例1の容器(酸素透過速度6.9 ml/(24hr.atm.l)を使用した。
【0171】
2.発色現像剤組成物の調製
次に示す処方の発色現像剤組成物を調製した。
Figure 0003989082
【0172】
【表5】
Figure 0003989082
【0173】
表5において、試料▲6▼は上記処方において表5中に記載の添加化合物をすべて含んでいない処方であり、試料(7)〜(12)は、この処方に表5記載の添加物を加えたものである。
【0174】
3.充填された発色現像剤組成物の経時試験
表5の7通りの組成物を容器番号3のHDPE容器に各1300mlずつ充填して、容器のキャップを閉めたのち、実施例1と同様に30°Cで相対湿度60%RHの恒温恒湿槽内に各6か月保存し、保存期間中の各発色現像剤組成物のジナトリウム-N,N- ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミンの濃度変化を高速液体クロマトグラフで測定して初期濃度に対する残存率を算出した。各試料の保恒剤残存率も、表5に示す。
【0175】
4.写真性試験
感光材料としてカラーペーパー試料(富士写真フイルム(株)製フジカラーペーパーSUPER FA9)を用い、現像処理は、後に示す処理工程にしたがった。その現像液には、発色現像剤組成物(6)〜(12)のそれぞれを水で4倍に希釈して補充液を調製し、さらにこれに25%の水希釈を行うとともに、塩化ナトリウム10g/Lを添加して硫酸でpHを10.2に調節して現像液を調製し、実験用の小型現像機の現像槽にそれぞれの現像液を満たして対応する補充液を補充しながら現像を行った。現像処理は、これも後に示す現像処理方法に従って行った。 写真特性の評価は、発色現像剤組成物(6)〜(12)の経時試験前の組成物で作った現像液と経時させた組成物試料で調製した現像液によりそれぞれ現像して経時試験中の写真性の変化を調べることによって行った。写真特性の安定性の目安として経時中の白地のステインの変化値すなわち未露光部の青フィルター光反射濃度値(Dbと略す)の変化値を用いた。
【0176】
5.結果
試験結果も表5に併せて示した。各試料とも保恒剤残存率が85%以上であって、かつ白地の濃度値の増加も0.01以下であって実用条件を満たしている。なお、この試験条件における白地の濃度値の増加の実用限界は0.03である。試料▲6▼との比較によってアルカノールアミン及びポリエチレングリコールの添加によってさらに組成物が安定化すること、またそれらを組み合わせて用いることによってさらに効果が増すことが示された。また、アルカノールアミンの中では、トリイソプロパノールアミンが、ポリエチレングリコールの中では、分子量400のものが優れていることも示された。
【0177】
〔現像処理方法〕
処理工程 温 度 時 間 補充量*
カラー現像 38.5℃ 45秒 45ミリリットル
漂白定着 38.0℃ 45秒 35ミリリットル
リンス(1) 38.0℃ 20秒 −
リンス(2) 38.0℃ 20秒 −
リンス(3)**38.0℃ 20秒 −
リンス(4)**38.0℃ 20秒 121ミリリットル
乾燥 80 ℃ 30秒
(注)
* 感光材料1m2 当たりの補充量
**富士写真フイルム社製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス(3)に装着し、リンス(3)からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で得られた透過水はリンス(4)に供給し、濃縮水はリンス(3)に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300ミリリットル /分を維持するようにポンプ圧を調製し、1日10時間温調循環させた。リンスは(1)から(4)への4タンク向流方式とした。
【0178】
【発明の効果】
一剤構成の発色現像剤組成物と漂白剤含有組成物の比重値と、さらに漂白剤含有組成物の漂白剤濃度値とそれぞれ一定の範囲に調節することによって、各組成物が実用的に十分安定な状態で、共通の単一構成材料容器に充填して一体化したキットに組み込むことができる。したがって環境保全の面では容器の再生使用が可能で、現像作業面でも処理剤組成物から補充液の調製が簡単で取扱い性がよく、写真性能の面でも安定に保たせることができる。
また、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール及び一般式(A)のアルカノールアミンを組成物中に添加することによって現像剤組成物の安定性がさらに増大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像剤組成物を用いる現像処理方法の一実施例が採用されたプリンタプロセッサを示す概略構成図である。
【図2】本発明の現像剤組成物を用いる現像処理方法の一実施例が採用されたプリンタプロセッサを示す斜視である。
【図3】装填部近傍の正面図である。
【図4】装填部近傍の側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係わる現像剤組成物用容器の分解斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係わる現像剤組成物用容器を示す図である。
【符号の説明】
73 感光材料処理量検出手段
122 表示装置(警報手段)
300 充填部
1300 ボトル(写真処理剤用容器)
1302 容器本体
1304 雄ネジ(ネジ部)
1308 ポリエチレンシート(シート部材)
1310 キャップ(固定部材)
1312 底部
1314 開口部
N 現像済みカラーネガフィルム
P カラーペーパー

Claims (6)

  1. (イ)発色現像剤組成物は、比重が1.15〜1.30であって、かつ現像補充液の全構成成分を含有する単一の液剤で構成されており、(ロ)漂白剤含有組成物は、比重が1.15〜1.30で、漂白剤濃度が0.5〜3モル/リットルであって、かつ漂白補充液の全構成成分を含有する単一の液剤で構成されており、(ハ)上記発色現像剤組成物と上記漂白剤含有組成物が、同じ形状と同じ容積を有し、かつ共通で単一の構成材料で作られた容器にそれぞれ充填されており、(ニ)それらの容器が単一のカートリッジ内に組み込まれていることを特徴とする写真用処理剤組成物キット。
  2. 処理剤組成物充填用容器内に充填された処理剤組成物への酸素透過速度が処理剤組成物1リットル当たり4〜13ml/(24hr.atm.l)(温度25°Cで相対湿度50%における内容液の単位容積当たり)であることを特徴とする請求項1に記載の処理剤組成物キット。
  3. ポリオレフィン樹脂を単一の構成材料として作られた容器に充填されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の処理剤組成物キット。
  4. キットを構成するすべての処理剤組成物が、同じ形状と同じ容積を有し、かつ共通で単一の構成材料で作られた容器にそれぞれ充填されており、さらに容器に充填された処理剤組成物のすべてが単一のカートリッジ内に組み込まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の処理剤組成物キット。
  5. キットを構成する発色現像剤組成物が下記一般式〔A〕で表されるアルカノールアミン及び一般式〔S〕で表されるアルカノール類の各群から選ばれる化合物の少なくも一つを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の処理剤組成物キット。
    〔H(R’O)m R〕n NH(3-n) 〔A〕
    (式〔A〕中、mは0又は1、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数が2から4のヒドロキシ置換アルキレン基、R’は炭素数が1〜4のアルキレン基あるいはヒドロキシ置換アルキレン基である。ただし、mが0の場合は,Rの炭素数が2であればnは2であり、Rの炭素数が3〜4であればnは1、2又は3である。また、mが1の場合は、Rの種類によらずnは1、2又は3である。)
    R11-O-(X1) m −(X2)n −R12 〔S〕
    (式〔S〕中、R11及びR12は各々水素原子又は低級アルキル基を表し、X1及びX2 は各々アルキレンオキシ基、あるいはヒドロキシアルキレンオキシ基を表し、m及びnは各々0又は1〜100の整数を表す。ただし、m+n≦100である。
  6. 露光されたハロゲン化銀カラー写真感光材料を請求項1〜5のいずれかに記載の現像処理剤組成物キットを自動洗浄機構を有する自動現像機に装着して、自動的に補充を行いながら発色現像処理することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料の現像処理方法。
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