JP3988182B2 - 自動車の電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の電動パワーステアリング装置に係わり、特に、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、例えば、特開平8−332964号公報等に示されているような、電動機の動力をステアリング系に作用させて操作力の低減を図るようにした電動パワーステアリング装置が使用されるようになってきている。この電動パワーステアリング装置は、操舵力検出手段を備え、この操舵力検出手段により運転者の操舵力(操舵トルク)を検出すると共に、同時に車速に基づき所定補正トルクを発生させるように電動機への駆動電流を制御し、運転者の操舵力の軽減を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような電動パワーステアリング装置を設計する場合、良好な操舵フィーリングを得るためには、操舵角に対する操舵力の特性(以下「操舵力特性」という)を所望の操舵力特性(目標操舵力特性)となるように設定する必要がある。
【0004】
そして、目標操舵力特性が設定された場合には、ドライバは、この設定された目標操舵力特性により目標通りの操舵力を感じるので確かにほぼ一定の操舵フィーリングを得ることができる。
しかしながら、横風や路面不整等の外乱による車両挙動が生じた場合には、ドライバの車両挙動に対する修正操舵が減少するように操舵力特性を変更する必要がある。このため、車両外乱が生じた場合には、ドライバは常にほぼ一定の操舵フィーリングを感じることができず、そのため、違和感が生じる。特に高車速且つほぼ直進状態の走行時の操舵フィーリング(以下、センターフィーリング)において顕著である。このような新たな課題が本件発明者らによって見出されたのである。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、目標操舵力特性を得ると共に車両外乱に伴う車両挙動の安定化を図ることができる自動車の電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、良好なセンターフィーリングの実現と車両外乱に対する車両安定性を両立させることができる自動車の電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、操舵トルクを検出するトルクセンサと、車両の外乱により生じる車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、トルクセンサの値を小さくするように電動モータの制御量を設定する第1制御部と、予め設定した目標操舵力となるように電動モータの制御量を設定する第2制御部と、これらの第1制御部と第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部と、を有し、第2制御は、車両挙動が検出された場合、この車両挙動を抑制するように目標操舵力を補正し、更に、第2制御部は、目標操舵力を、ばね成分、粘性成分、及び、摩擦成分を含む操舵力特性モデルから演算すると共にこの操舵力特性モデルの特性パラメータを所定の評価指標から定義し、さらに、車両挙動が検出された場合、この評価指標の許容範囲を越えないように操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータを増加補正するようにしたことを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明においては、第2制御部により予め設定した目標操舵力となるように電動モータの制御量が設定される。しかしながら、車両挙動検出手段が車両の外乱により生じる車両挙動を検出した場合には、第2制御部により、この車両挙動を抑制するように目標操舵力が補正させる。具体的には、第2制御部は、目標操舵力を、ばね成分、粘性成分、及び、摩擦成分を含む操舵力特性モデルから演算すると共にこの操舵力特性モデルの特性パラメータを所定の評価指標から定義し、さらに、車両挙動が検出された場合、この評価指標の許容範囲を越えないように操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータを増加補正される。この結果、車両挙動が検出された場合、ドライバは、この車両挙動に応答して、修正操舵を行なうが、第2制御部により車両挙動が抑制されるようになっているので、この修正操舵を減少させることができる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、車両挙動検出手段は、ヨーレート及び操舵角のぞれぞれの値から車両挙動を検出する。
【0011】
さらに、本発明は、電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、操舵トルクを検出するトルクセンサと、車両の外乱により生じる車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、トルクセンサの値を小さくするように電動モータの制御量を設定する第1制御部と、予め設定した目標操舵力となるように電動モータの制御量を設定する第2制御部と、これらの第1制御部と第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により電動モータを制御する電動モータ制御部と、を有し、第2制御部は、車両挙動が検出された場合、この車両挙動を抑制するように目標操舵力を補正し、車両挙動検出手段は、所定値以上の路面不整か否かから、車両挙動を検出し、更に、第2制御部は、目標操舵力を、ばね成分、粘性成分、及び、摩擦成分を含む操舵力特性モデルから演算し、さらに、車両挙動検出手段が所定値以上の路面不整を検出したとき、操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータを増加補正することを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用される自動車の電動パワーステアリング装置の一例を示す斜視図である。この図1に示すように、自動車の電動パワーステアリング装置1は、ハンドル(ステアリングホィール)2を備え、このハンドル2は、ステアリングシャフト4の上端に連結されており、ハンドル2を操作する操舵力がスタアリングシャフト4に伝達されるようになっている。このステアリングシャフト4の下端部には自在継手を介して中間シャフト6の上端が連結され、この中間シャフト6の下端には、ステアリングギヤボックス8が設けられている。このステアリングギヤボックス8の両側にはタイロッド10が連結されており、これらの各タイロッド10にはタイヤ(車輪)12が取り付けられている。
【0013】
ここで、ステアリングギヤボックス8の内部には、ラック・ピニオン機構(図示せず)が設けられており、このピニオンには、中間シャフト6の下端が連結されている。一方、ラックの両端部には上述したようにタイロッド10を介してタイヤ12が連結されている。
ステアリングギヤボックス8には、減速ギヤ(図示せず)を介してピニオン側に力を付与する電動モータ14が設けられ、さらに、減速ギヤと中間シャフト6の間にはトルクセンサ(図示せず)が配置されている。このトルクセンサは、中間シャフト6に作用している操舵力(操舵トルク)を検出するためのものである。
これらの電動モータ14及びトルクセンサは、それぞれ制御ユニット16に接続されている。
この制御ユニット16は、後述する第1制御部(通常のアシスト制御部)18、第2制御部(センターフィール補償制御部)20、及び、モータ電流制御部22から構成されており、トルクセンサの検出値(操舵トルク)及び車速等に基づき、トルクセンサの検出値が小さくなるようにすると共に目標操舵力特性を実現するように、電動モータ14が制御されるようになっている。
【0014】
次に、本実施形態は、高車速且つほぼ直進状態の走行時(以下、「センターフィール感応域」と言う)に適用可能である。ここで、高車速とは、80km/h程度以上の速度であり、ほぼ直進状態とは、ハンドルをゆっくりと操作する状態、具体的には、0.2Hzの正弦波でハンドルを操作し横加速度(横G)が0.2G以下となるような操舵状態を想定している。
【0015】
本実施形態では、詳細は後述するように、高速直進時の操舵力特性を、ばね成分(操舵角を含む線形及び/又は非線形の関数で表される)、粘性成分(操舵角速度に比例する)、摩擦成分(操舵角速度を含む非線形関数で表される)とに分解した操舵力特性モデルで表現すると共に、センターフィーリングを規定した複数のセンターフィール評価指数(CF1,CF2,CF3)に基づいて目標操舵力(目標値)を設定し、この目標操舵力となるように上記操舵力特性モデルの各成分の特性パラメータの値を設定し、さらに、横風や路面不整(悪路)等の車両外乱に伴う車両挙動が検出された場合には、車両挙動を抑制するように粘性成分の特性パラメータ(Kd)の値を変更(増加補正)するようにしている。
このようにして、本実施形態では、車両外乱に伴う車両挙動が検出された場合には、車両挙動が抑制されるように粘性成分の特性パラメータ(Kd)の値を変更(増加補正)するように電動モータ14が制御される。
この結果、本実施形態では、車両挙動が検出された場合、ドライバは、この車両挙動に応答して、修正操舵を行なうが、車両挙動が抑制されるようになっているので、この修正操舵を減少させることができる。
【0016】
以下、本実施形態を詳細に説明する。図2は、本実施形態の電動パワーステアリング装置の制御ユニットを示すブロック図である。この図2に示すように、制御ユニット16は、第1制御部(通常のアシスト制御部)18、第2制御部(センターフィール補償制御部)20、及び、モータ電流制御部22から構成されている。
また、本実施形態の電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフト又は中間シャフトに作用している操舵力(操舵トルク)を検出するためのトルクセンサ24、横加速度(横G)を検出する横Gセンサ25、車速を検出する車速センサ28、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ27、所定値以上の路面不整(悪路)であるか否かを検出するための車輪速センサ28、及び、操舵角を検出する操舵角センサ30を備えており、これらの各センサの出力値が制御ユニット16に入力されるようになっている。
【0017】
第1制御部18は、通常のアシスト制御を行なう制御部であり、トルクセンサ24の出力値を小さくするように、即ち、操舵力を減らす方向のアシスト力を発生させるように、電動モータ14を制御するための制御部である。この第1制御部18には、トルクセンサ24からのトルクセンサ値が入力され、フィルタ34によりノイズがカットされ、制御ゲインK1により基準目標電流I0 が演算されるようになっている。ここで、この制御ゲインK1は、横Gセンサ25及び車速センサ26の値に基づいて設定される。
この第1制御部18は、センタフィール感応域では、抑制又は禁止されるようになっている。
【0018】
第2制御部20は、センターフィール補償制御部であり、高車速且つほぼ直進状態(センターフィール感応域)に、予め設定した目標操舵力となるように電動モータ14を制御するための制御部である。
第2制御部20は、目標操舵力演算部36を有し、この目標操舵力演算部36には、操舵角センサ30の出力値がフィルタ38を通って入力される。目標操舵力演算部36は、操舵角により表現された後述する操舵力特性モデルを用いて、目標操舵力を演算するようになっている。
【0019】
第2制御部20は、ローパスフィルタであるフィルタ(フィルタ2)38,40を有し、これらフィルタ38,40により、センターフィール感応域に対応した帯域(例えば、0.2Hzを含む帯域)のトルクセンサ24の値及び操舵角センサ30の値のみを入手できるようになっている。
また、第2制御部20は、後述するセンターフィール評価指標目標値設定部42及びセンターフィール評価指標演算部44、さらに、車両挙動検出部46を有し、車両挙動が検出された場合、目標操舵力を目標操舵力演算部36で演算し直すようになっている。
【0020】
この第2制御部20では、目標操舵力演算部36から出力された目標操舵力とフィルタ40から出力されたトルクセンサ値(Ts2)との偏差が求められ、この偏差から、制御ゲインK3により補償目標電流If が演算される。ここで、この制御ゲインK3は、横Gセンサ25及び車速センサ26の値に基づいて設定される。
この第2制御部20は、非センターフィール感応域では、抑制又は禁止されるようになっている。
【0021】
次に、第1制御部20から出力された基準目標電流I0 と補償目標電流If とが加算され、目標電流Iが算出される。具体的には、符号を、操舵力を減少させるためにアシスト力を増大する場合には(+)、操舵力を増大させるためにアシスト力を減少させる場合には(−)としているため、基準目標電流I0 に対して補償目標電流If を減算する演算が行なわれる。
【0022】
モータ電流制御部22は、電動モータ14に供給される電流が目標電流Iとなるようにするためのフィードバック制御を行なうための制御部である。このため、モータ電流制御部22は、制御ゲンンK2、比例積分制御を行なうPI制御部48、モータ特性補償部50を有している。
【0023】
次に、図3及び図4により、第2制御部20の目標操舵力演算部36において使用される目標操舵力特性モデルについて説明する。図3は、操舵力特性モデルを示す図であり、図4は、この操舵力特性モデルにおけるばね成分、粘性成分及び摩擦成分を示す図である。
操舵力特性モデルは、図3に示すように、ばね成分、粘性成分、及び、摩擦成分からなるモデルである。なお、この操舵力特性モデルは、高速直進走行時の操舵力特性を対象したものであるため、ハンドルは、上述したようにゆっくりと操舵される(0.2Hzの正弦波)ため、慣性成分は含まないモデルとなっている。
【0024】
ばね成分は、電動パワーステアリング装置の軸(ステアリングシャフト、中間シャフト、タイロッド等)の剛性、さらに、操舵角に応じてタイヤから発生する力やサスペンションによる力、電動パワーステアリング装置の電動モータによるアシスト力を含めた成分であり、以下の式(数1)に示す指数関数として設定する。この式(数1)において、θは操舵角であり、Kp及びTpは、ばね成分の特性パラメータである。ばね成分は、基本的には、操舵角にほぼ比例するが、所定の操舵角以上となると飽和状態となるため、特性パラメータKpはこの飽和状態に対応し、特性パラメータTpは、指数関数の時定数を示している。このように、ばね成分を示す式(数1)は、非線形関数となっている。このように、ばね成分は、操舵角を含む線形及び/又は非線形の関数で表されるものと定義される。
【数1】
Figure 0003988182
【0025】
粘性成分は、操舵角速度に比例した力であり、以下の式(数2)により示されている。この式(数2)において、Kdは、粘性成分の特性パタメータである。このように粘性成分は、操舵角速度に比例するものとして定義される。
【数2】
Figure 0003988182
【0026】
摩擦成分は、操舵角速度が舵角が小さいときは操舵角速度にほぼ比例した力であり、操舵角速度が大きくなると一定の大きさの摩擦力(飽和状態)となる。この摩擦成分は、以下の式(数3)に示す指数関数として設定する。この式(数3)において、Kf及びTfが摩擦成分の特性パラメータである。特性パラメータKfはこの飽和状態に対応し、特性パラメータTfは、指数関数の時定数を示している。このように、ばね成分を示す式(数3)は、非線形関数となっている。このように、摩擦成分は、操舵角速度を含む非線形関数として定義される。
【数3】
Figure 0003988182
【0027】
このようにして、操舵力特性モデルにおいて、ばね成分、粘性成分、摩擦成分が設定され、操舵力(操舵トルク:Torque)はこれらの各成分の合計値として設定される。即ち、操舵力特性モデルは、以下の式(数4)となる。
【数4】
Figure 0003988182
【0028】
次に、図5及び図6により、センターフィール評価指標(CF1,CF2,CF3)を説明する。センターフィール評価指標は、不感帯(CF1)、ステアリング剛性(CF2)及び動き易さ(CF3)の3つの評価指標からなり、これらの評価指標により、自動車のセンターフィール感応域におけるセイターフィーリングの味付けが決まるようになっている。ここで、不感帯(CF1)は、操舵角変化に対してドライバが操舵力を感じない範囲を定義し、ステアリング剛性(CF2)は、操舵角変化に対する操舵力の変化率を定義し、動き易さ(CF3)は、操舵力に対する車両挙動の位相遅れ量を定義している。
【0029】
これらのセンターフィール評価指標(CF1,CF2,CF3)と、上述した操舵力特性モデルの各成分の特性パラメータ(Kp,Tp,Kd,Kf、Tf)との間には所定の関係式が成立しており、一方が決れば他方も決定される関係がある。具体的には、以下の式(数5)の関係がある。
【数5】
Figure 0003988182
この式(数5)において、λは車両挙動の応答遅れ量(λ:度)であり、h1a,h1b,h1c,h2a,h2b,h3aは、定数である。
【0030】
センターフィール評価指標(CF1,CF2,CF3)の各目標値(CF1t,CF2t,CF3t)及びこれらの各目標値の許容範囲(α1,α2,α3)は、車両実験により予め決定されており、図2に示す第2制御部20のセンターフィール評価指標設定部42に事前に記憶されている。
また、第2制御部20の目標操舵力演算部36では、このセンターフィール評価指標の目標値(CF1t,CF2t,CF3t)に基づいて、各成分の特性パラメータ(Kp,Tp,Kd,Kf、Tf)の値が設定される。さらに、この目標操舵力演算部36には、操舵角センサ30からのフィルタ処理された操舵角センサ値が入力され、これにより、目標操舵力が演算される。
【0031】
本実施形態では、車両挙動検出部46は、操舵角センサ30からのフィルタ処理された操舵角センサ値、ヨーレートセンサ27からのヨーレート値及び/又は車輪速センサ28からの車輪速値のばらつきから、外乱による車両挙動を検出する。外乱による車両挙動が検出された場合には、目標操舵力演算部46は、ドライバの修正操舵が減少するように操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータKdを増加補正する。このとき、この粘性成分の特性パラメータKdの増加補正により、不感帯(CF1)及び動き易さ(CF3)がぞれぞれの許容範囲(α1,α3)を越える場合には、この特性パラメータKdの増加補正を禁止する。
このようにして、第2制御部20の目標操舵力演算部36は、車両外乱に伴う車両挙動が検出された場合であっても、センターフィーリングが悪くならない範囲にてドライバの修正操舵を減少するように目標操舵力を再演算(補正)するようにしているので、良好なセンターフィーリングの実現と車両外乱に対する車両安定性を両立させることができる。
【0032】
次に、図7により、本実施形態による制御フローを説明する。なお、図7における「S」は、各ステップを示している。
この制御フローにおいては、先ず、S1において、各センサの入力値を更新する。具体的には、トルクセンサ24、横Gセンサ25、車速センサ26、ヨーレートセンサ27、車輪速センサ28、及び、操舵角センサ30からの各入力値を更新する。次に、S2において、以下の式(数6)により、操舵力特性モデルのばね成分、粘性成分及び摩擦成分の各特性パラメータ(Kp,Tp,Kd,Kf,Tf)を設定する(目標操舵力演算部36)。
ここで、以下の式(数6)で示すように、操舵力特性モデルの特性パラメータ(Kp,Tp,Kd,Kf,Tf)は、ぞれぞれ、センターフィール評価指標の目標値(CF1t,CF2t,CF3t)及び車両挙動の応答遅れ量(λ)をパラメータとした関数として設定される。
【数6】
Figure 0003988182
ここで、式(数6)において、a,bは、定数である。
【0033】
次に、S3に進み、車速及び横Gの値に基づき、自動車の走行状態が、センターフィール感応域か否かを判定する。センターフィール感応域でなければ、S4に進み、第2制御部における補償電流Ifを0と設定する。
センターフィール感応域であれば、S5に進み、所定値以上の悪路(路面不整)であるか否かを判定する。悪路であれば、S13に進み、粘性成分の特性パラメータKdを増加補正する。このとき、この増加補正値Kd1は、後述する評価指標の許容範囲外の予め設定された値である。センターフィール感応域であっても、所定値以上の悪路ではセンターフィーリングを重視した操舵力特性となるように設定しても意味がないからである。
悪路でなければ、S6に進み、車両挙動検出手段46が、操舵角に対するヨーレートの位相進み量(λ:度)を算出する。
【0034】
ここで、図8により、車両外乱による車両挙動と判定する方法を説明する。図8はヨーレートと操舵角を示した線図である。通常、操舵角に対するヨーレートの位相は、位相遅れとなる。このため、本実施形態では、操舵角に対するヨーレートの位相(λ)が所定値以上進んだ場合には、車両外乱による車両挙動であると判定する。即ち、図8に示されたように、通常は操舵角に対するヨーレートの位相は位相遅れとなっているが、ヨーレートの位相が位相進みとなり、この位相進み量が所定値以上となった時点で、車両挙動と判定するようにしている。
【0035】
図7に戻り、S6の後、S7に進み、ヨーレートの位相進み量(λ)が所定値より大きいか否かを判定する。ヨーレートの位相進み量(λ)が所定値より大きくなければ、S8に進み、操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータKdを増加補正しない。ヨーレートの位相進み量(λ)が所定値より大きい場合には、S9に進み、操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータKdの増加補正値Kd1を算出する。
次に、S10に進み、関数h1にこの増加補正値Kd1を入力して、不感帯(CF1)の値を算出し、さらに、関数h3に増加補正値Kd1を入力して、動き易さ(CF3)の値を算出する。
【0036】
次に、S11において、この不感帯の値(CF1)がその目標値(CF1t)の許容範囲(α1)内か否かを判定し、S12において、動き易さの値(CF3)がその目標値(CF3t)の許容範囲(α3)内か否かを判定する。S11及びS12において、少なくとも一方が許容範囲でない場合には、S8に進み、操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータKdを増加補正しない。
次に、S11及びS12において、不感帯の値(CF1)及び動き易さの値(CF3)の値の両方がそれぞれの目標値の許容範囲内の場合には、S13に進み、操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータKdを増加補正する、即ち、Kdの増加補正値Kd1を算出する。
【0037】
次に、S14に進み、第2制御部における補償電流をIf =(f(θ)−Ts2)*K3と設定する。ここで、(f(θ))は上述した(式4)により表現された操舵力特性モデル、(Ts2)はフィルタ40を通ったトルクセンサ値、K3は第2制御部20の制御ゲインである。
【0038】
次に、S15に進み、第1制御部における基準目標電流がI0 =Ts1*K1と設定する。ここで、(Ts1)はフィルタ34を通ったトルクセンサ値、(K1)は第1制御部19の制御ゲインである。
次に、S16に進み、目標電流をI=I0 −If と設定する。さらに、S17に進み、この目標電流Iを電動モータ14に提供し、電動モータ14の電流制御を実行する。
【0039】
次に、図9乃至図11により、本実施形態の作用効果を説明する。図9は車両外乱(ヨーレート)による車両挙動の例を示す線図である。図10は、車両外乱による車両挙動が検出された場合の操舵力特性(操舵角と操舵力の関係)の変化を示す図である。図11は、車両外乱による車両挙動が検出された場合の操舵力特性(横Gと操舵力の関係)の変化を示す図である。
図9において、実線Aは操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータKdを増加補正しない場合の車両挙動(ヨーレート)を示し、破線Bは特性パラメータKdを無制限に増加補正した場合の車両挙動を示し、鎖線Cは特性パラメータKdを制限付きで増加補正した場合(本実施形態)の車両挙動を示している。ここで、制限付きの増加補正は、上述したように、センターフィール評価指標の許容範囲を越えないように特性パラメータKdを増加補正することを意味し、無制限の増加補正は、センターフィール評価指標の許容範囲を越えて特性パラメータKdを増加補正することを意味している。
図10及び図11において、実線Aは操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータKdを増加補正しない場合の操舵力特性を示し、破線Bは特性パラメータKdを無制限に増加補正した場合の操舵力特性を示し、鎖線Cは特性パラメータKdを制限付きで増加補正した場合(本実施形態)の操舵力特性を示している。
【0040】
先ず、図9に示すように、実線Aで示すような車両挙動が発生した場合、操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータKdを増加補正すればするほど、破線B及び鎖線Cで示すように、車両挙動は抑制される。
しかしながら、特性パラメータKdを無制限に増加補正したのでは、図10及び図11において破線Bで示すように、センターフィールの評価指標の許容範囲を超えるので、センターフィーリングが悪くなる。
従って、本実施形態によれば、図10及び図11において鎖線Cで示すように、車両挙動が発生した場合、センターフィールの評価指標の許容範囲を越えないように、制限付きで特性パラメータKdを増加補正するようにしたので、センターフィーリングの実現と車両外乱に対する車両安定性を両立させることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動車の電動パワーステアリング装置によれば、良好なセンターフィーリングの実現と車両外乱に対する車両安定性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される電動パワーステアリング装置の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置の制御ユニットを示すブロック図である。
【図3】操舵力特性モデルを示す図である。
【図4】操舵力特性モデルにおけるばね成分、粘性成分及び摩擦成分を示す図である。
【図5】センターフィール評価指標(CF1,CF2)を示す図である。
【図6】センターフィール評価指標(CF3)を示す図である。
【図7】本発明の実施形態による制御フローを示すフローチャートである。
【図8】ヨーレートと操舵角を示した線図である。
【図9】車両外乱(ヨーレート)による車両挙動の例を示す線図である。
【図10】車両外乱による車両挙動が検出された場合の操舵力特性(操舵角と操舵力の関係)の変化を示す図である。
【図11】車両外乱による車両挙動が検出された場合の操舵力特性(横Gと操舵力の関係)の変化を示す図である。
【符号の説明】
1 電動パワーステアリング装置
2 ハンドル
4 ステアリングシャフト
6 中間シャフト
12 タイヤ
14 電動モータ
16 制御ユニット
18 第1制御部
20 第2制御部
22 モータ電流制御部
24 トルクセンサ
25 横Gセンサ
26 車速センサ
27 ヨーレートセンサ
28 車輪速センサ
30 操舵角センサ
34,38,40 フィルタ
36 目標操舵力演算部
42 センターフィール評価指標目標値設定部
44 センターフィール評価指標演算部
46 車両挙動検出部

Claims (3)

  1. 電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、
    操舵トルクを検出するトルクセンサと、
    車両の外乱により生じる車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、
    上記トルクセンサの値を小さくするように上記電動モータの制御量を設定する第1制御部と、
    予め設定した目標操舵力となるように上記電動モータの制御量を設定する第2制御部と、
    これらの第1制御部と第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により上記電動モータを制御する電動モータ制御部と、を有し、
    上記第2制御は、車両挙動が検出された場合、この車両挙動を抑制するように上記目標操舵力を補正
    更に、上記第2制御部は、上記目標操舵力を、ばね成分、粘性成分、及び、摩擦成分を含む操舵力特性モデルから演算すると共にこの操舵力特性モデルの特性パラメータを所定の評価指標から定義し、さらに、車両挙動が検出された場合、この評価指標の許容範囲を越えないように上記操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータを増加補正するようにしたことを特徴とする自動車の電動パワーステアリング装置。
  2. 上記車両挙動検出手段は、ヨーレート及び操舵角のぞれぞれの値から、上記車両挙動を検出する請求項1に記載の自動車の電動パワーステアリング装置。
  3. 電動モータによりハンドルの操舵をアシストする自動車の電動パワーステアリング装置であって、
    操舵トルクを検出するトルクセンサと、
    車両の外乱により生じる車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、
    上記トルクセンサの値を小さくするように上記電動モータの制御量を設定する第1制御部と、
    予め設定した目標操舵力となるように上記電動モータの制御量を設定する第2制御部と、
    これらの第1制御部と第2制御部によるそれぞれの制御量を加算した制御量により上記電動モータを制御する電動モータ制御部と、を有し、
    上記第2制御は、車両挙動が検出された場合、この車両挙動を抑制するように上記目標操舵力を補正
    上記車両挙動検出手段は、所定値以上の路面不整か否かから、上記車両挙動を検出し、
    更に、上記第2制御部は、上記目標操舵力を、ばね成分、粘性成分、及び、摩擦成分を含む操舵力特性モデルから演算し、さらに、上記車両挙動検出手段が所定値以上の路面不整を検出したとき、上記操舵力特性モデルの粘性成分の特性パラメータを増加補正することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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