JP3988021B2 - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクカートリッジからインクを供給してインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インクジェット式記録ヘッドでは、インクが充填されたインクカートリッジから、このインクカートリッジに挿入されるインク供給針及び流路を介してインクが供給され、供給されたインクは圧電素子等を駆動させることによりノズルから吐出される。
【0003】
例えば、図5に示すように、従来のインクジェット式記録ヘッド100を構成するヘッドケース101は、プリンタのキャリッジに搭載されると共に図示しないインクカートリッジを収容するインクカートリッジ収容室102を画成する。
【0004】
また、ヘッドケース101のインクカートリッジ収容室102側の底面部分には、インクカートリッジに挿入されるインク供給針103が設けられている。また、ヘッドケース101の下面側には、圧力発生手段の駆動によってインクを吐出するヘッド本体104が、カバーヘッド105によって固定されている。そして、インクカートリッジからインク供給針103及びヘッドケース101の図示しないインク流路を介してヘッド本体104にインクが供給される。
【0005】
また、ヘッドケース101のインクカートリッジ収容室102とは反対側の側面には駆動回路を実装した回路基板106が固定されており、この駆動回路によって記録ヘッド本体104が駆動されてインクが吐出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のインクジェット式記録ヘッド100では、インク供給針103は、インクカートリッジの各色毎に別々の部品で構成され、個々にヘッドケース101に固着されている。
【0007】
そのため、インク供給針103間の寸法精度を出すのが困難であり、インク供給針103のインクカートリッジへの挿入性が低下するという問題がある。また、インク供給針103のインクカートリッジへの挿入位置がずれることにより、これらのシール性が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、インク供給針を高精度且つ容易に固定することができ、信頼性を向上したインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、インク滴を吐出する複数のノズル開口を有するヘッド本体を具備し、インク供給手段を保持すると共に該インク供給手段のインク供給口とヘッド本体とを連通するインク流路を有する保持部を備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記インク供給手段に連通する側のインク流路を構成する貫通孔を有し前記インク供給手段に挿入される複数のインク供給針が、超音波融着によって前記保持部に固着されており、且つ前記複数のインク供給針のうち超音波融着に必要なエネルギが略同一であるインク供給針が、一体的に連結され、当該一体的に連結されたインク供給針の外形形状が略同一であるが、前記貫通孔の内径が異なることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0010】
かかる第1の態様では、貫通孔の内径の異なる複数のインク供給針を超音波融着によって一度に固着することができるため、製造工程を簡略化してコストの削減を図ることができる。また、各インク供給針の針間距離の精度が向上する。
【0013】
本発明の第の態様は、第の態様において、ブラックインクに対応して設けられるインク供給針とカラーインクに対応して設けられるインク供給針とが一体的に連結され、且つ前記ブラックインクに対応して設けられるインク供給針の貫通孔が、前記カラーインクに対応して設けられるインク供給針の貫通孔よりも大きい内径を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0014】
かかる第の態様では、ブラック及びカラーインクに対応するインク供給針の針間距離の精度が向上することができる。
【0017】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様のインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0018】
かかる第3の態様では、ヘッドの信頼性を向上したインクジェット式記録装置を実現することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、勿論、本発明の構成はこれに限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2はその断面図であり、図3はインク供給針の上面図及び断面図であり、図4は、カートリッジケースの斜視図である。
【0021】
図示するように、本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド10を構成するカートリッジケース11は、インク供給手段であるインクカートリッジ(図示なし)がそれぞれ装着されるカートリッジ装着部12を有する。例えば、本実施形態では、インクカートリッジは、ブラック及び3色のカラーインクがそれぞれ充填された別体で構成され、カートリッジケース11には、各色のインクカートリッジがそれぞれ装着される4つのカートリッジ装着部12を有する。また、カートリッジケース11の底面には、一端が各カートリッジ装着部12に開口し、他端が後述するヘッドケース側に開口する複数のインク連通路14(14A〜14D)がそれぞれ形成された管状の流路形成部15(15A〜15D)が突設されている。
【0022】
また、カートリッジケース11の上面側、すなわち、各カートリッジ装着部12のインク連通路14の開口部分には、インクカートリッジに挿入される複数のインク供給針16(16A〜16D)が、インク内の気泡や異物を除去するためのフィルタ17を介して固定されている。
【0023】
これらの各インク供給針16は、図3に示すように、各インク連通路14に連通する貫通孔18(18A〜18D)をそれぞれ有すると共にカートリッジケース11側の端部近傍にフランジ部19を有する。また、このフランジ部19のカートリッジケース11との接合面側には融着突起20が設けられている。
【0024】
また、本実施形態のカートリッジケース11は、イエロー、マゼンダ及びシアン並びにブラックの各色のインクがそれぞれ収容された複数のインクカートリッジを保持可能な構造を有し、インク供給針16は、ブラックインクに対応する1つのインク供給針16Aと、イエロー、マゼンダ及びシアンの各カラーインクに対応する3つインク供給針16B〜16Dで構成されている。
【0025】
そして、各インク供給針16の貫通孔18の内径は、インクの供給量によって異なり、例えば、本実施形態では、カラーインクに対応する各インク供給針16B〜16Dの貫通孔18B〜18Dは、それぞれ略同一の内径を有するが、ブラックインクに対応するインク供給針16Aの貫通孔18Aは、カラーインクに対応するインク供給針16B〜16Dの貫通孔18B〜18Dよりも大きい内径を有する。
【0026】
また、本実施形態の各インク供給針16は、それぞれ略同一の外形形状を有し、且つ連結部21を介してそれぞれ一体的に連結されている。そして、各インク供給針16は、フランジ部19に設けられた融着突起20を溶融させることにより、すなわち超音波融着によってカートリッジケース11に一体的に固着されている。
【0027】
ここで、本実施形態では、上述したように、ブラックインクに対応するインク供給針16Aとカラーインクに対応するインク供給針16B〜16Dとは、貫通孔18の内径が異なるが、外形形状は略同一となっている。すなわち、各インク供給針16は、超音波融着に必要なエネルギが略同一となっているため、連結部21を介して一体的に連結されていても超音波融着によって各インク供給針16を確実に固着することができる。
【0028】
また、各インク供給針16の超音波融着に必要なエネルギを略同一とするには、各インク供給針16の融着突起20の融着量が略同一であることが有効である。このため、本実施形態では、各融着突起20の形状、すなわち、各融着突起20の径、断面形状等を略同一として、融着量が略同一となるようにした。
【0029】
このように、本実施形態では各インク供給針16を一体的に連結して超音波融着によってカートリッジケース11に固着するようにしたので、各インク供給針16A〜16Dのそれぞれの針間距離精度を著しく向上することができる。また、複数のインク供給針を一度に固着できるため、製造工程を簡略化することができ、製造コストを削減することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、ブラックインクに対応するインク供給針及びカラーインクに対応するインク供給針を全て一体的に連結するようにしたが、勿論、これに限定されず、超音波融着に必要なエネルギが略同一であるインク供給針が一体的に連結されていればよい。
【0031】
また、本実施形態では、一体的に連結した各インク供給針の外形形状が、略同一形状となっているが、勿論、超音波融着に必要なエネルギが略同一であれば、それぞれ異なる形状であってもよい。
【0032】
なお、カートリッジケース11の下面側には、複数の圧電素子22を有する圧電素子ユニット23を保持すると共に、カートリッジケース11とは反対側の端面に圧電素子22の駆動によってノズル開口からインク滴を吐出するヘッド本体24が固定されるヘッドケース25を有し、これらカートリッジケース11とヘッドケース25との間には、シール部材26及び回路基板27が挟持されている。
【0033】
ここで、シール部材26は、例えば、エラストマ等からなり、流路形成部15とヘッドケース25に設けられる複数のインク供給路28(28A〜28D)が開口する突出部29との間に挟持されることにより、インク連通路14とインク供給路28との接続部分を密封してこの接続部分からのインクの漏れを防止している。
【0034】
回路基板27は、圧電素子22を駆動するための信号を供給するためのものであり、回路基板27の一端部には、外部配線(図示なし)を接続するためのコネクタ30が固定されている。また、回路基板27には、圧電素子22に接続されたFPC等の接続配線31が挿通される挿通孔32が設けられており、この挿通孔32を介して回路基板27と接続配線31とが接続される。さらに、この挿通孔32の両側には各インク供給路28に対応して、各インク供給路28が開口する突出部29が係合する貫通孔33が設けられている。
【0035】
また、カートリッジケース11の一方の側面、すなわち、回路基板27のコネクタ30が配置される側の側面には、回路基板27のコネクタ30が露出される露出口34を有し、この露出口34を介して外部配線(図示なし)がコネクタ30に接続されるようになっている。
【0036】
また、回路基板27及びシール部材26を介してカートリッジケース11の下面側に固定されるヘッドケース25には、複数の圧電素子22を有する圧電素子ユニット23(23A,23B)を収容して圧電素子22を位置決め固定するための収容室35が並設されている。本実施形態のインクジェット式記録ヘッド10は、ブラックインクを吐出するための圧電素子ユニット23Aと、カラーインクを吐出するための圧電素子ユニット23Bとを有するため、ヘッドケース25には、これらの圧電素子ユニット23A,23Bを収容する2つの収容室35が並設されている。また、各収容室35の外側には、インク連通路14Aと連通してブラックインクをヘッド本体24に供給するインク供給路28Aと、インク連通路14B〜14Dとそれぞれ連通して各カラーインクをそれぞれヘッド本体24に供給するための複数のインク供給路28B〜28Dとが設けられ、各インク供給路28A〜28Dは、カートリッジケース11側に設けられた突出部29でそれぞれ開口している。
【0037】
ここで、各インク供給路28A〜28Dは、ヘッドケース25の中央部のヘッド本体24に対向する領域にそれぞれ近接して設けられている。また、カラーインクをヘッド本体24に供給する各インク供給路28B〜28Dは、インク連通路14A〜14Dのインクカートリッジ側の開口の並び方向に対して略直交する方向に一列に配置されている。すなわち、インク供給路28A〜28Dの開口と、各インク連通路14のインクカートリッジ側の開口との位置が面方向で異なるものがある。例えば、本実施形態では、カラーインクを供給する3つのインク連通路14B〜14Dのうち中央のインク連通路14Cのインクカートリッジ側の開口のみが、インク供給路24Cの開口と略同一位置となるように設けられている。このため、本実施形態では、他のインク連通路14A,14B,14Dを3次元的に傾斜させることによって、カートリッジケース11とヘッドケース25との当接面での全てのインク連通路14とインク供給路28との開口位置がそれぞれ略同一となるようにして、各インク連通路14とインク供給路28とを連通させている。
【0038】
具体的には、図4に示すように、カートリッジケース11の下面側には、インク連通路14A〜14Dがそれぞれ形成された管状の流路形成部15A〜15Dが突設されている。そして、カラーインクに対応する流路形成部15B〜15Dのうち、中央の流路形成部15Cのみがカートリッジケース11の下面に対して略直交する方向に立設され、他の流路形成部15A,15B,15Dが3次元的に傾斜して設けられ、各インク連通路14A〜14Dとインク供給路28A〜28Dとがそれぞれ連通されている。
【0039】
なお、上述したインクジェット式記録ヘッドを構成する各部材は、カートリッジケース11の下面側に、シール部材26、回路基板27、ヘッドケース25及びヘッド本体24の順で積層され、その外側にヘッド本体24のノズル開口を露出する窓部36を有する枠体37を填め込み、ネジ38によってカートリッジケース11に固定されて(図1参照)、インクジェット式記録装置に搭載される。
【0040】
また、本実施形態では、カートリッジケースとヘッドケースとが別体で構成されているものを例示して説明したが、勿論、これらが一体的に形成されていてもよいことは言うまでもない。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、超音波融着に必要なエネルギが略同一であるインク供給針を一体的に形成するようにしたため、製造工程を簡略化してコストを削減することができる。また、各インク供給針間の寸法精度が向上するため、インク供給針のインクカートリッジの挿入性及びインク供給針とインクカートリッジとのシール性を向上することができ、信頼性を向上したインクジェット式記録ヘッドを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るインク供給針を示す上面図及び断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るカートリッジケースの斜視図である。
【図5】従来技術に係るインクジェット式記録ヘッドの斜視図である。
【符号の説明】
11 カートリッジケース
12 カートリッジ装着部
14A〜14D インク連通路
15 流路形成部
16 インク供給針
17 フィルタ
18 貫通孔
19 フランジ部
20 融着突起
21 連結部
22 圧電素子
23 圧電素子ユニット
24 ヘッド本体
25 ヘッドケース

Claims (3)

  1. インク滴を吐出する複数のノズル開口を有するヘッド本体を具備し、インク供給手段を保持すると共に該インク供給手段のインク供給口とヘッド本体とを連通するインク流路を有する保持部を備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、
    前記インク供給手段に連通する側のインク流路を構成する貫通孔を有し前記インク供給手段に挿入される複数のインク供給針が、超音波融着によって前記保持部に固着されており、且つ前記複数のインク供給針のうち超音波融着に必要なエネルギが略同一であるインク供給針が、一体的に連結され、当該一体的に連結されたインク供給針の外形形状が略同一であるが、前記貫通孔の内径が異なることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  2. 請求項1において、ブラックインクに対応して設けられるインク供給針とカラーインクに対応して設けられるインク供給針とが一体的に連結され、且つ前記ブラックインクに対応して設けられるインク供給針の貫通孔が、前記カラーインクに対応して設けられるインク供給針の貫通孔よりも大きい内径を有することを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  3. 請求項1又は2のインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置。
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