JP3987748B2 - 積層構造体 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガラスあるいは金属等の各種基材に成形性、接着性、塗装性、柔軟性等の優れた熱可塑性組成物を積層してなる構造体に関するものであり、基材の有する耐久性、剛性、強度等と積層された熱可塑性樹脂の柔軟性、衝撃強度、密着性等の特性を併せ持つ構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系熱可塑性樹脂は射出成形、シート成形等の成形性に優れ、構造材料として幅広い分野で使用されている。これらの熱可塑性樹脂成形体は柔軟性、耐衝撃性、耐溶剤性あるいは耐薬品性を有し、これらの特性を活かし、特に自動車部品分野、家電部品分野、建築部材分野においてはガラスや金属等の各種基材に積層して用いられる構造体が期待されている。しかし、ポリオレフィン系樹脂は上記の特性を有するにもかかわらず、ガラスや金属等の各種基材に対する接着性が極めて弱い。そこで基材表面に接着剤を塗布し、両者の間に介在させ積層することが行われるが、ポリオレフィンを原料とする非極性のポリマーからなる熱可塑性樹脂は、接着剤との親和性が低いため充分な接着性が得られない。
【0003】
また塩素化ポリオレフィンのような、極性基を有するポリオレフィン系熱可塑性エラストマーと接着剤の両者に対して親和性を有するものを成形物に塗布する、いわゆるオレフィン樹脂用プライマーを使用して接着を施すことが一般的に行われている。またコロナ放電処理等により表面の性質を改良し、接着剤との親和性を向上させた後に基材と接着することなども行われている。
【0004】
しかしながらオレフィン樹脂用プライマーは高価であり、多量の有機溶剤を含むためこれを回収または除去するための工程が必要である。この工程は高温で行われしかも長時間を要することが問題である。またコロナ処理等の表面の性質を改良する方法は形状に制限を受け、また高価な設備投資が必要である等の問題点がある。従って基材と接着する際にこれらのプライマー処理やコロナ処理等の処理が不要な熱可塑性樹脂組成物が得られれば、工程の短縮、設備投資の削減等の利点をもたらすことになる。
【0005】
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物における接着性の改良については特開平1−259047号公報が挙げられる。ここではペルオキシド架橋型ポリオレフィン系共重合体ゴム、オレフィン系プラスチックおよび1個以上のアミノ基を有する単量体からなる混合物を有機過酸化物で動的に熱処理されてなる熱可塑性エラストマー組成物に不飽和カルボン酸誘導体を加熱下にブレンドする方法が開示されている。
【0006】
また特開平1−259048号公報、特開平1−259049号公報にはペルオキシド架橋型ポリオレフィン系共重合体ゴム、オレフィン系プラスチックおよび不飽和カルボン酸またはこれらの誘導体からなる混合物を有機過酸化物で動的に熱処理されてなる熱可塑性エラストマー組成物に少なくとも1個以上のアミノ基を含有する単量体を加熱下にブレンドする方法が開示されている。しかしながらこれらにおいては接着性の向上は十分ではなく、またアリルアミン、アクリルアミド、ジエチレントリアミンといった低沸点で有害性を有する化合物が使用されている。
【0007】
特開昭64−85206号公報にはペルオキシド架橋型ポリオレフィン系共重合体ゴム、オレフィン系プラスチックおよび不飽和エポキシ単量体もしくは不飽和ヒドロキシ単量体を有機過酸化物で動的に熱処理されてなる熱可塑性エラストマー組成物を金属等との接着性を目的として使用されているが、積層構造体のような接着物に著しい応力がかかるような場合における接着強度がなお十分ではない。
【0008】
特開昭58−185633号公報にはオレフィン系重合体にヒドロキシル基を含有する不飽和有機化合物を、有機過酸化物からなる混合物をイソシアネート基を有する接着剤を塗布した成形物に接着させた接着物が提案されているが、例えば自動車のガラス窓枠に接着されたパッキング材のような、ガラスと車体の金属の両方に強い接着強度を要求される積層構造体のような用途においては、なお十分なものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は高い機械的強度と柔軟性のバランスがよく、耐熱性、耐溶剤性、、耐薬品性、耐久性が優れ、しかもポリウレタン系接着剤を塗布した基材との接着強度が高い変性熱可塑性組成物からなる成形体を基材に積層した構造体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の積層構造体は、オレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴムを、不飽和ヒドロキシ化合物および有機過酸化物の存在下に混練した後、さらにオレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴムを配合し有機過酸化物の存在下に混練して得られた変性熱可塑性組成物をポリウレタン系接着剤を介して基材に接着してなることを特徴とする。
第2の発明による積層体は、オレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴムを、不飽和ヒドロキシ化合物および有機過酸化物の存在下に混練した後、さらにオレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴムを配合し有機過酸化物および不飽和ヒドロキシ化合物の存在下に混練して得られた変性熱可塑性組成物をポリウレタン系接着剤を介して基材に接着してなることを特徴とする。
さらに、上記変性熱可塑性組成物がオレフィン系重合体成分10から90質量%とオレフィン系重合体ゴム成分90から10質量%からなる組成物である上記第1または第2の発明の積層構造体であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のオレフィン系重合体としてはアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ビニルエステルおよび不飽和カルボン酸誘導体の中から選択される1種類以上の化合物とエチレンとの共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−ビニルエステルの加水分解物、エチレンと前記の不飽和ヒドロキシ化合物との共重合体(ヒドロキシル基を有さない他のモノマーを含んでもよい)およびそれらの混合物が挙げられる。
このうちアイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体およびそれらの混合物が好適であり、特に剛性、耐熱性を要求される用途においてはポリプロピレン単独重合体が、また耐衝撃性、柔軟性を要求される用途にはプロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体が好適である。またこれらを複数混合して用いることも差し支えない。
【0012】
また上記オレフィン系重合体の一部を、不飽和カルボン酸、それらの誘導体、不飽和ヒドロキシ化合物等の化合物で変性されたものに置き換えることも可能である。これらの化合物としては無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルマレイミド等が挙げることができる。
【0013】
該プロピレン−エチレンブロック共重合体およびプロピレン−エチレンランダム共重合体のエチレン含量は20質量%以下が好ましい。エチレン含量が20質量%を越えると耐熱性が低下する。耐熱性と柔軟性のバランスという点では、該プロピレン−エチレンブロック共重合体及びプロピレン−エチレンランダム共重合体のエチレン含量は3質量%から15質量%が好適であり、更に好適には5質量%から10質量%である。
【0014】
オレフィン系重合体ゴムとしてはエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム等が使用可能であるが、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムが特に好ましい。これらにおいて変性熱可塑性組成物の機械的強度の点からメルトフローレート(MFR)が1g/10分以下のものが好ましい。これらプロピレン系ゴムにおけるプロピレン含有量は、有機過酸化物による架橋効率からみて50質量%以下が好ましく、ゴムとして柔軟性をも考慮した場合25〜45質量%の範囲が特に好ましい。
【0015】
本発明の熱可塑性組成物は、オレフィン系重合体成分10〜90質量%とオレフィン系重合体ゴム成分90〜10質量%を用いることが望ましい。中でも好ましくはオレフィン系重合体成分が15〜70質量%、さらに好ましくは25〜50質量%である。またオレフィン系重合体ゴム成分は80〜20質量%が好ましく、より好ましくは70〜30質量%である。
【0016】
本発明における不飽和ヒドロキシ化合物とは、同一分子内にエチレン性二重結合とヒドロキシル基を同時に有する化合物で、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルマレイミド;ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、テトラエチレングリコールモノアクリレート、テトラエチレングリコールモノメタクリレート等のポリエチレングリコールのモノアクリレートおよびモノメタクリレート;ジプロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、トリプロピレングリコールモノアクリレート、トリプロピレングリコールモノメタクリレート、テトラプロピレングリコールモノアクリレート、テトラプロピレングリコールモノメタクリレート等のポリプロピレングリコールのモノアクリレートおよびモノメタクリレート;トリメチレングリコールのモノアクリレートまたはメタクリレート、テトラメチレングリコールのモノアクリレートおよびメタクリレート;エチレングリコールとプロピレングリコール共重合体のモノアクリレートおよびメタクリレート;さらにはジエチレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル等のポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのモノアリルエーテル類およびこれらの混合物等が挙げられる。
これらのうち、グラフト反応性や、得られる組成物の強度と接着性のバランスの点で、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等が好ましい。
【0017】
本発明において、不飽和ヒドロキシ化合物および有機過酸化物の存在下に混練する場合の配合量としてはグラフト変性および架橋を行う対象であるオレフィン系重合体あるいはオレフィン系重合体ゴムの合計100質量部に対して0.1から20質量部が好ましく、特に好ましい範囲は1から10質量部である。配合量が0.1質量部未満では効果が見られず、20質量部を越えると得られる組成物が不均一となり成形体の機械的性質の低下や外観の悪化をもたらす。
【0018】
本発明において使用可能な有機過酸化物の例としてはジベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられ、これらは可塑剤や炭酸カルシウム等の不活性物質で希釈されていてもかまわない。配合量はグラフト変性あるいは架橋を行うオレフィン系重合体あるいはオレフィン系重合体ゴムの合計量の100質量部に対して0.05から5質量部、好ましくは0.2から3質量部である。
【0019】
オレフィン系重合体ゴムは不飽和ヒドロキシ化合物の存在、不存在にかかわらず、有機過酸化物と共に混練することにより部分架橋され、耐熱性が向上する。また不飽和ヒドロキシ化合物により変性する際、オレフィン系重合体とオレフィン系重合体ゴムが共存している場合、オレフィン系重合体ゴムがよりグラフト変性されやすい。
【0020】
またこれらの有機過酸化物の架橋効率を向上させる目的で1分子内に複数の不飽和結合を有する化合物を併用することもできる。このような化合物としては例えばトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、エチレングリコールジアクリレートおよびジメタクリレート、トリメチロールプロパンのジまたはトリアクリレートおよびジまたはトリメタクリレート等が挙げられる。
これらの配合量は有機過酸化物の配合量によっても異なるが通常、変性あるいは架橋を行うオレフィン系重合体あるいはオレフィン系重合体ゴムの合計100質量部に対して3質量部以下である。
【0021】
なお、本発明においては流動性の改善、柔軟性の向上などの必要に応じて軟化剤を添加することが可能である。軟化剤としてはパラフィン系、ナフテン系、芳香族系のいずれも用いることが可能であるが、安定性、色調などの点でパラフィン系のものを用いることが好ましい。配合量は目的に応じて異なるので一概には決めることができないが、一般には変性熱可塑性組成物に対し0〜200質量%である。200質量%以上配合するとブリードアウトし、接着強度を低下させる。
また、上記軟化剤の添加は、オレフィン系重合体あるいはオレフィン系重合体ゴムの変性時、または変性後のいずれであっても差し支えない。
【0022】
本発明の変性熱可塑性組成物の製造方法は、オレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴム、不飽和ヒドロキシ化合物および有機過酸化物をヘンシェルミキサー等で予め混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押し出し機、2軸押し出し機などの混練装置で混練し、ヒドロキシル基を有する変性ポリオレフィン系樹脂とし、次いで該変性ポリオレフィン系樹脂にオレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴム、および有機過酸化物を加え、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押し出し機、2軸押し出し機などの混練装置で混練して、オレフィン系重合体ゴムの架橋と不飽和ヒドロキシ化合物のグラフト反応を同時に行うことによって調製するのが好ましい。
またさらに、オレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴム、不飽和ヒドロキシ化合物および有機過酸化物をヘンシェルミキサー等で予め混合した後、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押し出し機、2軸押し出し機などの混練装置で混練し、ヒドロキシル基を有する変性ポリオレフィン系樹脂とし、次いで該変性ポリオレフィン系樹脂に、オレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴム、有機過酸化物および不飽和ヒドロキシ化合物を加え、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押し出し機、2軸押し出し機などの混練装置で混練して、オレフィン系重合体ゴムの架橋と不飽和ヒドロキシ化合物のグラフト反応を同時に行うことによって調製する方法も好ましく採用される。
【0023】
本発明において用いられるポリウレタン系接着剤は、イソシアネート基を含有した公知のポリウレタン系接着剤である。ポリウレタン系接着剤はその形態上からは接着直前にポリオールとポリイソシアネートを混合し、接着面でこれらを反応させる反応型、ポリマーを有機溶剤に溶かした溶液を塗布するかフイルム状接着剤を用いる熱可塑性型、ポリマー固形分を水に分散した水分散型のいずれも用いられる。また化学的にはポリイソシアネート接着剤、プレポリマー接着剤、ポリイソシアネート変成ポリマー等に分類される。ポリイソシアネートとしては単独あるいはゴムなどとの混合あるいはイソシアネート変成の末端ヒドロキシポリマー、含水酸基化合物などの存在下で使用され、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネート)チオフォスフェート、2,4,4’−ジフェニルエーテルトリイソシアネート等が例示される。また含水酸基化合物としてはポリエステル、ポリエーテル、重合アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂、天然ゴムあるいは合成ゴムが例示される。プレポリマー接着剤はジイソシアネートと多官能活性水素化物と反応させた後、空気中であるい硬化剤を加えて使用する。ポリイソシアネート変成ポリマーは2官能以上のポリエステル、ポリエーテルをジイソシアネートと反応させ、そのままあるいは硬化剤を配合後硬化させて用いられる。本発明においては上記のいずれも使用することが可能である。
これらは金属、ガラス等、各種の基材および本発明の変性熱可塑性組成物との接着性が優れ、各種基材と本発明の変性熱可塑性組成物からなる成形体の間に介在し、両者を接着させ、積層構造体を実現するものである。
【0024】
本発明においては変性熱可塑性組成物中のヒドロキシル基とウレタン接着剤との反応を促進する目的で、有機すず化合物や3級アミン等のヒドロキシル基とイソシアネート基の反応の触媒を添加する事ができる。このような触媒の例としては、ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずジマレート、ジブチルすずジオクチルマレート等の有機すず化合物や、テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジアルキルエタノールアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、N,N−ジメチルアミノピリジン等の3級アミンが挙げられる。
【0025】
なお本発明の変性熱可塑性組成物には必要に応じて通常の添加剤、例えばカーボンブラックなどの充填剤、顔料、酸化防止剤等を添加することも可能である。
【0026】
本発明の積層構造体は、例えばアルミニウム、鉄、銅、それらの合金等の金属、ガラス、紙、繊維、木、皮革、あるいはネオプレンゴム、ウレタンゴム、ブタジエン系ゴム、天然ゴム等のゴム類、またポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等のプラスチック類等の基材とウレタン系接着剤を介して前記変性熱可塑性組成物を積層した構造体である。
構造体の形状は薄状物(箔、紙類、フイルム等)、シート状物、ボート状物、板状物、パイプ状物、容器状物、球状物、箱状物等の型枠部材、その他の形状が挙げられる。またこれらは基材と変性熱可塑性組成物からなる材料の二層に限らず多層も可能である。
代表的な用途としては、冷凍機の壁体、冷蔵庫の外張、パネル、建物のルーフパネル、ドアーの内装材および外装材、テーブル、机などの表面、家具パネル、台所のキャビネット、自動車のインストルメンツパネルおよび内装材、自動車等の車両のシーリング材等が挙げられるが、中でも基材との接着面積が相対的に狭く、強い接着強度とともに、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂の特性である耐衝撃性、柔軟性、耐薬品性、耐溶剤、耐久性等を要求される用途においては極めて有効である。特に自動車等の車両のシーリング材、例えば窓ガラスの固定用パッキング等として使用されるような場合には、車体の金属と窓のガラスとの両者との接着性が優れ、密閉性、防音性、耐水性の優れた積層構造体となる。
【0027】
これら基材と積層する場合、接着剤を塗布した変性熱可塑性組成物からなる成形体を基材に固定し(接着剤は基材に塗布する場合、両者に塗布する場合も当然想定される)接着させる方法以外に、接着剤を塗布した基材の接着面に、変性熱可塑性組成物を、例えば射出成形、押出成形等により溶融状態で溶着後、接着させる方法等も考えられる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を示すが、本発明はその主旨を逸脱しないかぎりこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
(変性PP1の製造)
ポリプロピレン単独重合体粉末(MFR:0.5g/10分;JIS K7210(荷重2.16kg 230℃)、以下「PP」と略す。)50質量部、プロピレン−エチレンランダム共重合体粉末(MFR:0.1g/10分、以下「RPP」と略す。)50質量部、2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン(以下「POx」と略す。)1.5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下「HEMA」と略す。)4.5質量部をヘンシェルミキサーで混合後、同方向2軸押出機にてシリンダー設定温度200℃で混練し、HEMAグラフトPP(変性PP1)を得た。
(変性熱可塑性組成物(1)の製造)
上記変性PP1を38質量部、エチレンプロピレン共重合ゴム(MFR:0.05g/10分、以下「EPR」と略す。)を31質量部、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合ゴム(ムーニー粘度ML1+4(100℃):90、ヨウ素価:15、プロピレン含量:28質量%、以下「EPDM」と略す。)を31質量部、POxを1.4質量部およびHEMAを2.8質量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、同方向2軸押出機にてシリンダー設定温度160℃で混練し、変性熱可塑性組成物(1)を得た。
(押出成形品の作成)
Tダイシート成形機にて設定温度190℃で、厚さ2mmの押出シートを作成した。このシートを幅2cm、長さ10cmに切断し接着試験に供した。
【0029】
(積層体の作成および接着性評価)
金属板(鉄)の表面に、ウレタンシーラント(ハマタイトWS70、横浜ゴム(株)製)を厚さ1mmになるように塗布した。得られた被着体の表面に、前記シートを重ね合わせ、シートの上面から1kgの分銅で加圧して、48時間室温で放置した(なお、接着前に押出シートの接着面はトルエンでワイピングした。)。引張試験機を用いて剥離速度50mm/分、180度剥離で剥離試験を行った。ウレタンシーラントが剥離面の50%以上が凝集破壊している場合を○、剥離面の20〜50%が凝集剥離の場合を△、剥離面が界面剥離の場合を×とした。
【0030】
ガラス板の表面に、ガラス用プライマー(横浜ゴム(株)製)を塗布して5分間風乾した後、ウレタンシーラント(ハマタイトWS70、横浜ゴム(株)製)を厚さ1mmになるように塗布した。得られた被着体の表面に、前記シートを重ね合わせ、シートの上面から1kgの分銅で加圧して、48時間室温で放置した(なお、接着前に押出シートの接着面はトルエンでワイピングした。)。引張試験機を用いて剥離速度50mm/分、180度剥離で剥離試験を行った。ウレタンシーラントが剥離面の50%以上が凝集破壊している場合を○、剥離面の20〜50%が凝集剥離の場合を△、剥離面が界面剥離の場合を×とした。
接着強度は、金属板、ガラス板の両者とも、初期接着強度を示す初期接着性、80℃240時間経過後の強度を測定する耐熱テスト、40℃の温水中に240時間放置後の強度を測定する耐湿熱テストを行った。結果を表1に示す
【0031】
【表1】
Figure 0003987748
【0032】
<実施例2>
(変性熱可塑性組成物(2)の製造)
上記変性PP1を38質量部、EPRを31質量部、EPDMを31質量部、およびPOxを1.4質量部配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、同方向2軸押出機にてシリンダー設定温度160℃で混練し、変性熱可塑性組成物(2)を得た。
上記変性熱可塑性組成物(2)を実施例1と同様に成形した後、実施例1と同様に接着試験の評価を行った。結果を表1に示す。
【0033】
<実施例3>
実施例1で製造した変性熱可塑性組成物(1)の押出シートの表面をトルエンでワイピングした後、イソシアネート系プライマー(ハマタイトRC−50E、横浜ゴム(株)製)を塗布して5分間風乾した。次いで金属板(鉄)の表面に、ウレタン系シーラント(ハマタイトWS70、横浜ゴム(株)製)を厚さ1mmになるように塗布した。得られた被着体の表面に、前記シートのプライマー塗布面を重ね合わせて、シートの上面から1kgの分銅で加圧して、48時間室温で放置した。
ガラス板との接着については実施例1と同様に行い、いずれも実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0034】
<比較例1>
PPを19質量部、RPPを19質量部、EPRを31質量部、EPDMを31質量部、およびPOxを0.5質量部配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、同方向2軸押出機にてシリンダー設定温度160℃で混練し、熱可塑性組成物(3)を得た。
上記熱可塑性組成物(3)を実施例1と同様に成形し評価した。結果を表1に示す。金属板、ガラス板の両者に対して初期接着性、耐熱テスト、耐湿熱テストともいずれも不良であった。
【0035】
<比較例2>
PPを19質量部、RPPを19質量部、EPRを31質量部、EPDMを31質量部、POxを1.5質量部、およびHEMAを4.5質量部配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、同方向2軸押出機にてシリンダー設定温度160℃で混練し、変性熱可塑性組成物(4)を得た。
上記変性熱可塑性組成物(4)を実施例1と同様に成形し評価した。結果を表1に示す。金属板、ガラス板の両者に対して初期接着性は良好であったが、耐湿熱テストがやや不良、耐熱テストが不良であった。
【0036】
【発明の効果】
本発明の積層構造体は、オレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴムを、不飽和ヒドロキシ化合物および有機過酸化物の存在下に混練した後、次いでオレフィン系重合体ゴムおよび/またはオレフィン系重合体ゴムを配合し、有機過酸化物の存在下、あるいはさらに不飽和ヒドロキシ化合物の存在下に混練して得られた変性熱可塑性組成物を、ポリウレタン系接着剤を介して金属やガラス等の基材と積層した、層間の接着強度が強い積層体である。この結果、熱可塑性樹脂の有する成形性、柔軟性等の特性と基材の有する特性、例えば金属であれば耐久性、強度等を併せ持つ構造体となる。
これらは、冷凍機の壁体、冷蔵庫の外張、パネル、建物のルーフパネル、ドアーの内装材および外装材、テーブル、机などの表面、家具パネル、台所のキャビネット、自動車のインストルメント、パネルおよび内装材、自動車等の車両の窓ガラスのシーリング材の用途に適しており、中でも基材との接着面積が相対的に狭く、強い接着強度とともに、耐衝撃性、柔軟性、耐薬品性、耐溶剤、耐久性等を要求される用途においては極めて有効である。

Claims (3)

  1. オレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴムを、不飽和ヒドロキシ化合物および有機過酸化物の存在下に混練した後、さらに、オレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴムを配合し有機過酸化物の存在下に混練して得られた変性熱可塑性組成物をポリウレタン系接着剤を介して基材に接着してなる積層構造体。
  2. オレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴムを、不飽和ヒドロキシ化合物および有機過酸化物の存在下に混練した後、さらに、オレフィン系重合体および/またはオレフィン系重合体ゴムを配合し有機過酸化物および不飽和ヒドロキシ化合物の存在下に混練して得られた変性熱可塑性組成物をポリウレタン系接着剤を介して基材に接着してなる積層構造体。
  3. 前記変性熱可塑性組成物がオレフィン系重合体成分10から90質量%とオレフィン系重合体ゴム成分90から10質量%からなる組成物である請求項1または2のいずれかに記載の積層構造体。
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