JP3986917B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及び半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からダイオード、トランジスタ、集積回路等の電子部品は、主にエポキシ樹脂組成物を用いて封止されている。特に集積回路では、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及び溶融シリカ、結晶シリカ等の無機充填材を配合した耐熱性、耐湿性に優れたエポキシ樹脂組成物が用いられている。
ところが近年、電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向に伴い、半導体素子の高集積化が年々進み、また半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、半導体素子の封止に用いられているエポキシ樹脂組成物への要求は益々厳しいものとなってきている。半導体装置の表面実装化が一般的となって、特に環境負荷物質の撤廃の一環として、鉛を含まない半田への代替が進められている現状では、鉛を含まない半田が従来の半田に比べ融点が高いため、表面実装時のリフロー温度は、従来より20℃程度高く260℃が必要とされ、この半田リフロー温度の変更によって、エポキシ樹脂組成物の硬化物とパッドとの界面での剥離、半導体素子と半導体樹脂ペーストとの界面での剥離に起因する半導体装置のクラックの問題が生じてきた。
また、エポキシ樹脂組成物中には、通常、難燃性を付与するために臭素含有有機化合物等のハロゲン系難燃剤、及び三酸化ニアンチモン、四酸化ニアンチモン等のアンチモン化合物が配合されていることが多いが、近年、地球環境に配慮した企業活動の重視によって、有害性のおそれのある物質の削減・撤廃の動きがあり、ハロゲン系難燃剤、アンチモン化合物を使用しないで、難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物の開発が要求されていた。
半田クラックや剥離に対しては、半田リフロー処理前の半導体装置自身が吸湿し、半田リフロー処理時の高温下でその水分が水蒸気爆発を起こすことによって生じると考えられており、それを防ぐために、無機充填材を高充填したり、低吸湿性や強靭性をもつエポキシ樹脂やフェノール樹脂を用いたりして、エポキシ樹脂組成物に低吸湿性を付与する、強度を向上させる等の手法が検討され、また、環境負荷物質を使用せずに難燃性を付与するために、難燃性を持つエポキシ樹脂やフェノール樹脂、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等を用いる手法が検討されてきた。特に、これらの両者の特徴を併せ持つ一般式(1)のエポキシ樹脂と一般式(2)のフェノール樹脂を用いた検討が行われてきた。
【0003】
しかしながら、これらの一般式(1)のエポキシ樹脂と一般式(2)のフェノール樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、その樹脂の低弾性で燃え難いと言う特徴故、YAGレーザーによる捺印を行った時、パッケージ表面の捺印の字がくっきりとせず、レーザー捺印性が非常に悪いとという問題があり、このレーザー捺印性が悪いパッケージを製品として使用することが出来なかった。レーザー捺印性を向上するには、無機充填材を高充填化する方法があるが、無機充填材の高充填化を行うと、エポキシ樹脂組成物の流動性が著しく低下して、パッケージを封止成形する段階で未充填が起こるため好ましい方法とは言えず、流動性、充填性を保ちつつレーザー捺印性を良くする必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、流動性、耐半田クラック性、難燃性、且つ、特にレーザー捺印性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] (A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で示されるフェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)メディアン粒径が10〜40μmであり、粒径5.0×10-2μm以上、1.0μm未満の粒子を10〜15重量%、粒径1.0μm以上、10μm以下の粒子を5〜10重量%含み、比表面積が2〜10m2/gである溶融球状シリカを必須成分とし、上記溶融球状シリカが全エポキシ樹脂組成物中に84〜92重量%配合され、且つ、ブロム化エポキシ樹脂及びアンチモン化合物を使用しないことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
【0006】
【化3】
(式中のX1、X2は、炭素数1〜4のアルキル基から選択される基であり、互いに同一であっても、異なっていても良い。a,bは0〜4の整数、nは平均値で1〜5の正数)
【0007】
【化4】
(式中のY1、Y2は、炭素数1〜4のアルキル基から選択される基であり、互いに同一であっても、異なっていても良い。a,bは0〜4の整数、nは平均値で1〜5の正数)
[2] 第[1]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置、
である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる一般式(1)で示されるエポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、各エポキシ基間に疎水性構造を有することを特徴とする。一般式(1)で示されるエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、エポキシ基間の疎水性構造により架橋点間距離が長いためガラス転移温度を越えた高温域での弾性率が低く、表面実装型半導体装置に良く使用されているビフェニル型エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物と比較しても、疎水性構造を多く含むことから、吸水率がより低いという特徴があり、このことにより260℃での表面実装の半田付け時における熱応力にも耐え得るという特徴を発現できるものである。また、エポキシ基間の疎水性構造により架橋点間距離が長いことで、エポキシ樹脂組成物の硬化物は燃焼時の温度では非常に軟らかくなっているため、燃焼時に硬化物の内部で発生する熱分解ガスが、硬化物の層をゴムのように膨張させて発泡層を形成し、この発泡層による未燃焼部への酸素の遮断と断熱作用によって、難燃性が非常に高いという特徴を有している。この場合、燃焼時の温度域での弾性率が重要であり、硬化物の層が硬すぎると硬化物の内部で発生する熱分解ガスにより発泡層が形成されずに硬化物中に亀裂が発生してしまい、逆に硬化物の層が軟らかすぎると発泡層は形成されるものの発泡層が容易に壊れてしまうため、難燃性が低下するものと考えられる。一般式(1)で示されるエポキシ樹脂の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものでない。
【0009】
【化5】
(式中のnは平均値で、1〜5の正数)
【0010】
また本発明では、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂の特徴を損なわない範囲で、他のエポキシ樹脂を併用してもよい。併用できるエポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマー全般を言う。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格を有する)、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格等を有する)、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
一般式(1)で示されるエポキシ樹脂の使用量としては、全エポキシ樹脂中に70重量%以上が好ましい。下限値を下回ると、燃焼しやすくなったり、吸湿率が高くなったり、高弾性化による耐半田クラック性の低下が起こる可能性がある。
【0011】
本発明で用いられる一般式(2)で示されるフェノール樹脂は、1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有し、各フェノール性水酸基間に疎水性構造を有することを特徴とする。一般式(2)で示されるフェノール樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、疎水性の構造を多く含むことから吸湿率が低く、また架橋密度が低いためガラス転移温度を越えた高温域での弾性率が低いという特徴があり、表面実装の半田付け時における熱応力を低減し、耐半田クラック性、半田処理後の基材との密着性に優れるという特徴を有している。また、フェノール性水酸基間の疎水性構造により架橋点間距離が長いことで、エポキシ樹脂組成物の硬化物は燃焼時の温度では非常に軟らかくなっているため、燃焼時に硬化物の内部で発生する熱分解ガスが、硬化物の層をゴムのように膨張させて発泡層を形成し、この発泡層による未燃焼部への酸素の遮断と断熱作用によって、難燃性が非常に高いという特徴を有している。一般式(2)で示されるフェノール樹脂の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものでない。
【化6】
(式中のnは平均値で、1〜5の正数)
【0012】
本発明では、一般式(2)で示されるフェノール樹脂で示されるフェノール樹脂の特徴を損なわない範囲で、他のフェノール樹脂を併用してもよい。併用できるフェノール樹脂としては、分子内にフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマー全般を言う。例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格等を有する)、ナフトールアラルキル樹脂(フェニレン、ジフェニレン骨格等を有する)、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ビスフェノールA、トリフェノールメタン型樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
一般式(2)で示されるフェノール樹脂としては、全フェノール樹脂中に70重量%以上が好ましい。下限値を下回ると、流動性、硬化性の低下や十分な強度を得ることが出来ず、耐半田クラック性の低下が起こる可能性がある。
【0013】
一般式(1)で示されるエポキシ樹脂と一般式(2)で示されるエポキシ樹脂とを組み合わせることで、吸湿後の半田処理での耐半田クラック性、難燃性等の点で高い効果が得られる。
【0014】
本発明で用いられる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に使用されているものを広く使用することができる。例えば、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等のアミン系化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラ安息香酸ボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイルオキシボレート、テトラフェニルホスホニウム・テトラナフチルオキシボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機リン系化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化促進剤は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。これらの内では、特に1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7が、各種基材に対する密着性の向上のために有効であり、更にテトラフェニルホスホニウム・テトラナフトイックアシッドボレートは、エポキシ樹脂組成物の常温保管特性を大幅に向上させる効果がある。
【0015】
本発明で用いられる溶融球状シリカは、全エポキシ樹脂組成物中に84〜92重量%配合され、メディアン粒径が10〜40μmであり、粒径5.0×10-2μm以上、1.0μm未満の粒子を10〜30重量%、粒径1.0μm以上、10μm以下の粒子を5〜30重量%含み、比表面積が2〜10m2/gであるものとする必要がある。
【0016】
本発明において溶融球状シリカのメディアン粒径及び粒度分布は、JIS M8100 粉塊混合物−サンプリング方法通則に準じて溶融球状シリカを採取し、JIS R 1622−1995 ファインセラミックス原料粒子径分布測定のための試料調製通則に準じて溶融球状シリカを測定用試料として調製し、JIS R 1629−1997 ファインセラミックス原料のレーザー回折・散乱法による粒子径分布測定方法に準じて(株)島津製作所・製のレーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000(レーザー波長:405nm)を用いて、溶媒に水を用い、溶融球状シリカの屈折率が実数部1.45、虚数部0.00の条件のもと測定した値である。
これまで、無機充填材の粒度分布を調整して無機充填材の高充填化を図り、且つエポキシ樹脂組成物の流動性を向上させる方法(特開平5−218240号公報、特開平7−278415号公報)等が提案されていたが、無機充填材のサブミクロン域の粒度分布については触れられていない。本発明では、一般式(1)のエポキシ樹脂と一般式(2)のフェノール樹脂を使用したとき、粒径5.0×10-2μm以上、1.0μm未満の粒子を10〜30重量%、粒径1.0μm以上、10μm以下の粒子を5〜30重量%含み、更には、メディアン粒径が10〜40μm、比表面積が2〜10m2/gである溶融球状シリカを使用することで、流動性、耐半田クラック性、難燃性が良好で、特にYAGレーザー捺印性に良好なエポキシ樹脂組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至ったものである。YAGレーザー捺印とは、エポキシ樹脂組成物の硬化物の表面にレーザー光により結像焼付け加工を行うものである。エポキシ樹脂やフェノール樹脂のレジン分が表面に多い場合は、その可撓性であるという特性から焼きむらが多く、捺印性が不明瞭となり易いが、表面において無機充填材が多い程、その硬さがあるが故に、きれいに一様に焼き付けでき、そのため、捺印性が明瞭になる。本発明では、サブミクロン域の無機充填材の割合を多くして、比表面積を多くすること、即ち、単位面積あたりのYAGレーザー光の照射における無機充填材面積量を多くすることで、エポキシ樹脂組成物の硬化物へ良く焼き付けることができ、捺印性が明瞭になることを見出した。しかし、やみくもにサブミクロン域の無機充填材の粒度分布や比表面積を増やすと流動性、充填性が低下して、エポキシ樹脂組成物として成り立たなくなるため、無機充填材の粒度分布、比表面積、配合量等を最適化する必要があった。特に、熱により表面発泡層を形成するようなエポキシ樹脂組成物硬化物で、無機充填材の粒度分布、比表面積、配合量等を最適化せず作製した場合には、YAGレーザーによる焼き付け加工がきれいに出来ず、捺印性が不明瞭となることが多かったため、本発明の手段が有効であった。
【0017】
溶融球状シリカのメディアン粒径が10〜40μmの範囲を外れると、流動性、充填性が低下するので好ましくない。また、粒径5.0×10-2μm以上、1.0μm未満の粒子が10重量%未満だとYAGレーザー捺印性、バリ特性が低下し、30重量%を越えると流動性、充填性が著しく低下するので好ましくない。更に、粒径1.0μm以上、1.0×10μm以下の粒子が5重量%未満だとYAGレーザー捺印性、バリ特性が低下し、30重量%を越えると流動性、充填性が著しく低下するので好ましくない。
【0018】
なお、本発明において溶融球状シリカの比表面積は、JIS R 1626−1996 ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法に準じて、窒素を吸着質として用い、BET1点法によって測定した値である。比表面積が2m2/g未満だとYAGレーザー捺印性が低下し、10m2/gを越えると流動性、充填性が低下するので好ましくない。
【0019】
また、本発明の溶融球状シリカの含有量が全エポキシ樹脂組成物中に84重量%未満だと、YAGレーザー捺印性、バリ特性が低下し、また低吸湿性が得られず耐半田クラック性が不十分となるので好ましくない。92重量%を越えると、流動性が低下し、成形時に充填不良等が生じたり、高粘度化による半導体装置内の金線変形等の不都合が生じたりするおそれがあるので好ましくない。
【0020】
本発明の溶融球状シリカは、予め十分に混合しておくことが好ましい。また必要に応じて溶融球状シリカをカップリング剤やエポキシ樹脂或いはフェノール樹脂で予め処理して用いてもよく、処理の方法としては、溶剤を用いて混合した後に溶媒を除去する方法や直接溶融球状シリカに添加し、混合機を用いて処理する方法等がある。
【0021】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)成分の他、必要に応じて酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属酸化物等の環境対応難燃剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合しても差し支えない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)成分、及びその他の添加剤等、ミキサー等を用いて常温混合し、ロール、ニーダー、押出機等の混練機で加熱混練、冷却後粉砕して得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、電気部品或いは電子部品であるトランジスタ、集積回路等の被覆・絶縁・封止等に適用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で成形硬化すればよい。
【0022】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。各成分の配合割合は重量%とする。使用した溶融球状シリカのメディアン粒径、粒度分布、比表面積を表1に示す。溶融球状シリカのメディアン粒径、粒度分布は、(株)島津製作所・製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000(レーザー波長:405nm)を用いて測定し、比表面積はユアサアイオニクス(株)・製直読式比表面積測定装置モノソープ(自動検量・BET多点測定仕様)を用いて測定した。
【表1】
【0023】
<実施例1>
エポキシ樹脂a:式(9)で示されるエポキシ樹脂(軟化点60℃、150℃でのICI溶融粘度0.8×102mPa・s、エポキシ当量270)7.70重量%
【化7】
【0024】
フェノール樹脂c:式(10)で示されるフェノール樹脂(軟化点70℃、150℃でのICI溶融粘度1.0×102mPa・s、水酸基当量203)5.75重量%
【化8】
【0025】
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUという) 0.35重量%
溶融球状シリカA 85.00重量%
カーボンブラック 0.40重量%
カルナバワックス 0.40重量%
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 0.40重量%
をミキサーを用いて常温で混合し、70〜110℃でロールを用いて混練して、冷却後粉砕し、タブレット化してエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0026】
評価方法
・スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件で測定した。単位はcm。
・充填性:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.3MPa、硬化時間60秒の条件で176pLQFP(パッケージサイズ24mm×24mm×厚さ1.4mm、半導体素子のサイズ9.5mm×9.5mm)を成形し、パッケージ100個のうち未充填のパッケージ個数が10個以上を×、1〜9個を△、0個を○で表した。
・耐半田クラック性:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.3MPa、硬化時間60秒の条件で160pLQFP(パッケージサイズ24mm×24mm×厚さ1.4mm、半導体素子のサイズ7.0mm×7.0mm)を成形し、ポストキュアとして175℃で、8時間処理したパッケージ10個を85℃、相対湿度60%の環境下で168時間放置し、その後260℃の半田槽に10秒間浸漬した。処理後の内部の剥離又はクラックの有無を超音波探傷機で観察し、不良パッケージの個数を数えた。不良パッケージの個数がn個であるときn/10と表示する。
・難燃性:低圧トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120sで試験片を成形し、ポストキュアとして175℃で8時間処理した後、UL−94垂直試験(試験片厚さ1/8inch)を行い、難燃性を判定した。
・YAGレーザー捺印性:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.3MPa、硬化時間60秒の条件で160pLQFP(パッケージサイズ24mm×24mm×厚さ1.4mm、半導体素子のサイズ7.0mm×7.0mm)を成形し、ポストキュアとして175℃で、8時間処理した。160pLQFPのパッケージ上に、レーザーマーカ(NEC製:SL476B(パルス励起Nd:YAGレーザー方式))を用いて、電圧2.4KV、パルス幅120μSの条件でアルファベット26文字を15mm×3mm(1文字辺りの大きさ1mm×1mm)の大きさでレーザー捺印した。捺印性について、濃さ、くっきり度、文字に欠けがないかをチェックして、全てが良好なものを○、そうでないものを×で表した。
【0027】
<実施例2、参考例1〜2、比較例1〜6>
実施例1以外で用いた材料を以下に示す。
エポキシ樹脂b:式(11)で示されるエポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂(融点105℃、150℃でのICI溶融粘度0.2×102mPa・s、エポキシ当量185)
【化9】
【0028】
フェノール樹脂d:式(12)で示されるフェノール樹脂(軟化点60℃、150℃でのICI溶融粘度0.9×102mPa・s、水酸基当量168)
【化10】
【0029】
表2の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【表2】
【0030】
【発明の効果】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は流動性、耐半田クラック性、難燃性、且つ、特にレーザー捺印性に優れる。
Claims (2)
- (A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で示されるフェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)メディアン粒径が10〜40μmであり、粒径5.0×10-2μm以上、1.0μm未満の粒子を10〜15重量%、粒径1.0μm以上、10μm以下の粒子を5〜10重量%含み、比表面積が2〜10m2/gである溶融球状シリカを必須成分とし、上記溶融球状シリカが全エポキシ樹脂組成物中に84〜92重量%配合され、且つ、ブロム化エポキシ樹脂及びアンチモン化合物を使用しないことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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