JP3986662B2 - トラバース駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
光学式情報記録媒体(光ディスク等)に対し情報を記録し再生する際に、その偏心量に応じてトラバース制御を行うトラバース駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光ピックアップ送りを制御する装置としては、例えば、公開特平6−76312号公報に開示されているようなものがあった。
以下、図5を参照して、従来の光ピックアップ送りを制御する装置の一例について説明する。図5は従来の光ピックアップ送り制御装置の一例としての従来のトラバース駆動装置の構成を示すブロック図である。
【0003】
図5において、Aはスピンドルモータ4によって回転する光ディスク、1は光ディスクAに記録される情報を記録し再生する光ピックアップであって、1Aの光ディスクA上にレーザー光を集光させてデータを書き込み読み出すレンズと、1Bのレンズ1Aを上下方向(以下、フォーカス方向という)及びディスク半径方向(以下、トラッキング方向という)へ微少移動させる密アクチュエータと、1Cのレンズ1Aと密アクチュエータ1Bとを搭載するキャリッジとから構成される。
【0004】
また、2はキャリッジ1c自体をトラッキング方向に移動させる機構としてのトラバースモータ、3はトラバースモータ2の駆動力をキャリッジ1Cに伝達する動力伝達機構であって、光ピックアップ1とトラバースモータ2と動力伝達機構3とによりトラバース機構を構成する。さらに、4は光ディスクAを回転するスピンドルモータ、6はレンズシフト量を含むトラッキングエラー(TE)信号を検出するTE信号検出手段、7はスピンドルモータ4と密アクチュエータ1Bとトラバースモータ2の制御及び駆動を行う回路としての制御部、8はトラッキングエラー(TE)信号に従い密アクチュエータ1Bの微少移動を制御するトラッキングサーボフィルタ、9はキャリッジ1Cの移動が必要か否かを決定するためレンズシフト量の検出を行うレンズシフト量検出手段、10はトラッキングエラー信号からレンズシフト量を検出してトラバースモータ2に対し駆動電圧を供給するトラバースサーボフィルタである。
【0005】
上記の構成において、光ピックアップ1とトラバースモータ2と動力伝達機構3と制御部7とによりトラバース駆動装置を構成する。すなわち、以上説明した構成により、レンズ1Aがキャリッジ1Cの中心からずれた量(以下、レンズシフト量という)に応じてトラバースモータ2に対し駆動電圧を供給し停止するもので、このように構成した装置を総称してトラバース駆動装置と呼ぶ。なお、フォーカスサーボ等の光ディスク装置に標準的に備わる構成要素で、本発明のトラバース駆動装置に関連の少ないものについては説明を省略する。
【0006】
次に、図5及び図10を参照して、上記従来の光ディスク装置におけるトラバース駆動装置の動作について説明する。光ディスクAを記録・再生する時には、キャリッジ1Cをトラッキング方向へ送る動作(以下、光軸補正送りという)が発生する。記録・再生動作中、光ピックアップ1のレンズ1Aは密アクチュエータ1Bによりトラッキング方向の外周へ向かって微少移動しながら、回転する光ディスクAのトラックをトレースしながらデータの書き込みまたは読み出しを行う。
【0007】
密アクチュエータ1Bは精密な移動を行うことができる可動範囲が狭いため、所定の距離以上にレンズ1Aが中心からずれた時(レンズシフトが発生したとき)キャリッジ1Cを移動させて再びレンズ1Aをキャリッジ1Cの中心位置付近に戻す必要がある。キャリッジ1Cを動かすために、動力伝達機構3の摩擦負荷を越えてキャリッジ1Cを移動するだけの駆動電圧を、トラバースモータ2に供給し、動力伝達機構3を介してキャリッジ1C本体をトラッキング方向へ移動するように動作する。
【0008】
すなわち、制御部7では、常時密アクチュエータ1Bを光ディスクAのトラックに追従させる制御(トラッキング制御)と、必要に応じてトラバースモータ2を駆動して、レンズ1Aをキャリッジ1Cの中心付近に位置させる制御(トラバース制御)とを同時に行うようにしている。
【0009】
図5および図10のフローチャートを参照して、上記従来のトラバース駆動装置の動作をさらに詳細に説明する。まず、記録・再生動作の指令を受け取ると、レンズシフト量検出手段9によりレンズシフト量の検出を行い(ステップS501)、キャリッジ1Cの移動が必要か否かを決定する。シフト量がしきい値未満で密アクチュエータ1Bの可動範囲内である場合は(ステップS502)、密アクチュエータ1Bによりトラッキング方向への微少送りを行う(ステップS503)。
【0010】
トラッキング方向への微少送りの結果、次第にレンズシフト量が大きくなり、しきい値以上となったことが検出されたときに(ステップS502)、レンズシフト量に応じた値の駆動電圧をトラバースモータ2に与え(ステップS504)、キャリッジ1Cをレンズシフトがキャンセルされる方向(通常は外周方向)へ移動させる。キャリッジ1Cが移動したことにより、レンズシフト量が減少して再びしきい値未満になったことが検出されたときに(ステップS505)、トラバースモータ2に対する供給電圧を停止して(ステップS506)、1回目の光軸補正送りが終了する。再び密アクチュエータ1Bによるレンズ1Aの移動のみの制御になり、記録・再生動作中は以上の動作を繰り返す。
【0011】
次に、光ディスクAに偏心があった場合について説明する。光ディスクAに偏心があった場合、その偏心周波数はディスク回転数に依存して発生する。光ディスクAの偏心はトラックの偏心となって現れるため、記録・再生動作中の光ピックアップ1のレンズ1Aはその偏心に対し追従して移動し、トラックを正確にトレースしなければならない。
【0012】
一方、トラバースモータ駆動電圧を生成するためのエラー信号は、通常光ピックアップ1のトラッキング方向の密アクチュエータ1Bに対するものと同じエラー信号を用いるため、ディスクAに偏心が存在すると、光ピックアップ1のレンズ1Aと同じように、その偏心に追従してキャリッジ1Cを移動しようとするトラバースモータ駆動電圧が発生する。
【0013】
しかしながら、光ピックアップ1のキャリッジ1Cが偏心に追従して動作した場合、以下のような問題が発生する。
第1に、キャリッジ1Cの移動は密アクチュエータ1Bの動作と重なるため、キャリッジ1Cの総移動量が大きくなりトラバースモータ2やその他摺動部品の寿命を縮めてしまうことになる。
【0014】
第2に、トラバース機構はギヤ機構で構成されるため、バックラッシがあった場合、回転方向の反転時にバックラッシによるギヤの衝突が生じ、ギヤの衝突の影響が光ピックアップ1に伝達されてサーボ系に悪影響を与えることになる。この悪影響を与えないようにするためには、光ディスクAの偏心に対し、ピックアップ1のレンズ1Aは偏心に追従して移動させるが、キャリッジ1Cは偏心に追従して移動しないように制御しなければならない。
【0015】
前述の特開平6−76312号公報に記載されている例では、光ディスクの偏心量を検出し、その偏心量に応じてトラバースサーボのゲインを設定するようにして光軸補正送りの安定化を図るようにしている。
このように、従来の光ディスクのトラバース駆動装置においても光軸補正送り動作を制御することができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のトラバース駆動装置においては、CDやCD−ROM、DVD等さまざまなディスクを使用し、かつ使用温度範囲が広範囲である車載用AV機器のような場合には、下記のような問題が発生する。
車載仕様では使用温度範囲が広いため、サーボ系のゲイン変動要因も大きくなり、その上、規格で定められている偏心量の数倍の大きさのディスクを使用する場合があり、このときは、数種のディスク使用をサポートするため偏心の周波数帯域が複数存在することになり、偏心量が大きなディスクを再生した場合に、キャリッジがディスクの偏心に追従した形で送り方向を変化させながら移動すると、ディスクの偏心に影響されてサーボ系に悪影響を与え、動作性能が変動するという問題があった。
【0017】
さらに、使用温度範囲が広いと、高温での樹脂部品の膨張を考慮してトラバース機構のギヤ部にバックラッシを設ける必要がある。したがって、ディスクの偏心に追従してキャリッジが動作するとギヤの回転方向の反転時にギヤ間の衝突が発生し、この振動が光ピックアップに伝達されてサーボ系に悪影響を与えることになる。また、それ以外にも、光ディスクの偏心に追従してキャリッジが移動すると、トラバース機構の部品寿命の観点からも不利な要因となる。そのため、コストアップを容認してメカ設計を行うか、または温度使用範囲や使用できるディスクの偏心量等の仕様を下げなければならない、という問題があった。
【0018】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、キャリッジが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止し、密アクチュエータの微少移動では偏心に追従して移動し得なくなったときに、始めてキャリッジを必要な量だけ移動させるようにしたことにより、各種異なる光ディスクの使用をサポートするとともに、偏心量の大きな光ディスクを車載仕様環境のような使用温度範囲が広い環境の下で使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現する光ディスクのトラバース駆動装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明におけるトラバース駆動装置は、上記目的を達成するため、光ディスクに対し情報を記録し再生する光ピックアップと、光ディスクに対する相対位置を制御しながらディスク半径方向に光ピックアップを移動するトラバース機構と、光ディスクの回転数を検出するディスク回転数検出手段と、光ディスクの回転数に応じて制御部に不感帯を設けるか否かを判定する不感帯必要性判定手段と、前記判定の結果に基づき制御部に不感帯を設ける不感帯設定手段とで構成され、ディスク回転数に基づきレンズシフト量に応じ不感帯を設けてトラバース機構の駆動を制御するようにしたものである。
【0020】
本発明は、キャリッジの移動に不感帯を設けてキャリッジが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止し、密アクチュエータの微少移動では偏心に追従して移動し得なくなったときに移動させるようにしたことにより、偏心量の大きな光ディスクを使用温度範囲が広い環境の下で使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現するトラバース駆動装置が得られる。
【0021】
本発明におけるトラバース駆動装置は、上記目的を達成するため、使用する光ディスクを検出する使用ディスク検出手段を設け、使用する光ディスクに応じて制御部にトラバース機構の駆動を停止する不感帯を設けるか否かを判定するするようにしたものであり、光ディスクの種類が異なり偏心量の大きな光ディスクを使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現するトラバース駆動装置が得られる。
【0022】
本発明におけるトラバース駆動装置は、上記目的を達成するため、光ディスクの回転数を検出するディスク回転数検出手段と、周囲温度を検出する周囲温度検出手段とを設け、ディスク回転数及び周囲温度に応じて制御部にトラバース機構の駆動を停止する不感帯を設けるか否かを判定するようにしたものであり、回転数の異なる光ディスクを使用温度範囲が広い環境の下で使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現するトラバース駆動装置が得られる。
【0023】
本発明におけるトラバース駆動装置は、上記目的を達成するため、使用する光ディスクを検出する使用ディスク検出手段と、周囲温度を検出する周囲温度検出手段とを設け、使用する光ディスク及び周囲温度に応じて制御部にトラバース機構の駆動を停止する不感帯を設けるか否かを判定するするようにしたものであり、偏心量の大きな光ディスクを使用温度範囲が広い環境の下で使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現するトラバース駆動装置が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本願発明におけるトラバース駆動装置は、光ディスクに対し情報を記録し再生する光ピックアップと、光ディスクに対する相対位置を制御しながらディスク半径方向に光ピックアップを移動するトラバース機構と、光ディスクの回転数を検出するディスク回転数検出手段と、光ディスクの回転数に応じて制御部に不感帯を設けるか否かを判定する不感帯必要性判定手段と、前記判定の結果に基づき制御部に不感帯を設ける不感帯設定手段とからなり、ディスク回転数に基づきレンズシフト量に応じて不感帯を設け前記トラバース機構の駆動を制御するようにしたものであり、キャリッジの移動に対しディスク回転数に応じた不感帯を設けて、キャリッジが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止するようにしたことにより、回転数が異なり、偏心量の大きな光ディスクを使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジの不要動作発生を防止し、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現することができるという作用を有する。
【0025】
本願発明におけるトラバース駆動装置は、光ディスクに対し情報を記録し再生する光ピックアップと、光ディスクに対する相対位置を制御しながらディスク半径方向に光ピックアップを移動するトラバース機構と、使用する光ディスクを検出する使用ディスク検出手段と、使用する光ディスクに応じて制御部に不感帯を設けるか否かを判定する不感帯必要性判定手段と、前記判定の結果に基づき制御部に不感帯を設ける不感帯設定手段とからなり、使用する光ディスクに基づきレンズシフト量に応じて不感帯を設け前記トラバース機構の駆動を制御するようにしたものであり、キャリッジの移動に使用ディスクの種類に応じた不感帯を設けて、キャリッジが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止するようにしたことにより、偏心量の大きな光ディスクを使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジの不要動作発生を防止し、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現することができるという作用を有する。
【0026】
本願発明におけるトラバース駆動装置は、光ディスクに対し情報を記録し再生する光ピックアップと、光ディスクに対する相対位置を制御しながらディスク半径方向に光ピックアップを移動するトラバース機構と、光ディスクの回転数を検出するディスク回転数検出手段と、周囲温度を検出する周囲温度検出手段と、光ディスクの回転数及び周囲温度に応じて制御部に不感帯を設けるか否かを判定する不感帯必要性判定手段と、前記判定の結果に基づき制御部に不感帯を設ける不感帯設定手段とからなり、光ディスクの回転数及び周囲温度に基づきレンズシフト量に応じて不感帯を設け前記トラバース機構の駆動を制御するようにしたものであり、キャリッジの移動にディスク回転数及び周囲温度に応じた不感帯を設けて、キャリッジが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止するようにしたことにより、回転数の異なる光ディスクを使用温度範囲が広い環境の下で使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現し、動作性能の劣化を防止することができるという作用を有する。
【0027】
本願発明におけるトラバース駆動装置は、光ディスクに対し情報を記録し再生する光ピックアップと、光ディスクに対する相対位置を制御しながらディスク半径方向に光ピックアップを移動するトラバース機構と、使用する光ディスクを検出する使用ディスク検出手段と、周囲温度を検出する周囲温度検出手段と、使用する光ディスク及び周囲温度に応じて制御部に不感帯を設けるか否かを判定する不感帯必要性判定手段と、前記判定の結果に基づき制御部に不感帯を設ける不感帯設定手段とからなり、使用する光ディスク及び周囲温度に基づきレンズシフト量に応じて不感帯を設け前記トラバース機構の駆動を制御するようにしたものであり、キャリッジの移動に使用ディスクの種類及び周囲温度に応じた不感帯を設けて、キャリッジが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止するようにしたことにより、偏心量の大きな光ディスクを使用温度範囲が広い環境の下で使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現し、動作性能の劣化を防止することができるという作用を有する。
【0028】
本願発明における光ディスク装置は、請求項1、2、3または4に記載のトラバース駆動装置を搭載し、設定された不感帯に基づき前記トラバース機構の駆動を制御するようにしたものであり、キャリッジの移動に対しディスク回転数、使用ディスクの種類、周囲温度等に応じた不感帯を設けて、キャリッジが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止するようにしたことにより、回転数が異なり偏心量の大きな光ディスクを使用温度範囲が広い環境の下で使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現することができるという作用を有する。
【0029】
本願発明におけるナビゲーションシステムは、請求項1、2、3または4に記載のトラバース駆動装置を装備し、設定された不感帯に基づき前記トラバース機構の駆動を制御するようにしたものであり、キャリッジの移動に対しディスク回転数、使用ディスクの種類、周囲温度等に応じた不感帯を設けて、キャリッジが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止するようにしたことにより、回転数が異なり偏心量の大きな光ディスクを使用温度範囲が広い環境の下で使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現することができるという作用を有する。
【0030】
以下、添付図面、図1乃至図4、図6乃至図12に基づき、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、図1、図2、図11及び図12を参照して、本発明の実施の形態1におけるトラバース駆動装置を説明する。図1は本発明の実施の形態1におけるトラバース駆動装置の構成を示すブロック図、図2は図1に示すトラバース駆動装置における光軸補正送り動作を示すフローチャート、図11は偏心光ディスクの使用時における信号波形を示す図であり、(A)は本発明による駆動例を示し、(B)は従来方式による駆動例を示し、図12はトラバース機構の応答特性を示すグラフ図である。
【0031】
図1において、Aはスピンドルモータ4によって回転する記録媒体としての光ディスク、1は光ディスクAに記録される情報を記録し再生する光ピックアップであって、1Aの光ディスクA上にレーザー光を集光させてデータを書き込み読み出すレンズと、1Bのレンズ1Aを上下方向(以下、フォーカス方向という)及びディスク半径方向(以下、トラッキング方向という)へ微少移動させる密アクチュエータと、1Cのレンズ1Aと密アクチュエータ1Bとを搭載するキャリッジとから構成される。
【0032】
また、2はキャリッジ1C自体をトラッキング方向に移動させる機構としてのトラバースモータ、3はトラバースモータ2の駆動力をキャリッジ1Cに伝達する動力伝達機構であって、光ピックアップ1とトラバースモータ2と動力伝達機構3とによりトラバース機構を構成する。さらに、4は光ディスクAを回転するスピンドルモータ、6はレンズシフト量を含むトラッキングエラー(TE)信号を検出するTE信号検出手段、7はスピンドルモータ4と密アクチュエータ1Bとトラバースモータ2の制御及び駆動を行う回路としての制御部、8はトラッキングエラー(TE)信号に従い密アクチュエータ1Bの微少移動を制御するトラッキングサーボフィルタ、9はキャリッジ1Cの移動が必要か否かを決定するためレンズシフト量の検出を行うレンズシフト量検出手段、10はトラッキングエラー信号からレンズシフト量を検出してトラバースモータ2に対し駆動電圧を供給するモータドライブ出力演算手段としてのトラバースサーボフィルタである。更に、11はディスク回転数検出手段、12は不感帯必要性判定手段、13は不感帯設定手段であり、新たに加えられた構成要素である。
【0033】
上記の構成において、光ピックアップ1とトラバースモータ2と動力伝達機構3と制御部7とによりトラバース駆動装置を構成する。すなわち、以上説明した構成により、レンズ1Aがキャリッジ1Cの中心からずれた量(以下、レンズシフト量という)に応じてトラバースモータ2に対し駆動電圧を供給し停止するもので、このように構成した装置を総称してトラバース駆動装置と呼ぶ。なお、フォーカスサーボ等の光ディスク装置に標準的に備わる構成要素で、本発明のトラバース駆動装置に関連の少ないものについては説明を省略する。
【0034】
次に、図1及び図6を参照して、本発明の実施の形態1におけるトラバース駆動装置の動作を説明する。光ディスクAの記録・再生動作中、光ピックアップ1のレンズ1Aは密アクチュエータ1Bの駆動によるトラッキング方向の外周へ向かう微少移動と、トラバースモータ2によるキャリッジ1Cのトラッキング方向への光軸補正送りとが行われ、回転する光ディスクAのトラックをトレースしてデータの書き込みまたは読み出しが行われる。
【0035】
密アクチュエータ1Bは精密な移動を行うことができる可動範囲が狭いため、所定の距離以上にレンズ1Aが中心からずれた時(レンズシフトが発生したとき)キャリッジ1Cを移動させて再びレンズ1Aをキャリッジ1Cの中心位置付近に戻す必要がある。キャリッジ1Cを動かすために、動力伝達機構3の摩擦負荷を越えてキャリッジ1Cを移動するだけの駆動電圧を、トラバースモータ2に供給し、動力伝達機構3を介してキャリッジ1C本体をトラッキング方向へ移動するように動作する。
【0036】
すなわち、制御部7では、常時密アクチュエータ1Bを光ディスクAのトラックに追従させる制御(トラッキング制御)と、必要に応じてトラバースモータ2を駆動して、レンズ1Aをキャリッジ1Cの中心付近に位置させる制御(トラバース制御)とを同時に行うようにしている。
【0037】
通常レンズシフト量を検出する手段としてはトラッキングエラー(TEという)信号を用い、同信号の低域成分を抽出して増幅するようなフィルタ(トラバースサーボフィルタ10)を制御部7の内部で演算処理しトラバースモータドライブ出力を生成する。トラバースサーボの追従周波数帯域は非常に低く、同帯域でのフィルタ特性はフラットであるため、レンズシフト量とトラバースモータドライブ出力の関係はほぼ比例関係にある。
【0038】
トラバースサーボフィルタ10をデジタルフィルタで構成した場合、図1に示すような構成となる。Meはデジタルフィルタ通過前のTE信号に相当する値が格納されたレジスタで、この値を読み取ることによってレンズシフト量が検出できる。Mvはデジタルフィルタ通過後の値が格納されているレジスタで、この値を読み取ることでトラバースモータ2への駆動電圧を検出することができる。
【0039】
通常、光ディスクAに偏心がある場合、トラッキングエラー信号に偏心成分が現れる(図11のB1)。通常は偏心成分に対しキャリッジ1Cが追従して動かないようにサーボ系を設計する。しかし、使用温度範囲が広範囲でサーボ系のゲイン変動が大きな車載仕様では、高温下でキャリッジ1Cの動作感度が高い状態になった上に偏心量が大きい光ディスクAを使用することがあり、この場合はキャリッジ1Cが偏心成分に追従して揺動してしまうことになる。
一方、トラバース機構の応答特性は、下記の伝達関数で表わされる。
【0040】
【数1】
【0041】
また、CDやCD−ROM等の光ディスクAでは、光ディスクAによって記録されている線速度が異なるため、再生中のディスク回転数も異なる。
なお、線速度とはディスクに情報が記録されている速度を表し、CDではディスク全面にわたって同密度の情報量を記録するため、内周ではディスクを高速回転にし、外周ではディスクを低速することにより、線速度を一定にする方式(以下、CLV方式(Constant Linear Velocity) という)を採用している。その他の光ディスクでは、ある領域だけ線速度が一定となるZCLV (Zone Constant Linear Velocity) 方式も採用されている。
【0042】
例えば、CDでは線速度一定(CLV方式)の1倍速で情報が記録され、CD−ROMではCDの数倍速いディスク回転数(以下、n倍速という)で読み出しを行うようにしている。CLV方式では光ディスクAの内周と外周では回転数が異なり、CDでは200〜540rpm、n倍速CD−ROMでは(200n)〜(540n)rpmの回転数となる。
また、ディスク回転数と偏心周波数とは下記〔数2〕で示されるような関係にある。
【0043】
【数2】
【0044】
したがって、偏心周波数は、CDでは3.3〜8.9Hz、n倍速CD−ROMでは(3.3n)〜(8.9n)Hzとなる。
DVD−RAM等他の光ディスク装置ではZCLV方式が採用されているが、光軸補正送りに関しては、n倍速の動作と同様に考えることができるため、これ以上説明は省略する。
【0045】
図12から明らかなように、光ディスク低速回転時のトラバース系の応答ゲインは高く、高速回転での応答性は低い。したがって、ディスク回転数が低いCDでは、偏心に追従してキャリッジ1Cが動き易い。また、ディスク回転数が高いn倍速CD−ROMでは、偏心成分がトラバース駆動電圧内に現れてもキャリッジ1Cは応答しない。したがって、光ディスクAの低速回転時には高速回転時よりも制御ゲインを低く設定することによりキャリッジ1Cの揺動を回避することができる。
【0046】
しかし、温度条件が加わり、高温時にキャリッジ1Cの応答ゲインが高くなった上に偏心量の大きな光ディスクAを用いた場合、低速回転時はゲイン設定の変更のみでは対応しきれず、制御部7に不感帯を導入することにより偏心に対する追従性を下げる必要がある。
【0047】
一方、ディスク回転数が高いときは、目標トラックのトラッキング方向相対位置変化速度も高いため、光軸補正送りの発生間隔がディスク回転数に比例して短くなる。このため、高速回転時においても不感帯を用いた制御方式を採用すると制御部7の処理が煩雑になり、制御部7の処理能力によっては光軸補正送り動作が正常に行われない場合がある。したがって本実施の形態では、光ディスク高速回転時には通常のサーボフィルタによる制御を行い、光ディスク低速回転時には制御部7に不感帯を設けるという構成をとる。
【0048】
次に、主に図6のフローチャートを参照して、キャリッジ1Cの光軸補正送り動作を詳細に説明する。まず、記録・再生動作の指令を受け取ると、レンズシフト量検出手段9によりレンズシフト量の検出を行い(ステップS101)、キャリッジ1Cの移動が必要か否かを決定する。シフト量がしきい値未満で密アクチュエータ1Bの可動範囲内である場合は(ステップS102)、密アクチュエータ1Bによりトラッキング方向への微少送りを行う(ステップS103)。
【0049】
トラッキング方向への微少送りの結果、次第にレンズシフト量が大きくなり、しきい値以上となったことが検出されたときに(ステップS102)、光軸補正送りに入り、ディスク回転数Nを検出する(ステップS104)。
ディスク回転数の検出は例えば以下のようにして求めることができる。
スピンドルモータ4にFG(周波数発生)信号を発生するもの、例えば1周期n個のホール素子を持つモータを使用した場合、ホール素子を通過した際に検出される信号から、ホール素子間の通過時間Tgを検出し、下記〔数3〕により偏心周波数fhを求めることができる。
【0050】
【数3】
【0051】
不感帯必要性判定手段12では、偏心周波数fhと切り替え周波数fcとの比較を行って、以下の判定を行う(ステップS105)。
fh ≦ fc ならば、制御部に不感帯を設定する。
fh > fc ならば、制御部に不感帯を設定しない。
切り替え周波数fcは、基準ドライブでの測定値を用いて値を決定して、制御部7内に格納する。fcの測定方法としては、例えば、トラバースモータ2に一定電圧の駆動力を与え、ギヤ部のバックラッシに動作が吸収されてキャリッジ1Cの変位が現れないような限界周波数を測定することにより求めることができる。
【0052】
制御部不感帯(制御部7で生成される不感帯)は制御部7により以下の手順に従って生成される。記録・再生動作のコマンドを受け取ると制御部7内部のトラバースサーボフィルタ10では、まず出力のゲインKをゼロに設定してモータへの電圧供給を停止し(ステップS106)、制御部不感帯量をDzに設定する。制御部不感帯量をDzは基準ドライブにおける測定結果を用いて予め値を決定し、制御部内に格納しておく。制御部不感帯量をDzに決定する方法としては、例えば、上記で決定した周波数fc以下の周波数帯域でトラバースモータに、駆動力を与え、ギヤ部のバックラッシに動作が吸収されてキャリッジの変位が表われないような限界電圧値を測定することにより求めることができる。
【0053】
レンズシフト量検出手段9によりレンズシフト量Meを検出しMeがDz以下ならば出力ゲインKをゼロに設定したままにしてトラバースモータへの駆動電圧を供給しない。MeがDz以上になった時、出力ゲインKを 1 に設定してトラバースモータへの駆動電圧の供給を行う(S109)。また、不感帯を設定しない場合は、出力ゲインKを常に1に設定して、トラバースモータ2に駆動電圧を供給する(ステップS110)。
【0054】
光軸補正送り中は、モータドライブ出力演算手段(本例ではトラバースサーボフィルタ10)によりレンズシフト量に対応したモータドライブ出力Mvが演算される(ステップS107、S111)。レンズシフト量Meが所定値を越えたときに(ステップS108)、トラバースサーボフィルタ10の出力ゲインを1にすることによって(ステップS109)、トラバースモータ2に駆動電圧が供給される。トラバースモータ2が発生する駆動トルクが摩擦負荷よりも小さい間はキャリッジ1Cは動かず、レンズ1Aのみがトラックに追従して動くため、レンズシフト量が増加する。レンズシフト量が増加している間はモータ電圧も上昇し続ける。摩擦負荷とモータ駆動トルクが合致した時にキャリッジ1Cが動く。キャリッジ1Cが動いたことによりレンズシフト量がしきい値以下になった時(ステップS112)に、トラバースモータ2に対する駆動電圧の供給を停止して(ステップS113)光軸補正送り動作を終了する。
【0055】
上記実施の形態1によれば、トラバース駆動装置による光軸補正送り動作において、ディスク回転数から偏心周波数を検出し、偏心周波数に対するトラバース機構の応答特性の違いを利用してディスク回転数に応じ不感帯の設定を行うことにより、光軸補正送り動作中の不要動作発生を防止して送りの安定化を図り、動作性能の劣化を防止することができる。
【0056】
(実施の形態2)
次に、図2及び図7を参照して、本発明の実施の形態2におけるトラバース駆動装置について説明する。図2は本発明の実施の形態2におけるトラバース駆動装置の構成を示すブロック図、図7は図2に示すトラバース駆動装置における光軸補正送り動作を示すフローチャートである。
図2において、21は使用光ディスク検出手段、22は不感帯必要性判定手段、23は不感帯設定手段であり、その他図1に示す符号と同一の符号を有する図2の構成部は図1のものと同様のため再度の説明は省略する。
【0057】
次に、図2及び図7を参照して、本発明の実施の形態2におけるトラバース駆動装置の動作を説明する。光ディスクAの記録・再生動作中、光ピックアップ1のレンズ1Aは密アクチュエータ1Bの駆動によるトラッキング方向の外周へ向かう微少移動と、トラバースモータ2によるキャリッジ1Cのトラッキング方向への光軸補正送りとが行われ、回転する光ディスクAのトラックをトレースしてデータの書き込みまたは読み出しが行われる。
なお、光軸補正送りは図7に示すフローチャート(後述する)に従って行われる。また、トラバースサーボフィルタ10に関する説明は実施の形態1のものと同様であるから、再度の説明は省略する。
【0058】
光ディスクAに偏心がある場合、実施の形態1で説明したように、従来構成では、車載環境下においてキャリッジ1Cが偏心に追従して揺動してしまうことがある。これを防止するため、実施の形態2では使用する光ディスクAによって制御方式を変更するようにした。
【0059】
使用する光ディスクAの検出は以下の手順に従って行われる。
光ディスク装置では、電源を入れた時や光ディスクAの交換を行った直後、または何らかのトラブルでシステムの再起動を行った時に、使用ディスク検出手段21により光ディスクAを判別し検出する。判別は光ディスクA上のTOC領域へアクセスし、TOC内の光ディスク情報を読みとることにより検出することができる。
【0060】
ディスク回転数は、使用する光ディスクAによって決められている。CDでは200〜540rpm、n倍速CD−ROMでは(200n)〜(540n)rpmであることから、偏心の周波数はCDで3.3〜8.9Hz、n倍速CD−ROMで(3.3n)〜(8.9n)Hzとなる。倍速数nは光ディスク装置のシステムによって定まった値である。
一方、トラバース機構の応答特性は、下記の伝達関数で表わされる。
【0061】
【数4】
【0062】
上記〔数4〕から明らかなように、光ディスク低速回転時のトラバース系の応答ゲインは高く、高速回転での応答性は低い。したがって、ディスク回転数が低いCDでは、偏心に追従してキャリッジ1Cが動き易い。また、ディスク回転数が高いn倍速CD−ROMでは、偏心成分がトラバース駆動電圧内に現れてもキャリッジ1Cは応答しない。したがって、光ディスクAの低速回転時には高速回転時よりも制御ゲインを低く設定することによりキャリッジ1Cの揺動を回避することができる。
【0063】
しかし、温度条件が加わり、高温時にキャリッジ1Cの応答ゲインが高くなった上に偏心量の大きな光ディスクAを用いた場合、低速回転時ではゲイン設定の変更のみでは対応しきれず、制御部7に不感帯を導入することにより偏心に対する追従性を下げる必要がある。
【0064】
一方、ディスク回転数が高いときは、目標トラックのトラッキング方向相対位置変化速度も高いため、光軸補正送りの発生間隔がディスク回転数に比例して短くなる。このため、高速回転時においても不感帯を用いた制御方式を採用すると制御部7の処理が煩雑になり、制御部7の処理能力によっては光軸補正送り動作が正常に行われない場合がある。したがって本発明では、高速回転する光ディスクには通常のサーボフィルタによる制御を行い、低速回転する光ディスクには制御部7に不感帯を設けるという構成をとる。
【0065】
次に、主に図7のフローチャートを参照して、キャリッジ1Cの光軸補正送り動作を詳細に説明する。また、制御部7に不感帯を設定するか否かの判定は以下の手順にしたがって行われる。まず、使用する光ディスクAを検出した後(ステップS201)、偏心周波数最小値fLを設定する(ステップS202)。ここで偏心周波数最小値fLは、使用する光ディスクAによって一義的に定まった値である。例えば、CDでは3.3Hz、4倍速CD−ROMでは3.3×4=13.2Hzといった値が設定される。
【0066】
次に、レンズシフト量検出手段9によりレンズシフト量の検出を行い(ステップS203)、キャリッジ1Cの移動が必要か否かを決定する。シフト量がしきい値未満で密アクチュエータ1Bの可動範囲内である場合は(ステップS204)、密アクチュエータ1Bによりトラッキング方向への微少送りが行われる(ステップS205)。トラッキング方向への微少送りの結果、次第にレンズシフト量が大きくなり、しきい値以上となったことが検出されたときに(ステップS204)、光軸補正送りに入り、ディスク回転数Nを検出する(ステップS206)。
【0067】
不感帯必要性判定手段22では、偏心周波数fLと切り替え周波数fcとの比較を行って、以下の判定が行われる(ステップS207)。
fL ≦ fc ならば、制御部に不感帯を設定する。
fL > fc ならば、制御部に不感帯を設定しない。
切り替え周波数fcは実施例1に示したように、予め基準ドライブを用いて測定した実測値から決定された値である。
【0068】
制御部不感帯は以下の手順に従って生成される。記録・再生動作のコマンドを受け取ると制御部7内部のトラバースサーボフィルタ10では、まず出力のゲインKをゼロに設定してモータへの電圧供給を停止し(ステップS208)、制御部不感帯量をDzに設定する。レンズシフト量検出手段9によりレンズシフト量Meを検出しMeがDz以下ならば出力ゲインKをゼロに設定したままにしてトラバースモータへの駆動電圧を供給しない、MeがDz以上になった時出力ゲインKを1に設定してトラバースモータへの駆動電圧の供給を行う(S211)。また、不感帯を設定しない場合は、出力ゲインKを常に1に設定する(ステップS212)。
【0069】
光軸補正送り中は、モータドライブ出力演算手段(本例ではトラバースサーボフィルタ10)によりレンズシフト量に対応したモータドライブ出力Mvが演算される(ステップS209、213)。レンズシフト量Meが所定値を越えたとき、トラバースサーボフィルタ10の出力ゲインを1にすることによって、トラバースモータ2に駆動電圧が供給される。トラバースモータ2が発生する駆動トルクが摩擦負荷よりも小さい間はキャリッジ1Cは動かず、レンズ1Aのみがトラックに追従して動くため、レンズシフト量が増加する。
【0070】
レンズシフト量が増加している間はモータ電圧も上昇し続ける。摩擦負荷とモータ駆動トルクが合致した時、キャリッジ1Cが動く。キャリッジ1Cが動いたことによりレンズシフト量がしきい値以下になったときは(ステップS214)、光軸補正送り動作を終了する(ステップS215)。
【0071】
上記実施の形態2によれば、トラバース駆動装置による光軸補正送り動作において、使用する光ディスクを検出し、使用光ディスクの回転数から定まる偏心周波数に対するトラバース機構の応答特性の違いを利用して、使用光ディスクに応じた不感帯の設定を行うことにより、光軸補正送り動作中の不要動作発生を防止して送りの安定化を図り、動作性能の劣化を防止することができる。
【0072】
(実施の形態3)
次に、図3及び図8を参照して、本発明の実施の形態3におけるトラバース駆動装置について説明する。図3は本発明の実施の形態3におけるトラバース駆動装置の構成を示すブロック図、図8は図3に示すトラバース駆動装置における光軸補正送り動作を示すフローチャートである。
図3において、31はディスク回転数検出手段、32は不感帯必要性判定手段、33は不感帯設定手段、34は周囲温度検出手段、35は温度補正係数算出手段であり、その他図1に示す符号と同一の符号を有する図3の構成部は同様のため再度の説明は省略する。
【0073】
次に、図3及び図8を参照して、本発明の実施の形態3におけるトラバース駆動装置の動作を説明する。光ディスクAの記録・再生動作中、光ピックアップ1のレンズ1Aは密アクチュエータ1Bの駆動によるトラッキング方向の外周へ向かう微少移動と、トラバースモータ2によるキャリッジ1Cのトラッキング方向への光軸補正送りとが行われ、回転する光ディスクAのトラックをトレースしてデータの書き込みまたは読み出しが行われる。
なお、光軸補正送りは図8に示すフローチャート(後述する)に従って行われる。また、トラバースサーボフィルタ10に関する説明は実施の形態1のものと同様であるから、再度の説明は省略する。
【0074】
光ディスクAに偏心がある場合、実施の形態1で説明したように、従来構成では、車載環境下においてキャリッジ1Cが偏心に追従して揺動してしまうことがある。これを防止するため、実施の形態3では周囲温度及びディスク回転数により制御方式を変更する。
一方、トラバース機構の応答特性は、下記の伝達関数で表わされる。
【0075】
【数5】
【0076】
また、CDやCD−ROM等の光ディスクAでは、光ディスクAによって記録されている線速度が異なるため、再生中のディスク回転数も異なる。例えば、CDでは線速度一定(以下CLV)1倍速で情報が記録されており、CD−ROMではCDの数倍速いディスク回転数(以下n倍速)で読み出しを行うようにしている。CLV方式では光ディスクAの内周と外周で回転数が違っており、CDでは200〜540rpm、n倍速CD−ROMでは(200n)〜(540n)rpmの回転数となる。またディスク回転数と偏心周波数とは下記〔数6〕で示される関係となる。
【0077】
【数6】
【0078】
したがって、偏心周波数はCDで3.3〜8.9Hz、n倍速CD−ROMで(3.3n)〜(8.9n)Hzとなる。また、DVD−RAM等他の光ディスク装置ではZCLV方式が採用されているが、光軸補正送りに関してはn倍速の動作と同様に考えることができるため、以下では説明を省略する。
【0079】
上記〔数5〕から明らかなように、光ディスク低速回転時のトラバース系の応答ゲインは高く、高速回転での応答性は低い。したがって、ディスク回転数が低いCDでは、偏心に追従してキャリッジ1Cが動き易い。また、ディスク回転数が高いn倍速CD−ROMでは、偏心成分がトラバース駆動電圧内に現れてもキャリッジ1Cは応答しない。したがって、光ディスクAの低速回転時には高速回転時よりも制御ゲインを低く設定することによりキャリッジ1Cの揺動を回避することができる。
【0080】
しかし、温度条件が加わり、高温時にキャリッジ1Cの応答ゲインが高くなった上に偏心量の大きな光ディスクAを用いた場合、低速回転時はゲイン設定の変更のみでは対応しきれず、制御部7に不感帯を導入することにより偏心に対する追従性を下げる必要がある。
【0081】
一方、ディスク回転数が高いときは、目標トラックのトラッキング方向相対位置変化速度も高いため、光軸補正送りの発生間隔がディスク回転数に比例して短くなる。このため、高速回転時においても不感帯を用いた制御方式を採用すると制御部7の処理が煩雑になり、制御部7の処理能力によっては光軸補正送り動作が正常に行われない場合がある。したがって本発明では、光ディスク高速回転時には通常のサーボフィルタによる制御を行い、光ディスク低速回転時には制御部7に不感帯を設けるという構成をとる。
【0082】
次に、主に図8のフローチャートを参照して、キャリッジ1Cの光軸補正送り動作を詳細に説明する。まず、記録・再生動作の指令を受け取ると、レンズシフト量検出手段9によりレンズシフト量の検出を行い(ステップS301)、キャリッジ1Cの移動が必要か否かを決定する。シフト量がしきい値未満で密アクチュエータ1Bの可動範囲内である場合は(ステップS302)、密アクチュエータ1Bによりトラッキング方向に対する微少送りが行われる(ステップS303)。
【0083】
トラッキング方向への微少送りの結果、次第にレンズシフト量が大きくなり、しきい値以上となったことが検出されたときに(ステップS302)、光軸補正送りに入り、周囲温度を検出する(ステップS304)。
また、周囲温度検出手段34で検出された温度に応じ、温度補正係数算出手段35により温度補正係数Ktを決定する。温度補正係数Ktは常温時を1とし、温度によって変化するゲイン変動を、基準ドライブを用いて予め測定した値から係数を算出しておく。
【0084】
また、ディスク回転数検出手段31によりディスク回転数Nを検出する(ステップS305)。ディスク回転数の検出は、例えば実施の形態1で示した方法と同様な手段により求めることができる。不感帯必要性判定手段32は、偏心周波数fhと切り替え周波数fcとを比較して、下記の判定を行う(ステップS306)。
fh×Kt ≦ fc ならば、制御部に不感帯を設定する。
fh×Kt > fc ならば、制御部に不感帯を設定しない。
切り替え周波数fcは実施の形態1で示したように、予め基準ドライブを用いて測定した実測値から決定された値である。
【0085】
制御部不感帯は以下の手順に従って生成される。記録・再生動作のコマンドを受け取ると制御部7内部のトラバースサーボフィルタ10では、まず出力のゲインKをゼロに設定してモータへの電圧供給を停止し(ステップS307)、制御部不感帯量をDzに設定する。レンズシフト量検出手段9によりレンズシフト量Meを検出しMeがDz以下ならば出力ゲインKをゼロに設定したままにしてトラバースモータへの駆動電圧を供給しない、MeがDz以上になった時出力ゲインKを1に設定してトラバースモータへの駆動電圧の供給を行う(S310)。また、不感帯を設定しない場合は、出力ゲインKを常に1に設定する(ステップS311)。
【0086】
光軸補正送り中は、モータドライブ出力演算手段(本例ではトラバースサーボフィルタ10)によりレンズシフト量に対応したモータドライブ出力Mvが演算される(ステップS308、312)。レンズシフト量Meが所定値を越えたときに(ステップS309)、トラバースサーボフィルタ10の出力ゲインを1にすることによって(ステップS310)、トラバースモータ2に駆動電圧が供給される。
【0087】
トラバースモータ2が発生する駆動トルクが摩擦負荷よりも小さい間はキャリッジ1Cは動かず、レンズ1Aのみがトラックに追従して動くため、レンズシフト量が増加する。レンズシフト量が増加している間はモータ電圧も上昇し続ける。摩擦負荷とモータ駆動トルクが合致した時、キャリッジ1Cが動く。キャリッジ1Cが動いたことによりレンズシフト量がしきい値以下になったときに(ステップS313)、光軸補正送り動作を終了する(ステップS314)。
【0088】
上記実施の形態3によれば、トラバース駆動装置による光軸補正送り動作において、周囲温度を検出し、同時にディスク回転数から偏心周波数を検出し、周囲温度と偏心周波数に対するトラバース機構の応答特性の違いを利用して、周囲温度と使用光ディスクの回転数から定まる偏心周波数に対するトラバース機構の応答特性の違いを利用して、周囲温度と使用光ディスクの回転数に応じた不感帯の設定を行うことにより、光軸補正送り動作中の不要動作発生を防止して送りの安定化を図り、動作性能の劣化を防止することができる。
【0089】
(実施の形態4)
次に、図4及び図9を参照して、本発明の実施の形態4におけるトラバース駆動装置について説明する。図4は本発明の実施の形態4におけるトラバース駆動装置の構成を示すブロック図、図8は図4に示すトラバース駆動装置における光軸補正送り動作を示すフローチャートである。
図4において、41はディスク回転数検出手段、42は不感帯必要性判定手段、43は不感帯設定手段、44は周囲温度検出手段、45は温度補正係数算出手段であり、その他図1に示す符号と同一の符号を有する図4の構成部は図1のものと同様のため再度の説明は省略する。
【0090】
次に、図4及び図9を参照して、本発明の実施の形態4におけるトラバース駆動装置の動作を説明する。光ディスクAの記録・再生動作中、光ピックアップ1のレンズ1Aは密アクチュエータ1Bの駆動によるトラッキング方向の外周へ向かう微少移動と、トラバースモータ2によるキャリッジ1Cのトラッキング方向への光軸補正送りとが行われ、回転する光ディスクAのトラックをトレースしてデータの書き込みまたは読み出しが行われる。
【0091】
なお、光軸補正送りは図9に示すフローチャート(後述する)に従って行われる。また、トラバースサーボフィルタ10に関する説明は実施の形態1のものと同様であるから、再度の説明は省略する。
【0092】
光ディスクAに偏心がある場合、実施の形態1で説明したように、従来構成では、車載環境下においてキャリッジ1Cが偏心に追従して揺動してしまうことがある。これを防止するため、実施の形態2では周囲温度と使用する光ディスクAによって制御方式を変更するようにした。
【0093】
使用する光ディスクAの検出は以下の手順に従って行われる。
光ディスク装置では、電源を入れた時や光ディスクAの交換を行った直後、または何らかのトラブルでシステムの再起動を行った時に、使用ディスク検出手段41により光ディスクAを判別し検出する。判別は光ディスクA上のTOC領域へアクセスし、TOC内の光ディスク情報を読みとることにより検出することができる。
【0094】
ディスク回転数は、使用する光ディスクAによって決められる。CDでは200〜540rpm、n倍速CD−ROMでは(200n)〜(540n)rpmであることから、偏心の周波数はCDで3.3〜8.9Hz、n倍速CD−ROMで(3.3n)〜(8.9n)Hzとなる。倍速数nは光ディスク装置のシステムによって定められた値である。
一方、トラバース機構の応答特性は、下記の伝達関数で表わされる。
【0095】
【数7】
【0096】
上記〔数7〕から明らかなように、光ディスク低速回転時のトラバース系の応答ゲインは高く、高速回転での応答性は低い。したがって、ディスク回転数が低いCDでは、偏心に追従してキャリッジ1Cが動き易い。また、ディスク回転数が高いn倍速CD−ROMでは、偏心成分がトラバース駆動電圧内に現れてもキャリッジ1Cは応答しない。したがって、光ディスクAの低速回転時には高速回転時よりも制御ゲインを低く設定することでキャリッジ1Cの揺動を回避することができる。
【0097】
しかし、温度条件が加わり、高温時にキャリッジ1Cの応答ゲインが高くなった上に偏心量の大きな光ディスクAを用いた場合、低速回転時にゲイン設定の変更のみでは対応しきれず、制御部7に不感帯を導入することで偏心に対する追従性を下げる必要がある。
【0098】
一方、ディスク回転数が高いときは、目標トラックのトラッキング方向相対位置変化速度も高いため、光軸補正送りの発生間隔がディスク回転数に比例して短くなる。このため、高速回転時においても不感帯を用いた制御方式を採用すると、制御部7の処理が煩雑になり、制御部7の処理能力によっては光軸補正送り動作が正常に行われない場合がある。したがって本発明では、光ディスクAを高速回転させる光ディスクAには通常のサーボフィルタによる制御を行い、光ディスクAを低速回転させる光ディスクAでは制御部7に不感帯を設けるという構成がとられる。
【0099】
次に、主に図9のフローチャートを参照して、キャリッジ1Cの光軸補正送り動作を詳細に説明する。また、制御部7に不感帯を設定するか否かの判定は以下の手順にしたがって行われる。まず、使用する光ディスクAを検出した後(ステップS401)、偏心周波数最小値fLを設定する(ステップS402)。ここで偏心周波数最小値fLは、使用する光ディスクAによって一義的に定まった値である。例えば、CDでは3.3Hz、4倍速CD−ROMでは3.3×4=13.2Hzといった値が設定される。
【0100】
次に、レンズシフト量検出手段9によりレンズシフト量の検出を行い(ステップS403)、キャリッジ1Cの移動が必要か否かを決定する。シフト量がしきい値未満で密アクチュエータ1Bの可動範囲内である場合は(ステップS404)、密アクチュエータ1Bによりトラッキング方向への微少送りが行われる(ステップS405)。トラッキング方向への微少送りの結果、次第にレンズシフト量が大きくなり、しきい値以上となったことが検出されたときに(ステップS404)光軸補正送りに入り、周囲温度検出手段44により周囲温度を検出する(ステップS407)。
【0101】
周囲温度検出手段44で検出された温度に応じ、温度補正係数算出手段45において温度補正係数Ktを決定する(ステップS406)。温度補正係数Ktは常温時を1とし、温度によって変化するゲイン変動を、基準ドライブを用いて予め測定した値から係数を算出しておく。次に、ディスク回転数Nを検出する(ステップS407)。
【0102】
不感帯必要性判定手段42では、偏心周波数fLと切り替え周波数fcとの比較を行い、以下の判定を行う(ステップS408)。
fL×Kt ≦ fc ならば、制御部に不感帯を設定する。
fL×Kt > fc ならば、制御部に不感帯を設定しない。
切り替え周波数fcは実施の形態1に示したように、予め基準ドライブを用いて測定した実測値から決定された値である。
【0103】
制御部不感帯は以下の手順に従って生成される。記録・再生動作のコマンドを受け取ると制御部7内部のトラバースサーボフィルタ10は、まず出力のゲインKをゼロに設定してモータへの電圧供給を停止し(ステップS409)、制御部不感帯量をDzに設定する。レンズシフト量検出手段9によりレンズシフト量Meを検出しMeがDz以下ならば出力ゲインKをゼロに設定したままにしてトラバースモータへの駆動電圧を供給しない、MeがDz以上にななった時出力ゲインKを1に設定してトラバースモータへの駆動電圧の供給を行う(S412)。また、不感帯を設定しない場合は、出力ゲインKを常に1に設定する(ステップS413)。
【0104】
光軸補正送り中は、モータドライブ出力演算手段(本例ではトラバースサーボフィルタ10)によりレンズシフト量に対応したモータドライブ出力Mvが演算される(ステップS410、S414)。レンズシフト量Meが所定値を越えたときに、トラバースサーボフィルタ10の出力ゲインを1にすることによって、トラバースモータ2に駆動電圧が供給される。トラバースモータ2が発生する駆動トルクが摩擦負荷よりも小さい間はキャリッジ1Cは移動せず、レンズ1Aのみがトラックに追従して動くため、レンズシフト量が増加する。
【0105】
レンズシフト量が増加している間はモータ電圧も上昇し続ける。摩擦負荷とモータ駆動トルクが合致した時、キャリッジ1Cが移動する。キャリッジ1Cが移動したことによりレンズシフト量がしきい値以下になったときに(ステップS415)、光軸補正送り動作は終了する(ステップS416)。
【0106】
上記実施の形態4によれば、トラバース駆動装置による光軸補正送り動作において、周囲温度を検出し、同時に使用する光ディスクを検出し、周囲温度と使用する光ディスクから定まる偏心周波数に対するトラバース機構の応答特性の違いを利用して、周囲温度と使用する光ディスクに応じた不感帯の設定を行うことにより、光軸補正送り動作中の不要動作発生を防止して送りの安定化を図り、動作性能の劣化を防止することができる。
【0107】
また、本発明の実施の形態におけるトラバース駆動装置を搭載して、設定された不感帯に基づきトラバース機構の駆動を制御するようにした光ディスク装置を提供することができ、また、本実施の形態におけるトラバース駆動装置を装備して如何なる種類の光ディスク及び周囲温度に対しても対応しうるナビゲーションシステムを提供することができる。
【0108】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成し、特にレンズと密アクチュエータとを搭載するキャリッジをトラッキング方向に移動させるトラバースモータに対しディスク回転数に応じた不感帯を設けて、キャリッジが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止するようにしたことにより、回転数が異なり、偏心量の大きな光ディスクを使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジの不要動作発生を防止し、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現することができる。
【0109】
本発明は、特にレンズと密アクチュエータとを搭載するキャリッジの移動に使用ディスクの種類に応じた不感帯を設けて、キャリッジをトラッキング方向に移動させるトラバースモータが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止するようにしたことにより、偏心量の大きな光ディスクを使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジの不要動作発生を防止し、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現することができる。
【0110】
本発明は、特にレンズと密アクチュエータとを搭載するキャリッジの移動にディスク回転数及び周囲温度に応じた不感帯を設けて、キャリッジをトラッキング方向に移動させるトラバースモータが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止するようにしたことにより、回転数の異なる光ディスクを使用温度範囲が広い環境の下で使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現し、動作性能の劣化を防止することができる。
【0111】
本発明は、特にレンズと密アクチュエータとを搭載するキャリッジの移動に使用ディスクの種類及び周囲温度に応じた不感帯を設けて、キャリッジをトラッキング方向に移動させるトラバースモータが光ディスクの偏心に追従して直ちに移動するのを防止するようにしたことにより、偏心量の大きな光ディスクを使用温度範囲が広い環境の下で使用した場合においても,ギヤのバックラッシ等による悪影響を受けずに、キャリッジをスムーズに移動させる安定した送り動作を実現し、動作性能の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるトラバース駆動装置の構成を示すブロック図、
【図2】本発明の実施の形態2におけるトラバース駆動装置の構成を示すブロック図、
【図3】本発明の実施の形態3におけるトラバース駆動装置の構成を示すブロック図、
【図4】本発明の実施の形態4におけるトラバース駆動装置の構成を示すブロック図、
【図5】従来のトラバース駆動装置の構成を示すブロック図、
【図6】図1に示すトラバース駆動装置における光軸補正送り動作を示すフローチャート、
【図7】図2に示すトラバース駆動装置における光軸補正送り動作を示すフローチャート、
【図8】図3に示すトラバース駆動装置における光軸補正送り動作を示すフローチャート、
【図9】図4に示すトラバース駆動装置における光軸補正送り動作を示すフローチャート、
【図10】図5に示す従来のトラバース駆動装置における光軸補正送り動作を示すフローチャート、
【図11】偏心光ディスクの使用時における信号波形を示す図であり、
(A)は本発明による駆動例を示す図、
(B)は従来方式による駆動例を示す図、
【図12】トラバース機構の応答特性を示すグラフ図。
【符号の説明】
A 光ディスク
1 光ピックアップ
1A レンズ
1B 密アクチュエータ
1C キャリッジ
2 トラバースモータ
3 動力伝達機構
4 スピンドルモータ
5 スピンドルモータドライバ
6 トラッキングエラー(TE)信号検出手段
7 制御部
8 トラッキングサーボフィルタ
9 レンズシフト量検出手段
10 トラバースサーボフィルタ
11 ディスク回転数検出手段
12 不感帯必要性判定手段
13 不感帯設定手段
21 使用ディスク検出手段
22 不感帯必要性判定手段
23 不感帯設定手段
31 ディスク回転数検出手段
32 不感帯必要性判定手段
33 不感帯設定手段
34 周囲温度検出手段
35 温度補正係数算出手段
41 使用ディスク検出手段
42 不感帯必要性判定手段
43 不感帯設定手段
44 周囲温度検出手段
45 温度補正係数算出手段
Claims (5)
- 光ピックアップと前記光ピックアップのレンズを微小移動させる密アクチュエータと光ディスクを回転させるスピンドルモータと前記光ピックアップを前記光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラバースモータとを有したトラバース機構と、前記スピンドルモータと前記密アクチュエータと前記トラバースモータとの制御及び駆動を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記レンズのレンズシフト量が所定値より大きくなってから前記所定値より小さくなるまでの間に、前記光ディスクの偏心周波数を算出し算出した偏心周波数が所定の周波数以下の場合は不感帯を設定して前記レンズシフト量が前記不感帯より大きくなるまで前記トラバースモータへの電源を供給停止し、前記算出した偏心周波数が前記所定の周波数より大きい場合は前記不感帯を設定せずに前記トラバースモータへの電源を供給することを特徴とするトラバース駆動装置。 - 光ピックアップと前記光ピックアップのレンズを微小移動させる密アクチュエータと光ディスクを回転させるスピンドルモータと前記光ピックアップを前記光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラバースモータとを有したトラバース機構と、前記光ディスクの種類を判別して検出する使用ディスク検出手段と、前記スピンドルモータと前記密アクチュエータと前記トラバースモータとの制御及び駆動を行い前記使用ディスク検出手段の検出結果に基づいて前記光ディスクの偏心周波数を設定する制御部と備え、
前記制御部は、前記レンズのレンズシフト量が所定値より大きくなってから前記所定値より小さくなるまでの間に、設定された前記光ディスクの偏心周波数が所定の周波数以下の場合は不感帯を設定して前記レンズシフト量が前記不感帯より大きくなるまで前記トラバースモータへの電源を供給停止し、設定された前記光ディスクの偏心周波数が前記所定の周波数より大きい場合は前記不感帯を設定せずに前記トラバースモータへの電源を供給することを特徴とするトラバース駆動装置。 - 光ピックアップと前記光ピックアップのレンズを微小移動させる密アクチュエータと前記光ディスクを回転させるスピンドルモータと前記光ピックアップを前記光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラバースモータとを有したトラバース機構と、前記スピンドルモータと前記密アクチュエータと前記トラバースモータとの制御及び駆動を行う制御部と、周囲温度を検出する周囲温度検出手段とを備え、
前記制御部は、前記レンズのレンズシフト量が所定値より大きくなってから前記所定値より小さくなるまでの間に、前記温度検出手段で検出して得た補正係数を用いて高温時に前記光ディスクの偏心に対する追従性を下げるように前記光ディスクの偏心周波数を補正し補正した偏心周波数が所定の周波数以下の場合は不感帯を設定して前記レンズシフト量が前記不感帯より大きくなるまで前記トラバースモータへの電源を供給停止し、前記補正した偏心周波数が前記所定の周波数より大きい場合は前記不感帯を設定せずに前記トラバースモータへの電源を供給することを特徴とするトラバース駆動装置。 - 光ピックアップと前記光ピックアップのレンズを微小移動させる密アクチュエータと前記光ディスクを回転させるスピンドルモータと前記光ピックアップを前記光ディスクのトラッキング方向に移動させるトラバースモータとを有したトラバース機構と、前記スピンドルモータと前記密アクチュエータと前記トラバースモータとの制御及び駆動を行い前記使用ディスク検出手段の検出結果に基づいて前記光ディスクの偏心周波数を設定する制御部と、前記光ディスクの種類を判別して検出する使用ディスク検出手段と、周囲温度を検出する周囲温度検出手段とを備え、
前記制御部は、前記レンズのレンズシフト量が所定値より大きくなってから前記所定値より小さくなるまでの間に、設定された前記光ディスクの偏心周波数と前記温度検出手段で検出して得た補正係数とを用いて高温時に前記光ディスクの偏心に対する追従性を下げるように前記光ディスクの偏心周波数を補正し補正した偏心周波数が所定の周波数以下の場合は不感帯を設定して前記レンズシフト量が前記不感帯より大きくなるまで前記トラバースモータへの電源を供給停止し、前記補正した偏心周波数が前記所定の周波数より大 きい場合は前記不感帯を設定せずに前記トラバースモータへの電源を供給することを特徴とするトラバース駆動装置。 - 請求項1、2、3または4に記載のトラバース駆動装置を搭載し、設定された不感帯に基づき前記トラバース機構の駆動を制御することを特徴とする光ディスク装置。
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