JP3986629B2 - 軟質樹脂液を用いた玩具の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性の軟質樹脂液を用いた玩具の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に「ソフトビニール」と呼ばれている原材料は、金型を熱で加熱すると硬化する熱硬化性の軟質樹脂液である。従来、熱硬化性の軟質樹脂液を用いて玩具部品(例えば人形の頭部)を製造する場合、極めて簡単な方法で行われていた。例えば透明な熱硬化性の軟質樹脂液を金型に注入し、その後該金型を加熱する。この加熱工程では、金型の成型部の内壁面に沿って透明の軟質樹脂液の一部が熱硬化するが、所望の肉厚(例えば1,5mm前後)に凝固した段階で、金型を加熱槽から取出し、次いで金型から余分な透明の軟質樹脂液を排出する。次いで、金型を再加熱して凝固した透明の肉厚部の内壁面に付着している液状部分を完全に凝固させた後、金型を冷却し、質量感(質感とも言う)を有する所望形状の透明軟質樹脂成型品を成型する。
【0003】
そして、最終工程に於いて、金型から透明の軟質樹脂成型品を引抜き、引抜いた該軟質樹脂成型品の内壁面(内部)に向い、噴霧器(スプレー)を介して有彩色(例えば肌色)の塗料を噴霧し、かつ、その塗料を乾燥させる。これにより、所望の外観形状をし、その表面側は透明で質感を有し、一方、内面側は有彩色で着色された軟質樹脂(通称:ソフトビニール)の玩具(部品も含む。)が完成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の玩具部品の製造方法では、最終工程に於いて、有彩色の塗料を透明の軟質樹脂成型品の開口部に向かって1個1個噴霧するので、塗装工程に時間と手間が掛かる等の問題点があった。すなわち、塗料を使用するので、金型から引抜きいた透明の軟質樹脂成型品を塗装場所まで運ぶ必要があり、また場合によっては塗料の調合が必要であったり、さらに、噴霧のために手を要するので生産効率が悪く、加えて、塗料の付着具合によっては、いわゆる色ムラや塗膜厚さのバラツキによる濃淡が生じ、軟質樹脂成型品の商品としての品質にも影響を与えていた。
【0005】
そこで、本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、第1の目的は、生産効率の向上を図ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の軟質樹脂液を用いた玩具の製造方法は、まず、透明の熱硬化性樹脂液2を玩具用金型3に注入する透明樹脂液注入工程Aと、次に、金型3を遠心分離機8の回転円盤の周端部の嵌合取付け凹所に取付け、かつ、透明の熱硬化性樹脂液2内に存在する気泡を抜く第1気泡分離工程Bと、次に、加熱槽16の中に網状或いは籠状の支持体17を介して金型3を入れ、熱硬化により一端開口の壺状或いは袋状の透明肉厚部19を形成する第1加熱工程Cと、次に、金型3を前記支持体17を介して加熱槽16から取り出し、かつ、残存する透明樹脂液20を排出する非硬化の透明樹脂液排出工程Dと、次に、金型3を加熱槽16で再度加熱し、前記透明肉厚部19の内周壁に付着している液状部分22を完全に熱硬化させる第2加熱工程Eと、次に、金型3を冷却槽24に入れ、熱硬化した透明肉厚部19を冷却する第1冷却工程Fとを順次経て質感がある透明肉厚部19を形成し、次いで、透明肉厚部19内に、非透明の熱硬化性樹脂液32を注入する非透明樹脂液注入工程G、しかる後に、非透明樹脂液32を透明肉厚部19の内壁面19aに沿って非透明肉厚部33を形成する第3加熱工程I(=C)、余分な非硬化の非透明性樹脂液34を排出する非透明性樹脂液排出工程J(=D)、非透明肉厚部33の内壁面に付着した非透明樹脂液34を完全凝固させる第4加熱工程K(=E)及び第2冷却工程L(=F)を順次繰り返して透明及び非透明の樹脂が一体構造の軟質樹脂成型品40を形成し、最終に、前記支持体17を介して冷却槽24から金型3を取り出し、軟質樹脂成型品40を引き抜く軟質樹脂成型品引抜き工程Mを含む。
【0007】
上記構成に於いて、外側肉厚部19は、内側肉厚部33よりも弾力性を有することを特徴とする。
【0008】
【0009】
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す本発明の実施の形態を、玩具部品の一例としての人形の頭部を製造する場合で説明する。
【0011】
まず図1乃至図14は、軟質合成樹脂液を用いて人形の頭部を成形する第1実施例である。軟質合成樹脂液は、本実施例では、第1(例えば透明)の熱硬化性樹脂液と、透明以外の色を有する第2(例えば非透明)の熱硬化性樹脂液の2種類が用いられる。ここで、「透明」とは、半透明も含むが、望ましくは視覚上質感が得られる透明を意味する。また「非透明」とは、赤、青、黄色、緑色、ダイダイ色、ピンク色、肌色、発光色等の有彩色のみならず、白、灰色、黒の無彩色も含まれる。
【0012】
次に第1実施例の製造工程を順番に説明する。Aはポット、ヤカン、注入缶等の第1収納容器1に収納された透明の熱硬化性樹脂液2を玩具部品用金型3に注入する透明樹脂液注入工程である。ここで使用される透明の熱硬化性樹脂液2は、普通一般に脱泡機で樹脂液中に混在する気泡が除去されている。この工程では、図2で示すように、透明の熱硬化性樹脂液2は玩具(部品)用金型3の上方開口部4から手動式で目視により注入される。
【0013】
前記第1の熱硬化性樹脂液2は、透明のみならず非透明であっても良いが、本発明の製造方法で得られる二重構造の樹脂成型品の外観上の質量感を出すために、望ましくは透明の熱硬化性樹脂液2が選択されている。また第1の熱硬化性樹脂液2は、熱硬化すると第2の熱硬化性樹脂液のそれよりも弾力性(塑性変位力)を有している。
【0014】
ところで、上方開口部4を含む金型3の成形内部5は、本実施例では人形の頭部を成形するので、断面壺状或いは袋状に形成されている。人形の頭部は、人形のキャラクター如何によって色々存在するので、その成形内部5の断面形状は、壺状以外に袋状、指先状、矩形状、三角状等が存在する。しかし、望ましくは壺状或いは袋状である。6は金型3の下部及び上部の左右に貫通状に形成された複数個の流体導入孔である。この流体導入孔6には、加熱並びに冷却工程に於いて、各槽内の油又は水がそれぞれ入込む。
【0015】
なお、金型3の成形内部5には、特に図示しないが、脳味噌のイメージが彷彿されるようにシワ状模様凹所や他の部品との結合を図るための小突起形成用凹所が形成されている。また玩具(部品)用金型3が人形の頭部以外の場合には、金型3は胴体、腕、腰、足等の形状にそれぞれ対応する凹所を有する。
【0016】
Bは透明樹脂液注入工程Aの後に、金型3を遠心分離機8にかけ、透明の熱硬化性樹脂液2内に存在する気泡を抜く第1気泡分離工程である。遠心分離機8は、図2で示すように駆動モータ9と、この駆動モータ9の出力軸10に水平状態に固定された回転円盤11とから成り、前記回転円盤11の周端部には、同一又は異なる種類の金型3を周端部に固定的に取付けることができるように複数個の嵌合取付け凹所12が形成されている。駆動モータ9が起動すると、金型3は回転円盤11を介して周方向に回転するので、透明の熱硬化性樹脂液2内の気泡は、遠心力により大気へと抜ける。
【0017】
Cは第1気泡分離工程Bの後に、適温に加熱された油、或いはトーレック(登録商標)15を有する加熱槽16の中に、網状或いは籠状の支持体17を介して金型3を入れ、熱硬化により一端開口の透明肉厚部19を形成する第1加熱工程である。
【0018】
前記油15は植物性のものが使用され、本実施例では透明肉厚部19の肉厚は1〜2mm程度なので、その適温は、170度C〜180度Cであり、また加熱時間は、5秒〜10秒である。この第1加熱工程Cでは金型3の液体導入孔6に油15が入込み、より迅速に金型3が加熱される。金型3を内部に収納支持する籠状の支持体17は、金型3の出し入れの利便性を考慮し、望ましくは使用すべきである。この場合、加熱槽16の対向側壁の上端面に横架される複数本の支持棒18に籠状の支持体17を吊り下げると便利である。もちろん、支持体17は、従来使用されている「フライパン式の支持枠体」を使用しても良い。
【0019】
しかして、金型3内の透明の熱硬化性樹脂液2は、金型内部5の内壁面5aに沿って熱硬化し、次第に一端開口の透明肉厚部(例えば断面壺状部)となる。これが後に玩具部品の透明の外壁部となる。この第1加熱工程Cで注意を要する点は、壺状の透明肉厚部19の肉厚である。透明肉厚部19の肉厚は、油15の温度と加熱時間により決まるので、これらの点に関しては、油加熱制御手段やタイマーを使用し、十分にコントロールすべきである。
【0020】
Dは第1加熱工程Cの後、フライパン式又は籠状の支持体17を介して金型3を加熱槽16から取り出し、かつ、熱硬化により形成された壺状の透明肉厚部19以外の金型に残存する透明樹脂液20を余分液収納容器21に入れる非硬化の透明樹脂液排出工程である。
【0021】
この透明樹脂液排出工程Dでは、望ましくは金型3を籠状の支持体17に入れたまま金型3を傾けることにより、金型3内の余分な非硬化の透明樹脂液20を余分液収納容器21に移す。これにより効率的に金型3内の余分な透明樹脂液20を余分液収納容器21に移すことができる。
【0022】
Eは透明樹脂液排出工程Dの後に、籠状の支持体17を介して金型3を前記加熱槽16で再度加熱し、壺状の透明肉厚部19の内周壁に付着している液状部分22を完全に熱硬化させる第2加熱工程(第1の再加熱工程)である。
【0023】
この第2加熱工程Eでの加熱時間は、5秒程度である。これにより壺状の透明肉厚部19は完全に熱硬化し、該透明肉厚部19の内壁面には一滴の液も液状状態で残らない。この第2加熱工程Eでも望ましくは籠状の支持体17を介して金型3を加熱槽17に入れ及び取出す。
【0024】
Fは第2加熱工程Eの後に、籠状の支持体17を介して金型3を冷水23を有する冷却槽24に入れ、完全に熱硬化した壺状の透明肉厚部19を冷却する第1冷却工程である。
【0025】
この第1冷却工程Fでは金型3の液体導入孔6に冷水23が直ちに入り込み、より迅速に金型3並びに透明肉厚部19が冷却される。この段階で金型3内の壺状の透明肉厚部19は、その材質自体が塑性変位力或いは弾性力を有した状態で固定化或いは凝固化され、その結果、人形の頭部の透明な外壁部が出来上がる。
【0026】
Gは第1冷却工程Fの後に、金型3内の凝固化された壺状の透明肉厚部19内に、ポット、ヤカン、注入缶等の第2収納容器31に収納された非透明の熱硬化性樹脂液32を注入する非透明樹脂液注入工程である。
【0027】
この非透明樹脂液注入工程Gでは、別個の金型を用いず、当初の金型3をそのまま使用し、該金型3内に形成されている壺状の透明肉厚部19内に第2収納容器31を介し、手動式で非透明樹脂液32を入れる。
【0028】
この工程Gでは、人形の頭部の非透明な内壁部(壺状の非透明肉厚部)を壺状の透明肉厚部19の内壁面に一体(二重)に形成しようとするものであるから、非透明樹脂液32を壺状の透明肉厚部19の開口縁まで入れるのが望ましい。
【0029】
ところで、以下に説明する気泡分離工程、加熱工程、非透明樹脂液排出工程、冷却工程は、前述した各工程と同一なので、便宜上各工程で使用される部材には同一又は同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】
H(=B)は非透明樹脂液注入工程Gの後に、金型3を遠心分離機8にかけ、壺状透明肉厚部19内に満たされた非透明熱硬化性樹脂液32内に存在する気泡を抜く第2気泡分離工程である。遠心分離機8は、第1気泡分離工程Bで使用したものを使用する。もちろん、遠心分離機8を第1気泡分離工程B用のものと、第2気泡分離工程のものとに区分けして使用しても良い。なお、この非透明樹脂液注入工程Gは、第2(例えば非透明)の熱硬化性樹脂液が普通一般に気泡が殆ど混在しないので、省略することができる。
【0031】
I(=C)は第2気泡分離工程Hの後に、適温に加熱された油15を有する加熱槽16の中に、同じく網状或いは籠状の支持体17を介して金型3を入れ、凝固化した壺状透明肉厚部19の内壁面19aに壺状の非透明肉厚部33を重畳的に一体形成する第3加熱工程である。加熱槽16は第1加熱工程Bで使用したものを使用する。油15は、本実施例では非透明肉厚部33の肉厚は1mm程度なので、その適温は、170度C〜180度Cであり、また加熱時間は、5秒〜10秒である。なお、この加熱時間は、製造すべき樹脂成型品によって異なる。
【0032】
J(=D)は第3加熱工程Iの後、フライパン式又は籠状の支持体17を介して金型3を加熱槽16から取り出し、かつ、熱硬化により形成された壺状の非透明肉厚部33以外の金型に残存する(ここでは、壺状の非透明肉厚部33の内部に残っている意味。)非透明樹脂液34を、図11で示すように第2余分液収納容器35に入れる非硬化の非透明樹脂液排出工程である。
【0033】
この非透明樹脂液排出工程Jでは、望ましくは金型3をフライパン式又は籠状の支持体17に入れたまま金型3を傾けることにより、金型3内の余分な非硬化の非透明樹脂液34を第2余分液収納容器35に移す。
【0034】
K(=E)は非透明樹脂液排出工程Jの後に、支持体17を介して金型3を前記加熱槽16で再度加熱し、壺状の非透明肉厚部33の内周壁に付着している液状部分35を完全に熱硬化させる第4加熱工程(第2の再加熱工程)である。この第4加熱工程Kでの加熱時間も、約30秒程度である。これにより壺状の非透明肉厚部33は完全に熱硬化し、該非透明肉厚部33の内壁面には一滴の液も液状状態で残らない。
【0035】
L(=F)は第4加熱工程Kの後に、支持体17を介して金型3を冷水23を有する冷却槽24に入れ、完全に熱硬化した壺状の非透明肉厚部33を冷却する第2冷却工程である。
【0036】
この第2冷却工程Lにより金型3内の壺状の非透明肉厚部33が冷却されると、その材質自体が多少弾性力を有した状態で凝固化され、その結果、人形の頭部の非透明な内壁部が出来上がる。この非透明肉厚部33は、前述したように凝固化すると、外側の肉厚部19よりも硬質に成る。この非透明な内壁部(=壺状の非透明肉厚部)33と透明な外壁部(=壺状の透明肉厚部)19は、凝固化した状態で一体(二重)構造であり、最終的な軟質樹脂成型品40と成る。
【0037】
Mは第2冷却工程L後に、金型3を支持体17を介して冷却槽24から取り出し、かつ、引抜き手段41を介して断面壺状軟質樹脂成型品40を引き抜く軟質樹脂成型品引抜き工程である。
【0038】
この軟質樹脂成型品引抜き工程Mでの引抜き手段41は、図14で示すように、例えばピンセット、先端部が先細り状のペンチ等が使用される。また軟質樹脂成型品40は、玩具(部品)の一例としての人形の頭部である。
【0039】
しかして、軟質樹脂成型品40を引き抜く際に、該軟質樹脂成型品40は、金型3の開口部4で一時的に変形するが、金型3から抜け出ると、材質自体の復帰力により、所定の形状に戻る。したがって、外観上、表側に透明な質量感があり、一方、内側に非透明(望ましくは有彩色の一例である肌色)の玩具部品を得ることができる。
【0040】
【実施例】
以下、この欄では本発明の実施の形態で説明した他の実施例について説明する。なお、他の実施例を説明するに当たって、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0041】
図15は本発明の第2実施例である。この第2実施例に於いて前記第1実施例と主に異なる点は、軟質樹脂成型品40の外側肉厚部19を成形する過程に於いて、第1実施例における第2加熱工程E及び第1冷却工程Fを省略したことである。また軟質樹脂成型品40の外側肉厚部19を成形し、その後金型内の外側肉厚部19内に非透明樹脂液34を注入した後に於いて、第2の非透明樹脂液34の気泡を分離する第2気泡分離工程Hが必ずしも存在しないことである。
【0042】
すなわち、A1は熱硬化性樹脂液2を玩具用金型3に注入する透明樹脂液注入工程である。B1はこの透明樹脂液注入工程A1の後に、金型3を遠心分離機8にかけ、透明の熱硬化性樹脂液2内に存在する気泡を抜く第1気泡分離工程である。C1はこの第1気泡分離工程B1の後に、加熱された油15を有する加熱槽16の中に金型3を入れ、熱硬化により一端開口の透明肉厚部19を形成する第1加熱工程である。D1はこの第1加熱工程C1の後、金型3を加熱槽16から取り出し、かつ、熱硬化により形成された一端開口の透明肉厚部19以外の金型に残存する透明樹脂液20を排出する非硬化の透明樹脂液排出工程である。これらA1乃至D1を順次経ると質感がある一端開口の透明肉厚部19が出来上がる。
【0043】
次にG1は前記金型3内の凝固化された一端開口の透明肉厚部19内に、非透明の熱硬化性樹脂液32を注入する非透明樹脂液注入工程である。I1は非透明樹脂液32の一部を一端開口の透明肉厚部19の内壁面19aに沿って一体に熱硬化さて非透明肉厚部33を形成する第2加熱工程(=C)である。J1は余分な非硬化の非透明性樹脂液34を金型の外へ排出する非硬化の非透明性樹脂液排出工程(=D)である。K1は非透明肉厚部33の内壁面に付着した非透明樹脂液34を完全に凝固させる第3加熱工程である。L1は冷却工程である。これらG1乃至L1を順次繰り返えすと、透明及び非透明の樹脂が一体構造の軟質樹脂成型品40が出来上がる。そこで、M1は最終工程に於いて、金型3を冷却槽24から取り出し、軟質樹脂成型品40を引き抜く軟質樹脂成型品引抜き工程である。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙するような効果がある。
(1)生産効率の向上を図ることができる。
(2)商品としての軟質樹脂成型品に外観上のバラツキが生じない。
(3)外側肉厚部が弾性力を有するので、玩具の形態部分に於いて突起部があっても、心配(危険性)がない。
(4)加熱工程を効率的に行い、例えば断面壺状の透明肉厚部又は非透明肉厚部を所望する肉厚に保ことができる。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図14は本発明の第1実施例を示す各説明図。図15は本発明の第2実施例を示す工程図。
【図1】第1実施例の全体の流れを示す工程図。
【図2】透明樹脂液注入工程Aの説明図。
【図3】第1気泡分離工程Bの説明図。
【図4】第1加熱工程Cの説明図。
【図5】透明樹脂液排出工程Dの説明図。
【図6】第2加熱工程Eの説明図。
【図7】第1冷却工程Fの説明図。
【図8】非透明樹脂液注入工程Gの説明図。
【図9】第2気泡分離工程H(=B)の説明図。
【図10】第3加熱工程I(=C)の説明図。
【図11】非透明性樹脂液排出工程J(=D)の説明図。
【図12】第4加熱工程K(=E)の説明図。
【図13】第2冷却工程L(=F)の説明図。
【図14】軟質樹脂成型品引抜き工程Mの説明図。
【図15】本発明の第2実施例を示す工程図。
【符号の説明】
A、A1…透明樹脂液注入工程、B、B1…第1気泡分離工程、C、C1…第1加熱工程、D、D1…透明樹脂液排出工程、E…第2加熱工程、F…第1冷却工程、G、G1…非透明樹脂液注入工程、H…第2気泡分離工程、I…第3加熱工程、I1…第2加熱工程、J、J1…非透明性樹脂液排出工程、K…第4加熱工程、K1…第3加熱工程、L…第2冷却工程、L1…冷却工程、M、M1…軟質樹脂成型品引抜き工程、2…透明の熱硬化性樹脂液、3…金型、4…開口部、8…遠心分離機、15…油、16…加熱槽、17…支持体、19…透明肉厚部、19a…透明肉厚部の内壁面、20…金型に残存する透明樹脂液、22…透明肉厚部の内周壁に付着している液状部分、24…冷却槽、32…非透明樹脂液、33…非透明肉厚部、34…非透明肉厚部の内壁面に付着した非透明樹脂液、40…軟質樹脂成型品、41…引抜き手段。
Claims (1)
- まず、透明の熱硬化性樹脂液2を玩具用金型3に注入する透明樹脂液注入工程Aと、次に、金型3を遠心分離機8の回転円盤の周端部の嵌合取付け凹所に取付け、かつ、透明の熱硬化性樹脂液2内に存在する気泡を抜く第1気泡分離工程Bと、次に、加熱槽16の中に網状或いは籠状の支持体17を介して金型3を入れ、熱硬化により一端開口の壺状或いは袋状の透明肉厚部19を形成する第1加熱工程Cと、次に、金型3を前記支持体17を介して加熱槽16から取り出し、かつ、残存する透明樹脂液20を排出する非硬化の透明樹脂液排出工程Dと、次に、金型3を加熱槽16で再度加熱し、前記透明肉厚部19の内周壁に付着している液状部分22を完全に熱硬化させる第2加熱工程Eと、次に、金型3を冷却槽24に入れ、熱硬化した透明肉厚部19を冷却する第1冷却工程Fとを順次経て質感がある透明肉厚部19を形成し、次いで、透明肉厚部19内に、非透明の熱硬化性樹脂液32を注入する非透明樹脂液注入工程G、しかる後に、非透明樹脂液32を透明肉厚部19の内壁面19aに沿って非透明肉厚部33を形成する第3加熱工程I(=C)、余分な非硬化の非透明性樹脂液34を排出する非透明性樹脂液排出工程J(=D)、非透明肉厚部33の内壁面に付着した非透明樹脂液34を完全凝固させる第4加熱工程K(=E)及び第2冷却工程L(=F)を順次繰り返して透明及び非透明の樹脂が一体構造の軟質樹脂成型品40を形成し、最終に、前記支持体17を介して冷却槽24から金型3を取り出し、軟質樹脂成型品40を引き抜く軟質樹脂成型品引抜き工程Mを含むことを特徴とする軟質樹脂液を用いた玩具の製造方法。
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