JP3986341B2 - フロアポストを用いた床下補強構造、およびその施工方法 - Google Patents

フロアポストを用いた床下補強構造、およびその施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築現場における床下補強構造の改良、更に詳しくは、既設のフロア材に大きな加工を施すことなく、フロアポストを付加的に設置してフロア材の支持強度を増強することができ、しかも、施工性にも非常に優れたフロアポストを用いた床下補強構造、およびその施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の建造物の床組み構造は、スラブ上にフロアポストを立設してフロア材を支持している。ところで、部屋に間仕切りを設置する場合、間仕切りの床下には大きな支持力が必要なのであるが、既にフロアポストを配設した後で設計変更されて設置位置を変更することがあり、床下を十分に支持できないという不満があった。また、重量のある家具やピアノなどが載置された部分が撓んでしまうという問題があり、そのままの強度では到底支持することができないために床下を補強する必要がある。
【0003】
そこで、従来、既設のフロア材の床下を補強するためには、一旦、フロア材に穴を開け、その中にフロアポストを付加的に設置していたのであるが、この際、設置したフロアポストを昇降調節するために手が入るほどの大きな開口部を設けねばならず、その箇所を復旧したとしても、フロア材の剛性が低下していて強度を保持できないというおそれがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のフロアポストを用いた補強構造に上記のような不満があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、既設のフロア材に大きな加工を施すことなく、フロアポストを付加的に設置してフロア材の支持強度を増強することができ、しかも、施工性にも非常に優れたフロアポストを用いた床下補強構造、およびその施工方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0006】
即ち、本発明は、スラブS上に敷き詰められたフロア材1・1…の床下において、レベル調節自在なフロアポスト2が付加的に設置された床下の補強構造であって、
前記フロアポスト2は床受け板21にスクリューロッド22を螺合して、かつ、当該床受け板 21 の支持面 21 aに着脱可能な接着機能を付与して構成されている一方、
フロア材1には差し口11が開口されており、この差し口11に前記フロアポスト2の床受け板21が挿通可能であって、
この挿通された床受け板21の支持面 21 上向きにされた状態でフロア材1の床下で回転または水平移動した位置において、当該床受け板 21 が上方に持ち上げられて支持面21aの少なくとも一部がフロア材1の裏面に接着されることにより仮止めして設置位置を決定することができ、
スクリューロッド22の頭部22aを回転することによって脚部22bがスラブS上に接地してフロアポスト2が定立することによってフロア材1の床下を補強可能であるという技術的手段を採用してフロアポストを用いた床下補強構造を完成させた。
【0007】
(削除)
【0008】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、フロア材1の差し口11の周縁に逃げ孔11aを延成し、この逃げ孔11aにおいてスクリューロッド22の頭部22aが位置するようにフロアポスト2を設置するという技術的手段を採用した。
【0009】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、フロアポスト2において、スクリューロッド22の頭部22aが床受け板21の支持面21aから突出して螺合されており、このスクリューロッド22の頭部22a外周に硬化性接着剤Bが充填されてフロア材1の差し口11の内面に固着するという技術的手段を採用した。
【0010】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、フロア材1の差し口11にキャップ部材12が被嵌可能であるという技術的手段を採用した。
【0011】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、フロアポスト2の床受け板21が円形であるという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、支持面21aの接着機能が、当該支持面に貼着された粘着性両面テープAによって付与されているという技術的手段を採用した。
【0013】
また、本発明は、スラブS上に敷き詰められたフロア材1・1…の床下において、レベル調節自在なフロアポスト2を付加的に設置して床下を補強するにあたり、
前記フロアポスト2は床受け板21にスクリューロッド22を螺合して、かつ、当該床受け板 21 の支持面 21 aに着脱可能な接着機能を付与して構成されている一方、
フロア材1には差し口11が開口されており、この差し口11に前記フロアポスト2の床受け板21を挿通し、
この挿通した床受け板21の支持面 21 上向きにした状態でフロア材1の床下で回転または水平移動せしめた後、当該床受け板 21 を上方に持ち上げることによって、支持面21aの少なくとも一部をフロア材1の裏面に接着せしめて仮止めして設置位置を決定した後、
前記スクリューロッド22の頭部22aを回転することによって脚部22bをスラブS上に接地せしめてフロアポスト2を定立することによってフロア材1の床下を補強するという技術的手段を採用してフロアポストを用いた床下補強構造の施工方法を完成させた。
【0014】
(削除)
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、フロア材1の差し口11の周縁に逃げ孔11aを延成し、この逃げ孔11aにおいてスクリューロッド22の頭部22aが位置するようにフロアポスト2を設置するという技術的手段を採用した。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、フロアポスト2において、スクリューロッド22の頭部22aが床受け板21の支持面21aから突出して螺合されており、このスクリューロッド22の頭部22a外周に硬化性接着剤Bを充填してフロア材1の差し口11の内面に固着するという技術的手段を採用した。
【0017】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、フロア材1の差し口11にキャップ部材12を被嵌するという技術的手段を採用した。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を具体的に図示した図面に基いて更に詳細に説明すると次のとおりである。
【0019】
本発明の実施形態を図1から図11に基いて説明する。図中、符号1で指示するものはフロア材であり、このフロア材1は単板や二重床、下地板、捨張板、仕上げ材などであり、本実施形態では下地板であって、これらフロア材1・1…がスラブS上に敷き詰められている。
【0020】
符号2で指示するものはフロアポストであり、このフロアポスト2は床受け板21にスクリューロッド22を螺合して構成されている。使用材料としては合成樹脂や金属を採用することができるが、本実施形態では、軽量で成形性に優れた合成樹脂を採用する。
【0021】
しかして、本実施形態におけるフロアポストを用いた床下補強構造を施工する手順を具体的に説明する。まず、フロア材1には差し口11を開口し、この差し口11に前記フロアポスト2の床受け板21を挿通する。この際、差し口11の大きさは床受け板21よりも若干大きいくらいに構成する(図1および図2参照)。
【0022】
また、本実施形態では、フロアポスト2の床受け板21を円形に形成しており、この際、床受け板21に対応する円形の差し口11は、円形カッターを用いて簡単に開設することができる。また、フロアポスト2の床受け板21の支持面21aに接着機能を付与しておく。
【0023】
本実施形態では、フロア材1の差し口11の周縁に逃げ孔11aを延成し、この逃げ孔11aにおいてスクリューロッド22の頭部22aを位置させる。この際、逃げ孔11aの大きさはスクリューロッド22の頭部22aが収まる程度の径に作製されている。
【0024】
次に、挿通した床受け板21を水平に移動せしめた後(図3および図4参照)、当該床受け板 21 を上方に持ち上げることによって、支持面21aの少なくとも一部をフロア材1の裏面に接着せしめる(図5および図6参照)。この際、床受け板21の支持面21aの接着機能として、粘着性両面テープAを貼着することができ、この両面テープAがフロア材に裏面に対して着脱可能であれば、位置を決定する前に仮止めすることができる。
【0025】
そして、前記スクリューロッド22の頭部22aを回転することによって脚部22bをスラブS上に接地せしめてフロアポスト2を定立することによってフロア材1の床下を補強することができるのである(図7参照)。然る後、必要に応じて、フロア材1の差し口11にキャップ部材12を被嵌することができ、このキャップ部材12を固着して閉塞することができる。このキャップ部材12は床受け板21にも支持されている。なお、フロア材1の上からビスVを打ち込んで固定することも可能であり、より確実に設置することができる(図8参照)。
【0026】
また、フロアポスト2において、スクリューロッド22の頭部22aが床受け板21の支持面21aから突出するように螺合し、このスクリューロッド22の頭部22a外周に硬化性接着剤Bを充填してフロア材1の差し口11の内面に固着することができる(図8参照)。取り付ける際にスクリューロッド22の頭部22aを床受け板21よりも突出させ、また、施工の際にはこの頭部22aを持ちながら差し口11に挿入するので、フロア材1のレベルよりも突出させておくことが望ましい。そして、図8に示すように、下地材、床仕上げ材(フローリング、タイル、カーペットなど)を載置することができる。
【0027】
また、本実施形態の変形例を図9および図10に示す。図示のように、フロアポスト2の床受け板21およびフロア材1の差し口11を長方形に作製し、この床受け板21を差し口11に差し込んで、回転せしめた後、上方に持ち上げることによって支持面21aの少なくとも一部をフロア材1の裏面に接着せしめる。この形状に作製すると、フロア材1に対する支持面21aの当接面積を大きくすることができ、また、差し口11の開口によるフロア材1の剛性損失が小さい。
【0028】
また、図11に示すように、フロア材1・1…が間隔をおいて敷き詰められている場合においては、これらのフロア材1を跨ぐようにしてフロアポスト2を設置することが可能であり、差し口11を必ずしも開設する必要がない。
【0029】
本発明は概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、フロアポスト2の床受け板21の形状は、円形や長方形に限らず、多角形などの他形状に変更ができる。また、接着機能は粘着性両面テープに限らず、粘着性のプラスチックでも良いし、硬化性のものであっても良い。
【0030】
また、フロアポスト2のスクリューロッド22の頭部22aを回転して螺合し易くするようにこの頭部22aに六角や十字形、マイナス形のすりわりを形成することもでき、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【0031】
【発明の効果】
以上、実施形態をもって説明したとおり、本発明においては、床受け板が挿通可能な差し口を開設するという最小限の加工をするだけで、フロアポストを床下に付加的に配設することができるので、既設のフロア材に大きな開口部を開設しなくても良い。
【0032】
また、フロア材を敷設したまま、所要の位置に手軽に施工することができるので、フロア材を捲くり上げる手間がなく、また、設置後のフロアポストのレベル調節も容易にできることから、建築材料としての利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態における施工状態を表わす説明斜視図である。
【図2】 本発明の実施形態における施工状態を表わす説明側面図である。
【図3】 本発明の実施形態における施工状態を表わす説明側面図である。
【図4】 本発明の実施形態における施工状態を表わす説明上面図である。
【図5】 本発明の実施形態における施工状態を表わす説明斜視図である。
【図6】 本発明の実施形態における施工状態を表わす説明側面図である。
【図7】 本発明の実施形態における施工状態を表わす説明側面図である。
【図8】 本発明の実施形態における施工状態を表わす説明側面図である。
【図9】 本発明の実施形態変形例における施工状態を表わす説明斜視図である。
【図10】 本発明の実施形態変形例における施工状態を表わす説明上面図である。
【図11】 本発明の実施形態変形例における施工状態を表わす説明上面図である。
【符号の説明】
1 フロア材
11 差し口
11a 逃げ孔
12 キャップ部材
2 フロアポスト
21 床受け板
21a 支持面
22 スクリューロッド
22a 頭部
22b 脚部
S スラブ
A 粘着性両面テープ
B 硬化性接着剤
V ビス

Claims (10)

  1. スラブS上に敷き詰められたフロア材1・1…の床下において、レベル調節自在なフロアポスト2が付加的に設置された床下の補強構造であって、
    前記フロアポスト2は床受け板21にスクリューロッド22を螺合して、かつ、当該床受け板 21 の支持面 21 aに着脱可能な接着機能を付与して構成されている一方、
    フロア材1には差し口11が開口されており、この差し口11に前記フロアポスト2の床受け板21が挿通可能であって、
    この挿通された床受け板21の支持面 21 上向きにされた状態でフロア材1の床下で回転または水平移動した位置において、当該床受け板 21 が上方に持ち上げられて支持面21aの少なくとも一部がフロア材1の裏面に接着されることにより仮止めして設置位置を決定することができ、
    スクリューロッド22の頭部22aを回転することによって脚部22bがスラブS上に接地してフロアポスト2が定立することによってフロア材1の床下を補強可能であることを特徴とするフロアポストを用いた床下補強構造。
  2. フロア材1の差し口11の周縁に逃げ孔11aが延成され、この逃げ孔11aにおいてスクリューロッド22の頭部22aが位置するようにフロアポスト2が設置されたことを特徴とする請求項記載のフロアポストを用いた床下補強構造。
  3. フロアポスト2において、スクリューロッド22の頭部22aが床受け板21の支持面21aから突出して螺合されており、このスクリューロッド22の頭部22a外周に硬化性接着剤Bが充填されてフロア材1の差し口11の内面に固着されていることを特徴とする請求項1または2記載のフロアポストを用いた床下補強構造。
  4. フロア材1の差し口11にキャップ部材12が被嵌可能であることを特徴とする請求項1〜の何れか一つに記載のフロアポストを用いた床下補強構造。
  5. フロアポスト2の床受け板21が円形であることを特徴とする請求項1〜の何れか一つに記載のフロアポストを用いた床下補強構造。
  6. 支持面21aの接着機能が、当該支持面に貼着された粘着性両面テープAによって付与されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一つに記載のフロアポストを用いた床下補強構造。
  7. スラブS上に敷き詰められたフロア材1・1…の床下において、レベル調節自在なフロアポスト2を付加的に設置して床下を補強するにあたり、
    前記フロアポスト2は床受け板21にスクリューロッド22を螺合して、かつ、当該床受け板 21 の支持面 21 aに着脱可能な接着機能を付与して構成されている一方、
    フロア材1には差し口11が開口されており、この差し口11に前記フロアポスト2の床受け板21を挿通し、
    この挿通した床受け板21の支持面 21 上向きにした状態でフロア材1の床下で回転または水平移動せしめた後、当該床受け板 21 を上方に持ち上げることによって、支持面21aの少なくとも一部をフロア材1の裏面に接着せしめて仮止めして設置位置を決定した後、
    前記スクリューロッド22の頭部22aを回転することによって脚部22bをスラブS上に接地せしめてフロアポスト2を定立することによってフロア材1の床下を補強することを特徴とするフロアポストを用いた床下補強構造の施工方法。
  8. フロア材1の差し口11の周縁に逃げ孔11aを延成し、この逃げ孔11aにおいてスクリューロッド22の頭部22aが位置するようにフロアポスト2を設置することを特徴とする請求項記載のフロアポストを用いた床下補強構造の施工方法。
  9. フロアポスト2において、スクリューロッド22の頭部22aが床受け板21の支持面21aから突出して螺合されており、このスクリューロッド22の頭部22a外周に硬化性接着剤Bを充填してフロア材1の差し口11の内面に固着することを特徴とする請求項7または8記載のフロアポストを用いた床下補強構造の施工方法。
  10. フロア材1の差し口11にキャップ部材12を被嵌することを特徴とする請求項7〜9の何れか一つに記載のフロアポストを用いた床下補強構造の施工方法。
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