JP3985578B2 - 臨床検査法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、臨床検査の分野等において、検体中の測定対象の核酸関連物質を測定する際に非特異的ハイブリダイゼーションを抑制することができる臨床検査法に関する。
【0002】
【従来の技術】
臨床検査の分野では、DNA、RNA等の核酸関連物質の検出にハイブリダイゼーション法が用いられている。該方法は、測定対象の核酸関連物質と相補的な配列を有するDNA等を固定した固相に、標識した検体を接触させた後、洗浄して測定対象の核酸関連物質以外を除去し、最後に固相に結合した標識物質の活性を測定する方法である。
臨床検査の分野では、ハイブリダイゼーション法を用いて測定対象の核酸関連物質を測定する場合、核酸関連物質の配列を正確に認識することが求められている。
従来、ハイブリダイゼーション法を用いて検体を測定する際には、非特異的ハイブリダイゼーションを抑制するためにドデシル硫酸ナトリウム(SDSと略す)、N-ラウロイルサルコシン(N-LSと略す)等の界面活性剤;ウシ血清アルブミン(BSAと略す)、カゼイン等の蛋白質を添加することが広く知られている。しかし、界面活性剤及び蛋白質は、非特異的ハイブリダイゼーションの抑制効果が殆どなく、核酸関連物質の配列を正確に認識できない。
また、Patrickら(Nature Biotechnology,17,365-370(1999))は、DNAチップ表面に電流を流して、DNAのSNPsを抑制する方法を提案している。しかし、該方法では専用のDNAチップが必要であり、既存の全てのDNAチップに適用できない。
一方、ホスホリルコリン類似基を有するポリマーを臨床検査の分野で利用する研究がなされている。ホスホリルコリン基含有ポリマーは、生体膜に由来するリン脂質類似構造に起因して、血液適合性、補体非活性化、生体物質非吸着性等の生体適合性に優れ、また防汚性、保湿性等の優れた性質を有することが知られている。従って、これらの機能を生かした生体関連材料の開発を目的としたポリマーの合成及びその用途に関する研究開発が活発に行われている。特開平7-5177号公報、特開平7-83923号公報、特開平10-114800号公報には、ホスホリルコリン基含有ポリマーが、容器へのタンパク質の吸着を抑制することによる高精度の臨床検査の技術が公開されている。
しかし、ホスホリルコリン基含有ポリマーを用いることにより、核酸関連物質の配列を正確に認識できること、即ち、非特異的ハイブリダイゼーションを抑制できることは知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、臨床検査における非特異的ハイブリダイゼーションを抑制し、測定対象の核酸関連物質を容易に、且つ高精度で検出することが可能な臨床検査法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、検体と、所定の核酸関連物質にハイブリダイズする検査薬とを、ハイブリダイズさせる系中に、式 (1) で表されるホスホリルコリン類似基含有モノマーに基づく構成基を有し、重量平均分子量 1000 〜 5000000 の非特異的ハイブリダイゼーション抑制機能を有するポリマー (H)0.0001 〜 20 重量%の存在下、所定の核酸関連物質と検査薬とがハイブリダイズする所定条件で接触させる工程(1)と、工程(1)において検査薬とのハイブリダイズにより生成した反応物を検出する工程(2)とを含む臨床検査法が提供される。
【化3】
(式中、Xは2価の有機残基を示し、Yは炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Zは水素原子又はR5O(C=O)-を示す。但し、R5は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す。R1は水素原子又はメチル基を示し、R2、R3及びR4は同一又は異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。mは0又は1、nは1〜4の整数である。)
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明に用いるポリマー (H) は、前記式 (1) で表されるホスホリルコリン類似基 (PC 基と略す ) 含有モノマー (PC モノマーと略す ) に基づく構成基を有する特定分子量の非特異的ハイブリダイゼーション抑制機能を有するポリマーである。
【0006】
ポリマー(H) の分子量は、重量平均分子量で通常1000〜5000000、好ましくは10000〜2000000である。該分子量が1000未満では十分な非特異的ハイブリダイゼーションの抑制が困難であり、5000000を超えると粘性が高くなりすぎてハイブリダイゼーションを阻害する恐れがあり好ましくない。
【0007】
ポリマー(H)の調製は、例えば、 PCモノマーを必須とする、スルホン基を有するモノマー(SAモノマーと略す)、カルボキシル基を有するモノマー(CAモノマーと略す)、アミド基を有するモノマー等の親水性モノマーを、若しくは親水性モノマーと、疎水性基を有し親水性基を有していない疎水性モノマーとを、公知のラジカル重合法等により重合させることにより得ることができる。重合に際しては、親水性モノマーは1種又は2種以上用いることができ、疎水性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。
【0008】
前記 PC モノマーの式 (1)中、Xは2価の有機残基を示し、Yは炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Zは水素原子又はR5O(C=O)-を示す。但し、R5は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示す。R1は水素原子又はメチル基を示し、R2、R3及びR4は同一又は異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す。mは0又は1、nは1〜4の整数である。
【0009】
前記Xとしては、例えば、-C6H4-、-C6H10-、-(C=O)O-、-O-、-CH2O-、-(C=O)NH-、-O(C=O)-、-O(C=O)O-、-C6H4O-、-C6H4CH2O-、-C6H4(C=O)O-が挙げられる。前記Yとしては、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられる。前記ZのR5は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基、又はヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、4-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチル基、2-ヒドロキシペンチル基、6-ヒドロキシヘキシル基、2-ヒドロキシヘキシル基、7-ヒドロキシヘプチル基、2-ヒドロキシヘプチル基、8-ヒドロキシオクチル基、2-ヒドロキシオクチル基、9-ヒドロキシノニル基、2-ヒドロキシノニル基、10-ヒドロキシデシル基、2-ヒドロキシデシル基等の炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
【0010】
PCモノマーとしては、例えば、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2'-(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2'-(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2'-(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2'-(トリシクロヘキシルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2'-(トリフェニルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2'-(トリメタノールアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ブチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ペンチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-((メタ)アクリロイルオキシ)ヘキシル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(p-ビニルベンジルオキシ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(p-ビニルベンゾイルオキシ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(スチリルオキシ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(p-ビニルベンジル)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルオキシカルボニル)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アリルオキシカルボニル)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(アクリロイルアミノ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2-(ビニルカルボニルアミノ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、エチル-(2'-トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)フマレート、ブチル-(2'-トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)フマレート、ヒドロキシエチル-(2'-トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)フマレート、エチル-(2'-トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)マレート、ブチル-(2'-トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)マレート、ヒドロキシエチル-(2'-トリメチルアンモニオエチルホスホリルエチル)マレートが挙げられる。中でも2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましく、更に2-(メタクリロイルオキシ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン)(MPCと略す)が入手性の点でより好ましい。尚、ここで(メタ)アクリロイルは、メタクリロイル及び/又はアクリロイルを意味する。
【0011】
PCモノマーは、公知の方法で製造できる。例えば、特開昭54-63025号公報に示された、2-ヒドロキシエチルメタクリレートと2-ブロムエチルホスホリルジクロライドとを3級塩基の存在下で反応させ得られた化合物と3級アミンとを反応させる方法、特開昭58-154591号公報に示された、水酸基含有重合性モノマーと環状リン化合物との反応後、3級アミンで開環する公知の方法に準じて製造することができる。
【0012】
SAモノマーとしては、例えば、2-メチルプロパンスルホン酸、2-ジメチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-スルホエチルメタクリレートが挙げられる。好ましくは、2-メチルプロパンスルホン酸、2-ジメチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸が挙げられる。
CAモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、3-ペンテン酸、4-ペンテン酸、3-アクロキシプロピオン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸が挙げられる。好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸が挙げられる。
【0013】
疎水性モノマーとしては、式(2)で示されるモノマーが挙げられる。
【化4】
式(2)中、R6は水素原子又はメチル基を示し、L1は-C6H4-、-C6H10-、-(C=O)O-、-O-、-(C=O)NH-、-O(C=O)-又は-O(C=O)O-を示し、L2は水素原子、-(CH2)g-L3又は((CH2)p-O)h-L3を示す。g及びhは1〜24、pは3〜5の整数を示し、L3は水素原子、メチル基、-C6H5、-OC6H5を示す。
【0014】
疎水性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系モノマー;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマーが挙げられる。好ましくは、ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレートが挙げられる。
【0015】
ポリマー(H)としては、例えば、PCモノマーを5〜100mol%、アニオン性基、好ましくはカルボキシル基及びスルホン基の少なくとも1種を有するモノマー0〜95mol%、及び疎水性モノマー0〜60mol%からなるモノマー組成物を重合して得たポリマーが挙げられる。具体的にはPCモノマーを通常5〜95mol%、好ましくは10〜90mol%と、SAモノマー及び/又はCAモノマーを通常5〜95mol%、好ましくは10〜90mol%とを含むモノマー組成物を重合して得たポリマー、若しくはPCモノマーを通常5〜90mol%、好ましくは10〜85mol%と、SAモノマー及び/又はCAモノマーを通常5〜90mol%、好ましくは10〜85mol%と、疎水性モノマーを通常5〜60mol%、好ましくは5〜50mol%とを含むモノマー組成物を重合して得たポリマーが挙げられる。PCモノマーが5mol%未満では、PC基の効果が十分でないので好ましくない。このようなPCポリマーも通常のラジカル共重合により製造できる。
【0016】
ポリマー (H) の使用に際しては、ハイブリダイゼーション時の系にポリマー(H)が通常0.0001〜20重量%、好ましくは0.001〜10重量%となるように添加混合することができる。ポリマー(H)が0.0001重量%未満では、非特異的ハイブリダイゼーション抑制効果が十分発揮されない恐れがあり、20重量%を超えると系の粘性が高くなりすぎてハイブリダイゼーション反応を阻害する恐れがあり好ましくない。
ポリマー (H)は、本発明の効果を損なわない範囲において、界面活性剤、溶剤、防腐剤等の他の成分と共に使用しても良い。また、ポリマー (H)の形態は、粉末状又は溶液状のいずれでも良い。
【0017】
本発明に用いる核酸関連物質とは、1又は2以上の分子のリン酸が炭水化物分子、例えば、ペントース又はヘキソースと結合し、該分子が、例えば、アデニンのようなプリンから、若しくはチミンのようなピリミジンから誘導される塩基にそれぞれ結合する、1又は2以上の任意の化合物群を意味する。特に、自然発生の核酸分子は、ゲノムのDNA、ゲノムのRNA並びに様々な異なる型のRNA、例えば、mRNA、tRNA及びrRNAを含み、cDNAも含み、更には合成されたDNA又は自然発生のDNAと合成DNAとのハイブリットも含む。
【0018】
核酸関連物質は、一本鎖又は二本鎖のいずれでも良く、線状又は環状、例えば、プラスミドでも良く、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドでも良い。また塩基数10ほどの塩基又は塩基対から塩基数20000ほどの塩基又は塩基対(20kb)も含む。これら自然発生物質に加えて、例えば、ATCC又はGene Bankライブラリーのソースから入手したもの、更には合成組成物、即ち、核酸類似体を含む。合成核酸は様々な溶液又は固相方法により調製できる。一般には固相合成が好ましく、ホスフィットトリエステル、ホスホトリエステル及びH-ホスホネート化学等による核酸の合成が幅広く行われている(Itakura USP4,458,066明細書、USP4,500,707明細書;GaruthersらGenetic Engineering,4:1-17(1982);Jones 第2章、Atkinsonら第3章及びSproatら第4章Oligonucleotids Synthesis:A Practical Approach,Gait(編),IRL Press, Washington D.C.(1984))。
【0019】
本発明の臨床検査法は、まず、検体と、所定の核酸関連物質にハイブリダイズする検査薬とを、前記ポリマー (H)の存在下、所定の核酸関連物質と検査薬とがハイブリダイズする所定条件で接触させる工程(1)を行う。
工程(1)は、例えば、検体と検査薬とを含む系内に前記ポリマー (H)を添加し、所定条件に保持する方法、検体と検査薬とを含む系内を所定条件に保持し、該系内に前記ポリマー (H)を添加する方法、若しくは事前に検体及び/又は検査薬に前記ポリマー (H)を添加しておき、次いで、該検体及び検査薬を所定条件で接触させる方法等により行うことができる。
【0020】
工程(1)は、例えば、検査薬を担体に固定する際、若しくは検査薬を担体に固定した後に前記ポリマー (H)を添加し検体とハイブリダイズさせる方法により行うことができる。この際、前記ポリマー (H)の形態は、溶液状態又は粉末状態のいずれでも良いが、反応系と速やかに均一になる溶液状態が好ましい。
前記担体としては、例えば、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、PVDF膜等の膜;ポリスチレン、ポリプロピレン、ガラス、金属等からなるプレート又は平板が挙げられるがこれらに限定されない。担体への固定方法としては、例えば、静電的な結合方法、イオン性を利用する方法、紫外線等で担体と共有結合させる方法、架橋試薬により共有結合させる方法が挙げられる。
前記担体を用いる方法の他に、溶液中でも工程(1)を行うことができる。該方法としては、例えば、ポリメラーゼチェインリアクション法(PCR法)、シークエンス反応法、逆転写酵素を用いるRNA依存性のDNA合成反応法、遺伝子工学で用いられるDNAポリメラーゼを用いる各種の転写反応法が挙げられる。
【0021】
工程(1)において、所定の核酸関連物質と検査薬とがハイブリダイズする所定条件は、例えば、測定対象である所定の核酸関連物質がDNAの場合、サザンハイブリダイゼーションにおける適当な条件、測定対象である所定の核酸関連物質がRNAの場合、ノーザンハイブリダイゼーションにおける適当な条件から適宜選択することができる。
【0022】
本発明の臨床検査法では、工程(1)において検査薬とのハイブリダイズにより生成した反応物を検出する工程(2)を行う。
工程(2)において、反応物の検出は、例えば、反応物検出のために公知の標識化技術に基づき標識し、該標識の活性等を測定することにより実施することができる。標識方法としては、例えば、32P、14C、3H等のラジオアイソトープを用いる方法、蛍光色素を用いる方法、酵素蛋白質を用いる方法、各種抗原物質に対する抗体を用いる方法が挙げられる。これら標識化合物の調製は、標識化合物を基質としてDNAポリメラーゼにより得る方法、化学的に反応させて得る方法等が挙げられる。一方、反応物の検出は、前記標識方法によって適宜選択することができる。例えば、ラジオアイソトープを用いる方法の場合、シンチレーションカウンター又はオートラジオグラフィーにより検出でき、蛍光色素を用いる方法の場合は、レーザー等を用いた検出装置により検出でき、酵素蛋白質又は各種抗原を用いる方法の場合には、化学発光、蛍光検出、酵素基質の発色等により検出することができる。
【0023】
本発明の臨床検査法は、上記工程(1)及び(2)を少なくとも含む方法であれば良く、公知の各種方法を利用して容易に実施することができる。以下にサザンブロットハイブリダイゼーションを利用する具体例を説明する。該具体例においては、前記ポリマー (H)については説明していないが、例えば、上述の各種添加時期において上述の好ましい割合で適宜添加することにより本発明の臨床検査法を実施することができる。
【0024】
まず、血液等の生体組織よりISOGEN(日本ジーン社製)を用いてゲノムDNAを調製する。その後、得られたDNAを0.7%アガロースゲル電気泳動により分離する。電気泳動終了後のゲルを0.25N塩酸溶液に室温で15分間、更に0.4N水酸化ナトリウム溶液に室温で30分間軽く震盪しながら浸す。予め作製しておいたブロットテーブル上に、上記で調製したゲル、Gene Screen Plus膜(Dupont社製)、3MMろ紙(ワットマン社製)キムタオル及び重りを順に重ね一晩放置し、ゲル中のDNAをGeneScreen Plus膜に転写させる。転写終了後、Gene Screen Plus膜を0.5Mトリス緩衝液に室温で15分間浸す。室温で乾燥後、更に80℃で2時間ベーキングを行う。得られた膜を2×SSC(0.3M塩化ナトリウム、0.03Mクエン酸ナトリウム)中で震盪し、その後、ラピッドハイブリダイゼーション緩衝液(アマシャムファルマシア社製)に浸し65℃で15分間震盪しプレハイブリダイゼーションを行う。予め[γ32P]-dCTPを用いニックトランスレーション法で作製しておいた目的とするDNAプローブ溶液(32Pラベル)を、ハイブリダイゼーション緩衝液に添加し65℃で2時間ハイブリダイゼーションを行う。0.1×SSC (0.015M塩化ナトリウム、0.0015Mクエン酸ナトリウム)で65℃、15分間震盪する。この操作を2回繰り返し不要なプローブを洗い流す。ろ紙上で余分な水分を除いた後、−70℃、24時間X線フィルム上にプローブからでる放射線を焼き付ける。X線フィルムを現像し、目的のバンドをデンシトメーターで定量化する方法が挙げられる(Molecular Cloning A LABORATORY MANUAL 2nd EDITION, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))。
【0025】
【発明の効果】
本発明の臨床検査方法では、前記ポリマー (H)を用いるので、臨床検査を目的としたハイブリダイゼーション時における非特異的ハイブリダイゼーションを抑制し、効率良く、且つ高精度で測定対象の核酸関連物質を検出することができる。
【0026】
【実施例】
以下、合成例、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
合成例 1
MPC 19.4g及びメタクリル酸(MAと略す)0.6gを水40gに溶解し4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹き込んだ後、60℃でコハク酸パーオキサイド1.6gを加えて8時間重合反応させた。重合液を3Lのアセトン中に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間、室温で真空乾燥を行って、ポリマー粉末(ポリマー(P1)と略す)14.6gを得た。ポリマー(P1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分析した。分析条件は20mMリン酸緩衝液(pH7.4)を溶離液とし、ポリエチレングリコールを標準物質とし、屈折率にて検出した。また、ポリマー(P1)の組成比及び親水性基を1H-NMRにより測定した。結果を表1に示す。
【0027】
合成例 2 〜 5
合成例1で用いたモノマーの種類及び組成比率を表1に示すように代えた以外は、合成例1と同様にポリマー粉末を調製した。得られた各ポリマー粉末をポリマー(P2)〜(P5)とし、合成例1と同様な分析を行った。結果を表1に示す。
【0028】
合成例 6 及び 7
合成例1で用いたモノマーの種類及び組成比率を表1に示すように代え、水40gの代わりにイソプロパノール120gを用い、コハク酸パーオキサイド1.6gの代わりにアゾビスイソブチロニトリル(AIBNと略す)0.7gを用いた以外は、合成例1と同様にポリマー粉末を調製した。得られた各ポリマー粉末をポリマー(P6)及び(P7)とし、合成例1と同様な分析を行った。結果を表1に示す。尚、表1においてBMAはブチルメタクリレートを示す。
【0029】
合成例 8 〜 10
合成例1で用いたモノマーの種類及び組成比率を表2に示すように代え、コハク酸パーオキサイドの使用量を0.65gに代えた以外は、合成例1と同様にポリマー粉末を調製した。得られた各ポリマー粉末をポリマー(P8)〜(P10)とし、合成例1と同様な分析を行った。結果を表2に示す。尚、表2においてMPsは2-メチルプロパンスルホン酸を示す。
【0030】
合成例 11 〜 13
合成例1で用いたモノマーの種類及び組成比率を表2に示すように代え、水の使用量を120g、コハク酸パーオキサイドの使用量を0.23gに代えた以外は、合成例1と同様にポリマー粉末を調製した。得られた各ポリマー粉末をポリマー(P11)〜(P13)とし、合成例1と同様な分析を行った。結果を表2に示す。尚、表2においてAmはアクリルアミドを、VpはN-ビニル-2-ピロリドンを、E4はメトキシポリ(エチレンオキシド(4))モノメタクリレートを、MANaはメタクリル酸ナトリウム塩をそれぞれ示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
実施例 1-1
以下のDNA配列を有する、5'末端がアミノ基で修飾された固定化用オリゴDNA(PUC-NH2と略す)、該PUC-NH2と相補的な配列を有する5'末端がビオチンで修飾されたフルマッチなオリゴDNA(PUCと略す)、該PUCのSNPsを有するミスマッチな5'末端がビオチンで修飾されたオリゴDNA(PUC'又はPUC''と略す)を用いた。尚、PUC-NH2、PUC、PUC'及びPUC''はエスペックオリゴサービス(株)製を用いた。
PUC-NH2:5'-ACTGGCCGTCGTTTTACAACGTCGTGACTGGG-3'
PUC:5'-CCCAGTCACGACGTTGTAAA-3'
PUC':5'-CCCAGTCACCACGTTGTAAA-3'
PUC'':5'-CCCAGTCACGTCGTTGTAAA-3'
1mMのEDTAを添加した50mMリン酸緩衝溶液(pH8.5)(E-NaPBと略す)に溶解した25pmol/mlのPUC-NH2溶液を、DNA-バインド96穴プレート(Corning社製)に100μl/well添加し、4℃、一晩インキュベートした(PUC-NH2の固定化)。次いで、各ウェルからPUC-NH2溶液を除去し、Dulceco's PBS(D-PBSと略す)で3回洗浄した。次に、3%BSAを添加したE-NaPB溶液(B-E-NaPBと略す)200μl/wellを添加し、37℃、1時間インキュベートした(ブロッキング操作-1)。続いて、各ウェルからB-E-NaPBを除去してPUC-NH2固定化プレートを調製した。
【0034】
ポリマー(P1)3.2wt%と、PUC、PUC'及びPUC''を各々0.2pmol/mlと、750mMのNaClを含む75mMクエン酸ナトリウム溶液(5×SSCと略す)とを、上記で調製したPUC-NH2固定化プレートに100μl/well添加し、55℃、1時間インキュベートしてハイブリダイゼーションを行った。次いで、各ウェルから各溶液を除去し、55℃、300mMのNaClを含む30mMクエン酸ナトリウム溶液(2×SSCと略す)で2回洗浄した。続いて、B-E-NaPBを200μl/well添加し、37℃、30分間インキュベートした(ブロッキング操作-2)後、各ウェルからB-E-NaPBを除去した。更に、B-E-NaPBにより10000倍希釈したアビジン修飾西洋ワサビ過酸化酵素(SIGMA社製)(Avdin-HRPと略す)溶液を100μl/well添加し、37℃、30分間インキュベートした(アビジン−ビオチン反応)。次いで、D-PBSで3回洗浄した後、HRPキットの基質溶液を100μl/well添加し、25℃、10分間インキュベートした(POD-基質反応)。次に、HRPキットの反応停止液を100μl/well添加し、生じた450nmの吸光度をSPECTRA MAX250(マイクロプレートリーダー、モレキュラーデバイス社製)にて測定した。尚、HRPキットはペルオキシダーゼ用発色キットT(住友ベークライト(株)製)を用いた。
測定結果より、(PUCの吸光度)/(PUC'の吸光度)及び、(PUCの吸光度)/(PUC''の吸光度)を求めた。結果を表3に示す。
【0035】
実施例 1-2 〜 1-10 及び比較例 1-1 〜 1-3
ポリマー(P1)の代わりに各々ポリマー(P2)〜(P10)( 実施例 1-2 〜 1-10) 及びポリマー (P11) 〜 (P13)( 比較例 1-1 〜 1-3)を用いた以外は実施例1-1と同様に各測定を行った。結果を表3に示す。
【0036】
比較例 1-4
ポリマー(P1)3.2wt%と、PUC、PUC'及びPUC''を各々0.2pmol/mlを含む5×SSC溶液の代わりに、PUC、PUC'及びPUC''を各々0.2pmol/mlを含む5×SSC溶液を用いた以外は実施例1-1と同様に測定を行った。結果を表3に示す。
【0037】
比較例 1-5
ポリマー(P1)3.2wt%と、PUC、PUC'及びPUC''を各々0.2pmol/mlとを含む5×SSC溶液の代わりに、1.0%カゼイン(SIGMA社製)及び0.1%N-LS(和光純薬工業(株))を含む5×SSCを用いた以外は実施例1-1と同様に測定を行った。結果を表3に示す。
【0038】
比較例 1-6
ポリマー(P1)3.2wt%と、PUC、PUC'及びPUC''を各々0.2pmol/mlとを含む5×SSC溶液の代わりに、PUC、PUC'及びPUC''を各々0.2pmol/mlと、10mg/ml Ficol400と、10mg/mlポリビニルピロリドンと、10mg/mlウシ血清アルブミンと、0.5% SDSを溶解した6×SSC溶液(Denhard's溶液)とを用いた以外は実施例1-1と同様に測定を行った。結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
表3より、比較例に対して、実施例は、フルマッチの吸光度(PUCの吸光度)/ミスマッチの吸光度(PUC',PUC''の吸光度)の比が高くなっていることが判る。即ち、特異的ハイブリダイゼーションは抑制せず、非特異的ハイブリダイゼーションを抑制し、より正確なハイブリダイゼーションが行われていることが判る。
【0041】
製造例 1-1
96穴マルチプレート(Nunc社製、白色)に、5×SSCにて溶解した0.2mg/mlポリ(リジン-フェニルアラニン)を、150μl/well添加し室温で20時間静置した。50mMリン酸緩衝液(pH8.3)にて洗浄した後、200mMリン酸緩衝液(pH8.0)にて溶解した650μMの2-イミノチオラン塩酸塩を200μl/well添加し室温で2時間静置した後、10mMリン酸緩衝液(pH7.0)にて洗浄した。
5'末端にアミノリンカーを修飾した固相化用オリゴヌクレオチド(アマシャムファルマシア社製)(配列:5'-CATTAGGGATCCAGCCGTGAATTCGTCACT-3')を、50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、続いて、ジメチルホルムアミド(DMFと略す)に溶解したN-サクシニミジル4-マレイミド酪酸(GMBSと略す)を、オリゴヌクレオチドの5倍モル量添加し37℃、90分間反応させた後、未反応のGMBSを除きマレイミド化オリゴヌクレオチドを得た。このマレイミド化オリゴヌクレオチドを、前記2-イミノチオラン塩酸塩で処理した96穴マルチプレートに25pmol/well添加し室温で90分間反応させた。反応後、上清を廃棄し0.8mMヨードアセトアミド溶液を250μl/well添加し室温で20時間放置した。続いて、10mMリン酸緩衝液(pH7.0)にて洗浄した後、50mMトリス-50mM塩化ナトリウム-1%BSA緩衝液を250μl/well添加し、室温で20時間静置して、オリゴヌクレオチド固定化プレートを製造した。
【0042】
製造例 1-2
AFPと反応する4.8mgの抗AFP抗体クローンNo.9を、ペプシン39μgで37℃、30分間反応させた後、ゲル濾過カラムクロマトグラフィーで精製してF(ab')2分画2.4mgを得た。更に、得られた分画に0.2Mの2-メルカプトエタノールアミンをF(ab')2分画の1/20液量添加し還元反応によりFab'分画を調製した。
次に、5'末端にアミノリンカーを修飾したフルマッチのオリゴヌクレオチド(アマシャムファルマシア社製、配列:5'-AGTGACGAATTCACGGCTGGATCCCTAATG-3')及びミスマッチのオリゴヌクレオチド(アマシャムファルマシア社製、配列:5'-GATTTTAGCTCTTCT TTGGAGAAAGTGGTG-3')の各々を50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、DMFにて溶解したGMBSをオリゴヌクレオチドの5倍モル量添加し37℃、90分間反応させた後、未反応のGMBSを除きマレイミド化オリゴヌクレオチドを得た。得られたマレイミド化オリゴヌクレオチドに前記抗AFP抗体のFab'分画をオリゴヌクレオチドの0.2倍モル量添加し反応を行い、脱塩操作することにより抗Fab'-フルマッチオリゴヌクレオチド複合体(FM複合体と略す)及び抗Fab'-ミスマッチオリゴヌクレオチド複合体(MM複合体と略す)を調製した。
【0043】
実施例 2-1
ポリマー(P1)0.2wt%を含むFM複合体溶液及びポリマー(P1)0.2wt%を含むMM複合体溶液を、製造例1-1で調製したオリゴヌクレオチド固定化プレートに100μl/well添加し37℃、30分間インキュベートした。トリス-TritonX(以下、洗浄液(X)と略す)にて洗浄後、100ng/mlのAFP抗原希釈液100μlを添加し37℃、1時間インキュベートした。洗浄液(X)にて洗浄後、発光基質AMPPD溶液200μlを添加し37℃、5分間インキュベートを行い、蛍光プレートリーダーARVOsx(ワラックベルトールド)により発光量の測定を行った。測定結果より(FM複合体の発光量)/(MM複合体の発光量)を求めた。結果を表4に示す。
【0044】
実施例 2-2 〜 2-10
ポリマー(P1)の代わりに、各々ポリマー(P2)〜(P10)を用いた以外は実施例2-1と同様に操作及び測定を行った。結果を表4に示す。
【0045】
比較例 2-1
ポリマー(P1)0.2wt%を含むFM複合体溶液及びポリマー(P1)0.2wt%を含むMM複合体溶液の代わりに、FM複合体溶液及びMM複合体溶液を用いた以外は実施例2-1と同様に操作及び測定を行った。結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
表4より、比較例2-1に対して実施例2-1〜2-10は、FM複合体の発光量/MM複合体の発光量の比が高くなっていることが判る。即ち、37℃でも特異的なハイブリダイゼーションは抑制せず、非特異的なハイブリダイゼーションを抑制し、より正確なハイブリダイゼーションが行われていることが判る。
【0048】
実施例 3-1
以下のDNA配列を有する、5'末端がアミノ基で修飾された固定化用オリゴDNA (PUC2-NH2と略す)、該PUC2-NH2と相補的な配列を有するPUC、該PUCのSNPsを有するミスマッチな5'末端がビオチンで修飾されたPUC'又はPUC''を用いた。尚、PUC2-NH2はエスペックオリゴサービス(株)製を用いた。
PUC2-NH2:5'-(CH2)12TTTACAACGTCGTGACTGGG-3'E-NaPBに溶解した25 pmol/mlのPUC2-NH2溶液を、DNA-バインド96穴プレート(Corning社製)に100μL/well添加し、4℃、一晩インキュベートした(PUC2-NH2の固定化)。次いで、各ウェルから溶液を除去し、D-PBSで3回洗浄した後、B-E-NaPBを200μl/well添加し、37℃、1時間インキュベートした(ブロッキング操作-1)。各ウェルからB-E-NaPBを除去してPUC2-NH2固定化プレートを調製した。
【0049】
ポリマー(P1)3.2wt%と、PUC、PUC'及びPUC''各0.2pmol/mlとを含む5×SSCをPUC2-NH2固定化プレートに100μl/well添加し、25℃、1時間インキュベートした。次いで、各ウェルから各オリゴDNA溶液を除去し、25℃の0.1%SDS及び300mMのNaClを含む30mMクエン酸ナトリウム溶液で2回洗浄した。次に、B-E-NaPBを200μl/well添加し、37℃、30分間インキュベートした(ブロッキング操作-2)後、各ウェルからB-E-NaPBを除去した。更に、Avdin-HRP溶液を100μl/well添加し、37℃、30分間インキュベートした(アビジン-ビオチン反応)後、D-PBSで3回洗浄した。続いて、HRPキットの基質溶液を100μl/well添加し、25℃、10分間インキュベートした(POD-基質反応)。次いで、HRPキットの反応停止液を100μl/well添加し、生じた450nmの吸光度をSPECTRA MAX250(マイクロプレートリーダー、モレキュラーデバイス社製)にて測定した。尚、HRPキットはペルオキダーゼ用発色キットT(住友ベークライト(株))を用いた。
測定結果より(PUCの吸光度)/(PUC'の吸光度)及び(PUCの吸光度)/(PUC''の吸光度)を求めた。結果を表5に示す。
【0050】
実施例 3-2 〜 3-10 及び比較例 3-1 〜 3-3
ポリマー(P1)の代わりに各々ポリマー(P2)〜(P10)( 実施例 3-2 〜 3-10) 及びポリマー (P11) 〜 (P13)( 比較例 3-1 〜 3-3) (P13)を用いた以外は実施例3-1と同様に操作及び測定を行った。結果を表5に示す。
【0051】
比較例 3-4
ポリマー(P1)3.2wt%と、PUC、PUC'及びPUC''各0.2pmol/mlとを含む5×SSC溶液の代わりに、PUC、PUC'及びPUC''各0.2pmol/mlを含む5×SSC溶液を用いた以外は実施例3-1と同様に操作及び測定を行った。結果を表5に示す。
【0052】
比較例 3-5
ポリマー(P1)3.2wt%と、PUC、PUC'及びPUC''各0.2pmol/mlとを含む5×SSC溶液の代わりに1.0%カゼイン(SIGMA社製)及び0.1%N-LS(和光純薬工業(株))を含む5×SSCを用いた以外は実施例3-1と同様に操作及び測定を行った。結果を表5に示す。
【0053】
比較例 3-6
ポリマー(P1)3.2wt%と、PUC、PUC'及びPUC''を各々0.2pmol/mlとを含む5×SSC溶液の代わりに、PUC、PUC'及びPUC''を各々0.2pmol/mlと、10mg/ml Ficol400と、10mg/mlポリビニルピロリドンと、10mg/mlウシ血清アルブミンと、0.5% SDSを溶解した6×SSC溶液(Denhard's溶液)とを用いた以外は実施例3-1と同様に測定を行った。結果を表5に示す。
【0054】
【表5】
【0055】
表5より、比較例に対して実施例は、フルマッチの吸光度(PUCの吸光度)/ミスマッチの吸光度(PUC'、PUC''の吸光度)の比が高くなっていることが判る。即ち、特異的なハイブリダイゼーションは抑制せず、非特異的なハイブリダイゼーションを抑制し、より正確なハイブリダイゼーションが行われていることが判る。
Claims (3)
- 検体と、所定の核酸関連物質にハイブリダイズする検査薬とを、ハイブリダイズさせる系中に、式 (1) で表されるホスホリルコリン類似基含有モノマーに基づく構成基を有し、重量平均分子量 1000 〜 5000000 の非特異的ハイブリダイゼーション抑制機能を有するポリマー (H)0.0001 〜 20 重量%の存在下、所定の核酸関連物質と検査薬とがハイブリダイズする所定条件で接触させる工程(1)と、工程(1)において検査薬とのハイブリダイズにより生成した反応物を検出する工程(2)とを含む臨床検査法。
- ポリマー(H)が、ホスホリルコリン類似基含有モノマーを5〜100mol%、カルボキシル基含有モノマー及びスルホン基含有モノマーの少なくとも1種を0〜95mol%、及び疎水性モノマーを0〜60mol%からなるモノマー組成物を重合させて得たポリマーである請求項1記載の臨床検査方法。
- ホスホリルコリン類似基含有モノマーが2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチル-2'-(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートであり、カルボキシル基含有モノマーが(メタ)アクリル酸であり、スルホン基含有モノマーが2-メチルプロパンスルホン酸であり、疎水性モノマーが式(2)で表されるモノマーである請求項2記載の臨床検査方法。
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