JP3984756B2 - 空気動圧軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気動圧軸受の軸受部を形成する軸部材と軸受部材の少なくとも一方に磁石材料を用いることにより、当該軸受部から発生する磨耗粉を上記磁石材料に吸着させるようにした空気動圧軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポリゴンミラー、磁気ディスク、光ディスクなどの各種回転体を回転駆動させるモータ等に関して動圧軸受装置の提案が種々行われている。この動圧軸受装置においては、軸部材側の動圧軸受面と、軸受部材側の動圧軸受面とが所定の微小隙間を介して対向するように設けられおり、その対向隙間に動圧軸受部が形成されている。
【0003】
上述のように対向して設けられた動圧軸受面のうちのいずれか一方側には、動圧発生用溝が形成されており、この動圧発生用溝が形成された動圧軸受部内には、空気やオイルなどの潤滑流体が注入されている。そして、上記軸部材と軸受部材との相対回転時に、上記動圧発生用溝のポンピング作用によって潤滑流体が加圧されて潤滑流体に動圧が発生し、その動圧力によって上述した軸部材と軸受部材との両部材間が相対的に浮上することとなって、上記両部材どうしが相対回転可能に支持されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような動圧軸受装置では、回転起動時や停止時等において動圧力が十分発生していない時間帯が存在し、その時、軸部材及び軸受部材の両動圧軸受面どうしが接触してしまう。そのため、使用時間に伴って動圧軸受面は、徐々に摩耗していくこととなり、動圧軸受面からは磨耗粉が発生する。この摩耗粉は、特に潤滑流体として空気を用いた空気動圧軸受装置では、空気流に乗って動圧軸受部から外部に漏洩して動圧軸受部の周辺に浮遊することとなる。
【0005】
現状では、動圧軸受部から発生するこのような磨耗粉をシールする適切な方法はなく、従って、特にハードディスク駆動装置等に空気動圧軸受を用いた場合には、動圧軸受部から漏洩浮遊した磨耗粉がディスク面に付着してディスクエラーの原因となることが多い。従って、空気動圧軸受を有する駆動装置は、ハードディスクなどの清浄性を要求される回転装置には通常使用されていない。
【0006】
そこで、本発明は、軸受部摺動面からの磨耗粉の発生を簡易な構成で抑制し、空気動圧軸受の欠点である磨耗粉による周囲への悪影響を解消し、これにより、磨耗粉などの影響を嫌う精密な回転装置にも使用することができる空気動圧軸受を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、フレームに立設された軸部材の摺動面と、その軸部材に対して相対回転可能に装着された軸受部材の摺動面とによって対向する一対の動圧軸受面が形成され、その一対の動圧軸受面間に介在する空気の動圧作用によって前記両部材の回転支持を行う空気動圧軸受装置において、上記軸受部材が、前記軸部材と前記軸受部材と間の隙間、及び前記軸受部材と前記フレームとの間の隙間からなる空気通路において、前記動圧軸受面から発生した磨耗粉を吸着する磁石材料で構成され、前記軸受部材には、その磁石材料の動圧軸受面に対して周方向に多極着磁が施されている。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の磁石材料が、焼結フェライト磁石で構成されている。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の軸部材及び軸受部材のうち一方側部材が磁石材料で構成されているとともに、他方側部材が強磁性材料によって構成されている。
【0010】
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の軸部材及び軸受部材の双方が、共に磁石材料で構成されている。
【0011】
請求項5に記載の発明では、請求項1又は3に記載の磁石材料又は強磁性材料は、少なくとも動圧軸受面を形成するように用いられている。
【0012】
請求項6に記載の発明では、請求項3に記載の他方側部材の動圧軸受面が、磁石材料よりも高硬度の非磁性材料によって構成されている。
【0013】
請求項7に記載の発明では、請求項1に記載の軸部材および軸受部材で構成される一対の動圧軸受面によって、ラジアル軸受部またはスラスト軸受部が構成されている。
【0015】
請求項に記載の発明では、請求項1又は3に記載の磁石材料又は強磁性材料が、セラミック体から形成されている。
【0016】
このような構成を有する請求項1に記載の発明によれば、動圧軸受面から発生した磨耗粉が、当該動圧軸受面を構成する磁石材料によって、外気に通じる空気通路で吸着されるとともに、その動圧軸受面に吸着された摩耗分が潤滑材として作用するようになっている。
【0017】
さらに、請求項2およびに記載の発明によれば、他方側材料が金属体であっても、回転接触による発熱に起因する焼き付きが発生しないようになっている。
【0018】
また、請求項3および4に記載の発明によれば、軸部材及び軸受部材のいずれの動圧軸受面から発生した磨耗粉も、磁石材料に確実に吸着されるようになっている。
【0019】
また、請求項5に記載の発明によれば、少なくとも動圧軸受面が磁石材料又は強磁性材料で形成されることによって、磨耗粉が動圧軸受部からほとんど漏洩しなくなる。
【0020】
さらに、請求項6に記載の発明においても、動圧軸受面から漏出する磨耗粉の量が抑制される。
【0021】
また、請求項7に記載の発明によれば、請求項1に記載の軸部材および軸受部材で構成される動圧軸受面によって、磨耗粉の漏洩の少ないラジアル軸受部またはスラスト軸受部が実現される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による空気動圧軸受の実施形態を、軸固定型のハードディスク駆動用モータに適用した場合の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図1に示す空気動圧軸受は、フレーム10側に組み付けられた固定部材としてのステータ組1と、このステータ組1に対して、図示上方から嵌め込むようにして組み付けられた回転部材としてのロータ組2とから構成されている。上記フレーム10には、略中央部分に固定軸11が立設されるように嵌合されているとともに、当該固定軸11の外周部を半径方向外側から所定間隔離れて取り囲む円筒状のコアホルダー12が、上記フレーム10と一体的に設けられている。このコアホルダー12と上記固定軸11との間に形成される環状隙間内には、上記固定軸11に対して回転可能に装着されたロータ組2を構成する軸受部材としての軸受スリーブ21が配置されている。
【0025】
ロータ組2の構成については後述するが、上記ステータ組1を構成している上記円筒状のコアホルダー12の外周円筒面には、鉄心コア13が固着されていて、当該鉄心コア13において、周方向に所定間隔を持って配置された各突極には、駆動巻線14が巻回されている。
【0026】
また、上記固定軸11の外周円筒面11aは、ラジアル動圧面に形成されており、その軸方向のほぼ中央部には、円筒面を一周するようにして空気溜り11bが溝状に凹設されている。この空気溜り11bの上下の周縁部からは、前記固定軸11の軸方向両端側(図示上下方向)に向かってスラント形状を有するラジアル動圧発生用溝11cが、環状に並列するように上下2ブロックに分けて凹設されている。この動圧発生溝11cは、上記空気溜り11bから軸方向に対して一定の角度をなして傾斜するように延びており、その斜めに延びたその先端部は閉塞されている。そして、この先端の閉塞部は、後述する動圧流体としての供給空気に対するラジアル方向のポンピング作用による最大加圧部となる。
【0027】
また、上記固定軸11の図示上端部には、スラスト軸受部を形成するための円盤状のスラストプレート15が取り付けられている。このスラストプレート15の図示上面側に形成されたスラスト動圧面には、図2(B)に示すように、円形状の外周縁部から中心側に向かってスパイラル形状にて延在する複数のスラスト動圧発生溝15aが凹設されている。このスラスト動圧発生溝15aの中心側先端部は閉塞されており、その先端閉塞部が、後述する動圧流体としての供給空気に対するスラスト方向のポンピング作用による最大加圧部となる。
【0028】
さらに、上記固定軸11内の軸方向中心部分には、空気導通路16が軸方向に延在するように設けられており、この空気導通路16の図示上端側部分から延出している空気道通穴16aが、前記固定軸11の図示上端部に開口するように設けられている。また、上記空気導通路16の図示下端側部分は、前記空気溜り11bに開口するように設けられた空気道通穴16aに繋げられている。
【0029】
一方、上記ロータ組2は、図示を省略したハードディスクを保持するための回転ハブ22を備えており、その回転ハブ22の主円筒部22aの内周面には、軸受スリーブ21及びカウンタープレート23が固着されているとともに、上記回転ハブ22の図示下側部分に設けられた取付拡大部22bの内周壁面には、ヨーク板24を介して環状駆動磁石25が固着されている。
【0030】
中空円筒状部材からなる軸受スリーブ21は、当該軸受スリーブ21の内周壁面21a(図2(A)参照)に形成されたラジアル動圧面が、前述のように形成された固定軸11のラジアル動圧面に対して半径方向に対向するように配置されており、その対向隙間内にラジアル動圧軸受部が形成されている。また、上記カウンタープレート23は、前述のように形成されたスラストプレート15のスラスト動圧面に対して軸方向に対向するように配置されており、その対向隙間内にスラスト動圧軸受部がそれぞれ形成されている。そして、上記ロータ組2の回転時に、上記ラジアル動圧軸受部及びスラスト動圧軸受部においてそれぞれ発生される各方向の動圧力によって、ロータ組2の全体が、各方向に浮上状態にて保持されるようになっている。
【0031】
すなわち、上記固定軸11の空気導通路16を介して外部から供給された動圧流体としての空気は、上述したラジアル動圧発生用溝11c及びスラスト動圧発生溝15aにそれぞれ供給され、それらの各動圧発生用溝11c,15aにおけるポンピング作用によって加圧状態となる。その後の空気は、固定軸11と軸受スリーブ21との隙間を軸方向両端側に移動していき、図示下方側に移動した空気は、以下のような空気通路を通って外部に排出される。
【0032】
つまり、上述のように構成されたステータ組1に対して、ロータ組2が嵌挿されるようにして装着されると、フレーム10に同心に配置された固定軸11とコアホルダー12との間部分に、軸受スリーブ21が挿入されるようにして配置されるとともに、駆動用磁石25が、鉄心コア13の外周面に近接するように配置される。その結果、モータの中心側から半径方向外方側に向かって、固定軸11、軸受スリーブ21、コアホルダー12、駆動巻線14、鉄心コア13、駆動用磁石25が、所定の間隔(隙間)をもって順に配置されることとなり、それらの各部材どうしの間の隙間からなる空気通路Aが、上述したラジアル軸受部の下端側とモータ外部側とを連通させるように連続的に形成されている。
【0033】
そして、前述したようにして上記固定軸11と軸受スリーブ21との隙間から排出された空気は、軸受スリーブ21とコアホルダー12との隙間、及び鉄心コア13と駆動用磁石25との隙間を通って機外に排出される。また、スラスト軸受部に供給された外部空気は、前述のように形成されたスラストプレート15とカウンタープレート23との隙間内に供給され、スラストプレート15のスラスト動圧発生用溝15aのポンピング作用により加圧された後、上述のラジアル軸受部からの空気通路Aと同様の経路を経てモータ外部側に排出されるようになっている。
【0034】
このような空気動圧軸受装置の通常運転時においては、上述のようにラジアル軸受部およびスラスト軸受部に介在する空気の動圧作用によって、ステータ組1に対してロータ組2が浮上状態となって所定の隙間を持って回転支持される。しかしながら、ロータ組2の回転停止時及び停止時においては、動圧が発生していないか、或いは十分に発生していないので、ステータ組1及びロータ組2の各動圧面どうしが接触することとなり、その接触によって僅かながらも磨耗粉が発生する。そのため、本実施形態では、以下のような構成によって磨耗粉の外部漏出を防止している。
【0035】
すなわち、上述した軸受部材としての軸受スリーブ21、及び軸部材としての固定軸11は、例えば次のような材料で構成されている。
(1)軸受スリーブ21の構成;
BaFe1219又はSrBaFe1219の組成からなるセラミック質の焼結フェライト磁石であって、図2(A)に示されているように、上記軸受スリーブ21を構成する焼結フェライト磁石のラジアル動圧面(内周壁面)21aには、環状に多極着磁が行われている。
【0036】
(2)固定軸11の構成;
▲1▼ 黄銅などの非磁性材料からなる軸部材の表面に、Ni−Co,Ni−Feなどの強磁性材料のメッキを施したもの、又は、
▲2▼ 焼入ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼などの金属磁性材料、或いは快削鋼、焼入工具鋼の表面に、上記▲1▼と同様のメッキを防食を兼ねて施したもの、又は、
▲3▼ BaFe1219又はSrBaFe1219の組成からなるセラミック質焼結フェライト磁石、又は、
▲4▼ Feを主成分として含む軟質酸化物磁性材料(ソフトフェライト)のいずれかを用いる。
【0037】
なお、上記(2)▲1▼の場合には表面層のみが強磁性体となっているが、▲2▼、▲3▼、▲4▼の場合には、軸部材の全体が強磁性体となっている。また、各強磁性体中には、樹脂バインダーなどの非磁性材料を含まないように成形している。
【0038】
このように、軸受スリーブ21(軸受部材)及び固定軸(軸部材)11の少なくとも表面層を強磁性体から構成しておくとともに、軸受スリーブ21を磁石材料で構成しておけば、動圧軸受面等のの接触によって発生した磨耗粉の大半は磁石材料の磁気力によって当該磁石材料に吸着され、摩擦面から遊離することなく保持される。また、摩擦面から遊離した磨耗粉は、上述した空気通路A内に浮遊することとなるが、磁石材料の着磁面の磁場によって吸引されるので、ラジアル軸受部から外気に通じる空気通路Aを通じて軸受装置から漏洩するようなことはない。
【0039】
さらに、上記(1)のように、軸受部材として、セラミック質の焼結フェライト磁石を使用すれば、相手側の部材が金属体であっても、回転接触による発熱に起因する焼き付きが発生しない。
【0040】
また、軸受スリーブ21として、上記(1)のように磁石材料を使用するとともに、固定軸11として、上記(2)の▲4▼のように軟質酸化物磁性材料(セラミック質強磁性材料)を使用すれば、軸受スリーブ21が着磁可能であるとともに、固定軸11を含めて動圧軸受部全体が強磁性体となるので、動圧軸受部から発生する磨耗粉のほとんどを磁石面に吸着させることができる。
【0041】
また、軸受スリーブ21として、上記(1)のように磁石材料を使用するとともに、固定軸11としても、上記(2)の▲3▼のような磁石材料を使用しても、動圧軸受部から発生する磨耗粉のほとんどを磁石面に吸着させることができる。
【0042】
また、例えば上記(1)のような軸受スリーブ21に対して、固定軸11として上記(2)の▲1▼,▲2▼のような材料を組み合わせることにより、少なくとも軸受スリーブ21又は固定軸11の動圧軸受面を磁石材料または強磁性材料で構成しても、動圧軸受部から発生する磨耗粉のほとんどを動圧軸受面に吸着させることができる。
【0043】
さらに、固定軸11として、軸受スリーブ21より硬度の高い非磁性材料、例えば、Al,Siなどの硬質セラミック材料、あるいは、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)被膜を有する非磁性材料を用いると、固定軸11が軸受スリーブ21よりは遙かに高硬度となるため、磨耗を生じることがほとんどなくなる。また、磁性材料である軸受スリーブ21から生じる磨耗粉は、当該軸受スリーブ21の着磁面に吸着させることができる。
【0044】
図1に示す実施形態では、ラジアル軸受部とスラスト軸受部が、上述のような材料構成となっているので、動圧軸受部から発生する磨耗粉のほとんどを磁石面に吸着させることができ、正常性の高い良好な空気動圧軸受が得られる。また、吸着した磨耗粉は潤滑材として機能するため、摩耗発生が一層低減されることとなる。
【0045】
さらにまた、上述したように軸受スリーブ21のラジアル動圧面は、環状に多極着磁されているので(図2(A)参照)、動圧軸受部から発生する磨耗粉のほとんどを、より確実にその摺動面に吸着させることができるとともに、その磨耗粉を潤滑材として利用することができる。ここで、摩耗面であるラジアル動圧面を多極着磁する理由は、その摩耗面において磨耗粉の付着をなるべく分散させ、磨耗粉による潤滑効果を高めるためである。したがって、多極着磁のピッチは小さいほど良い。
【0046】
上述した磨耗粉の潤滑作用は、動圧軸受部の条件、すなわち軸部材及び軸受部材の摩耗面の表面性や、摩耗面から発生する磨耗粉の性状又は量などの諸条件を適当に設定することによって得られるものであるが、本発明では、このような磨耗粉による潤滑効果に着目し、動圧面からの磨耗粉の発生を抑制するのではなく、動圧面から発生する磨耗粉を軸受部から漏洩させずに軸受部における潤滑材として有効に利用している。
【0047】
さらに、本実施形態のようなセラミック質強磁性材料を使用すると、次のような利点がある。
(1)相手側の部材が金属体であっても、回転接触による発熱に起因する焼き付きが発生しない。
(2)適当な硬さがあり、耐磨耗性であるので、磨耗粉の発生が抑制される。
(3)セラミックの中では比較的低硬度であるので、加工がしやすい。
【0048】
上述した実施形態では、動圧軸受装置がハードディスクを搭載するための駆動装置に使用される場合のものであるが、ポリゴンミラーを搭載するための駆動装置に使用される場合には、用途によっては、軸受磨耗粉の沈着によるミラー反射率の低下を極めて小さくする抑える必要があるが、このような場合、磨耗粉の漏洩を完全に阻止できなくても、磨耗粉の大部分の漏洩を防止することができるだけでもよい。
【0049】
したがって、前記磁石材料として、磁石材料粉末を樹脂バインダーで成形した、いわゆるポリマグを使用することも可能である。この場合、磨耗粉のうち磁石材料粉末との結合から遊離した樹脂が漏洩する可能性はあるが、樹脂材料によって被覆された磁性粉も含めた大半が磁性粉であるので、上記実施例と同様に、磨耗粉の大部分の漏洩を防止することができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、例えば、上述の軸受部材(軸受スリーブ)と軸部材(固定軸)との材料構成を逆の関係に設定しても構わないことはいうまでもない。その場合には、図2(A)のように軸受スリーブ21の内周壁面に対して行われていた多極着磁は、図3に示すように、固定軸11の外周円筒面11aに施される。
【0051】
また、本願発明は、上述した実施形態のようなラジアル動圧軸受部に限定されることなく、スラスト動圧軸受部に対しても同様に適用することができる。この場合には、図2(B)に示されているように、スラストプレート15又は図示を省略したカウンタープレート23に対して、環状に多極着磁を施すこととなる。
【0052】
さらに、上述した実施形態では、いわゆる軸固定型の動圧軸受装置に対して本発明を適用したものであるが、本発明は、軸回転型の動圧軸受装置に対しても同様に適用することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に記載の発明は、軸部材及び軸受部材の少なくとも一方が、前記動圧軸受面から発生した磨耗粉を外気に通じる空気通路において吸着する磁石材料で構成したものであるから、動圧軸受面から発生した磨耗粉を、当該動圧軸受面を構成する磁石材料で吸着するとともに、吸着した磨耗粉を動圧軸受面の潤滑材として作用させることができ、簡易な構成で、空気動圧軸受装置の清浄性及び耐久性を向上させることができる。
【0054】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の磁石材料を、焼結フェライト磁石としたものであるから、他方側材料が金属体であっても回転接触による発熱に起因する焼き付きを発生しないようにさせることができ、請求項1記載の発明の効果に加えて、信頼性を高めることができる。
【0055】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の軸受部材及び軸受部材のうちの一方側部材を磁石材料で構成するとともに、他方側部材を強磁性材料によって構成したものであるから、動圧軸受面から発生した磨耗粉を、より確実に動圧軸受面に吸着させることができ、上述した効果をさらに高めることができる。
【0056】
さらにまた、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の軸受部材及び軸部材の双方を、共に磁石材料で構成したものであるから、動圧軸受面から発生した磨耗粉を、より確実に当該動圧軸受面に吸着させることができ、上述した効果をさらに高めることができる。
【0057】
一方、請求項5に記載の発明のように、請求項1又は3に記載の磁石材料又は強磁性材料を、少なくとも動圧軸受面を形成するように用いることによって、上述した効果を確実に得ることができる。
【0058】
また、請求項6に記載の発明のように、請求項1に記載の軸部材及び軸受部材のうちの一方側部材を磁石材料で構成するとともに、他方側部材を非磁性材料によって構成しても、同様な効果を得ることができる。
【0059】
さらに、請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の軸部材および軸受部材で構成される一対の動圧軸受面によってラジアル軸受部またはスラスト軸受部が構成されるようにしたものであるから、動圧軸受部から発生する磨耗粉のほとんどをその動圧軸受面に吸着させることができ、良好な空気動圧軸受が実現できる。
【0061】
さらにまた、請求項に記載の発明は、請求項1又は3に記載の磁石材料又は強磁性材料をセラミック体から形成したものであるから、回転接触による発熱に起因する焼き付きが発生しないようにすることができ、また、適当な硬さがあって耐磨耗性であるので、磨耗粉の発生が抑制させることができ、さらにまた、比較的低硬度であるので、容易に加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気動圧軸受装置の一実施形態を示した断面説明図である。
【図2】図1に示した空気動圧軸受装置の軸受部材の多極着磁を表した説明図であり、(A)はラジアル軸受部材、(B)はスラスト軸受部材を表した説明図である。
【図3】本発明による空気動圧軸受装置の軸受部材の多極着磁の他の実施例を表した説明図である。
【符号の説明】
1 ステータ組
2 ロータ組
11 固定軸(軸部材)
21 軸受スリーブ(軸受部材)
11c ラジアル動圧発生用溝
15 スラストプレート
15a スラスト動圧発生溝
22 回転ハブ
23 カウンタープレート
25 環状駆動磁石

Claims (8)

  1. フレームに立設された軸部材の摺動面と、その軸部材に対して相対回転可能に装着された軸受部材の摺動面とによって対向する一対の動圧軸受面が形成され、その一対の動圧軸受面間に介在する空気の動圧作用によって前記両部材の回転支持を行う空気動圧軸受装置において、
    記軸受部材が、前記軸部材と前記軸受部材と間の隙間、及び前記軸受部材と前記フレームとの間の隙間からなる空気通路において、前記動圧軸受面から発生した磨耗粉を吸着する磁石材料で構成され、
    前記軸受部材には、その磁石材料の動圧軸受面に対して周方向に多極着磁が施されていることを特徴とする空気動圧軸受装置。
  2. 請求項1に記載の磁石材料は、焼結フェライト磁石からなることを特徴とする空気動圧軸受装置。
  3. 請求項1に記載の軸部材及び軸受部材のうち、一方側部材が磁石材料で構成されているとともに、他方側部材が強磁性材料によって構成されていることを特徴とする空気動圧軸受装置。
  4. 請求項1に記載の軸部材及び軸受部材の双方が、共に磁石材料で構成されていることを特徴とする空気動圧軸受装置。
  5. 請求項1又は3に記載の磁石材料又は強磁性材料は、少なくとも動圧軸受面を形成するように用いられていることを特徴とする空気動圧軸受装置。
  6. 請求項1に記載の軸部材及び軸受部材のうち、一方側部材が磁石材料で構成されているとともに、他方側部材が非磁性材料によって構成されていることを特徴とする空気動圧軸受装置。
  7. 請求項1に記載の軸部材および軸受部材で構成される一対の動圧軸受面によって、ラジアル軸受部またはスラスト軸受部が構成されていることを特徴とする空気動圧軸受装置。
  8. 請求項1又は3に記載の磁石材料又は強磁性材料が、セラミック体から形成されていることを特徴とする空気動圧軸受装置。
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