JP3983702B2 - ホイールローダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホイールローダに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来技術においては、操縦部を覆うボンネットは、左右一対の前支柱、中間支柱及び後支柱の各上端を上梁で連結して左右枠体を形成し、左右上梁に屋根部材を取り付け、左右前支柱間にフロントガラスを、中間支柱にドアを、左右後支柱間にハッチバックドアをそれぞれ装着している(例えば、特許文献1、2参照。)。
また、運転席を取り付けかつエンジンを覆うボンネットは、キャビン内で後部持ち上げ開放自在になっており、このボンネットの後部は、キャビンの背面のハッチバックドアより後方に突出している。そして、ハッチバックドアを開放した状態で、ボンネットをキャビン内で後部を持ち上げ可能になる(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公平8−2760号公報
【特許文献2】
特開平7−3842号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術では、エンジン等のメンテナンスのために、ボンネット後部をキャビン内で持ち上げて開放するとき、ハッチバックドアを開放すればよいのであるが、キャビンの背面の全面をハッチバックドアで形成しているので、ドア自体は大きくかつ重いものになっており、開閉操作がやり難い、換気等のために小さく開放したくとも困難である、等の問題点を有している。
そこで、キャビンの背面を上下2分割し、上側をハッチバックドアに形成し、下側を着脱パネルとすることも考えられるが、着脱パネルは着脱が面倒であり、離脱させると置き場所に困る、等の別の問題が惹起する。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにしたホイールローダを提供することを目的とする。
本発明は、キャビンの背面下側に上部を中心に後方へ開放自在な後下ドアを設けることにより、キャビン背面の上下部分を別個に簡単かつ容易に開放できるようにしたホイールローダを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、キャビン2内で後部持ち上げ開放自在なボンネット15上に操縦部16の運転席17を配置し、前記キャビン2の背面を上下に分割して、上側に後上ドア14を設け、下側に上部を中心に後方へ開放自在な後下ドア18を設けていることである。
これによって、後上ドア14と後下ドア18とを簡単かつ容易に上下独立開放することができ、必要箇所だけの開放が可能になり、後上ドア14を開放しなくとも、後下ドア18だけを開放して、キャビン2内でボンネット15の後部を持ち上げ開放して、キャビン2の外方からエンジン等のメンテナンスができる。
【0007】
第2に、前記ボンネット15の後部を後下ドア18より後方へ突出し、ボンネット15の後端の開閉軌跡Pより後側に後下ドア18の開閉枢支点19を配置していることである。
これによって、ボンネット15の後部がキャビン2の背面より後方へ突出する型式であっても、エンジン等のメンテナンスのために、ボンネット後部をキャビン内で持ち上げてエンジンルームを開放するとき、後下ドア18を開放しておけば、その開閉枢支点19がボンネット15の開放の障害になることはなく、後上ドア14を開放しなくとも、後下ドア18の開放だけでメンテナンスが可能になる。
【0008】
第3に、前記キャビン2は、側面を前後に分割し、側面前側に乗降ドア20を設け、側面後側を上下に分割し、側面後下側にはめ殺しガラス21を設け、側面後上側に換気口22を形成して開閉蓋23で開閉自在にしていることである。
これによって、開閉蓋23を開放することにより、キャビン2の側面後側上部から換気を行うことができ、居住性を向上する。
第4に、前記キャビン2の左右側部枠組みを構成する枠体4は、異形管を側面視門型に屈曲して前支柱部5、後支柱部6び前後支柱部上端を繋ぐ上梁部7を一体形成しており、前記左右上梁部7を屋根部材8で連結していることである。
【0009】
これによって、キャビン2の枠組みの強度向上及びコストダウンを図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜6において、1はホイールローダであり、フロントローダ26及び前輪27を有する前部車体28と、エンジン、キャビン2及び後輪29を有する後部車体30とを縦軸31で連結し、左右一対の油圧シリンダを有する操舵装置32を操作することにより、後部車体30に対して前部車体28を揺動して操舵するように構成されている。
【0011】
前記ホイールローダ1の後部車体30は内部に後輪29を駆動するためのエンジン及びトランスミッション等が内蔵されており、このエンジン等を覆うようにボンネット15が設けられ、このボンネット15の上部に運転席17が搭載されている。
この運転席17の前方に前記操舵装置32を操作するハンドル31が配置されており、また運転席17の周囲に変速操作装置、フロントローダ26を操作するローダ操作装置等が配置されており、操縦部16を構成している。
【0012】
キャビン2は前記操縦部16を包囲するように、後部車体30上に組立により又は別個に組み立てて後付けにより搭載されている。
前記キャビン2は、左右側部枠組みを構成する左右一対の枠体4で前支柱部5、後支柱部6及び上梁部7を一体形成してしており、この枠体4の前支柱部5と後支柱部6との間の中間支柱34を設け、左右上梁部7間に屋根部材8を設けて全体枠組みが構成されており、左右前支柱部5間にフロントガラス35がはめ込まれ、左右中間支柱34に乗降ドア20が装着されている。
【0013】
前記枠体4は、直線状異形管を2カ所で屈曲して、2つの円弧コーナ部を有する側面視門型に形成したものであり、前後部分が前支柱部5及び後支柱部6となり、中間部分が前後支柱部上端を繋ぐ上梁部7となり、これらが一体に形成されている。
前記異形管は、図3に示すように、2つの外周円弧面a間に2つの窪み部bを有するように、円形パイプを2カ所で対向内方向へ没入させた形状に引き抜き成形又は押出成形等で成形されている。
【0014】
前記2つの窪み部bが左右方向と前後方向とに向いていて、左右前支柱部5の左右方向の窪み部bは、キャビン表面形成部材としてのフロントガラス35の装着部を形成し、左右前支柱部5の後方向の窪み部bは、キャビン表面形成部材としての乗降ドア20の当接部を形成している。
また、左右後支柱部6の左右方向の窪み部bは、後述するキャビン表面形成部材としての後上ドア(ハッチバックドア)14、後下ドア18等の当接部を形成し、左右前支柱部5の後方向の窪み部bは、後述するキャビン表面形成部材としてのはめ殺しガラス21の装着部、開閉蓋23の当接部をそれぞれ形成している。
【0015】
さらに、上梁部7の下方向の窪み部bは、乗降ドア20及び開閉蓋23の当接部を形成し、左右方向の窪み部bは屋根部材8の装着部を形成している。
前記屋根部材8の下側に空調装置9を配置しており、この空調装置9は左右枠体4及び/又は屋根部材8に支持されており、その下方が内装材44で覆われている。空調装置9はエアコンユニット、送風機及びフイルタ11等を備えている。なお、空調装置9の代わりにヒータ又はクーラ装置でも良い。
前記屋根部材8の後部には板金で形成された外気導入口部材10が後方突出状に設けられ、その内部に空調装置9のエアコンユニットに連通するフイルタ11を配置している。
【0016】
屋根部材8から後方突出した外気導入口部材10の下面(又は背面)には外気導入口10aが形成され、この外気導入口10aから取り入れられた外気は、フイルタ11で濾過され、ダクト又は屋根部材8と内装材との間の空間を通って空調装置9のエアコンユニットに入り、温度、湿度が調整されて複数の吐出口からキャビン2室内に送風される。
前記屋根部材8の後部には、外気導入口部材10の左右側方に回転ランプ12が配置されている。この回転ランプ12は取付台12Aに取り付けられており、取付台12Aの上面は屋根部材8の最上面と略同一高さ(若干高くとも低くともよいが、低い方が好ましい)に位置し、キャビン2の最頂部の地上高が低く設定できるように構成されている。
【0017】
前記キャビン2の背面は上下に2分割されており、上側にハッチバック式の後上ドア14が設けられ、下側に上部を中心に後方へ開放自在な、即ち、ハッチバック式の後下ドア18が設けられている。
後上ドア14はガラス又は透明プラスチックで形成され、上端が枢支具38を介して屋根部材8の後部に枢支連結されており、ガスダンパ等を介して開閉補助できるように、また、開放位置で停止できるようになっている。また、図示していないが、後上ドア14と左右後支柱部6との間に、後上ドア14を閉鎖状態でロックするロック具も設けられている。
【0018】
後下ドア18は板金、ガラス又はプラスチックで形成され、透明であっても不透明であってもよく、上部の左右両端にピン等の支持具を介して開閉枢支点19が形成され、枠体4の後支柱部6に直接又は支持部材を介して横軸廻り揺動自在に支持されている。この後下ドア18は、開閉枢支点19が後支柱部6に対して揺動自在だけでなく、着脱自在であってもよい。
また、後下ドア18と左右後支柱部6との間に、後下ドア18を閉鎖状態にロックするロック具39、開放状態に保持する支え棒(留め具)40等も設けられている。
【0019】
前記後下ドア18の下部は、ボンネット15の後部が後下ドア18より後方へ突出しているため、その後部上に嵌合するための凹部18aを有している。
ボンネット15は前下の横軸を介して後端が上昇するように開閉自在であり、運転席17を装着したまま、横軸廻りに揺動してエンジンルームを開放する。この揺動するボンネット15の後端は開閉軌跡Pを画く。なお、後上ドア14の下端の開閉軌跡はSで、後下ドア18の下端の開閉軌跡はRで示している。
前記後下ドア18の開閉枢支点19は、ボンネット15の後端の開閉軌跡Pより後側に設定されており、後下ドア18を後方揺動して開放状態にしておけば、ボンネット15を開閉動作させることができるようになっており、その際は後上ドア14を開放してもしなくともよい。
【0020】
36はエンジンの周囲を包囲する固定カバーで、前記ボンネット15は閉鎖時、この固定カバー36の上面に当接する。37は後部車体30の後端のカウンターウエイトを示す。
前記キャビン2の側面は中間支柱34によって前後に分割されており、中間支柱34より前側に乗降ドア20が設けられているのに対して、中間支柱34の後側はさらに上下に分割され、側面後下側にはめ殺しガラス21が設けられ、側面後上側に換気口22が形成され、この換気口22を開閉蓋23で開閉するように構成されている。
【0021】
開閉蓋23は前部が中間支柱34に枢支され、後部に後支柱部6との間を遠近自在に連結する開閉連結具42が設けられており、開放することにより、キャビン21内の空気を後上方から換気できるようになっている。
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、図1〜6に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
【0022】
例えば、キャビン2の背面をボンネット15の後端より後方に位置させ、後下ドア18でボンネット15の後端を覆うようにしてもよく、後下ドア18の上下長さを後上ドア14の上下長さと同じ又は長く形成してもよい。
屋根部材8は板金で形成され、その後部は枠体4の後コーナ部まで延設されて後上ドア14を支持しているが、上梁部7に連結される部分と前記後コーナ部を形成しかつ外気導入口部材10を設ける部分とを別部材に形成してもよい。
回転ランプ12はキャビン2の背面から後方へ突出するように設け、回転ランプ12もキャビン2の最上部から上方へ突出しないようにしてもよい。
【0023】
後上ドア14,後下ドア18、乗降ドア20、はめ殺しガラス21、フロントガラス35等は、ドア枠又は窓枠にガラスをはめ込んだものでもよい。
後上ドア14は観音開きドアにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、後上ドア14と後下ドア18とを簡単かつ容易に上下独立開放することができ、必要箇所だけの開放が可能になり、後上ドア14を開放しなくとも、後下ドア18だけを開放して、キャビン2内でボンネット15の後部を持ち上げ開放して、キャビン2の外方からエンジン等のメンテナンスができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す側面図である。
【図2】同断面側面図である。
【図3】同断面平面図である。
【図4】ホイールローダ全体の側面図である。
【図5】ホイールローダ全体の背面図である。
【図6】ホイールローダ全体の平面図である。
【符号の説明】
1 ホイールローダ
2 キャビン
4 枠体
5 前支柱部
6 後支柱部
7 上梁部
8 屋根部材
9 空調装置
10 外気導入口部材
11 フイルタ
12 回転ランプ
15 ボンネット
16 操縦部
17 運転席
18 後下ドア
19 開閉枢支点
20 乗降ドア
21 はめ殺しガラス
22 換気口
23 開閉蓋
Claims (4)
- キャビン(2)内で後部持ち上げ開放自在なボンネット(15)上に操縦部(16)の運転席(17)を配置し、前記キャビン(2)の背面を上下に分割して、上側に後上ドア(14)を設け、下側に上部を中心に後方へ開放自在な後下ドア(18)を設けていることを特徴とするホイールローダ。
- 前記ボンネット(15)の後部を後下ドア(18)より後方へ突出し、ボンネット(15)の後端の開閉軌跡(P)より後側に後下ドア(18)の開閉枢支点(19)を配置していることを特徴とする請求項1に記載のホイールローダ。
- 前記キャビン(2)は、側面を前後に分割し、側面前側に乗降ドア(20)を設け、側面後側を上下に分割し、側面後下側にはめ殺しガラス(21)を設け、側面後上側に換気口(22)を形成して開閉蓋(23)で開閉自在にしていることを特徴とする請求項1又は2に記載のホイールローダ。
- 前記キャビン(2)の左右側部枠組みを構成する枠体(4)は、異形管を側面視門型に屈曲して前支柱部(5)、後支柱部(6)及び前後支柱部上端を繋ぐ上梁部(7)を一体形成しており、前記左右上梁部(7)を屋根部材(8)で連結していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のホイールローダ。
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