JP4404874B2 - 作業車の空調構造 - Google Patents

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Description

本発明は、キャビンのルーフ部に空調ユニットを配備してある作業車の空調構造に関する。
上記のような作業車の空調構造としては、ルーフ部の前半部に空調ユニットを配備したものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2005−1537号公報(段落番号0016、図1〜3,図6)
上記の構成では、前上方に対する視界が空調ユニットによって制限されることになり、これによって、例えば、フロントローダを連結装備したローダ作業時には、上昇させたバケット位置の視認が困難になり、作業性が低下する。
前上方に対する視界を広げるためにキャビンの全高を高くすることも考えられるが、この場合には、空調ユニットの高さ位置も高くなって車体の重心位置が高くなることから、車体の安定性が低下することになる。
本発明の目的は、空調ユニットの配置に創意工夫を凝らすことで、車体の安定性を低下させることなく、前上方に対する視界性を良好にすることにある。
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、キャビンのルーフ部に空調ユニットを配備し、前記空調ユニットを、その後端部が前記キャビンのリヤウインドよりも後方に位置するように、キャビンフレームの後端上部に備えたクロスメンバーで支持し、前記ルーフ部のアウタルーフを、その後端部が前記空調ユニットの上部側を覆う上部カバーとして機能するように形成し、前記空調ユニットの下部側を覆う下部カバーを設けてあり、前記下部カバーに、前記空調ユニットのドレンホースを車外に引き出すための引出口を備えるとともに、その引出口から車外に引き出された前記ドレンホースが前記キャビンに向かうように前記引出口を前向きに形成してある。
この構成によると、空調ユニットは、その後部側がリヤウインドから後方に向けて張り出した状態でルーフ部に内装されることになる。
これによって、キャビンのルーフ部に空調ユニットを内装するものでありながらも、キャビンの全高を高くすることなく、前上方に対する視界が空調ユニットによって制限されることを回避できる。
その結果、例えば、フロントローダを連結装備したローダ作業時には、上昇させたバケット位置の視認などが行い易くなる。
又、空調ユニットを操縦者の頭上位置よりも後方側に位置させることが可能となり、これによって、空調ユニットによる圧迫感を軽減又は解消することができ、圧迫感の少ない快適な居住性を得ることができる。
しかも、空調ユニットの後端部をリヤウインドよりも後方に位置させるものでありながら、空調ユニットの専用カバーとしては、下部カバーを設けるだけでよいことから、部品点数の増加を抑制でき、製造やコストの面で有利になる。
又、空調ユニットにおいて発生した結露水を、引出口から引き出したドレンホースを介して車外に排出することができる。
しかも、車外からの高圧洗浄水などの放射による洗車時に、高圧洗浄水などが引出口からカバー内部に入り込むことを、シール材を設けることなく防止できる。
従って、車体の安定性を低下させることなく、前上方に対する視界性を良好にできて、ローダ作業などにおける作業性の向上を図れる上に、生産性やコストの面で有利にしながら居住性の向上を図ることができる。
又、結露水の排出を下部カバーから良好に行えるようにしながら、部品点数の増加を招くことなく高圧洗浄水などの浸入を防止することができる。
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、前記クロスメンバーの上縁部に、前記下部カバーの前端部がシール材を介して載置される段差を形成してある。
この構成によると、クロスメンバーに対する適正位置に、下部カバーを、シール材を介した気密性及び防水性の高い状態で簡単に組み付けることができる。
従って、高い気密性及び防水性を確保しながら組み付け性の向上を図ることができる。
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、前記アウタルーフの後端部を前記下部カバーよりも幅広に形成し、前記アウタルーフにおける前記下部カバーから左右に延出する延出部の下方に灯火器を配備してある。
この構成によると、リヤウインドよりも後方に位置するキャビンの最後端位置に灯火器を配備することができ、これによって、灯火器が、ウィンカやテールランプなどの表示灯である場合には、それに対する後方からの視認が行い易くなり、又、作業灯などの照明灯である場合には、それによる後方照射範囲を広げることができて、夜間作業時の後方確認などが行い易くなる。
従って、後方からの視認性や夜間作業時での作業性の向上を図ることができる。
図1には作業車の一例であるトラクタの全体側面が示されており、このトラクタは、前部フレーム1に防振搭載したエンジン2からの動力を、フレーム兼用のミッションケース3に内装した走行用の変速装置(図示せず)などからなる走行伝動系を介して左右一対の前輪4及び後輪5に伝達する四輪駆動型に構成されている。
図1及び図2に示すように、ミッションケース3の後部には、その後上部に内装した油圧式の昇降シリンダ(図示せず)の作動で上下方向に揺動駆動される左右一対のリフトアーム6や、エンジン動力の外部への取り出しを可能にする動力取出軸7、などが装備されている。
動力取出軸7には、エンジン2からの動力が、走行伝動系とは別系統のミッションケース3に内装した作業用の変速装置(図示せず)や作業クラッチ(図示せず)などからなる作業伝動系を介して伝達されている。
図示は省略するが、左右のリフトアーム6には、ミッションケース3の後部に昇降揺動可能に連結装備されるリンク機構が連結され、動力取出軸7には、そのリンク機構に連結されるロータリ耕耘装置などの作業装置に備えた入力軸が伝動軸などを介して接続される。
図1及び図2に示すように、トラクタの後半部には、ステアリングホイール8や運転座席9などを備えて搭乗運転部10が形成され、その搭乗運転部10を覆うキャビン11が装備されている。
図3に示すように、搭乗運転部10における運転座席9の右側方箇所には操作ボックス12が配備され、この操作ボックス12には、ポジションレバー13、動力取出選択スイッチ14、オートスイッチ15、及び耕深設定ダイヤル16、などの作業用の操作具Aが集中配備されている。
ポジションレバー13は、その操作位置に対応する高さ位置まで左右のリフトアーム6を昇降揺動させるポジション制御を行うためのものである。
動力取出選択スイッチ14は、動力取出軸7の駆動状態を、走行速度と同調した速度で駆動する状態と、走行速度と関係なく独立駆動する状態とに切り換えるためのものである。
オートスイッチ15は、リンク機構を介して車体後部に連結したロータリ耕耘装置などの作業装置を所定のローリング角度に維持するローリング制御、後進状態の現出に連動してロータリ耕耘装置などの作業装置を所定の上限位置まで自動上昇させるバックアップ制御、及び、設定角度以上のステアリング操作に連動してロータリ耕耘装置などの作業装置を所定の上限位置まで自動上昇させるオートアップ制御、などの入り切りを一つの操作で行うためのものである。
耕深設定ダイヤル16は、ロータリ耕耘装置などの作業装置を所定の耕深位置に維持する自動耕深制御において、作業装置の耕深位置を設定するためのものであり、操作ボックス12に嵌め込み装備したコントロールボックス17に備えられている。
コントロールボックス17は揺動開閉式のカバー18を備え、そのカバー18で覆われた部位には、ローリング制御において作業装置のローリング角度を設定するローリング角度設定ダイヤル(図示せず)や、リフトアーム6の上限位置を設定する上限設定ダイヤル(図示せず)、などの作業用の操作具Aが配備されている。
図1〜10に示すように、キャビン11は、キャビンフレーム19に、透明の曲面ガラスなどからなるウインドシールド20、透明の平面ガラスなどからなる外開き式の左右一対のドアパネル21、透明の曲面ガラスなどからなる外開き式の左右一対のサイドウインド22、及び、透明の曲面ガラスなどからなる外開き式のリヤウインド23、などを備えて構成されている。
キャビンフレーム19は、異形パイプからなる左右一対のフロントピラー24、左右一対のクォータピラー25、角パイプからなる左右一対のリヤピラー26、断面形状コの字状のフロントクロスメンバー27、断面形状コの字状の左右一対のサイドメンバー28、及び、断面形状コの字状のリヤクロスメンバー29、などを溶接して構成され、フロントクロスメンバー27、左右のサイドメンバー28、及び、リヤクロスメンバー29に、インナルーフ30やアウタルーフ31などを取り付けてルーフ部32が形成されている。
左右のドアパネル21は、対応するクォータピラー25に上下一対のヒンジ33を介して開閉揺動可能に連結されている。
左右のサイドウインド22は、対応するリヤピラー26に上下一対のヒンジ34を介して開閉揺動可能に連結されている。
リヤウインド23は、リヤクロスメンバー29に左右一対のヒンジ35を介して開閉揺動可能に連結されている。
左右のリヤピラー26は、それらの間隔が、左右のフロントピラー24の間隔や左右のクォータピラー25の間隔よりも狭くなるように設定されている。
リヤクロスメンバー29は、アウタルーフ31との間に空調ユニット36の配置空間を確保するために、左右のリヤピラー26の上端部から所定距離だけ下げた高さ位置に配置設定され、その上部には空調ユニット36を支持する3つの支持ステー37が装備されている。
インナルーフ30は、その周縁部がフロントクロスメンバー27、左右のサイドメンバー28、及び、リヤクロスメンバー29の下面に接合されており、その周縁部とアウタルーフ31との間に空調ダクト配設用の空間を確保しながら居住空間を極力広くするために、その中央部がアウタルーフ31に向けて膨出する形状に形成されている。
アウタルーフ31は、その周縁部がフロントクロスメンバー27及び左右のサイドメンバー28の上面で支持され、その前後中間部に外気導入経路38を有するように、又、その後端部が、リヤウインド23よりも後方に延出して、空調ユニット36の上部を覆う上部カバーとして機能するように形成されている。
アウタルーフ31及び支持ステー37には、空調ユニット36の後下部を覆う下部カバー39が連結され、インナルーフ30の後端部とアウタルーフ31の後部と下部カバー39とで、空調ユニット36の収納空間40が形成されている。
図1、図2及び図4〜6に示すように、インナルーフ30の後部中央には、キャビン内気の空調ユニット36への供給を可能にする左右一対の内気供給口41が形成されている。
アウタルーフ31の後部中央には、外気の空調ユニット36への供給を可能にする左右一対の外気供給口42が、インナルーフ30の内気供給口41に対向する状態で形成されている。
アウタルーフ31の後部には、左右のサイドウインド22を開けた際のキャビン内部への雨水の入り込みを阻止する左右一対の庇43が形成されている。
左右の庇43は、外気導入経路38に連通する中空状に形成され、左側の庇43の底壁にのみ、外気導入口44が形成され、エアフィルタ45が装備されている。
このように、左側の庇43にのみ外気導入口44を形成し、エアフィルタ45を装備したことで、圃場でエアフィルタ45の掃除や交換などを行う場合には、車体の左側を畦に隣接させた状態で車体を停止させるようにすれば、左側の乗降口から畦に降車して直ぐに、庇43に手が届き易い畦上で、エアフィルタ45の掃除や交換などを行うことができる。
図6、図10及び図11に示すように、内気供給口41と外気供給口42の間には、外気供給口42を開放して空調ユニット36への外気の供給を許容するとともに、内気供給口41の開口面積を小さくして内気供給口41からのキャビン内気の供給を抑制する外気混入状態と、外気供給口42を閉塞して空調ユニット36への外気の供給を阻止するとともに内気供給口41を大きく開放する内気循環状態とに切り換え可能に構成された上下揺動式のシャッタ46が配備されている。
シャッタ46は、電動モータ47の作動で左右向きの支軸48を支点にして上下揺動する電動式で、その遊端部に備えた連係軸49が、前後向きの支点ピン50を支点にして揺動するクランクアーム51、及び連係ワイヤ52を介して、電動モータ47の操作アーム53に操作連係され、図外のバネによって内気循環状態に復帰付勢されている。
図4〜6、図8及び図9に示すように、空調ユニット36は、右上部に吸気部54が開口され、前部に左右一対のパイプ状の吹出部55が形成されたケーシング56に、シロッコファン57、エバポレータ58、及びヒータ59、などを内装して構成され、左右のリヤピラー26の間で、その後端部がキャビン11のリヤウインド23よりも大きく後方に位置するように各支持ステー37で支持されることで、その全体が運転座席9よりも後方に位置するようになっている。
このように、空調ユニット36を配置したことで、空調ユニット36をルーフ部32の前端部に配置する場合に比較して、キャビン11の全高を極力低くしながら居住空間を大きく確保することができ、又、能力の高い大型の空調ユニット36を装備することが可能になり、更に、前上方に対する視界が広がることから、例えば、フロントローダ(図示せず)を連結装備したローダ作業時には、上昇させたバケット位置の視認が容易になり、作業性が向上する。
シロッコファン57は、エバポレータ58の右側方に配置され、吸気部54から取り込んだ未調節空気を、エバポレータ58とそれに対向するケーシング56の後壁60との間に形成された給気経路61を介して、エバポレータ58及びヒータ59に供給する。
ケーシング56の後壁60は、シロッコファン57からの未調節空気をエバポレータ58の全域に略均一に案内する案内壁として機能するように、シロッコファン57から離れる左端側ほどエバポレータ58に接近する多段形状に形成されている。
このように、ケーシング56の後壁60を多段形状に形成したことで、後壁60における左端部の外面と、ルーフ部32における後部の壁面との間には比較的大きい空間62が形成されることになる。
そこで、この空間を有効利用して、ケーシング56の後壁60にシャッタ操作用の電動モータ47を装備するようにしてあり、これによって、電動モータ47を収納する専用の空間を形成することによるルーフ部形状の複雑化やルーフ部32の大型化などを回避することができる。
又、シロッコファン57は、エバポレータ58の右側方に配置されたことで、アウタルーフ31の左端部に形成された外気導入口44とは反対側の右端部に位置することになり、これによって、外気混入状態では、外気導入口44から導入された外気が、外気導入経路38と給気経路61とを介して、キャビン11の内温で予熱された状態でエバポレータ58及びヒータ59に供給されるようになることから、外気導入口44の近傍にシロッコファン57を配置する場合に比較して、空調効率の向上を図ることができる。
図4〜8、図12及び図13に示すように、ケーシング56の各吹出部55には、対応する吹出部55からの調節空気をキャビン11の前端部に向けて案内する左右一対の空調ダクト63が外嵌されている。
左右の空調ダクト63は、それらの前端部が、フロントクロスメンバー27に対する近接位置で、フロントクロスメンバー27に略沿った姿勢となるように、略L字状に形成された樹脂成型品からなる。
左右の空調ダクト63の中間部には、案内した調節空気を、操縦者の前横上方から操縦者に向けて吹き出させる第1吹出口64と第2吹出口65とが形成されている。
左右の空調ダクト63の前端部には、案内した調節空気を、キャビン11における前端上部の横側端部から下方に向けて吹き出させる第3吹出口66と、キャビン11における前端上部の左右中間部から下方に向けて吹き出させる第4吹出口67とが形成されている。
各吹出口64〜67には、インナルーフ30に対する左右の空調ダクト63の位置決め部材に兼用される吹出グリル68〜71が係止装備されている。
第1吹出口64及び第2吹出口65に装備される吹出グリル68,69は、第1吹出口64又は第2吹出口65からの調節空気を、操縦者の前横上方から操縦者の上半身側に向けて吹き出させる状態や下半身側に向けて吹き出させる状態などに向き変更可能に構成されている。
第3吹出口66に装備される吹出グリル70は、第3吹出口66からの調節空気を、左右のフロントピラー24に装備したサイドミラー72に向けて吹き出させる状態や、操縦
者の前上方から操縦者の足元側に向けて吹き出させる状態などに向き変更可能に構成されている。
第4吹出口67に装備される吹出グリル71は、第4吹出口67からの調節空気を、前方視界位置や、操縦者の前上方から操縦者の足元側に向けて吹き出させる状態などに向き変更可能に構成されている。
左右の空調ダクト63において、第1吹出口64と第3吹出口66との間には、第1吹出口64より前方への調節空気の流量を低下させることで、第1吹出口64から吹き出される調節空気の流量を確保する第1絞り部73が形成され、第2吹出口65と第3吹出口66との間には、第2吹出口65より前方への調節空気の流量を低下させることで、第2吹出口65から吹き出される調節空気の流量を確保する第2絞り部74が形成されている。
この構成から、空調ユニット36をルーフ部32の後部に配備して居住性の向上などを図りながらも、調節空気を、操縦者や、左右のドアパネル21におけるサイドミラー72の目視領域、あるいは、ウインドシールド20の前方視界領域、などに優先的に供給することが可能となり、これによって、キャビン11の内部での快適性を向上させることができ、又、ウインドシールド20の前方視界領域や、左右のドアパネル21におけるサイドミラー目視領域などを晴らすことができて、前方確認やサイドミラー72による後方確認などが行い易くなることから、操縦性や作業性の向上を図ることができる。
特に、第1吹出口64の前方に第1絞り部73が位置し、第2吹出口65の前方に第2絞り部74が位置することで、第1吹出口64及び第2吹出口65から操縦者に向けた調節空気の後方向きの吹き出しを良好に行える。
図2、図8及び図9に示すように、エバポレータ58は、その底部における前後の左右両端部に結露水排出用の排水口75,76が形成され、それらの排水口75,76のうち、前側の各排水口75には、対応するリヤピラー26の内部に挿通される第1ドレンホース77が接続され、後側の各排水口76には、下部カバー39の左右に形成した引出口78から車外に引き出される第2ドレンホース79が接続されている。
左右の引出口78は、対応する引出口78から引き出された第2ドレンホース79の端部から流下する結露水が、左右のリフトアーム6と左右のリヤフェンダ80の間を通るように形成位置が設定されている。
つまり、エバポレータ58の底部における前後の左右両端部に排水口75,76を備えたことで、エバポレータ58で発生した結露水を、車体の傾きに対応する排水口75,76から、第1ドレンホース77又は第2ドレンホース79を介して、左右のリヤピラー26の内部又は車外の所定位置に案内することができ、左右のリヤピラー26の下端部又は第2ドレンホース79の延出端から左右のリヤフェンダ80の内面に沿って車外に速やかに排出することができる。
図8に示すように、左右の引出口78は、引き出された第2ドレンホース79が前方のキャビン11に向かうように前下方向きに形成されており、これによって、洗車時に高圧洗浄水などが引出口78から内部に入り込むことが防止されている。
アウタルーフ31と下部カバー39との間にはシール材81が介装されている。又、リヤクロスメンバー29は、その上縁部に段差が形成され、この段差を利用して、リヤクロスメンバー29と下部カバー39との間にシール材82が介装されている。
このように段差を設けつつシール材81,82を介装したことで、インナルーフ30の後端部とアウタルーフ31の後部と下部カバー39とで形成される空調ユニット収納空間40の気密性及び防水性を確保することができる。
図1、図2及び図5に示すように、アウタルーフ31は、その後端部の左右幅が下部カバー39よりも幅広に形成されており、これによって、アウタルーフ31の後端部における下部カバー39の左右両側方に空間が形成されることになる。
そこで、このトラクタでは、その空間を有効利用して後方用の左右一対のウィンカ(灯火器の一例)83と、後方照射用の左右一対の作業灯(灯火器の一例)84とを装備してある。
左右のウィンカ83は、アウタルーフ31の後端部における、下部カバー39から左右に延出する延出部の下面に取り付けられ、左右の作業灯84は、対応するウィンカ83の真下に位置するように、左右に位置する空調ユニット用の支持ステー37に取り付けられている。
つまり、アウタルーフ31の後端部における下部カバー39の左右両側方箇所にウィンカ83と作業灯84とをそれぞれ配備したことで、それらを、左右のリヤピラー26に取り付ける場合に比較して、より車体後方側に位置させることができ、これによって、左右のウィンカ83に対する後方からの視認性を向上させることができ、又、左右の作業灯84による後方照射範囲を広げることができて、夜間作業時での作業性の向上を図ることができる。
ちなみに、図1に示すように、前方用の左右一対のウィンカ85は、左右の対応するフロントピラー24の下部側に取り付けられ、前方照射用の左右一対の作業灯86はフロントクロスメンバー27に取り付けられている。
図3に示すように、右側のクォータピラー25は、その下部における車体前方側の位置に、前方照射用の左右の作業灯86をオン・オフ操作するための第1スイッチ87が配備され、その下部における車体後方側の位置に、後方照射用の左右の作業灯84をオン・オフ操作するための第2スイッチ88が配備されている。
又、操作ボックス12におけるクォータピラー25の前方箇所には、空調ユニット用のオン・オフスイッチ89、温度設定器90、風量設定器91、及び、外気混入状態と内気循環状態とに切り換える給気状態切換スイッチ92を、空調用の操作具Bとして備えた空調用の操作パネル93が配備されている。
つまり、運転座席9の右側方箇所に、ポジションレバー13などの作業用の操作具Aとともに、作業灯用の各スイッチ87,88と、空調ユニット用のオン・オフスイッチ89などの空調用の操作具Bとを集中配備したことで、それらを拡散配備する場合に比較して、それらの操作や確認が行い易くなり、結果、作業性の向上を図ることができる。
又、空調用の各操作具Bを備えた操作パネル93を、空調ユニット36とともにルーフ部32に配備する場合に比較して、居住空間を大きく確保できることから、居住性の向上を図ることができ、かつ、ルーフ部32の前端部に配備する場合に比較して、前上方に対する視界性の向上を図ることができる。
更に、空調用の操作パネル93を、操作ボックス12におけるクォータピラー25の後方箇所に配備する場合に比較して、サイドウインド22からの後方に対する視界性を良好にすることができ、車体の後部に連結されるロータリ耕耘装置などによる作業状態の視認が行い易くなることから、耕耘作業時などにおける作業性の向上を図ることができる。
操作ボックス12は、右側のリヤフェンダ80の上部に配備され、かつ、内上方向きの傾斜面12Aを有する上向き膨出形状に形成され、その傾斜面12Aに、動力取出選択スイッチ14、オートスイッチ15、及び、コントロールボックス17に備えた耕深設定ダイヤル16やローリング角度設定ダイヤルなどとともに、空調用の操作パネル93に備えたオン・オフスイッチ89、温度設定器90、風量設定器91、及び給気状態切換スイッチ92が、操作ボックス12での高低差を有効利用して、左右方向視で互いに重複しないように配備されている。
このように、上向き膨出形状の操作ボックス12における内上方向きの傾斜面12Aに、動力取出選択スイッチ14などの作業用の操作具Aとともに、オン・オフスイッチ89などの空調用の操作具Bを配備したことで、操作ボックス12の左右方向の長さ、言い換えると、キャビン内における運転座席9の右側方箇所の空間を大きくすることなく、それらの操作具A,Bを、それらの操作や視認に互いに支障を来すことのない位置に配置することができる。
又、その傾斜面12Aが、運転座席9に座った操縦者の頭部に向かう内上方向きであることから、その傾斜面12Aに備えた各操作具A,Bの操作状態の視認が更に行い易くなる。
つまり、空調用の操作具Bを、作業用の操作具Aとともに運転座席9の右側方箇所に合理的に配備することができ、もって、キャビン11の大型化を招くことなく、広い快適な居住空間を確保しながら、空調用の操作具Aや作業用の操作具Bに対する操作性の向上、及び、それらの操作確認の簡便化を効果的に図ることができる。
図4〜6及び図8に示すように、左右の空調ダクト63は、ケーシング56の対応する吹出部55に対して前方側から外嵌され、その前端部に一体形成した単一の連結部94を、左右の各サイドメンバー28に備えた単一の連結具95にボルト連結することで、所定位置に所定姿勢で固定保持することができる。
〔別実施形態〕
〔1〕作業車としては、コンバインやバックホーあるいは運搬車などであってもよい。
〔2〕灯火器83,84としては、ウィンカ85以外のテールランプなどの表示灯などであってもよい。
〔3〕図14に示すように、第2ドレンホース79を、引出口78から引き出した後、リヤピラー26に接合するサイドウインド22とリヤウインド23の間を通って車体の下部側まで延出されるようにしてもよい。
トラクタの全体側面図 トラクタの全体背面図 運転座席右側方箇所での操作具の配置を示す斜視図 空調構造を示すキャビンの一部切り欠き平面図 空調構造を示すキャビンの横断平面図 空調構造を示すキャビン後半部の横断平面図 空調構造を示すキャビン前半上部の縦断側面図 空調構造を示すキャビン後半上部の縦断側面図 空調構造を示すキャビン後半部の横断底面図 シャッタの構成を示す要部の縦断側面図 シャッタの構成を示す要部の背面図 空調ダクトの斜視図 調節空気吹出部の構成を示す要部の縦断面図 別実施形態での空調構造を示すキャビン後半上部の縦断側面図
6 リフトアーム
11 キャビン
19 キャビンフレーム
23 リヤウインド
29 クロスメンバー
31 アウタルーフ
32 ルーフ部
36 空調ユニット
39 下部カバー
79 ドレンホース
78 引出口
80 リヤフェンダ
82 シール材
83 灯火器
84 灯火器

Claims (3)

  1. キャビンのルーフ部に空調ユニットを配備し、
    前記空調ユニットを、その後端部が前記キャビンのリヤウインドよりも後方に位置するように、キャビンフレームの後端上部に備えたクロスメンバーで支持し、
    前記ルーフ部のアウタルーフを、その後端部が前記空調ユニットの上部側を覆う上部カバーとして機能するように形成し、
    前記空調ユニットの下部側を覆う下部カバーを設けてあり、
    前記下部カバーに、前記空調ユニットのドレンホースを車外に引き出すための引出口を備えるとともに、その引出口から車外に引き出された前記ドレンホースが前記キャビンに向かうように前記引出口を前向きに形成してある作業車の空調構造。
  2. 前記クロスメンバーの上縁部に、前記下部カバーの前端部がシール材を介して載置される段差を形成してある請求項1に記載の作業車の空調構造。
  3. 前記アウタルーフの後端部を前記下部カバーよりも幅広に形成し、
    前記アウタルーフにおける前記下部カバーから左右に延出する延出部の下方に灯火器を配備してある請求項1又は2に記載の作業車の空調構造。
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