JP3983630B2 - インクレベル検知装置及びそのインクレベル検知装置を備えたインクジェット画像形成機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタ等のインクジェット画像形成機に備えられてインクカートリッジ内のインクレベルを検知するインクレベル検知装置及びそのインクレベル検知装置を備えたインクジェット画像形成機に係る。特に、本発明は、印刷ピクセル数をカウントするピクセルカウンタを使用したインクレベル検知装置の信頼性向上を図るための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェットプリンタにおける画像形成動作としては、先ず、給紙トレイに収容されている複数枚の用紙のうち1枚を搬送路に送り出し、この用紙を、搬送路を経て画像形成部に供給する。そして、この画像形成部において用紙表面にインク滴を吐出することで所定の画像形成を行った後に、この用紙を排出トレイに排紙するようになっている。
【0003】
また、上記画像形成部では、インクカートリッジを搭載したキャリッジが配設されており、このキャリッジが走査動作を行いながらインクカートリッジからインクヘッドに供給されたインクによって上記画像形成動作を行うようになっている。
【0004】
この種のインクジェットプリンタでは、インクカートリッジ内のインク残量が少なくなったりインクカートリッジ内が空になった場合には、インクカートリッジの交換が必要になる。このため、従来より、インクジェットプリンタには、インクカートリッジ内のインク残量を検知するための手段が備えられている。
【0005】
以下、インクカートリッジ内のインク残量を検知するための従来の手段の一例について説明する。
【0006】
先ず、光学的にインクカートリッジ内のインクレベルを検知することが可能なインクレベルセンサ(以下、ILSと呼ぶ)が備えられている。このILSは、例えばインク残量が25%に達した時点を光学的な手段によって検知するものである。
【0007】
また、インク残量を検知するためのピクセルカウンタも上記ILSに併用されている。このピクセルカウンタは、画像形成動作によって消費されたインク量を印刷ピクセル数によって認識するものであり、これによってインクカートリッジ内のインク残量が検知できるようにしている。
【0008】
また、このピクセルカウンタを使用する場合、1ピクセル当たりに消費されるインク量のバラツキが原因でインク残量検知に誤差が生じる可能性がある。このため、2種類のピクセルカウンタを使用し、この誤差の影響を抑制できるようにしている。
【0009】
具体的には、このピクセルカウンタとして、インクカートリッジの交換時点(新品のインクカートリッジが搭載された時点)から印刷ピクセル数をカウントしていく「レベルピクセルカウンタ(以下、LPCと呼ぶ)」と、上記ILSによってインク残量が25%になったことが検知された時点から印刷ピクセル数をカウントしていく「レベルローピクセルカウンタ(以下、LLPCと呼ぶ)」とを併用している。これらLPC及びLLPCについて以下に詳述する。
【0010】
LPCは、インクカートリッジの大きさ(インクの初期貯留量)等に基づいて「総ピクセルカウント値」を予め認識している。この「総ピクセルカウント値」は、インクの初期貯留量(新品のインクカートリッジに貯留されているインクの量)によって吐出可能なピクセル数である。画像形成動作が行われていくに従って、印刷されたピクセル数を「消費ピクセルカウント値」として積算していく。そして、以下の式(1)によって「インク残量(インクの初期貯留量を100%とした場合の残量率)」を算出する。
【0011】
インク残量[%]=[{(総ピクセルカウント値)−(消費ピクセルカウント値)}/(総ピクセルカウント値)]×100 …(1)
また、上記「総ピクセルカウント値」は以下の式(2)により求められる。
【0012】
総ピクセルカウント値[dot]=(インクの初期貯留量[pl])/(1ピクセル当たりのインク使用量[pl/dot]) …(2)
一方、LLPCは、上記ILSによってインク残量が25%になったことが検知された時点で、以下の式(3)によって「インク残量(ILSによってインク残量が25%になったことが検知された時点のインク残量を25%とした場合の残量率)」の算出を開始する。
【0013】
インク残量[%]=[{(残量25%検知時点での吐出可能ピクセルカウント値)−(残量25%検知後の消費ピクセルカウント値)}/(残量25%検知時点での吐出可能ピクセルカウント値)]×25 …(3)
また、上記「残量25%検知時点での吐出可能ピクセルカウント値」は以下の式(4)により求められる。
【0014】
残量25%検知時点での吐出可能ピクセルカウント値[dot]=(残量25%検知時点でのインク残量[pl])/(1ピクセル当たりのインク使用量[pl/dot]) …(4)
このようにして残量25%検知後にLLPCが式(3)によるインク残量の算出を行っていく。
【0015】
尚、インク残量が少なくなってきた時点でユーザへのカートリッジ交換警告(インクニアエンプティ警告)を行うことが好ましく、例えば、LLPCにより検知されるインク残量が10%程度に達した時点でインクニアエンプティ警告を行っている。更に、LLPCにより検知されるインク残量が0%に達した時点ではインク残量無し警告(インクエンプティ警告)をユーザに発することになる。
【0016】
以下、画像形成動作に伴うLPC及びLLPCの値の変化状態について具体的に説明する。
【0017】
(1)先ず、初期値として、LPCは「100」、LLPCは「025」に設定されている。つまり、最初に新品のインクカートリッジが搭載された時点でのそれぞれの値である。
【0018】
(2)画像形成動作によってインクカートリッジ内のインクのうち「60%」が消費されると、LPCは「040」となるのに対し、LLPCは「025」のままである。
【0019】
(3)その後の画像形成動作によって「15%」のインクが消費されると、LPCは「025」となるのに対し、LLPCは「025」のままである。この時点で、ILSは、インク残量が25%に達したことを光学的に検知して「Low」となる。この検知動作に伴い、LLPCによる印刷ピクセル数のカウントが開始される。
【0020】
(4)このようにしてLLPCによる印刷ピクセル数のカウントが開始された後、画像形成動作によって「15%」のインクが消費されると、LPCは「010」となり、LLPCも「010」となる。
【0021】
(5)この時点で、ユーザがインクジェットプリンタのカバーを開放してインクカートリッジを新品のものに交換した場合には、キャリッジ上に設けられているカートリッジセンサによってインクカートリッジの交換が認識される。そして、カバーの閉鎖に伴い、ILSは、インク残量が25%を越えていることを検知して「Low」状態が解除される。また、上記カートリッジセンサによるインクカートリッジの交換認識に伴い、LPC及びLLPCは共に初期化される。つまり、LPCは「100」に、LLPCは「025」にそれぞれ戻される。
【0022】
その後、上記の動作を繰り返すことで、常に、インクカートリッジのインク残量を正確に検知し、インク残量が僅かになった(上記の場合には10%程度に達した)時点でインクカートリッジの交換がなされるようにしている。
【0023】
この従来のインクレベル検知動作の手順を示すのが図6のフローチャートである。つまり、画像形成動作の開始と同時にLPCの減算(印刷ピクセル数のカウントによる減算)を行っていき(ステップST21)、ILSがインク残量25%を検知してLowとなった時点で(ステップST22でYes判定)、LLPCの減算を開始する(ステップST23)。そして、LLPCが「0」になると(ステップST24でNo判定)、インクエンプティ警告をユーザに通知する(ステップST25)。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したようにILSと2つのピクセルカウンタ(LPC,LLPC)とを併用するものにあっては、インクジェットプリンタの電源が強制的にOFFされた状態でインクカートリッジが交換されると、LPC,LLPCが初期化されないといった不具合があった。つまり、この種のインクジェットプリンタは、電源がOFFされてもLPC及びLLPCの値を記憶しておく不揮発性メモリを備えているが、上述の如く電源が強制的にOFFされた状態ではインクカートリッジの交換を認識することができず、新品のインクカートリッジに交換されているにも拘わらず、電源がOFFされる前のLPC及びLLPCの値(不揮発性メモリに記憶されている値)がそのまま継続されてしまうといった不具合があった。
【0025】
以下、このインクジェットプリンタの電源が強制的にOFFされた状態でインクカートリッジが交換された際のLPC及びLLPCの値の変化状態について具体的に説明する。
【0026】
(1)先ず、初期値として、LPCは「100」、LLPCは「025」に設定されている。
【0027】
(2)画像形成動作によってインクカートリッジ内のインクのうち「60%」が消費されると、LPCは「040」となるのに対し、LLPCは「025」のままである。
【0028】
(3)その後の画像形成動作によって「15%」のインクが消費されると、LPCは「025」となるのに対し、LLPCは「025」のままである。この時点で、ILSは「Low」となり、LLPCによる印刷ピクセル数のカウントが開始される。
【0029】
(4)その後、画像形成動作によって「15%」のインクが消費されると、LPCは「010」となり、LLPCも「010」となる。
【0030】
(5)この時点で、ユーザがインクジェットプリンタの電源スイッチをOFFにしたり電源コンセントを抜いた状態でインクカートリッジを新品のものに交換すると、カートリッジセンサによるカートリッジ交換認識を行うことができない。このため、その後の電源ONに伴って、ILSは「Low」状態が解除されるが、LPC及びLLPCは不揮発性メモリに記憶されている値がそのまま使用され、電源ON後も初期化されることなくLPC及びLLPCの値としては共に「010」が維持される。
【0031】
(6)この状態から画像形成動作が開始されるため、インクカートリッジ内のインクのうち「10%」が消費されると、LPCは「000」となり、LLPCも「000」となる。つまり、LPC及びLLPCの値はインク残量が「0」の状態(インクエンプティを検知した状態)となる。実際には、新品のインクカートリッジに交換された後に「10%」のインクが消費されただけであるので、インク残量としては「90%」である。但し、ILSは「Low」ではないので、LPC及びLLPCの値に拘わりなく画像形成動作の継続は可能である。
【0032】
(7)そのまま画像形成動作が継続され、その後に「65%」のインクが消費されると、実際のインク残量は「25%」となり、ILSは「Low」となり、LLPCによる印刷ピクセル数のカウントが開始される。ところが、この時点でLLPCは既に「000」となっているので(実際のインク残量は25%であり、LLPCは「025」となっているべき状況である)、インクエンプティと認識されてしまい、インク残量の誤検知が生じてしまう。このような状況では、インク残量が「25%」もあるインクカートリッジを交換せねばならないことになってインクが無駄になり、また、記録用紙に対する印刷途中でこのインクエンプティの誤認識が発生した場合には、その印刷途中の記録用紙とその用紙への印刷に使用されたインクが無駄になってしまい、ランニングコストの高騰を招くことになる。
【0033】
尚、インクカートリッジ内のインクレベルを検知する手法を開示するものとして、特開平6−210840号公報及び特開2000−190517号公報に開示されているインクジェットプリンタがある。しかしながら、これら公報に開示されているインクレベル検知方法は、上述した不具合(複数種類のピクセルカウンタを使用してインクカートリッジ内のインクレベルを検知するに際し、インクジェットプリンタの電源が強制的にOFFされた状態でインクカートリッジが交換された場合のインク残量の誤検知)については何ら考慮されていない。このため、上記の不具合が発生する状況には対処することができず、インク残量の誤検知を避けることはできないものである。
【0034】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数種類のピクセルカウンタを使用してインクカートリッジ内のインクレベルを検知するに際し、インクジェットプリンタの電源が強制的にOFFされた状態でインクカートリッジが交換された場合であっても、その後のインクレベルの検知を良好に行うことを可能にし、インクレベル検知動作の信頼性の向上を図ることにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、複数種類のピクセルカウンタを使用してインクカートリッジ内のインクレベルを検知するものに対し、他のピクセルカウンタが印刷ピクセル数のカウントを実行しているタイミングで、もう一つのピクセルカウンタを初期値に戻すようにしている。つまり、このピクセルカウンタがインクレベルの検知に寄与する印刷ピクセル数のカウントを開始する時点では、既にこのピクセルカウンタは初期値に戻っているようにしている。言い換えると、インクカートリッジの交換と同タイミングでピクセルカウンタを初期値に戻すものではないため、このインクカートリッジの交換認識が良好に行われなかったとしても、ピクセルカウンタの印刷ピクセル数のカウント開始時には良好に初期値に戻されており、これによってインクレベルの検知が良好に行われるようにしている。
【0036】
−解決手段−
具体的には、インクジェット画像形成機に搭載されたインクカートリッジ内のインクレベルを検知するためのインクレベル検知装置を前提とする。このインクレベル検知装置に対し、光学的に上記インクカートリッジ内のインクレベルを検知することが可能であって、このインクカートリッジ内のインク残量が「印刷ピクセル数のみにより残量検知を行うべきインク残量」まで低下した値である第1インクレベルに達した時点で検知信号を出力するインクレベルセンサと、上記インクカートリッジがインク残量100%である新品のインクカートリッジに交換された時点から印刷ピクセル数をカウントすることにより、インク残量100%の時点で吐出可能な印刷ピクセル数である「総ピクセルカウント値」から、印刷動作に伴って吐出された印刷ピクセル数である「消費ピクセルカウント値」を減算していき、その減算値より、インクカートリッジ内のインク残量が検知可能なレベルピクセルカウンタと、上記インクレベルセンサによってインク残量が上記第1インクレベルに達したことが検知されて、このインクレベルセンサより上記検知信号が出力された時点から印刷ピクセル数のカウントを開始し、「インク残量が第1インクレベルの時点で吐出可能な印刷ピクセル数であるピクセルカウント値」から、「インク残量が第1インクレベルとなった後の消費ピクセル数である消費ピクセルカウント値」を減算していき、その減算値より、インクカートリッジ内のインク残量が「インクニアエンプティ警告」を発信すべき値である第2インクレベルに達した時点で検知信号を出力するレベルローピクセルカウンタとを備えさせる。そして、上記インクカートリッジ内のインク残量が上記第1インクレベル以下となっていて上記レベルローピクセルカウンタが印刷ピクセル数のカウントを実行している状況であって、上記インクレベルセンサにより検知されるインクレベルが上記第1インクレベル以下であり、且つ上記レベルローピクセルカウンタのカウント数に基づいて検知されるインクレベルが上記第2インクレベル以下となったときに、上記レベルピクセルカウンタを、上記「消費ピクセルカウント値」を「0」とする初期値に戻すことにより、インクカートリッジの交換時期が近付いたタイミングで、この交換に備えて前もって上記レベルピクセルカウンタを上記初期値に戻す構成としている。
また、この場合に、上記レベルローピクセルカウンタが印刷ピクセル数のカウントを実行しておらずレベルピクセルカウンタが印刷ピクセル数のカウントを実行している状況であって、上記インクレベルセンサにより検知されるインクレベルが上記第1インクレベル以上であり、且つ上記レベルピクセルカウンタのカウント数に基づいて検知されるインクレベルが、新品のインクカートリッジに交換された時点に相当する第3インクレベル以上であるときに、上記レベルローピクセルカウンタを、上記「インク残量が第1インクレベルとなった後の消費ピクセル数である消費ピクセルカウント値」を「0」とする初期値に戻すことにより、将来的にインク残量が上記第1インクレベル以下に達して上記レベルローピクセルカウンタによる印刷ピクセル数のカウントが開始されるのに備えてこのレベルローピクセルカウンタを上記初期値に戻す構成としている。
【0037】
これら特定事項により、ピクセルカウンタ(レベルピクセルカウンタ及びレベルローピクセルカウンタ)が印刷ピクセル数のカウントを開始する時点では、既にこのピクセルカウンタは初期値に戻っている。つまり、一方のピクセルカウンタがインクレベルの検知に寄与する印刷ピクセル数のカウントを実行している状況において、他方のピクセルカウンタを初期値に戻す。その後、この初期値に戻されたピクセルカウンタが印刷ピクセル数のカウントを開始する際、このピクセルカウンタは、印刷ピクセル数のカウント数に応じた値を初期値から減算していき、これによって正確なインクレベルが検知できる。このため、画像形成機の電源が強制的にOFFされた状態(画像形成機の電源スイッチをOFFにしたり電源コンセントを抜いた状態)でインクカートリッジの交換が行われてカートリッジ交換の認識が良好に行われなかったとしても、ピクセルカウンタは適切に初期値に戻されており、これによってインクレベルの検知を良好に行うことが可能となる。
【0040】
この場合、「第1インクレベル」とは例えばインクカートリッジ内のインク残量が25%である場合を言う。また、上記「第2インクレベル」とは例えばインクカートリッジ内のインク残量が10%である場合を言う。更に、上記「第3インクレベル」とは例えばインクカートリッジ内のインク残量が90%以上である場合を言う。
【0041】
つまり、この場合、画像形成動作に伴ってインク残量が減っていき、インクレベルが第2インクレベル(上記10%)になったことがレベルローピクセルカウンタのカウント動作によって検知された時点でレベルピクセルカウンタは初期値に戻される。つまり、インクカートリッジの交換時期が近付いており、この交換に備えて前もってレベルピクセルカウンタを初期値に戻しておく。そして、インクカートリッジが交換されて画像形成動作が開始され、インクレベルが第3インクレベル(上記90%以上)になったことが検知された時点でレベルローピクセルカウンタは初期値に戻される。つまり、将来的にインク残量が第1インクレベル(上記25%)以下に達してレベルローピクセルカウンタによる印刷ピクセル数のカウントが開始されるのに備えてレベルローピクセルカウンタを初期値に戻しておく。このようにして各ピクセルカウンタが初期値に戻されるため、カートリッジ交換の認識が良好に行われなかった場合であっても、それぞれのピクセルカウンタの印刷ピクセル数のカウント開始時点では、印刷ピクセル数のカウント数に応じた値を初期値から減算していくことができ、これによって正確なインクレベルが検知できる。
【0046】
尚、上述した解決手段のうち何れか一つのインクレベル検知装置が搭載され、インクカートリッジから供給されるインクによって記録媒体への画像形成を行うよう構成されたインクジェット画像形成機も本発明の技術的思想の範疇である。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、インクジェット画像形成機としてカラーインクジェットプリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0049】
−カラーインクジェットプリンタの全体構成の説明−
図1は、本形態に係るカラーインクジェットプリンタ1の外観(カバー11が開放された状態)を示す斜視図である。また、図2は、カラーインクジェットプリンタ1の内部構成を示す側面図である。
【0050】
これらの図に示すように、本形態に係るインクジェットプリンタ1は、給紙部2、分離部3、搬送部4、画像成形部5及び排出部6を備えている。
【0051】
給紙部2は、略鉛直方向に延びる給紙トレイ21を備えており、印刷開始時に給紙トレイ21内の記録媒体としての記録用紙Pを分離部3に向けて搬送するようになっている。また、上記給紙トレイ21は、印刷を行わない際には、記録用紙Pの保管部として機能する。
【0052】
分離部3は、給紙部2から供給される記録用紙Pを、画像成形部5に向けて一枚ずつ供給するためのものであり、給紙ローラ31及び分離器32を備えている。分離器32では、パッド部分(記録用紙Pとの接触部分)と記録用紙Pとの摩擦力が、記録用紙P,P同士の間の摩擦力より大きくなるように設定されている。また、給紙ローラ31では、この給紙ローラ31と記録用紙Pとの摩擦力が、分離器32のパッドと記録用紙Pとの摩擦力や、記録用紙P,P同士の間の摩擦力よりも大きくなるように設定されている。そのため、給紙部2から複数枚の記録用紙P,P,…が取り出されて分離部3まで送られてきたとしても、給紙ローラ31によって、これら複数の記録用紙P,P,…を分離し、最も上側の一枚の記録用紙Pのみを搬送部4に送ることができるようになっている。
【0053】
搬送部4は、分離部3より一枚ずつ供給される記録用紙Pを、画像成形部5に向けて搬送するためのものであり、ガイド板41及び搬送ローラ対42を備えている。搬送ローラ対42は、記録用紙Pを記録ヘッド52とプラテン53との間に送り込む際に、記録ヘッド52からのインク滴が記録用紙Pの適切な位置に吹き付けられるように、記録用紙Pの搬送を調整する部材である。
【0054】
画像成形部5は、搬送部4の搬送ローラ対42から供給される記録用紙Pへ印刷を行うためのものであり、図3にも示すように、複数のインクカートリッジ81〜84、記録ヘッド52、これらインクカートリッジ81〜84及び記録ヘッド52を搭載したキャリッジ51、このキャリッジ51を主走査方向に案内するためのガイドシャフト54、印刷時に記録用紙Pの支持台となる上記プラテン53を備えている。また、上記インクカートリッジ81〜84は、Bk(ブラック),M(マゼンタ),Y(イエロー),C(シアン)の各インク毎に個別にキャリッジ51上に搭載されており、それぞれが独立して交換可能となっている。また、本形態では、各インクカートリッジ81〜84のうちM,Y,Cの各カラーインクカートリッジ82〜84に比べてBkインクカートリッジ81が大型のものとなっている。
【0055】
排出部6は、印刷が行われた記録用紙Pを回収する部分であり、記録用紙P上のインクを乾燥させるための図示しないインク乾燥部、排出ローラ61及び排出トレイ62を備えている。
【0056】
尚、図1のインクジェットプリンタ1の外観に示すように、プリンタ前面には、各インクカートリッジ81〜84のうち少なくとも一つのインク残量が所定量を下回った場合にそれを表示するインク交換LED(Light Emitting Diode)12と、インクカートリッジ81〜84を手動で取り外す際に押される解除スイッチ13とが設けられている。
【0057】
−画像形成動作−
上記の構成において、インクジェットプリンタ1は、次のような動作によって印刷を行う。先ず、図示しないコンピュータ等の外部端末から画像情報に基づく印刷要求がインクジェットプリンタ1に対してなされる。印刷要求を受信したインクジェットプリンタ1は、給紙トレイ21上の記録用紙Pを給紙部2より搬出する。次に、搬出された記録用紙Pは、給紙ローラ31によって分離部3を通過し、搬送部4へと送られる。搬送部4では、搬送ローラ対42によって、記録用紙Pを記録ヘッド52とプラテン53との間へと送る。そして、画像成形部5では、記録ヘッド52のインクノズルよりプラテン53上の記録用紙Pへ、画像情報に対応してインク滴が吹き付けられる。この時、記録用紙Pはプラテン53上で一旦停止されている。インク滴を吹き付けつつ、キャリッジ51は、ガイドシャフト54に案内されて、主走査方向(図1におけるD2方向)に一ライン分走査される。それが終了すると、記録用紙Pは、プラテン53上で副走査方向(図1におけるD1方向)に一定の幅だけ移動する。画像成形部5において、上記処理が画像情報に対応し継続して実施されることにより、記録用紙Pの全面に印刷がなされる。このようにして印刷が行われた記録用紙Pは、インク乾燥部を経て、排出ローラ61によって排出トレイ62に排出される。これにより、記録用紙Pは印刷物としてユーザに提供されることになる。
【0058】
−制御部の構成−
以上の各部の動作は制御部によって制御される。以下、この制御部について説明する。
【0059】
図4は、本インクジェットプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。この制御部は、CPU7によって制御されるキャリッジ駆動回路71、用紙搬送駆動手段72、記録ヘッド駆動手段73、メンテナンス駆動手段74、本形態の特徴部分であるインクレベル検知装置としてのインクレベル検知ユニット76を備えている。
【0060】
キャリッジ駆動回路71は、上記キャリッジ51を主走査方向に往復移動させるための駆動源であるキャリッジモータ71aの駆動を制御する。
【0061】
用紙搬送駆動手段72は、記録用紙Pを副走査方向に搬送するための搬送ローラ対42のうちの駆動ローラの駆動を制御する。
【0062】
記録ヘッド駆動手段73は、画像データを受けて記録ヘッド52の駆動を制御する。つまり、上記キャリッジ51の走査や記録用紙Pの搬送と連繋して、ブラックヘッドや各カラーヘッドに設けられた複数の圧電素子をインク色毎に区別して駆動し、各インクノズルからのインク滴の吐出制御を行い、記録用紙P上に所定の画像形成を行うようになっている。
【0063】
メンテナンス駆動手段74は、記録ヘッド52のメンテナンス動作を行うためのものであって、インクカートリッジ81〜84が交換された際に、インクノズルから所定量のインクを吸引して気泡をインクノズルから排出する動作を実行したり、インクノズルの詰まりを防止するためのプライム処理等を実行するものである。
【0064】
また、CPU7には、図示しないROMが接続されている。このROMには、上記キャリッジ駆動回路71、用紙搬送駆動手段72、記録ヘッド駆動手段73を制御して記録用紙P上にカラー画像を記録する画像記録制御の制御プログラム、メンテナンス駆動手段74を制御してプライム処理などのメンテナンス処理を実行するメンテナンス制御の制御プログラムなどが格納されている。
【0065】
また、CPU7には、接続ケーブルを介してホストコンピュータ等に接続されて、このホストコンピュータ等から送信される画像データを受信可能な図示しない通信用インターフェースが接続されている。
【0066】
更に、CPU7は、キャリッジ移動検出手段75からの出力信号が受信可能となっている。このキャリッジ移動検出手段75はキャリッジ51の位置を検出するものであって、この検出信号をCPU7が受けてキャリッジ駆動回路71を制御するようになっている。
【0067】
本形態の特徴部分であるインクレベル検知ユニット76について以下に説明する。このインクレベル検知ユニット76は、各インクカートリッジ81〜84毎にそれぞれインクレベルを個別に検知するよう構成されており、所定インクレベル検知手段としてのインクレベルセンサ(ILS)76A、第1ピクセルカウンタとしてのレベルピクセルカウンタ(LPC)76B、第2ピクセルカウンタとしてのレベルローピクセルカウンタ(LLPC)76C、リセット手段76D、バックアップ用レベルピクセルカウンタ(BLPC)76E、バックアップ用レベルローピクセルカウンタ(BLLPC)76Fを備えている。上記LPC76B及びLLPC76Cは揮発性メモリとして構成されている一方、BLPC76E及びBLLPC76Fは不揮発性メモリとして構成されている。
【0068】
ILS76Aは、図示しない投光器、受光器、プリズム等を備えており、光学的にインクカートリッジ内のインクレベルを検知するものであって、本形態では、インク残量が25%(本発明でいう第1インクレベル)に達した時点を光学的に検知するものが採用されている。つまり、画像形成動作に伴ってインク残量が次第に減少していき、そのインク残量が25%に達した時点で検知信号を出力するようになっている。このILS76Aは周知のものであるので詳細構成については説明を省略する。また、このILS76Aによるインク残量の検知動作は、常時行ってもよいし、間欠的(例えば所定時間毎や所定画像形成枚数毎)に行ってもよい。また、このILS76Aが検知するインク残量は25%に限るものではない。
【0069】
LPC76Bは、インクカートリッジの交換時点(新品のインクカートリッジが搭載された時点)から印刷ピクセル数をカウントしていくものである。つまり、インク残量が100%の時点から印刷ピクセル数をカウントしていきカウント数に応じた値(画像形成動作時のピクセル数をインク消費量に換算し、これをインクカートリッジ内初期インク量に対する百分率で表した値)を初期値「100(インクカートリッジ内のインク残量率に相当する値)」から減算していくことでインク残量が検知できるようになっている。
【0070】
つまり、このLPC76Bは、インクカートリッジの大きさ(インクの初期貯留量)等に基づいて「総ピクセルカウント値」を予め認識している。この「総ピクセルカウント値」は、インクの初期貯留量(新品のインクカートリッジに貯留されているインクの量)によって吐出可能なピクセル数である。そして、画像形成動作が行われていくに従って、LPC76Bは、印刷されたピクセル数を「消費ピクセルカウント値」として「総ピクセルカウント値」から減算していく。
【0071】
また、このLPC76Bは、インクカートリッジが交換されるなどしてインク残量が90%(本発明でいう第3インクレベル)以上になったときに検知信号を出力するようになっている。
【0072】
LLPC76Cは、上記ILS76Aによってインク残量が25%になったことが検知された時点から印刷ピクセル数をカウントしていくものである。つまり、インク残量が25%の時点から印刷ピクセル数をカウントしていきカウント数に応じた値(画像形成動作時のピクセル数をインク消費量に換算し、これをインクカートリッジ内初期インク量に対する百分率で表した値)を初期値「25(インクカートリッジ内のインク残量率に相当する値)」から減算していくことでインク残量が検知できるようになっている。
【0073】
つまり、このLLPC76Cは、上記ILS76Aによってインク残量が25%になったことが検知された時点で、「インク残量(ILSによってインク残量が25%になったことが検知された時点のインク残量を25%とした場合の残量率)」の算出を開始するようになっている。
【0074】
そして、このLLPC76Cは、画像形成動作に伴ってインク残量が次第に減少していき、そのインク残量が10%(本発明でいう第2インクレベル)に達した時点で検知信号を出力するようになっている。
【0075】
尚、上記LPC76B及びLLPC76Cによる印刷ピクセル数のカウント動作は、コンピュータ等の外部端末から入力された画像情報に基づいて行われる。例えば、記録用紙Pの1枚当たりの印刷ピクセル数を画像情報に基づいて認識し、各色毎に印刷ピクセル数をカウントしていく。
【0076】
BLPC76E及びBLLPC76Fは、上記LPC76B及びLLPC76Cのバックアップ用として備えられている。つまり、印刷ピクセル数のカウント中にインクジェットプリンタ1の電源がOFFされた場合、揮発性メモリとして構成されているLPC76B及びLLPC76Cでは、そのカウント値が消去されてしまうが、この際、これらカウント値がBLPC76E及びBLLPC76Fに入力され、この電源OFF中であってもカウント値が記憶されるようになっている。そして、インクジェットプリンタ1の電源がONされると、BLPC76Eに記憶されている値はLPC76Bに読み出され、BLLPC76Fに記憶されている値はLLPC76Cに読み出され、その後の印刷ピクセル数カウント動作に利用されるようになっている。
【0077】
リセット手段76Dは、上記ILS76A、LPC76B、LLPC76Cの出力信号を受信可能であり、以下の条件が成立したときにLPC76BやLLPC76Cにリセット信号を発信してこれらの値を初期値に戻すようにしている。
【0078】
・<LPC76Bを初期値に戻す条件>…LLPC76Cが印刷ピクセル数のカウントを実行している状況であって、ILS76Aにより検知されるインクレベルがインク残量25%以下(ILS76AがLowの状態)であり且つLLPC76Cのカウント数に基づいて検知されるインクレベルがインク残量10%以下である状態(インク残量が10%に達した際)。以下、この条件を「LPC復帰条件」と呼ぶ。
【0079】
・<LLPC76Cを初期値に戻す条件>…LLPC76Cが印刷ピクセル数のカウントを実行しておらずLPC76Bが印刷ピクセル数のカウントを実行している状況であって、ILS76Aにより検知されるインクレベルがインク残量25%以上(ILS76AがLowでない状態)であり且つLPC76Bのカウント数に基づいて検知されるインクレベルがインク残量90%以上である状態。以下、この条件を「LLPC復帰条件」と呼ぶ。
【0080】
上記各条件が成立した時点でのインクジェットプリンタ1の状態についてそれぞれ説明する。
【0081】
先ず、「LPC復帰条件」が成立した時点でのインクジェットプリンタ1の状態について説明する。インク残量が10%である場合、通常使用されるインクカートリッジでは、カラーインクの場合A4サイズの記録用紙を使用して35枚程度の印刷が可能である。つまり、印刷可能枚数が35枚程度となった時点でLPC76Bを初期値に戻すことになる。この時にユーザへのカートリッジ交換警告(インクニアエンプティ警告)が行われる。この警告は、インクジェットプリンタ1上のインク交換LED12により行ったり、またはインクジェットプリンタ1に接続されている外部端末(ホストコンピュータ)の画面表示により行われる。
【0082】
次に、「LLPC復帰条件」が成立した時点でのインクジェットプリンタ1の状態について説明する。インク残量が90%以上である場合、通常使用されるインクカートリッジでは、カラーインクの場合A4サイズの記録用紙を使用して315〜350枚程度の印刷が可能である。尚、ILS76AがLowではない状態ではインク残量は25%以上であり70枚以上の印刷が可能となっていることを示す。
【0083】
以上の条件に応じてLPC76BやLLPC76Cはそれぞれ個別のタイミングで初期値に戻される。以下、本形態において画像形成動作に伴うLPC76B及びLLPC76Cの値の変化状態について具体的に説明する。
【0084】
−電源がOFFされない場合のピクセルカウント動作−
先ず、インクカートリッジの交換時にインクジェットプリンタ1の電源がOFFされない状態、つまり、キャリッジ51上に設けられているカートリッジセンサによってインクカートリッジの交換が良好に認識される場合のLPC及びLLPCの値の変化状態について説明する。
【0085】
(1)先ず、初期値として、LPC76Bは「100」、LLPC76Cは「025」に設定されている。つまり、最初に新品のインクカートリッジが搭載された時点でのそれぞれの値である。
【0086】
(2)画像形成動作によってインクカートリッジ内のインクのうち「60%」が消費されると、LPC76Bは「040」となるのに対し、LLPC76Cは「025」のままである。
【0087】
(3)その後の画像形成動作によって「15%」のインクが消費されると、LPC76Bは「025」となるのに対し、LLPC76Cは「025」のままである。この時点で、ILS76Aは、インク残量が25%に達したことを光学的に検知し「Low」となる。この動作に伴い、LLPC76Cによる印刷ピクセル数のカウントが開始される。
【0088】
(4)このようにしてLLPC76Cによる印刷ピクセル数のカウントが開始された後、画像形成動作によって「15%」のインクが消費されると、LPC76Bは「010」となり、LLPC76Cも「010」となる。これにより、上記LPC復帰条件が成立し、LPC76Bは初期値である「100」に戻される。つまり、インクカートリッジが交換される前にLPC76Bは初期値に戻される。
【0089】
(5)この時点で、ユーザがインクジェットプリンタ1のカバー11を開放して、インクカートリッジを新品のものに交換した場合には、キャリッジ上に設けられているカートリッジセンサによってインクカートリッジの交換が認識される。そして、カバー11の閉鎖に伴い、ILS76Aは、インク残量が25%を越えていることを検知して「Low」状態が解除される。また、上記(4)の動作によってLPC76Bは初期値である「100」に戻されているので、上記LLPC復帰条件が成立し、LLPC76Cは初期値である「025」に戻される。つまり、インクカートリッジが交換された後にLLPC76Cも初期値に戻される。
【0090】
その後、上記の動作を繰り返すことで、常に、インクカートリッジ81〜84のインク残量を正確に検知し、インク残量が僅かになった(上記の場合には10%程度に達した)時点でインクカートリッジ81〜84の交換がなされるようにしている。
【0091】
尚、上記(5)の時点でインクカートリッジ81〜84が交換されることなしにインク残量が無くなるまで画像形成動作が継続された場合には、LPCは「000」となり、LLPCも「000」となる。これにより、インク残量無し警告(インクエンプティ警告)がユーザに向けて通知されることになる。この警告も、インクジェットプリンタ1上のインク交換LED12により行ったり、またはインクジェットプリンタ1に接続されている外部端末(ホストコンピュータ)の画面表示により行われる。
【0092】
−電源がOFFされた場合のピクセルカウント動作−
次に、本形態の特徴とする動作として、インクカートリッジ81〜84の交換時にインクジェットプリンタ1の電源が強制的にOFFされた場合、つまり、キャリッジ51上に設けられているカートリッジセンサによってインクカートリッジ81〜84の交換が認識できない場合のLPC76B及びLLPC76Cの値の変化状態について説明する。
【0093】
(1)先ず、初期値として、LPC76Bは「100」、LLPC76Cは「025」に設定されている。
【0094】
(2)画像形成動作によってインクカートリッジ内のインクのうち「60%」が消費されると、LPC76Bは「040」となるのに対し、LLPC76Cは「025」のままである。
【0095】
(3)その後の画像形成動作によって「15%」のインクが消費されると、LPC76Bは「025」となるのに対し、LLPC76Cは「025」のままである。この時点で、ILS76Bは、インク残量が25%に達したことを光学的に検知し「Low」となる。この動作に伴い、LLPC76Cによる印刷ピクセル数のカウントが開始される。
【0096】
(4)その後、画像形成動作によって「15%」のインクが消費されると、LPC76Bは「010」となり、LLPC76Cも「010」となる。これにより、上記LPC復帰条件が成立し、LPC76Bは初期値である「100」に戻される。つまり、インクカートリッジが交換される前にLPC76Bは初期値に戻される。
【0097】
(5)この時点で、インクジェットプリンタ1の電源が強制的にOFFされ、この状態でユーザがインクジェットプリンタ1のカバー11を開放して、インクカートリッジを新品のものに交換した場合には、キャリッジ51上に設けられているカートリッジセンサではインクカートリッジの交換が認識されない。そして、カバー11の閉鎖及び電源ONに伴って、ILS76Aは、インク残量が25%を越えていることを検知して「Low」状態が解除される。また、上記(4)の動作によってLPC76Bは初期値である「100」に戻されているので、上記LLPC復帰条件が成立し、LLPC76Cは初期値である「025」に戻される。つまり、インクカートリッジが交換された後にLLPC76Cも初期値に戻される。
【0098】
その後、上記の動作を繰り返すことで、常に、インクカートリッジのインク残量を正確に検知し、インク残量が僅かになった(上記の場合には10%程度に達した)時点でインクカートリッジの交換がなされるようにしている。
【0099】
このように、本形態では、インクジェットプリンタ1の電源が強制的にOFFされた状態でインクカートリッジ81〜84の交換が行われた場合であっても、LPC76B及びLLPC76Cそれぞれの印刷ピクセル数のカウント開始時点では、印刷ピクセル数のカウント数に応じた値を初期値から減算していくことができ、これによって正確なインクレベルが検知できる。
【0100】
−インクレベル検知動作手順−
本実施形態に係るインクレベル検知動作の手順を示すのが図5のフローチャートである。つまり、画像形成動作の開始と同時にLPC76Bの減算(印刷ピクセル数のカウントによる減算)を行っていき(ステップST1)、ステップST2において、ILS76Aがインク残量25%を検知してLowとなったか否かを判定する。インク残量が25%以下でありILS76AがLowの状態(ステップST2でYes判定)である場合には、ステップST3に移り、LLPC76Cの減算を開始する。そして、LLPC76Cが一定値以下(上述の場合は10%以下)になると(ステップST4でYes判定)、ステップST5においてLPC76Bは初期化済みか否かを判定する。LPC76Bが未だ初期化されていない場合にはステップST6に移ってLPC76Bを初期化する。つまり、LPC76Bを初期値の「100」に戻す(LPC復帰条件の成立によるLPC76Bの初期化)。
【0101】
その後、ステップST7においてLLPC76Cの値は「0」を越えているか否かを判定し、LLPC76Cの値が「0」に達した時点でステップST8に移ってインクエンプティの警告をユーザに通知する。尚、LLPC76Cの値が「0」になるまでにインクカートリッジの交換が行われた場合には、インクエンプティの警告を通知することはない。
【0102】
一方、上記ステップST2でNoに判定された場合には、LPC76Bが一定値以上であるか否かを判定し(ステップST9)、一定値以上(上述の場合は90%以上)である場合には(ステップST9でYes判定)、ステップST10においてLLPC76Cは初期化済みか否かを判定する。LLPC76Cが未だ初期化されていない場合にはステップST11に移ってLLPC76Cを初期化する。つまり、インクカートリッジ81〜84の交換が行われたことで、ILS76AのLow状態が解除され且つLPC76Bが一定値以上となった際に、LLPC76Cを初期化する(LLPC復帰条件の成立によるLLPC76Cの初期化)。以上の動作を繰り返される。
【0103】
このように、本形態では、非実行中のピクセルカウンタが印刷ピクセル数のカウントを開始する時点では、既にこのピクセルカウンタは初期値に戻っている。このため、インクジェットプリンタ1の電源が強制的にOFFされた状態でインクカートリッジ81〜84の交換が行われてカートリッジ交換の認識が良好に行われなかったとしても、各ピクセルカウンタ(LPC76B及びLLPC76C)は適切に初期値に戻されることになり、これによってインクレベルの検知を良好に行うことが可能となり、インクレベル検知動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0104】
−その他の実施形態−
上記実施形態では、カラーインクジェットプリンタ1に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、モノクロタイプのインクジェットプリンタ(インクカートリッジを1つのみ搭載したもの)やインクジェットプロッタに適用することも可能である。
【0105】
また、上記実施形態では、Bkインクカートリッジ81を各カラーインクカートリッジ82〜84に比べて大型のものとしていた。本発明はこれに限らず、各インクカートリッジの容量が同一のものに対しても適用可能である。
【0106】
また、本発明は、キャリッジ51が主走査方向に走査しながら画像形成動作を行うシリアルタイプのインクジェットプリンタに限らず、走査動作を行わないラインタイプのインクジェットプリンタへの適用も可能である。
【0107】
また、上述した実施形態ではインクカートリッジ81〜84をキャリッジ51に搭載する所謂オンボードタイプのカラーインクジェットプリンタに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、インクカートリッジをキャリッジに搭載しない所謂オフボードタイプのカラーインクジェットプリンタ1に適用することも可能である。
【0108】
更に、上記実施形態では2種類のピクセルカウンタ(LPC,LLPC)を使用した場合について説明したが、3種類以上のピクセルカウンタを使用した場合についても本発明は適用可能である。
【0110】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、複数種類のピクセルカウンタを使用してインクカートリッジ内のインクレベルを検知するものに対し、他のピクセルカウンタが印刷ピクセル数のカウントを実行しているタイミングで、もう一つのピクセルカウンタを初期値に戻すようにしている。つまり、このピクセルカウンタがインクレベルの検知に寄与する印刷ピクセル数のカウントを開始する時点では、既にこのピクセルカウンタは初期値に戻っているようにしている。このように、インクカートリッジの交換と同タイミングでピクセルカウンタを初期値に戻すものではないため、このインクカートリッジの交換認識が良好に行われなかったとしても、ピクセルカウンタの印刷ピクセル数のカウント開始時には良好に初期値に戻されており、これによってインクレベルの検知が良好に行われ、インクレベル検知動作の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタの内部構成を示す側面図である。
【図3】キャリッジ上にインクカートリッジが搭載された状態を示す斜視図である。
【図4】インクジェットプリンタの制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】実施形態におけるインクレベル検知動作を示すフローチャート図である。
【図6】従来例におけるインクレベル検知動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 カラーインクジェットプリンタ(インクジェット画像形成機)
76 インクレベル検知ユニット(インクレベル検知装置)
76A ILS(インクレベルセンサ)
76B LPC(レベルピクセルカウンタ、第1ピクセルカウンタ)
76C LLPC(レベルローピクセルカウンタ、第2ピクセルカウンタ)
81〜84 インクカートリッジ
Claims (3)
- インクジェット画像形成機に搭載されたインクカートリッジ内のインクレベルを検知するためのインクレベル検知装置において、
光学的に上記インクカートリッジ内のインクレベルを検知することが可能であって、このインクカートリッジ内のインク残量が「印刷ピクセル数のみにより残量検知を行うべきインク残量」まで低下した値である第1インクレベルに達した時点で検知信号を出力するインクレベルセンサと、
上記インクカートリッジがインク残量100%である新品のインクカートリッジに交換された時点から印刷ピクセル数をカウントすることにより、インク残量100%の時点で吐出可能な印刷ピクセル数である「総ピクセルカウント値」から、印刷動作に伴って吐出された印刷ピクセル数である「消費ピクセルカウント値」を減算していき、その減算値より、インクカートリッジ内のインク残量が検知可能なレベルピクセルカウンタと、
上記インクレベルセンサによってインク残量が上記第1インクレベルに達したことが検知されて、このインクレベルセンサより上記検知信号が出力された時点から印刷ピクセル数のカウントを開始し、「インク残量が第1インクレベルの時点で吐出可能な印刷ピクセル数であるピクセルカウント値」から、「インク残量が第1インクレベルとなった後の消費ピクセル数である消費ピクセルカウント値」を減算していき、その減算値より、インクカートリッジ内のインク残量が「インクニアエンプティ警告」を発信すべき値である第2インクレベルに達した時点で検知信号を出力するレベルローピクセルカウンタと、
を備え、
上記インクカートリッジ内のインク残量が上記第1インクレベル以下となっていて上記レベルローピクセルカウンタが印刷ピクセル数のカウントを実行している状況であって、上記インクレベルセンサにより検知されるインクレベルが上記第1インクレベル以下であり、且つ上記レベルローピクセルカウンタのカウント数に基づいて検知されるインクレベルが上記第2インクレベル以下となったときに、上記レベルピクセルカウンタを、上記「消費ピクセルカウント値」を「0」とする初期値に戻すことにより、インクカートリッジの交換時期が近付いたタイミングで、この交換に備えて前もって上記レベルピクセルカウンタを上記初期値に戻す構成とされていることを特徴とするインクレベル検知装置。 - 上記請求項1記載のインクレベル検知装置において、
上記レベルローピクセルカウンタが印刷ピクセル数のカウントを実行しておらずレベルピクセルカウンタが印刷ピクセル数のカウントを実行している状況であって、上記インクレベルセンサにより検知されるインクレベルが上記第1インクレベル以上であり、且つ上記レベルピクセルカウンタのカウント数に基づいて検知されるインクレベルが、新品のインクカートリッジに交換された時点に相当する第3インクレベル以上であるときに、上記レベルローピクセルカウンタを、上記「インク残量が第1インクレベルとなった後の消費ピクセル数である消費ピクセルカウント値」を「0」とする初期値に戻すことにより、将来的にインク残量が上記第1インクレベル以下に達して上記レベルローピクセルカウンタによる印刷ピクセル数のカウントが開始されるのに備えてこのレベルローピクセルカウンタを上記初期値に戻す構成とされていることを特徴とするインクレベル検知装置。 - 上記請求項1または2記載のインクレベル検知装置が搭載され、インクカートリッジから供給されるインクによって記録媒体への画像形成を行うよう構成されていることを特徴とするインクジェット画像形成機。
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