JP4208660B2 - 画像形成装置、インク補給機構部、駆動制御プログラムおよび駆動制御プログラムを格納した記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像形成装置、インク供給機構部、駆動制御プログラムおよび駆動制御プログラムを格納した記録媒体に関して、具体的には、着脱可能なインクカートリッジとサブタンクを備えた画像形成装置において、インクカートリッジからサブタンクにインクを供給するときのインク供給制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録機構を搭載した画像形成装置は印刷時の騒音が比較的少なく、しかも小さなドットを高い密度で形成できるため、フルカラー印刷を含めた多くの印刷に、個人ユーザや個人事業者だけでなく、オフィス向けまたは業務用として普及している。
【0003】
このような、インクジェット記録機構を搭載した画像形成装置は、一般にキャリッジ上に搭載した記録ヘッドを、主走査させるとともに記録媒体を副走査させる紙送り手段が備えられ、画像情報に基づいて記録ヘッドによりインク滴を吐出させることにより記録媒体に対して印写が行われる。
そして、キャリッジ上に例えばブラック(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の各インクの吐出可能な記録ヘッドを搭載し、ブラックインクによるテキストの印刷ばかりでなく、各インクの吐出割合を変えることにより、フルカラー印刷を可能にしている。
【0004】
一方、オフィス向けまたは業務用に提供されるインクジェット記録機構を搭載した画像形成装置においては、大量の印刷に対応させるために、大容量のインクカートリッジを配備する必要が生じ、このため、インクカートリッジを例えば装置本体側に配置された装着装置(カートリッジホルダ)に装填させる形式の記録装置が提供されている。
【0005】
そして、記録ヘッドが搭載されたキャリッジ上にはサブタンクが配置され、各インクカートリッジから各サブタンクに対してインク供給チューブを介してそれぞれインクを補給し、さらに各サブタンクからそれぞれの記録ヘッドに対してインクを供給するように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、サブタンク内に備わるインクレベルセンサを随時監視し、そのセンサがインク面に対して非接触状態になったときに、サブタンク内のインクの残量が少ないと判断し、インクカートリッジからサブタンクに対してインク供給を行っていた。
【0007】
しかし、インク補給中にユーザの誤操作でインクカートリッジが脱落し、そのインクカートリッジを装着した場合にも、最大時間(サブタンク内にインクが満たされために必要な最大時間)のインク供給を行っていた。
【0008】
本発明は、上述の実情を考慮してなされたものであって、サブタンクと着脱可能なインクカートリッジを備えた画像形成装置において、インク補給中にユーザの誤操作でインクカートリッジが脱落し、そのインクカートリッジを装着した場合にも、最大時間のインク供給を行わず、インク供給に要する時間を短縮できる画像形成装置、インク補給機構部、駆動制御プログラムおよび駆動制御プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1は、着脱可能なインクカートリッジとサブタンクを搭載し、記録媒体上に印写する画像形成装置において、前記サブタンクに対してインク供給路を介して前記インクカートリッジのインクを供給する手段と、前記インクカートリッジの着脱状態を検出する手段と、前記インクカートリッジから前記サブタンクへインクを供給し始めてからの経過時間がタイムアウト時間となるかを監視する手段とを備え、前記監視手段は、インク供給中に前記インクカートリッジの脱落を検出し、再度、装着された場合、インク供給開始からインクカートリッジ脱落までの経過時間分を減らしたタイムアウト時間を用いて監視を継続するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記サブタンクの満タン状態を検出する手段を備え、前記監視手段は、タイムアウト時間と前記サブタンクの満タン状態を監視し、タイムアウト時間または満タン状態を検出した場合には、インク供給開始からの経過時間に基づいて前記サブタンクへのインク供給量を計算して、前記サブタンクのインク残量を更新するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3は、着脱可能なインクカートリッジとサブタンクを搭載し、記録媒体上に印写する画像形成装置のインク供給機構部において、前記サブタンクに対してインク供給路を介して前記インクカートリッジのインクを供給する手段と、前記インクカートリッジの着脱状態を検出する手段と、前記インクカートリッジから前記サブタンクへインクを供給し始めてからの経過時間がタイムアウト時間となるかを監視する手段とを備え、前記監視手段は、インク供給中に前記インクカートリッジの脱落を検出し、再度、装着された場合、インク供給開始からインクカートリッジ脱落までの経過時間分を減らしたタイムアウト時間を用いて監視を継続するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4は、着脱可能なインクカートリッジとサブタンクを搭載し、用紙上に印写するための制御を行うコンピュータを有する画像形成装置の駆動制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記インクカートリッジから前記サブタンクへインクを供給し始めてからの経過時間がタイムアウト時間となるかを監視させ、インク供給中に前記インクカートリッジの脱落を検出し、再度、装着された場合、インク供給開始からインクカートリッジ脱落までの経過時間分を減らしたタイムアウト時間を用いて監視を継続させることを特徴とする。
また、本発明の請求項5は、請求項4に記載の駆動制御プログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る好適な実施の形態について説明する。
【0014】
図1は本発明に係る画像形成装置の一例を示すインクジェット記録機構の概略斜視説明図、図2は画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【0015】
この画像形成装置は、装置本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジを備え、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへのインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部2等を収納し、装置本体1の下方部には前方側から多数枚の用紙3を積載可能な給紙カセット(あるいは給紙トレイでもよい。)4を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙3を手差しで給紙するための手差しトレイ5を開倒することができ、給紙カセット4あるいは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を印写した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0016】
また、印字機構部2は、左右の側板に横架した主ガイドロッド11でキャリッジ13を主走査方向(図2で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ13の下面側にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するノズルを有するインクジェットヘッドからなる記録ヘッド14をインク滴吐出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ13の上側には記録ヘッド14に各色のインクを供給するための各サブタンク12を装着している。
各サブタンク12は、インク供給チューブ16を介して、交換可能に装着された各インクカートリッジ(インクタンク)15と接続され、インクカートリッジ15からインクの供給を受ける。
【0017】
また、キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定している。
【0018】
なお、記録ヘッド14としては、各色のインク滴を吐出する複数個のヘッドを主走査方向に並べて配置したものでも、あるいは、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドを用いたものでもよい。さらに、記録ヘッド14として用いるインクジェットヘッドは、圧電素子などの電気機械変換素子で液室(インク流路)壁面を形成する振動板を介してインクを加圧するピエゾ型のもの、あるいは発熱抵抗体による膜沸騰でバブルを生じさせてインクを加圧するバブル型のもの、若しくはインク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型のものなどを使用することができるが、本実施形態では静電型インクジェットヘッドを用いている。
【0019】
一方、給紙カセット4にセットした用紙3を記録ヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0020】
そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14の下方側で案内する静電搬送ベルト29を設けている。この静電搬送ベルト29は、チャージャ30により帯電することにより搬送されてきた用紙3を吸着し、用紙面とヘッド面とを並行に保つ役割を担っている。静電搬送ベルト29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙コロ33を配設している。
【0021】
また、キャリッジ13の移動方向右端側には記録ヘッド14の信頼性を維持、回復するための信頼性維持回復機構37を配置している。キャリッジ13は印写待機中にはこの信頼性維持回復機構37側に移動されてキャッピング手段などで記録ヘッド14がキャッピングされる。
【0022】
次に、この画像形成装置の印字機構部を構成するキャリッジの位置を正面から見た断面図の一例について図3および図4を参照して説明する。なお、図3はキャリッジがキャッピング状態に位置する説明図、図4はキャリッジが印写の状態に位置する説明図である。
【0023】
図3において、キャリッジ13には2つの記録ヘッド14−1、14−2が装着され、さらに記録ヘッド14−2、14−1はそれぞれ2本のノズル列53、54およびノズル列55、56が配置され、この各々のノズル列からインクが噴射される。
キャリッジ13がキャッピング状態の位置にある場合、記録ヘッド14−2は吸引兼用キャップ51、記録ヘッド14−1はキャップ52で覆われ、ヘッド面を保湿し、ノズル列中のインクの目詰まりがおきにくいように保護されている。
【0024】
57は用紙検出センサで、キャリッジ13の正面から見て左側に据え付けられる。用紙検出センサ57は発光素子と受光素子を持ち、光の反射から用紙の有無を検出する。
静電搬送ベルト29は、静電気により用紙3を吸着することにより、用紙3の平面性を保ちながら搬送させる役目を果たす。
【0025】
次に、図4において、キャリッジ13がキャッピング位置から主走査方向に移動すると、各ノズル列53、54、55、56から噴射されたインクが用紙3に付着し、用紙上に画像が形成される。このキャリッジ位置では、用紙検出センサ57は用紙ありを検出する。また、キャリッジ13がキャッピング位置から移動する場合は、吸引兼用キャップ51およびキャップ52は、キャップ時の位置より降下し、キャリッジの動きは自由になる。
【0026】
次に、この画像形成装置のインクカートリッジの装着状態の一例について、図5および図6を参照して説明する。なお、図5はインクカートリッジの装着状態を示す説明図、図6はインクカートリッジが外れた状態を示す説明図である。
インクカートリッジ15−1、15−2、15−3、15−4はそれぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクカートリッジを示し、それぞれのインクカートリッジにはスイッチ101、102、103、104を備え、インクカートリッジ15−1、15−2、15−3、15−4が装置に装着された状態では、スイッチ101、102、103、104はそれぞれ押下された状態になっている。例えば、ブラックカートリッジ15−1を取り外すと、スイッチ101は開放状態となり、ブラックのインクカートリッジが取り外されたことを検出する(図6参照)。
【0027】
次に、この画像形成装置のインクカートリッジの着脱状態を検出する手段について図7および図8を参照して説明する。
【0028】
スイッチ101の片端は、抵抗R1を介してVcc(電源)に接続される。Vccは、例えば5Vや3.3V等に設定される。
スイッチ101のもう一つの片端は、抵抗R2を介してGNDに接続されるとともに、ドライバ素子110を介して、カートリッジ着脱検出回路(カートリッジ着脱検出部)の出力となる。
【0029】
カートリッジ着脱検出回路の出力信号は、スイッチ101が押下(閉じた)状態では、例えば2.5V程度の一定レベルの電圧出力として得られ、またスイッチ101が開放された状態では、グラウンドレベルの電圧出力として得られる。
スイッチ102、103、104についてもそれぞれ同様の回路構成をとる。この回路構成では、スイッチ101、102、103、104の押下/開放状態を示す出力信号はそれぞれ独立しているため、インクカートリッジ15−1、15−2、15−3、15−4の着脱状態は、それぞれ独立に検出することができる。
【0030】
また、図8の回路構成で、スイッチ101、102、103、104はそれぞれ直列に接続された上に、その片端は抵抗R1を介してVccに、もう一つの片端は抵抗R2を介してGNDに接続されるとともに、ドライバ素子110を介して、カートリッジ着脱検出回路の出力となる。
【0031】
この回路構成では、スイッチ101、102、103、104の全てが押下(閉じた)状態となった場合、カートリッジ着脱検出回路の出力信号は、例えば2.5V程度の一定レベルの電圧出力として得られ、またスイッチ101、102、103、104のどれか一つでも開放された状態では、グラウンドレベルの電圧出力として得られる。
従って、この回路構成では、インクカートリッジ15−1、15−2、15−3、15−4の着脱状態は、それぞれ独立に検出することはできず、全てが装着されているか、すくなくともどれか一つが外されているかのみを検出することができる。
【0032】
次に、この画像形成装置のサブタンク内のインクが満タンおよび満タンでない状態を検出する手段について図9および図10を参照して説明する。
図9において、サブタンク12は、装置の正面から見た図である。サブタンク12内にインク154が満タン近くまで充填されているときは、満タン検出センサ(満タン検出部)150の発光部151から照射された光は、インク色に吸収されて、反射光が受光部152に入射されないため、満タン検出センサ150は満タン状態であることを検出する。
【0033】
図10において、サブタンク12内にインク154が満タン近くまで充填されていないときは、満タン検出センサ150の発光部151から照射された光は、サブタンクの透明部155を透過した後、サブタンク12内壁に設けられた白色部156に反射され受光部152に入射され、満タン検出センサ150は満タン状態でないことを検出する。
【0034】
次に、この画像形成装置における制御部の概要について図11を参照して説明する。
【0035】
この制御部は、CPU部(コントローラ)500、RAM部501、画像メモリ部502、時計部503、パラレルI/F部504、操作部505、満タン検出部506、インクカートリッジ着脱検出部507、不揮発性メモリ部508、給紙クラッチドライバ509、給紙クラッチ510、主走査モータ動作指令部511、主走査モータドライバ512、主走査モータ513、主走査エンコーダ部514、副走査モータ動作指令部515、副走査モータドライバ516、副走査モータ517、伸張部518、画像マスク部519、ヘッドI/F部520、記録ヘッド部521、インク供給モータ動作指令部522、インク供給モータドライバ523、インク供給モータ524および、内部バス525から構成されている。
【0036】
CPU部500、RAM部501、画像メモリ部502、時計部503、パラレルI/F部504、操作部505、不揮発性メモリ部508、給紙クラッチドライバ509、主走査モータ動作指令部511、副走査モータ動作指令部515、伸張部518、およびインク供給モータ動作指令部522は内部バス525に接続されており、この内部バス525を介してこれらの各要素間でのデータおよび制御指令の授受が行われる。
【0037】
CPU部500は、画像形成装置の全体の制御、各要素の制御などの各種の制御処理を行う。副走査モータ動作指令部515および給紙クラッチドライバ509に指令を与えることによって、副走査モータ517および給紙クラッチ510を駆動し、給紙カセット4から用紙を給紙し、搬送を行う。
【0038】
また、主走査モータ動作指令部511に指令を与えることにより主走査モータドライバ512を介して主走査モータ513を駆動し、キャリッジ13を主走査方向に移動させる。このときCPU部500は、主走査エンコーダ部514の出力信号を主走査モータ動作指令部511を介して読み出すことにより、キャリッジ13の位置を知ることができる。
【0039】
さらに、CPU部500は、インク供給モータ動作指令部522に指令を与えることによって、インク供給モータドライバ523を介して、インク供給モータ524を駆動し、インクカートリッジ15からインク供給チューブ16を介しサブタンク12へインクを供給する。
【0040】
不揮発性メモリ部508は、画像形成装置に固有な各種の情報と、各種の管理テーブルを記憶し、不慮の電源断、安全のための電源断などでこれらのパラメータの内容が失われることがないように、バッテリ(図示無し)によりバックアップされている。
【0041】
RAM部501は、CPU部500が実行する制御処理プログラム、および、制御処理プログラムを実行するときに必要な各種データなどを記憶するとともに、CPU部500のワークエリアを構成する。
【0042】
画像メモリ部502は印刷する画像情報を蓄積する。
時計部503は、現在時刻情報を出力する。
パラレルI/F部504は、ホスト側とのインタフェース機能を持ち、ホスト側からの画像情報の他、優先モードを示す情報、用紙の種別を示す印写モード情報等の授受を行う。
操作部505は、画像形成装置を操作するもので、各種の操作キーを備える操作パネルおよび各種の情報を表示する表示部から構成される。
【0043】
インクカートリッジ着脱検出部507は、上述したカートリッジ着脱を検出するカートリッジ着脱検出回路で構成され、インクカートリッジ着脱検出部507の出力信号をCPU部500に送出する。
満タン検出部506は、上述した満タン検出センサ150で構成され、満タン検出部506の出力信号をCPU部500に送出する。
【0044】
伸張部518は、画像メモリ部502から読み出された画像情報を圧縮状態から伸張し、さらに画像マスク部519でマスクするか否かの処理を施され、ヘッドI/F部520を介して、画像情報に対応する駆動信号を記録ヘッド部521に送出され、記録媒体に印写される。
ヘッドI/F部520内に吐出インク滴数計算回路を備え、記録ヘッド部521のそれぞれから吐出されるインク滴の数をカウントする。
【0045】
ここで、伸張部518、画像マスク部519、ヘッドI/F部520は、それぞれノズル列の数だけ用意され、各ノズル列のデータを並行して処理することができる。また、ヘッドI/F部520には主走査エンコーダ部514の出力信号が入力され、キャリッジ13の主走査位置に同期して、画像情報が記録ヘッド部521に送出される。さらに、CPU部500は、画像マスク部519に指令を与えることによって、任意のタイミングで出力画像をマスクすることができる。
【0046】
以上のように構成したこの画像形成装置の作用について、図12および図13を参照して説明する。
【0047】
先ず、インク供給動作に移行するときの処理を図12のフローチャートによって説明する。本実施形態では、電源が投入された時点、インクカートリッジが交換された時点およびサブタンクのインク残量が所定量以下となった時点で、インクカートリッジからサブタンクへインクを供給するインク供給動作へ移行するようになっている。
【0048】
ここで、インクの残量には、次の3つの状態があるものとする。
(1)通常状態:
印字動作に十分なインクがインクカートリッジおよびサブタンク中にある状態。
(2)インクニアエンド状態:
インクカートリッジの中のインクは空だが、サブタンク中に一定量以上のインク残量があり、印刷を行える状態。
(3)インクエンド状態:
インクカートリッジの中のインクが空で、且つサブタンク中のインク残量が一定量以下になり、印刷を行えない状態。
【0049】
電源が投入されると、インク供給動作(後述の図13の処理を参照)を行う(ステップS100)。これにより、サブタンクのインク残量と、インクカートリッジが空か否かのフラグが更新される。
【0050】
ホスト側からのスキャン要求があるまで待機する(ステップS101)。
スキャン要求があると(ステップS101のYES)、ヘッドI/F部520を介し、要求された画像情報に対応する駆動信号を記録ヘッド部521に送出して記録媒体に印写し、スキャン動作を実施する(ステップS102)。
吐出インク滴数計算回路によりカウントされた、記録ヘッド部521のそれぞれから吐出されるインク滴の数を取得し、インクの消費量ISを式(1)で算出して、サブタンクのインク残量からISを差し引いて更新する。
【0051】
IS=C×ΔL ・・・(1)
ここで、Cは累積吐出インク滴数、ΔLは、吐出インク1滴当たりの吐出量(ml)である。
【0052】
インクカートリッジが空でなく(S103のNO)、サブタンクのインク残量が所定量1以下となったかを調べ、所定量1以上であれば(ステップS104のNO)、ステップS101へ戻って、引き続きホスト側からのスキャン要求を待つ。
一方、サブタンクのインク残量が所定量1以下である場合(ステップS104のYES)、ステップS100へ戻って、インク供給動作を行う。インクカートリッジが空であり(ステップS103のYES)、サブタンクのインク残量が所定量2以上である場合(ステップS105のNO)、次のホスト側のスキャン要求を処理するために、ステップS101へ戻る。
【0053】
インクエンド状態(インクカートリッジが空で、サブタンクのインク残量が所定量2より少ない)の場合(ステップ105のYES)、インクカートリッジ交換を促す、インクエンドメッセージを表示し(ステップS106)、インクカートリッジの交換待ちになる(ステップS107、S108)。
インクカートリッジが交換されると(ステップS108のYES)、インクの供給動作を行うためにステップS100へ戻る。
【0054】
図13は、インク供給動作の処理手順を説明するフローチャートである。
まず、インクカートリッジからサブタンク内にインクが満たされために必要な最大時間をタイムアウト時間(T)とする(ステップS200)。
【0055】
供給ポンプに開始指令を送出して、インクの供給を開始するとともに、供給開始時の時刻t1を取得し、不揮発性メモリ部に記憶する(ステップS201)。
インクカートリッジ着脱検出部507によってインクカートリッジが脱落しているか否かを調べ、正常に装着されている場合(ステップS202のNO)、満タン検出部506で満タンが検出されると(ステップS203のYES)、インクカートリッジの空を示すフラグをOFFにして、不揮発性メモリ部508へ記憶し、ステップS207へ進む。
【0056】
満タン検出部506で満タンが検出されない場合(ステップS203のNO)、インク供給開始からタイムアウト時間(T)が経過していなければ(ステップS204のNO)、ステップS202へ戻ってインク供給を続ける。
他方、インク供給開始からタイムアウト時間(T)が経過していれば(ステップS204のYES)、インクカートリッジの空を示すフラグをONにして、不揮発性メモリ部508へ記憶し、ステップS207へ進む。
【0057】
供給ポンプに停止指令を送出し、インクの供給を停止させ(ステップS207)、供給ポンプが停止した時刻t2を取得し、不揮発性メモリ部508に格納されている供給開始時刻t1とからインク実供給時間t3=t2−t1を求め、サブタンクへ供給したインクの量Iを式(2)で算出し、このインク量Iを加算して、サブタンクのインク残量を更新し、不揮発性メモリ部508へ記憶して処理を終了する(ステップS208)。
【0058】
I=L×t3 ・・・(2)
ここで、Lはインクカートリッジからサブタンクへの単位時間当たりのインク送出量(ml/sec)である。
【0059】
一方、インクカートリッジ着脱検出部507でインクカートリッジの脱落が検出された場合(ステップS202のYES)、インクカートリッジの装着を促す旨のメッセージを操作部505に表示する(ステップS209)。
次に、供給ポンプに停止指令を送出し、インクの供給を停止させ(ステップS210)、供給ポンプが停止した時刻t2を取得し、不揮発性メモリ部508に記憶されている供給開始時刻t1とから、インク実供給時間t3=t2−t1を求め、インクの量Iを式(2)で算出し、このインク量Iを加算して、サブタンクのインク残量を更新し、不揮発性メモリ部508へ記憶する(ステップS211)。
【0060】
インクカートリッジ着脱検出部507でインクカートリッジの装着が検出されると(ステップS212のYES)、インクカートリッジの装着された旨のメッセージを表示し(ステップS213)、タイムアウト時間を(T−t3)へ変更して(ステップS214)、ステップS201へ戻ってインク供給動作を継続させる。
【0061】
以上の構成により、サブタンクと着脱可能なインクカートリッジを備えた画像形成装置において、画像形成装置のメンテナンス動作中にユーザの誤操作でインクカートリッジが脱落してもインクカートリッジを装着すれば、脱落前の状態に復帰してメンテナンス動作が継続されるので、インク供給に要する時間を短縮でき、生産性を大幅に向上できる。
【0062】
本発明は、上述した実施の形態に係る画像形成装置またはインクの補給機構部の機能をプログラム化し、予めROMのような記録媒体に書き込んでおき、画像形成装置にこのROMを装着して実行することによって、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
この場合、ROMから読み出されて実行された状態が上述した実施の形態に係る機能を実現することになり、そのプログラムおよびそのプログラムを記録したROMも本発明を構成することになる。
【0063】
なお、上述した実施の形態に係る画像形成装置またはインクの補給機構部の機能を実現するプログラムは、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリ等)、光媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD等)、磁気媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれの形態に係る記録媒体で提供されてもよい。
あるいは、ネットワーク等の通信網を介して記憶装置に格納された、上述したプログラムをサーバコンピュータから直接供給を受けるようにしてもよい。
【0064】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、サブタンクと着脱可能なインクカートリッジを備えた画像形成装置において、画像形成装置のメンテナンス動作中にユーザの誤操作でインクカートリッジが脱落してもインクカートリッジを装着すれば、脱落前の状態に復帰してメンテナンス動作が継続されるので、インク供給に要する時間を短縮でき、生産性を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 画像形成装置のインクジェット記録機構の概略斜視説明図である。
【図2】 画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図3】 キャリッジがキャッピング状態に位置する説明図である。
【図4】 キャリッジが印写の状態に位置する説明図である。
【図5】 インクカートリッジの装着状態を示す説明図である。
【図6】 インクカートリッジが取り外された状態を示す説明図である。
【図7】 インクカートリッジの着脱検出回路(個別に検出)を示す構成図である。
【図8】 インクカートリッジの着脱検出回路(全体で検出)を示す構成図である。
【図9】 サブタンク内のインクが満タンを検出するときの説明図である。
【図10】 サブタンク内のインクが満タンでない時を検出するときの説明図である。
【図11】 画像形成装置における制御部の構成を示す構成図である。
【図12】 インクの供給動作に移行するときの処理手順を説明するフローチャートである。
【図13】 インク供給動作の処理手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…装置本体、2…印字機構部、3…用紙、4…給紙カセット、5…手差しトレイ、6…排紙トレイ、11…主ガイドロッド、12…サブタンク、13…キャリッジ、14…記録ヘッド、15…インクカートリッジ、16…インク供給チューブ、17…主走査モータ、18…駆動プーリ、19…従動プーリ、20…タイミングベルト、21…給紙ローラ、22…フリクションパッド、23…ガイド部材、24…搬送ローラ、25…搬送コロ、26…先端コロ、27…副走査モータ、29…静電搬送ベルト、30…チャージャ、33…排紙コロ、37…信頼性維持回復機構、51…吸引兼用キャップ、52…キャップ、53,54,55,56…ノズル列、57…用紙検出センサ、101,102,103,104…スイッチ、110…ドライバ素子、150…満タン検出センサ、151…発光部、152…受光部、154…インク、155…透明部、156…白色部、500…CPU部(コントローラ)、501…RAM部、502…画像メモリ部、503…時計部、504…パラレルI/F部、505…操作部、506…満タン検出部、507…インクカートリッジ着脱検出部、508…不揮発性メモリ部、509…給紙クラッチドライバ、510…給紙クラッチ、511…主走査モータ動作指令部、512…主走査モータドライバ、513…主走査モータ、514…主走査エンコーダ部、515…副走査モータ動作指令部、516…副走査モータドライバ、517…副走査モータ、518…伸張部、519…画像マスク部、520…ヘッドI/F部、521…記録ヘッド部、522…インク供給モータ動作指令部、523…インク供給モータドライバ、524…インク供給モータ、525…内部バス。
Claims (5)
- 着脱可能なインクカートリッジとサブタンクを搭載し、記録媒体上に印写する画像形成装置において、前記サブタンクに対してインク供給路を介して前記インクカートリッジのインクを供給する手段と、前記インクカートリッジの着脱状態を検出する手段と、前記インクカートリッジから前記サブタンクへインクを供給し始めてからの経過時間がタイムアウト時間となるかを監視する手段とを備え、前記監視手段は、インク供給中に前記インクカートリッジの脱落を検出し、再度、装着された場合、インク供給開始からインクカートリッジ脱落までの経過時間分を減らしたタイムアウト時間を用いて監視を継続するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1に記載の画像形成装置において、前記サブタンクの満タン状態を検出する手段を備え、前記監視手段は、タイムアウト時間と前記サブタンクの満タン状態を監視し、タイムアウト時間または満タン状態を検出した場合には、インク供給開始からの経過時間に基づいて前記サブタンクへのインク供給量を計算して、前記サブタンクのインク残量を更新するようにしたことを特徴とする画像形成装置。
- 着脱可能なインクカートリッジとサブタンクを搭載し、記録媒体上に印写する画像形成装置のインク供給機構部において、前記サブタンクに対してインク供給路を介して前記インクカートリッジのインクを供給する手段と、前記インクカートリッジの着脱状態を検出する手段と、前記インクカートリッジから前記サブタンクへインクを供給し始めてからの経過時間がタイムアウト時間となるかを監視する手段とを備え、前記監視手段は、インク供給中に前記インクカートリッジの脱落を検出し、再度、装着された場合、インク供給開始からインクカートリッジ脱落までの経過時間分を減らしたタイムアウト時間を用いて監視を継続するようにしたことを特徴とするインク供給機構部。
- 着脱可能なインクカートリッジとサブタンクを搭載し、用紙上に印写するための制御を行うコンピュータを有する画像形成装置の駆動制御プログラムであって、前記コンピュータに、前記インクカートリッジから前記サブタンクへインクを供給し始めてからの経過時間がタイムアウト時間となるかを監視させ、インク供給中に前記インクカートリッジの脱落を検出し、再度、装着された場合、インク供給開始からインクカートリッジ脱落までの経過時間分を減らしたタイムアウト時間を用いて監視を継続させることを特徴とする駆動制御プログラム。
- 請求項4に記載の駆動制御プログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
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