JP3983370B2 - 液体圧送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に関するものである。本発明の液体圧送装置は、蒸気配管系で発生した復水を一旦集め、この復水をボイラ―や廃熱利用装置に送る装置として特に適するものである。
【0002】
【従来の技術】
蒸気配管系で凝縮して発生した復水は、まだ相当の熱量を有していることが多く、そのためエネルギ―の有効活用のため、液体圧送装置を用いて復水を回収し、この復水をボイラ―や廃熱利用装置に送って廃熱を有効利用する復水回収システムが広く普及している。
【0003】
復水回収システムに利用される液体圧送装置は、復水を一旦密閉容器内に回収し、更に切替え弁を切り換えて密閉容器内に蒸気等の高圧の作動流体を導入し、この作動流体の圧力によって密閉容器内の復水を強制的に排出するものである。
そのため液体圧送装置を高効率で稼働させるためには、密閉容器内にできるだけ多量の復水を溜め、切替え弁を確実に切り換える必要がある。
【0004】
そこで液体圧送装置では、スナップ機構が採用され、切替え弁の切り換えを確実にすることが行なわれてきた。以下従来技術の液体圧送装置について説明する。図5は従来技術の液体圧送装置の一部断面斜視図である。図5において、液体圧送装置100は、密閉容器101内にフロ―ト120、切替え弁130、スナップ機構140等が内蔵されたものである。
【0005】
密閉容器101は、底近くに圧送液体流入口102と圧送液体排出口103が設けられ、それぞれに逆止弁105,106が取り付けられている。逆止弁105は密閉容器101への復水の流入を許す向きに取り付けられ、逆止弁106は、密閉容器101から外部への復水の圧送を許す向きに取り付けられている。
【0006】
また密閉容器101の頂部には作動流体導入口108と作動流体排出口109が設けられ、給気弁110と排気弁111からなる切替え弁130が取り付けられている。給気弁110と排気弁111はいずれも昇降棒112,113を上下移動することによって弁の開閉を行うものであり、給気弁110は昇降棒112を上げた時に開となり、排気弁111は昇降棒113を上げた時に閉となる。そして昇降棒112,113は連設板115によって並列に結合され、連設板115を上下することにより給気弁110と排気弁111は同時に開閉される。
【0007】
従来技術の液体圧送装置100は、圧送液体流入口102が逆止弁105を介して蒸気の負荷に接続され、圧送液体排出口103が逆止弁106を介してボイラ―や廃熱利用装置に接続される。そして作動流体導入口108は高圧流体源に接続される。液体圧送装置100では、密閉容器101内に復水が無い場合は、フロ―ト120は下の位置にあり、連設板115は下がっている。そのため、給気弁110は作動流体導入口108を塞ぎ、排気弁111は作動流体排出口109を開放している。
【0008】
液体圧送装置100が接続される蒸気の負荷内で復水が発生すると、復水は逆止弁105から密閉容器101内に流れ込んで溜まる。そして、復水の量が増加するのに従って、フロ―ト120が上昇し、これに連れてア―ム118の一端が上昇する。そしてア―ム118が一定の位置を越えると、スナップ機構140が反転し、弁軸操作棒121が上に移動し、連設板115が持ち上げられる。
【0009】
すると給気弁110は作動流体導入口108を開放する。一方この時排気弁111は作動流体排出口109を閉じるので、密閉容器101内の圧力が上昇し、当該圧力に押されて圧送液体排出口103から復水が圧送される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の液体圧送装置100は、簡単な構成で比較的効率良く液体の圧送を行うことができるものであるが、スナップ機構が密閉容器内に配されているために、流体に混在しているゴミやスケ―ル等の異物を噛み込みやすく、比較的短期間に動作の円滑性を欠くと言う問題点があった。
【0011】
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、動作が円滑である液体圧送装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴は、作動流体導入口と作動流体排出口と圧送液体流入口及び圧送液体排出口を有する密閉容器内にフロ―トが内蔵され、フロ―トの昇降に応じてスナップ機構を動作させて作動流体導入口と作動流体排出口の開閉を切り換えることにより、密閉容器内に溜まった液体を圧送液体排出口から圧送する液体圧送装置であって、フロ―トの昇降をスナップ機構に伝達する動力伝達軸を密閉容器外に導出してスナップ機構を密閉容器外に配したものにおいて、密閉容器にキャップを結合し、密閉容器とキャップの間に気密保持のための部材を介在させ、密閉容器とキャップの間の外部空間にスナップ機構を配した液体圧送装置にある。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の液体圧送装置は、従来公知のそれと同様にフロ―トの昇降に応じてスナップ機構が動作し、切替え弁が切り換えられて密閉容器内に溜まった液体を圧送する。そして、本発明の液体圧送装置は、フロ―トの昇降をスナップ機構に伝達する動力伝達軸を密閉容器外に導出してスナップ機構を密閉容器外に配したものである。そのため、密閉容器外に位置するスナップ機構は、異物の影響を受けにくくなり円滑な動作を行うことができる。
【0014】
【実施例】
以下に本発明の具体的実施例について説明する。図1は、本発明の具体的実施例の液体圧送装置の断面図である。図2は、図1のA−A拡大断面図である。図3は、スナップ機構の拡大断面図である。図1において、本実施例の液体圧送装置1は、密閉容器2内にフロ―ト3と切替え弁4が配され、密閉容器2外にスナップ機構5が配されたものである。
【0015】
順次説明すると、密閉容器2は、本体部7と蓋部8が図示しないネジによって結合され、内部に液体溜空間10が形成されたものであり、液体溜空間10にフロ―ト3と切替え弁4が配されている。蓋部8にキャップ6が図示しないネジによって結合され、蓋部8とキャップ6の間の外部空間9にスナップ機構5が配されている。蓋部8とキャップ6の間には気密保持のためにガスケット12が介在されている。蓋部8には、4つの開口、具体的には作動流体導入口11,作動流体排出口13,圧送液体流入口16,圧送液体排出口17が設けられている。
【0016】
図2に拡大して示すように、作動流体導入口11の内側に給気弁20が取り付けられ、作動流体排出口13の内側に排気弁21が取り付けられている。給気弁20は、弁ケ―ス22と弁体23及び昇降棒24によって構成される。弁ケ―ス22は、軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の上端面は弁座25として機能する。弁ケ―ス22の中間部には、前記した貫通孔と外部とを連通する4つの開口26が設けられている。
【0017】
給気弁20の弁ケ―ス22の先端は、作動流体導入口11の中にねじ込まれている。弁体23は、球状で作動流体導入口11側にあり、昇降棒24の上端が当接することにより開閉される。昇降棒24は、弁ケ―ス22の貫通孔を通って密閉容器2側に抜け、下端に形成した溝に連設板27が連結されている。連設板27は、動力伝達軸28に連結されている。
【0018】
排気弁21は、弁ケ―ス29と弁体30と昇降棒31によって構成される。弁ケ―ス29は、軸方向に貫通孔を有し、該貫通孔の内部に弁座32があり、弁座32の下から昇降棒31の上端に保持固定された弁体30が当接して開閉を行うものである。昇降棒31の下端には、溝が形成され連設板27が連結されている。連設板27の下面と昇降棒31の溝の下壁との間には隙間33が形成されている。給気弁20と排気弁21とで切替え弁4が構成され、給気弁20が開くと排気弁21は閉じ、給気弁20が閉じると排気弁21は開く。
【0019】
圧送液体流入口16は蓋部8のほぼ中央にあり、圧送液体排出口17は密閉容器2の下部に相当する位置に設けられている。
【0020】
フロ―ト3は、フロ―トア―ム34と揺動軸35を介してブラケット36によって支持されている。ブラケット36は、図示しないネジによって密閉容器2の蓋部8に一体的に取り付けられている。ブラケット36は、上から見ると、「L」字状をした2枚の板よりなり、揺動軸35が掛け渡されて連結されたものである。フロ―トア―ム34は、板を「U」字状に曲げ加工して作られたもので、2枚の板が平行に対向し、左端にフロ―ト3が結合されている。フロ―トア―ム34には、長孔37が設けられ、長孔37内に軸38が掛け渡されている。そして軸38に動力伝達軸28の下端が連結されている。フロ―ト3は、揺動軸35を中心として上下に揺動し、所定量揺動した後に動力伝達軸28が上下に変位する。
【0021】
動力伝達軸28の上端は、密閉容器2の蓋部8から上方に突出し、蓋部8とキャップ6の間の外部空間9に位置している。動力伝達軸28の上部に摺動部材51がねじ結合されている。摺動部材51は、円筒状で外周に上下2つの環状の窪み部52,53が形成されたものである。摺動部材51の外周には、キャップ6の内壁の環状段部とガスケット12の間に固定された保持部材54が配置されている。保持部材54は、等間隔に形成された4つの開口を有し、それぞれの開口に硬球55が配置されている。硬球55は、断面「C」字状の輪ばね56,57で内方に付勢され、一部が窪み部52に嵌まり込んでいる。ガスケット12の内周と摺動部材51の外周は、流体が殆ど出入しないように、微少な隙間に形成されている。上記の窪み部52,53と硬球55と輪ばね56,57によってスナップ機構5が構成される。そしてスナップ機構5を構成する部材には潤滑剤としてのグリスを塗布して摺動抵抗を軽減させている。
【0022】
次に本実施例の液体圧送装置1の作用について、作動流体として蒸気を用いた場合の一連の動作手順を追うことによって説明する。まず液体圧送装置1の外部配管は、作動流体導入口11が高圧の蒸気源に接続され、作動流体排出口13は、蒸気循環配管に接続される。また圧送液体流入口16は、外部から液体溜空間10に向かって開く逆止弁(図示せず)を介して蒸気使用装置等の負荷に接続される。一方圧送液体排出口17は、液体溜空間10から外部に向かって開く逆止弁(図示せず)を介してボイラ―等の液体圧送先へ接続される。
【0023】
本実施例の液体圧送装置1の液体溜空間10内に復水が無い場合は、図1に示す様にフロ―ト3は底部に位置する。このとき、切替え弁4における給気弁20が閉じられ、排気弁21が開かれている。そして蒸気使用装置等の負荷内で復水が発生すると、復水は圧送液体流入口16から液体圧送装置1に流下して、液体溜空間10内に溜まる。
【0024】
液体溜空間10内に溜まった復水によってフロ―ト3が浮上すると、フロ―トア―ム34が揺動軸35を中心に時計回り方向に回転し、長孔37の下端が軸38に当接した後、動力伝達軸28が上方に持ち上げられる。この動力伝達軸28に連動して摺動部材51が上動し、硬球55が窪み部52から抜け出し、輪ばね56,57は押し拡げられる。そしてフロ―ト3が更に上昇して、硬球55が窪み部53内に入りかけると、輪ばね56,57は急激に変形を回復し、硬球55を窪み部53に急激に押し込んで動力伝達軸28を上側にスナップ移動させる。その結果、給気弁20が開口されると共に排気弁21が閉じられる。
【0025】
作動流体導入口11が開放されると、密閉容器2内に高圧蒸気が導入され、内部の圧力が上昇し、液体溜空間10に溜まった復水は、蒸気圧に押されて圧送液体排出口17から図示しない逆止弁を介して外部のボイラ―や廃熱利用装置へ排出される。
【0026】
復水の排出によって復水溜空間10内の水位が低下すると、フロ―ト3が降下して、フロ―トア―ム34が揺動軸35を中心に反時計回り方向に回転し、長孔37の上端が軸38に当接した後、動力伝達軸28が下方に押し下げられる。この動力伝達軸28に連動して摺動部材51が下動し、硬球55が窪み部53から抜け出し、輪ばね56,57は押し拡げられる。そしてフロ―ト3が更に降下して、硬球55が窪み部52内に入りかけると、輪ばね56,57は急激に変形を回復し、硬球55を窪み部52に急激に押し込んで動力伝達軸28を下側にスナップ移動させる。また、このスナップ移動の過程で、連設板27の下面が排気弁21の昇降棒31の溝の下壁に当接する。その結果、給気弁20が閉じらると共に排気弁21が開口される。
【0027】
次に本発明の他の具体的実施例の液体圧送装置について説明する。図4は、本発明の他の具体的実施例の液体圧送装置の断面図である。尚、以下に述べる実施例では、先の実施例と同一の作用を行う部材については同一の番号を付し、重複説明を避けることとする。本実施例のスナップ機構5は、圧縮状態のコイルばね61、ばね受け部材62,63、第1ア―ム64及び第2ア―ム65からなり、蓋部8とキャップ6の間の外部空間9に配されている。そしてスナップ機構5を構成する部材には潤滑剤としてのグリスを塗布して摺動抵抗を軽減させている。
【0028】
密閉容器2の蓋部8から上方に突出した動力伝達軸28の上端に軸66が取り付けられ、軸66にばね受け部材62が回転可能に支持されている。また軸66には、平行に対向した2枚の板よりなる第1ア―ム64の左端部が回転可能に支持されている。第1ア―ム64の右端部は、キャップ6に一体的に取り付けられたブラケット67に支持された軸68に回転可能に支持されている。また軸67には、平行に対向した2枚の板よりなる第2ア―ム65の中間部が回転可能に支持されている。第2ア―ム65の左端部には、軸69が掛け渡され、軸69にばね受け部材63が回転可能に支持されている。そして両ばね受け部材62,63の間に圧縮状態のコイルバネ61が取り付けられている。また第2ア―ム65の右端部に軸70が掛け渡され、軸70に弁軸操作棒71の上端が連結されている。弁軸操作棒71は、蓋部8を貫通して密閉容器2側に抜け、下端に連設板27が連結されている。そして連設板27に切替え弁4が連結されている。動力伝達軸28及び弁軸操作棒71の外周と蓋部8との間は、流体が殆ど出入しないように、微少な隙間に形成されている。
【0029】
フロ―ト3が浮上して動力伝達軸28が持ち上げられると、第1ア―ム64が軸68を中心に時計回り方向に回転し、コイルバネ61との連結部である軸66が軸68と軸69を結ぶ線に近付き、コイルバネ54は圧縮変形する。そしてフロ―ト3が更に上昇し、軸66が軸68と軸69を結ぶ線を越えると、コイルバネ54は急激に変形を回復し、第2ア―ム65が反時計回り方向に回転して軸70が上方に急激に移動する。その結果、軸60に連結された弁軸操作棒71が上側にスナップ移動し、連設板27を介して切替え弁4の開閉が切り換えられる。
【0030】
フロ―ト3が降下して動力伝達軸28が押し下げられると、第1ア―ム64が軸68を中心に反時計回り方向に回転し、コイルバネ61との連結部である軸66が軸68と軸69を結ぶ線に近付き、コイルバネ54は圧縮変形する。そしてフロ―ト3が更に降下し、軸66が軸68と軸69を結ぶ線を越えると、コイルバネ54は急激に変形を回復し、第2ア―ム65が時計回り方向に回転して軸70が下方に急激に移動する。その結果、軸60に連結された弁軸操作棒71が下側にスナップ移動し、連設板27を介して切替え弁4の開閉が切り換えられる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の液体圧送装置では、フロ―トの昇降をスナップ機構に伝達する動力伝達軸を密閉容器外に導出してスナップ機構を密閉容器外に配している。そのため、密閉容器外に位置するスナップ機構が異物の影響を受けにくく、動作が円滑で確実に液体を圧送できると言う優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的実施例の液体圧送装置の断面図である。
【図2】図1のA−A拡大断面図である。
【図3】図1のスナップ機構の拡大断面図である。
【図4】本発明の他の具体的実施例の液体圧送装置の断面図である。
【図5】従来技術の液体圧送装置の一部断面斜視図である。
【符号の説明】
1 液体圧送装置
2 密閉容器
3 フロ―ト
4 切替え弁
5 スナップ機構
6 キャップ
9 外部空間
11 作動流体導入口
13 作動流体排出口
16 圧送液体流入口
17 圧送液体排出口
20 給気弁
21 排気弁
28 動力伝達軸
Claims (1)
- 作動流体導入口と作動流体排出口と圧送液体流入口及び圧送液体排出口を有する密閉容器内にフロ―トが内蔵され、フロ―トの昇降に応じてスナップ機構を動作させて作動流体導入口と作動流体排出口の開閉を切り換えることにより、密閉容器内に溜まった液体を圧送液体排出口から圧送する液体圧送装置であって、フロ―トの昇降をスナップ機構に伝達する動力伝達軸を密閉容器外に導出してスナップ機構を密閉容器外に配したものにおいて、密閉容器にキャップを結合し、密閉容器とキャップの間に気密保持のための部材を介在させ、密閉容器とキャップの間の外部空間にスナップ機構を配したことを特徴とする液体圧送装置。
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