以下、本願の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本願に開示の技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
本願の実施形態1について図1〜図9を参照しながら説明する。本実施形態の液体圧送装置1は、例えば蒸気システムに設けられ、蒸気の凝縮によって発生したドレン(復水)を回収してボイラーや廃熱利用装置に圧送するものである。つまり、本実施形態ではドレンが本願の請求項に係る液体に相当する。図1に示すように、液体圧送装置1は、密閉容器であるケーシング10と、3つの弁機構(排出弁20、給気弁30および排気弁40)と、弁作動機構50とを備えている。弁作動機構50には、本願の請求項に係るスナップ機構60が設けられている。
ケーシング10は、本体部11と蓋部12とがボルトによって結合され、内部にドレン(液体)の貯留空間13が形成されている。蓋部12には、ドレンが流入する液体流入口14と、ドレンが排出される液体排出口15と、蒸気が導入される蒸気導入口16と、蒸気が排出される蒸気排出口17とが設けられている。なお、本実施形態では蒸気が本願の請求項に係る作動気体に相当する。液体流入口14は蓋部12の上部寄りに設けられ、液体排出口15は蓋部12の下部に設けられている。蒸気導入口16および蒸気排出口17は、何れも蓋部12の上部に設けられている。これら液体流入口14等は、何れも貯留空間13と連通している。
液体排出口15には、排出弁20が設けられ、蒸気導入口16には給気弁30が設けられ、蒸気排出口17には排気弁40が設けられている。排出弁20、給気弁30および排気弁40は、それぞれ、液体排出口15、蒸気導入口16および蒸気排出口17を開閉するものである。
排出弁20は、弁ケース21、弁体22および昇降棒23を有する。弁ケース21は、液体排出口15に連通する内部空間を有している。弁ケース21には、互いに上下に位置し、内部空間と貯留空間13とが連通する2つの開口24が形成されている。弁体22は、円板状に形成されており、昇降棒23に一体的に2つ設けられている。昇降棒23は、弁ケース21の2つの開口24に上下動可能に挿入されており、2つの弁体22が上下方向に配置されている。排出弁20は、昇降棒23が上昇して弁体22が開口24を閉じることで液体排出口15が閉じられ、昇降棒23が下降して弁体22が開口24を開放することで液体排出口15が開放される。
図2に示すように、給気弁30は、弁ケース31、弁体32および昇降棒33を有する。弁ケース31は軸方向に貫通孔を有し、該貫通孔の上側には弁座34が形成されている。弁ケース31の中間部には、貫通孔と貯留空間13とが連通する開口35が形成されている。弁体32は、球状に形成されており、弁ケース31の上に配置されている。昇降棒33は、弁ケース31の貫通孔に上下動可能に挿入されている。給気弁30は、昇降棒33が上昇して弁体32を押し上げることで弁体32が弁座34から離座して蒸気導入口16が開放される。また、給気弁30は、昇降棒33が下降することで弁体32が弁座34に着座して蒸気導入口16が閉じられる。
図2に示すように、排気弁40は、弁ケース41、弁体42および昇降棒43を有する。弁ケース41は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔のやや上側には弁座44が形成されている。弁ケース41には、貫通孔と貯留空間13とが連通する開口45が形成されている。弁体42は、略半球状に形成されており、昇降棒43の上端に一体的に設けられている。昇降棒43は、弁ケース41の貫通孔に上下動可能に挿入されている。排気弁40は、昇降棒43が上昇することで弁体42が弁座34に着座して蒸気排出口17が閉じられ、昇降棒43が下降することで弁体42が弁座34から離座して蒸気排出口17が開放される。
弁作動機構50は、フロート51と、2つの弁作動軸55,75と、動力伝達軸57と、スナップ機構60とを備えている。弁作動機構50は、フロート51の昇降(浮き沈み)によって2つの弁作動軸55,75を動作させ、上述した排出弁20、給気弁30および排気弁40を開閉させるものである。
フロート51は、球状に形成され、フロートアーム52が連結されている。フロート51は、貯留空間13に配置され、該貯留空間13におけるドレン水位に応じて昇降する。フロートアーム52は、ブラケット54に設けられた軸53に回転可能に支持されている。この構成により、フロートアーム52はフロート51の昇降に伴い軸53を中心として揺動する。弁作動軸55は、一端(上端)が軸56aによってフロートアーム52に回転可能に連結され、他端(下端)が軸56bによって排出弁20の昇降棒23の端部に回転可能に連結されている。弁作動軸55の一端は、フロートアーム52において軸53よりもフロート51側とは反対側に連結されている。弁作動軸55は、フロートアーム52の揺動に伴って変位し排出弁20の昇降棒23を上下動させる。つまり、弁作動軸55はフロート51の昇降によって排出弁20を開閉させるものである。
動力伝達軸57と弁作動軸75とは、スナップ機構60を介して接続されている。図2および図3にも示すように、動力伝達軸57は、上下方向に延びる状態で設けられている。動力伝達軸57は、一端(上端)がスナップ機構60に接続され、他端(下端)が軸58によってフロートアーム52に連結されている。動力伝達軸57の他端は、フロートアーム52において軸53よりもフロート51側に連結されている。フロートアーム52には、内径が軸58の外径よりも大きい孔59が形成されており、その孔59に軸58が挿通されて動力伝達軸57が連結されている。動力伝達軸57は、フロート51の昇降に伴うフロートアーム52の揺動によって上下動する。即ち、動力伝達軸57は、フロート51の昇降に伴い、その軸方向の双方向に移動する。そして、動力伝達軸57は、上下動することにより、スナップ機構60を動作させるように構成されている。
一方、弁作動軸75は、円筒状の軸であり、上下方向に延びる状態で設けられている。動力伝達軸57は弁作動軸75内に挿入されており、動力伝達軸57および弁作動軸75は互いに同軸に設けられている。弁作動軸75は、一端(上端)がスナップ機構60に接続され、他端(下端)が接続軸76を介して押し上げ棒77と連結されている。押し上げ棒77は、水平方向に延びる状態で設けられており、その中央に接続軸76が連結されている。押し上げ棒77には、接続軸76の両側に略矩形体状の押し上げ部78,79が設けられている。2つの押し上げ部78,79には、それぞれ、排気弁40の昇降棒43および給気弁30の昇降棒33が一体的に設けられている。
弁作動軸75は、スナップ機構60の動作によって上下動(軸方向の双方向に移動)するように構成されている。押し上げ棒77は、弁作動軸75と共に上下動し、給気弁30および排気弁40の昇降棒33,43を上下動させる。押し上げ棒77が上昇すると、昇降棒33,43が押し上げ部78,79と共に上昇し、給気弁30は開き排気弁40は閉じる。押し上げ棒77が下降すると、昇降棒33,43が押し上げ部78,79と共に下降し、給気弁30は閉じ排気弁40は開く。つまり、弁作動軸75は、スナップ機構60によって上下動することにより、給気弁30および排気弁40を開閉するように構成されている。スナップ機構60の構成および動作については後述する。
液体圧送装置1では、ドレンが貯留空間13に溜まっていない場合、フロート51は貯留空間13の底部に位置する。この状態において、弁作動軸75および押し上げ棒77は下降しており、給気弁30は閉じられ排気弁40は開いている。一方、弁作動軸55は上昇しており、排出弁20は閉じられている。そして、蒸気システムでドレンが発生すると、そのドレンは液体流入口14から流入し貯留空間13に溜まる。貯留空間13にドレンが溜まっていくに従って、フロート51が上昇する。フロート51の上昇に伴い、動力伝達軸57は上昇し弁作動軸55は下降する。この弁作動軸55の下降により、排出弁20が開く。なお、貯留空間13ではドレンが溜まっていくにつれて蒸気が蒸気排出口17から排出される。そして、貯留空間13におけるドレン水位が所定高水位に達すると、スナップ機構60によって弁作動軸75が上昇する。これにより、給気弁30が開くと共に排気弁40が閉じる。
給気弁30が開くと、蒸気システム内の蒸気(高圧蒸気)が蒸気導入口16から流入して貯留空間13の上部(ドレンの上方空間)に導入される。そうすると、貯留空間13に溜まっているドレンは、導入された蒸気の圧力によって下方へ押されて液体排出口15から排出される。つまり、貯留空間13のドレンが圧送される。液体圧送装置1によって圧送されたドレンは、ボイラーや廃熱利用装置に供給される。ドレンの排出によって貯留空間13のドレン水位が低下すると、フロート51が下降する。フロート51の下降に伴い、動力伝達軸57は下降し弁作動軸55は上昇する。そして、貯留空間13におけるドレン水位が所定低水位に達すると、スナップ機構60によって弁作動軸75が下降する。これにより、給気弁30が閉じると共に排気弁40が開く。そして、更にフロート51が下降して、弁作動軸55の更なる上昇により排出弁20が閉じる。
〈スナップ機構の構成〉
スナップ機構60は、動力伝達軸57の上下動によって動作し、弁作動軸75を上下方向にスナップ動作(スナップ移動)させるものである。つまり、スナップ機構60は、動力伝達軸57によってフロート51の上昇力(浮力)および下降力(自重)が伝達されて弁作動軸75をスナップ動作させる。図1に示すように、スナップ機構60は、ケーシング10の外部に設けられ、キャップ18によって覆われている。
図4に示すように、スナップ機構60は、ケース61と、ホールドピン62と、スナップロッド64と、トリガーボール65,66と、トリガーロッド67と、コイルバネ68,69とを備えている。ケース61は、上下方向に延びる円筒状に形成され、キャップ18の内面に保持されている。スナップロッド64、トリガーロッド67およびコイルバネ68,69は、ケース61内に設けられている。
トリガーロッド67は、ケース61よりも小径の円筒状に形成された軸部材であり、ケース61内において動力伝達軸57に取り付けられている(接続されている)。つまり、動力伝達軸57の上端はケース61内に挿入されている。動力伝達軸57は、主軸部57aを有し、該主軸部57aの上端に挿入部57bおよび端部57cが順に形成されている。主軸部57aは、フロートアーム52に連結される部分であり、弁作動軸75に挿入される部分である。挿入部57bは、主軸部57aおよび端部57cよりも小径に形成されており、トリガーロッド67が挿入されて取り付けられている。挿入部57bの外径はトリガーロッド67の内径よりも若干小さく、主軸部57aおよび端部57cの外径はトリガーロッド67の内径よりも大きい。挿入部57bの長さは、トリガーロッド67よりも長い。
トリガーロッド67は、動力伝達軸57の上下動によって上下方向に移動する。つまり、トリガーロッド67は、外力によってその軸方向の双方向に移動する駆動軸部材である。また、動力伝達軸57は、トリガーロッド67に接続され、フロート51の昇降する力によってトリガーロッド67を移動させるものである。トリガーロッド67は、外周面(側面)に2つの窪み部67b,67cを有している。2つの窪み部67b,67cは、トリガーロッド67の軸方向に順に設けられており、それぞれが周方向に亘って設けられている。2つの窪み部67b,67cが互いに連なる部分は山部67aとなっている。窪み部67b,67cにおいて、上下の縁部は傾斜している。
スナップロッド64は、ケース61よりも小径に形成され上下方向に延びる円筒状の軸部材であり、ケース61内に上下動可能に挿入されている。また、スナップロッド64の内部にはトリガーロッド67が上下動可能に挿入されている。つまり、スナップロッド64は、トリガーロッド67の側方において該トリガーロッド67の軸方向に延びて配置された従動軸部材である。スナップロッド64の長さは、トリガーロッド67よりも長い。
スナップロッド64は、上下に(軸方向に順に設けられた)2つの保持孔64c,64dを有している。なお、ここで言う2つとは、上側の保持孔64cと下側の保持孔64dの2つを意味する。保持孔64c,64dは、スナップロッド64の径方向に貫通している。なお、上側の保持孔64cおよび下側の保持孔64dは、それぞれ周方向に複数(例えば、4つ)設けられている。上側の保持孔64cおよび下側の保持孔64dは、それぞれトリガーロッド67の窪み部67b,67cに向かって開口している。また、保持孔64c,64dは溝部64a,64bを有している。溝部64a,64bは、保持孔64c,64dにおいて外側の開口縁部に設けられている。つまり、スナップロッド64の外周面(側面)には上下に2つの溝部64a,64bが設けられている。
ホールドピン62は、円柱状に形成され、ケース61において径方向に貫通する開口61aに挿入されている。ホールドピン62は、ケース61の上下方向において1つ設けられている。なお、ホールドピン62はケース61の周方向には複数(例えば、4つ)設けられている。ホールドピン62は、スナップロッド64の側方から保持孔64c,64dに向かって進退可能に設けられ、保持孔64c,64dに進入することでスナップロッド64を保持する保持部材である。具体的に、ホールドピン62は、ケース61の径方向に移動可能に設けられると共に、輪バネ63(弾性部材)によって前進方向(即ち、ケース61の径方向内方)に付勢されている。ホールドピン62は、前進してスナップロッド64における保持孔64c,64dの溝部64a,64bに進入することでスナップロッド64を保持する。つまり、スナップロッド64の上下動がホールドピン62によって阻止される。
トリガーボール65,66は、球状に形成され、スナップロッド64の保持孔64c,64dの内部に1つずつ設けられている。トリガーボール65,66は、一部がトリガーロッド67の窪み部67b,67cに位置する状態で保持孔64c,64dに配置されている。トリガーボール65,66は、トリガーロッド67の上下動(移動)に伴う窪み部67b,67cの上下動(移動)によってホールドピン62側に押されることにより、ホールドピン62を後退方向(即ち、ケース61の径方向外方)に押してスナップロッド64の保持を解除する解除部材である。
コイルバネ68,69は、スナップロッド64の内部においてトリガーロッド67の上下に2つ設けられている。つまり、コイルバネ68,69はトリガーロッド67の軸方向両端に1つずつ設けられている。上側のコイルバネ68は、一端(上端)がスナップロッド64の内周面に設けられたスナップリング71に支持され、他端(下端)がトリガーロッド67の上端面に支持されている。下側のコイルバネ69は、一端(上端)がトリガーロッド67の下端面に支持され、他端(下端)がスナップロッド64の内周面に形成された段差部64eに支持されている。このように、2つのコイルバネ68,69は、それぞれトリガーロッド67とスナップロッド64との間に設けられている。
コイルバネ68,69は、トリガーロッド67の上下動(移動)に伴って弾性変形し、スナップロッド64の保持がトリガーボール65,66によって解除されると、弾性変形により生じた弾性力によってスナップロッド64を上下方向(軸方向)に移動させる弾性部材を構成している。つまり、トリガーロッド67の上昇に伴って上側のコイルバネ68は圧縮され、スナップロッド64の保持が解除されると、上側のコイルバネ68の圧縮により生じた弾性力によってスナップロッド64が上昇(上方へスナップ動作)する。また、トリガーロッド67の下降に伴って下側のコイルバネ69は圧縮され、スナップロッド64の保持が解除されると、下側のコイルバネ69の圧縮により生じた弾性力によってスナップロッド64が下降(下方へスナップ動作)する。
スナップロッド64の下端には、軸72によって弁作動軸75が連結されている。弁作動軸75は、スナップロッド64と共に上下動する。つまり、弁作動軸75は、スナップロッド64に接続され、該スナップロッド64の移動によって給気弁30および排気弁40を開閉するものである。
〈スナップ機構の動作〉
スナップ機構60では、ドレンが貯留空間13に溜まっておらずフロート51が貯留空間13の底部に位置している場合、図4に示す状態となっている。具体的に、トリガーロッド67は下端面が動力伝達軸57の主軸部57aに接している。ホールドピン62は、輪バネ63によって前進方向へ付勢されてスナップロッド64の上側の溝部64aに進入している。上側のトリガーボール65は、ホールドピン62によって押されてトリガーロッド67の上側の窪み部67bに進入して接している。一方、下側のトリガーボール66はトリガーロッド67には接していない。この状態では、スナップロッド64は、ホールドピン62によって保持されて上下動が阻止されている。
次いで、スナップ機構60では、ドレンの流入に伴いフロート51が上昇して動力伝達軸57が上昇すると、図5に示す状態となる。具体的に、トリガーロッド67は動力伝達軸57の主軸部57aによって押し上げられて上昇する。このトリガーロッド67の上昇によって、上側のトリガーボール65は窪み部67bに接しながら外方へ押される。つまり、トリガーボール65は窪み部67bの傾斜面によってホールドピン62側へ押されて移動する。これにより、ホールドピン62は後退する。そして、トリガーボール65がトリガーロッド67の山部67aに接したとき、ホールドピン62はスナップロッド64の溝部64aから抜け出る。これにより、スナップロッド64の保持が解除される。一方、上側のコイルバネ68はトリガーロッド67の上昇に伴って圧縮される。これにより、動力伝達軸57によって伝達されたフロート51の上昇力(浮力)が、弾性力(弾性エネルギー)として上側のコイルバネ68に蓄えられる。
スナップロッド64の保持が解除されると、図6に示すように、上側のコイルバネ68の弾性力によってスナップロッド64が急激に上昇(スナップ動作)する。スナップロッド64が上昇すると、ホールドピン62は輪バネ63の付勢力によって前進し、スナップロッド64の下側の溝部64bに進入する。これにより、スナップロッド64が再び保持される。下側のトリガーボール66は、ホールドピン62の前進によって内方へ押され、トリガーロッド67の下側の窪み部67cに進入して接する。上述したスナップロッド64の急激な上昇により、弁作動軸75も急激に上昇して、確実に給気弁30は開いて排気弁40は閉じる。これにより、貯留空間13のドレンが排出される。
ドレンの排出に伴いフロート51が下降すると、図7に示すように、動力伝達軸57が下降して動力伝達軸57の端部57cがトリガーロッド67の上端面に接する。そして、更にフロート51が下降して動力伝達軸57が下降すると、図8に示すように、トリガーロッド67は動力伝達軸57の端部57cによって押し下げられて下降する。このトリガーロッド67の下降によって、下側のトリガーボール66は窪み部67cに接しながら外方へ押される。つまり、トリガーボール66は窪み部67cの傾斜面によってホールドピン62側へ押されて移動する。これにより、ホールドピン62は後退する。そして、トリガーボール66がトリガーロッド67の山部67aに接したとき、ホールドピン62はスナップロッド64の溝部64bから抜け出る。これにより、スナップロッド64の保持が解除される。一方、下側のコイルバネ69はトリガーロッド67の下降に伴って圧縮される。これにより、動力伝達軸57によって伝達されたフロート51の下降力(自重)が、弾性力(弾性エネルギー)として下側のコイルバネ69に蓄えられる。
スナップロッド64の保持が解除されると、図9に示すように、下側のコイルバネ69の弾性力によってスナップロッド64が急激に下降(スナップ動作)する。スナップロッド64が下降すると、ホールドピン62は輪バネ63の付勢力によって前進し、スナップロッド64の上側の溝部64aに進入する。これにより、スナップロッド64が再び保持される。このように、スナップ機構60では、ホールドピン62は、スナップロッド64がコイルバネ68,69によって移動すると、2つの保持孔64c,64dのうちスナップロッド64の移動方向と反対側の保持孔に進入してスナップロッド64を保持する。上側のトリガーボール65は、ホールドピン62の前進によって内方へ押され、再びトリガーロッド67の上側の窪み部67bに進入して接する。上述したスナップロッド64の急激な下降により、弁作動軸75も急激に下降して、確実に給気弁30は閉じて排気弁40は開く。
以上のように、上記実施形態の液体圧送装置1によれば、スナップ機構60においてトリガーロッド67の移動に伴って弾性変形するコイルバネ68,69を備えるようにしたため、トリガーロッド67を通じて作用するフロート51の昇降する力を弾性力(弾性エネルギー)としてコイルバネ68,69に確実に蓄えることができる。そして、コイルバネ68,69の弾性力によってスナップロッド64を移動させるようにしたため、コイルバネ68,69に蓄えられた力(弾性力)を利用してスナップロッド64をスナップ動作させることができる。これにより、スナップロッド64のスナップ動作力を効果的に増大させることができる。
そして、スナップ機構60のスナップロッド64と接続し、該スナップロッド64の移動によって給気弁30および排気弁40を開閉させる弁作動軸75を備えるようにしたため、コイルバネ68,69に蓄えられた力(弾性力)を利用して弁作動軸75をスナップ動作させることができる。これにより、給気弁30および排気弁40を開閉させる力を増大させることができるため、確実に給気弁30等の開閉動作を行うことができる。
そして、動力伝達軸57および弁作動軸75は、一方が筒状に形成され、他方が該一方に挿入され、それぞれが個別に移動可能に構成されている。具体的に、上記実施形態では、動力伝達軸57を円筒状の弁作動軸75に挿入して互いが個別に上下動可能に設けるようにした。そのため、両軸の必要な設置スペースを削減することができる。よって、装置全体の大型化を抑制することができる。
また、上記実施形態の液体圧送装置1によれば、トリガーロッド67が上昇するときに力を蓄えるものと、トリガーロッド67が下降するときに力を蓄えるものとして2つのコイルバネ68,69を設けるようにした。したがって、トリガーロッド67の上昇時と下降時の両方で確実に外力を弾性力として蓄えることができる。
(実施形態2)
本願の実施形態2について図10〜図16を参照しながら説明する。本実施形態は、上記実施形態1におけるスナップ機構の構成を変更するようにしたものである。ここでは、上記実施形態1と異なる点について説明する。
本実施形態のスナップ機構80は、上記実施形態1と同様、動力伝達軸57の上下動によって動作し、弁作動軸95を上下方向にスナップ動作(スナップ移動)させるものである。図10および図11に示すように、スナップ機構80は、ケース81と、ホールドピン82,83と、スナップロッド85と、トリガーボール86と、トリガーロッド87と、コイルバネ88,89とを備えている。ケース81は、上下方向に延びる円筒状に形成され、キャップ18の内面に保持されている。スナップロッド85、トリガーロッド87およびコイルバネ88,89は、ケース81内に設けられている。
トリガーロッド87は、上記実施形態1と同様、円筒状に形成された軸部材であり、ケース81内において動力伝達軸57の挿入部57bに挿入されて取り付けられている(接続されている)。トリガーロッド87は、動力伝達軸57の上下動によって上下方向に移動する駆動軸部材である。トリガーロッド87は、外周面(側面)に1つの窪み部87aを有している。窪み部87aは、トリガーロッド87の周方向に亘って設けられている。窪み部87aにおいて、上部および下部は傾斜している。
スナップロッド85は、上記実施形態1と同様、上下方向に延びる円筒状の軸部材であり、ケース81内に上下動可能に挿入されている。また、スナップロッド85の内部にはトリガーロッド87が上下動可能に挿入されている。スナップロッド85は、上下方向(軸方向)において1つの保持孔85aを有している。保持孔85aは、スナップロッド85の径方向に貫通している。なお、保持孔85aは周方向に複数(例えば、4つ)設けられている。保持孔85aは、トリガーロッド87の窪み部87aに向かって開口している。
ホールドピン82,83は、円柱状に形成され、ケース81の上下方向において2つ設けられている。2つのホールドピン82,83は、それぞれケース81において径方向に貫通する開口81a,81bに挿入されている。なお、上側のホールドピン82および下側のホールドピン83はケース81の周方向には複数(例えば、4つ)設けられている。ホールドピン82,83は、スナップロッド85の側方から保持孔85aに向かって進退可能に設けられた保持部材である。具体的に、上側のホールドピン82および下側のホールドピン83は、ケース81の径方向に移動可能に設けられると共に、上下に2つ設けられた輪バネ84(弾性部材)によって前進方向(即ち、ケース81の径方向内方)に付勢されている。ホールドピン82,83は、前進してスナップロッド85における保持孔85aに進入することでスナップロッド85を保持する。つまり、スナップロッド85の上下動がホールドピン82,83によって阻止される。
トリガーボール86は、球状に形成され、スナップロッド85の4つの保持孔85aの内部に1つずつ設けられている。トリガーボール86は、一部がトリガーロッド87の窪み部87aに位置する状態で保持孔85aに配置されている。トリガーボール86は、トリガーロッド87の上下動(移動)に伴う窪み部87aの上下動(移動)によってホールドピン82,83側に押されることにより、ホールドピン82,83を後退方向(即ち、ケース81の径方向外方)に押してスナップロッド85の保持を解除する解除部材である。
コイルバネ88,89は、上記実施形態1と同様、スナップロッド85の内部においてトリガーロッド87の上下に2つ設けられている。つまり、コイルバネ88,89はトリガーロッド87の軸方向両端に1つずつ設けられている。上側のコイルバネ88は、一端(上端)がスナップロッド85の内周面に設けられたスナップリング91に支持され、他端(下端)がトリガーロッド87の上端面に支持されている。下側のコイルバネ89は、一端(上端)がトリガーロッド87の下端面に支持され、他端(下端)がスナップロッド85の内周面に形成された段差部85bに支持されている。このように、2つのコイルバネ88,89は、それぞれトリガーロッド87とスナップロッド85との間に設けられている。
本実施形態においても、コイルバネ88,89は、トリガーロッド87の上下動(移動)に伴って弾性変形し、スナップロッド85の保持がトリガーボール86によって解除されると、弾性変形により生じた弾性力によってスナップロッド85を上下方向(軸方向)に移動させる弾性部材を構成している。スナップロッド85の下端には、軸92によって弁作動軸95が連結されている。弁作動軸95は、上記実施形態1と同様、接続軸76を介して押し上げ棒77に連結されており、スナップロッド85と共に上下動して給気弁30および排気弁40を開閉する。
スナップ機構80では、ドレンが貯留空間13に溜まっておらずフロート51が貯留空間13の底部に位置している場合、図11に示す状態となっている。具体的に、トリガーロッド87は下端面が動力伝達軸57の主軸部57aに接している。下側のホールドピン83は、輪バネ84によって前進方向へ付勢されてスナップロッド85の保持孔85aに進入している。一方、上側のホールドピン82は、前進方向への移動がスナップロッド85の外周面によって阻止されている。トリガーボール86は、下側のホールドピン83によって押されてトリガーロッド87の窪み部87aに進入して接している。この状態では、スナップロッド85は、下側のホールドピン83によって保持されて上下動が阻止されている。
次いで、スナップ機構80では、ドレンの流入に伴いフロート51が上昇して動力伝達軸57が上昇すると、図12に示す状態となる。具体的に、トリガーロッド87は動力伝達軸57の主軸部57aによって押し上げられて上昇する。このトリガーロッド87の上昇によって、トリガーボール86は窪み部87aに接しながら外方へ押される。つまり、トリガーボール86は窪み部87aの傾斜面によって下側のホールドピン83側へ押されて移動する。これにより、下側のホールドピン83は後退する。そして、トリガーボール86が窪み部87aの所定位置に接したとき、ホールドピン83はスナップロッド85の保持孔85aから抜け出る。これにより、スナップロッド85の保持が解除される。一方、上側のコイルバネ88は、上記実施形態1と同様、トリガーロッド87の上昇に伴って圧縮される。これにより、動力伝達軸57によって伝達されたフロート51の上昇力(浮力)が、弾性力(弾性エネルギー)として上側のコイルバネ88に蓄えられる。
スナップロッド85の保持が解除されると、図13に示すように、上側のコイルバネ88の弾性力によってスナップロッド85が急激に上昇(スナップ動作)する。スナップロッド85が上昇すると、上側のホールドピン82は輪バネ84の付勢力によって前進し、スナップロッド85の保持孔85aに進入する。これにより、スナップロッド85が再び保持される。トリガーボール86は、上側のホールドピン82の前進によって内方へ押され、再びトリガーロッド87の窪み部87aに進入して接する。本実施形態においても、スナップロッド85の急激な上昇により、弁作動軸95も急激に上昇して、確実に給気弁30は開いて排気弁40は閉じる。これにより、貯留空間13のドレンが排出される。
ドレンの排出に伴いフロート51が下降すると、図14に示すように、動力伝達軸57が下降して動力伝達軸57の端部57cがトリガーロッド87の上端面に接する。そして、更にフロート51が下降して動力伝達軸57が下降すると、図15に示すように、トリガーロッド87は動力伝達軸57の端部57cによって押し下げられて下降する。このトリガーロッド87の下降によって、トリガーボール86は窪み部87aに接しながら外方へ押される。これにより、上側のホールドピン82は後退する。そして、トリガーボール86が窪み部87aの所定位置に接したとき、上側のホールドピン82はスナップロッド85の保持孔85aから抜け出る。これにより、スナップロッド85の保持が解除される。一方、下側のコイルバネ89はトリガーロッド87の下降に伴って圧縮される。これにより、動力伝達軸57によって伝達されたフロート51の下降力(自重)が、弾性力(弾性エネルギー)として下側のコイルバネ89に蓄えられる。
スナップロッド85の保持が解除されると、図16に示すように、下側のコイルバネ89の弾性力によってスナップロッド85が急激に下降(スナップ動作)する。スナップロッド85が下降すると、下側のホールドピン83は輪バネ84の付勢力によって前進し、スナップロッド85の保持孔85aに進入する。これにより、スナップロッド85が再び保持される。このように、本実施形態のスナップ機構80では、スナップロッド85がコイルバネ88,89によって移動すると、2つのホールドピン82,83のうちスナップロッド85の移動方向と同じ側のホールドピンが保持孔85aに進入してスナップロッド85を保持する。トリガーボール86は、下側のホールドピン83の前進によって内方へ押され、再びトリガーロッド87の窪み部87aに進入して接する。本実施形態においても、スナップロッド85の急激な下降により、弁作動軸95も急激に下降して、確実に給気弁30は閉じて排気弁40は開く。
以上のように、上記実施形態のスナップ機構80および液体圧送装置1においても、上記実施形態1と同様の作用効果を奏する。
(その他の実施形態)
上記実施形態のスナップ機構60,80では、コイルバネ68,69,88,89をトリガーロッド67,87の上下に2つ設けるようにしたが、何れか一方に1つ設けてコイルバネの圧縮変形と引っ張り変形の両方を利用するようにしてもよい。例えば、コイルバネをトリガーロッドの上部のみに設けて、トリガーロッドが上昇するとコイルバネが圧縮し、トリガーロッドが下降するとコイルバネが引っ張られるようにする。こうすることで、トリガーロッドの上昇時にはコイルバネに圧縮変形による弾性力を蓄えることができ、トリガーロッドの下降時にはコイルバネに引っ張り変形による弾性力を蓄えることができる。これにより、1つのコイルバネでスナップロッドを上下の両方向にスナップ動作させることができる。
また、上記実施形態のスナップ機構60,80では、スナップロッド64,85を上下の両方向にスナップ動作させるようにしたが、何れか一方の方向のみにスナップ動作させるようにしてもよい。
また、上記実施形態のスナップ機構60,80では、弾性部材としてコイルバネ68,69,88,89を用いるようにしたが、ゴム等の弾性体、オイルダンパー等を用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態の液体圧送装置1は、圧送する液体をドレンとしたが、その他の液体を圧送するものでもよい。
また、上記実施形態のスナップ機構60,80は、液体圧送装置1に設けた場合について説明したが、他の機械装置に設けるようにしてもよい。