JP3983294B2 - リニアコンプレッサモータ - Google Patents
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Description
周知の可動コイル型(moving coil)リニアコンプレッサモータを添付図面のうちの第1図に示す。この図面を参照する。
モータは、軸線1に沿って互いに関して移動自在の二つのアッセンブリを含む。これらの二つのアッセンブリは、シリンダアッセンブリ3及びピストンアッセンブリ2である。アッセンブリ3は、シリンダ4を含み、一方の端部5が閉鎖されており、アッセンブリ2の部分を形成するピストン6がその内部で往復動する。ピストンとシリンダとの間の半径方向隙間は、代表的には、5μm乃至15μmであり、これにより、ピストンに対するシリンダの往復動が効果的なポンプ作用を提供する。
シリンダ4からフランジ7が半径方向外方に延びている。フランジは外周縁のところで曲がっており、非磁性体製の円筒形コイルホルダ8がここに取り付けられている。かくして、コイルホルダ8は、シリンダ4に固定されており且つこのシリンダと同軸であるがシリンダから外方に離間されている。コイルホルダ8には、コイル9の多数のワイヤ巻回部が巻付けられている。ワイヤの端部は、必要な振動運動を提供するための適当な交流電源に接続されている。
ピストン6には円形の端キャップ10が取り付けられている。端キャップは、軸線方向ボルト(図示せず)によって円筒形ハウジング11に取り付けられている。環状磁石13及び環状内磁極片14が取り付けられたフランジ12がハウジング11から半径方向内方に延びている。ハウジング11及びフランジ12は少なくとも一部が磁性体でできており、かくして、磁石自体及び内磁極片14を含む磁気回路を形成する。内磁極片14とハウジング11との間では、円筒形エアギャップ15が磁気回路内に配置されているということは理解されよう。かくして、ハウジング11は外磁極片を構成する。
実際には、ハウジング11は、破線70、71のところで軸線方向で三つの別個の構成要素に分かれる。中央構成要素は、磁気回路で必要とされるため、磁性体でできており外磁極片を含む。左側(エアギャップと隣接している)では、磁束漏れを最少にするため、非磁性体が必要とされ、別体のスペーサ(代表的には、アルミニウム合金製である)が使用される。右側では、特別の必要はなく、外磁気回路を延長でき、又は別体の構成要素を使用できる。
アッセンブリ2及び3は、一対の螺旋状ばね16、17によって互いに軸線方向に移動するように取り付けられている。これらのばねの各々は、代表的には0.1mm乃至1mmの厚さのステンレス鋼又はベリリウム銅等の薄い材料でできた一枚又はそれ以上の円形の平らなディスクからつくられている。一枚のこのようなディスクの平面図を添付図面のうちの第2図に示す。この図では、斜線を付けた領域は、ばねが隣接した構成要素にクランプされる場所を示し、内側の領域は、シリンダ/コイルホルダアッセンブリ3にクランプされる場所を示し、外側の領域は、ピストン/磁石アッセンブリ2にクランプされる場所を示す。領域間では、ディスクにスロット19を形成することによって、一連の6つの螺旋状アーム18が形成されている。応力を解放するため、各スロットの各端には穴20が設けられている。各ばねが1枚以上のディスクからなる場合には、個々のディスクは薄いシム(図示せず)によって軸線方向に離間されている。
軸線1の方向でのこれらのばねの剛性は極めて低いが、これに対し、半径方向剛性は非常に高い。かくして、軸線1に沿って互いに正確に移動するように、及びピストン6とシリンダ4との間で上述の精密な公差を得ることができるように、即ちこれらの二つの間で接触シールが必要でないように、二つのばね16及び17がアッセンブリ2、3を拘束する。
適当な交流電流を、通常は螺旋状ばね16、17を介してコイル9に供給することによってモータを賦勢する。これらのばねは、他の構成要素から適当に絶縁されている。かくして、コイル自体とギャップ15を横切る磁界との間の電磁相互作用により、コイルに振動力が加わり、これによってコイルをピストン/磁石アッセンブリ2に関して振動移動させる。この移動は、ばね16及び17の作用によって、軸線1に沿って前後に上文中に説明したように拘束される。これによって、ピストン6をシリンダ4内で往復動させ、必要なポンプ作用を提供する。
本発明は、上文中に説明した種類のコンプレッサモータに関し、上文中に説明した構造よりも更にコンパクトにできる構造を提供しようとするものである。これは、コイルアッセンブリを構造部材にすることによって行われる。上文中に説明したモータでは、コイルアッセンブリは一端が支持されており、その役割は単に力を発生することである。本発明のモータでは、コイルアッセンブリは構造部材としての追加の役割を持つ。
本発明によれば、シリンダアッセンブリ及びピストンアッセンブリと、前記シリンダアッセンブリを前記ピストンアッセンブリに軸線に沿った移動を制限するように取り付けるための取り付け手段と、前記アッセンブリのうちの一方のアッセンブリに取り付けられており、エアギャップを構成する磁石手段と、前記アッセンブリのうちの他方のアッセンブリに取り付けられており、前記エアギャップ内で軸線方向に移動するように取り付けられたコイルを含むコイルアッセンブリとを有するリニアコンプレッサモータにおいて、前記アッセンブリのうちの前記他方のアッセンブリは、前記コイルアッセンブリによって接合された第1部分及び第2部分を含み、前記取り付け手段は、軸線方向に離間された二つの連結要素を含み、これらの要素は、前記アッセンブリのうちの前記他方のアッセンブリの前記第1部品を前記アッセンブリのうちの前記一方のアッセンブリに連結する第1要素、及び前記アッセンブリのうちの前記他方のアッセンブリの前記第2部品を前記アッセンブリのうちの前記一方のアッセンブリに連結する第2要素である、ことを特徴とするリニアコンプレッサモータが提供される。
かくして、コイルアッセンブリは、前記他方のアッセンブリの第1部分と第2部分とを互いに接合する構造要素として役立つ。離間された一つの連結要素が構成する、二つのアッセンブリ間の十字形支持体が、前記他方のアッセンブリの場合、コイルアッセンブリを効果的に横切る。重要でないけれども、以下に説明する全ての実施例において、前記一方のアッセンブリ(このアッセンブリは磁石手段を支持する)はシリンダアッセンブリであり、前記他方のアッセンブリ(このアッセンブリはコイルアッセンブリを支持する)はピストンアッセンブリである。
コイルアッセンブリは、通常は、コイル自体及びそのホルダによって構成されているが、ホルダを持たない自己支持コイルがこの構成で役立たない理由はない。コイルホルダは、好ましくは全体に円筒形形状であり、その外周面の凹所にコイルが巻付けてある。別の態様では、コイルは、通しスロットに巻き付けることができ、この通しスロットは、コイルホルダを、スロットの幅によって軸線方向に離間された二つの部分に効果的に分割する。これらの二つの部分は、コイル自体によって物理的に接合されている。この場合、コイル自体が自己支持性でなければならず、この目的のため、コイル巻回部を互いに単一のユニットとして結合するのに適当な注封剤を使用できる。更に、コイルは、隣接したコイル巻線層間に配置した薄い非磁性体層によって強化できる。このような材料は、例えば、プラスチック材料又は織布材料又は不織布材料でできたシートであるのがよい。特定の例には、ケブラー又は炭素繊維が含まれる。
磁石手段は、磁石と、磁極片間に形成される上述のエアギャップとを含む完全な磁気回路の部分を形成する。第1図の従来技術のモータにおけるのと同様に、磁石は一つでよいが、一対の磁石によって、モータの全体としての大きさ(特定的には、通常は限界寸法である直径)をほとんど又は全く変えることなく、エアギャップを横切る磁界の強さを大きくできる。磁石は、好ましくは永久磁石であるが、電磁石であってもよい。都合の良いことには、磁石の形状は環状であり、モータの軸線を中心として取り付けられている。磁石は、特定の構造に応じて、半径方向又は軸線方向に磁化されているのがよい。説明する実施例の多くにおいて、磁石は軸線方向に磁化される。これは、このような磁石の方が製作が容易であるためである。前記エアギャップに磁束を供給する一対の磁石が設けられている場合には、これらの磁石は共通の磁極片を間に置いて軸線方向に離間されており、相互に反対方向に軸線方向に磁化されている。
二つのアッセンブリを互いに関して取り付ける作用をなす連結要素は、好ましくは、軸線に沿ったこれらのアッセンブリの相対的軸線方向移動を拘束する。上文中で第2図に関して説明した螺旋状ばねは、この目的に適しているが、本発明者は、同様の概念であるが更にコンパクトな設計であり、アームに更に均等な応力を加える別の態様のばねを設計している。この変形例の設計を以下に説明する。本発明を更に良好に理解するため、その幾つかの実施例を添付図面を参照して以下に単なる例として説明する。
第1図は、周知の構造のリニアコンプレッサモータの側断面図であり、
第2図は、第1図のコンプレッサモータで使用される周知の種類の螺旋状ばねの平面図であり、
第3図は、本発明に従って形成されたリニアコンプレッサモータの第1実施例の側断面図であり、
第4図は、左側部分が第3図のA−A線での断面であり、右側部分が第3図のB−B線での断面である、第3図に示すリニアコンプレッサモータの二部分断面図であり、
第5図、第7図、第9図、第11図、第13図、第15図、及び第17図は、本発明の別の実施例を示す第3図と同様の図であり、
第6図、第8図、第10図、第12図、第14図、及び第16図は、第5図、第7図、第9図、第11図、第13図及び第15図の夫々の断面を示す第4図と同様の図であり、
第18図は、第17図の14−14線での図であり、
第19図は、第17図の実施例で使用されたばねの平面図であり、第20図は、第17図の実施例の部分を形成するピストンアセンブリの端面図であり、
第21図及び第22図は、第3図の実施例で使用されたコイルアッセンブリの一実施例の側面図及び端断面図であり、第21図は、第22図の17−17線での図であり、第22図は第21図の18−18線での図であり、
第23図は、第21図及び第22図のコイルアッセンブリの斜視図であり、
第24図、第25図、及び第26図は、第21図、第22図、及び第23図と夫々対応するが、第5図、第7図、第9図、第11図、第13図、第15図、及び第17図の実施例で使用するためのコイルアッセンブリの第2実施例を示す図であり、
第27図、第28図、及び第29図は、コイルの三つの別々の巻回方法を示す、第23図又は第26図のコイルアッセンブリの部分の拡大図であり、
第30図は、本発明の実施例で使用するための変形例の種類の螺旋状ばねの平面図である。
以下の説明において、適当な場合には、第1図及び第2図で使用されたのと同じ参照番号が使用されている。先ず最初に第3図及び第4図を参照すると、これらの図には本発明の第1実施例が示してある。第1図の構成に対する相違点を以下に説明する。
第3図の実施例では、外ハウジング11及び端キャップ10は、第1図におけるようにピストンアッセンブリでなく、シリンダアッセンブリ3の部分を構成する。同様に、フランジ12を介してハウジング11に取り付けられた永久磁石13及び内磁極片14もまたシリンダアッセンブリ3の部分である。フランジ12には、120°離間された三つのスロット20が形成されており、以下に説明するように、コイルホルダ8のキャストレイテッド区分(castellated section)がこれらのスロット内で移動する。
シリンダ4は、端キャップ10の内側面と当接するその右端が固定されているが、主固定箇所は、シリンダの外面から外方に延びるフランジ21によって任意の便利な手段でフランジ12に固定されている。
ピストンアッセンブリ2はフランジ7を有し、このフランジの外端にはコイルホルダ8が取り付けられている。コイルホルダ8は、第21図乃至第23図に示すように形成されており、簡単な円筒形区分22と、120°離間された三つのキャストレイション23を持つキャストレイテッド区分とを含む。コイルホルダ8は、アルミニウム、ステンレス鋼、又はチタニウム合金等の非磁性体でつくられている。渦電流を減少する上で必要な場合には、適当に位置決めされたギャップを組み込むのがよい。コイルホルダは、別の態様では、非導電体、例えばPEEK等の剛性プラスチック材料又はGRP等の複合材料でつくられているのがよい。
コイルホルダの簡単な円筒形区分22の左端は、第23図で見ると、上文中に説明したようにフランジ7に取り付けられている。各キャストレイションは、フランジ12の夫々のスロット20を隙間を伴って通過し、その端部がスパイダー部材24に取り付けられる。スパイダー部材24は、シリンダ4に遊び嵌めした円筒形ハブ25を含み、120°離間された三つのウイング26がハブ25から半径方向に延びている。各ウイング26は、その端部が夫々のキャストレイション23の端部に取り付けられており、かくしてスパイダー部材をピストンアッセンブリ2の一部にする。
ピストンアッセンブリ2は、第1図及び第2図を参照して上文中に説明したように、一対の螺旋状ばね16、17によってシリンダアッセンブリ3に関して取り付けられている。ばねについての別の態様のディスク設計を第30図に示す。第2図の設計に対する主な相違点は以下の通りである。
1)内径では、環状クランプリングが、ばねアーム18の端部輪郭と一致する「歯付き」クランプリング27に代えてある。この場合、円形の応力解放孔のスロット19の開口部が「涙滴」形状28になる。
2)外径では、複数のばねアーム18に分離されている。環状クランプリングを各アームについての個々のクランプ29に代える。これらのクランプの形状もまた、ばねアームの端部輪郭に合わせてある。分離することにより、応力解放孔に対する必要をなくす。
これらの変更の全体としての効果により、ばねをはるかにコンパクトに設計できる。更に、この幾何学的構成により、アーム18に加わる応力が更に均等になり、そのため、ばねの性能が従来の設計のばねよりも改善されるということがわかっている。新たな設計の主な欠点は、ばねクランプの製造がはるかに複雑になることである。内クランプ及び外クランプに対する変更は別々の事項であり、従って、混成設計が可能である。
かくして、第3図の実施例の磁気回路は、磁石13、フランジ12(これは、ハウジング11の中央構成要素と同様に磁性体でできている)、ハウジング11の中央構成要素(これは、上文中に説明したように、外磁極片を形成する)、及び内磁極片14を含む。かくして、内磁極片と外磁極片との間のギャップ15には強力な磁束が存在する。
ピストン自体、フランジ7、及びスパイダー部材24を含むピストンアッセンブリは、好ましくは、例えばアルミニウム合金、ステンレス鋼、剛性プラスチック材料又は複合材料等の非磁性体でつくられている。磁石以外の磁気回路構成要素は、好ましくは、以下の性質を持つ軟磁性体でつくられている。
(i)飽和磁束が高い
(ii)残留磁気が低い
(iii)透磁性が高い
代表的な材料は、軟鉄及びコバルト鉄である。
第1図に示す設計では、磁石13を軸線1の方向に磁化する。第5図及び第6図の実施例では、磁石13は、ドーナッツ形状であるけれども、半径方向に磁化してある。
物理的構造は、第3図と非常に類似している。主な相違点は、第3図の磁石−内磁極片アッセンブリ13/14が、フランジ12とこのフランジ12と同様にハウジング11の内面から内方に延びる別のフランジ31との間に嵌着した軸線方向に延びる磁性体製コア部材30に代えてあることである。組み立てを容易にするため、ハウジング11は、図示のように、二つの部品で形成されている。フランジ12のスロット20はフランジ31の鏡像をなしており、フランジ31の各スロットは、フランジ12の対応するスロットと整合している。コイルホルダ8は、第24図乃至第26図に示すように形成されている。この態様では、コイルホルダは、簡単な中央円筒形区分22と、一方の端部で120°の角度で離間された三つのキャストレイション23によって形成されたキャストレイテッド端区分と、他方の区分で120°の角度で離間された別の三つのキャストレイション32によって形成されたキャストレイテッド端区分とを有する。かくして、組み立て時にキャストレイション23がフランジ12の夫々のスロット20を通過し、キャストレイション32がフランジ31の夫々のスロット20を通過する。更に、フランジ7はスパイダー部材24と同様の形態をとる。換言すると、120°離間された三つのウイング34が中央ハブ33から半径方向外方に延びており、各ウイングが夫々のキャストレイション32に取り付けられている。かくして、磁気回路は二つの経路を含む。磁石13の磁束の半分は、コア部材30、フランジ12、及び上掲の態様と同様に外磁極片を形成するハウジング11の中央構成要素を通過し、磁束の残りの半分は、コア部材30、フランジ31、及びハウジング11の中央構成要素を通過する。更に、この実施例の磁石13は、以下に説明する第7図の実施例の態様で軸線方向に離間された二つの構成要素に分けることができる。
第7図及び第8図は、第5図の実施例と類似しているが、エアギャップ15での磁束を増大するため、軸線方向に磁化した一対の環状磁石29、35を使用する別の実施例を示す。この場合には、軸線1に沿って離間された上述の二つの磁石がフランジ12とフランジ31との間に取り付けられている。これらの磁石の間には、組み立てを容易にするために二つの部品でできた環状磁極片36が設けられている。磁石は反対方向に磁化されているため、同じ磁極が内磁極片36に亘って互いに対面している。かくして、下記の二つの磁気回路があることがわかる。
(i)磁石29−フランジ31−ハウジング11の中央構成要素、及び磁極片36;
(ii)磁石35−フランジ12−ハウジング11の中央構成要素、及び磁極片36。
ハウジング11(外磁極片を形成する)及び内磁極片36が両回路に共通であるため、これらの間のエアギャップは両磁石から磁束を受け入れ、コイル9に加えられた所与のレベルの電流についてコイルホルダ8に加えられる力がはるかに大きくなる。更に、この構造により得られた閉磁気回路は、迷走磁束のレベルが非常に低い。
第9図乃至第16図は、第7図及び第8図に示すモータを組み込んだ四つの異なるコンプレッサ設計を示す。
第9図及び第10図の実施例では、端キャップ10は、閉鎖体部材40とともに二つの別々のチャンバ41、42を形成するような形状をなしている。チャンバ41はガス出口オリフィス43に連結されており、チャンバ42はガス入口オリフィス44に連結されている。通路45、46の各々は、チャンバ41、42からシリンダ4の内部49内に延びている。チェックバルブ47、48は、例えば、硬質ステンレス鋼又はポリマー製のフラップバルブである。
作動方法は、当業者には明らかであろう。ピストン6がシリンダ4内で右から左に移動すると、ガスがオリフィス44を通してチャンバ42に引き込まれ、移動するピストンによって残されたシリンダの内部49内の空間に通路46を通して引き込まれる。この期間中、フラップバルブ48は開放しており、フラップバルブ47は閉鎖している。ピストン6が左から右に移動すると、ガスがシリンダの内部49から通路45及びチャンバ41を通って出口オリフィス43に放出される。ピストンとシリンダとの間の締まり嵌め(実際には、半径方向隙間は約10μmである)により、ピストンリングやシールを必要とせずに、効果的なポンプ作用が得られ、これにより、相対的に移動する部品間の摩耗がほとんど無視できる程減少する。
第11図及び第12図に示すコンプレッサは、第9図及び第10図の実施例の両端態様である。左方又は右方を表示するため、第9図及び第10図からの対応するガス流成分に添字L又はRが附してある。左段及び右段は、直列に接続されていてもよいし、並列に接続されていてもよく、或いは、これらを互いに別々に接続できる。これらが直列に接続されている場合には、ユニットは二段コンプレッサとなり、これらが並列に接続されている場合には、ユニットは、本質的には、複動式単段コンプレッサとなる。
第13図及び第14図に示すコンプレッサは二段型であり、中間バルブ及びバッファ容積がピストンアッセンブリと一体化してある。第13図及び第14図に示すコンプレッサでは、ピストン6は、通路51、52が夫々の端部から延びる内部チャンバ50を形成するように変更してある。通路51及び52を通る流れは、チェックバルブ53、54によって夫々制御されている。更に、モータの左端には、ピストン6の縮径区分56が内部で移動する軸線方向ボアを備えた副シリンダ55が嵌着してある。ピストン6の区分56と副シリンダとの間の嵌着は、ピストン6及びシリンダ4の主部に関して上文中に説明したのと同様である。副シリンダ55の左端には、出口オリフィス59につながるチャンバ58を構成する小さなハウジング57が形成されている。チャンバ58は、チェックバルブ61によって制御される通路60により副シリンダ55の内部に連結されている。モータの右端では、チェックバルブ63によって制御される通路62が端プレートに形成されている。このチェックバルブ63は、シリンダ4の外部から内部49に導くものである。
第1圧縮段階は、シリンダ4の内部49で行われ、第2圧縮段階は、シリンダ55の内部64で行われる。内部50は、二つの圧縮段階の間で連結/リザーバ容積として作用する。
2段の実施例には、圧縮比を高くできるという利点がある。
複動式の実施例では、二つのコンプレッサは並列に作用し、位相が180°ずれている。以下の二つの利点が得られる。
(i)同じ直径のモータについて行程容積が倍であり;
(ii)流れパルスが倍であり、送出が更に滑らかになる。
二段の実施例及び複動式の実施例は、両方とも、モータについての負荷のバランスが、第9図に示す単一の圧縮段よりも良好になるという利点がある。
第15図及び第16図に示すコンプレッサは、スターリングサイクル機械で使用できるバルブレス二重ピストン装置である。便宜的に、第15図では、適当な場合には、第11図と同じ参照番号が使用されている(参照番号43は、入口/出口複合ポートについて使用されている)が、各場合において、圧縮空間49L及び49Rは別々のシステムを形成するということは理解されよう。即ち、実際には、共通のコンプレッサモータで作動する二つのスターリングサイクル機械があるのである。
第11図及び第12図の実施例、第13図及び第14図の実施例、及び第15図及び第16図の実施例の各々について、ピストン6の二つの端部の直径は、状況に従って、同じであってもよいし異なっていてもよい。
第17図乃至第19図は、第7図及び第8図の実施例と同様であるが、軸線方向で更にコンパクトな設計にするため、変形例の形態の螺旋状ばねを使用した実施例を示す。第17図では、スパイダー部材は、三つのウイング26、34が、第18図及び第20図に示す夫々の螺旋状アームの形態をとるように変更してある。各螺旋状アームの端部は、上文中に説明したように、コイルホルダ8の夫々のキャストレイション23/32に取り付けられている。変形例のばねの形状を第19図に示す。この図でわかるように、ばねは、スロット19によって離間された三つの螺旋状アーム18を有する。スロットは、スパイダー部材の螺旋状アーム26、34と重ならないように空間的に拡がっており、この特徴により、ばね16、17を内方にスパイダー部材とほぼ同じ平面まで移動させることができる。これは、ピストン6が前後に振動する際のばねの移動により、ばねが螺旋状アーム26、34をにからまないためである。
第27図乃至第29図は、コイル9自体を支持するコイルホルダ8の部分の拡大図である。幅広のスロットをホルダ8の外側面に切込み、コイル巻線をスロットから突出しないようにスロットに置く簡単な方法を第28図に示す。第27図及び第29図では、コイルホルダは、実際には、二つの部品65、66で形成されている。これらの部品は、コイル巻線自体によって互いに保持されている。この目的のため、好ましくは、コイル巻線は注封される。部品65、66の向き合った端部を段状に形成することにより、アッセンブリを強化する。第27図に示す構成では、磁性体又は非磁性体製の強化シート67をコイル巻線に組み込んで強度を向上する。シート67は、例えば、織布又は不織布であるのがよく、或いはプラスチックシートである。特定の例はケブラー又は炭素繊維である。一枚のシートを示すが、隣接した巻線層間に必要に応じて更に多数のシートを設けることができるということは勿論のことである。強化シートは、好ましくは、渦電流をなくすため、非導電体でできていなければならない。導電性である場合には、例えばスロットを設けるといった方法で不連続にされていなければならない。
第27図乃至第29図では、コイルは、円形のワイヤを巻き付けたものとして示してある。しかしながら、円形のワイヤを使用すると、隣接した巻回部間に空所が必然的に形成され、巻線のフィルファクターが低くなる。矩形断面のワイヤを使用すると、フィルファクターを改善でき、及び従って、モータの性能が改善される。リボンワイヤで平打巻したコイルが公知である。
本明細書中に説明したコンプレッサモータには多数の特別の用途があり、特に冷凍で使用される。例えばバルブレスの形態では、スターリングサイクルクーラー、ヒートポンプ、及びエンジン、及びパルスチューブクーラーで使用でき、バルブを備えた形態では、JT(ジュール トンプソン)クーラー、GM(ギフォード マクマホン)クーラー又は他の潤滑剤を必要としない用途で使用できる。
使用された構造は、相対的移動により摩耗を生じる部品が実際上ないということを意味する。ピストン6の外面には、シリンダの膨張率と一致する適当な膨張率を持つポリマースリーブがコーティングしてある。シリンダ4は、アルミニウム等の非磁性体でできており、シリンダとピストンとの間の隙間に入り込んだ小さな粒子による損傷に抵抗する硬質の耐摩耗面を形成するため、内側面に陽極処理が施してある。別の態様では、ピストン及びシリンダの両方を適当なセラミック等の硬質材料で製作できる。
第5図及び第7図に示す実施例等の磁気回路を二つ備えた実施例では、コイルを構造部材として使用することが特に有利である。これは、非常にコンパクトで丈夫な構造を可能にするためである。そうでない場合には、コイルホルダが長くなり、一方の支持スパイダーで片持ち梁式に支持しなければならず、機械的に満足のいくものであるかどうかは疑わしい。
Claims (23)
- シリンダアッセンブリ及びピストンアッセンブリと、前記シリンダアッセンブリを前記ピストンアッセンブリに軸線に沿った移動を制限するように取り付けるための取り付け手段と、前記アッセンブリのうちの一方のアッセンブリに取り付けられており、エアギャップを形成する磁石手段と、前記アッセンブリのうちの他方のアッセンブリに取り付けられた、前記エアギャップ内で軸線方向に移動するように取り付けられたコイルを含むコイルアッセンブリとを含むリニアコンプレッサモータにおいて、
前記アッセンブリのうちの前記他方のアッセンブリは、前記コイルアッセンブリによって接合された第1部品及び第2部品を含み、前記取り付け手段は、軸線方向に離間された二つの連結要素を含み、これらの要素は、前記アッセンブリのうちの前記他方のアッセンブリの前記第1部品を前記アッセンブリのうちの前記一方のアッセンブリに連結する第1要素、及び前記アッセンブリのうちの前記他方のアッセンブリの前記第2部品を前記アッセンブリのうちの前記一方のアッセンブリに連結する第2要素である、ことを特徴とするモータ。 - 前記アッセンブリの各々は、シリンダアッセンブリでシリンダを構成し、ピストンアッセンブリでピストンを構成する同軸に位置決めされた円筒形部材を含み、コイルを賦勢した際の前記コイルと前記磁石手段との間の電磁相互作用により、前記ピストンと前記シリンダとの間で軸線方向往復運動を生ぜしめ、ポンプ作用を発生する、請求項1に記載のモータ。
- 前記アッセンブリのうちの前記他方のアッセンブリの前記第1部品は、前記アッセンブリのうちの前記他方のアッセンブリの円筒形部材を支持し、前記アッセンブリのうちの前記他方のアッセンブリの前記第2部品は、前記アッセンブリのうちの前記一方のアッセンブリの前記円筒形部材にこの部材に沿って摺動自在であるように嵌着したカラーを支持する、請求項2に記載のモータ。
- 前記カラーは前記円筒形部材に遊び嵌めされている、請求項3に記載のモータ。
- 前記磁石手段は、環状磁石と関連した磁極片とを含み、この磁極片は、前記コイルとの電磁相互作用を可能にするような軸線方向位置で前記アッセンブリのうちの前記一方のアッセンブリの前記円筒形部材とともに移動するように取り付けられている請求項2、3、又は4に記載のモータ。
- 前記環状磁石は二つ設けられており、これらの磁石は、前記軸線に関して軸線方向に離間されている、請求項5に記載のモータ。
- 前記磁石は、前記磁極片によって軸線方向に離間されており、かくして前記磁極片は両磁石に共通であり、前記磁石は互いに反対方向に軸線方向に磁化されている、請求項6に記載のモータ。
- 前記磁石又は各磁石は永久磁石である、請求項6又は7に記載のモータ。
- 前記磁石又は各磁石は電磁石である、請求項6又は7に記載のモータ。
- 前記アッセンブリのうちの前記一方のアッセンブリの前記円筒形部材は、この円筒形部材から半径方向に延びるフランジを支持し、このフランジは、略円筒形のハウジングを支持する、請求項2乃至9のうちのいずれか一項に記載のモータ。
- 前記ハウジングの少なくとも一部が、磁石手段及びコイルを更に含む磁気回路の部分を形成するように位置決めされた磁性体で形成されている、請求項10に記載のモータ。
- 前記第1及び第2の連結要素は、前記軸線に関して前記フランジの両側に夫々位置決めされている、請求項10又は11に記載のモータ。
- 前記フランジには通孔が形成されており、これらの通孔を、前記コイルアッセンブリの部分が、コイルアッセンブリとフランジとの間の相対的軸線方向移動を可能にする方法で通過している、請求項12に記載のモータ。
- 前記コイルアッセンブリの一方の軸線方向端部には、所定の角度だけ互いに離間されており且つ軸線方向に伸長した壁状の部分である複数のキャストレイション(23)が形成されており、前記フランジには、当該キャストレイションが貫通できる対応する形状の所定の角度だけ互いに離間された通孔が形成されている、請求項13に記載のモータ。
- 前記連結要素は一つ又はそれ以上の螺旋状ばねを各々含み、各螺旋状ばねは、螺旋状スロットを形成することによって螺旋状アームが切り出してある薄い材料でできた平らなディスクを含み、前記ばねによって互いに取り付けられるべき前記ピストンアッセンブリ及び前記シリンダアッセンブリは、前記アッセンブリのうちの前記一方のアッセンブリが前記アームの半径方向内端にある場合、及び前記アッセンブリのうちの前記他方のアッセンブリが前記アームの半径方向外端にある場合に取り付けられている、請求項1乃至14のうちのいずれか一項に記載のモータ。
- 前記ディスクの前記スロットは、前記ディスクの部分を形成する外環状部及び前記ディスクの部分を形成する内環状部との間を延びる、請求項15に記載のモータ。
- 前記ディスクの前記スロットの外端は、前記ディスクの前記外周まで延びており、かくしてアームの外端を分離する、請求項16に記載のモータ。
- 前記コイルアッセンブリは、円筒形形状のコイルホルダを含む、請求項1乃至17のうちのいずれか一項に記載のモータ。
- 前記コイルは、前記コイルホルダに形成されたスロットに巻き付けてある、請求項18に記載のモータ。
- 前記スロットは、前記コイルホルダに前記外周面に形成されている、請求項19に記載のモータ。
- 前記コイルホルダは、軸線方向に離間された二つの部品で形成されており、前記コイルは、前記二つの部品を分離する環状空間に巻き付けてあり、前記コイルは、コイルホルダの二つの部品を互いに接合できる自己支持性構造ユニットを構成するようになっている、請求項18に記載のモータ。
- 自己支持性構造ユニットにする目的のため、コイルを注封し、コイル巻回部を単一のユニットとして互いに結合する、請求項21に記載のモータ。
- 磁性体又は非磁性体でできた薄い層が、強化の目的のため、隣接したコイル巻線層間に配置してある、請求項21又は22に記載のモータ。
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