JP4742464B2 - 圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばスターリング型パルス管冷凍機の圧縮機では、ケーシングに固定されたピストンを、リニアモータに連結されたシリンダに嵌合して圧縮室を形成し、上記シリンダをリニアモータによって軸方向に進退駆動して、上記圧縮室に導かれるガスに圧力変動を生成している。
【0003】
上記ピストンは、ステンレスからなるピストン本体と、このピストン本体の外周面に設けられたPTFE(ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン)層とからなる。上記シリンダもまた、上記ピストン本体と同様にステンレスからなる。上記ピストン本体とシリンダとを、同一の材料で形成することによって線膨張係数を同一にして、圧縮機が高温になってもピストンとシリンダとの間のクリアランスの大きさが殆ど変わらないようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の圧縮機は、上記PTFE層の線膨張係数がピストン本体の線膨張係数よりも格段に大きいので、上記PTFE層の線膨張係数が支配的になって、上記PTFE層とピストン本体との合成線膨張係数が、上記シリンダの線膨張係数よりも大きくなる。したがって、上記圧縮機が高温になると、上記ピストンの膨張量が、上記シリンダの膨張量よりも大きくなって、PTFE層の外周面とシリンダの内周面との間のクリアランスが減少し、上記PTFE層の外周面とシリンダの内周面とが接触して圧縮機の圧縮能力が低下したり、最悪の場合、圧縮機が停止するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、高温になっても圧縮能力が低下したり、停止することがない圧縮機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の圧縮機は、金属からなり、外周面に樹脂層を設けたピストン本体と、金属からなるシリンダとを備える圧縮機において、
上記ピストン本体の金属とシリンダの金属とは異なる金属であり、
上記ピストン本体と樹脂層との合成線膨張係数と、上記シリンダの線膨張係数とが実質的に同一であり、
上記樹脂層は、導電性の樹脂からなることを特徴としている。
【0007】
請求項1の圧縮機によれば、上記ピストン本体の金属とシリンダの金属とは異なる金属であり、上記ピストン本体と樹脂層との合成線膨張係数と、上記シリンダの線膨張係数とが実質的に同一であるので、上記圧縮機が高温になっても、上記ピストン本体および樹脂層の膨張量と、上記シリンダの膨張量とは略同一になる。これによって、上記樹脂層の外周面と、上記シリンダとの間のクリアランスは殆ど変化しない。したがって、従来におけるようにクリアランスが減少して圧縮機の圧縮能力が低下したり、圧縮機が停止することがなく、また、クリアランスが増大して圧縮機の圧縮効率が低下することがない。その結果、上記圧縮機は、高温になっても、安定して良好な性能が得られる。
さらに、上記樹脂層は、導電性の樹脂からなるので、この樹脂層と、クリアランスを隔てて対向するピストンまたはシリンダとの間について、電圧を印加すると共に抵抗値を測定することにより、上記樹脂層と、上記ピストンまたはシリンダとの間の接触が容易に検知される。
【0008】
一実施形態の圧縮機は、請求項1に記載の圧縮機において、
上記ピストン本体はステンレスからなり、
上記シリンダはアルミニウムからなり、
上記樹脂層はPTFEからなることを特徴としている。
【0009】
一実施形態の圧縮機によれば、上記ピストン本体はステンレスからなり、上記シリンダはアルミニウムからなり、上記樹脂層はPTFEからなるので、上記アルミニウムの線膨張係数はステンレスの線膨張係数よりも大きく、また、上記PTFEの線膨張係数は上記アルミニウムおよびステンレスの線膨張係数よりも大きいから、上記PTFEからなる樹脂層とステンレスからなるピストン本体との合成線膨張係数は、アルミニウムからなるシリンダの線膨張係数と略等しくなる。
【0010】
一実施形態の発明の圧縮機は、金属からなるピストンと、金属からなり、内周面に樹脂層を設けたシリンダ本体とを備える圧縮機において、
上記ピストンの金属とシリンダ本体の金属とは異なる金属であり、
上記ピストンの線膨張係数と、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数とが実質的に同一であることを特徴としている。
【0011】
一実施形態の圧縮機によれば、上記ピストンの金属とシリンダ本体の金属とは異なる金属であり、上記ピストンの線膨張係数と、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数とが実質的に同一であるので、上記圧縮機が高温になっても、上記ピストンと、上記樹脂層内面との間のクリアランスは殆ど変化しない。したがって、従来におけるようにクリアランスが減少して圧縮機の圧縮能力が低下したり、圧縮機が停止することがなく、また、クリアランスが増大して圧縮機の圧縮効率が低下することがない。その結果、上記圧縮機は、高温になっても、安定して良好な性能が得られる。
【0012】
一実施形態の圧縮機は、請求項2に記載の圧縮機において、
上記ピストンはアルミニウムからなり、
上記シリンダ本体はステンレスからなり、
上記樹脂層はPTFEからなることを特徴としている。
【0013】
一実施形態の圧縮機によれば、上記ピストンはアルミニウムからなり、上記シリンダ本体はステンレスからなり、上記樹脂層はPTFEからなるので、上記アルミニウムの線膨張係数はステンレスの線膨張係数よりも大きく、また、上記PTFEの線膨張係数は上記アルミニウムおよびステンレスの線膨張係数よりも大きいから、上記PTFEからなる樹脂層とステンレスからなるシリンダ本体との合成線膨張係数は、アルミニウムからなるピストンの線膨張係数と略等しくなる。
【0014】
一実施形態の圧縮機は、請求項1または2に記載の圧縮機において、
上記樹脂層は、電解によって形成したことを特徴としている。
【0015】
一実施形態の圧縮機によれば、上記樹脂層は電解によって形成するので、上記樹脂層の厚みを高精度に制御して形成できるから、上記樹脂層およびピストン本体の合成線膨張係数、または、上記樹脂層およびシリンダ本体の合成線膨張係数が、比較的高精度で所望の値に形成できる。また、上記樹脂層の厚みを高精度に制御して形成できるから、ピストン本体の外周面に形成された樹脂層とシリンダとの間のクリアランス、または、シリンダ本体の内周面に形成された樹脂層とピストンとの間のクリアランスを、正確な大きさに形成できる。
【0016】
請求項2の発明の圧縮機は、金属からなるピストンと、金属からなり、内周面に樹脂層を設けたシリンダ本体とを備える圧縮機において、
上記ピストンの金属とシリンダ本体の金属とは異なる金属であり、
上記ピストンの線膨張係数と、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数とが実質的に同一であり、
上記樹脂層は、導電性の樹脂からなることを特徴としている。
【0017】
請求項2の圧縮機によれば、上記ピストンの金属とシリンダ本体の金属とは異なる金属であり、上記ピストンの線膨張係数と、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数とが実質的に同一であるので、上記圧縮機が高温になっても、上記ピストンと、上記樹脂層内面との間のクリアランスは殆ど変化しない。したがって、従来におけるようにクリアランスが減少して圧縮機の圧縮能力が低下したり、圧縮機が停止することがなく、また、クリアランスが増大して圧縮機の圧縮効率が低下することがない。その結果、上記圧縮機は、高温になっても、安定して良好な性能が得られる。
さらに、上記樹脂層は、導電性の樹脂からなるので、この樹脂層と、クリアランスを隔てて対向するピストンまたはシリンダとの間について、電圧を印加すると共に抵抗値を測定することにより、上記樹脂層と、上記ピストンまたはシリンダとの間の接触が容易に検知される。
【0018】
請求項3の発明の圧縮機は、金属からなり、外周面に樹脂層を設けたピストン本体と、金属からなるシリンダとを備える圧縮機において、
上記ピストン本体の金属とシリンダの金属とは異なる金属であり、
上記ピストン本体と樹脂層との合成線膨張係数と、上記シリンダの線膨張係数とが実質的に同一であり、
上記樹脂層は、Ni、P、およびPTFEからなることを特徴とする。
また、請求項4の発明の圧縮機は、金属からなるピストンと、金属からなり、内周面に樹脂層を設けたシリンダ本体とを備える圧縮機において、
上記ピストンの金属とシリンダ本体の金属とは異なる金属であり、
上記ピストンの線膨張係数と、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数とが実質的に同一であり、
上記樹脂層は、Ni、P、およびPTFEからなることを特徴とする。
【0019】
請求項3の圧縮機によれば、上記ピストン本体の金属とシリンダの金属とは異なる金属であり、上記ピストン本体と樹脂層との合成線膨張係数と、上記シリンダの線膨張係数とが実質的に同一であるので、上記圧縮機が高温になっても、上記ピストン本体および樹脂層の膨張量と、上記シリンダの膨張量とは略同一になる。これによって、上記樹脂層の外周面と、上記シリンダとの間のクリアランスは殆ど変化しない。したがって、従来におけるようにクリアランスが減少して圧縮機の圧縮能力が低下したり、圧縮機が停止することがなく、また、クリアランスが増大して圧縮機の圧縮効率が低下することがない。その結果、上記圧縮機は、高温になっても、安定して良好な性能が得られる。
さらに、上記樹脂層は、Ni、P、およびPTFEからなるので、伝導性の樹脂層に形成できる。
また、請求項4の圧縮機によれば、上記ピストン本体の金属とシリンダの金属とは異なる金属であり、上記ピストン本体と樹脂層との合成線膨張係数と、上記シリンダの線膨張係数とが実質的に同一であるので、上記圧縮機が高温になっても、上記ピストン本体および樹脂層の膨張量と、上記シリンダの膨張量とは略同一になる。これによって、上記樹脂層の外周面と、上記シリンダとの間のクリアランスは殆ど変化しない。したがって、従来におけるようにクリアランスが減少して圧縮機の圧縮能力が低下したり、圧縮機が停止することがなく、また、クリアランスが増大して圧縮機の圧縮効率が低下することがない。その結果、上記圧縮機は、高温になっても、安定して良好な性能が得られる。
さらに、上記樹脂層は、Ni、P、およびPTFEからなるので、伝導性の樹脂層に形成できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の圧縮機を示す断面図である。この圧縮機は、スターリング型パルス管冷凍機に用いる圧縮機であり、ピストン1をシリンダ2に嵌合して、圧縮室3を形成している。上記シリンダ2は、連結部材11を介してコイル部12に接続し、このコイル部12を、略円筒形のヨーク13の一端に開放して形成された空間14内に挿入していると共に、上記空間14の径方向内側に配置された永久磁石15に対向させている。上記コイル部12、ヨーク13、および永久磁石15で、リニアモータ5を構成している。
【0022】
上記ピストン1は、ピストン本体23の外周面に、PTFEからなる樹脂層21を設けてなる。上記ピストン本体23はステンレスからなる一方、上記シリンダ2はアルミニウムからなり、上記ピストン本体23とシリンダ2は互いに異なる金属からなる。上記樹脂層21の厚みは、この樹脂層21とピストン本体23との合成線膨張係数、すなわち、上記ピストン1の線膨張係数が、上記アルミニウムからなるシリンダ2の線膨張係数と実質的に同一になる厚みにしている。上記樹脂層21の外周面、すなわち、上記ピストン1の外周面と、上記シリンダ2の内周面との間には、常温(25℃)の下で約15μmのクリアランスを形成して、上記シリンダ2が駆動された際にシリンダ2とピストン1とが接触しないようにしている。上記樹脂層21は、ピストン本体23の外周面に、電解によって厚みを高精度に制御して形成している。これによって、この樹脂層21とピストン本体23との合成線膨張係数を、上記シリンダ2の線膨張係数に高精度で一致させ、また、樹脂層21の外周面とシリンダ2の内周面との間のクリアランスを高精度に15μmに形成している。この上記ピストン1は、上記シリンダ2と嵌合していない側の端を、図示しないケーシングに固定している。上記ピストン本体23の中央には、軸方向に延びるガス通路17を設けている。上記シリンダ2の両端を、外周部がケーシングに固定されたフレクシャベアリング7,7によって、軸方向に移動可能に支持している。
【0023】
上記構成の圧縮機を動作すると、上記ヨーク13と永久磁石15で形成された磁気回路中に位置する上記コイル部12に、図示しない配線を介して交番電流が通電される。これによって、上記コイル部12に軸方向に交番する推力が生じ、このコイル部12に上記連結部材11を介して接続するシリンダ2が、軸方向に進退する。これによって、上記シリンダ2とピストン本体23との間の圧縮室3の容積が減少および増大して、この圧縮室3内のガスに圧力変動が生成される。このガスの圧力変動は、上記ピストンのガス通路17を経て、この圧縮機に直列接続された図示しない蓄冷器、パルス管、およびバッファタンクに向って送出される。このバッファタンクで、上記ガスの圧力変動の位相が変換され、上記パルス管の低温端に冷熱が生成される。
【0024】
上記圧縮機は、上記リニアモータ5による発熱や、上記ガスの圧縮熱などによって、環境温度よりも高温になる。例えば、環境温度が60℃程度であると、上記圧縮機のピストン1およびシリンダ2の温度は90℃程度に達する。ここにおいて、上記ピストン1を形成する樹脂層21およびピストン本体23の合成線膨張係数と、上記シリンダ2の線膨張係数とを、実質的に同一に形成している。したがって、上記ピストン1およびシリンダ2の温度が、常温の25℃から90℃程度に上昇しても、上記ピストン1の膨張量とシリンダ2の膨張量とは略同一になって、上記ピストン1とシリンダ2との間のクリアランスは、常温時の約15μmのままである。したがって、この圧縮機は、従来におけるようにクリアランスが減少して圧縮能力が低下したり圧縮機が停止したり、あるいは、クリアランスが増大して圧縮効率が低下することがない。
【0025】
図2は、本実施形態のピストン1およびシリンダ2について、温度が変化した場合の膨張量の変化を示した図であり、比較のために、温度が変化した場合のステンレスからなるシリンダの膨張量の変化を、重ねて示している。図2において、膨張量はピストン本体23の直径に対する比で示し、縦軸は上記膨張量であり、横軸はピストン1およびシリンダ2の温度である。上記ピストン1の膨張量は実線で示し、上記シリンダ2の膨張量は破線で示し、従来のシリンダの膨張量は一点鎖線で示している。図2から分かるように、本実施形態のピストン1およびシリンダ2は、温度が常温の25℃程度から100℃程度まで上昇すると、膨張量が略同一の割合で増加して、同一の膨張量になる。したがって、本実施形態のピストン1とシリンダ2との間のクリアランスは、温度が25℃から100℃に上昇しても、殆ど変化しない。一方、従来のステンレスからなるシリンダは、膨張量の増加の割合がピストン1の膨張量の増加の割合よりも少なくて、25℃から100℃になると、ピストン1の膨張量の半分の膨張量になる。したがって、従来のシリンダは、上記ピストン1と組合わせた場合、シリンダとピストン1との間のクリアランスが小さくなってピストン1がシリンダに接触するようになって、圧縮機の能力が低下したり、圧縮機が停止してしまうのである。
【0026】
本実施形態の圧縮機によれば、ピストン1の線膨張係数とシリンダ2の線膨張係数とが略同一であるので、温度が上昇してもピストン1とシリンダ2との間のクリアランスは殆ど変化しないから、圧縮機は安定して良好な性能を保持できる。したがって、この圧縮機を用いたパルス管冷凍機は、環境温度が変化しても、冷凍能力を安定して良好に保持できる。
【0027】
上記実施形態において、樹脂層21をPTFEによって形成したが、上記樹脂層は導電性を有する樹脂で形成してもよい。導電性を有する樹脂としては、PTFE中に、Ni、Pを析出させてなる樹脂がある。この樹脂を用いて、図1の樹脂層21と略同一形状の樹脂層を形成する。そして、上記ピストン本体23とシリンダ2との間に電圧を印加すると共に、抵抗値を測定する。これによって、導電性の樹脂層の外周面と、シリンダ2の内周面との間の接触が、容易に検出できる。
【0028】
上記実施形態において、ステンレスからなるピストン本体23の外周面に樹脂層21を設けてピストン1を形成し、このピストン1をアルミニウムからなるシリンダ2に嵌合したが、ステンレスからなるシリンダ本体の内周面に樹脂層を設けてシリンダを形成し、このシリンダに、アルミニウムからなるピストンを嵌合して圧縮機を構成してもよい。このとき、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数と、上記ピストンの線膨張係数とが略同一になるようにすればよい。
【0029】
上記実施形態において、樹脂層21は、電解によってピストン本体の外周面に形成したが、例えば予め円筒形状に形成したPTFE筒にピストン本体を挿入し、この後、上記PTFE筒の外周面を切削して樹脂層を形成してもよい。要は、樹脂層とピストン本体との合成線膨張係数と、シリンダの線膨張係数とが同一になるように、あるいは、樹脂層とシリンダ本体との合成線膨張係数と、ピストンの線膨張係数とが同一になるように、かつ、クリアランスが所定の値になるように厚みを形成できれば、上記樹脂層はどのように形成してもよい。
【0030】
上記実施形態において、圧縮機をパルス管冷凍機に用いたが、パルス管冷凍機以外のものに用いても良い。
【0031】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の圧縮機によれば、金属からなり、外周面に樹脂層を設けたピストン本体と、金属からなるシリンダとを備える圧縮機において、上記ピストン本体の金属とシリンダの金属とは異なる金属であり、上記ピストン本体と樹脂層との合成線膨張係数と、上記シリンダの線膨張係数とが実質的に同一であるので、上記圧縮機が高温になっても、上記ピストン本体および樹脂層の膨張量と、上記シリンダの膨張量とが略同一になって、上記ピストン本体および樹脂層と、上記シリンダとの間のクリアランスは殆ど変化しないから、従来におけるようなクリアランスの減少に起因する圧縮機の圧縮能力の低下や、圧縮機の停止が防止でき、また、クリアランスの増大に起因する圧縮機の圧縮効率の低下が防止できる。その結果、上記圧縮機は、高温においても安定して良好な性能が得られる。
さらに、上記樹脂層は、導電性の樹脂からなるので、この樹脂層と、クリアランスを隔てて対向するピストンまたはシリンダとの間について、電圧を印加すると共に抵抗値を測定することにより、上記樹脂層と、上記ピストンまたはシリンダとの間の接触が容易に検知できる。
【0032】
一実施形態の圧縮機によれば、上記ピストン本体はステンレスからなり、上記シリンダはアルミニウムからなり、上記樹脂層はPTFEからなるので、上記アルミニウムの線膨張係数はステンレスの線膨張係数よりも大きく、また、上記PTFEの線膨張係数は上記アルミニウムおよびステンレスの線膨張係数よりも大きいから、上記PTFEからなる樹脂層とステンレスからなるピストン本体との合成線膨張係数を、アルミニウムからなるシリンダの線膨張係数と略等しくできる。
【0033】
一実施形態の発明の圧縮機によれば、金属からなるピストンと、金属からなり、内周面に樹脂層を設けたシリンダ本体とを備える圧縮機において、上記ピストンの金属とシリンダ本体の金属とは異なる金属であり、上記ピストンの線膨張係数と、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数とが実質的に同一であるので、上記圧縮機が高温になっても、上記ピストンの膨張量と、上記シリンダ本体および樹脂層の膨張量とが略同一になって、上記ピストンと、上記シリンダ本体および樹脂層との間のクリアランスは殆ど変化しないから、従来におけるようなクリアランスの減少に起因する圧縮機の圧縮能力の低下や、圧縮機の停止が防止でき、また、クリアランスの増大に起因する圧縮機の圧縮効率の低下が防止できる。その結果、上記圧縮機は、高温においても安定して良好な性能が得られる。
【0034】
一実施形態の圧縮機によれば、上記ピストンはアルミニウムからなり、上記シリンダ本体はステンレスからなり、上記樹脂層はPTFEからなるので、上記アルミニウムの線膨張係数はステンレスの線膨張係数よりも大きく、また、上記PTFEの線膨張係数は上記アルミニウムおよびステンレスの線膨張係数よりも大きいから、上記PTFEからなる樹脂層とステンレスからなるシリンダ本体との合成線膨張係数を、アルミニウムからなるピストンの線膨張係数と略等しくできる。
【0035】
一実施形態の圧縮機によれば、上記樹脂層は、電解によって形成したので、上記樹脂層およびピストンの合成線膨張係数、または、上記樹脂層およびシリンダ本体の合成線膨張係数が、比較的高精度で所望の値に形成できる。また、ピストン本体に形成された樹脂層とシリンダとの間のクリアランス、または、シリンダ本体に形成された樹脂層とピストンとの間のクリアランスを、正確な大きさにできる。
【0036】
請求項2の発明の圧縮機によれば、金属からなるピストンと、金属からなり、内周面に樹脂層を設けたシリンダ本体とを備える圧縮機において、上記ピストンの金属とシリンダ本体の金属とは異なる金属であり、上記ピストンの線膨張係数と、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数とが実質的に同一であるので、上記圧縮機が高温になっても、上記ピストンの膨張量と、上記シリンダ本体および樹脂層の膨張量とが略同一になって、上記ピストンと、上記シリンダ本体および樹脂層との間のクリアランスは殆ど変化しないから、従来におけるようなクリアランスの減少に起因する圧縮機の圧縮能力の低下や、圧縮機の停止が防止でき、また、クリアランスの増大に起因する圧縮機の圧縮効率の低下が防止できる。その結果、上記圧縮機は、高温においても安定して良好な性能が得られる。
さらに、上記樹脂層は、導電性の樹脂からなるので、この樹脂層と、クリアランスを隔てて対向するピストンまたはシリンダとの間について、電圧を印加すると共に抵抗値を測定することにより、上記樹脂層と、上記ピストンまたはシリンダとの間の接触が容易に検知できる。
【0037】
請求項3の発明の圧縮機によれば、金属からなり、外周面に樹脂層を設けたピストン本体と、金属からなるシリンダとを備える圧縮機において、上記ピストン本体の金属とシリンダの金属とは異なる金属であり、上記ピストン本体と樹脂層との合成線膨張係数と、上記シリンダの線膨張係数とが実質的に同一であるので、上記圧縮機が高温になっても、上記ピストン本体および樹脂層の膨張量と、上記シリンダの膨張量とが略同一になって、上記ピストン本体および樹脂層と、上記シリンダとの間のクリアランスは殆ど変化しないから、従来におけるようなクリアランスの減少に起因する圧縮機の圧縮能力の低下や、圧縮機の停止が防止でき、また、クリアランスの増大に起因する圧縮機の圧縮効率の低下が防止できる。その結果、上記圧縮機は、高温においても安定して良好な性能が得られる。
さらに、上記樹脂層は、Ni、P、およびPTFEからなるので、伝導性の樹脂層に形成できる。
また、請求項4の発明の圧縮機によれば、金属からなるピストンと、金属からなり、内周面に樹脂層を設けたシリンダ本体とを備える圧縮機において、上記ピストンの金属とシリンダ本体の金属とは異なる金属であり、上記ピストンの線膨張係数と、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数とが実質的に同一であるので、上記圧縮機が高温になっても、上記ピストンの膨張量と、上記シリンダ本体および樹脂層の膨張量とが略同一になって、上記ピストンと、上記シリンダ本体および樹脂層との間のクリアランスは殆ど変化しないから、従来におけるようなクリアランスの減少に起因する圧縮機の圧縮能力の低下や、圧縮機の停止が防止でき、また、クリアランスの増大に起因する圧縮機の圧縮効率の低下が防止できる。その結果、上記圧縮機は、高温においても安定して良好な性能が得られる。
さらに、上記樹脂層は、Ni、P、およびPTFEからなるので、伝導性の樹脂層に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の圧縮機を示す断面図である。
【図2】 ピストンおよびシリンダについて、温度が変化した場合の膨張量の比を示した図である。
【符号の説明】
1 ピストン
2 シリンダ
3 圧縮室
5 リニアモータ
7 フレクシャベアリング
11 連結部材
12 コイル
13 ヨーク
14 空間
15 永久磁石
17 ガス通路
21 樹脂層
23 ピストン本体
Claims (4)
- 金属からなり、外周面に樹脂層(21)を設けたピストン本体(23)と、金属からなるシリンダ(2)とを備える圧縮機において、
上記ピストン本体(23)の金属とシリンダ(2)の金属とは異なる金属であり、
上記ピストン本体(23)と樹脂層(21)との合成線膨張係数と、上記シリンダ(2)の線膨張係数とが実質的に同一であり、
上記樹脂層(21)は、導電性の樹脂からなることを特徴とする圧縮機。 - 金属からなるピストンと、金属からなり、内周面に樹脂層を設けたシリンダ本体とを備える圧縮機において、
上記ピストンの金属とシリンダ本体の金属とは異なる金属であり、
上記ピストンの線膨張係数と、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数とが実質的に同一であり、
上記樹脂層(21)は、導電性の樹脂からなることを特徴とする圧縮機。 - 金属からなり、外周面に樹脂層(21)を設けたピストン本体(23)と、金属からなるシリンダ(2)とを備える圧縮機において、
上記ピストン本体(23)の金属とシリンダ(2)の金属とは異なる金属であり、
上記ピストン本体(23)と樹脂層(21)との合成線膨張係数と、上記シリンダ(2)の線膨張係数とが実質的に同一であり、
上記樹脂層(21)は、Ni、P、およびPTFEからなることを特徴とする圧縮機。 - 金属からなるピストンと、金属からなり、内周面に樹脂層を設けたシリンダ本体とを備える圧縮機において、
上記ピストンの金属とシリンダ本体の金属とは異なる金属であり、
上記ピストンの線膨張係数と、上記シリンダ本体と樹脂層との合成線膨張係数とが実質的に同一であり、
上記樹脂層(21)は、Ni、P、およびPTFEからなることを特徴とする圧縮機。
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