JP3982620B2 - 増幅装置、無線機および信号増幅方法 - Google Patents

増幅装置、無線機および信号増幅方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、増幅装置、無線機および信号増幅方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、無線機などにおいて、大きな高周波出力が必要とされる場合、送信回路の最終段の増幅器には、大出力に対応したデバイスが採用される。
【0003】
図14は、従来の送信回路の増幅装置の一例を示す回路図である。図14に示すように、送信回路101は、図示せぬ前段の増幅器などの後ろに最終段増幅器111を有し、最終段増幅器111により増幅された大出力の高周波信号をアンテナ102に印加して、出力信号を電波として送信する。
【0004】
電源部103は、このような送信回路101や無線機内のその他の回路に電力を供給する。その際、電源部103からの電力は、電源ケーブル104、電源コネクタ105、電源スイッチ106、基板上の配線パターン107、各種受動素子108などを介して、最終段増幅器111などの回路へ供給される。
【0005】
また、図15は、従来の送信回路の増幅装置の他の例を示す回路図である。図15に示す従来の増幅装置では、熱の分散、サービス性向上などを目的として、2つの増幅器202a,202bが設けられている。なお、入力信号を2つの増幅器202a,202bに分配するために増幅器202a,202bの前段に電力分配器201が設けられ、増幅後の信号を合成するために増幅器202a,202bの後段に電力合成器203が設けられている。
【0006】
そして、電源ディストリビュータ204が、電源部103からの電力を各増幅器202a,202bに均等に供給する。
【0007】
この場合、2つの増幅器202a,202bで最終段の増幅を行うため、最終段の増幅に起因して発生する熱は、これらの2つの増幅器202a,202bに分散される。しかしながら、図15の例では、2つの増幅器202a,202bの一方に故障などの不具合が発生した場合(片側が故障したとき)、残りの増幅器202a(202b)により送信を継続することができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図14に示す従来の増幅装置では、これらの電源ケーブル104、電源コネクタ105、電源スイッチ106、基板上の配線パターン107、各種受動素子108などは、微小な抵抗分を有するため、送信電力が大出力になる場合には、電源部103から最終段増幅器111などへ大電流が流れることとなり、上述の抵抗分による電圧低下および電力損失が顕著に現れてくるという問題がある。
【0009】
例えば、図14において、電源部103の出力電圧が12ボルトであり、電源ケーブル104、電源コネクタ105、電源スイッチ106、基板上の配線パターン107および各種受動素子108の合計の抵抗分が50ミリオームであり、最終段増幅器111の電力効率が50%である場合に、電源部103から17アンペアの電流が最終段増幅器111に供給されると、電源ケーブル104、電源コネクタ105、電源スイッチ106、基板上の配線パターン107および各種受動素子108での電圧降下は、0.85ボルト(=17×0.05)となり、この部分での電力損失は、14.45ワット(=17×17×0.05)となって、最終段増幅器111に印加される電源電圧は、11.15ボルト(=12−0.85)となってしまう。
【0010】
したがって、この場合、最終段増幅器111に供給される電力は、189.55ワット(=11.15×17)となり、送信電力(出力電力)は、94.775ワット(189.55×50%)となる。
【0011】
この例では、約100ワットの送信電力を得るのに、14.45ワットもの電力損失が配線部分で生じており、電源部103からの電力が送信電力(出力電力)へ効率的に利用されていない。
【0012】
ここで、電源ケーブル104、電源コネクタ105、電源スイッチ106、基板上の配線パターン107などの抵抗を小さくするために、電源ケーブル104を太くしたり、電源コネクタ105や電源スイッチ106を大型化したり、配線パターン107の幅を広くしたりすることが考えられるが、そのようにすると、これらの各パーツが大型化するとともに、コストが高くなってしまう。また、無線機などの容積の限られた筐体では、大型のこれらのパーツを使用することが困難な場合もある。
【0013】
また、図15に示す従来の増幅装置においても、電源部103から電源ディストリビュータ204までの経路は、図14に示す場合と同様に構成されるため、この経路に関して、上述の問題と同様の問題が生じる。
【0014】
このように、従来の増幅装置では、低電圧大電流で大出力とする場合、損失が多くなってしまい、それに伴い多くの熱が発生するという問題がある。特に、無線機などの送信回路の場合には、大出力が必要になることが多く、この問題は顕著である。
【0015】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、低電圧大電流で大出力とする場合の電力損失を少なくするとともに放熱を良好に行うことができる増幅器およびその増幅器を使用した無線機、並びに信号増幅方法を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の増幅装置は、同一の入力信号から分配された複数の信号を電力増幅する複数の増幅器と、複数の増幅器のそれぞれに対応して設けられ、対応する増幅器に電力をそれぞれ供給する互いに独立した複数の電源と、複数の増幅器の前段に設けられ、この増幅装置への入力信号を、複数の増幅器のうちの全部または一部の増幅器のそれぞれに分配するか、いずれかの増幅器にそのまま出力する信号分配部と、複数の電源のそれぞれの電圧を検出する複数の電圧検出手段と、電圧検出手段により検出された電圧に基づき、信号分配部を制御して、電圧が所定の範囲内にある電源に対応する増幅器へ入力信号を供給させて入力信号の増幅を行わせる第1の制御手段と、を備える。
【0017】
さらに、本発明の増幅装置は、上記発明の増幅装置に加え、第1の制御手段が、電圧検出手段により検出される電圧を常時監視し、各時点において、信号分配部を制御して、電圧が所定の範囲内にある電源に対応する増幅器の全部または一部を、入力信号の増幅に使用される増幅器に選択するようにしたものである。
【0018】
さらに、本発明の増幅装置は、上記各発明の増幅装置に加え、第1の制御手段が、入力信号の増幅に使用される増幅器の個数が変化した場合に、増幅器を制御して、この増幅装置の出力電力を、入力信号の増幅に使用される増幅器の個数の変化前後での比と同一の比率で増減させるようにしたものである。
【0019】
さらに、本発明の増幅装置は、上記各発明の増幅装置に加え、増幅器が、無線機の送信回路の最終段増幅器であり、第1の制御手段が、入力信号の増幅に使用される増幅器を少なくする場合に無線機が送信中であるときには、無線機の状態を受信状態に移行させた後に、入力信号の増幅に使用される増幅器を少なくするようにしたものである。
【0020】
さらに、本発明の増幅装置は、上記各発明の増幅装置に加え、第1の制御手段は、入力信号の増幅に使用される前記増幅器を少なくした後に、無線機の状態を送信状態に再度移行させるようにしたものである。
【0021】
さらに、本発明の増幅装置は、上記各発明の増幅装置に加え、第1の制御手段が、入力信号の増幅に使用される増幅器の個数を、各増幅器が最大出力未満の低歪領域で動作可能な個数とするようにしたものである。
【0022】
さらに、本発明の増幅装置は、上記各発明の増幅装置に加え、複数の電源と複数の増幅器との間にそれぞれ設けられた複数の電源スイッチ手段を備え、第1の制御手段が、入力信号の増幅に使用しない増幅器と電源との間の電源スイッチ手段をオフにするようにしたものである。
【0023】
さらに、本発明の増幅装置は、上記各発明の増幅装置に加え、複数の増幅器の温度をそれぞれ検出する複数の増幅器温度検出手段と、増幅器温度検出手段により検出された増幅器の温度に基づき、信号分配部を制御して、所定の温度未満の増幅器へ入力信号を供給させて入力信号の増幅を行わせる第2の制御手段と、を備える。
【0024】
さらに、本発明の増幅装置は、上記各発明の増幅装置に加え、第2の制御手段が、増幅器温度検出手段により検出される増幅器の温度を常時監視し、各時点において、信号分配部を制御して、所定の温度未満である増幅器の全部または一部を、入力信号の増幅に使用される増幅器に選択するようにしたものである。
【0025】
本発明の無線機は、上記各発明の増幅装置における複数の増幅器を送信回路の最終段の増幅器として備え、複数の電源を外部から接続されるものである。
【0026】
本発明の信号増幅方法は、複数の電源のそれぞれにより、複数の増幅器のそれぞれに電力を互いに独立に供給し、複数の増幅器により、同一の入力信号から分配された複数の信号を最終段にて電力増幅し、複数の電源のそれぞれの電圧を検出し、検出された電圧に基づき、複数の増幅器の前段に設けられ、この増幅装置への入力信号を、複数の増幅器のうちの全部または一部の増幅器のそれぞれに分配するか、いずれかの増幅器にそのまま出力する信号分配部を制御して、電圧が所定の範囲内にある電源に対応する増幅器へ入力信号を供給させて入力信号の増幅を行わせる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0045】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。この実施の形態1に係る増幅装置は、無線機の送信回路に適用されるものである。
【0046】
図1において、増幅器1a,1bは、同一の入力信号から分配された複数の信号を最終段にて電力増幅する複数の増幅器である。増幅器1aの入力側は、信号分配部5の一方の出力端に接続され、増幅器1aの出力側は、信号合成部6の一方の入力端に接続される。また、増幅器1bの入力側は、信号分配部5の他方の出力端に接続され、増幅器1bの出力側は、信号合成部6の他方の入力端に接続される。
【0047】
各増幅器1a,1bは、例えばバイポーラトランジスタや電界効果トランジスタなどの半導体素子で構成され、電力増幅用のものである。なお、増幅器1a,1bには、同一の増幅器が使用される。
【0048】
また、電源2a,2bは、増幅器1a,1bのそれぞれに対応して設けられ、対応する増幅器1a,1bに電力をそれぞれ供給する互いに独立した複数の直流電源である。各電源2a,2bには、バッテリや、商用電源などに接続され所定の直流定電圧を発生する電源装置などが使用される。なお、電源2a,2bには、同一電圧で電力を出力する電源が使用されることが望ましい。また、電源2a,2bが、増幅器1a,1bが使用される無線機などの装置の外部に設置され、その装置に電源ケーブルなどで接続されるようにしてもよい。また、その場合、各電源2a,2bをその装置に対して着脱可能としてもよい。
【0049】
電源制御部3a,3bは、増幅器1a,1bと電源2a,2bとの間に設けられ、制御信号に応じてスイッチング動作する電源スイッチ手段31と、電源2a,2bの電源電圧を検出し、検出した電圧値の情報を出力する電圧検出手段32とを有する回路である。なお、この電圧検出手段32には、電圧センサなどの装置や回路を使用することができる。
【0050】
制御部4は、増幅器1a,1b、電源制御部3a,3bの電源スイッチ手段31、後述の信号分配部5、後述の信号合成部6、後述の前段増幅器7、後述の高周波信号源8などを制御する回路である。制御部4は、アナログ回路として実現してもよいし、デジタル回路として実現してもよい。デジタル回路として実現する場合には、制御信号をデジタル信号からアナログ信号へ変換するD/A変換回路および/または検出信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換するA/D変換回路を制御部4に設ける。また、制御部4は、いわゆるシーケンサとして実現してもよいし、CPUなどを有するいわゆるコンピュータ、およびそのCPUにより実行される制御プログラムとして実現するようにしてもよい。
【0051】
信号分配部5は、複数の増幅器1a,1bの前段に設けられ、入力信号(ここでは前段増幅器7の出力信号)を複数の増幅器1a,1bのそれぞれに分配するか、いずれか1つの増幅器1a,1bにそのまま出力するかを選択する回路である。
【0052】
この信号分配部5において、切換手段11aは、信号分配部5の入力端と切換手段12aとの間に配置され、制御信号に応じて、信号分配部5の入力端と切換手段12aを電気的に接続したり遮断したりする素子である。また、切換手段12aは、制御信号に応じて、切換手段11aを、切換手段13aおよび電力分配回路14のいずれか一方に接続する素子である。また、切換手段13aは、制御信号に応じて、切換手段12aおよび電力分配回路14のいずれか一方を信号分配部5の一方の出力端に接続する素子である。
【0053】
また、電力分配回路14は、入力信号を供給された場合に、その入力信号を複数の増幅器1a,1bに対して分配する分配回路である。なお、本発明の一例として、この電力分配回路14は、一端を互いに接続された2つのインダクタL1と、2つのインダクタL1の他端間を接続する抵抗R1により構成され、インダクタL1の一端を入力端とし、2つのインダクタL1の他端を2つの出力端とする回路である。そして、電力分配回路14の1つの入力端は、切換手段12a,12bにそれぞれ接続され、電力分配回路14の一方の出力端は、切換手段13aに接続され、他方の出力端は、切換手段13bに接続される。
【0054】
さらに、切換手段11bは、信号分配部5の入力端と切換手段12bとの間に配置され、制御信号に応じて、信号分配部5の入力端と切換手段12bを電気的に接続したり遮断したりする素子である。また、切換手段12bは、制御信号に応じて、切換手段11bを、切換手段13bおよび電力分配回路14のいずれか一方に接続する素子である。また、切換手段13bは、制御信号に応じて、切換手段12bおよび電力分配回路14のいずれか一方を信号分配部5の他方の出力端に接続する素子である。
【0055】
なお、切換手段11a,11b,12a,12b,13a,13bは、入力信号を、電力分配回路14へ供給するか、電力分配回路14をバイパスし、複数の増幅器1aまたは増幅器1bにそのまま出力する入力側運用切換回路として機能する。
【0056】
また、これらの切換手段11a,11b,12a,12b,13a,13bには、機械的な接点を有するリレー、半導体リレー、半導体スイッチング素子などが使用される。
【0057】
信号合成部6は、複数の増幅器1a,1bの後段に設けられ、複数の増幅器1a,1bからの増幅後の信号を合成するか、いずれか1つの増幅器(増幅器1aまたは増幅器1b)からの増幅後の信号をそのまま出力する回路である。
【0058】
この信号合成部6において、切換手段21aは、制御信号に応じて、信号合成部6の一方の入力端を、切換手段22aおよび電力合成回路23のいずれか一方に接続する素子である。また、切換手段22aは、制御信号に応じて、切換手段21aおよび電力合成回路23のいずれか一方を切換手段24aに接続する素子である。
【0059】
また、電力合成回路23は、信号分配部5により入力信号が分配された場合に、複数の増幅器1a,1bによる増幅後の信号を合成する合成回路である。なお、本発明の一例として、この電力合成回路23は、一方の入力端と他方の入力端とを接続する抵抗R2と、電力合成回路23の一方の入力端に一端を接続され、他端を電力合成回路23の出力端に接続されたインダクタL2と、電力合成回路23の他方の入力端に一端を接続され、他端を電力合成回路23の出力端に接続されたインダクタL2とにより構成された回路である。そして、電力合成回路23の一方の入力端は、切換手段21aに接続され、電力合成回路23の他方の入力端は、切換手段21bに接続され、電力合成回路23の1つの出力端は、切換手段22a,22bにそれぞれ接続される。
【0060】
なお、電力合成回路23の回路構成上、電力合成回路23に供給される増幅器1aの出力信号および増幅器1bの出力信号の2つの信号の振幅および位相が同一である場合に電力損失がなくなるため、増幅器1a,1bの特性が均一であり、また、増幅器1a,1bに印加される電源電圧が均一であることが望ましい。
【0061】
また、切換手段24aは、切換手段22aと信号合成部6の出力端との間に配置され、制御信号に応じて、切換手段22aと信号合成部6の出力端を電気的に接続したり遮断したりする素子である。
【0062】
さらに、切換手段21bは、制御信号に応じて、信号合成部6の他方の入力端を、切換手段22bおよび電力合成回路23のいずれか一方に接続する素子である。また、切換手段22bは、制御信号に応じて、切換手段21bおよび電力合成回路23のいずれか一方を切換手段24bに接続する素子である。
【0063】
切換手段24bは、切換手段22bと信号合成部6の出力端との間に配置され、制御信号に応じて、切換手段22bと信号合成部6の出力端を電気的に接続したり遮断したりする素子である。
【0064】
なお、切換手段21a,21b,22a,22b,24a,24bは、電力合成回路23による合成後の信号、および、入力信号がそのまま入力されたいずれか1つの増幅器1a,1bによる増幅後の信号のいずれかを選択し、選択した信号を出力信号として出力する出力側運用切換回路として機能する。
【0065】
また、これらの切換手段21a,21b,22a,22b,24a,24bには、機械的な接点を有するリレー、半導体リレー、半導体スイッチング素子などが使用される。
【0066】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0067】
実施の形態1に係る増幅装置では、制御部4が、各部の制御信号を供給して、増幅器1a,1bの運用モードを変更することができる。すなわち、制御部4からの制御信号に基づいて、電源制御部3a,3bの電源スイッチ手段31、信号分配部5の切換手段11a,11b,12a,12b,13a,13b、信号合成部6の切換手段21a,21b,22a,22b,24a,24bが切換動作を行い、これにより、入力信号の増幅に使用される増幅器が変更される。
【0068】
つまり、実施の形態1に係る増幅装置は、2つの増幅器1a,1bにより入力信号を電力増幅する第1の運用モード、2つの増幅器1a,1bのうちの増幅器1aのみにより入力信号を電力増幅する第2の運用モード、2つの増幅器1a,1bのうちの増幅器1bのみにより入力信号を電力増幅する第3の運用モードといった3つの運用モードのいずれかの運用モードで運用される。
【0069】
以下、各運用モードについて説明する。
【0070】
まず、2つの増幅器1a,1bが入力信号の増幅に使用される場合(第1の運用モード)について説明する。
【0071】
この場合、信号分配部5においては、制御部4からの制御信号に基づく切換手段11a,11b,12a,12b,13a,13bの切換動作により、信号分配部5の入力端が、切換手段11a,12aおよび切換手段11b,12bを介して電力分配回路14の入力端に電気的に接続され、電力分配回路14の一方の出力端が、切換手段13aを介して増幅器1aに電気的に接続され、電力分配回路14の他方の出力端が、切換手段13bを介して増幅器1bに電気的に接続される。
【0072】
また、信号合成部6においては、制御部4からの制御信号に基づく切換手段21a,21b,22a,22b,24a,24bの切換動作により、増幅器1aが、切換手段21aを介して、電力合成回路23の一方の入力端に電気的に接続され、増幅器1bが、切換手段21bを介して、電力合成回路23の他方の入力端に電気的に接続され、電力合成回路23の出力端が、切換手段22a,24aおよび切換手段22b,24bを介して信号合成部6の出力端に電気的に接続される。
【0073】
さらに、電源制御部3a,3bにおける電源スイッチ手段31は、制御部4からの制御信号に基づいて、オンとされる。
【0074】
これにより、高周波信号源8からの信号は、前段増幅器7により増幅された後、信号分配部5に供給され、電力分配回路14により2系統に均等に分配される。そして、分配された一方の信号が、増幅器1aに入力され、分配された他方の信号が、増幅器1bに入力される。
【0075】
増幅器1aは、分配された一方の信号を電力増幅し、増幅後の信号を信号合成部6の一方の入力端へ出力し、増幅器1bは、分配された他方の信号を電力増幅し、増幅後の信号を信号合成部6の他方の入力端へ出力する。その際、増幅器1a,1bには、それぞれ電源制御部3a,3bを介して電源2a,2bから電力が供給される。すなわち、増幅器1aは、電源2aにより駆動され、増幅器1bは、電源2bにより駆動される。
【0076】
そして、2つの増幅器1a,1bにより増幅された信号は、信号合成部6における電力合成回路23の両入力端に供給され、電力合成回路23は、それらの2つの信号を1つの信号に合成する。電力合成回路23により合成された信号は、信号合成部6の出力端から、この増幅装置の出力信号として出力される。
【0077】
次に、2つの増幅器1a,1bのうちの増幅器1aのみが入力信号の増幅に使用される場合(第2の運用モード)について説明する。
【0078】
この場合、信号分配部5においては、制御部4からの制御信号に基づく切換手段11a,11b,12a,12b,13a,13bの切換動作により、信号分配部5の入力端が、切換手段11a,12a,13aを介して、すなわち電力分配回路14をバイパスして、増幅器1aに電気的に接続され、切換手段11bにより、信号分配部5の入力端と、切換手段12b以降の回路(電力分配回路14、増幅器1bなど)とが電気的に遮断される。
【0079】
また、信号合成部6においては、制御部4からの制御信号に基づく切換手段21a,21b,22a,22b,24a,24bの切換動作により、増幅器1aが、切換手段21a,22a,24aを介して、すなわち、電力合成回路23をバイパスして、信号合成部6の出力端に電気的に接続され、切換手段24bにより、信号合成部6の出力端と、切換手段22b以前の回路(電力合成回路23、増幅器1bなど)とが電気的に遮断される。
【0080】
さらに、電源制御部3aにおける電源スイッチ手段31は、制御部4からの制御信号に基づいて、オンとされ、電源制御部3bにおける電源スイッチ手段31は、制御部4からの制御信号に基づいて、オフとされる。
【0081】
これにより、高周波信号源8からの信号は、前段増幅器7により増幅された後、信号分配部5を介して、分配されずにそのまま増幅器1aに入力される。増幅器1aは、その入力信号を電力増幅し、増幅後の信号を信号合成部6の一方の入力端へ出力する。
【0082】
その際、増幅器1aには、電源制御部3aを介して電源2aから電力が供給される。すなわち、増幅器1aは、電源2aにより駆動される。一方、今の場合、増幅器1bには、電源2bからの電力は供給されない。
【0083】
そして、増幅器1aにより増幅された信号は、信号合成部6を介して、その出力端からそのまま、この増幅装置の出力信号として出力される。
【0084】
次に、2つの増幅器1a,1bのうちの増幅器1bのみが入力信号の増幅に使用される場合(第3の運用モード)について説明する。
【0085】
この場合、信号分配部5においては、制御部4からの制御信号に基づく切換手段11a,11b,12a,12b,13a,13bの切換動作により、信号分配部5の入力端が、切換手段11b,12b,13bを介して、すなわち電力分配回路14をバイパスして、増幅器1bに電気的に接続され、切換手段11aにより、信号分配部5の入力端と、切換手段12a以降の回路(電力分配回路14、増幅器1aなど)とが電気的に遮断される。
【0086】
また、信号合成部6においては、制御部4からの制御信号に基づく切換手段21a,21b,22a,22b,24a,24bの切換動作により、増幅器1bが、切換手段21b,22b,24bを介して、すなわち電力合成回路23をバイパスして、信号合成部6の出力端に電気的に接続され、切換手段24aにより、信号合成部6の出力端と、切換手段22a以前の回路(電力合成回路23、増幅器1aなど)とが電気的に遮断される。
【0087】
さらに、電源制御部3bにおける電源スイッチ手段31は、制御部4からの制御信号に基づいて、オンとされ、電源制御部3aにおける電源スイッチ手段31は、制御部4からの制御信号に基づいて、オフとされる。
【0088】
これにより、高周波信号源8からの信号は、前段増幅器7により増幅された後、信号分配部5を介して、分配されずにそのまま増幅器1bに入力される。増幅器1bは、その入力信号を電力増幅し、増幅後の信号を信号合成部6の他方の入力端へ出力する。
【0089】
その際、増幅器1bには、電源制御部3bを介して電源2bから電力が供給される。すなわち、増幅器1bは、電源2bにより駆動される。一方、今の場合、増幅器1aには、電源2aからの電力は供給されない。
【0090】
そして、増幅器1bにより増幅された信号は、信号合成部6を介して、その出力端からそのまま、この増幅装置の出力信号として出力される。
【0091】
なお、この増幅装置が無線機の送信回路で使用される場合には、出力信号は、図示せぬアンテナなどに供給される。
【0092】
以上のように、上記実施の形態1に係る増幅装置は、同一の入力信号から分配された複数の信号を最終段にて電力増幅する複数の増幅器1a,1bと、それらの複数の増幅器のそれぞれに対応して設けられ、対応する増幅器に電力をそれぞれ供給する互いに独立した複数の電源2a,2bとを備える。これにより、電源2a,2bから増幅器1a,1bへ供給される電流が複数系統に分散され、低電圧大電流で大出力とする場合の電力損失を少なくするとともに放熱を良好に行うことができる。また、電源2a,2bと電源制御部3a,3bとの間、あるいは電源制御部3a,3bと増幅器1a,1bとの間で電源コネクタを使用する場合にも、各系統で導通する電流量が少ないため、電源コネクタとして小型で安価なものを使用することができる。
【0093】
さらに、上記実施の形態1によれば、信号分配部5は、複数の増幅器1a,1bの前段に設けられ、入力信号を、複数の増幅器1a,1bのうちの全部または一部の増幅器のそれぞれに分配するか、いずれかの増幅器1a,1bにそのまま出力する。そして、その信号分配部5では、電力分配回路14が、入力信号を供給された場合に、その入力信号を増幅器に対して分配し、切換手段11a,11b,12a,12b,13a,13bが、入力信号を、分配回路へ供給するか、または分配回路をバイパスし、いずれかの増幅器にそのまま出力する。これにより、入力信号の増幅に使用される増幅器およびその数を簡単に変更、設定することができる。
【0094】
さらに、上記実施の形態1によれば、信号合成部6は、複数の増幅器1a,1bの後段に設けられ、増幅器1a,1bによる増幅後の複数の信号を合成し出力するか、いずれかの増幅器1a,1bからの増幅後の信号をそのまま出力する。そして、信号合成部6では、電力合成回路23が、信号分配部5により入力信号が分配された場合に、複数の増幅器1a,1bによる増幅後の信号を合成し、切換手段21a,21b,22a,22b,24a,24bが、その電力合成回路23による合成後の信号、および、入力信号がそのまま入力されたいずれか1つの増幅器1a,1bによる増幅後の信号のうちのいずれかの信号を選択し、選択した信号を出力信号として出力する。また、制御部4は、信号合成部6を制御して、信号分配部5と同一の増幅器1a,1bを選択させている。これにより、入力信号の増幅に使用される増幅器およびその数に応じて、増幅後の信号から増幅装置の出力信号を簡単かつ損失なく生成することができる。
【0095】
さらに、上記実施の形態1によれば、それぞれの電源2a,2bが、着脱可能とされるので、例えば車内など、1つの電源2a(2b)しかない状況であったり、複数の電源2a,2bを使用可能な状況であったりしても、周囲の電源状況に応じた運用を行うことができる。
【0096】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る増幅装置は、実施の形態1に係る増幅装置における信号分配部、信号合成部および制御部を変更したものである。
【0097】
図2は、本発明の実施の形態2に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。図2において、制御部41は、増幅器1a,1b、電源制御部3a,3bの電源スイッチ手段31、後述の信号分配部42、後述の信号合成部43、前段増幅器7、高周波信号源8などを制御する回路である。制御部41は、実施の形態1における制御部4と同様にして実現可能である。
【0098】
また、信号分配部42は、複数の増幅器1a,1bの前段に設けられ、入力信号(ここでは前段増幅器7の出力信号)を複数の増幅器1a,1bのそれぞれに分配するか、一部の増幅器1aのみに向けて出力する回路である。
【0099】
この信号分配部42は、実施の形態1の信号分配部5において、切換手段11a,11b,12b,13bを省略し、信号分配部42の入力端に切換手段12aを直接接続し、信号分配部5においては切換手段13bに接続されていた電力分配回路14の他方の出力端を増幅器1bに電気的に接続したものである。
【0100】
すなわち、この信号分配部42では、切換手段12aが、制御信号に応じて、信号分配部42の入力端を、切換手段13aおよび電力分配回路14のいずれか一方に接続し、切換手段13aは、制御信号に応じて、切換手段12aおよび電力分配回路14のいずれか一方を信号分配部42の一方の出力端に接続する。また、電力分配回路14の1つの入力端は、切換手段12aに接続され、電力分配回路14の一方の出力端は、切換手段13aに接続され、他方の出力端は、増幅器1bに接続される。
【0101】
信号合成部43は、複数の増幅器1a,1bの後段に設けられ、複数の増幅器1a,1bからの増幅後の信号を合成し合成後の信号を出力するか、増幅器1aからの増幅後の信号をそのまま出力する回路である。
【0102】
この信号合成部43は、実施の形態1の信号合成部6において、切換手段21b,22b,24a,24bを省略し、増幅器1bを、信号合成部6においては切換手段21bが接続されていた電力合成回路23の入力端に電気的に接続し、切換手段22aを、信号合成部43の出力端に直接接続したものである。
【0103】
すなわち、切換手段21aは、制御信号に応じて、信号合成部43の一方の入力端を、切換手段22aおよび電力合成回路23のいずれか一方に接続し、切換手段22aは、制御信号に応じて、切換手段21aおよび電力合成回路23のいずれか一方を信号合成部43の出力端に電気的に接続する。また、電力合成回路23の一方の入力端は、切換手段21aに接続され、電力合成回路23の他方の入力端は、増幅器1bに接続され、電力合成回路23の1つの出力端は、切換手段22aにそれぞれ接続される。
【0104】
したがって、実施の形態2では、切換手段12a,13aが入力側運用切換回路として機能し、切換手段21a,22aが出力側運用切換回路として機能する。
【0105】
なお、図2におけるその他の構成要素については、実施の形態1のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0106】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0107】
実施の形態2に係る増幅装置は、2つの増幅器1a,1bにより入力信号を電力増幅する第1の運用モード、2つの増幅器1a,1bのうちの増幅器1aのみにより入力信号を電力増幅する第2の運用モードといった2つの運用モードのいずれかの運用モードで運用される。
【0108】
以下、各運用モードについて説明する。
【0109】
まず、2つの増幅器1a,1bが入力信号の増幅に使用される場合(第1の運用モード)について説明する。
【0110】
この場合、信号分配部42においては、制御部41からの制御信号に基づく切換手段12a,13aの切換動作により、信号分配部42の入力端が、切換手段12aを介して電力分配回路14の入力端に電気的に接続され、電力分配回路14の一方の出力端が、切換手段13aおよび信号分配部42の一方の出力端を介して増幅器1aに接続される。なお、電力分配回路14の他方の出力端は、常に、増幅器1bに接続されている。
【0111】
また、信号合成部43においては、制御部41からの制御信号に基づく切換手段21a,22aの切換動作により、増幅器1aが、切換手段21aを介して、電力合成回路23の一方の入力端に電気的に接続され、電力合成回路23の出力端が、切換手段22aを介して信号合成部43の出力端に電気的に接続される。なお、増幅器1bは、常に、電力合成回路23の他方の入力端に電気的に接続されている。
【0112】
さらに、電源制御部3a,3bにおける電源スイッチ手段31は、制御部41からの制御信号に基づいて、オンとされる。
【0113】
このような制御部41の制御により、実施の形態1における第1の運用モードと同様に、2つの増幅器1a,1bが入力信号の増幅に使用される。
【0114】
次に、2つの増幅器1a,1bのうちの増幅器1aのみが入力信号の増幅に使用される場合(第2の運用モード)について説明する。
【0115】
この場合、信号分配部42においては、制御部41からの制御信号に基づく切換手段12a,13aの切換動作により、信号分配部41の入力端が、切換手段12a,13aを介して、すなわち電力分配回路14をバイパスして、増幅器1aに電気的に接続される。
【0116】
また、信号合成部43においては、制御部41からの制御信号に基づく切換手段21a,22aの切換動作により、増幅器1aが、切換手段21a,22aを介して、すなわち電力合成回路23をバイパスして、信号合成部43の出力端に電気的に接続される。
【0117】
さらに、電源制御部3aにおける電源スイッチ手段31は、制御部41からの制御信号に基づいて、オンとされ、電源制御部3bにおける電源スイッチ手段31は、制御部41からの制御信号に基づいて、オフとされる。
【0118】
これにより、高周波信号源8からの信号は、前段増幅器7により増幅された後、信号分配部42を介して、分配されずにそのまま増幅器1aに入力される。増幅器1aは、その入力信号を電力増幅し、増幅後の信号を信号合成部43の一方の入力端へ出力する。
【0119】
このような制御部41の制御により、実施の形態1における第2の運用モードと同様に、2つの増幅器1a,1bのうちの増幅器1aのみが入力信号の増幅に使用される。
【0120】
以上のように、上記実施の形態2によれば、信号分配部42が、入力信号を複数の増幅器1a,1bのうちの一部の増幅器に向けて出力する際、予め定められた特定の増幅器1aのみに向けて出力する。これにより、信号分配部42における切換手段12a,13aの個数が少なくて済み、回路規模およびコストを小さくすることができる。また、信号合成部43についても同様に切換手段21a,22aの個数が少なくて済む。
【0121】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る増幅装置は、実施の形態2に係る増幅装置において、複数の電源2a,2bの出力が互いに均衡するように、電源2a,2bが同一装置内の増幅器1a,1b以外の回路(前段増幅器7、高周波信号源8、制御部51など)へ接続されるようにしたものである。
【0122】
図3は、本発明の実施の形態3に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。図3において、制御部51は、実施の形態1の制御部4や実施の形態2の制御部41と同様に各部を制御する他、後述の電源切換手段52を制御する回路である。制御部51は、実施の形態1における制御部4と同様にして実現可能である。
【0123】
また、電源切換手段52は、電源2a,2bと、同一装置内の増幅器1a,1b以外の回路である前段増幅器7との間に設けられ、同一装置内の増幅器1a,1b以外の回路である前段増幅器7の電源を、電源2a,2bのいずれかに切り換える素子である。
【0124】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0125】
制御部51は、電源切換手段52を制御し、複数の増幅器1a,1bを使用して入力信号が増幅される第1の運用モードの場合、複数の電源2a,2bの出力を互いに均衡させる。なお、この実施の形態3では、制御部51が第4および第5の制御手段として機能する。
【0126】
例えば、制御部51は、電源切換手段52を制御し、第1の運用モードの場合には前段増幅器7を電源2bに接続させ、第2の運用モードの場合には前段増幅器7を電源2aに接続させる。これにより、前段増幅器7には、第1の運用モードの場合、電源2bから電力が供給され、第2の運用モードの場合、電源2aから電力が供給される。
【0127】
なお、実施の形態3に係る増幅装置のその他の動作については実施の形態2の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0128】
なお、実施の形態3では、実施の形態2に係る増幅装置において電源2a,2bの出力を均衡するようにしていたが、他の実施の形態に係る増幅装置においても、電源を切り換える対象となる回路と電源との間に、電源切換手段52と同様の切換手段を適宜設け、その切換手段を制御部51で制御することで、同様に、電源2a,2bの出力を均衡させることが可能である。
【0129】
以上のように、上記実施の形態3によれば、出力電流が互いに均衡するように、複数の電源2a,2bが、同一装置内の増幅器1a,1b以外の回路へ接続される。これにより、複数の増幅器1a,1bに対して電源2a,2bの電圧が均一化され、ひいては複数の増幅器1a,1bによる増幅後の信号が均一化され、電力合成回路23での電力損失の増加を抑制することができる。
【0130】
例えば、電源2a,2bの電圧が12ボルトであり、高周波信号源8の消費電流が4アンペアであり、前段増幅器7の消費電流が4アンペアであり、増幅器1a,1bの消費電流がそれぞれ20アンペアである場合に、仮に、高周波信号源8と前段増幅器7の電力が電源2aから供給されると、電源2aの出力電流は、28アンペア(=4+4+20)となり、電源2bの出力電流は、20アンペアとなる。この場合において、電源2aから電源制御部3aの出力端まで、および電源2bから電源制御部3bの出力端までの抵抗分が50ミリオームであるとすると、増幅器1aに印加される電源電圧は、10.6ボルト(=12−28×0.05)となり、増幅器1bに印加される電源電圧は、11ボルト(=12−20×0.05)となってしまう。また、そのときの増幅器1aに供給される直流電力は、212ワット(=10.6×20)となり、増幅器1bに供給される直流電力は、220ワット(=11×20)となり、8ワットの差が生じてしまう。
【0131】
一方、上述の場合において、高周波信号源8への電力が電源2aから供給されているときに、電源切換手段52を制御して、前段増幅器7の電力が電源2bから供給されるようにすると、電源2aの出力電流および電源2bの出力電流は、ともに24アンペア(=20+4)となり、増幅器1aに印加される電源電圧と増幅器1bに印加される電源電圧とは互いに同一となる。実際には、電源2a,2b、電源制御部3a,3bの個体差、電源2a,2bから電源制御部3a,3bを介して増幅器1a,1bまでの経路の差などに起因して、増幅器1a,1bへ印加される電源電圧にはばらつきが出るが、できる限り上記原因をなくして、増幅器1aへ印加される電源電圧と増幅器1bへ印加される電源電圧とを近くすることが望ましい。
【0132】
さらに、上記実施の形態3によれば、電源切換手段52が、電源2a,2bと、同一装置内の増幅器1a,1b以外の回路である前段増幅器7との間に設けられ、制御部51が、複数の電源2a,2bの出力電流が互いに均衡するように電源切換手段52を制御する。これにより、運用モードの切換などに応じて、複数の増幅器1a,1bに対して電源2a,2bの電圧を均一化したり、電源2a,2bの利用効率を上げたりすることができる。
【0133】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る増幅装置は、実施の形態1〜3のいずれかに係る増幅装置において、複数の電源2a,2bの状態に応じて、入力信号の増幅に使用される増幅器およびその数を設定するようにしたものである。
【0134】
なお、本発明の実施の形態4に係る増幅装置の構成は、実施の形態1〜3のいずれかに係る増幅装置と同様であるので、その説明を省略する。ただし、制御部4,41,51の動作については、後述する動作が追加される。なお、この実施の形態4では、制御部4,41,51が第1および第5の制御手段として機能する。
【0135】
次に、実施の形態4における制御部4,41,51による運用モードの切換動作について説明する。
【0136】
まず、実施の形態4を実施の形態1に適用した場合について説明する。図4は、実施の形態4を実施の形態1に適用した場合における制御部4による運用モードの切換動作について説明するフローチャートである。
【0137】
制御部4は、起動時または所定のタイミングで、電源制御部3a,3bの電圧検出手段32により複数の電源2a,2bの電圧の検知を開始する。
【0138】
制御部4は、電源2a,2bのうちの第1の電源(ここでは電源2aとする)の電圧が所定の範囲内(例えば定格の範囲内、以下同様)にあるか否かを判断する(ステップS1)。すなわち、電源2aが、増幅器1aの駆動に支障がない電圧を発生しているか否かが判断される。
【0139】
第1の電源(電源2a)の電圧が所定の範囲内にある場合には、制御部4は、電源2a,2bのうちの第2の電源(ここでは電源2b)の電圧が所定の範囲内にあるか否かを判断する(ステップS2)。
【0140】
そして、ステップS2において第2の電源(電源2b)の電圧が所定の範囲内にあると判断された場合、すなわち、第2の電源(電源2b)の電圧が増幅器1bの駆動に支障がない電圧である場合には、電源2a,2bの電圧が所定の範囲内にあるので、制御部4は、上述の第1〜第3の運用モードのいずれかを選択し、2電源運用または1電源運用を実施する(ステップS3)。
【0141】
一方、ステップS2において第2の電源(電源2b)の電圧が所定の範囲内にないと判断された場合、第1の電源(電源2a)の電圧は所定の範囲内にあるので、制御部4は、上述の第2の運用モードを選択し、1電源運用を実施する(ステップS4)。
【0142】
また、ステップS1において第1の電源(電源2a)の電圧が所定の範囲内にないと判断された場合にも、制御部4は、電源2a,2bのうちの第2の電源(電源2b)の電圧が所定の範囲内にあるか否かを判断する(ステップS5)。
【0143】
そして、ステップS5において第2の電源(電源2b)の電圧が所定の範囲内にあると判断された場合、すなわち、第2の電源(電源2b)の電圧が増幅器1bの駆動に支障がない電圧である場合には、制御部4は、上述の第3の運用モードを選択し、1電源運用を実施する(ステップS6)。
【0144】
一方、ステップS5において第2の電源(電源2b)の電圧が所定の範囲内にないと判断された場合、すべての電源(電源2a,2b)の電圧が所定の範囲内にないので、制御部4は、増幅装置の動作を停止させる(ステップS7)。また、装置の起動時の場合には、制御部4は、装置の起動を中止する(ステップS7)。
【0145】
なお、例えば、2電源運用の場合の最大出力が200ワットである場合には、1電源運用の場合の最大出力が100ワットとなり、使用する電源2a,2bの数を変更することで、最大出力が変化する。
【0146】
次に、実施の形態4を実施の形態2,3に適用した場合について説明する。
【0147】
実施の形態2,3に係る増幅装置では、第3の運用モード、すなわち、増幅器1bおよび電源2bのみによる運用モードが存在しないので、制御部41,51は、図4のステップS1にて、第1の電源(電源2a)の電圧が所定の範囲内にない場合に、ステップS5の処理を行わずに、ステップS7の処理を行って装置の動作を停止させる。その他の動作については、実施の形態4を実施の形態1に適用した場合と同様であるので、その説明を省略する。なお、実施の形態4を実施の形態1に適用した場合においてもここで説明したように第3の運用モードを選択しないようにしてもよい。また、制御部4,41,51が接続されている電源2a(2b)を第1の電源として最初に電圧を調べるようにしてもよい。
【0148】
なお、各運用モードにおける各部の動作については、実施の形態1〜3のいずれかの場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0149】
以上のように、上記実施の形態4によれば、電圧検出手段32が、複数の電源2a,2bの電圧を検出し、制御部4,41,51は、電圧検出手段32により検出された電圧に基づき、信号分配部5,42を制御して、電圧が所定の範囲内にある電源2a,2bに対応する増幅器1a,1bへ入力信号を供給させて入力信号の増幅を行わせる。これにより、過負荷状態、バッテリの容量不足などの異常が電源2a,2bに発生した場合に、その電源2a,2bおよび増幅器1a,1bの故障の発生を抑制することができ、また、そのような場合にも、残りの増幅器1a,1bおよび電源2a,2bにより、この増幅装置の運用を継続させることができる。
【0150】
また、電源2a,2bとしてのバッテリの容量がなくなった場合、その電源2a,2bが使用されなくなるので、その後にそのバッテリを交換することが可能となる。そして、新たなバッテリがその電源2a,2bとして接続されると、その電源2a,2bが再度使用可能となる。
【0151】
さらに、上記実施の形態4によれば、制御部4,41,51が、電源異常に起因して入力信号の増幅に使用しない増幅器1a,1bと電源2a,2bとの間の電源スイッチ手段31をオフにする。これにより、異常が発生した電源2a,2bの出力電流がなくなり、そのような電源2a,2bをより保護することができる。
【0152】
なお、上記実施の形態4において、制御部4,41,51が、入力信号の増幅に使用される増幅器1a,1bの個数を、各増幅器1a,1bが最大出力未満の低歪領域で動作可能な個数とするようにしてもよい。すなわち、1つの増幅器1a,1bで増幅可能な出力電力であっても、2つの増幅器1a,1bを使用することで、1電源運用の場合に、1つの増幅器1a,1bが最大出力で動作することがなくなり、その場合におけるこの増幅装置の出力信号の歪特性が良好になる。
【0153】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5に係る増幅装置は、実施の形態1〜4のいずれかに係る増幅装置において、電源2a,2bの状態(出力電圧、出力電流など)を常時監視し、電源2a,2bの状態に応じて、無線機の稼動中に自動的に運用モードを変更して出力信号の電力を変更するようにしたものである。なお、この実施の形態5に係る増幅装置は、無線機の送信回路で使用される。
【0154】
なお、本発明の実施の形態5に係る増幅装置の構成は、実施の形態1〜4のいずれかに係る増幅装置と同様であるので、その説明を省略する。ただし、制御部4,41,51の動作については、後述する動作が追加される。なお、この実施の形態5では、制御部4,41,51が第1および第5の制御手段として機能する。
【0155】
次に、実施の形態5における制御部4,41,51による運用モードの切換動作について説明する。
【0156】
実施の形態5に係る増幅装置における制御部4,41,51は、電源2a,2bの電圧に応じて、自動的に、2電源運用(第1の運用モード)と1電源運用(第2または第3の運用モード)のいずれかを選択し、運用モードの変更を行う。図5は、実施の形態5に係る増幅装置が2電源運用から1電源運用に移行する場合について説明するフローチャートである。図6は、実施の形態5に係る増幅装置が1電源運用から2電源運用に移行する場合について説明するフローチャートである。
【0157】
まず、2電源運用から1電源運用へ移行する場合について説明する。
【0158】
実施の形態5に係る増幅装置が2電源運用(第1の運用モード)で動作中の場合には、制御部4,41,51は、電源制御部3a,3bの電圧検出手段32からの電圧情報に基づいて、2つの電源2a,2bの電圧が両方とも所定の範囲内にあるか否かを常時監視する(ステップS21)。
【0159】
そして、制御部4,41,51は、2つの電源2a,2bのいずれかの電圧が所定の範囲外になったと判断すると、無線機が現在、送信中であるか受信中であるかを判断する(ステップS22)。無線機が送信中である場合には、制御部4,41,51は、送信を停止して無線機を受信状態に移行させる(ステップS23)。
【0160】
その後、制御部4,41,51は、上述のように信号分配部5,42、信号合成部6,43および電源制御部3a,3bの電源スイッチ手段31を制御して、電圧が所定の範囲外となった電源(電源2a,2bのいずれか)およびそれに対応する増幅器(増幅器1a,1bのいずれか)を使用停止とする(ステップS24)。また、ステップS22において、無線機が送信中ではない場合も、上述のステップS24の処理を実行する。
【0161】
これにより、増幅装置の運用が、2電源運用(第1の運用モード)から1電源運用(第2または第3の運用モード)ヘ移行する。なお、この実施の形態5を、実施の形態2,3に係る増幅装置に適用した場合には、制御部41,51は、電源2a,2bのうち、電源2bの電圧が所定の範囲外となった場合のみ、2電源運用(第1の運用モード)から1電源運用(第2の運用モード)へ移行させる。
【0162】
このようにして、無線機が受信状態であり、送信回路に使用されるこの増幅装置が送信すべき高周波信号の増幅を行っていない期間に、制御部4,41,51により運用モードが変更される。その後に、ステップS23において送信状態から受信状態へ無線機を移行させた場合には、制御部4,41,51は、無線機を送信状態に適宜移行させるようにしてもよい。
【0163】
次に、1電源運用から2電源運用へ移行する場合について説明する。
【0164】
実施の形態5に係る増幅装置が1電源運用(第2または第3の運用モード)で動作中の場合には、制御部4,41,51は、電源制御部3a,3bの電圧検出手段32からの電圧情報に基づいて、現在使用していない残りの電源(電源2aまたは電源2b)の電圧が所定の範囲内にあるか否かを常時監視する(ステップS41)。
【0165】
そして、制御部4,41,51は、その残りの電源(電源2aまたは電源2b)の電圧が所定の範囲内にあると判断すると、無線機が現在、送信中であるか受信中であるかを判断する(ステップS42)。無線機が送信中である場合には、制御部4,41,51は、ステップS41に戻り、1電源運用を継続させる。
【0166】
一方、制御部4,41,51は、その残りの電源(電源2aまたは電源2b)の電圧が所定の範囲内にあり、かつその時点での無線機の状態が受信状態である場合には、1電源運用から2電源運用へ移行可能であるので、所定の各種条件に基づいて、2電源運用へ移行するか否かを判断する(ステップS43)。
【0167】
ステップS43において2電源運用へ移行すると判断した場合、制御部4,41,51は、上述のように信号分配部5,42、信号合成部6,43、および電源制御部3a,3bの電源スイッチ手段31を制御して、その残りの電源(電源2a,2bのいずれか)およびそれに対応する増幅器(増幅器1a,1bのいずれか)を使用可能な状態とする(ステップS44)。
【0168】
これにより、増幅装置の運用が、1電源運用(第2または第3の運用モード)から2電源運用(第1の運用モード)ヘ移行する。このようにして、無線機が受信状態であり、送信回路に使用されるこの増幅装置が送信すべき高周波信号の増幅を行っていない期間に、制御部4,41,51により運用モードが変更される。
【0169】
なお、この実施の形態5を、実施の形態1に係る増幅装置に適用した場合において、1電源運用時に使用中の電源の電圧が所定の範囲外となったときに、受信状態の期間に、使用中の電源および増幅器を使用停止とし、残りの電源およびそれに対応する増幅器を使用可能な状態として、1電源運用を継続するようにしてもよい。すなわち、受信状態の期間に、第2の運用モードから第3の運用モードへ移行させたり、第3の運用モードから第2の運用モードへ移行させたりしてもよい。
【0170】
なお、各運用モードにおける各部の動作については、実施の形態1〜3のいずれかの場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0171】
以上のように、上記実施の形態5によれば、制御部4,41,51が、電圧検出手段32により検出される電圧を常時監視し、各時点において、信号分配部5,42を制御して、電圧が所定の範囲内にある電源2a,2bに対応する増幅器1a,1bの全部または一部を、入力信号の増幅に使用される増幅器に選択する。これにより、稼動中に電源2a,2bに電圧異常が発生した場合にも、電源2a,2bや増幅器1a,1bが故障して出力信号が劣化することを回避することができる。
【0172】
また、上記実施の形態5では、増幅器1a,1bが、無線機の送信回路の最終段増幅器として使用され、制御部4,41,51が、入力信号の増幅に使用される増幅器1a,1bを少なくする場合に無線機が送信中であるときには、無線機の状態を受信状態に移行させた後に、入力信号の増幅に使用される増幅器を少なくする。これにより、送信中に電圧異常が発生しても迅速に、電圧異常が発生した電源2a,2bから内部回路を保護することができる。
【0173】
実施の形態6.
本発明の実施の形態6に係る増幅装置は、必要な出力信号の電力(無線機の場合、送信電力)に応じて、使用する電源の数を決定し、運用モードを、その電源数に応じた運用モードとするようにしたものである。すなわち、本発明の実施の形態6に係る増幅装置では、出力信号の電力は、0から複数の電源によって出力信号に得られる最大電力までの間で可変であるが、その範囲内の、必要な出力信号の電力に応じて、使用する電源の数が決定される。
【0174】
なお、本発明の実施の形態6に係る増幅装置の構成は、実施の形態1〜5のいずれかに係る増幅装置と同様であるので、その説明を省略する。ただし、制御部4,41,51の動作については、後述する動作が追加される。なお、この実施の形態6では、制御部4,41,51が第2および第5の制御手段として機能する。
【0175】
次に、実施の形態6における制御部4,41,51による運用モードの選択について説明する。図7は、実施の形態6に係る増幅装置における制御部4,41,51による運用モードの選択について説明するフローチャートである。図8は、実施の形態6に係る増幅装置において、送信電力と電源数との関係の一例を示す図である。
【0176】
制御部4,41,51は、必要な送信電力(すなわち、増幅装置の出力信号の電力)が所定の閾値P1以上であるか否かを判断する(ステップS61)。なお、この必要な送信電力の値は、オペレータなどにより設定されたり、各種条件に基づく計算により得られたりする。また、閾値P1は、図8に示すように、通常、2つの増幅器1a,1bによる最大送信電力の半分、すなわち、各増幅器1a,1bによる最大送信電力の値に設定される。
【0177】
そして、制御部4,41,51は、送信電力の新たな設定値が所定の閾値P1以上であると判断した場合、現在の送信電力の設定値が閾値P1未満であるか否かを判断する(ステップS62)。
【0178】
ここで、現在の送信電力の設定値が閾値P1未満である場合、制御部4,41,51は、現在、1電源運用であるので、増幅装置の運用を1電源運用から2電源運用へ移行させる(ステップS63)。
【0179】
一方、現在の送信電力の設定値が閾値P1以上である場合、制御部4,41,51は、現在、2電源運用であるので、増幅装置の運用を2電源運用のままとする(ステップS64)。
【0180】
また、制御部4,41,51は、送信電力の新たな設定値が所定の閾値P1未満であると判断した場合、現在の送信電力の設定値が閾値P1以上であるか否かを判断する(ステップS65)。
【0181】
ここで、現在の送信電力の設定値が閾値P1以上である場合、制御部4,41,51は、現在、2電源運用であるので、増幅装置の運用を2電源運用から1電源運用へ移行させる(ステップS66)。
【0182】
一方、現在の送信電力の設定値が閾値P1未満である場合、制御部4,41,51は、現在、1電源運用であるので、増幅装置の運用を1電源運用のままとする(ステップS67)。
【0183】
なお、2電源運用から1電源運用への移行、および1電源運用から2電源運用への移行の際の動作は、上述したものと同様に行われる。
【0184】
また、各運用モードにおける各部の動作については、実施の形態1〜3のいずれかの場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0185】
以上のように、上記実施の形態6によれば、制御部4,41,51は、信号分配部5,42を制御して、出力電力の設定値に応じた個数の増幅器1a,1bにより入力信号の増幅を行わせる。上記実施の形態6では、制御部4,41,51が、入力信号の増幅に使用される増幅器1a,1bの個数を、出力電力の設定値を実現可能な個数のうち最も少ない個数とする。これにより、増幅器1a,1bの出力が最大出力に近づき、より多い個数の増幅器1a,1bを使用する場合より増幅時の電力効率を良好にすることができる。
【0186】
なお、上記実施の形態6では、制御部4,41,51が、出力電力の設定値に起因して入力信号の増幅に使用しない増幅器1a,1bと電源2a,2bとの間の電源スイッチ手段31をオフにする。これにより、増幅器1a,1bのバイアス電流などにより消費される電流がなくなり、消費電力を少なくすることができる。
【0187】
実施の形態7.
本発明の実施の形態7に係る増幅装置は、実施の形態6と同様に、必要な出力信号の電力(無線機の場合、送信電力)に応じて、使用する電源の数を決定し、運用モードを、その電源数に応じた運用モードとするようにしたものである。ただし、本発明の実施の形態7に係る増幅装置は、出力信号の電力(無線機の場合、送信電力)は、0から複数の電源によって出力信号に得られる最大電力までの間の可変範囲において、1電源運用が可能な送信電力でも2電源運用とし、増幅時の歪特性を改善する。
【0188】
なお、本発明の実施の形態7に係る増幅装置の構成は、実施の形態6に係る増幅装置と同様であるので、その説明を省略する。ただし、後述するように、運用モードの選択時の動作は、実施の形態6の場合とは異なる。なお、この実施の形態7では、制御部4,41,51が第2および第5の制御手段として機能する。
【0189】
次に、実施の形態7における制御部4,41,51による運用モードの選択について説明する。図9は、実施の形態7に係る増幅装置において、送信電力と電源数との関係の一例を示す図である。
【0190】
この実施の形態7における制御部4,41,51は、実施の形態6における制御部4,41,51と同様に動作するが、1電源運用と2電源運用との境界となる送信電力(すなわち、増幅装置の出力信号の電力)である閾値P1が、1電源での最大送信電力未満に設定されている。これにより、1電源運用の場合、増幅器1a,1bは、常に定格未満で動作することとなり、増幅時の歪特性が改善される。
【0191】
なお、その他の動作については、実施の形態6の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0192】
以上のように、上記実施の形態7によれば、制御部4,41,51が、入力信号の増幅に使用される増幅器1a,1bの個数を、各増幅器1a,1bが定格未満の低歪領域で動作可能な個数とする。これにより、この増幅装置の出力信号の歪特性が良好になる。
【0193】
例えば、最大電力の半分の電力で増幅器1a,1bが動作した場合には、3次相互変調歪が約6dB改善される。つまり、送信電力が1つの増幅器1a,1bの最大出力と同値である場合に、この実施の形態7に係る増幅装置では、2つの増幅器1a,1bにより入力信号の増幅が行われ、その際、3次相互変調歪が約6dB改善される。
【0194】
実施の形態8.
本発明の実施の形態8に係る増幅装置は、実施の形態1に係る増幅装置において、各増幅器1a,1bの温度を測定し、増幅器1a,1bに温度異常が発生している場合に、運用モードを変更し、その増幅器1a,1bの動作を停止させるようにしたものである。
【0195】
図10は、本発明の実施の形態8に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。図10において、制御部61は、実施の形態1の制御部4と同様に各部を制御する他、後述の増幅器温度検出手段62a,62bからの温度情報に基づいて各部を制御する回路である。制御部61は、実施の形態1における制御部4と同様にして実現可能である。
【0196】
また、増幅器温度検出手段62a,62bは、複数の増幅器1a,1bの温度をそれぞれ検出する素子である。増幅器温度検出手段62a,62bとしては、サーミスタ、熱電対などが使用される。
【0197】
なお、図10におけるその他の構成要素については、実施の形態1のものと同様であるので、その説明を省略する。なお、この実施の形態8では、制御部61が第3および第5の制御手段として機能する。
【0198】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0199】
2電源運用(第1の運用モード)において、制御部61は、動作中の2つの増幅器1a,1bの温度を、増幅器温度検出手段62a,62bからの温度情報に基づいて監視し、いずれか一方の増幅器1a,1bの温度が所定の温度以上になった場合に、所定の温度以上になった増幅器1a,1bを停止させ、増幅装置の運用を1電源運用(第2または第3の運用モード)へ移行させる。
【0200】
すなわち、第1の運用モードにおいて、増幅器1aの温度が所定の温度以上となった場合には、運用モードが第3の運用モードに変更され、増幅器1bの温度が所定の温度以上となった場合には、運用モードが第2の運用モードに変更される。
【0201】
また、第2の運用モードにおいて増幅器1aの温度が所定の温度以上となった場合には、運用モードを第3の運用モードに変更するようにしてもよい。また、第3の運用モードにおいて増幅器1bの温度が所定の温度以上となった場合には、運用モードを第2の運用モードに変更するようにしてもよい。
【0202】
さらに、所定の温度以上ではない増幅器が1つもない場合には、増幅装置の動作を停止させたり、あるいは、出力信号の電力を小さくさせたりするようにしてもよい。
【0203】
なお、その他の動作については、実施の形態1の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0204】
また、実施の形態8では、実施の形態1に係る増幅装置において、増幅器1a,1bの温度異常時の際の運用モードの切り換えを行っているが、他の実施の形態においても、同様にして、増幅器1a,1bの温度異常時の際の運用モードの切り換えを行うことが可能である。なお、その場合、実施の形態2,3に係る増幅装置では、第3の運用モードがないので、第1の運用モードにおいて増幅器1aの温度が所定の温度以上となった場合に第2の運用モードへ移行するのみである。
【0205】
以上のように、上記実施の形態8によれば、増幅器温度検出手段62a,62bは、複数の増幅器1a,1bの温度をそれぞれ検出し、制御部61は、増幅器温度検出手段62a,62bにより検出された増幅器1a,1bの温度に基づき、信号分配部5を制御して、所定の温度未満の増幅器1a,1bへ入力信号を供給させて入力信号の増幅を行わせる。これにより、ある増幅器1a,1bに温度異常があっても、残りの増幅器1a,1bにより、増幅装置の運用を継続させることができる。
【0206】
さらに、上記実施の形態8によれば、制御部61が、増幅器温度検出手段62a,62bにより検出される増幅器1a,1bの温度を常時監視し、各時点において、信号分配部5を制御して、所定の温度未満の増幅器1a,1bを、入力信号の増幅に使用される増幅器1a,1bに選択する。これにより、稼動中に増幅器1a,1bに温度異常が発生した場合に、増幅器1a,1bが故障して出力信号が劣化することを回避することができる。
【0207】
さらに、上記実施の形態8によれば、制御部61が、温度異常に起因して入力信号の増幅に使用しない増幅器1a,1bと電源2a,2bとの間の電源スイッチ手段31をオフにする。これにより、異常が発生した増幅器1a,1bに電圧が印加されなくなり、そのような増幅器1a,1bをより保護することができる。
【0208】
実施の形態9.
本発明の実施の形態9に係る増幅装置は、実施の形態8に係る増幅装置において、さらに、信号合成部72における電力合成回路23の温度を測定し、その電力合成回路23に温度異常が発生している場合に運用モードを変更し、電力合成回路23を保護するようにしたものである。
【0209】
増幅器1a,1bの個体差、増幅器1a,1bの電源電圧の差、増幅器1a,1bへの入力信号の不均衡などに起因して、増幅後の2つの信号の振幅および位相が同一ではない場合、電力合成回路23で電力損失が発生し、これに起因して熱が発生する。特に、2つの増幅器1a,1bの一方から電力合成回路23への信号が全くなくなった場合には、残りの信号の電力が、電力合成回路23で約3dB減衰し、この電力損失に応じた熱が発生する。例えば、残りの信号の電力が100ワットである場合には、電力合成回路23で約50ワットの熱が発生するが、通常の回路でこのような熱に耐えることは難しい。本実施の形態9に係る増幅装置は、電力合成回路23に温度異常が発生した場合に、運用を変更して、電力合成回路23への信号の入力を遮断する。
【0210】
図11は、本発明の実施の形態9に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。図11において、制御部71は、実施の形態8の制御部61と同様に各部を制御する他、後述の温度検出手段81からの温度情報に基づいて各部を制御する回路である。制御部71は、実施の形態1における制御部4と同様にして実現可能である。
【0211】
また、信号合成部72は、実施の形態8における信号合成部6の電力合成回路23に温度検出手段81を設けたものである。この温度検出手段81としては、サーミスタ、熱電対などが使用される。
【0212】
なお、温度検出手段81を、電力合成回路23のうちの抵抗Rの近くに配置するようにしてもよい。また、電力合成回路23が1つのモジュールとなっていない場合には、電力合成回路23の抵抗Rに設けるようにしてもよい。
【0213】
なお、図11におけるその他の構成要素については、実施の形態8のものと同様であるので、その説明を省略する。なお、この実施の形態9では、制御部71が第5の制御手段として、温度検出手段81が合成回路温度検出手段として機能する。
【0214】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0215】
図12は、実施の形態9に係る増幅装置における制御部71による温度監視を説明するフローチャートである。
【0216】
2電源運用(第1の運用モード)において、複数の増幅器1a,1bによる増幅後の信号が信号合成部72の電力合成回路23に供給されている場合、制御部71は、温度検出手段81からの温度情報に基づいて、電力合成回路23の温度を監視し(ステップS81,S82)、その温度が所定の温度以上になった場合に、増幅装置の運用を1電源運用(第2または第3の運用モード)へ移行させる。
【0217】
その際、制御部71は、電源制御部3a,3bの電圧検出手段32により2つの電源2a,2bの電圧を検知し(ステップS83)、2つの電源2a,2bのうち、第1の電源(ここでは電源2aとする)の電圧のほうが第2の電源(ここでは電源2b)の電圧より定格値に近いか否かを判断する(ステップS84)。
【0218】
第1の電源(電源2a)の電圧のほうが定格値に近い場合、制御部71は、第2の電源(電源2b)を停止させて、1電源運用(第2の運用モード)とする(ステップS85)。一方、第2の電源(電源2b)の電圧のほうが定格値に近い場合、制御部71は、第1の電源(電源2a)を停止させて、1電源運用(第3の運用モード)とする(ステップS86)。
【0219】
このように、電力合成回路23により信号の合成が行われる第1の運用モードにおいて、電力合成回路23の温度が所定の温度以上となった場合には、運用モードが第2または第3の運用モードに変更される。これにより、電力合成回路23には、増幅器1a,1bによる増幅後の信号が供給されなくなる。
【0220】
なお、その他の動作については、実施の形態8の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0221】
また、この実施の形態9では、2電源運用から1電源運用とし、信号合成部72内で電力合成回路23をバイパスするようにしているが、必要に応じて、増幅装置の動作を停止させるようにしてもよい。また、電力合成回路23の温度異常を検知した際に、その旨を音や光で報知する報知手段を設けるようにしてもよい。
【0222】
また、実施の形態9では、実施の形態8に係る増幅装置において、電力合成回路23の温度異常時の際の運用モードの切り換えを行っているが、他の実施の形態においても、同様にして、電力合成回路23の温度異常時の際の運用モードの切り換えを行うことが可能である。なお、その場合、実施の形態2,3に係る増幅装置では、第3の運用モードがないので、運用モードが、第1の運用モードと第2の運用モードとの間で移行するのみである。
【0223】
以上のように、上記実施の形態9によれば、温度検出手段81が、電力合成回路23の温度を検出し、制御部71が、温度検出手段81により検出された電力合成回路23の温度に基づき、信号分配部5および切換手段21a,21b,22a,22b,24a,24bを制御して電力合成回路23をバイパスさせる。これにより、電力合成回路23に温度異常が発生しても、増幅装置の運用を継続させることができる。
【0224】
実施の形態10.
本発明の実施の形態10に係る増幅装置は、4個の電源2a,2b,2c,2dで4個の増幅器1a,1b,1c,1dを駆動するようにしたものである。
【0225】
図13は、本発明の実施の形態10に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。図13において、増幅器1a,1b,1c,1dは、同一の入力信号から分配された複数の信号を最終段にて電力増幅する複数の増幅器である。なお、増幅器1a,1bは、実施の形態1のものと同様のものであり、増幅器1c,1dは、増幅器1a,1bと同様のものである。
【0226】
また、電源2a,2b,2c,2dは、増幅器1a,1b,1c,1dのそれぞれに対応して設けられ、対応する増幅器1a,1b,1c,1dに電力をそれぞれ供給する互いに独立した複数の直流電源である。なお、電源2a,2bは、実施の形態1のものと同様のものであり、電源2c,2dは、電源2a,2bと同様のものである。
【0227】
電源制御部3a,3b,3c,3dは、増幅器1a,1b,1c,1dと電源2a,2b,2c,2dとの間に設けられ、制御信号に応じてスイッチング動作する電源スイッチ手段31と、電源2a,2bの電源電圧を検出し、検出した電圧値の情報を出力する電圧検出手段32とを有する回路である。なお、電源制御部3a,3bは、実施の形態1のものと同様のものであり、電源制御部3c,3dは、電源制御部3a,3bと同様のものである。
【0228】
制御部91は、増幅器1a,1b,1c,1d、電源制御部3a,3b,3c,3dの電源スイッチ、後述の1:2信号分配部5a,5b,5c、後述の1:2信号合成部6a,6b,6c、前段増幅器7、高周波信号源8などを制御する回路である。なお、この制御部91は、実施の形態1の制御部4と同様にして実現可能である。
【0229】
信号分配部92は、複数の増幅器1a,1b,1c,1dの前段に設けられ、入力信号(ここでは前段増幅器7の出力信号)を増幅器1a,1b,1c,1dにおける全部または一部の複数の増幅器のそれぞれに分配するか、いずれかの1つの増幅器に出力する回路である。
【0230】
信号分配部92は、1:2信号分配部5a,5b,5cが2分岐状に2段接続されて構成される。各1:2信号分配部5a,5b,5cは、実施の形態1における信号分配部5と同様に構成される。
【0231】
すなわち、信号分配部92では、1系統の信号を供給された場合に、その1系統の信号を2系統に分配する電力分配回路14(2分配回路)が2分岐状に2段接続され、各段にて、切換手段11a,11b,12a,12b,13a,13b(切換回路)が、その1系統の信号を、電力分配回路14へ供給するか、または電力分配回路14をバイパスし2系統のうちのいずれかの系統へ出力する。
【0232】
信号合成部93は、複数の増幅器1a,1b,1c,1dの後段に設けられ、増幅器1a,1b,1c,1dにおける全部または一部の複数の増幅器からの増幅後の信号を合成するか、いずれか1つの増幅器からの増幅後の信号をそのまま出力する回路である。
【0233】
信号合成部93は、2:1信号合成部6a,6b,6cが逆2分岐状に2段接続されて構成される。各2:1信号合成部6a,6b,6cは、実施の形態1における信号合成部6と同様に構成される。
【0234】
すなわち、信号合成部93では、2系統の信号を供給された場合に、その2系統の信号を1系統に分配する電力合成回路23が逆2分木状に2段接続され、各段にて、切換手段21a,21b,22a,22b,24a,24b(切換回路)が、その2系統の信号を電力合成回路23へ供給するか、または電力合成回路23をバイパスし2系統のうちのいずれかの系統の信号を出力する。
【0235】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0236】
この実施の形態10では、制御部91は、増幅器1a,1b,1c,1d、信号分配部92、信号合成部93および電源制御部3a,3b,3c,3dを制御して、4つの増幅器1a,1b,1c,1dのうちの、4つ、2つ、1つのうちのいずれかの個数の増幅器が入力信号の増幅に使用されるようにする。また、実施の形態1の場合と同様にして、使用しない増幅器1a,1b,1c,1dに対応する電力制御部3a,3b,3c,3dの電源スイッチは、制御部91によりオフとされる。
【0237】
まず、4つの増幅器1a,1b,1c,1dが入力信号の増幅に使用される場合について説明する。
【0238】
4つの増幅器1a,1b,1c,1dが入力信号の増幅に使用される場合、信号分配部92の1:2信号分配部5aが、入力信号を2系統に分配し、その後段で、1:2信号分配部5b,5cが、各系統の信号をそれぞれ、さらに2系統に分配する。これにより、4系統に分配された信号が、4つの増幅器1a,1b,1c,1dに供給される。
【0239】
そして、4つの増幅器1a,1b,1c,1dにより増幅された4つの信号のうち、増幅器1a,1bにより増幅された2つの信号が、2:1信号合成部6aにより合成され、増幅器1c,1dにより増幅された2つの信号が、2:1信号合成部6bにより合成される。その後段で、2:1信号合成部6cが、2:1信号合成部6aにより合成された信号と、2:1信号合成部6aにより合成された信号をさらに合成し、合成後の信号を増幅装置の出力信号として出力する。
【0240】
次に、4つの増幅器1a,1b,1c,1dのうちの2つの増幅器が入力信号の増幅に使用される場合について説明する。
【0241】
この場合においては、増幅器1a,1bが使用される場合、増幅器1c,1dが使用される場合、増幅器1a,1cが使用される場合、増幅器1b,1dが使用される場合、増幅器1a,1dが使用される場合、および増幅器1b,1cが使用される場合がある。
【0242】
増幅器1a,1bが使用される場合には、入力信号は、1:2信号分配部5aを介して1:2信号分配部5bに供給され、1:2信号分配部5bにより2系統に分配される。そして、増幅後の信号は、2:1信号合成部6aにより合成され、合成後の信号が、2:1信号合成部6cを介して出力信号として出力される。
【0243】
増幅器1c,1dが使用される場合には、入力信号は、1:2信号分配部5aを介して1:2信号分配部5cに供給され、1:2信号分配部5cにより2系統に分配される。そして、増幅後の信号は、2:1信号合成部6bにより合成され、合成後の信号が、2:1信号合成部6cを介して出力信号として出力される。
【0244】
増幅器1a,1cが使用される場合には、入力信号は、1:2信号分配部5aにより2系統に分配され、そのうちの一方の系統の信号が1:2信号分配部5bを介して増幅器1aに供給され、他方の系統の信号が1:2信号分配部5cを介して増幅器1cに供給される。そして、増幅後の信号は、2:1信号合成部6a,6bを介して2:1信号合成部6cに供給され、2:1信号合成部6cによる合成後の信号が、出力信号として出力される。なお、増幅器1a,1dが使用される場合には、1:2信号分配部5aからの他方の系統の信号が、1:2信号分配部5cを介して増幅器1cではなく増幅器1dに供給される。
【0245】
増幅器1b,1dが使用される場合には、入力信号は、1:2信号分配部5aにより2系統に分配され、そのうちの一方の系統の信号が1:2信号分配部5bを介して増幅器1bに供給され、他方の系統の信号が1:2信号分配部5cを介して増幅器1dに供給される。そして、増幅後の信号は、2:1信号合成部6a,6bを介して2:1信号合成部6cに供給され、2:1信号合成部6cによる合成後の信号が、出力信号として出力される。なお、増幅器1b,1cが使用される場合には、1:2信号分配部5aからの他方の系統の信号が、1:2信号分配部5cを介して増幅器1dではなく増幅器1cに供給される。
【0246】
次に、4つの増幅器1a,1b,1c,1dのうちの1つの増幅器が入力信号の増幅に使用される場合について説明する。
【0247】
この場合、いずれの1:2信号分配部5a,5b,5cにおいても、信号の分配は行われず、入力信号がいずれか1つの増幅器1a,1b,1c,1dにそのまま供給される。そして、増幅後の信号が、2:1信号合成部6a,6b,6cを介して増幅装置の出力信号として出力される。
【0248】
なお、この実施の形態10に係る増幅装置においても、実施の形態2〜9に示すように実施の形態1に係る増幅装置に対して適用されている技術を適用可能である。
【0249】
以上のように、上記実施の形態10に係る増幅装置は、同一の入力信号から分配された複数の信号を最終段にて電力増幅する複数の増幅器1a,1b,1c,1dと、それらの複数の増幅器1a,1b,1c,1dのそれぞれに対応して設けられ、対応する増幅器1a,1b,1c,1dに電力をそれぞれ供給する互いに独立した複数の電源2a,2b,2c,2dとを備える。これにより、増幅器1a,1b,1c,1dへ供給される電流が分散され、低電圧大電流で大出力とする場合の電力損失を少なくするとともに放熱を良好に行うことができる。
【0250】
さらに、上記実施の形態10に係る増幅装置は、2のn乗(ここでは、n=2)である所定の個数の増幅器1a,1b,1c,1dを備える。そして、信号分配部92が、1系統の信号を供給された場合に、その1系統の信号を2系統に分配する2分岐状にn段の電力分配回路14と、各段にて、その1系統の信号を電力分配回路14へ供給するか、または電力分配回路14をバイパスし2系統のうちのいずれかの系統へ出力する切換手段11a,11b,12a,12b,13a,13bとを有する。これにより、増幅器1a,1b,1c,1dが4つ以上であっても、入力信号の増幅に使用される増幅器およびその数を簡単に変更、設定することができる。
【0251】
なお、上記実施の形態10では、増幅器1a,1b,1c,1dが4個であるが、8個(n=3)でも、16個(n=4)でも、またそれ以上でも、同様にして増幅装置を実現することが可能である。
【0252】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0253】
例えば、上記実施の形態5,8,9のいずれかに係る増幅装置において、制御部4,41,51または制御部61が、入力信号の増幅に使用される増幅器の個数が運用状態の切換の前後で変化した場合に、増幅器1a,1bを制御して、この増幅装置の出力電力を、運用状態の切換前(変化前)の出力とすることが可能であれば、同一にするようにしてもよい。もし、変化前の出力を出すことが不可能であれば、その変化後の個数の増幅器による最大値に出力電力が設定されるようにしてもよい。
【0254】
すなわち、例えば、1電源運用から2電源運用へ切り換える前の出力電力の設定値が90ワットであった場合には、切換後に2電源運用となっても、各増幅器1a,1bの出力電力が45ワットとされ、増幅装置の出力電力が90ワットのままとされる。
【0255】
また、上記実施の形態5,8,9のいずれかに係る増幅装置において、制御部4,41,51または制御部61が、入力信号の増幅に使用される増幅器の個数が運用状態の切換の前後で変化した場合に、増幅器1a,1bを制御して、この増幅装置の出力電力を、入力信号の増幅に使用される増幅器の個数の運用状態の切換前後での比と同一の比率で増減させるようにしてもよい。
【0256】
すなわち、例えば、1電源運用から2電源運用へ切り換える前の出力電力の設定値が90ワットであった場合に、切換後の出力電力は、180ワット(=90×2)とされる。
【0257】
その他、上記実施の形態5,8,9のいずれかに係る増幅装置において、入力信号の増幅に使用される増幅器の個数が運用状態の切換の前後で変化した場合に、切換後の出力電力を、切換後の最大出力としてもよいし、任意の電力値に設定することができるようにしてもよい。
【0258】
また、上記実施の形態5,8,9のいずれかに係る増幅装置において、増幅装置の稼動中に、切断されていた電源2a(2b)が接続された場合、電源電圧に基づいてそれを検知し、制御部4,41,51が、その電源を含めた運用に自動的に切り換えるようにしてもよい。その場合にも上述のように、切換後の出力電力が自動的に設定されるようにしてもよい。
【0259】
さらに、上述の各実施の形態に係る増幅装置を無線機に適用し、その無線機において、上述の各実施の形態に係る増幅装置における複数の増幅器を送信回路の最終段の増幅器とし、複数の電源をこの無線機の外部から接続されるようにしてもよい。
【0260】
なお、上記各実施の形態1〜9では、信号分配回路5,42は、1系統の信号を2系統に分配しているが、3系統以上に分配する回路にし、その系統と同数の増幅器により入力信号を増幅するようにしてもよい。その場合、信号合成回路6,43,72も、その系統数の信号を1系統の信号に合成する回路とする。
【0261】
【発明の効果】
本発明によれば、低電圧大電流で大出力とする場合の電力損失を少なくするとともに放熱を良好に行うことができる増幅器およびその増幅器を使用した無線機、並びに信号増幅方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態2に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明の実施の形態3に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図4】 実施の形態4を実施の形態1に適用した場合における制御部による運用モードの切換動作について説明するフローチャートである。
【図5】 実施の形態5に係る増幅装置が2電源運用から1電源運用に移行する場合について説明するフローチャートである。
【図6】 実施の形態5に係る増幅装置が1電源運用から2電源運用に移行する場合について説明するフローチャートである。
【図7】 実施の形態6に係る増幅装置における制御部による運用モードの選択について説明するフローチャートである。
【図8】 実施の形態6に係る増幅装置において、送信電力と電源数との関係の一例を示す図である。
【図9】 実施の形態7に係る増幅装置において、送信電力と電源数との関係の一例を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態8に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図11】 本発明の実施の形態9に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図12】 実施の形態9に係る増幅装置における制御部による温度監視を説明するフローチャートである。
【図13】 本発明の実施の形態10に係る増幅装置の構成を示すブロック図である。
【図14】 従来の送信回路の増幅装置の一例を示す回路図である。
【図15】 従来の送信回路の増幅装置の他の例を示す回路図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d 増幅器
2a,2b,2c,2d 電源
4,41,51 制御部(第1の制御手段、第2の制御手段、第5の制御手段)
5,42,92 信号分配部
6,43,72,93 信号合成部
11a,11b,12a,12b,13a,13b 切換手段(入力側運用切換回路、切換回路)
14 電力分配回路(分配回路、2分配回路)
21a,21b,22a,22b,24a,24b 切換手段(出力側運用切換回路)
23 電力合成回路
31 電源スイッチ手段
32 電圧検出手段
51 制御部(第4の制御手段)
52 電源切換手段
61 制御部(第3の制御手段、第5の制御手段)
62a,62b 増幅器温度検出手段
71 制御部(第5の制御手段)
81 温度検出手段(合成回路温度検出手段)
91 制御部

Claims (11)

  1. 同一の入力信号から分配された複数の信号を電力増幅する複数の増幅器と、
    上記複数の増幅器のそれぞれに対応して設けられ、対応する上記増幅器に電力をそれぞれ供給する互いに独立した複数の電源と、
    上記複数の増幅器の前段に設けられ、この増幅装置への入力信号を、複数の増幅器のうちの全部または一部の増幅器のそれぞれに分配するか、いずれかの増幅器にそのまま出力する信号分配部と、
    上記複数の電源のそれぞれの電圧を検出する複数の電圧検出手段と、
    上記電圧検出手段により検出された電圧に基づき、上記信号分配部を制御して、電圧が所定の範囲内にある上記電源に対応する上記増幅器へ入力信号を供給させて入力信号の増幅を行わせる第1の制御手段と、
    を有することを特徴とする増幅装置。
  2. 前記第1の制御手段は、前記電圧検出手段により検出される電圧を常時監視し、各時点において、前記信号分配部を制御して、電圧が所定の範囲内にある前記電源に対応する前記増幅器の全部または一部を、入力信号の増幅に使用される前記増幅器に選択することを特徴とする請求項1記載の増幅装置。
  3. 前記第1の制御手段は、入力信号の増幅に使用される前記増幅器の個数が変化した場合に、前記増幅器を制御して、この増幅装置の出力電力を、前記入力信号の増幅に使用される前記増幅器の個数の変化前後での比と同一の比率で増減させることを特徴とする請求項2記載の増幅装置。
  4. 前記増幅器は、無線機の送信回路の最終段増幅器であり、
    前記第1の制御手段は、入力信号の増幅に使用される前記増幅器を少なくする場合に上記無線機が送信中であるときには、上記無線機の状態を受信状態に移行させた後に、入力信号の増幅に使用される前記増幅器を少なくすること、
    を特徴とする請求項2記載の増幅装置。
  5. 前記第1の制御手段は、入力信号の増幅に使用される前記増幅器を少なくした後に、前記無線機の状態を送信状態に再度移行させることを特徴とする請求項4記載の増幅装置。
  6. 前記第1の制御手段は、入力信号の増幅に使用される前記増幅器の個数を、各増幅器が最大出力未満の低歪領域で動作可能な個数とすることを特徴とする請求項1記載の増幅装置。
  7. 前記複数の電源と前記複数の増幅器との間にそれぞれ設けられた複数の電源スイッチ手段を備え、
    前記第1の制御手段は、入力信号の増幅に使用しない前記増幅器と前記電源との間の上記電源スイッチ手段をオフにすること、
    を特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の増幅装置。
  8. 前記複数の増幅器の温度をそれぞれ検出する複数の増幅器温度検出手段と、
    上記増幅器温度検出手段により検出された前記増幅器の温度に基づき、前記信号分配部を制御して、所定の温度未満の前記増幅器へ入力信号を供給させて入力信号の増幅を行わせる第2の制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の増幅装置。
  9. 前記第2の制御手段は、前記増幅器温度検出手段により検出される前記増幅器の温度を常時監視し、各時点において、前記信号分配部を制御して、所定の温度未満である前記増幅器の全部または一部を、入力信号の増幅に使用される前記増幅器に選択することを特徴とする請求項8記載の増幅装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項記載の増幅装置における前記複数の増幅器を送信回路の最終段の増幅器として備え、前記複数の電源を外部から接続されることを特徴とする無線機
  11. 複数の電源のそれぞれにより、複数の増幅器のそれぞれに電力を互いに独立に供給し、
    上記複数の増幅器により、同一の入力信号から分配された複数の信号を最終段にて電力増幅し、
    上記複数の電源のそれぞれの電圧を検出し、
    検出された電圧に基づき、上記複数の増幅器の前段に設けられ、この増幅装置への入力信号を、複数の増幅器のうちの全部または一部の増幅器のそれぞれに分配するか、いずれかの増幅器にそのまま出力する信号分配部を制御して、電圧が所定の範囲内にある上記電源に対応する上記増幅器へ入力信号を供給させて入力信号の増幅を行わせる、
    ことを特徴とする信号増幅方法
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