JP3982504B2 - 車両用暗視カメラ装置および表示装置 - Google Patents

Description

本発明は、赤外線カメラを用いて車両前方を撮影して、表示手段に表示する車両用暗視カメラ装置および表示装置に関する。

夜間に、車両前方を近赤外線カメラで撮影し、ヘッドアップディスプレイに暗視映像を映し出すナイトビューシステムが知られている（非特許文献１参照）。

トヨタランドクルーザー 新型車解説書（２００２年８月発行） ナイトビューシステム

しかしながら、従来のシステムでは、ドライバが車両前方の遠方を確認するために、車両のヘッドライトをハイビームにしてもヘッドアップディスプレイの表示は特に変化しないので、遠方の視認性を損なう可能性があった。

（１）本発明による車両用暗視カメラ装置は、車両に設けられた赤外線カメラにより撮影された暗視映像を表示手段に表示する装置であって、車両のヘッドライトが上向きにされたと判定されると、表示手段にされている暗視映像を消去することを特徴とする。
（２）本発明による表示装置は、車両のヘッドライトが上向きにされたことを検出するヘッドライト状態検出手段から、ヘッドライトが上向きにされたことを示す信号が入力されると、表示している暗視映像を消去することを特徴とする。

（１）本発明による車両用暗視カメラ装置によれば、車両のヘッドライトが上向きにされたと判定されると、表示手段に表示する暗視映像を消去するので、遠方を確認したいというドライバの意図に応じた表示制御を行い、遠方視認性を向上させることができる。
（２）本発明による表示装置によれば、車両のヘッドライトが上向きにされたことを示す信号が入力されると、表示している暗視映像を消去するので、遠方を確認したいというドライバの意図に応じた表示制御を行うことができる。

図１は、本発明による車両用暗視カメラ装置の一実施の形態の全体構成を示す図である。また、図２は、一実施の形態における車両用暗視カメラ装置のブロック構成図である。一実施の形態における車両用暗視カメラ装置は、赤外線カメラ１と、電子制御ユニット２（以下、ＥＣＵ２と呼ぶ）と、ヘッドアップディスプレイ（ＨＵＤ）３と、赤外線投光器４Ｒ，４Ｌと、ハイビーム表示制御スイッチ５と、ハイビームスイッチ６とを備える。

赤外線カメラ１は、フロントウインドウの上方に取り付けられ、車両前方を撮影する。赤外線カメラ１は、人間の目に見えない波長の光である近赤外光を受光することにより、夜間における人物や物を撮影することができる。赤外線投光器４Ｒおよび４Ｌは、例えば、フロントバンパに設けられ、赤外線カメラ１による撮影を行うために、近赤外光を車両前方に投射する。ヘッドアップディスプレイ３は、フロントガラス上のドライバが見やすい位置に設けられ、赤外線カメラ１により撮影された映像を少なくとも表示することができる。

車両のヘッドライト（ヘッドランプ）は、図示しないライトスイッチにより、ハイビーム／ロービームを切り換えることができる。ハイビームスイッチ６は、ヘッドライトがハイビームに切り替えられるとオンし、ロービームに切り換えられるとオフする。ＥＣＵ２は、ＣＰＵ２ａ，ＲＯＭ２ｂ，ＲＡＭ２ｃを備え、ハイビームスイッチ６がオンすると、ヘッドアップディスプレイ３に表示する暗視映像、すなわち、赤外線カメラ１により撮像される映像の表示状態を変更する。

ハイビーム表示制御スイッチ５は、ズーム表示、消去表示を切り換えるためのスイッチであり、ドライバにより操作される。ＥＣＵ２は、ハイビーム表示制御スイッチ５がズーム表示に設定されている場合には、ヘッドライトがハイビームにされた時に、ヘッドアップディスプレイ３に表示される暗視映像に対してデジタルズーム処理を施し、暗視映像を拡大表示する。

図３は、ヘッドアップディスプレイ３に表示される暗視映像が拡大表示される様子を示す図である。図３（ａ）は、拡大表示される前の通常時の映像であり、夜間において、赤外線カメラ１により撮影された映像である。図３（ａ）の画面中央の白い部分は、人物である。図３（ｂ）は、図３（ａ）に示す映像の中央部分を拡大した映像である。図３（ｂ）に示すように、図３（ａ）に示す画面中央の人物が拡大して表示されている。

このように、ヘッドライトがハイビームにされた時に、赤外線カメラ１により撮影された暗視映像をヘッドアップディスプレイ３に表示する際に、暗視映像を拡大表示することにより、車両前方の遠方領域が拡大して表示されるので、遠方を確認したいというドライバの意志に応じた映像を表示させることができる。

一方、ハイビーム表示制御スイッチ５が消去表示に設定されている場合には、ＥＣＵ２は、ヘッドライトがハイビームにされた時に、ヘッドアップディスプレイ３に表示されている暗視映像を消去する。図４はヘッドアップディスプレイ３に表示される暗視映像が消去される様子を示す図である。図４（ａ）は、通常時の映像であり、図４（ｂ）は、ヘッドアップディスプレイ３に表示される映像が消去された様子を示す図である。

ドライバによっては、ヘッドライトをハイビームにした際に、遠方を目視により確認するだけで十分な場合もある。従って、そのようなドライバに対しては、ヘッドアップディスプレイ３に表示されている暗視映像が消去されると、フロントガラスを通して車両前方を確認する際に確認しやすくなる。

図５は、一実施の形態における車両用暗視カメラ装置により行われる処理内容を示すフローチャートである。ステップＳ１０から始まる処理は、ＥＣＵ２のＣＰＵ２ａにより行われる。ステップＳ１０では、ハイビームスイッチ６から入力される信号に基づいて、ハイビームスイッチ６がオンされたか否かを判定する。ハイビームスイッチ６がオンされたと判定するとステップＳ２０に進み、オンされていないと判定するとステップＳ１０で待機する。

ステップＳ２０では、ハイビーム表示制御スイッチ５から入力される信号に基づいて、ハイビーム表示制御スイッチ５がズーム表示に設定されているか否かを判定する。ハイビーム表示制御スイッチ５がズーム表示に設定されていると判定するとステップＳ３０に進み、消去表示に設定されていると判定するとステップＳ４０に進む。

ステップＳ３０では、赤外線カメラ１により撮影された映像の中央部分に対して、デジタルズーム処理を施し、中央部分を拡大した映像をヘッドアップディスプレイ３に表示する。一方、ステップＳ４０では、ヘッドアップディスプレイ３には映像を表示させない。すなわち、ヘッドアップディスプレイ３に暗視映像が表示されている場合には、表示されている映像を消去する処理を行う。ステップＳ３０またはステップＳ４０の処理が行われると、ステップＳ１０に戻る。以後、ステップＳ１０以降の処理が繰り返し行われる。

一実施の形態における車両用暗視カメラ装置によれば、車両のヘッドライトが上向き（ハイビーム）にされると、赤外線カメラにより撮影される暗視映像をヘッドアップディスプレイに表示させる際の表示状態を変更するので、遠方を確認したいというドライバの意図に沿った映像をヘッドアップディスプレイに表示させることができる。

特に、一実施の形態における車両用暗視カメラ装置では、車両のヘッドライトが上向き（ハイビーム）にされた時に、ヘッドアップディスプレイに映像を表示させないことにより、ドライバはハイビームにより照らされる遠方領域を目視にて確認する際に、確認しやすくなる。

また、一実施の形態における車両用暗視カメラ装置では、車両のヘッドライトが上向き（ハイビーム）にされた時に、赤外線カメラにより撮影される暗視映像を拡大してヘッドアップディスプレイに表示するので、遠方領域の映像をヘッドアップディスプレイにて確認することができる。

本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、赤外線カメラにより撮影される暗視映像をヘッドアップディスプレイに表示したが、カーナビゲーション装置に利用される車内モニタ等の他の表示装置に表示させてもよい。

車両のヘッドライトは、ハイビームとロービームとを切り換えることができるものとして説明したが、照射距離を３段階以上の多段階に切り換えることができるものにも本発明を適用することができる。すなわち、ヘッドライトが上向きにされて、遠方が照射された場合に、ヘッドアップディスプレイなどの表示装置に表示する暗視映像の表示状態を変更するようにすればよい。

一実施の形態における車両用暗視カメラ装置では、暗視映像を拡大表示する際に、赤外線カメラ１により撮影した暗視映像の中央部分を拡大したが、拡大する領域は中央部分に限られることはない。例えば、撮影した映像に画像処理を施して、人物などが写されている部分を拡大するようにしてもよい。また、映像を拡大表示する際に、デジタルズーム処理を施したが、ズームレンズを用いて遠方を撮影した映像を表示するようにしてもよい。

また、ハイビーム表示制御スイッチ５が消去表示に設定されている場合には、ヘッドアップディスプレイに表示されている映像を消去したが、例えば、表示を暗く（または薄く）して、実質的に消去したのと同様の状態にすることにより、ドライバが表示を認識できないようにしてもよい。すなわち、ヘッドアップディスプレイに表示される暗視映像をドライバの視界から外すことにより、ドライバはハイビームにより照らされる前方視界に集中することができる。

上述した一実施の形態における車両用暗視カメラ装置では、ハイビーム表示制御スイッチ５により、「ズーム表示」と「消去表示」とを選択できたが、さらに、表示状態を変更しない「通常表示」を選択できるようにしてもよい。ドライバが「通常表示」を選択した場合には、ヘッドライトがハイビームにされた場合でも、ヘッドアップディスプレイ３に表示される暗視映像の表示状態は変更しない。すなわち、赤外線カメラ１により撮影される暗視映像がそのままヘッドアップディスプレイ３に表示される。

特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、赤外線カメラ１が赤外線カメラを、ハイビームスイッチ６がヘッドライト状態検出手段を、ＥＣＵ２が表示状態変更手段をそれぞれ構成する。また、ＥＣＵ２が表示装置を構成する入力手段および表示制御手段を構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。

本発明による車両用暗視カメラ装置の一実施の形態の全体構成を示す図 一実施の形態における車両用暗視カメラ装置のブロック構成図 図３（ａ）は、拡大表示される前の通常時の映像を示す図、図３（ｂ）は、図３（ａ）に示す映像の中央部分を拡大した映像を示す図 図４（ａ）は、通常時の映像を示す図であり、図４（ｂ）は、ヘッドアップディスプレイ３に表示される映像が消去された様子を示す図 一実施の形態における車両用暗視カメラ装置により行われる処理内容を示すフローチャート

符号の説明

１…赤外線カメラ
２…ＥＣＵ
３…ヘッドアップディスプレイ
４Ｒ，４Ｌ…赤外線投光器
５…ハイビーム表示制御スイッチ
６…ハイビームスイッチ

Claims (8)

1. 車両に設けられ、車両前方を撮影する赤外線カメラと、
   前記赤外線カメラにより撮影された映像（以下、暗視映像と呼ぶ）を表示する表示手段と、
   車両のヘッドライトが上向きにされたことを検出するヘッドライト状態検出手段と、
   前記ヘッドライト状態検出手段によりヘッドライトが上向きにされたことが検出されると、前記表示手段に表示されている暗視映像を消去する表示状態変更手段とを備えることを特徴とする車両用暗視カメラ装置。
2. 車両に設けられ、車両前方を撮影する赤外線カメラと、
   前記赤外線カメラにより撮影された映像（以下、暗視映像と呼ぶ）を表示する表示手段と、
   車両のヘッドライトが上向きにされたことを検出するヘッドライト状態検出手段と、
   前記ヘッドライト状態検出手段によりヘッドライトが上向きにされたことが検出されると、前記赤外線カメラにより撮影された暗視映像を拡大して前記表示手段に表示させる表示状態変更手段とを備えることを特徴とする車両用暗視カメラ装置。
3. 請求項１または請求項２に記載の車両用暗視カメラ装置において、
   前記表示手段は、ヘッドアップディスプレイであることを特徴とする車両用暗視カメラ装置。
4. 請求項１から請求項３のいずれか一項に記載の車両用暗視カメラ装置において、
   前記表示状態変更手段は、前記表示手段に表示されている暗視映像を消去する第１の制御モード、および、前記赤外線カメラにより撮影された暗視映像を拡大して前記表示手段に表示させる第２の制御モードのうち、いずれか一方の制御モードを実行することを特徴とする車両用暗視カメラ装置。
5. 車両前方を撮影する赤外線カメラにより撮影された暗視映像を表示手段に表示する車両用暗視カメラ装置において、
   車両のヘッドライトが上向きにされたと判定されると、前記表示手段に表示している暗視映像を消去することを特徴とする車両用暗視カメラ装置。
6. 請求項５に記載の車両用暗視カメラ装置において、
   車両のヘッドライトが上向きにされたと判定されると、前記表示手段に表示されている暗視映像を消去する第１の制御モード、および、前記赤外線カメラにより撮影された暗視映像を拡大して前記表示手段に表示させる第２の制御モードのうち、いずれか一方の制御モードを実行することを特徴とする車両用暗視カメラ装置。
7. 車両前方を撮影する赤外線カメラにより撮影された暗視映像を表示する表示装置において、
   車両のヘッドライトが上向きにされたことを検出するヘッドライト状態検出手段から、ヘッドライトが上向きにされたことを示す信号を入力する入力手段と、
   前記入力手段にヘッドライトが上向きにされたことを示す信号が入力されると、表示している暗視映像を消去する表示制御手段とを備えることを特徴とする表示装置。
8. 請求項７に記載の表示装置において、
   前記表示制御手段は、表示している暗視映像を消去する第１の制御モード、および、前記赤外線カメラにより撮影された暗視映像を拡大して表示させる第２の制御モードのうち、いずれか一方の制御モードを実行することを特徴とする表示装置。
   

Images