JP3982370B2 - 直流ブラシモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流ブラシモータに関するものであり、特に、直流ブラシモータのコア形状に係わる。
【0002】
【従来の技術】
従来、直流ブラシモータには、ハウジングに対して軸支され、回転自在であるシャフトと、軟磁性粉末から成る成形体で、外周に形成された円弧状の突極と、突極の内径側に形成された凹部状の巻線部を一体で有し、シャフトと一体回転を行うコアと、コアの巻線部に巻回されるコイルと、コイルに給電を行うブラシと、コアに対向して配設される永久磁石とを備えた直流ブラシモータが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、上記した様に金属の粉末から成形体を作る方法として、粉末を用いて複数の金型を鉛直方向に順次スライドさせ(例えば、ダイに対して、コアロッド、上下パンチを鉛直方向に移動させ)、加圧成形を行うことにより、圧粉体(成形品)を作る方法が知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
上記した従来技術の様に、複数の金型を順次スライドさせながら加圧成形を行う方法を、直流モータのコアを作る場合に適用すれば、高密度成形が行え、突極での磁気特性を向上させることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−86719号公報(第25段落、第1図)
【0006】
【特許文献2】
特開平10−166188号公報(第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の成形方法により、複数の突極が周方向に形成されたコアを作る為、軸方向において形状に段差がないコアを粉末成形によって成形を行う場合においては、高密度成形を行う為に成形圧力を上げることができる。
【0008】
しかしながら、コアに凹部が形成されており、直流モータの軸方向の大きさが大きくならない様、凹部内に軸受やブラシ等を配設する段差形状となったコアを作る場合、次に示す問題が起こり得る。
【0009】
つまり、コアの粉末成形を行うと、コア外周の円弧状の突極を形成する金型は突極の厚さに応じて薄くなる。しかも、複数の突極がコア中心から放射状に周方向に形成される形状とする為に、突極を形成する金型は周方向において櫛歯状となる。この為、突極を形成する金型は櫛歯状且つ薄肉となり、高密度成形を行う際に成形時の圧力を上げると、薄くなった金型は変形し易くなってしまい、成形に支障が生じ得る。
【0010】
また、従来では成形を行う方法として、一般的に金型と粉末とを加熱する温間成形法や、2回成形法等の成形方法があるが、温間成形法では専用の粉末潤滑剤と加熱装置が必要となり、2回成形法では2回の成形が必要となる為、これらの方法では、コストアップしてしまう。
【0011】
更に、コア自体を複雑な形状にせず、積層鋼板を単に積層した形状にすれば、金型の変形に対する影響は解消されるが、これでは直流モータが大型化してしまい、直流モータの小型化には対応できないものとなってしまう。
【0012】
突極の厚みに関して言えば、突極の厚みおよび外周面の幅は、モータ性能により決定され、その厚みが薄い場合および外周面の幅が狭い場合には、磁気特性上、永久磁石からの十分な磁束を集めることができなくなってしまう。一方、突極の厚みが厚い場合には、直流モータは径方向に大きくなってしまうので、これも直流モータの小型化には対応できなくなってしまう。
【0013】
よって、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、小型化に対応が可能なコア形状とすること、コアを成形により作る場合に金型に影響を与えないコア形状とすること、コア成形時にコストアップしないコア形状とすること、を技術的課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために講じた技術的手段は、ハウジングと、該ハウジングに対して軸支され、回転自在であるシャフトと、軟磁性粉末から成る成形体で、外周に形成された突極と、該突極の内径側に形成された凹部状の巻線部を一体で有し、前記シャフトと一体回転を行うコアと、前記巻線部に巻回されるコイルと、該コイルに給電を行うブラシと、前記コアに対向して配設される永久磁石とを備えた直流ブラシモータにおいて、前記コアは、前記巻線部に巻回されたコイルと前記突極との間に、前記突極と一体で形成され、前記突極の径方向の厚みを内径側に肉厚にする突極補強部を有したことである。
更に、前記突極補強部の径方向の厚みは、前記突極の径方向の厚みよりも肉厚である。
【0015】
上記した構成により、軟磁性粉末から成るコアには、巻線部と前記突極との間に、前記突極の径方向の厚みを内径側に肉厚にする突極補強部を有したので、コイルが巻回されていない部位を突極補強部として有効利用することが可能である。この突極補強部により突極に至る部位が肉厚となり、突極の剛性を補強して向上させることが可能となる。
【0016】
また、突極補強部は、突極の径方向の厚みが薄くても、突極に連続する突極補強部の径方向の厚みを肉厚にすることから、突極を成形する金型は、径方向における突極および突極補強部の大きさを加算した大きさとなるので、加圧成形を行っても金型が変形する等の不具合を生じさせないコア形状となる。
【0017】
突極補強部は突極を作る場合に一体で成形することが可能であるため、突極補強部の成形には余分な金型は必要なく、コストアップしないコア形状とすることが可能となる。
【0018】
この場合、突極補強部と突極は、内側に向かって凸の形状となっていれば、複数の巻線部をまたいで巻くコイルの重ね巻きを行う場合に、コイルが巻かれていない部位に厚みを持たせることが可能となる。この為、コア形状により小型化を図った上でのハウジング内の空きスペースを有効利用して、磁極の補強およびコア形成時の金型に影響を与えないコア形状とすることが可能となる。
【0019】
また、突極補強部は、周方向において段差が形成されると、ハウジング内の空きスペースを更に有効利用し、補強できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1に、直流ブラシモータ(単に、モータと称す)1の構成を示す。モータ1を構成するハウジング2はヨークの機能を兼ね備えており、ドーナツ状の開口を有するハウジング本体2aと、ハウジング本体2aの一方の開口端を覆うプレート部材2bとから構成されている。このハウジング本体2aとプレート部材2bは、数箇所でボルト等の締結部材により固定されている。
【0022】
ハウジング本体2aは磁性体(例えば、鉄等)から成り、プレス加工により作られている。ハウジング本体2aは、外径にフランジを有する有底円筒状となっており、ハウジング本体2aの中央には円筒状の折曲げ部3が軸方向において内側に延在する。折曲げ部3のから中側に延在する先端にかけては、途中、段差部3aが形成されていると共に、端部が軸方向に延在する小径部3bが形成される。この小径部3bには軸受6aの外輪が圧入され、内輪にはシャフトが圧入されている。
【0023】
一方、ハウジング本体2aの開口を閉塞する円盤状のプレート部材2bは、中央がフランジ状の軸受支持部7となっている。この軸受支持部7に軸受6bの外輪が圧入され、軸受6bの内輪にはシャフト5が圧入されることにより、シャフト5は2つの軸受6a,6bによってハウジング2に対して両持ちで軸支され、回転自在となっている。
【0024】
ハウジング本体2aの内壁には、2つの円弧状の永久磁石8が接着等により固定されている。永久磁石8は軸方向の長さは、ハウジング本体2a軸方向の内寸と略同一となっており、その内径に軸受6a,6bによって、シャフト5が回転自在に軸支されたロータ4が配設される。ロータ4はコア9と、コア9に巻かれるコイル10と、コア9をシャフト5に一体回転自在な状態で支持する絶縁樹脂(例えば、不飽和ポリエステル等)から成る支持部材11とから主として構成されている。
【0025】
支持部材11は鉢状を呈し、軸方向における長さは永久磁石8の長さよりも若干短く、支持部材11はコア9とシャフト5をインサートして、インサート成形により作られる。これによって、シャフト5と支持部材11及びコア9は一体回転する。この支持部材11は中空円筒状の折曲げ部3よりも、若干、径の大きい凹部12が軸受6a側に形成されている。また、プレート部材2b側の支持部材11には、軸受支持部7の端部を収容可能な凹部13が形成されている。従って、軸受6aは永久磁石8、及び、ロータ4の軸方向における長さ内に配設されると共に、軸受6bは一部がロータ4内に配置されるものとなる。凹部12の深さは、コア9の軸方向における長さの略半分まで到る。また、支持部材11の凹部12側の軸方向における外側は径方向に延在した大径部11bとなっており、この大径部11bの軸方向における端面には環状凹部11aが形成されている。この環状凹部11aによって、支持部材11と一体となったコア9との絶縁が確保される。
【0026】
本実施形態におけるコア9は軸方向では円筒状を呈し、軸中心から周方向に複数(例えば、12個)の突極14が放射状に形成されている。また、径方向では内径に段部を有する。コア9は軟磁性粉末から加圧成形によって作られた成形体を用いている。例えば、コア9は、絶縁被膜処理を行った純鉄の粉末(軟磁性体)を、樹脂バインダーにより結合して成形することにより、所定の環状体が作られる。コア9は、モータ1に磁気回路が形成された場合、磁路面積を必要最小限確保することができる。また、コア9は、一方に凹部12が形成された中空状を呈し、そこにモータ部品(例えば、コイル10、ブラシ16等)を配設することが可能となっている。この様なコア9は、重量を軽くすることによって、慣性力を小さくして、モータ1に要求される軽量化や起動性を向上させることができる形状となっている。コア9は、支持部材11の成形によりシャフト5と一体成形されており、コア9は永久磁石8の軸方向における長さよりも若干短く、径方向においては永久磁石8の内径と所定間隔離れた状態で対向している。
【0027】
この様なコア9に対して、コンミュテータ15に給電を行うブラシ16は、コア9に形成された凹部12の内径に配置される。よって、ブラシ16とコンミュテータ15は、永久磁石8及びロータ4の軸方向における長さの範囲に配設される。コンミュテータ15は凹部12の開放端面寄りに配設されており、コンミュテータ15を構成する各コンミュテータ片15aは、凹部12の内周面に沿って露出する。このコンミュテータ15は、内径に露出したコンミュテータ片15aがブラシ当接面15bとなり、支持部材11の成形時に一体成形される。図2に示す様に、本実施形態におけるコンミュテータ片15aは12個の突極14の数に対応し、周状に等間隔にて12個設けられている。コンミュテータ15は、それぞれ、巻線部25に巻回されるコイル10に電気的に接続され、コイル10に給電を行う機能を有する。
【0028】
ハウジング本体2aの円筒状の折曲げ部3内には,折曲げ部3に圧入された軸受6aが配設されている。そして、シャフト5の一方の端部を覆うよう、コンミュテータ15に当接する2個のブラシ16を有する樹脂から成るブラシホルダ17が折曲げ部3の中に圧入され、ハウジング本体2aに取り付けられている。
【0029】
ブラシホルダ17には、ブラシ16の一方の端面に当接してブラシ16を径方向に摺動可能とするコイルばね18を収容する収容部19が、シャフト5と直交する面内において平行に配設されている。収容部19は、ブラシホルダ17の軸方向端面が、ハウジング本体2aに形成された段差部3aに当接することにより位置決めされ折曲げ部3に圧入固定された状態で、ブラシ当接面15bと対向する位置に設けられる。折曲げ部3にはプラシ当接面15bと対向する位置と180度の位相差をおいて、ブラシホルダ内に配設されるブラシ16が折曲げ部3より外側に突出可能な孔20が折曲げ部3に形成されている。これにより、ブラシホルダ内に配設される2つのブラシ16は、折曲げ部3に形成された孔20から突出して、コンミュテータ片15aのブラシ当接面15bに直接当接する。この場合、2つのブラシ16が、それぞれプラシ当接面15bに対して当接する様、コイルばね18によって、ブラシ16が常時付勢された状態で、ブラシ16およびコイルばね18が収容部19に収容されている。
【0030】
尚、ブラシホルダ17には、収容部19からコィルばね18が離脱するのを防止するためには、ピンで離脱を規制すると良い。
【0031】
折曲げ部3の基端には、ブラシホルダ17を覆う様、蓋部材22が折曲げ部3の開口を塞ぐ状態で取り付けられている。2つのブラシ16からは給電を行うリード線(図示せず)が電気的に接続されており、このリード線は、蓋部材22に形成されたコネクタ(図示せず)より、外部から給電がなされる構成となっている。
【0032】
次に、モータ1の作動について説明する。モータ1はコネクタを介して外部より給電がなされると、ブラシ16に給電がなされる。ブラシ16に給電がなされると、ブラシ16はコンミュテータ15のブラシ当接面15bに当接するので、コンミュテータ片15aを介して、コンミュテータ片15aに電気的に接続されるコイル10に給電が成され、コイル10に電流が流れる。その結果、給電されたコイル10には磁界が発生し、コイル10で発生した磁界と、永久磁石8の磁力との相互作用よって、ロータ4は磁気的な吸引力と反発力により回転力が生じ、ロータ4と一体となったシャフト5が回転する。
【0033】
そこで、上記したモータ1の構成における、本発明の特徴について説明する。
【0034】
本発明では、図3に示すコア9の形状に特徴を持たせた。具体的に説明すると、図7に示す従来の一般的なコア50のコア形状において、永久磁石と所定間隔だけ離れた状態で対向する突極51および突極51の内径に形成される巻線部52は、コア中心53より放射状で延在する。このコア50にコイル54を巻回すると、図8に示す状態となる。
【0035】
しかし、コア50の中に、図1の如くブラシ16を内包させるため、コア50の一方に凹部を形成して、軟磁性体よりコアを成形する場合、突極51の径方向の厚さが薄くなる。このため、例えば、図5に示す構成の金型30を用いて、復すの金型30を順次スライドさせて加圧成形を行うと、突極51を形成する金型の厚さは薄い為、加圧成形時により金型が変形し易くなり、成形に不具合を生じ易くなってしまう。
【0036】
その為、本実施形態では、図3に示す様に、円弧状の突極14に対して径方向に凸状且つ厚肉となって、突極14を補強する突極補強部26をコア9の成形時に一緒に成形される様にした。
【0037】
この突極補強部26は、図4の如く、複数の巻線部25をまとめて巻く重ね巻きが施された場合、突極14と実際にコイル10が巻かれる部位との間には、コイル10が巻かれていない部位が発生する。そこで、このコイル10が巻かれていない部位の径方向での肉厚を厚くし、肉厚を厚くした部位を突極補強部26とすることにより、突極14を形成する際の金型30の変形等による不具合を防止した。
【0038】
つまり、コア9を軟磁性体粉末より成形する場合には、図5に示す金型30により成形を行うことができる。尚、図5は、図3に示すコア9のB−B断面における金型構成を模式的に示した。コア9を成形する金型30は、コア9の成形を行わない部位(例えば、隣り合う巻線部25との間、隣り合う突極14との間に形成されるスリット)を作るサイドコア35と、コア9の外形を形作るダイス33と、ダイス33に対してコア9の中心を抜くセンターコア34と、突極14および突極補強部26と言ったコア9の最外径を成形する第1パンチ(上下有り)31a、32aと、第1パンチ31a,32aの内径(コイルが配設される凹部)を成形する第2パンチ(上下有り)31b,32bと、第2パンチ31b,32bより内径を形成する第3パンチ(上下有り)31c,32cとを備え、これらの金型30は互いに鉛直方向に移動自在となっている。この様な、鉛直方向に移動可能な第1パンチ31a,32aは第2パンチ31b,32bに対して摺動し、第2パンチ31b,32bは第3パンチ31c,32cに対して摺動することができる。
【0039】
次に、図6を参照して、実際にコア9が成形される工程について説明する。(a)では上下の金型31,32を開け、センターコア34を中心に突出させた状態で、下金型32に凹部(キャビティ)40を形成した状態で、キャビティ40にコア9の原材料である軟磁性体を入れる。キャビティ40に軟磁性体粉末を入れた後、(b)の如く、上金型31の端面を一直線上にした状態で、上金型31を下降させる。
【0040】
その後、(c)では第1金型31a,32aに対して第2金型31b,32bをスライドさせると共に、第2金型31b,32bに対して第3金型31c,32cを鉛直方向に順次スライドさせる。(d)ではコア9の最終形状となる様、(c)の状態から金型30に加圧力をかけながら軟磁性体粉末の入ったキャビティ40に対して、上下の金型31,32をスライドさせながらキャビティ空間を狭くしてゆく。この場合、面圧として、例えば、6t/cm2、全体では、100tと成る加圧力を作用させる。(e)の如く加圧が終了するまで、この状態を所定時間保持する。加圧終了後、成形されたコア9を金型から取り出す為、(f)の如く、上金型31を上昇させる。その後、(g)の如く下金型32をセンターコア24も含めて下降させることによって、最終的なコア9を取り出すことができる。
【0041】
この様な工程により作られたコア9にコイル10が巻回されると、図1に示す如く、軸方向で磁束を集めて集磁を行う突極14の長さは、コア9にコイル10が巻回された状態での長さと略同一となる。この様に、モータ1の小型化を行うため、コア9の径方向に環状の凹部を成形により形成し、その中にコイル10を収めることによって、モータ1の小型化を行う事ができる。更に、コア9および支持部材11の中央部にはブラシ16が配設される凹部が形成されることによって、ロータ4の重量と慣性力を小さくでき、モータ1の軽量化と起動性を向上させることができる。
【0042】
従来、コア9を積層鋼板より構成する場合には、内側に凹部を形成することが難しいが、本実施形態の如く、形状の自由度が高い軟磁性粉末を用いて、コア9に凹部を形成することにより、モータ1の小型化が行える。また、コア9は加圧成形により得られるので、磁気特性は高密度となり、コア9の磁気特性を向上させることができる。
【0043】
例えば、従来の如く、コア9の突極51が薄いと、突極51を成形する金型(例えば、31a,32a)も薄くなるので、加圧成形を行うとその金型の座屈限界を超えて、成形時に変形し易くなる等の不具合が起こり得る。
【0044】
この場合、加圧成形時の成形圧力を高めるためには、金型30の座屈限界まで金型剛性を上げる必要があるが、金型30の剛性は変更していない。本実施形態においては、コア9の形状を変更(円弧状の突極14に突極補強部26を付加した形状とする)により、コア9での断面二次モーメントを向上させ、加圧成形時の成形圧力を座屈強度よりも小さくすることができる。また、これは、重量増加がほとんど無く、しかも、コイル10との干渉が防止できる。また、コア9の外径を大きくすることなく、モータ1の要求特性を小型化にて確保することができる。また、突極補強部26は、図9に示す形状とすることもできる。つまり、(a)の如く、円弧状の突極14から内径側に突極補強部26aを1段設けたり、(b)の如く、突極補強部26bを、(a)よりも更に内径側にもう1段設けたりしても良い。この様な形状にすることによって、ハウジング内の空きスペースを有効利用して、突極14の補強およびコア形成時の金型に影響を与えないコア形状とすることができる。尚、上記した突極補強部26a,26bは円弧状の突極14に当接させて別体で設けることも可能である。
【0045】
本発明によれば、軟磁性粉末から成るコアには、巻線部と前記突極との間に、前記突極の径方向の厚みを内径側に肉厚にする突極補強部を有したので、コイルが巻回されていない部位を突極補強部として有効利用することが可能である。この突極補強部により突極に至る部位が肉厚となり、突極の剛性を補強して向上させることが可能となる。
【0046】
また、突極補強部は、突極の径方向の厚みが薄くても、突極に連続する突極補強部の径方向の厚みを肉厚にすることから、突極を成形する金型は、径方向における突極および突極補強部の大きさを加算した大きさとなるので、加圧成形を行っても金型が変形する等の不具合を防止することができる。
【0047】
更に、突極補強部は突極を作る場合に一緒に成形することができ、突極補強部の成形には余分な金型は必要なく、コアはコストアップしないで成形により作ることができる。
【0048】
この場合、突極補強部と突極は、内側に向かって凸の形状となっていれば、複数の巻線部をまたいで巻くコイルの重ね巻きを行う場合に、コイルが巻かれていない部位に厚みを持たせることができ、コア形状により小型化を図った上でのハウジング内の空きスペースを有効利用して、磁極の補強およびコア形成時の金型に影響を与えないコア形状とすることができる。
【0049】
また、突極補強部は、周方向において段差が形成されると、さらにハウジング内の空きスペースを更に有効利用し、補強できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における直流ブラシモータの構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すA−A断面でのブラシとコンミュテータとの給電構造を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態における直流ブラシモータのコアの形状を示す図である。
【図4】図3に示すコアにコイルを巻線部に巻回した状態図である。
【図5】コアを加圧成形する場合での金型構成を示す模式図である。
【図6】図5に示す金型でコアを成形する場合の状態遷移図である。
【図7】一般的なコア形状を示す図である。
【図8】図7に示すコアの巻線部にコイルを巻回した状態図である。
【図9】図3に示すコアにおける磁極補強部の形状の変形例である。
【符号の説明】
1 直流モータ
2 ハウジング
5 シャフト
8 永久磁石
9 コア
16 ブラシ
25 巻線部
26 突極補強部
Claims (4)
- ハウジングと、
該ハウジングに対して軸支され、回転自在であるシャフトと、
軟磁性粉末から成る成形体で、外周に形成された円弧状の突極と、該突極の内径側に形成された凹部状の巻線部を一体で有し、前記シャフトと一体回転を行うコアと、
前記巻線部に巻回されるコイルと、
該コイルに給電を行うブラシと、
前記コアに対向して配設される永久磁石とを備えた直流ブラシモータにおいて、
前記コアは、前記巻線部に巻回されたコイルと前記突極との間に、前記突極と一体で形成され、前記突極の径方向の厚みを内径側に肉厚にする突極補強部を有したことを特徴とする直流ブラシモータ。 - 前記突極補強部の径方向の厚みは、前記突極の径方向の厚みよりも肉厚であることを特徴とする請求項1に記載の直流ブラシモータ。
- 前記突極補強部と前記突極は、内側に向かって凸の形状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の直流ブラシモータ。
- 前記突極補強部は、周方向において段差が形成されることを特徴とする請求項1乃至3に記載の直流ブラシモータ。
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