JP3981784B2 - 眼灌流・洗浄液バッグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は眼灌流、洗浄液バッグ、より詳しくは、眼科手術時の眼内及び眼外灌流、洗浄等に用いられる重炭酸塩並びにグルタチオン及び/又はデキストロースを含む液を用時混合して調整するための成分を複室バッグに安定に収容してなるバッグに関する。
【0002】
【従来の技術】
白内障手術、硝子体手術、緑内障手術等の眼科手術時等に、眼内及び眼外灌流、洗浄に用いられる液としては、現在、「オペガード」(千寿製薬株式会社製造、武田薬品工業株式会社販売)及び「ビーエスエスプラス」(BSS PLUS、参天製薬株式会社輸入販売)が市販されている。
【0003】
前者のオペガードは、有効成分の一つとしてのデキストロースを含むpH7.2〜8.2の範囲の液状形態に調整されているが、該デキストロースは酸性域で安定なため、長期保存安定性に欠ける不利がある。
【0004】
また、後者のビーエスエスプラスは、オキシグルタチオン、デキストロース、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含む溶液(10ml又は20ml)と、重炭酸イオンを含む希釈液(240ml又は480ml)とを、別々のガラスバイアルに収容し、使用時に両頭針のついた移注器を用いてオキシグルタチオン等を含む溶液を、希釈液の入ったガラス容器に移注し、混注後使用する形態となっている。これはオキシグルタチオン及びデキストロースが、pH7以上での長期に亘る安定維持が困難であることと、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンは長期間希釈液と接触する場合には沈殿を生じる不利があるという理由による。
【0005】
しかるに、上記ビーエスエスプラスは、長期安定に保存できるものである反面、その使用時には、下記(1)〜(4)に従う移注手順を必要とし、これに伴われる、例えば下記(a)〜(f)等の欠点がある。
【0006】
(1) 10ml又は20mlのオキシグルタチオン溶液を収容したガラス容器(ボトル)のゴム栓を外し、移注器の一方の針(樹脂針)のキャップを外し、該樹脂針を上記ボトルのゴム栓に突き刺す、
(2) 次に、移注針の他方の針(ステンレス針)のキャップを外し、
(3) 希釈液を入れたガラス容器(ボトル)のアルミカバーを外し、ステンレス針を該ボトルのゴム栓に突き刺す、
(4) 注入後2液をよく混合する。
【0007】
(a) 上記操作自体煩雑であり、特にオキシグルタチオン溶液を収容したボトルのゴム栓に、樹脂針を突き刺す操作は、かなり困難である、
(b) 2液の混注に時間がかかりすぎ、救急使用時等には迅速に対応できない、
(c) 上記混注時における細菌汚染の危険は避けられない、
(d) 同一ボトルのゴム栓に樹脂針を2回以上刺したりすると、それだけ異物混入の危険が多くなる、
(e) 上記混合手順を間違うと混合されないか混合後に液の濃度が変化する、
(f) 混注されないで希釈液だけが誤って投与される可能性もある。
【0008】
更に、上記オペガード及びビーエスエスプラスは勿論のこと、この種の眼灌流、洗浄液は、一般にガラスバイアルに収容された液状形態を有しており、また重炭酸イオンを用いてpH8付近のアルカリ域に調整されるため、ガラス製容器に充填後、加熱滅菌して保存すると、経時的にガラスフレークが発生するという致命的欠点があった。
【0009】
従って、従来の眼灌流、洗浄液に代わって、之等に認められる欠点を全て解消された、新しい眼灌流、洗浄液の開発が当業界で要望されている。
【0010】
また、この種の眼灌流、洗浄液に用いられる重炭酸イオン(炭酸水素イオン)は、液中では次式(1)
【0011】
【化1】
【0012】
で表わされるような平衡関係にある。開放系では該式(1)の右辺の炭酸ガスの揮散によって反応が右側に進行し、これに伴われて重炭酸イオンの減少及び炭酸イオンの増加が起こり、水溶液のpHが次第に上昇する。
【0013】
一方、健康な人の涙液は、覚醒時ではpH7.5±0.2の範囲にあり、眼瞼を長時間閉じた状態では、pH約7.25である。該pH範囲を外れた例えばpH6以下や8以上では、人は不快感を感じるので、眼灌流、洗浄液のpHはできるだけ上記範囲内とする必要がある。この範囲を外れるpH上昇等は極力防がなければならない。
【0014】
このため、従来よりかかる眼灌流、洗浄液は、上記経時的pH変化を防止するために、ガラス製バイアル等の密閉容器に充填され、発生する炭酸ガスの揮散を防止することにより一定の平衡状態を保ち、重炭酸イオン濃度及び液pHの安定化を図っている。
【0015】
しかしながら、ガラス製容器は破損し易く、非常に重く、廃棄処分にも苦労するという致命的欠点があるに加えて、上記眼灌流、洗浄液の加熱滅菌時における炭酸ガスの発生は避けられず、この発生ガスにより容器内圧が上昇し、これがガラス容器の破損を誘発するおそれも多々ある。
【0016】
更に、重炭酸イオンを含む眼灌流、洗浄液は、上記のようにpHが7〜8程度の範囲の弱アルカリ性を保持するのが望ましいが、かかるpHでは、ガラス容器に充填後、加熱滅菌して保存すると、経時的に器壁からガラスフレークを発生させ、このために長期保存ができない欠点もある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記従来技術に見られる欠点を解消して、オキシグルタチオン及び/又はデキストロースと共に重炭酸塩を含有する眼灌流、洗浄液を、用時に容易に調製し得、それ故、長期間に亘る安定した保存が可能であり、炭酸ガス発生による液のpH変化やこれに伴われる薬剤の劣化が回避できる、新しい眼灌流、洗浄液バッグを提供することにある。
【0018】
本発明者らは、上記目的より鋭意研究を重ねた結果、従来の重炭酸イオンを含有する薬液に代えて、該重炭酸イオンを与える化合物(重炭酸塩)を固形剤形態に調製し、これをその溶解液と別個に、連通可能な隔壁を有するプラスチック製複室バッグの各室に封入することにより、従来の経時的ガラスフレーク発生等の弊害が伴われることなく、高圧蒸気滅菌、熱水浸漬滅菌、熱水シャワー滅菌等の一般的滅菌方法による滅菌が可能であり、しかも経時的pH変化や薬剤劣化等の問題も伴われることなく、長期に亘って安定して保存でき、更に用時には上記バッグの各室を連通させることによって、容易にバッグ内容物を混合して所望の眼灌流、洗浄液を調製できる、新しい眼灌流、洗浄液バッグが得られることを見いだした。本発明はこの新しい知見に基づいて完成されたものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、連通可能な隔壁を有するプラスチック製複室バッグの1室に重炭酸塩固形剤が封入されており、他室に該固形剤の溶解液が封入されており、上記固形剤及び溶解液の少なくとも一方にオキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種が含まれていることを特徴とする眼灌流・洗浄液バッグが提供される。
【0020】
また、本発明によれば、下記各態様の上記眼灌流、洗浄液バッグが提供される。
【0021】
(1) 重炭酸塩が、炭酸水素ナトリウムである眼灌流・洗浄液バッグ。
【0022】
(2) 溶解液がpH2.5〜7.5のものである眼灌流・洗浄液バッグ。
【0023】
(3) 溶解液が、オキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含むものである眼灌流・洗浄液バッグ。
【0024】
(4) 溶解液が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも1種を含むものである眼灌流・洗浄液バッグ。
【0025】
(5) 重炭酸塩固形剤が、重炭酸塩とオキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種、好ましくは両者とからなるものである眼灌流・洗浄液バッグ。
【0026】
(6) 重炭酸塩固形剤が、更にナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1種を含むものである眼灌流・洗浄液バッグ。
【0027】
(7) 重炭酸塩固形剤が、凍結乾燥粉末形態である眼灌流・洗浄液バッグ。
【0028】
(8) 複室バッグに封入された重炭酸塩固形剤と溶解液とを混ぜ合わせて形成される眼灌流・洗浄液が、その1000ml当たりに下記許容範囲、より好ましくは下記好適範囲から選ばれる各成分を含有するように調製される眼灌流・洗浄液バッグ。
【0029】
成分 許容範囲(g) 好適範囲(g)
オキシグルタチオン 0〜0.5 0〜0.3
デキストロース 0.4〜1.8 0.7〜1.65
炭酸水素ナトリウム 1.5〜2.5 1.9〜2.3
塩化カルシウム(無水物として) 0.09〜0.17 0.1〜0.15
塩化マグネシウム又は硫酸マグネシウム
(いずれも無水物として) 0.07〜0.18 0.08〜0.16
本発明眼灌流、洗浄液バッグは、連通可能な隔壁を有するプラスチック製複室バッグの利用に基づいて、眼灌流、洗浄液の必須成分とするオキシグルタチオン及び/又はデキストロースと重炭酸塩とを長期に亘って安定に封入、収容でき、しかも、破損やガラスフレーク発生の危険を回避でき、軽量化を図り得、更に、通常の操作で簡便に製造できる利点がある。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明眼灌流、洗浄液バッグにつき詳述すれば、本発明バッグに封入、収容する眼灌流、洗浄液は、重炭酸塩固形剤及びその溶解液から構成される。
【0031】
尚、本明細書においてイオン及び塩濃度の表示は、特に明記する場合を除いて、本発明バッグ内容物(封入物)を混合して調製される眼灌流、洗浄液のイオン及び塩濃度(無水物換算とする)を示すものとする。
【0032】
上記重炭酸塩固形剤は、重炭酸塩を必須成分として、これに更にオキシグルタチオン及び/又はデキストロース、及び所望によりナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1種を含ませることができる。
【0033】
ここで重炭酸塩としては、溶解液に溶解したときに重炭酸イオンを生ずる化合物であれば特に制限されず、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、その他の炭酸水素塩のいずれでもよい。また、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸イオンを生じる炭酸塩も、調製される眼灌流、洗浄液のpH範囲では重炭酸イオンを生じるため、之等も上記重炭酸イオンを生じる化合物として使用することができる。之等各化合物は、これを溶解液に溶解したときに生じる重炭酸イオンの濃度が、通常15〜50mM程度の範囲となる量で適宜用いられる。上記濃度範囲は、例えば炭酸水素ナトリウム水溶液の場合は、約0.1〜0.4w/v%の濃度に相当する。特に好ましい炭酸水素ナトリウム水溶液の濃度範囲は、約0.16〜0.24w/v%である。
【0034】
重炭酸塩固形剤に所望により添加配合することのできるナトリウム塩、カリウム塩としては、この種眼灌流、洗浄液に慣用されている塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等を例示することができる。また、同様に所望により添加配合することのできるカルシウム塩及びマグネシウム塩としては、例えばカルシウム及びマグネシウムの塩化物、硫酸塩等のこの種眼灌流、洗浄液に慣用されるものが例示できる。
【0035】
上記重炭酸塩固形剤は、その構成成分化合物が通常入手される例えば粉末形態のままであってもよく、複数の構成成分化合物を用いる場合は、これらを混合して粉末形態に調製してもよく、また構成成分又はその混合物を常法に従い賦形して細粒、顆粒、錠剤等の形態に調整することもできる。更に構成成分又はその混合物を水その他の適当な溶媒に溶解した溶液を通常の方法に従い凍結乾燥して得られる凍結乾燥粉末等の形態とすることもできる。
【0036】
本発明者等の研究によれば、この凍結乾燥粉末形態の固形剤は、その凍結乾燥操作によっても重炭酸塩乃至イオンの減少等の弊害は認められず、また、その溶解性は原末に比してより向上することが認められた。更に、該固形剤として重炭酸塩と他の成分との混合物を凍結乾燥して得られる粉末は、各成分の粉末を単に混合したものに比して、溶解性が向上するのみならず、溶解液の均質性も優れることが確認された。之等のことから、本発明における上記重炭酸塩固形剤は、特に凍結乾燥粉末形態であるのが好ましい。尚、上記凍結乾燥粉末の調製に当たっては、重炭酸塩と、例えば塩化ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムのようなナトリウム塩及び例えば塩化カリウムのようなカリウム塩との併用が、上記溶解性及び溶解液の均質性の面から好ましい。
【0037】
また、上記重炭酸塩固形剤の溶解液は、重炭酸塩固形剤との混合によって、該固形剤を溶解できるものであればよく、最も簡単には、滅菌精製水等であることができる。該溶解液は、また上記滅菌精製水等に、オキシグルタチオン及び/又はデキストロース、及び更に所望により上記と同様のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1種を溶解させたものであることもできる。
【0038】
特に該溶解液の形態でオキシグルタチオン及び/又はデキストロースを本発明眼灌流、洗浄バッグに利用する場合、之等を安定に保持し且つ重炭酸塩固形剤との混合後にこれを適用されるヒトが不快感を感じない所望のpH、通常約6〜8とするように、該溶解液は、適当なpH調整剤を用いて、pH約2.5〜7.5の範囲、好ましくは約3.0〜6.0の範囲に調整されるのがよい。ここでpH調整剤としては、慣用される水酸化ナトリウムや塩酸等を利用することができる。
【0039】
また、該溶解液には、更に緩衝作用を有する例えばリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の緩衝剤を添加することもでき、これにより急激なpH変化を防止することができる。かかる緩衝剤は、複室バッグの各室内容物を混合したときに、充分な緩衝能を発揮できる濃度で用いられるのがよい。該濃度は、例えばリン酸水素二ナトリウムを例にとれば、約0.03〜0.06w/v%、好ましくは約0.035〜0.05w/v%の範囲から選ばれるのがよい。また、酢酸ナトリウムでは、約0.02〜0.06w/v%、好ましくは約0.03〜0.05w/v%の範囲から選ばれるのがよい。
【0040】
これら各成分の組成は、複室バッグの隔壁を連通させて各室内容物を混合して得られる液が、従来より汎用されているこの種の眼内灌流、洗浄液の組成と同様のもの又は之等を若干変更したものとなるように適宜決定することができる。代表的な眼灌流、洗浄液組成例としては、各室内容物を混合溶解して調製される眼灌流、洗浄液が前述した組成範囲となるものを例示できる。
【0041】
また、上記重炭酸塩固形剤及び溶解液に、ナトリウム及びカリウムの塩又は之等のイオンを配合する場合、之等の配合量は、重炭酸塩固形剤及び溶解液を混合後の濃度として、通常塩化ナトリウムでは約0.5〜0.9w/v%、好ましくは約0.6〜0.8w/v%の範囲であるのがよく、塩化カリウムでは約0.02〜0.05w/v%、好ましくは約0.025〜0.045w/v%の範囲であるのが望ましい。
【0042】
上記重炭酸塩固形剤及び溶解液のそれぞれには、更に例えばリン酸塩若しくはリン酸イオンや、銅、亜鉛等の微量金属やそのイオン等を含ませることもできる。
【0043】
本発明眼灌流、洗浄液バッグにおいて、眼灌流、洗浄液の各成分を各室に封入(収容、充填)するための、プラスチック製複室バッグは、医療分野において用いられることの知られている各種プラスチック製であればいずれでもよい。その材質の例としては、例えばポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルや之等を適当な比率で配合あるいはラミネートしたものを例示できる。また、上記バッグは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ナイロン等の材質のものや、之等の表面に更に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物を蒸着させたものや、之等各種材質の多層フィルム(ラミネートフィルム)からなるもの等であってもよい。
【0044】
該バッグの形状、大きさ、厚さ等には特に制限はなく、一般には長方形のものがよく用いられる。該バッグの内容量は、一般的には約20ml程度から3リットル程度の範囲とされ、厚さは100〜500μm程度の範囲とされるのが望ましい。
【0045】
上記バッグは、連通可能な隔壁を有する少なくとも2室からなるプラスチック製バッグであるのがよい。かかるバッグは、輸液分野では既に知られており、例えば2室の連通部を閉鎖する手段が設けられたもの(特公昭63−20550号公報、実公昭63−17474号公報等参照)や、2室を区画するシール部が押圧により連通できるもの(特開昭63−309263号公報、特開平2−4671号公報等参照)等を例示することができる。本発明では之等バッグの少なくとも1室に、前記重炭酸塩固形剤が封入され、他の少なくとも1室にその溶解液が封入されればよい。
【0046】
本発明眼灌流、洗浄液バッグは、上記重炭酸塩固形剤を封入した第1室と、その溶解液を封入した第2室の2室からなるものである必要はなく、更に例えばカルシウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも1種を含む薬液又はカルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる少なくとも1種を含む固形剤を封入した第3室等を有する3室以上の複室バックであることもできる。
【0047】
また、本発明眼灌流、洗浄バッグは、更に必要に応じて、これを適当なプラスチック包装材で包装した製品形態とすることもできる。かかる包装材としては、通常慣用されるもの、例えばPET、PEN、PVA、EVOH、PVDC、ナイロン等の材質のものや、之等の表面に更に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物を蒸着させたものや、之等各種材質の多層フィルム(ラミネートフィルム)からなるものを例示できる。之等包装材の形状及び大きさは、前記プラスチック製バッグを収容できることを前提として特に制限されない。
【0048】
また、上記プラスチック製バッグを包装材で包装する場合は、該バッグと包装材との空間部に、バッグ内容物の物性に応じて、通常使用されることの知られている脱酸素剤や乾燥剤等を適宜配置することもできる。
【0049】
本発明に従う、眼灌流、洗浄液のバッグへの充填、滅菌、包装材による包装等は、通常の注射液の製造方法と同様にして容易に行なうことができる。
【0050】
本発明眼灌流、洗浄液バッグ包装体の好ましい一実施態様は、添付図面(図1)に示す通りである。該図によれば、本発明包装体は、重炭酸塩固形剤及びその溶解液(内容物、1及び1)を、弱シール部3で区画された各室に、それぞれ封入してなるガス透過性プラスチック製複室バッグ2からなっている。該バッグは、この構成の採用によって、本発明所期の前述した各種の効果を奏し得る。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、本発明眼灌流、洗浄液バッグの製造実施例及び試験例を挙げる。
【0052】
実施例1〜4
ポリエチレン製の、連通可能な隔壁を有する2室からなるプラスチックバッグ(厚み:約260μm)の各室に、それぞれ下記重炭酸塩固形剤及びその溶解液を充填閉塞し、熱水シャワー滅菌して、本発明眼灌流、洗浄液バッグを得た。
【0053】
実施例1のバッグ
(第1室)下記成分を乾熱滅菌したもの(無菌的に封入)
炭酸水素ナトリウム 1.05g
(第2室)下記組成の薬液
オキシグルタチオン 0.09g
デキストロース 0.46g
塩化カルシウム・2水和物 0.08g
塩化マグネシウム・6水和物 0.10g
塩化ナトリウム 3.57g
塩化カリウム 0.19g
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 0.52g
塩酸 適量
滅菌精製水 全体を500mlとする量
pH 5.0
実施例2のバッグ
(第1室)下記成分を滅菌精製水20mlに溶解し、0.22μmのメンブランフィルターで濾過後、凍結乾燥して調製した固形剤(無菌的に封入)
オキシグルタチオン 0.09g
炭酸水素ナトリウム 1.05g
(第2室)下記組成の薬液
デキストロース 0.46g
塩化マグネシウム・6水和物 0.10g
塩化カルシウム・2水和物 0.08g
塩化ナトリウム 3.57g
塩化カリウム 0.19g
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 0.52g
塩酸 適量
滅菌精製水 全体を500mlとする量
pH 5.0
実施例3のバッグ
(第1室)下記成分を滅菌精製水20mlに溶解し、0.22μmのメンブランフィルターで濾過後、凍結乾燥して調製した固形剤(無菌的に封入)
オキシグルタチオン 0.09g
デキストロース 0.46g
炭酸水素ナトリウム 1.05g
(第2室)下記組成の薬液
塩化マグネシウム・6水和物 0.10g
塩化カルシウム・2水和物 0.08g
塩化ナトリウム 3.57g
塩化カリウム 0.19g
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 0.52g
塩酸 適量
滅菌精製水 全体を500mlとする量
pH 5.0
実施例4のバッグ
(第1室)下記成分を滅菌精製水40mlに溶解し、0.22μmのメンブランフィルターで濾過後、凍結乾燥して調製した固形剤(無菌的に封入)
塩化ナトリウム 3.57g
塩化カリウム 0.19g
炭酸水素ナトリウム 1.05g
(第2室)下記組成の薬液
オキシグルタチオン 0.09g
デキストロース 0.46g
塩化マグネシウム・6水和物 0.10g
塩化カルシウム・2水和物 0.08g
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 0.52g
塩酸 適量
滅菌精製水 全体を500mlとする量
pH 5.2
試験例1 凍結乾燥操作による重炭酸イオン濃度の比較
実施例4で利用した重炭酸塩含有凍結乾燥粉末について、その凍結乾燥操作の前後における重炭酸イオン濃度の比較を次のとおり行なった。
【0054】
即ち、実施例4に示す第1室組成となる各成分を滅菌精製水40mlに溶解して凍結乾燥用原液(1N塩酸又は1N水酸化ナトリウムにてpHを7.0,7.68,8.00及び9.00に調整)を調製した。
【0055】
上記凍結乾燥用原液8mlを100mlメスフラスコに取り、凍結乾燥機(LABCONCO社製、品名:Stoppering Tray Dryer)によって凍結乾燥(−35℃で溶液を凍結後、減圧下(1mmHg以下)にて−20℃で12時間、次いで0℃で10時間乾燥)し、得られる乾燥品を下記の高速液体クロマトグラフィ(HPLC)条件の移動相にて希釈して正確に100mlとして凍結後サンプルを調製した。
【0056】
HPLC条件:検出器:電気伝導度検出器(セル温度43℃)
カラム:TSKgel IC-Anion-PWXL(4.6mmID×3.5cm)
カラム温度:40℃
移動相:5mMホウ酸溶液(エチレンジアミンでpH10.5に調整)
一方、上記原液8mlを同HPLC条件の移動相にて希釈して正確に100mlとして凍結前サンプルを調製した。
【0057】
各サンプルについて、HPLCにより重炭酸イオン量を測定し、凍結乾燥操作による重炭酸イオン濃度の比較を行なった。凍結前サンプルの測定値を100として、これに対する凍結後サンプルの相対値(重炭酸塩残存率%)を求めた結果を、用いた原液のpH毎に下記表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1より、いずれのpH条件下においても、凍結乾燥操作による重炭酸塩残存率の低下は認められず、むしろ6〜15%程度向上することが判った。これは、一般に溶液は冷却することにより気体をよく溶かすようになることが知られており、この試験においてもサンプルが凍結乾燥時に空気中の二酸化炭素を吸収したためであると考えられる。いずれにしても、凍結乾燥操作による重炭酸塩のロスは認められないことが明らかとなった。
【0060】
試験例2 凍結乾燥粉末の溶解時間の測定
実施例4で利用した重炭酸塩凍結乾燥粉末(第1室固形剤)の溶解性を測定するために、実施例4の希釈液(第2室の薬液)100mlに対して、該重炭酸塩凍結乾燥粉末0.962gを加え、マグネチックスターラーで撹拌(300rpm)したときの該粉末の溶解時間を、目視により測定すると共に、得られた眼灌流、洗浄液のpHを測定した。
【0061】
その結果、約9.2秒で粉末は消失し、完全に溶解(溶解液pH=6.82)することが確認された。これに対して、重炭酸ナトリウム原末(非凍結乾燥品)の場合は、同一試験において、完全溶解までに約30秒程度を要した。
【0062】
このことから、上記凍結乾燥粉末の利用によれば、より短時間に均一な溶液状態を呈する眼灌流、洗浄液が調製できることが判った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明眼灌流、洗浄液バッグ包装体の一実施態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1 眼灌流、洗浄液
2 プラスチック製複室バッグ
3 プラスチック製複室バッグの弱シール部
Claims (7)
- 連通可能な隔壁を有するプラスチック製複室バッグの1室に、重炭酸塩、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを含む混合物の凍結乾燥粉末を含有する固形剤が封入されており、他室に該固形剤の溶解液が封入されており、上記固形剤及び溶解液の少なくとも一方にオキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種が含まれていることを特徴とする眼灌流・洗浄液バッグ。
- 重炭酸塩が、炭酸水素ナトリウムである請求項1に記載の眼灌流・洗浄液バッグ。
- 固形剤及び溶解液の混合後の濃度として塩化ナトリウムが0.5〜0.9w/v%、塩化カリウムが0.02〜0.05w/v%の範囲にある、請求項1または2に記載の眼灌流・洗浄液バッグ。
- 溶解液がpH2.5〜7.5のものである請求項1〜3のいずれかに記載の眼灌流・洗浄液バッグ。
- 溶解液が、オキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含むものである請求項1〜4のいずれかに記載の眼灌流・洗浄液バッグ。
- 溶解液が、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンから選ばれる少なくとも1種を含むものである請求項1〜5のいずれかに記載の眼灌流・洗浄液バッグ。
- 固形剤が、さらにオキシグルタチオン及びデキストロースから選ばれる少なくとも1種を含むものである請求項1〜6のいずれかに記載の眼灌流・洗浄液バッグ。
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