JP3979738B2 - 粉粒体の殺菌方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉粒体の殺菌方法およびその装置に関し、より詳細には、食品、医薬品等の粉粒体を過熱蒸気を駆動源として、吸引して加熱殺菌する粉粒体の殺菌方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品、医薬品、化粧品、飼料等の粉粒体状の原料あるいは製品等の殺菌に水蒸気が使用されている。殺菌に水蒸気が使用されるのは、加熱空気による方法では、被殺菌材料の品質劣化が生じやすく、熱容量の大きな凝縮潜熱を使えないため、昇温に時間がかかる等の問題があるからであり、水蒸気では、過熱水蒸気、飽和蒸気又はこれらを混合して使用することにより、凝縮潜熱を利用でき、殺菌時間を短くできるからである。しかし、水蒸気を使用しても、包装した粉粒体を殺菌する方法は、包装後の製品の寸法が大きくなると共に、内部の粉粒体間に隙間が有ることから昇温に時間がかかり、しかも内部の温度ムラをなくすことが難しく、長時間高温に曝される部分は、加熱処理する場合は別にして、品質劣化を生じやすい。同時に包装材料も圧力、温度に耐えるものにしか使用できないという制約がある。また、圧力容器となるレトルト本体は頑丈で大きなものとなり、スペースやコストの点で不利である。さらにバッチ式操作であるから、仕込み、取出しに手間がかかる等の欠点があるからである。
【0003】
そして、常圧又は加圧した蒸気を用いて包装しない粉粒体を殺菌する装置として、高速の過熱水蒸気を流すための加熱管と、この加熱管内の過熱水蒸気をシールしつつ被殺菌原料を投入する投入バルブと、この加熱管に接続し、過熱水蒸気の気流中から原料を分離するための分離装置と、この分離装置に接続する原料排出バルブと、この原料排出バルブの出口側に原料が大気と接触しないように連続して設けられる粉砕機と、この粉砕機の出口端に大気が粉砕機内に侵入することを防ぐためのシール機構を有する製品排出バルブ等から構成された、いわゆる気流式の装置が知られている(例えば、特開昭57ー153654号公報参照)。その他の常圧の気流式の殺菌装置の他の例として、タワーの上部から粉粒体材料を自然落下させ、下部から過熱水蒸気を供給して向流で加熱殺菌する方法がある。
【0004】
また、水蒸気を用いて粉粒体材料を攪拌しながら殺菌する攪拌式の装置としては、密封状態の一方の上端部に被殺菌物供給口が設けられ、他方の下端部に被殺菌物排出口が設けられている横架された缶体と、この缶体の上記供給口から排出口に亘って回転する攪拌胴を配設すると共に、上記缶体内に蒸気の供給管とを設けた殺菌機が提案されている(例えば、特開平10ー75990号公報参照)。
【0005】
上記の気流式殺菌装置及び攪拌式の殺菌装置において、加圧した過熱水蒸気を加熱に用いるものでは、材料の投入部と排出部には装置内外の圧力差により気体が流通しようとするのを阻止するために、特殊なロータリーバルブか、2重ダンパ方式の半連続機構を使用して、シールしながら粉粒体を投入、排出するようにしている。大気圧で過熱水蒸気を使用するタワー式の殺菌装置では、気体流入阻止用の特殊シール機構は不要であるが、落下物は見掛け比重の小さいものに限られてしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような加圧雰囲気で水蒸気を用いる殺菌装置では、高度なシール性が要求されるが、粉粒体は磨耗性があり、摺動面に噛み込み易いためシール機構の耐久性が不足しやすく、特殊な構造をとることになり、イニシャルコスト、メンテナンスコストが嵩むと共に、品換えの際の分解洗浄に手間がかかる等の問題があった。
【0007】
上記のようなタワー式の殺菌装置では、見掛け比重の大きい材料に対しては、過熱水蒸気中で分散せず、そのまま自由落下するため、材料と蒸気との接触が良く行なわれず、均一に加熱することができず、殺菌が均一に行なわれないという問題があった。
本発明者は上述した課題に対処して創案したものであって、種々水蒸気による殺菌装置について研究し、エゼクタを用いて水蒸気で粉粒体を吸引し、圧縮混合することで加熱を急速に行い、均一に殺菌できることを究明した。
【0008】
本発明の目的とする処は、粉粒体と過熱水蒸気とを良く混合して、加熱を迅速に行い、殺菌効果を高め、特殊なシール機構を用いないでよくして耐久性を良くすることにある。
【0009】
【課題を解決する多恵の手段】
そして、上記目的を達成するための手段としての本発明の請求項1の粉粒体の殺菌方法は、粉粒体を過熱水蒸気を駆動源とするエゼクタにより吸引すると共に、圧縮混合し、加熱殺菌し、その後、粉粒体を過熱水蒸気から分離して回収する粉粒体の殺菌方法において、前記粉粒体と前記過熱水蒸気の両方を、過熱水蒸気を駆動源とするエゼクタに吸引することを特徴とする粉粒体の殺菌方法。
【0010】
請求項の粉粒体の殺菌方法は、請求項の粉粒体の殺菌方法において、前記粉粒体と過熱水蒸気の分離を一定時間保持した後に行なうことを特徴とする。
請求項の粉粒体の殺菌方法は、請求項1又は2の粉粒体の殺菌方法において、前記粉粒体と過熱水蒸気の分離を常圧下で行なうことを特徴とする
請求項の粉粒体の殺菌方法は、請求項1又は2の粉粒体の殺菌方法において、前記粉粒体と過熱水蒸気の分離を加圧下で行なうことを特徴とする
【0011】
上記目的を達成するための手段としての本発明の請求項の粉粒体の殺菌装置は、過熱水蒸気供給管と、過熱水蒸気により粉粒体と過熱水蒸気の両方を吸引するエゼクタと、過熱水蒸気と粉粒体を分離する分離機と、該分離機から排気する排気手段と、前記エダクタと分離機と排気手段とを連通する配管とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項の粉粒体の殺菌装置は、請求項の粉粒体の殺菌装置において、前記分離機の圧力を調整する圧力調整手段を備えて構成する。
本発明の請求項の粉粒体の殺菌装置は、請求項5又は6の粉粒体の殺菌装置において、前記分離機を加熱する加熱手段を備えて構成する。
【0012】
本発明において、粉粒体とは粉粒体状の被殺菌処理材(単に材料ともいう)を意味し、粉粒体としては、特に粉粒体に限定されることなく刻んだ葉状物等も含まれ、食品、医薬品、化粧品、飼料等の粉粒体状の原料あるいは製品等に適用できる。例えば、食品として、穀類及びその粉粒化したもの、香辛料、かつお節や魚粉等の魚介類、各種の茶の葉、野菜チップ、凍結乾燥野菜等の野菜等が例示され、医薬品としては、レイシ、桂皮、芍薬、ウコン等の生薬や医薬成分、増量剤等が例示される。過熱水蒸気発生装置としては、公知の電熱式、燃焼式等で水蒸気を加熱する装置を使用することができる。本発明において、常圧とは、大気圧程度で、大気圧より水柱で数mmから数十mm程度異なることを意味する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。ここに、図1ないし図3は本発明の方法を実施する殺菌装置の一実施例を示し、図1は本発明に係る殺菌方法を実施する装置の概略構成の供給部及び処理部前半を示す模式図、図2は処理部後半を示す模式図、図3はエゼクタの断面図である。
【0014】
本実施例の粉粒体の殺菌装置は、殺菌処理される粉粒体状の材料を所定の速度で供給する材料搬送装置1と、過熱水蒸気を供給する過熱水蒸気供給管2と、材料を吸引するエゼクタ3と、過熱水蒸気と材料を分離する分離機4と、分離機4から排気する排気手段5と、エゼクタ3と分離機4と連通する処理配管6と、分離機4と排気手段5とを連通する排気配管7と、分離機4の圧力を調節する圧力調整手段と、図示しない過熱水蒸気発生装置とから構成され、材料搬送装置1からエゼクタ3に供給された粉粒体と殺菌用蒸気供給管14から供給される過熱水蒸気とは、過熱水蒸気供給管2から供給される過熱水蒸気を駆動源とするエゼクタ3により系内に吸引されて処理される。排気配管7には排蒸気処理装置8が設けられ、殺菌に使用した排蒸気を処理する。
【0015】
材料搬送装置1は、スクリューコンベヤ、ベルトコンベヤ等の粉粒体を一定量づつ搬送する装置である。材料は、ホッパー11からロータリーバルブ等の一定量づつ供給することができる定量供給装置12を経て貯留部13に供給され、この材料を材料搬送装置1は、所定量づつエゼクタ3に供給する。材料が空気中で変質する性質のものであれば、ホッパー11から材料搬送装置1迄の搬送路は気密にする。材料搬送装置1とエゼクタ3とは気密に連通し、効率よく材料が吸引されるようになっている。
【0016】
エゼクタ3は、ノズルから高速度で水蒸気を噴射して速度エネルギーを圧力エネルギーに変換して減圧する装置で、過熱水蒸気供給管2と殺菌用蒸気供給管14が接続され、この両蒸気供給管2、14は図示しない蒸気供給源に連通している。そして、エゼクタ3は、図3に示すように、材料搬送装置1に気密に連通すると共に、殺菌用蒸気供給管14に連通する吸引室15と、過熱水蒸気供給管2と連通する水蒸気室16と、この水蒸気室16に連通して水蒸気を吐出する吐出口18を持つノズル17と、吸引室15に連通して両端部より中間部が小径に形成されたデフューザ19とから構成されている。吐出口18は吸引室15に開口が位置し、駆動用蒸気供給管2から供給された過熱水蒸気を噴出し、その周囲から雰囲気を吸引して吸引室15を減圧して圧力降下させる。減圧した吸引室15に材料搬送装置1で供給された材料と過熱水蒸気が吸引され、ノズル17の吐出口18から吐出する過熱水蒸気に同伴してデフューザ19において、圧縮され、混合されて加熱される。この際の熱伝達率が大きく、急速に加熱殺菌される。エゼクタ3は、その寸法構造が決まると、吸引圧力に対する所要の駆動蒸気圧量も決まってくる。したがって、駆動蒸気のみで殺菌に必要な過熱蒸気量を確保しようとすると、吸引側の真空度が過度に下がり、漏れこみ空気量が増えることによる殺菌ムラが生じたり、粉粒体用シール機構のシール部にかみ込むなどの不具合が生ずることもある。反対に駆動用蒸気量を減らすと吸引圧は上がり、思うように粉粒体を吸引できないこともある。この問題を解消するために、本発明では、殺菌用過熱水蒸気を粉粒体と共にエゼクタ3に吸引し、所要の過熱水蒸気量を確保できるようにしている。材料は過熱水蒸気に搬送されてエゼクタ3の出口20から処理配管6に飛ばされる。吸引室15には真空計座21が設けられ、図示していないが真空計が設けられ、吸引室15の圧力が測られるようになっている。また、水蒸気室16には圧力計座22が設けられ、図示していないが圧力計が設けられ、水蒸気室16の圧力が測られるようになっている。水蒸気室16に連通した過熱水蒸気供給管2に減圧弁23や圧力調節弁24や圧力指示調節計25が設けられている。圧力調節弁24は、圧力指示調節計25からの信号で計装エアーにより作動するようになっている。
【0017】
過熱水蒸気は減圧弁23で減圧され、圧力指示調節計25からの調節信号に基づいて圧力調節弁24で所定圧力に調節されて水蒸気室15に供給され、ノズル17から吐出される。殺菌用蒸気供給管14にも同様に、減圧弁26や圧力調節弁27や流量指示調節計28が設けられている。圧力調節弁27は、流量指示調節計28の信号で計装エアーにより作動するようにされている。過熱水蒸気は減圧弁26で減圧され、流量指示調節計28からの調節信号に基づいて圧力調節弁27で所定流量になるように調節されて吸引室15に供給され、材料と駆動用蒸気と共に混合しながら吸引室15からデフューザ19に送られる。また、エゼクタ3に供給された水蒸気の温度降下を防ぐようにエゼクタ3及び処理配管6の外壁は、保温するか、又は加熱空気、水蒸気等の加熱媒体を流すように外被管を設ける。本実施例では外被管29を設け、加熱エアー管30に連通して、加熱エアーを導いて流すように構成している。そして、過熱水蒸気と同伴した粉粒体状の材料は処理配管6で分離機4に導かれて過熱水蒸気と分離される。
【0018】
分離機4は、過熱水蒸気と殺菌処理した材料を分離する装置で、円筒部とこの下部に逆円錐形に配置された円錐形部とから形成され、エゼクタ3と連通する処理配管6に接続する導入口が円筒部に設けられ、中心上部に排気手段5に連通する吐出管31が設けられ、過熱水蒸気と分離した材料を取り出す取出口32が下部に形成されている。吐出管31の下端は円錐形部まで垂下され、取出口32にロータリーバルブ等の排出バルブ33が設けられている。排出バルブ33は、分離機4内の圧力を常圧にすることで、一般的な大気圧下で使用されるバルブ程度のシール性でも良好に操業することができる。分離機4内の圧力を計測し、制御信号を発生する圧力指示調節計34が設けられ、分離機4の排気を調節することにより機内の圧力を調節するようになっている。これにより、分離機4の圧力を一定に調節して殺菌処理できるようにしている。殺菌処理した材料は排出バルブ33から間欠的に又は連続的に取り出す。分離機4の温度降下を防ぐため、外壁を保温するか加熱するのが好ましい。本実施例では、外壁の外側に外被35を設け、外壁と外被35間に加熱媒体を流して、分離機4を外壁から加熱することにより温度が降下しないようにしている。加熱に使用したエアーは循環路38aにより循環ファン38に吸引され、循環使用される。分離機4の吐出管31に排気配管7が接続され、排蒸気処理装置8に連通している。
【0019】
排蒸気処理装置8は、殺菌処理に使用した過熱水蒸気を処理する装置で、再加熱して過熱水蒸気を発生させ、蒸気循環装置を設けて、殺菌用蒸気供給管及び過熱水蒸気供給管に接続するか、凝縮させてドレンとして回収してもよい。本実施例では凝縮器を用いて凝縮回収している。凝縮しないガスは排気手段の排気ファン5により吸引して排気又は必要ならば、さらに気ー固分離等の排気処理を行なう。
【0020】
圧力調整手段は、排気配管7に設けた調節弁36と、分離機4に設けた圧力を測定して信号を発生する圧力指示調節計34等から構成している。圧力指示調節計34からの制御信号で調節弁36の駆動モータ、エアシリンダ等の駆動力で弁を調節し、分離機4の圧力を所定の圧力に保持する。本実施例では、圧力指示調節計34で調節信号を発生させ、この信号で計装エアーを調節し、エアシリンダを駆動しているが、これに限られるものでなく、圧力信号を他の測定信号と共に集めて、設定圧力等と比較して制御信号を出す比較、調節装置を別に設けてもよい。
【0021】
また、分離機4の温度降下を防ぐための外壁の外側に加熱媒体を流す機構は、外被35内に連通して、加熱媒体供給管37を設け、この加熱媒体供給管37を循環ファン38と、エアーヒータ39と外気取入フィルタ40、分流器41等に連通して構成する。循環ファン38で、使用した加熱エアーと外気を吸引し、エアーヒータ39に送風して水蒸気により所要の温度に加熱し、分流器41でエゼクタ3を加熱する加熱エアー管30と分離機4を加熱する加熱媒体供給管37に分流させてそれぞれを加熱する。加熱に使用して温度降下したエアーは循環路38aを経て循環ファン38に戻し、外気と混合して再使用する。
【0022】
次に、上記殺菌装置による粉粒体の殺菌操作について説明する。先ず、装置の加熱を行なう。過熱水蒸気を、その圧力を減圧弁23により所定の圧力に減圧し、調節弁24で流量を調節して過熱水蒸気供給管2からエゼクタ3に供給し、処理配管6を経て分離機4に送り、吐出口管31から排気配管7により排蒸気処理装置8を経て排気手段5により排気、若しくは再循環して、エゼクタ3、処理配管6、分離機4等を加熱する。
【0023】
また、エゼクタ3、分離機4を外部から加熱するように、エアーヒータ39に水蒸気を供給すると共に、循環ファン38を運転して空気を加熱する。加熱した空気を分流器41を経て配管30からエゼクタ3に流すと共に、加熱媒体供給管37から分離機4に流す。所定の温度に加熱されたら、材料搬送装置1、材料供給バルブ12を運転して材料を供給する。
【0024】
材料は、材料供給バルブ12により、貯留部13に供給され、材料搬送装置1により所定量づつエゼクタ3に供給される。過熱水蒸気はエゼクタ3の水蒸気室16からノズル17により吐出されてディフューザ19に向けて噴出する。このとき、材料と殺菌用蒸気供給管14から供給された過熱水蒸気は高速で噴出する過熱水蒸気により負圧にされた吸引室15に吸引されて絞られ、過熱水蒸気に同伴しつつ圧縮混合され、徐々に拡大した流路を流れる間に加熱殺菌される。圧縮された材料は、処理配管6に噴出されて所定時間加熱、殺菌を続けられ、分離機4に送られる。分離機4で、材料は遠心力で外壁の内周を回転しながら下方へ下降して下方にたまり、過熱水蒸気は吐出管31から排気され、材料と過熱水蒸気とは分離される。過熱水蒸気は、排気手段5に吸引されて排気配管7により排蒸気処理装置8で、凝縮されて、ドレンと排気に分離され、除去される。
【0025】
上記のように構成してなる粉粒体の殺菌装置によれば、エゼクタ3において材料は殺菌用の過熱水蒸気そのものにより吸引されて、処理されるので、材料の供給機構は簡素化できるうえ、過熱水蒸気と材料の混合が圧縮しながら行なえるので、効率よく行なうことができる。また、常圧で運転するので、供給装置等の構造が簡単でよく、イニシャルコスト、メンテナンスコストとも低減することができる。
【0026】
次に、後半の殺菌分離処理を加圧下で行なう粉粒体の殺菌装置の他の例について、図4により説明する。
処理部前半のエゼクタにより材料を吸引し、圧縮混合し処理配管6に噴出するまでは、操業圧力を除いては構成、作用とも同様であるので、説明を省略し、その他の前記殺菌装置と共通する部分については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0027】
処理配管6に接続した分離機10は、常圧より高圧、例えば数気圧で漏れがないような耐圧性能を備えている。分離機10は、円筒部とこの下部に逆円錐形に配置された円錐形部とから形成され、エゼクタ3と連通する処理配管6に接続する導入口が天井部に設けられ、導入口にバタフライバルブ等の気密性の良い供給バルブ51が設けられている。排蒸気を取り出す排気口は円筒部に設けられ、この排気口部にフィルタ52が設けられ、フィルタ52を介して排気配管7に連通している。過熱水蒸気と分離した材料を取り出す取出口が分離機10の下部に形成され、取出口に気密性の良い取出バルブ53が設けられている。分離機10の内部には攪拌羽根54が設けられ、攪拌羽根54を駆動する駆動モータ55が天井部に設けられている。また、分離機10の天井部に圧力指示調節計34が設けられている。排気配管7に調節弁36が設けられ、さらに排蒸気処理装置8、排気ファン5が設けられている。供給バルブ51、排出バルブ53は、調節計からの信号で計装エアーを制御してエアーシリンダにより駆動するようにしている。
【0028】
フィルタ52にはフィルタコントロールボックス56が設けられ、このボックス56には不活性ガス供給管57が接続され、不活性ガス供給管57にバルブ58が設けられている。フィルタ52に堆積した材料を除去する際は、バルブ58を開いて、不活性ガス供給管57からN2 ガスを供給して吹き飛ばす。
【0029】
この分離機10の作用は、高圧で運転されるため、材料の供給と排出は気密性のバルブ51,53によりそれぞれ行なわれ、排過熱水蒸気の排気もフィルタ52で材料を除去した後行なわれる点で大きく相違するのみで、その他、上記分離機4と同様に操業することができるので、説明を省略する。
【0030】
上記のように構成してなる粉粒体の殺菌装置によれば、エゼクタ3において材料は殺菌用の過熱水蒸気自身により吸引されて、処理されるので、材料の供給機構は簡素化できるうえ、過熱水蒸気と材料の混合が圧縮しながら行なえるので、効率よく行なうことができる。また、加圧下で殺菌するので、より均一に、確実に殺菌することができる。
【0031】
なお、本発明は、上述した実施態様に限定されるものでなく、本発明の主旨を変更しない範囲内で変形実施できるものを含む。因みに、上述においては、分離機の圧力を調節する方法として、圧力指示調節計と調節弁の組み合わせで説明したが、排気ファンを直接調節するようにしてもよい。また、調節装置を指示調節計と調節弁で構成した例を示したが、測定装置と演算装置と調節弁等から構成してもよい。また、エゼクタと分離機の加熱をエアーで行なっている例で示したが水蒸気で行なうようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明の請求項1の粉粒体の殺菌方法は、このように構成することにより、材料の供給部及び分離部は常圧で、エゼクタの駆動用過熱水蒸気とは別に粉粒体と共に殺菌用過熱水蒸気を吸引するので、粉粒体に応じた殺菌、および吸引圧に応じた過熱水蒸気量が設定できるので、同一の装置で、各種の粉粒体の殺菌用として使用でき、汎用性が増す。また、エゼクタの構造・寸法は殺菌に必要な過熱水蒸気量に制約されないので、粉粒体の大きさや量に応じた構造・寸法とすることができる。そのため、特別な供給装置が不要であり、その分イニシャルコスト、ランニングコストを低減することができる。また、加圧混合して殺菌するので、材料と過熱水蒸気との混合がよくなり、急速に加熱でき、殺菌することができる。
【0033】
請求項2記載の粉粒体の殺菌方法によれば、粉粒体と過熱水蒸気の分離を一定時間保持した後に行なうので、より均一に加熱することができる。殺菌ムラを無くすことができる。
請求項3の粉粒体の殺菌装置は、粉粒体と過熱水蒸気の分離を常圧下で行なうので、請求項1、2の効果に加えて、材料の取り出しに特別なシールを要しないから、装置のイニシャルコスト、ランニングコストを低減でき、耐久性がよくできる。
請求項4の粉粒体の殺菌方法によれば、過熱水蒸気の分離を加圧下で行なうので、粉粒体の加熱、殺菌を一層よくできる。
【0034】
請求項5、6又は7の粉粒体の殺菌装置によれば、上述した粉粒体の殺菌方法を実現することができ、その結果、加熱を迅速に行い、殺菌効果を高めた、特殊なシールを使用しない、過熱水蒸気殺菌装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係る殺菌方法を実施する装置の概略構成の供給部及び処理部前半を示す模式図である。
【図2】 処理部後半を示す模式図である。
【図3】 エゼクタの断面図である。
【図4】 他の実施例の処理部後半を示す模式図である。
【符号の説明】
1:材料搬送装置 2:過熱水蒸気供給管
3:エゼクタ 4:分離機
5:排気ファン 6:処理配管
7:排気配管 8:排蒸気処理装置
10:分離機
11:ホッパー 12:定量供給装置
13:貯留部 14:殺菌用蒸気供給管
15:吸引室 16:水蒸気室
17:ノズル 18:吐出口
19:デフューザ 20:出口
21:真空計座 22:圧力計座
23:減圧弁 24:圧力調節弁
25:圧力指示調節計 26:減圧弁
27:圧力調節弁 28:流量指示調節計
29:外被管 30:加熱エアー管
31:吐出管 32:取出口
33:排出バルブ 34:圧力指示調節計
35:外被 36:調節弁
37:加熱媒体供給管 38:循環ファン
39:エアーヒータ 40:外気取入フィルタ
41:分流器
51:供給バルブ 52:フィルタ
53:取出バルブ 54:攪拌羽根
55:モータ 56:フィルタコントロールボックス
57:不活性ガス供給管 58:バルブ

Claims (7)

  1. 粉粒体を過熱水蒸気を駆動源とするエゼクタにより吸引すると共に、圧縮混合し、加熱殺菌し、その後、粉粒体を過熱水蒸気から分離して回収する粉粒体の殺菌方法において、前記粉粒体と前記過熱水蒸気の両方を、過熱水蒸気を駆動源とするエゼクタに吸引することを特徴とする粉粒体の殺菌方法。
  2. 前記粉粒体と過熱水蒸気の分離を一定時間保持した後に行なう請求項記載の粉粒体の殺菌方法。
  3. 前記粉粒体と過熱水蒸気の分離を常圧下で行なう請求項1又は2記載の粉粒体の殺菌方法。
  4. 前記粉粒体と過熱水蒸気の分離を加圧下で行なう請求項1又は2記載の粉粒体の殺菌方法。
  5. 過熱水蒸気供給管と、過熱水蒸気により粉粒体と過熱水蒸気の両方を吸引するエゼクタと、過熱水蒸気と粉粒体を分離する分離機と、該分離機から排気する排気手段と、前記エダクタと分離機と排気手段とを連通する配管とを備えたことを特徴とする粉粒体の殺菌装置。
  6. 前記分離機の圧力を調整する圧力調整手段を備えた請求項5記載の粉粒体の殺菌装置。
  7. 前記分離機を加熱する加熱手段を備えた請求項5又は6記載の粉粒体の殺菌装置。
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